ロッキード議事録求開示訴訟 |
(最新見直し2006.1.9日)
【武藤訴訟】 |
2001年、ロッキード裁判の研究をしている社会福祉法人職員の武藤久資さん(東京都)が、ロッキード事件を廻る日米の司法当局間で、ロッキード事件に関する裁判官会議の議事録などを開示するよう最高裁に請求したが、開示されなかったため、これを違法として、国に130万円の損害賠償を求め提訴した。 この議事録とは、ロッキード事件捜査の際に、1976年、当時の検事総長と東京地検検事正が、ロッキード社元副会長らの嘱託尋問調書を米国から入手するため、元副会長の不起訴を確約する「不起訴宣明」(「検事総長の起訴しないという確約が将来にわたって順守されると宣明する」)を出し、最高裁もそれを確認する「宣明書」を出した。この時の「宣明書」を出すことを決めた最高裁の裁判官会議の議事録を指す。 武藤さんは、1・この「不起訴宣明」を決めた裁判官会議の議事録、2・最高裁職員が、米国の判事と交渉した際の記録などの開示を求めた。 これに対し、国側は、1の会議録について、「会議の意思決定はその後も続いており、不開示にできる」と主張し、争った。 最高裁議事録は、2001.4月に施行された情報公開法の対象外だが、同法施行に合わせ、司法行政文書の開示について事務取扱要綱を設けた。ただ、この要綱には不服申し立ての制度がなく、最高裁の決定の不当性を問題にするには提訴するしかないという制度上の欠陥が指摘されている。 2004.6.24日、「武藤訴訟」の判決が東京地裁であった。河村吉晃裁判長は、「当時、会議が非公開だったとしても、事後も議事録を非公開とするまでの理由は見あたらない。当時の審議過程が、現在も続いているとは考えられない」と述べ、不開示を違法と認めて6万円の支払いを国に命じた。情報公開をめぐり最高裁の不開示決定が違法とされたのは、初めて。一方、「その他の記録については、存在しない」として不開示にした最高裁の決定に違法はないと判断した。 武藤さんは判決後、「議事録の不開示を違法としたのは評価できるが、歴史的な重要文書が存在しないずさんさを、違法としなかったのは納得できない」と語り、上告した。 最高裁広報課は「判決文をよく読んだ上で対応を検討したい」とのコメントを出した。 |
2005.2.9日、「武藤訴訟」の控訴審判決が東京高裁であった。秋山寿延裁判長は、「自由に議論を行うために、議事録を開示しないこともやむを得ない」と述べ、非開示を違法として6万円の賠償を命じた1審・東京地裁判決を取り消し、請求を棄却する原告側逆転敗訴を言い渡した。武藤さんは上告する方針。 |
Re:れんだいこのカンテラ時評その16 | れんだいこ | 2005/02/10 |
【再びれんだいこの角栄論、ロッキード事件考】 背後事情が胡散臭いNHKの海老沢会長追い落としについては健筆振るう我がマスコミは、2005.2.9日の「武藤訴訟」の控訴審判決についてはダンマリしている。よほど触れたくないのだろうか。この訴訟をれんだいこ風に整理してみる。 2001年、ロッキード裁判の研究をしている社会福祉法人職員の武藤久資さん(東京都)が、ロッキード事件捜査過程で日米の司法当局が「取り決め」した際の裁判官会議の議事録などを開示するよう最高裁に請求した。が、開示されなかったため、これを違法として、国に130万円の損害賠償を求め提訴した。 この議事録とは、1976年、当時の検事総長と東京地検検事正が、ロッキード社元副会長らの嘱託尋問調書を米国から入手するため、元副会長の永遠の不起訴を確約する「不起訴宣明」(「検事総長の起訴しないという確約が将来にわたって順守されると宣明する」)を出し、最高裁もそれを確認する「宣明書」を出した。この時の「宣明書」を出すことを決めた最高裁の裁判官会議の議事録を指す。 