第085回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会第2号 |
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2005.3.7日 2007.5.23日再編集 れんだいこ拝 |
第085回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第2号 昭和五十三年十月十八日(水曜日) 午前十時四十七分開議 出席委員 委員長 廣瀬 正雄君 理事 松永 光君 理事 箕輪 登君 理事 小林 進君 理事 横路 孝弘君 理事 坂井 弘一君 理事 大内 啓伍君 玉沢徳一郎君 保岡 興治君 大出 俊君 池田 克也君 鍛治 清君 鳥居 一雄君 中野 寛成君 正森 成二君 加地 和君 出席国務大臣 法 務 大 臣 瀬戸山三男君 出席政府委員 防衛庁装備局長 間淵 直三君 法務省刑事局長 伊藤 榮樹君 委員外の出席者 ロッキード問題 に関する調査特 別委員会調査室 長 長崎 寛君 ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 閉会中審査に関する件 ロッキード問題に関する件 ――――◇――――― ○廣瀬委員長 これより会議を開きます。 ロッキード問題に関する件について調査を進めます。 この際、先般、衆議院各国政情視察議員団として本院から派遣され、関係各国においてロッキード問題に関し調査をされてまいりました議員団を代表して、箕輪委員からその調査の概要について報告を求めたいと存じます。箕輪登君。 ○箕輪委員 先般、本院から派遣されました衆議院各国政情視察議員団第六班の欧米視察について、派遣議員団を代表いたしまして私から視察の概要について申し上げます。 御承知のとおり、本議員団の派遣は、第八十二回国会当委員会の理事会の申し合わせにより訪米議員団の実現について議長に申し入れを行って以来懸案となっておりましたところ、第八十四回国会に至り実現を見るに至ったものであります。 派遣議員団の構成は、小林進君、國場幸昌君、坂井弘一君、横路孝弘君及び玉沢徳一郎君と、団長となりました私、箕輪登の六名であります。 議員団は、出発に先立ちまして、目的、日程の細部について慎重FI協議を重ねました結果、まず、ロッキード事件の真相解明に関しまして、オランダ、イタリア、米国における事件の概要及び対応の実情について調査し、また、ロッキード事件の再発防止に関しましては、国連、OECD、アメリカ議会、SEC等における多国籍企業規制問題及びスウェーデンにおけるオンブズマン制度、米国上下両院の倫理規程等について、議会、政府関係機関等の関係者から意見を聴取することにより、国会審議の参考に資するよう効率的な日程を決定したものであります。 議員団は、右日程に従い七月五日東京を出発、フランス、スウェーデン、オランダ、イタリア、米国、米国では、ニューヨーク、ワシントン及びロサンゼルスにおいて、それぞれ目的に沿った会談を行い、七月十九日に帰国いたしました。 訪問先及び会談の主な事項について御説明申し上げます。まず、七月六日フランスのOECD本部におきまして、多国籍企業問題に取り組んだ経緯、不正行為規制に対する基本方針、国連の腐敗行為作業部会との関係等について、また、一九七六年六月にOECDの閣僚理事会が採択いたしました「国際投資及び多国籍企業に関する宣言」及び同宣言の付属書「多国籍企業の行動指針」等につきまして、エルダン事務局次長及びウイザレル財政金融局多国籍企業担当課長と会談いたしました。七日には、スウェーデンにおきまして、スウェーデンの行政監察制度について、その管轄分野と職務権限の内容、特に国会が持っている諸権限との関係、検察庁、裁判所との関係、執行の実情等について、国会チーフオンブズマンのルンドヴィーク氏と会談いたしました 十日には、オランダにおきまして、ロッキード事件に対するオランダ議会、政府及び司法当局の対応等について武器購入特別委員会委員ダンケルト下院議員と会談いたしました。十一日には、イタリアにおきまして、弾劾審問委員会の制度と権限、ロッキード事件に対する同委員会及び議会の対応等こつきまして、同委員会のベルディロシ特別局長及びリポリス報告者と会談を行ったのであります。さらに十二日、米国に渡り、十三日、ニューヨークにおきまして、国連の多国籍企業問題に対する取り組み方、多国籍企業の不正行為規制問題、腐敗行為作業部会の作業状況等について、国連多国籍企業センターのサルグレン所長及びアサンテ法律顧問と会談いたしました。十四日には、ワシントンにおきまして、多国籍企業規制問題及びロッキード事件について、シビレッテイ司法次官、SECのポラック委員及びペルリスロッキード事件主任調査官と、米国上下両院の倫理規程の基本方針、規程の内容、執行上の問題点について、下院倫理委員会のスワンナー事務局長及びジャフィ事務局次長並びにスチーブンスン上院倫理委員会委員長と、多国籍企業問題について、上院外交委員会対外経済小委員会チャーチ委員長と、それぞれ会談をいたしました。なお、十七日、ロサンゼルスにおきまして、ロッキード事件について、ロッキード社のツウミイ法律担当副社長及びカレンバー市場担当副社長と会談を行ったのであります。 以上の会談の概要につきましては、議長に報告書を提出いたしました。いずれ印刷の上各位のお手元に配付されることと存じますので、報告書で御承知いただきたいと思います。 なお、今回の視察におきまして議員団が入手いたしました資料の一部を翻訳の上、報告書の添付資料といたしておりますので、御参考にされたいと思います。またその他の資料は、原文のままではありますが、当委員会調査室に保管いたしております。 以上、簡単ではございますが、視察の概要についての報告を終わります。 ――――――――――――― ○廣瀬委員長 この際、先刻の理事会において、福永一臣議員の証人喚問問題について、委員長の所見を委員会において表明されたいとの御要望がありましたので、委員長から一言申し上げます。 本問題については、去る四月十二日の理事会において、証人として喚問する方向で、喚問並びに時期については委員長に一任するとの申し合わせを行い、私に一任いただきました。