悪評系、俗流角栄論の系譜考

 更新日/2021(平成31.5.1栄和元/栄和3).8.22日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 本サイトで、田中角栄を悪し様に評論して時局に迎合する俗流評論家の系譜を浮き彫りにする。角栄が、ネオ・シオニストに葬られたとするなら、その角栄を悪し様に評論する者はネオ・シオニストに迎合して生業(なりわい)しているとの仮説が成り立とう。この連中を一括整理して世に張り出しておこうと思う。れんだいこ見立てに拠れば、いずれもシオニスタンである。

 2006.10.14日 れんだいこ拝


【岸首相の侮蔑評価】
 三浦康之氏の「頂きに立て!田中角栄とニクソン」に次のような興味深い記述がある。岸信介のインタビュー発言のようである。
 曰く、概要「僕をして云わせれば、田中は幹事長としては第一人者かも知れない。しかし総理として、つまり日本の顔として世界に押し出すとなれば、あの行動を含めて、やはり教養が足りない。柄が悪いね。総理という事になると、人間的な教養というものが必要だ」。

 これに対して、三浦氏は次のように批判している。
 「だがそれは、旧制高校でデカンショ節、つまり、デカルト・カント・ショーペンハウエルを聞きかじった経験を欠く、という程度の優越感が言わせているに過ぎない。田中角栄の発想には、フランス啓蒙思想からアメリカ民主主義につらなる発想のスジが通っている。それは、ドイツの民族共同体主義やイギリス個人主義とは、又違った系列の思想である。だからといって、ドイツ哲学にかぶれていた旧制高校生の生噛りのレベルで、田中角栄に教養が無いと決め付けるのは、見当違いであさはかだ。ショーペンハウエルやニーチェなどのドイツ哲学は、ある意味で、ナチズムへの破滅の道を舗装したではないか、と私は言い返したい」。

【立花隆・氏の角栄評について】
 立花隆・氏の立論については、重責なので別途「諸氏百家の角栄評考その6、田中角栄諸悪元凶論理考」で考察する。立花その人に就いては、「現代マスコミ論」の「立花隆の研究」で検証する。この御仁に拝跪したマスコミも非難の謗りを免れまい。というか、同じ鼻薬かかされている同じ穴のムジナ同盟ということになる。

【猪瀬直樹氏の角栄評について】
 猪瀬直樹氏は、著書「死者達のロッキード事件」の中で次のように角栄を評している。
 「角栄の議員活動の当初は次から次へと議員立法を手がけることから始まった。住宅、道路法がその手始めになったが、その時期を共に苦労した当時の建設省道路局道路庶務課長・浅村廉(後の公庫住宅融資保障協会理事長)はこう語っている。
 「法案としては、こちらでつくって内閣法制局のチェックを受けた段階で、田中さんに頼んだんです。なにしろ理解が早く行動力があった。議員立法をやる先生は大変です。議員提案をやって質問に全部受け答えしなければならない。しかし、田中さんならやってくれるだろう、と頼む方も心強いものがありました」。
(私論.私見) 猪瀬直樹の角栄評
 猪瀬直樹氏の「死者達のロッキード事件」の中でのこの下りの一文はその通りである。しかし、猪木は、同書の中で、数々の変死発生につき角栄サイドが仕掛けた可能性を臭わしている。その観点は無茶苦茶である。こういう人物が道路公団民営化審議委員になるとろくでもない結論しかださないだろう。

 2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

【田原総一朗氏の角栄評について】
 田原総一朗氏は、「諸君」2001.9月号の論文「使える男・角栄誕生」の中で次のように角栄を評している。
 「田中さんは敗戦による民主主義の申し子のような政治家で、民主主義、敗戦後の混乱が無ければ、生まれなかった」。
(私論.私見) 田原総一朗の角栄評
 田原のこの下りでの角栄評は良い。しかし、この御仁は、あちこちで角栄を好評しているかと思えば別のところで落とし込めており、つまりいつでも処世二刀流であることが判明する。

 2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

【藤原弘達のM(Might)=4М説(権力方程式)に基づく角栄評について】
 
majority 多数(政権党の要件)
money  金(多数を維持するための必要不可欠、金集めが出来ない政治家は派閥ボスになれない)
machiavellism 権謀術数(目的のための全能力駆使)
mass communication マスコミ(世論に対する強大影響力)

 「私はこの方程式を考案してからは、総理大臣が代わるたびに、この式をあてはめてみた。そして田中角栄が総理大臣になった時に、彼にこの式をあてはめてみて、4つのmの全てがあまりにもぴったりとはまることに、思わず身震いを覚えたほどである」、「4つのmともに欠落していたのが、三木であろう。同じmでも、三木のはマイノリティ(少数)の方である」、「日本のインテリジェンスというものは、本格派のマキャベリストになれない観念的自慰性が強い」、「本格派の政治家というのは、あるときには自分は殺されてもいいから、一定の目的達成のためには何でもやるというのが、政治を職業的使命とするマキャべリストの真骨頂である」(「角栄、もうええかげんにせんかい」)。
(私論.私見) 藤原弘達氏の角栄評について
 この御仁も、本来なら角栄を高く評価すべきところ、心がどこかで捩じれているのだろう、反角栄で世間受けを狙った。ロッキード事件の渦中で、三木首相のご意見番として加担していたことが史実に刻まれている。

