榎本調書に於ける榎本秘書の政治献金収受説考

 (最新見直し2006.1.8日)

 新野哲也氏の「角栄なら日本をどう変えるか」に、「5億円授受」に関する榎本秘書の言を次のように紹介している。
 概要「確かに丸紅から5億円の政治献金を受けました。検察ににも何度もそう話しました。しかし、尋問のとき、丸紅から政治献金を受けたと答えると、検事は決まって不機嫌になったのです。そのこと(丸紅からの政治献金)も調書には載っていません」。
 「カネの催促などしていません。丸紅の伊藤さんが5億円の政治献金をしたいとおっしゃるものですから、有り難く頂戴することにし、佐藤昭の方へ話を通したのです。当時、入るカネは佐藤さん、選挙活動の資金を出すのが私でした」
 「当時、田中派にとって丸紅に限らず、企業からの献金は有り難かったのです」。
 「(角栄は、カネの出し入れを佐藤昭と榎本に任せきりにし、)帳簿を見ようともしなかった」

 この発言を受けて、新野氏は次のように述べている。
 「角栄は、検察側の術中にはまったというしかない。無実を証明するには、丸紅から政治献金を受けたが、ロッキード社の賄賂とは思わなかったと主張しておけば、例えばロッキード社と丸紅との間で贈賄という内諾があったにしろ、疑獄事件などにはならない」。
(私論.私見)
 れんだいこは思う。新野氏は角栄擁護論の第一人者的地位にあるが、れんだいこにはまだ物足りない。上述の「政治献金にしておけば角栄無罪論」は公判闘争技術論でしかない。角栄は、長期裁判覚悟の上、元首相職の名誉に於いて「5億円授受否認」を争ったのである。それが虚偽ならともかく真に貰っていなかったとしたら、角栄の姿勢はむしろ評価されるべきものである。ならば、その角栄の意思を伝え、この角度から支援していくのが真の角栄擁護論ではなかろうか。





(私論.私見)