私としましては、現在もこの趣旨を体しておりますが、その時期については、裁判の進行を見ながら、法務省の見解を伺ったりして、公判に影響がなくなる時期を探っておりますわけでありまして、その時期は、どうも年内にはむずかしいのではないかという感触を最近得ておるというのが実情であります。 以上、申し上げます。 ――――――――――――― ○廣瀬委員長 次に、ロッキード事件に関する公判経過について、法務大臣から報告を求めます。瀬戸山法務大臣。 ○瀬戸山国務大臣 ロッキード事件の公判経過については、刑事局長から御説明させることにいたします。 ○廣瀬委員長 伊藤刑事局長。 ○伊藤(榮)政府委員 いわゆるロッキード事件の公判につきましては、本年三月一日及び五月十日の本委員会において、概略を御報告しておりますが、その後の公判の経過も含めまして、ロッキード事件公判の状況を取りまとめて御報告申し上げます。 各ルートの公判は、丸紅ルート及び全日空ルートが一週間に一回ぐらい、児玉ルートが一カ月に一回ないし二回、小佐野被告人関係が一カ月に一回程度の割合で開廷されておりまして、進行状況は、全日空ルートが見込みより若干おくれております以外は、ほぼ見込みどおりでございます。 現在、コーチャン、クラッター両氏に対する嘱託尋問調書が児玉、小佐野両ルートで証拠として採用決定がなされ、他のルートにおきましても、同調書について裁判所のいかなる判断が示されるかが一つの焦点となっておりますほか、金員の授受、請託の内容に直接、間接に関与した者に対する証人尋問も始まり、事件の核心に関する重要な立証段階に入っております。 各ルートの公判状況は次のとおりでございます。 まず、第一に丸紅ルートであります。 この関係におきましては、現在までに五十六回の公判が開かれ、全日空の大型ジェット機機種選定の経緯、丸紅、三井物産等の全日空に対する大型ジェット機の売り込み状況、丸紅とロッキード社との関係など本件の背景あるいは本件に至る経緯についての証人調べが一応終了し、昨年秋ごろから、五億円の現金を入れた段ボール箱の授受に関し、その日時、場所、受け渡しの状況等について、当時の伊藤被告人担当の運転手、秘書等の関係者の証人調べに入りましたが、右運転手、秘書らはいずれも、捜査段階で右段ボールの授受の状況等について明確に認めていた供述を証言では覆し、右の点は記憶がないなどと証言いたしましたため、検察官は同人らの検察官調書を刑訴三百二十一条一項二号書面として、取り調べ請求をしております。 現在、公判は、田中被告人と全日空との関係、全日空の大型ジェット機機種決定に関する田中被告人の関与の状況等の立証段階に移っており、これに関し、全日空副社長渡辺尚次、国際興業社主小佐野賢治の証人尋問が第四十四回ないし第五十三回公判にわたって行われ、現在は全日空の若狭得治に対する証人尋問が第五十四回以降行われております。 渡辺尚次証人は、昭和四十七年九月ころの小佐野との会談の状況等につきまして、一部記憶がないなどと捜査段階の供述と異なる証言をしております。 また、小佐野証人は、全日空の渡辺副社長らに対し、トライスターを推奨したか否か等については、自分自身の裁判に関係するとの理由から証言を拒否しております。 なお、昭和五十二年十月十九日の第二十四回公判で、検察官は右に述べました嘱託尋問調書の取り調べを請求しておりますが、裁判所の決定はまだ出されておりません。 次に、全日空ルートでございます。 この公判は、全日空側の外為法違反事件について審理するときは、橋本被告人及び佐藤被告人の事件を分離し、全被告人に共通する証拠調べのときは、再び併合するなどして進行してきておりますが、現在までに合計六十八回開廷されております。 外為法違反事件については、順調に進行し、すでに被告人質問に入り、若狭、藤原両被告人を除き検察側の主尋問が終了し、弁護側による被告人質問が始まった段階にございます。 若狭、渡辺の両被告人の議院証言法違反事件につきましては、関係証人の取り調べ等がほぼ終了し、渡辺被告人に対する検察側の被告人質問が終了した段階にございます。 橋本、佐藤両被告人の受託収賄事件につきましては、橋本被告人が傷害被害に遭ったことなどのため、公判は若干おくれかげんでございますが、本年に入りまして、橋本、佐藤両被告人に贈賄した金銭を含めたいわゆる三十ユニットの金銭の授受に関与いたしました大久保利春、伊藤宏、副島勲の各証人尋問が終了し、現在贈賄側当事者で右金銭の授受、請託の趣旨についての重要関係者であります藤原亨一被告人について、被告人質問が行われている段階であります。 右各証人尋問におきまして、大久保利春証人は、全日空が機種をトライスターに決定した旨発表した昭和四十七年十月三十日の前夜、コーチャン氏に対して三十ユニットをロッキード社から支出してもらいたい旨交渉し、その同意を得、右の金銭の授受について打ち合わせたことなどにつき、ほぼ検察官の冒頭陳述書記載の事実に沿う証言をいたしました。伊藤宏証人は、右大久保、同人の部下の松井直を介して、全日空の依頼で三十ユニットの金銭の一部である五百万円を橋本被告人に供与したことなど、右金銭の配分、交付状況について証言し、副島勲証人は、右三十ユニット資金の一部を佐藤被告人らに供与したことなど、基本的事実関係については冒頭陳述書記載の事実に沿う証言をいたしましたが、佐藤被告人らに供与した金員の趣旨については、捜査段階における供述と異なり、全日空からのお礼とは言っていない旨証言しております。 なお、全日空ルートにおきましては、昭和五十二年十月二十四日の第二十八回公判で検察側から前述の嘱託尋問調書の取り調べ請求がなされておりますが、裁判所の決定はまだ出されておりません。 次に、児玉ルートでありますが、この公判におきましては、児玉被告人について同人の病気(脳梗塞後遺症等)を理由に第三回公判に短時間出頭させた以外は、裁判所は公判への不出頭を許可しており、児玉被告人が在廷しない状態で審理が進められております。 その後、本年十月五日までの間に二十四回の公判が開かれ、この間、検察官申請にかかる書証及び証拠物で、弁護人が同意ないし取り調べに異議がないとしたものの証拠調べ及び証人尋問が実施されております。 