 2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

【伊藤昌哉の毒舌「日本一の談合屋」】
 角栄の盟友大平正芳のブレーンの一人であった伊藤昌哉は、「日本一の談合屋」と言い切った。
(私論.私見) れんだいこの伊藤昌哉評
 伊藤は死ぬ最後まで角栄―大平連合の政治史的意味を理解し得なかった。その行状と言説は俗物の極みであった。

 2005.6.7日再編集 れんだいこ拝

五十嵐仁・氏の「角栄諸悪元凶論」を批判する】
 法政大学教授にして大原社会問題研究所専任研究員・副所長の五十嵐仁・氏は「転成仁語」なるサイトを持ち、「津本陽『異形の将軍-田中角栄の生涯(上・下)』幻冬舎、2002年、を読んで 」をサイトアップしている。これを論評する。逐一してもよいが、それほどの値打ちも無いので、要点箇所のみ検討する。

 五十嵐氏は、8歳年上の子連れであった坂本ハナとの結婚に対し概略次のように述べている。
 「田中にとっては坂本組の工事実績や財産目当ての一種の政略結婚ではなかったのかという疑いがあります」。
 「状況証拠からすれば政略結婚説はかなり有力なように思われるのですが、何故か、津本さんは全く問題にしていません」。
(私論.私見)
 五十嵐よ、お前がそう読むのは勝手だが、それはお前らしい見立てであって、人の世の合縁奇縁の機微を見て取る者もいることを忘れるな。仮に、角栄がその後ハナを用済みとして手荒く扱ったというならお前の弁も説得力を持つが、二人の間には終生信頼関係が成り立っており、連れ子に対しても大事に育てており、それを思えば為にする批判でしかなかろうに。この種のことに安易に容喙するお前の薄っぺらな人格が透けて見えてくるだけのことである。

 2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

 五十嵐氏は、戦後のどさくさを角栄が機敏に対処し、朝鮮から無事帰還したことに不審を見出そうとして概略次のように述べている。
 
 
 「何故、このような特別待遇が可能だったのでしょうか。どのような方法を講じて、角栄は日本に帰ってきたのでしょうか。このような疑問についても、津本さんは何も答えていません。田中は関係者に金をばらまいて便宜を図ってもらったのではないでしょうか。関係者にお金を渡して便宜を図ってもらったと考えるのが合理的でしょう」。
(私論.私見)
 五十嵐よ、ここはそう目くじらするところではない。才覚と多少の運もあって無事帰還したことを確認すれば良い。それとも何か、お前は、敗戦後の極限の混乱期の中に於いても人は道徳的に生きねばならぬという信仰にでも被れているのか。お前が同じ立場に置かれたときに、お前ならどうするかだ。語ってみたまえ。

 2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

 五十嵐氏は、軍の委託を受けた理研の朝鮮工場建設受注と前受け工事代金のされ方にも疑問を投げかけ概略次のように述べている。
 「何故、このような『おいしい仕事』が田中のところに舞い込んできたのか、何故、実際の建設に着手する前に多額のお金を手に入れることができたのかは、謎のまま残されているように思われます」。
(私論.私見)
 五十嵐よ、ここもそう目くじらするところではない。才覚で工事を受注し、巨額の支度金を手にしたことを確認すれば良かろう。事情はあったであろうが不正というほどのものでもなかろう。

 2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

 五十嵐氏は、戦後の進歩党結党時に、角栄の資金が流れていたことを批判的に見ようとして概略次のように述べている。
 「今日の自民党は、この自由党と進歩党、それに中道的な性格を持っていた国民協同党という、戦争直後に結成された三つの政党をルーツにしています。そのうちの二つ、自由党と進歩党の結成直後の活動資金には、それぞれ、児玉と田中の提供したお金が流れ込んでいたということになります。いずれも、本来なら国民に返還されるべき資産が、敗戦のどさくさに紛れて横領されたものでした。自由党のみならず、進歩党もまた、『黒い政治資金』によって立ち上がった政党だったということになります。これもまた、自由民主党のルーツにおける『原罪』の一つであったと言うべきでしょうか」。
(私論.私見)

 五十嵐よ、ここもそう目くじらするところではない。思わせぶりに「黒い政治資金」と述べ、児玉の資金が自由党に流れていたことと並列に扱っているが、金額からしても質からしても違うだろうに。「本来なら国民に返還されるべき資産が、敗戦のどさくさに紛れて横領されたものでした」と云うが、粗雑過ぎやしないか。なお、「自由民主党のルーツにおける原罪」を云うのなら、他の政党の場合にはどうなんだ。お前の云うが如く理想的な政党があるのなら挙げてみたまえ。それから聞かせてくれ。