この「不起訴宣明」のいかがわしさについて、れんだいこは、「田中角栄論」の「ロッキード事件考」の「嘱託尋問問題」中で解析した。角栄は、「なぜ見も知らぬ、コーチャンという男のために被告席に座らされ、何一つ抗弁を許されないまま、有罪判決を受けなければならなないのか」と憤懣を述べているが、実にそうであろう。不法にも違法にも反対尋問さえ許されずの云い得云い勝ち証言となった。この証言が振り回されていくことになり、角栄逮捕に繋がる。 ちなみに、角栄は、ロッキード事件について次のように述べている。「ロッキード事件というトラバサミにかけられた。足をとられた方が悪いのか、トラバサミを仕掛けた方が悪いのか、それは後世の学者が判断するもの。私は断じて何もしておりません」。 話を戻す。武藤さんは、1・「不起訴宣明」を決めた裁判官会議の議事録、2・最高裁職員が、米国の判事と交渉した際の記録などの開示を求めた。これに対し、国側は、1の会議録について、「会議の意思決定はその後も続いており、不開示にできる」と主張し、争った。 2001.4月、情報公開法が施行され、同法施行に合わせ、司法行政文書の開示について事務取扱要綱を設けた。但し、最高裁議事録は情報公開法の対象外ということのようである。なお、情報公開法の要綱には不服申し立ての制度がなく、最高裁の決定の不当性を問題にするには提訴するしかないという制度上の欠陥が指摘されている。 2004.6.24日、「武藤訴訟」の判決が東京地裁であった。河村吉晃裁判長は、「当時、会議が非公開だったとしても、事後も議事録を非公開とするまでの理由は見あたらない。当時の審議過程が、現在も続いているとは考えられない」と述べ、不開示を違法と認めて6万円の支払いを国に命じた。「情報公開をめぐり最高裁の不開示決定が違法とされたのは、初めて」。 一方、「その他の記録については、存在しない」として不開示にした最高裁の決定に違法はないと判断した。(れんだいこボソボソ)意味が分からない。 武藤さんは判決後、「議事録の不開示を違法としたのは評価できるが、歴史的な重要文書が存在しないずさんさを、違法としなかったのは納得できない」として上告した。 最高裁広報課は「判決文をよく読んだ上で対応を検討したい」とのコメントを出した。 2005.2.9日、「武藤訴訟」の控訴審判決が東京高裁であった。秋山寿延裁判長は、「自由に議論を行うために、議事録を開示しないこともやむを得ない」と述べ、非開示を違法として6万円の賠償を命じた1審・東京地裁判決を取り消し、請求を棄却する原告側逆転敗訴を言い渡した。 (れんだいこボソボソ)「自由に議論を行うために、議事録を開示しないこともやむを得ない」なる屁理屈が通るようでは世もお終いだろう。この判決文が問題にならないのなら、問題にしないほうの能力がそれ以下ということになる。 通常は、「自由に議論を行うために」は議事録を開示することが「避けられない、ないしはやむをえない」となるところを反対に、「開示しないこともやむを得ない」だと。この手合いの迷裁判長の類にかかると万事が逆さに表現される。よく勤まるなぁ。 まったく、「自衛隊員の活動するところがいつでもどこでも安全区域」、「人生いろいろ、私の場合は何でも許される」、「この程度の公約破りはたいしたことではない」詭弁と似ている。何回も復誦すると頭が壊れることれんだいこが請合う。 武藤さんは上告する方針。おぅおぅやってくれ。れんだいこも大いに関心がある。今や世にときめく「本田雅和記者」はどない思うておるんやろ。海老沢失脚に執念燃やすだけなんかいなぁ。こういうところに正義のペン振るわずに何してんやろ。こっちの方にはウマミがないちゅう訳か。 2005.2.10日 れんだいこ拝 |
(私論.私見)