本年三月二十三日の第十六回公判までに、児玉被告人の銀行取引について元北海道拓殖銀行支店長ら銀行関係者など七名、児玉被告人の確定申告の実態について同人の税務担当者、盗難小切手問題について元玉川警察署長ら二名、三光汽船によるジャパンラインの株式買い占め事件の調停工作に関連する報酬について元ジャパンライン社長ら二名、熱海観光道路の株式を台糖に買い取らせた件について台糖社長ら八名の証人尋問が行われており、昭和四十七年以降の児玉被告人の雑所得についての検察官立証はほぼ終わり、本年四月十三日の第十七回公判から、児玉被告人に対する所得税法違反事件の核心ともいうべきロッキード社からのコンサルタント報酬及び同特別報酬の授受関係の審理に入り、第十七回ないし第二十回公判では、福田太郎氏の検察官調書の採否をめぐり、その任意性、特信性等を立証するため、同氏の取り調べに当たった山辺力元東京地検検事及び福田氏の主治医であった東京女子医科大学教授小林誠一郎氏の証人尋問、第二十一回、第二十二回公判では渡辺尚次証人の証人尋問がそれぞれ行われ、現在東亜国内航空社長の田中勇証人に対する検察官の主尋問が終了した段階にあります。 この間、検察官が昭和五十二年十月二十五日の第八回公判において取り調べ請求し、その採否が注目されておりました前述コーチャン、クラッター両氏に対する嘱託尋問調書につきまして、本年九月二十一日の第二十三回公判、これは小佐野被告人の第十四回公判と併合されましたが、ここにおきまして裁判所は、右調書を刑事訴訟法三百二十一条一項三号書面に該当する証拠として採用する旨の重要な決定を示し、本年十月五日第二十四回公判、これは小佐野被告人の第十五回公判と併合でありますが、と、今後の二、三回の公判においてその取り調べが終了する予定とのことでございました。 なお、裁判所は、右嘱託尋問調書は、わが国の法制上適法なものと認められる上、特信性、任意性、立証上の不可欠性等刑訴法三百二十一条一項三号の書面としての要件を満たしているとの判断を示しております。 最後に、小佐野被告人関係でございますが、今月五日までの間に公判は十五回開かれておりますが、被告人の病状(高血圧症等)を考慮して、裁判所は医師の付き添いを許すとともに、公判はほぼ一カ月に一開廷とし、審理の時間も原則として午前中二時間程度とするなど、かなり時間的制約を受けながら公判が進行している状況にあります。 公判におきましては、ロッキード社と丸紅との間の販売代理店契約の概要とその推移、両社の全日空に対するトライスター売り込みの状況、全日空の機種選定の状況等、事件の背景事実についての検察官立証がほぼ終了し、被告人の公訴事実である偽証に対して核心の事実となります被告人とロッキード社との関係、全日空との関係等の重要な立証に入っており、児玉ルートと併合された第九回公判において、前に述べました福田太郎氏の検察官調書の採否をめぐり、その任意性等を立証するため、すでに述べましたとおり山辺検事、小林医師の証人尋問が行われ、その後被告人がトライスターの売り込みを援助するため、全日空、東亜国内航空の役員に働きかけた事実の存否等について、全日空副社長渡辺尚次、東亜国内航空社長田中勇氏の各証人尋問が行われ、渡辺証人については尋問が終了し、田中氏については検察官の主尋問が終了した段階にあります。なお、渡辺証人は、昭和四十七年九月の渡辺・小佐野会談の状況につきましては、丸紅ルートの公判における証言とほぼ同旨の証言をしております。なお、前述嘱託尋問調書につきましては、児玉ルートで述べましたとおり証拠として採用されております。以上でございます。 ――――――――――――― ○廣瀬委員長 次に、ロッキード事件の全日空、丸紅ルートの公判廷における証言の要録についてすでに本委員会において御説明願ったのでありますが、証拠物の要録についてまだ報告を受けておりませんので、これについて説明を求めます。伊藤刑事局長。 ○伊藤(榮)政府委員 去る四月二十六日の本委員会理事会で御決定になり、お申し越しのありました証拠物の要録について御報告いたします。 一、常務会議事録(昭和四十六年六月三十日付全日空常務会議事メモ)のうち、日航の国内線ジャンボ乗り入れ問題での渡辺発言の部分の要録でございます。 「JALのJUMBO乗り入れについて」という項目で、渡辺の発言として次の趣旨の記載があります。 このままでは、ずるずるいくおそれがあるので早急に自民党の航空対策委員会で論議してもらうことになり、資料をつくらせている。社長もなんとか出席すると言っている。 二、常務会議事録(昭和四十七年十月二十四日付全日空常務会議事メモ)のうち、エアバス受け入れについての基本方針の部分の要録。 ○廣瀬委員長 伊藤刑事局長、ただいま御発言中でございますけれども、後の質問の時間等もございますから、切りのいいところでそれを後に回したいと思いますから、一応おやめ願って、後に回したいと思っております。 ○伊藤(榮)政府委員 わかりました。 「大型機受入れ準備に関する基本方針(案)」という項目の次に「機種は決定していないが、八月に発足したPROJECT TEAMの結論によって本部方針を定めたので報告したい。-資料により説明-」の記載がある(資料内容、説明内容についての記載はない。)次に訓練用器材、経費、資金等の問題について、それぞれの担当者から、おおむね予定どおり準備が進められている旨の報告と若狭社長の各本部の取りまとめをしながら間に合うように準備してもらいたい旨の発言が記載されております。 以下は後刻御報告申し上げます。 ○廣瀬委員長 刑事局長の御発言は一応ここでおやめ願って、後で継続して申し上げます。 ――――――――――――― ○廣瀬委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。 ○小林(進)委員 福永一臣議員の証人喚問につきましていま委員長から若干の御報告がございましたが、何か少し聞き漏らしたけれども、今年中はだめだというふうな発言ではなかったかと思うのであります。そんなことはゆめにも考えられないことでございますので、まだ私は委員長の言われたことが何かの間違いではないかと思うのでございまして、この問題についてお伺いいたします。 