 2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

 五十嵐氏は、「柏崎の原発予定地売却代金4億円の授受」と「金大中事件の手打ちのための資金授受」問題を取り上げ、概略次のように述べている。
 「この「疑惑」については本人の証言があり、ほぼ全額が田中角栄に渡ったことが明らかにされています。この証言は、現代2002年5月号に掲載されました。その記事には、『田中角栄の元側近 36年目の衝撃証言』というタイトルが付けられ、『私は原発用地売却代金4億円を目白に運んだ』という見出しも付いています。リードは『刈羽郡越山会の元会長・木村博保氏が明かす総裁選資金に消えた闇ガネ』というものです」
 「これは金大中事件の秘密の示談金として4億円が田中に渡ったというもので、韓国からきた李という密使の仲介役を引き受けて案内したのが木村博保氏でした。これについても、詳しくは『私は見た田中角栄4億円受け取りの現場』(文藝春秋2001年2月号)をご覧下さい。この4億円の授受があってから約2週間後の73年10月27日、金鐘泌首相が日本を訪問して田中首相に謝罪し、それを日本側が受け入れて『政治決着』が図られます。指紋を残した金東雲の個人的犯行として金は免職になりますが、真相は明らかにされず、犯人の引き渡しや原状回復は行われませんでした。田中首相が韓国からの密使を通じて4億円を受け取り、『立件をすべて放棄』することに同意してしまったからです。

 これは、賄賂を受け取って日本国の主権を売り渡したことを意味しています。一国の最高権力者として許されざる犯罪であり、『売国奴』と非難されても仕方ないでしょう」。
(私論.私見)
 五十嵐よ、ここは目くじらしても良いところだが、憶測情報で断定してはいけない。反証に耳を貸さないままに決め付ける論法は、お前の知性の貧困さを物語るだけのことである。

 2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

 五十嵐氏は、ロッキード事件に言及し、謀略説に対し概略次のように述べている。
 「このように、『ロッキード事件は、角栄を失脚させるために、アメリカが仕組んだ謀略である』という謀略説は、何の説得力もない荒唐無稽なものです。このような説が繰り返し現れてくるのは、何が何でも『田中は悪くない』『ロッキード裁判は無罪である』と言いたいがためでしょう。なお、中曽根元首相がこの説を唱えるのは、ロッキード事件への自らの関与をカモフラージュするためであると思われます。『アメリカやメジャーによって田中だけが狙われた』ということにすれば、自らは関係なかったということになりますから云々」。
(私論.私見)
 五十嵐のこの観点は銘記されねばならない。いずれ大恥を晒すことになろう。れんだいこが返歌すれば次のように云うことが出来る。「このように、『ロッキード事件は、角栄を失脚させるために、アメリカが仕組んだ謀略である』という謀略説は、相当に説得力があると云えます。このような説が繰り返し現れてくるのは、根拠が有るからです。なお、中曽根元首相がこの説を唱えるたのは、角栄失脚を見届け後であり、ロッキード事件への自らの関与をカモフラージュするためであると思われます。中曽根という人物の胡散臭さを見て取るのがもう一つのロッキード事件でせう」。
 
2006.10.14日再編集 れんだいこ拝

 五十嵐氏は、「戦後エスタブリッシュメントにおける『異星人』」の項で概略次のように述べている。
 「小泉さんまで戦後の首相は27人いますが、そのうち、大学卒あるいは中退でないのは、田中角栄ただ一人です。田中は中央工学校という各種学校を出ていますが、正規の学歴で言えば高等小学校卒にすぎません。高等学校すら出ていないということになります」。
 「つまり、戦前から続く日本のエスタブリッシュメントに外から入り込んだ唯一の“異分子”が田中角栄だったということになるわけです。そのために、田中は独特の武器を駆使して大変な無理をしました。その武器が『人垂らし』と言われたような人格的魅力や人心収攬術、金脈による集金力と金配り、驚異的な記憶力、政策への理解力や政策形成能力でした。このような武器や能力によって、田中は戦後最短で権力の頂点に上りつめましたが、同時に、その無理がたたって転落するのも急激でした。そして田中は、ロッキード事件に連座して逮捕され、首相在任時代の罪を問われて一審・二審で有罪になります。首相経験者で逮捕されたのは、芦田均と田中の二人だけですが、芦田は後に無罪になっていますから、首相経験者として有罪になったのは、ただ一人、田中角栄だけです」。
(私論.私見)
 五十嵐のこの観点は銘記されねばならない。いずれ大恥を晒すことになろう。それにしても、五十嵐の俗物性、体制派性が如実に表れている。「大原社会問題研究所専任研究員・副所長」の地位にあるとのことであるが、大原社会問題研究所の程度とお里が知れるというものだろう。これも一種のシオニスタンであり、我々は、こういうレベルの角栄観と早く決別せねばならない。
 
2006.10.14日再編集 れんだいこ拝


「田中角栄」の裏に埋もれた戦後最高の総理大臣とは/倉山満

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「田中角栄」の裏に埋もれた戦後最高の総理大臣とは/倉山満

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