ロッキード事件に果たした司法のミスリードと後遺症2、三井環国策逮捕事件考

 (最新見直し2006.3.19日)

 (れんだいこのショートメッセージ) 
 ここで、その後の司法腐敗に関連する「三井環国策逮捕事件」について確認しておく。

 2005.5.21日再編集 れんだいこ拝


【「三井環国策逮捕事件」その1】
 「阿修羅政治8」の傍観者A氏の2005.2.1日付け投稿「検事総長松尾邦弘への反発?】三井環氏の「判決文事前流出」という、前代未聞の大問題を弾劾する【ジャーナリスト古川利明氏」も貴重である。これを転載しておく。

 http://toshiaki.exblog.jp/d2005-01-30
 http://toshiaki.exblog.jp/d2005-01-30

 2005年 01月 30日

 三井環氏の「判決文事前流出」という、前代未聞の大問題を弾劾する

 前回の1月29日付け本サイトの原稿を書き上げたのち、トンデモないネタをキャッチしました。ぬあんと、ぬあんと、2月1日に大阪地裁で判決公判が開かれる、三井環氏のデッチ上げ事件で、「懲役1年」という実刑の判決文が既に外部に流出しているというのです。これを報じたのは、1月29日付け日刊ゲンダイ(28日発売)で、不覚にも私は気づかず、つい、さっき、知り合いの某記者からの電話で知りました。

 記事によりますと、この「判決文」は民主党の河村たかし衆院議員が入手したもので、大阪地裁の判事が大阪高裁の求めに応じて事前に判決文を渡し、これが極秘で法務省に渡されたとみられるものです。んで、「判決文」では、「3度の供応については、三井被告は職務に関わる接待と認めている」として、三井氏への判決は、ぬあんと、ぬあんと、執行猶予のつかない「実刑1年」だというのです。

 河村議員は記事のコメントの中で、「文書の信憑性は確かめられないが」としつつも、次のように述べています。「これが本当なら、判決は裁判官の良心よりも、法務省トップの意向で決まることになってしまう。重大問題です」

 しかし、考えれば考えるほど、今度の三井氏の不当逮捕は、まったくもって、前代未聞の連続です。三井氏がテレ朝の「ザ・スクープ」の収録の当日に、当時の検事総長・原田明夫の指示のもと、「口封じ」のために、ないものをデッチ上げて、拘置所の中に放り込んだのが前代未聞なら、こんなふうに判決文が事前に流出するのも、まったくもって前代未聞の出来事です。

 私はこの「判決文」を見たわけではないですし、現時点でも河村議員に会ってはいないので、これまでの取材の蓄積から、「これだけは言える」ということを述べます。

 今度の三井氏の裁判は、フツーに審理して判決文を書くなら、「公訴棄却」(つまり、「起訴」そのものを破棄する)か、「無罪」以外にはありえません。ということであれば、これはかなり政治的な圧力が担当裁判官らに働いたということになります。

 この裁判は合議制(裁判長を含め、3人の裁判官で審理し、判決を出す)なのですが、検察サイドは、そもそもないものを勝手にデッチ上げたわけですから、まったく公判維持に自信がなかったのは言うまでもありません。そのため、デート嬢を侍らせたとされる例の“贈収賄事件”については、贈賄側の渡真利と一緒に三井氏を「併合起訴」し、その後、「贈」の側の渡真利を分離させて、先に「有罪判決」を検察側は裁判所に出させたわけです。

 というのは、このように併合起訴すると、同じ裁判体に帰属するため、先に渡真利の事件を有罪で終わらせてから、三井氏の事件を同じ裁判長が審理するわけです(笑)。

 んで、渡真利は検察側の筋書き通りに喋って、「有罪判決」(=実刑)を受けて、服役しているわけですから、裁判長が有罪以外の判決を出すわけにはいかないのです。 ということで、公正な審理をしてもらうため、三井氏と弁護団は裁判長らの更迭を求め、それに応じる形で、裁判長と、右陪審でしたか、左陪審でしたか忘れましたが、3人のうち2人を入れ換えさせたのです。