証人喚問については、公判に影響のない時期が非常に重要なポイントだということで、それは一体いつなんだと言ったら、まあ第八十四国会でございますか、六月何日かに終わりましたが、その国会中には間に合わないけれども、終わった七月ないし八月ころには影響がないのであろうということで、私どもは閉会中におけるそういう証人喚問の準備もしながら国会を終わっている。ところが、今日まで杳としてそれに対する何かのサウンドがない。いま突如として今年中はだめだなどと言われたところで、何か愚弄されているような感じしか残らないのであります。 そこで申し上げますけれども、伊藤、副島両被告の検事調書の採用の時期は、現在の進行状態から見て一体いつごろになるのか、これが一つであります。 それから、これは時間がありませんから結局駆け足でお尋ねする以外にないのでありまするけれども、いま一つは、児玉、小佐野ルートの併合公判で嘱託尋問調書の証拠採用が決定されたのでありますが、これに関連して、今後全日空ルートで嘱託尋問の調書がまた証拠として採用が決定されるとすれば――これは私はもう決定されるものと予測をいたしておりますが、されるとすれば、その時期をもって公判に影響がないという結論が出てくるのではないかと思われるが、これはいかがでございましょう。言いかえれば、伊藤、副島の検事調書と、いまの全日空の嘱託尋問とは内容はほとんど同じもの、こう考えてよろしいのでありまするが、その点は一体どうか。この点について、ひとつわれわれの納得のする返事をいただきたいと思うのであります。 福永証人の問題につきましては、言うまでもなく、本人自身も証人に応じてよろしいという決意を表明しましてから毎日毎日その日を待っています。これが決まらなければ、本人はいつでも不安定な日常生活を送っていただかなければならないのであって、個人に対しても大変お気の毒であります。こういうことをそのままに投げ出しておくなどということは、別な意味における人権侵害です。権利侵害です。人権問題です。同時に、われわれにいたしましても、国会の、衆議院のロッキード委員会は一体何をやっているんだ。本人みずからが進んで立法府の席で証言をしたいと言っているにもかかわらず、それさえも実行できないようなロッキード委員会はあってなきに等しいではないか。一体どんなところでこれを阻止せられ、それを排除する力が一体ロッキード委員会のだれにもないのか。われわれはどうも無能呼ばわりされたり、思わざるところにひもをつけられているサル回しのサルのような、そういう悪名までも今日受けているという状況でございます。そういうこともひとつ御勘案いただきまして、わが日本は残念ながら行政府が立法府に優先いたしておりまするから、行政府のほんのわずかな意向でわれわれは引きずり回されているようで残念至極でありまするけれども、いかに無力な国会――私みずからがそんなことを言っては悪いのでありますけれども、実は私は無力を感ぜざるを得ない。特にその中でも無力と感ぜざるを得ないこのロッキード委員会。しかし、やはり人間にもしんぼうのしどころがありますから、そうそうどうも、踏みにじられたり、け飛ばされたりしてしんぼうしているわけにいきません。明確にひとつ法務大臣から御答弁をいただいておきたいと思うのであります。 ○瀬戸山国務大臣 国会の委員会あるいは国会でだれそれを証人に呼ぶ必要があるかどうか、これは私から申し上げるまでもなく、国会でその適否を御判断願う、こういうことであろうと思います。ただ、こういうふうに刑事裁判に関係しておる人に対する証人ということになりますと、従来から申し上げておりますように、願わくば裁判の公正、また公正維持に支障のないように御配慮をいただければ幸せである、こういうことをわれわれは国会にお願いしておるわけでございまして、そういう判断をも含めて国会でお決めなさることについて私どもからとやこう言う立場にはないわけでございます。 そこで、福永議員に関するものが裁判にいまどういう状況にあるかということは、専門家である刑事局長から御答弁させることにいたします。 ○伊藤(榮)政府委員 私どもの、国会におきます証人をお呼びになる問題につきましての考え方につきましては、大臣がおっしゃいましたとおりでございます。 そこで私から、先ほどお尋ねのありました伊藤、副島の検察官調書の証拠調べの時期はいつごろになるかという見通し、それから嘱託尋問調書の採用との関係、この二点について御説明申し上げます。 まず、伊藤、副島の検察官調書の採用取り調べの時期につきまして、前国会におきまして、私は来年にわたることはないと思うというふうにお答えをいたしたわけでございますが、その後の経過を検察当局から聞いておりますと、新聞紙上等でもある程度御推察かと思いますが、最近、重要証人が次々と出まして、検察官取り調べ段階の供述を覆すということで、尋問に非常に期日を要しております。そういう関係から、先ほども御報告申し上げましたように全日空ルートにつきましては、公判進行のテンポが当初の見込みよりある程度おくれておるというのが実情でございます。 そういう事情を踏まえますと、先般私が年内には証拠決定、取り調べになるのではないかというふうな感じで申し上げたのが若干ずれておりまして、たとえば年内に証拠調べ請求が行われる可能性はまだ多いと私は思いますけれども、いよいよそれが採用になって証拠調べになるのはあるいは年を越す可能性が出てきておる、こういうふうに見ておるわけでございます。 それから第二に、嘱託尋問調書が仮に全日空ルートで採用になった場合というお尋ねでございますが、これはまだ採否が決定しておらない問題でございますから大変お答えしにくいわけでありますが、あえて申し上げますと、嘱託尋問調書を全日空ルートで証拠調べ請求をしております趣旨は、三十ユニットと言われます金がロッキード社から大久保らの手に渡ったところまでが主たる立証事項になっております。問題は、その三十ユニットが幾つかに分けられまして特定の意図と趣旨を持って渡された点が受託収賄罪の立証に一番大事なのでございまして、そういう意味で、嘱託難問調書の立証上の性格と伊藤、副島の調書の立証上の性格は全く異なっておるということを御理解いただきたいと思います。 ○小林(進)委員 全日空の嘱託尋問の調書のその内容と、いまおっしゃるとおり、これは小佐野の調書との内容が違うというその点は、私も了承するにやぶさかではございません。