Beatrice Mott(ベアトリス・モット)が3月20付で発表した論文を3月23日付のブログにヘンリー・メイコウ氏が一部引用している。メイコウ氏はそのタイトルを、「Patriot Historian Raises Questions About Eustace Mullins :愛国者である歴史家はユースタス・マリンズに疑問を呈する」とつけた。(http://www.henrymakow.com/ezra_pound.html) しかし彼女の付けたタイトルは、「This Difficult Individual Eustace Mullins — and the Remarkable Ezra Pound:この理解困難な個性、ユースタス・マリンズ — そして、注目すべきエズラ・パウンド」である。ベアトリス・モットがどのような愛国者であり歴史家なのか知らないが、メイコウ氏が引用しなかった彼女の論文の部分は、フィリップ・ワイス(訳註:NYオブザーバー紙の記者)の論文(『シオニズムに対する親ユダヤ主義の脅威』)から引用する。彼女モットさんの研究課題である作業仮説として、ユダヤ人問題がある。
Philosemitism’s threat to Zionism by Philip Weiss (英文)
「イスラエルは、本当にユダヤ部族の砦です。ワイスは、シオニズムの動機がヨーロッパにおける反ユダヤ主義であったと主張します。しかし、実際、もっとも大きな動機は、特に人種的なシオン主義者であり、人種的な純度を保持することで、彼らは成功しました」[初出引用]、「にもかかわらず、ワイスと同様の信条の多くをもつ自由主義ユダヤ人は、アメリカ内の左翼の主流に陣取って、白人による人種中心主義の感覚をまんまと病理化させました。そう、白人だけ。私が確信的ワイスの弁護団と同じように白人種中心主義を否定されることを拒否するのを、許容して下さい。我々が他の傲慢な民族中心主義者によって支配されるままである世界で生き残ることになっているならば、我々が白人種中心主義の健全さが必要でしょう」[初出引用]。
ワイス記者の論文に触れた個所が半分くらい書かれてやっとマリンズ氏の内容となる。メイコウ氏はここから自分のブログに引用した。しかし、彼女がマリンズ氏を友人と言いながらも初めて会ったのは、2006年と書いてある。彼女がタイトルに引用したのは、マリンズ氏の1961年の著作をもじったものだ。1961年は、マリンズ氏38才くらい。マリンズ氏は1946年から1959年にかけて、聖エリザベス精神病院(ワシントンD.C.)に監禁されていたエズラ・パウンドを訪ねている。原題は「This Difficult Individual Ezra Pound」というマリンズ氏がおよそ50年も前に書いたものである。Ezra Poundのところをマリンズの名にかえた。当然、マリンズ氏の晩年にやっとめぐり合えたモットさんは、エズラ・パウンドには会ったことはないだろう。それなのに、エズラ・パウンドを非の打ちどころないくらいほめて、マリンズ氏のことは、「マリンズ氏の仕事が国家主義のコミュニティで最も有名なものであるかたわら、最悪の研究がいくつかある。彼は、彼の著書のなかで参照として発見した資料は、しばしば失敗した。マリンズ氏が歴史の傾向として非常に明敏であったと同時に、彼の洞察は時々片寄った声明によっておおわれていた」[初出引用] と言い放つ。米国議会図書館にあるはずの資料が見つからなかった、という理由をあげるが、マリンズ氏の時代と彼女の時代と50年もの差がある。現代と当時が同様の管理社会であるはずもない。
管理社会といえば、オーウェルの「1984」にそのやり方が書いてある。そのひとつ、間違いを見つけ次第、オールドスピーチをニュースピーチに変えるとあるじゃないか。「彼自身の著作の参照に無気力にならざるを得ないのは、マリンズ氏は他人が書くことにとても明敏で批判的でありました。かつて、ジョージ・オーウェルが果敢に1984を書くことに対しどれくらいの敬意をもつか、話しました — 彼は、画然と返答しました。『それは、政府支持派による宣伝のすばらしい作品だ — 連中は、最終的に勝つ』、マリンズ氏は、もちろん正しいです。オーウェルの独裁者(ビックブラザー)は、常に1歩リードしていて、全知者です。 — 故に、無敵でしょう」[初出引用]。
彼女がオーウェルに敬意を持っているのかどうかしらないが、今まで、オーウェルの現わした近未来管理社会は、現在進行中、または完成に近づいていて無敵のように思われてきた。マリンズ氏の時代まではそうだったかもしれない。「ユースタス・マリンズは、非常に作家以上のことをしました。彼は政治活動家になって、アメリカ国家主義運動の中で多くの著名な人々の友となりました。しかし、マリンズ氏には、アメリカ国家主義の中でそれほど信頼がなかったのは、その活動のせいです。政府は決してどこへでもいかせてはくれないだろう、と私に話しました」[引用]。
彼女の論文はここで終っている。そして、彼女が何を言いたいのかよく解らないのは、このような活動をする人はたいがい孤独になる。そのために、本当の愛国者で以て、国のために尽そうとする人は同じ活動をしているつもりでも意見の相違、理解の程度の差で苦しむ。エズラ・パウンドの研究である連邦準備銀行の悪行を追求し、次の時代につなげたのはマリンズ氏のおかげである。後世の研究者は、さらなる、時代の変化と状況に対処すべき方向に目を向けるべきだ。デーヴィッド・アイクも妨害を受けるその一人で、先日も新刊発表に合わせ、いちゃもんがついた。しかし、最新のニューズレターでこのようなことを言っている。「我々は新しい時代の最先端の真只中だ。人類が体得しうる新しい時代と古いものの断末魔の苦しみを現在目撃している。見たところ大部分の研究者は、これらの断末魔の苦しみが止められないオーウェル的支配であると間違えていた。しかし、表面下の隠れた領域では、まったく異なった『ゲーム』で実は疲れ果てている」(2010年3月28日付、THE TRUTH VIBRATIONS .)。 少なくとも、デーヴィッド・アイクのような考えを持つ人間が現れたということは、時代の変化を意識すべき時に来た。そうそう、メイコウ氏が、なぜ彼女の論文を引用したのか結局わからなかった。しかも、4月2日現在、彼女の論文は題名どおりのものに整理されている。
初出記事全文(3月24日時点):http://michaelsantomauro.blogspot.com/2010/03/this-difficult-individual-eustace.html
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[参照]
「衝撃のユダヤ5000年の秘密―ユダヤはなぜ文明に寄生し破壊させたか?」
ユースタス・マリンズ著、太田龍解説、日本文芸社、1995年
※日本で最初に出版されたマリンズ氏の翻訳本。解説でマリンズ氏の紹介とエズラ・パウンドについての記述がある。
[追記]
先日、紹介したアイクの「フリーメーソンの証拠写真」はあっけなく終了したことが続報で報告されている。
「デーヴィッド・アイクがフリーメーソンだと言う写真はどのように偽造されたか 」
(ニセ)アイクの後ろにいる巨人はゴジラと言われたが、そんなこといったらゴジラに悪いぞ。ゴジラの方がずっとカワイイ。
【翻訳:タドン】