 で、新しい裁判長は宮崎英一というオッサンで、見た感じではかなりマトモそうで、実際に傍聴した私自身の心証は非常によかったのです。

 ですから、「まあ、無罪は固い。運がよければ、公訴棄却も夢ではない」と踏んで、ちょっと前に電話した元最高検検事で、帝京大教授の土本武司センセイには「これは、無罪の可能性大なんで、そういうふうに新聞社からコメント要求が来まっせ」というふうに言っていたのです。

 ところが、です。まあ、既に年内ぐらいには宮崎裁判長はどういう判決かを決めて、だいたい、判決日の1週間前くらいには、判決文を書き上げてはいるだろうと思っていたのに、それが「外部流出」ですから、「いったい、どうなってるの?」というカンジです(笑)。

 ちなみに、検察組織は検察庁法で、検事総長がありとあらゆる事件の指揮をすることができますので、例えば、今度の日歯連のヤミ献金事件のように、現場の東京地検が「野中広務と佐藤勉を起訴すべし」と捜査結果を上げても、総長の松尾邦弘が「そんなのまかりならん」と却下すればイッパツなのですが、裁判官は違います。彼らは個々に独立して、その「良心」にのみ従い、公正な立場から、出てきた証拠、証言をもとに、「有罪」であるか「無罪」であるかを判断するわけです。

 まず、ビックリしたのが、この判決文を大阪高裁に上げていたという点です。ということは、大阪地裁の宮崎裁判長は、事前に「大阪高裁の指示」を仰いでいたのか、というギワクが浮上します。んで、まあ、それは100歩譲るにしても、その判決文が法務省にリークされるというのは、いったいどういうことなのでしょうか?

 確かにこれまでに「判検癒着」ということから、事前に地裁の書記官から検察の事務官がコッソリ判決を教えてもらったり、また、事前に教えてもらった判決が控訴稟議の対象となる「ダブル執行猶予」だったりすると、担当検事が裁判所に直接、出向いて、「何とか実刑にならないか」と頼み込んだりすることもあるのです。

 それで言うと、今度の三井氏の裁判で言えば、「公訴棄却」もしくは「無罪」の判決が出て困るのは、法務・検察全体というよりも、単に検事総長の松尾邦弘だけです。なぜなら、これは何度も指摘していますが、松尾は法務事務次官時代に、原田明夫に連れられて、後藤田正晴の事務所に一緒に行って、三井氏が調活費という検察の裏金づくりを内部告発していた加納駿亮の、福岡高検検事長昇任人事を飲んでもらうよう、官邸(=小泉純一郎)にアタマを下げています。

 もし、三井氏に「公訴棄却」もしくは「無罪」の判決が出てしまえば、こうした「裏取引」にいやがおうでもスポットが当たり、本人が詰め腹を切らされることになります。それを避けるためには、三井氏をゼッタイに「有罪」にさせなければならないので、ありとあらゆる圧力を裁判所にかけた可能性は大いにあると思います(でなければ、判決文が法務省に流れるということは、ありえない)。

 この三井氏に対する「判決文」が、どういう形で河村議員に届けられたかはわかりませんが、これは私のカンでしかありませんが、これを入手した法務省の人間が、河村議員に直接会って、ブツを渡した可能性は大いにあるような気がします。

 というのは、最近、法務・検察の人たちと接触して思ったのですが、決して、みんがみんな腐っているわけではない。三井氏が内部告発した調活費の問題にしても、「ああいう対応(=口封じ逮捕)は絶対におかしい」と思っている人はかなりいます。

 もっと言えば、原田の指示で三井氏を口封じ逮捕する際、当時、大阪地検の佐々木茂夫検事正は「こんなことはまかりならん」と、断固反対しているのです。しかし、大阪とはいえ、一地検の検事正が抵抗したところで、組織トップの意思決定を覆すことはできない。残念ながら、それが組織というものです。