しかし、これはさかのぼった質問になりますけれども、一体それが福永一臣の国会喚問にどう影響があるのかということは、どうも私どもは理解に苦しむのでございまして、立法府における福永喚問が公判にどういう影響があるのか、くどいようでありまするけれども、この点ひとつお教えをいただきたいのであります。 ○伊藤(榮)政府委員 従来から繰り返し申し上げておるわけでございますが、一般論として言いますれば、現在公判係属中の事件に関連して、その事件に関連する事項について公の席で発言をされるということは、一般的に刑事裁判についてはよくない影響があるという意味において歓迎しないわけでございますけれども、当委員会の重要な御使命その他に徴しまして、私どもとしてはできる限りの範囲で御協力を申し上げたい、こういう態度できておるわけでございます。 ただ、先般来、あえて法務、検察当局の考えはどうかというふうにお尋ねをいただきますので申し上げておるわけでございますが、これまた再々申し上げておりますように、三十ユニットの金は、起訴されました人たちにも行っておりますし、起訴されなかった人たちの方へも行っておる。そういうふうに、職務権限の有無とか時効完成の有無等によりまして処分は異なっておりますけれども、一体の関係にあるものでございまして、したがって証拠関係も一体になっておる。そういう場合におきまして、たまたま公訴提起の対象とならなかった方につきまして、非常に権威のある場において証言を求められ、かつ、その証言に基づいて種々の御論議がなされるということになりますと、私どもが非常に重要に思っております伊藤、副島両検事調書の裁判所による採否の判断につきまして影響を与えるおそれが相当あるということで、できますことならば、その時点まではそういうことがないようにしていただければ私どもとしてはありがたい、こういうことを申し上げておる次第でございます。 ○小林(進)委員 三十ユニットという一つの枠の中に福永君の二百万円、三百万円が加入せられるというその一点で、彼だけを分離して立法府に出すことはできないという、それが唯一の論点になっているようでございますが、この点が私どもの了承できない点でございまして、むしろわれわれから言わせれば――われわれではございません、これは、このたびもロッキードの調査委員会で関係各国を回ってみましたけれども、その旅行を通じて感じたことは、各国とも非常に立法府の主張というものがむしろ最大限に優先し、最大限に重要視せられている。その立法府の意向に基づいて行政その他司法が動いているという感じを深うしているのでありまするが、ただ、翻って、わが日本へ来ると、そういう行政や司法の意向が非常に強まって、そして立法府の正当な活動が全部制限をせられている。非常に私はこの点が不愉快といいまするか、了承できない点なんでありまして、いまもどうも法務大臣は、何も立法府の自由活動を制限しているわけではない、ただ私どもの希望を申し上げた程度であって、立法府独自に御活動願うことは一向干渉いたしません、そういう巧妙な言葉で釈明をされておりまするけれども、法務大臣みずから自民党、政府みずからも自民党、その自民党の法務大臣がこういう問題で好ましくないと言われると、その立法、行政二つにまたがっている政党の意向が、それを受けて立って、それをいい言いわけにして、そしてこの立法府の活動を制限をしているわけであります。そういうふうな表と裏方の全く相反するやり方がこうやって公公然と行われていることは、私どもは了承できないのでありまして、この点、もっと詰めていきたいのでありまするが、こんなことを言っていると、これでもう時間がたってしまいますから、これで、残念ながら了承できないということでこの一問を打ち切ります。 第二問へ入りまして、これは、いわゆるロッキード裁判が進行中でありまするけれども、国政調査権の行使については、三権分立のたてまえから、国会の方でも、これは私どもの方で抑制すべきところはずいぶん抑制をいたしまして、この原則を貫くように動いているわけであります。しかし、最近の新聞報道にあらわれている公判廷における証人の証言、これを国民の側あるいは第三者の側から見ておりますと、実に理解しづらい点が多いのでございまして、私はこの際、一般的な検事調書の作成の方法についてひとつお伺いいたしたい。ということは、たとえば公判廷において、証人が検事調書は検事の創作であるあるいは検事の作文であるとか、検事調書は検事が勝手につくったものであるとかという、こういう陳述をし、自分が署名捺印した供述ないし供述書そのものを否定し、あるいは供述もしなかったことがどうも調書にあらわれているがごとき陳述を行っている者が多いのであります。一体、どうしてこんなことができ上がってくるのか。ただ単に裁判上の戦術だけの問題としてはこれはどうも理解しづらい。もう最近の状況は私はひど過ぎると思う。刑事訴訟法、人権尊重の立場から、調書の作成にはいろいろな規制がなされているということを私は熟知しておりまするが、改めてひとつ、どんなふうに規制されているかという項目もお挙げになりまして、その中で被疑者及び参考人に対してどのような検事調書が作成をされているのか、そういう規制の中にどういう形で作成されているのか。しかも、それが全部でたらめだとか作文だとか言われている。こういう反論がどういう形で出てくるのか、ひとつ国民が納得するような形で御説明をいただきたいと思うのであります。 ○伊藤(榮)政府委員 ロッキード事件の捜査の過程において個々の検事がどういうふうに検事調書を作成したかというようなことを述べさせていただくわけにもまいりませんので、一般論として申し上げるわけでございますが、私自身の経験も加味して申し上げるわけでございますが、贈収賄事件でありますとか会社犯罪の事件でありますと、犯罪の立証に欠くべからざる知識を有する人は、その多くが贈賄側の会社の関係者であったり収賄側の人の関係のある人であったりする場合が多いわけでございまして、公判廷におきまして、検察官の取り調べに係りますところの検事調書の内容を否定しあるいはそれと矛盾することを証言するというのはきわめてしばしばあることでございまして、そういう関係者が口をそろえて検察官調書と同じようなことを言い、すなわち犯罪の成立を認めるような証言をするということの方がむしろまれであるように私は思っております。