お金系語録

 更新日/2020(平成31→5.1栄和元/栄和2).9.13日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、田中角栄の政策語録を採り上げる。今のところ順不同であるが、噛締めて味わいたい。下手にマルクス、レーニンに被れるよりよほど値打ちがあるのではないかと思っている。

 2010.04.30日 れんだいこ拝


【金権政治論】
 福田と総理を争ったときに、麓と早坂秘書に言った言葉。
 「政治に金がかかるのは事実だ。酢だ、コンニャクだと、理屈をこねても始まらない。池田や佐藤にしても、危ない橋を渡ってきた。きれいごとだけでは済まないんだ。必要な金は、俺が血のしょんべんを流しても、自分の才覚で作る。君達は俺の金を使い、仕事に活かしてくれれば、それで良い」。
 「池田、佐藤は京大、東大だ。財界の連中もだいたい、そうだ。みんな先輩、後輩、身内の仲間なんだ。俺は小学校出身だ。ひがみじゃないが、俺は彼等に頭を下げて、おめおめとカネを貰いに行く気はない」。

【角栄の金論、カネの貸し方使い方について】
 角栄は金の使い方について次のように指導している。
 「カネ(の効用)というのは人を動かす要因のワン・ノブ・ゼム(多くの中の一つ)に過ぎない」。
 「カネというものはチマチマ使うより、ここぞというときは一気に使え。その方が、効果は何倍も大きい」。(小林吉弥「田中角栄処世の奥義」211P)。
 概要「いいか。お前は絶対に『これをやるんだ』と云う態度を見せてはならん。お前がこれから会う相手は大半が善人だ。こういう連中が、一番つらい、切ない気持ちになるのは、他人から金を借りるときだ。それから、金を受け取る、もらうときだ。あくまで『もらっていただく』と、姿勢を低くして渡せ。世の中、人はカネの世話になることが何よりつらい。相手の気持ちを汲んでやれ。そこが分かってこそ一人前だ」(早坂茂三、「駕籠に乗る人・担ぐ人-自民党裏面史に学ぶ』、一九八八年、祥伝社刊)。
 「田中派時代、派内の若手の議員が女の不始末の清算で、今日中にどうしても100万円が必要ということになった。その議員は田中のもとに電話をかけ、100万円の借金を申し込んだ。話半分まで聞いていた田中は「わかった」と一言。30分もすると、田中事務所の秘書が紙袋を届けにきた。その議員が開けてみると、本人が申し込んだ額よりも多いなんと300万円の現金が入っていた。そして田中の筆による一枚のメモが入っていた。一、まず100万円でけりをつけろ。二、次の100万円でお前の不始末で苦労したまわりの人たちに、うまいものでも食わせてやれ。三、次の100万円は万一の場合のために持っておけ。四、以上の300万円の全額、返済は無用である」。
 オヤジさんに会いたいとやって来る田中派若手議員などは、二人で向かい合った瞬間に何の用で来たのか、話が本題に入る前の二言、三言の中で、即、オヤジさんに見抜かれた。資金支援の要請に対して、『云わんでええ』と刺して、黙って相応のカネを渡していた。オヤジさんは言っていた。部下が何を言いに来たかが分からんようで、派閥の親分が務まるワケがない。カネの援助の申し出は誰だって恥ずかしい。それを相手に全部いわせるようではダメだ。物事を察してやれなければ、部下が付いてくることはない。
 概要「人がカネの無心をする時の心境にはとてもつらいものがある。100万円の金策を頼まれた時、この話を受けるのなら黙って300万円渡せ。「1ツ100万で借金を返せ、2ッ100万で家族や従業員にうまいものを食わせよ、3ッ100万は貯金しておけ、以上返却は一切無用」とのメモを入れておけ。こうされれば、相手は傷つかず、恩を一生忘れまい。この気配りと心遣いが肝要だ」。
 「人はカネの世話になることが何より辛い。相手の気持ちを汲んでやれ。そこが分かって一人前。カネは受け取る方がどれだけ心に負担となっているか。多言されたらどれだけ恥ずかしいか、その辺が分からんでカネが切れるかだ。人に金を渡すときは頭を下げて渡せ。くれてやるといった態度を見せてはならん。そういう気持ちが少しでもあれば、その金は死に金になる
 (2016.2.2日付日刊ゲンダイの田中京「父、角栄をおもえば」参照)。
 「約束したら、必ず果たせ。できない約束はするな。 ヘビの生殺しはするな。借りた金は忘れるな。 貸した金は忘れろ」。

 「人に貸した金のことは忘れろ。人から借りた金のことは覚えておけと、お袋から云われた。それを人生訓にしている」(戸川猪佐武「田中角栄猛語録」)。
 「父は政治は数だ、とはいってましたが、数は金だと申したことは一度もありません」(田中真紀子)。
 「遠くの親類よりも近くの他人が大切だ。自分だけが金持ちになっても、近所隣が貧乏では、結局、やっていけない。裕福になってもらうことだ。そのためには金を持っている奴が金を出して、まわりを助けてあげなくてはならない。みんながよくなれば、自分もまた、よくなる」。

【官僚への寸志の渡し方について】
 「(役人に寸志を渡すとき、相手が断ろうとすると)こんなことで影響を受けたりしないだろう? お前たちは日本最高のエリートだ。この程度で俺に配慮するはずないだろう? 俺も見返りなど要求はしない 俺の気持ちだ受け取ってくれ。君にやるんじゃないんだ。君が部下を慰労する時にな」。

【運転手への寸志の渡し方について】
 「(旅先で先方が用意した車の運転手への寸志の渡し方で)駄目だ。俺やSPが見ている。心づけは他人にわからないように渡してこそ好意が生きる。カネが生きる。目的地に着けば、SPが下り運転手が俺のドアを開ける。最後に君が車から降りる。運転手がドアを閉める。運転手はドアのとってを握ったままだ。その瞬間の車の下り際に運転手の手に下からチップを滑り込ませろ。そうすれば誰にも見えない。そこは死角だ。出迎えの連中は俺が目当てだ。誰も君を見ていない。わかったね」。




(私論.私見)