 私が推測するに、今度の「判決文」は、法務省の相当上のスジというか、かなり中枢に近いところから流出しているような気がします。やっぱり、こうした事態に並々ならぬ危機を感じている人間が、内部にもいるのです。そういう人たちは、現段階では、絶対にあのNHKのプロデューサーのように、顔出ししてカミングアウトをすることはできませんが、そういう人たちがラインの中枢に入って指揮のできる体制を構築していくしかありません。それにはやはり、政治の力が必要です。具体的には「政権交代」ということです。

 なかなか、いますぐにこうした法務・検察(&裁判所)の腐敗、頽廃ということを変革するのは難しいですが、やっぱり、こういう形で声を挙げて、マトモな方向に変えていく努力をあきらめてはなりません。とりあえず、今、言えるのは、そういうことです。

 #ま、2月1日の判決が見物やな。まあ、こうやって流出した手前、小手先でチョロチョロと判決文をいじることぐらいはするだろうが、裁判長は「左遷覚悟」で、「公訴棄却判決」を言い渡さなアカンで。ほんま、何のために裁判官になったのか、胸に手を当てて考えてみてほしいワ。


【「三井環国策逮捕事件」その2】
 大阪高検公安部長に実刑判決 収賄罪で大阪地裁〔朝日〕
http://www.asyura2.com/0502/senkyo8/msg/346.html
投稿者 ネオファイト 日時 2005 年 2 月 01 日 19:44:26: ihQQ4EJsQUa/w

(回答先: 【検事総長松尾邦弘への反発?】三井環氏の「判決文事前流出」という、前代未聞の大問題を弾劾する【ジャーナリスト古川利明氏】 投稿者 傍観者A 日時 2005 年 2 月 01 日 02:39:24)

http://www.asahi.com/national/update/0201/010.html
 捜査情報を得ようとした元暴力団組員から飲食や女性の接待を受けたなどとして、収賄や公務員職権乱用などの罪に問われた元大阪高検公安部長の三井環(たまき)被告(60)に対する判決公判が1日午前、大阪地裁で開かれた。宮崎英一裁判長は「現職の検察幹部でありながら、検察に対する社会の信用を大きく損なった」として、懲役1年8カ月、追徴金約22万円(求刑懲役3年、追徴金約28万円)の実刑を言い渡した。被告が訴えた検察の調査活動費(調活費)の流用疑惑については「社会的に重大な問題で、究明が必要であることは明らか」と述べた。

 収賄の起訴事実のうち、元組員(42)=贈賄罪で懲役5カ月の実刑確定=に大阪市北区のホテルで勤務時間中に女性の接待を受けたとされる事件については「元組員の供述が変遷しており、信用性に疑問が残る」として無罪とした。被告側は控訴した。大阪地裁は同日、三井被告の保釈を決定した。

 三井被告は流用疑惑についてテレビ局の取材を受ける予定だった02年4月22日に大阪地検特捜部に逮捕された。判決は「経緯に照らすと被告らが『口封じ』と主張するのは無理からぬところ」とした。

 そのうえで、検察の捜査について検討。高度の廉潔さを求められる検察官が暴力団関係者との交遊を背景にした犯罪行為を犯した可能性があれば法務・検察当局が捜査するのは当然、と指摘。「捜査を控えなければならない理由はない」として捜査の正当性を認めた。

 判決は、有罪と認定した計5件の収賄事件について「贈賄側の元組員との間で互いに相手の立場を知りながら接待されており、被告に職務に関連している認識があったと強く推認される」と指摘。また公務員職権乱用罪などについても、入手した暴力団関係者らの資料が捜査に使われた形跡は認められない、などとして有罪とした。

 最後に判決は、被告側が公判で一貫して主張した調活費の不正流用問題について言及。「不正流用問題は社会的に重大な問題であり、検察幹部として自ら関与したという被告の供述は軽視できない」と述べた。さらに、「問題の究明が必要であることは明らかである」と指摘した。

 公判で被告側は、起訴事実を全面的に否認して無罪を主張。「捜査は口封じのための不当なものだ」として、公訴棄却も求めていた。 (02/01 13:52)






(私論.私見)