これは、いろんな人情のしがらみとか、いろんなものから出るのでございましょう。現に私自身も、私自身が調べました事件につきまして、実に奇想天外なる言いがかりを受けたりしたことがございます。ほとんどそれは、私自身も詳細調べますときはメモをとっておりますし、そういうものに基づいて全く氷解しておるわけでございますが、今回のロッキード事件におきましても、客観的事実で申し上げますと、これまで検察官が刑訴法三百二十一条一項二号に当たるとして、前言を翻した人に関する検事調書を何通も裁判所に証拠申請しておりますが、それらのうち、任意性あるいは特別に信用するに足る情況がないとして却下されたものはまだ一つもございませんで、そのほとんどは次々と採用されておるわけでございまして、裁判所が冷静な判断で法廷における供述の矛盾等を認識されまして、そして検事調べの際の方の供述に特に信用すべき情況があり、任意性があるということで採用になっておるわけでございます。そういう点から検察官の取り調べの状況を御推察いただきたいと思います。 なお、一部に最近のロッキード事件における証人の証言状況を見て、偽証罪で処断すべきではないかという声を聞くのでございますが、やはり公判段階におきます検察官と申しますのは、犯罪があります場合に摘発する立場でありますと同時に、当該公判におきましては当事者でございます。そういうことを考えますと、裁判所の健全な判断によりまして立証上滞りなく行く見込みがあります場合に、あえて偽証罪に問うというようなことは、当事者の立場も持っておるということから考えますと十分慎重を期さなければならぬ、そういうふうに考えております。 ○小林(進)委員 いまの伊藤局長の答弁の中には、自分の経験等も通じて贈収賄ともどもやはり義理人情のしがらみで心ならず、心ならずともおっしゃいませんでしたが、検事調書とは全く逆のことを言う事例が多いが、しかし最終的にはそれが成功した例はほとんどない、こういうふうな御答弁であったと思うのでありまするけれども、しかし、今度のロッキード事件で出ている被告人は、第一番目には、国会、立法府のわれわれのこのロッキード委員会で証言をした人たちなんだ。若狭といい、渡辺といい、その他の人々。でありまするから、ああいう言葉が公判廷で公々然とマスコミ等に報道されると、国会の委員会でやったこともああいう被告人に弾圧を加えて心ならずのことを言わしめたんだろう、そして国会は偽証罪なんて訴えているけれども、あれは国会側の方が検事同様無理なんであって、あの人たちの方が正しいんだろうと受け取る人たちが案外多いのであります。 というのは、被告人に何も人間的差別を設けようというのではありませんけれども、全日空といえば超一流の企業、そういう企業の会長、副社長であればわが日本における著名人の一人、人格、識見、手腕、力量、これはやはりりっぱなものと見ていい。何千人の人たちを使用しながらその頂点に立っている人たちだから、この人たちがよもや検事のお調べを受けながら、それが作文だとか偽証だとかという根もないことを言うわけがないのだから、やはり権力者側に無理があるんだろう、こういうふうにとられている。とられっ放しならいいですけれども、これがひいては国家存立に関する三権分立の基本事態に響いてくる。どうも若い検事が勇み足で、特に犯人をつくろうとするために無理にこういう作文をつくっているんだろうというふうにとられることは直接、間接国家の存立に影響すること甚大でありますから、いまも言われたように、検事も当事者であるから偽証罪で訴えるほどのこともなかろうと考えているなどということを言わないで、ある程度国民を真正面に置いて考えていただいて、国民の中にそういう不安と疑いができないような処置を講ぜられるのが私は正当ではないかと思いますが、この点、法務大臣、いかがでございましょう。 ○伊藤(榮)政府委員 公判の経過でいろいろなことがございますけれども、しばらくお待ちいただきますと結論が出るわけでございまして、それを見ていただくよりほかにない、かように考えております。 ○小林(進)委員 こんなことをしゃべっていると時間がなくなりますので気が気でないのでありますけれども、私も検事調書というものを数回にわたってとられた経験も持っております。持っておりますから、自分の経験から見てもどうもあれは近代文明の中においてはやり方がちょっと古いのじゃないか。検事と被疑者が話し合いをする。何か書記がそばにいて、要領速記のようなことで検事の口述を書いている。これでどうだ、異論があるかないか、間違いなければ栂印を押せと言う。どうもあのやり方は近代的ではないと私は考える。テープレコーダーからコンピューターもある時代ですから、別な方法で、被告の方でも作文だの、ないことを言ったのというような言い逃れのできない、また第三者が考えても正当だと思われるような調書のとり方、これを一体改正をする余地がないかどうか、法務大臣、いかがでございますか。 ○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘いただきました部分は確かに一つの問題点でございまして、いま検察庁で行っております事務の中で明治以来変わっていない唯一の部分が調書の作成でございまして、この点についてはもう少しテープレコーダー等を活用すべきではないかというような御意見その他いろいろあるわけでございまして、私どもも鋭意検討したい、かように考えております。 〔委員長退席、松永委員長代理着席〕 ○小林(進)委員 この点はひとつぜひ考慮いただいて、仕事の能率化とともに、私が衷心で申し上げている一般世間の疑惑を解く、あるいは被告人の方で根本から検事調書を否定するようなばかげた言いわけができないような、そういう面も含めて、これは早急に改正することをお考えおきいただきたい。これは大臣、あなたに申し上げている。改正していただきたい。 次の問題に移りますが、去る九月二十一日に開廷せられた児玉、小佐野ルートの併合公判であります。ここでコーチャン、クラッター両氏の嘱託尋問の調書の証拠採用が決定された。その理由の要旨が新聞に報道された。しかし正式な決定書がまだ手元にない。何か先ほど決定書を委員長にお出しになったそうでありますが、この点、不明な点が非常に多いので御説明をいただきたい。