演説要領

 更新日/2020(平成31→5.1栄和元/栄和2).9.13日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、田中角栄の「演説要領語録」を採り上げる。今のところ順不同であるが、噛締めて味わいたい。

 2017.4.10日 れんだいこ拝


【話し方の基本について】
  話し方の基本、について次のように述べている。
 「相手の目を見て、大きな声でキチンとしゃべろ。目をろくに見ず、風呂の中で屁をするような低い話し方はダメだ」。
 「話をする際には、まず結論を言え。理由は三つに限定だ。世の中、三つほどの理由を挙げれば、大方の説明はつく」。
 この角栄流は手紙、電話でも同様で、前置きのない率直、簡潔、事務的を旨としていた。
お申し越しの件、調査の結果、解決策は次の三案しかありません。
この三案の利害得失は左の通リとなります。いずれを選ぶかは貴殿の自由であります。
何月何日までに、本件に関してのご返答を煩わせたい。
 フランスの哲学者にして数学者のデカルトの言葉「よく考えられたことは、極めて明晰な表現を取る」とハアモ二-している。

【陳情時のイエス、ノ―考】
 判断を保留するな。即断、即決を旨とせよ
 人間とは不思議なもんだ。頼み事をし、なまじ『もしかしたら』の期待感を持たせられた後、結果がダメとなると、その落胆は初めにノ―と断られた以上に倍加する。むしろ初めからノ―と云われた方が、いったんは『あの野郎っ』と思っても、後腐れとしては残らないものだ。その後、いろいろ手を尽してもダメなことが分かると、一番初めにはっきりノ―を出した者に、むしろ親近感めいたものを覚えることになる。ノ―で逆に信用、信頼感が高まることもあるということだ。ピシり断る技術もしっておいて損はない。

【政治家の演説の際の心構え。真の雄弁とは】
 政治家の演説の際の心構について次のように述べている。
 「いいか、演説というのはな、原稿を読むようなものでは駄目だ。聴衆は、初めから終わりまで集中して聞いていない。きっちりとした起承転結の話をしても、駄目なんだ。話があっちへいつたり、こっちに行ったりしてもいい。聴衆の顔を見て、関心のありそうな話をしろ。30分か1時間の演説の中で、何か一つ印象に残るような話をもって帰ってもらえばいいんだ」。
 「演説、スピーチでの真の雄弁とは、今日この話を聞けてあぁ良かった、と思わせることだ。聞き手との一体感をどう醸すかがポイントになる」。
 「私の演説、スピーチは田舎のじいさんばあさん、学生、会社の経営者など、誰が聞いても分かるわようにできている。何百人いても、その一人ひとりと対話できる『一体感』が成立しているから、皆なあぁ今日は良い話しを聞けて良かった、となるんだ。真の雄弁ということじゃないかな」。
 意訳概要「ウソはつくな。すぐばれる。わかったようなことを言うな。気の利いたことを言うな。借り物は一発で見抜かれ後が続かなくなる。何より、稚拙でもいいから自分の言葉でしゃべることだ。若い君が本当に思っていること、自分自身が体得したことを、自分なりの言葉で話せば良い。借り物でない自分の言葉で全力で話せ。そうすれば、初めて人が聞く耳を持ってくれる。相手の心に響く。百姓を侮ってはいけない。小理屈で人間は動かないことを知れ」。
 (小林吉弥「田中角栄処世の奥義」82P)。
 「世の中には他人様の噂話、伝聞をいつもポケットに入れ、それを放出することで一日の生活が回っているアホがいる。自分の言葉がないのは寂しいことである」。
 「ワシの演説を、皆、楽しんで聞いてくれるが、じつは話に信頼感があるからだ。ここでの信頼とは何か。数字をキチンと示すことにある。数字と統計、これに優る説得力はないということだ」。
 「交渉事のやり取りやスピ-チに、多くの数字と歴史にまつわる話を入れろ。説得力が増す」。






(私論.私見)