すなわち再伝聞供述と副証の証拠能力のうち、被告人児玉、大刀川、小佐野の供述を内容とする伝聞供述、大久保、中曾根、歳谷の供述についての伝聞証言、それぞれについて証拠上どのように扱おうとしておられるのか、これが一つであります。 次いで、その証拠の採用から排除されたとされる中曾根、大久保、歳谷の供述についての伝聞証言について、これは九月二十二日の朝日新聞でありますけれども、証拠の実質的価値とは別の、いわば形式上の観点から証拠として使えないとされたものであって、供述内容の真実性まで否定したものではないというふうに解説をしておりますが、一体そのとおりに解釈してよいのかどうか、あわせて御意見を承りたいと思うのであります。 〔松永委員長代理退席、委員長着席〕 ○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の問題は刑事訴訟法の講義を学校の先生がいたしますときにも最も学生に理解を得にくい部分でございますが、あえて御説明を試みるといたしますと、わが国の刑事訴訟法では、裁判所でいろいろな証拠調べをしますときに伝聞供述というものをなるべく排除するという方法をとっております。その趣旨は、反対尋問ができる場合には反対尋問にさらしなさい、被告人が反対尋問をしたければ反対尋問の機会がある、そういうものはなるべく反対尋問にさらした上で証拠としてとりなさい、こういうことになっております。 そこで問題の、たとえばコーチャンの証言を見ますと、児玉からこう聞いた、小佐野からこう聞いた、大久保からこう聞いたという部分がございます。まず児玉からこう聞いた、こういう部分は証拠上どうなるかといいますと、児玉の被告事件に関しましては、その児玉がしゃべったと言われます内容が児玉に不利なことでございますと、いわゆる自白と似たようなものでございまして、それは児玉に対しては証拠能力があるわけでございます。しかし、コーチャンが児玉から聞いたという事柄は小佐野に対する関係では証拠能力がないわけです。なぜかならば、小佐野は直接それを語ったとされる児玉を証人として証言してもらい、自分は児玉に対して反対尋問を尽くした上で裁判所に判断してもらうべきである、こういうことでございます。したがって、今度は小佐野がコーチャンに語った内容というものは、小佐野に対する関係では証拠になるけれども、児玉に対する関係では証拠にならない。それから大久保がコーチャンにこう語ったということは伝聞でありますから、児玉についても小佐野についても証拠にならない。その語った内容を証拠にしたければ、大久保を二人の公判の証人として呼んできて、二人が十分反対尋問をしてその結果を裁判所に聞いてもらう、こういうふうにすべきである。こういうことになっておりますので、決定書の最後の方に別紙といたしまして非常に細かく、ここからここまでの部分は児玉に対する関係では証拠となる、それ以外の関係では排除するとか非常に細かいことをやっておりますのは、概略申しますといまのようなことでございます。 したがいまして、言ってみれば一般の方々にとっては実質的なことではなく、訴訟法の制約に基づく技術的な取り扱いである、こう言ってもいいかと思います。そういう意味で、先ほどのお尋ねの後段についても御理解いただきたいと思います。 ○小林(進)委員 大体おっしゃったことがわかるのでありますが、しかし先ほど言っておられた決定書の中にも、伝聞証言なるがゆえにこれを排除したという文が入っているのかということをちょっと聞いてみましたら、それは入っていないということなのでありますが、その証拠能力を採用するしないは別といたしまして、その削除した分も含めてこれをわれわれはちょうだいをしたい。われわれも見せていただきたい。何も裁判所が証拠能力がないとして御採用にならない分をわれわれが活用してどうしようという考えはありませんけれども、立法府の中で調査していた問題といたしましては、証拠能力云々でもやはりそれを見たいわけです。伝聞証言であろうとも削除せられた部分を見たい。でありますから、委員長を通じてそれを全部われわれの方へいただきたいということを要求しているわけでありますけれども、まだ委員長は入手されていないはずであります。いかがでございましょう。これは検察庁、法務大臣の手を通じてその削除せられた部分をわれわれに入手できるような御尽力をいただけないものかどうか、これは法務省にはおありになるはずでございます。いかがでございましょうか。法務大臣にお伺いいたしたいのでございますが……。 ○伊藤(榮)政府委員 事が訴訟技術と関連しますので私から御説明申し上げますが、この間のいわゆる半谷決定と言われますもので証拠能力なしとして排除されました部分でありましても、今度はほかのルートの公判では採用される可能性があるわけでございます。たとえば先ほど大久保の例を出しましたけれども、大久保被告人の公判では採用されるかもしれません。そういうことでありますので、私どもといたしましてはまず第一に、ただいまの御要望に対しましては、半谷決定に基づく児玉、小佐野ルートでの証拠調べもまだあと二、三回残っておりますので、これが終わりませんと中途半端な段階で処理することができません。 それからもう一つは、他の二ルートで一刻も早く採用してもらいたいということで検察当局がやっておるわけでございます。そういう関係がございますので、結論だけを率直に申し上げさせていただきますと、私どもとしては、すべてのルートで嘱託尋問調書の採否の判断がなされて、出そろったところでございましたらその要旨をお出しできる、かように考えております。嘱託尋問調書そのものをあるいはその写しそのものをということになりますと、前々から申し上げておりますように裁判所の保管権限のものでございますので、私どもはその要旨を、できるだけ詳しいものをお出しすることができると思います。 ○小林(進)委員 要旨をお出しいただくということはありがたいが、われわれとしては要旨よりは全文が欲しい。その全文は裁判所が保管しているということならばやはり立法府、委員長、あなたのお仕事でございまして、あなたの手を通じて裁判所の方へひとつできるだけ努力をされて嘱託尋問調書を手に入れるように御努力をしていただきたいと思います。同時に、あわせてこちらの概要書といいましょうか、要旨も手に入れるようにしていただきたいと思います。 私の質問は十分の一も終わっていないのでありますが、もう時間が参りました。ただ、ここで一つ申し上げておきたいのは、このロッキード問題の嘱託尋問の問題に関連いたしまして、新聞の報ずるところによれば中曽根康弘氏は、私が潔白であることは衆議院のロッキード委員会においてすでに明らかにされたことである、こういうことをしゃべっておられる。これは大変な間違いでございまして、当委員会としては中曾根氏を証人として喚問いたしました。そしてお話を承りました。承りましたその結果は、むしろ疑いが濃くなった。疑いが濃くなったからこれはいま一度当委員会に来ていただかなければならぬということで、終わった後のロッキード委員会では野党の、私は全員であったと思いますが、あるいは間違いましたらこの点は訂正いたしますけれども、私ども野党の方で中曾根氏の再喚問を理事会で何回も何回も繰り返し要求した。与党の理事の抵抗を受けてこの問題はついに決定に至らずして今日に至っているというのが真相でございまして、それがさも中曾根喚問を一回やったことによって身の潔白をわれわれロッキード委員会が承認をしたかのごとき、こういうことに宣伝をされることは当委員会としてははなはだ迷惑至極でございまして、この点はひとつ速記録の中に明確に記載をしていただきたいと思うのであります。この点にも私は法務大臣の御意見を実は承りたいのです。承りたいのでございますけれども、もう時間が参りましたからこれは残念ながら聞いておるわけにいきません。最後の一問だけ駆け足で申し上げますが……。 当委員会の約束であるロッキード問題全般についての内閣としての最終報告をいつかやりたいということを、これは現法務大臣のあなたがこの委員会で去る三月一日、私の質問についてお答えになった。もはや数カ月を経過して、先ほど局長報告のとおり裁判も核心に触れて相当に進行しておると思われるのでありまするから、これはやはり内閣の姿勢を明らかにしてもらいたいと思うのでありまするけれども、その最終報告を検討されたという事実さえもわれわれは承っていない。単なる国会のその場限りの答弁で終わっているような、どうもそういうにおいが濃くてしようがないものでありますから、最終報告をやるためにその後どのような御協力をされておるのか、閣内でどんな議論が交わされておるのか、この点についてお伺いをしておきたいと思うのであります。 ○瀬戸山国務大臣 その件については、小林さん御承知のとおり過去二回に中間報告として報告いたしております。それは検察庁が知り得た全貌を報告いたしておるわけでございます。しかし、いま裁判の進行中でありまして、それによっていかなることがまた明らかになるか、今後の問題にかかっているところもありますし、それを見た上で、国会の求めもありますし、われわれとしては、この事件の真相といいますか、全貌を明らかにして、よって来るゆえんはどこにあるか、したがってどういうところを今後注意するというか改めなければならぬか、こういうところまで含めて検討しなければならないと思っておる。これは国会の皆さんにも相談をいたしながら進めたいと思っておりますが、まだその段階でない。決して放置しているわけではございません。 ○小林(進)委員 時間が来ました。残念ながら終わりますが、法務大臣、私どもは、このロッキード問題に関して、立法府の仕事はあくまでも政治的道義的責任を追及するというのがわれわれの委員会でございまして、私は、公判廷のように証拠書類を出して、この人が刑事被告人として有罪か無罪かという、そういう議論をここで繰り返しているのじゃないのであります。だから、私どもは、裁判とこの立法府のわれわれの仕事は厳然として変わっておるのでありますから、その点をお含みをいただきまして、しかし、立法府の要求に対しては、あなたがやはり最終結論を出すという答弁をされている以上は、われわれが追及している道義的責任の問題、児玉と政党との結びつき、そういう右翼暴力団と政治家との結びつき、政商と言われるそういう財界人と政治との結びつき、そうして一体日本の政治がそのためにどんなに濁されているか濁されていないか、そういう道義的政治的責任を私は早く政府に結論を出すようにお伺いしておるのであります。それを公判廷の刑事問題を盾にしていつまでたっても出ない出ないというようなことは、どうも私は言い逃れのように思えてならないのであります。その結果が一体どういうことになっておるのか。私どもは、ロッキード問題について、赤か黒か白か、彼が有罪か無罪か問うておるのじゃない。そんなことを問うておるのじゃないのです。これを契機にして、政治家も、政党も、財界も、右翼も、浪人も、みんなが姿勢を正して国民の負託にこたえるような、きれいな世の中にしたいということでわれわれやっているのであります。 話は少し飛躍しますけれども、最近は一体何ですか、自治省の政務次官、副大臣、自治省と警察というものは、捜査当局とは一体これは結びついているのでしょう。裏表でしょう。本来、ロッキード問題はおろか、右翼暴力団の問題等も真剣に姿勢を正してやらなければならぬ、その頂点にいる人たちが、右翼の巨頭と一緒に後援会をやって、そうして右翼の巨頭を数十人だか数人だかわかりませんけれども並べて、そういうことが公々然と行われている。しかも、警備協会とかなんとかというもののその右翼暴力団とその政治家が一緒に仲間に入って調停さした。調停のおみやげに一枚二万円もするようなそういうパーティー券を五百枚も買わして、何千人も集めてパーティーをやっている。こういう姿勢がまかり通る。一体これがいいのですか。こういうことも含めて、このロッキード問題を一つの契機にして、お互いがひとつ政治的道義的問題を明らかにして、そんなばかなことが起きないようにしようというのに、何ら形があらわれていないということは、いわゆる当面の政府みずからがわれわれのこの熱情を込めたロッキード問題に対する問題の焦点を皆ぼかしておられるからだ。こういうことをひとつ大いに、これは法務大臣、あなたにも言うのでありますけれども、閣僚の一員として、内閣の姿勢として私は十分に反省をしていただきたいと思うのであります。心から憤慨をいたしまして、私の質問を打ち切ることにいたします。 |
(私論.私見)