非ユダヤ人との闘争に於て、これを征服せんとする策謀に、高利貸業を適用するについてのこの教義は、勿論今日のユダヤの尨大なる富を把握する基礎となっているが、これがまた中世期時代から現代に至るまで、彼らの上に多くの危難と災厄とを誘起したのである。世界各国に手をのばしているユダヤ人の高利貸業は、最も正確なる表示をもって立証されなかったら、到底信じ得られない程の莫大な規模に達した時代もあった。
ヤンセン著「独逸(ドイツ)宗教改革史」の中に、「ユダヤ人に年利13%以上を取ることを禁じたドイツ国会の法律案がある。それによると、もしこの高利を一カ月または一週間の利率として許可したならば、ユダヤ人は年利300~600%に上る数字が現われる。現代に於てかかる空想的とも云うべき法外な高利は、ロシヤ、ルーマニヤ、ポーランド領オーストリヤのユダヤ人がこれを実行している」と、一例を挙げている。タルムードのバーバ・メジヤ章に於て、高利を取って金を貸すことの必要が呶々(どーどー)力説されているが、ユダヤ人の各家庭に於ても、「金銭に親子兄弟なし、金の入用来たした場合は、利息を取って互に貸借することをも注意している。それは高利貸業なるものが、如何に殖産の速やかにして大きくなるものかを、幼少の時からその妙味と秘訣とを修得さすためである」(バーバ・メジヤ章)。また「ユダヤ人は、喪中七日間は自分の家より出るべからず。しかし非ユダヤ人に金を貸す場合が起らば、喪を解きて外出するも一向に差支えなし」ともいっている。
スペイン王フィリップス二世がユダヤ人を全部圏外に追放して、全国をユダヤ禍より救わんとした時、当時の大蔵大臣であったユダヤの有名なるアブラワネルはタルムードに次の「我らが高利貸しを業として、金を貸すに許可を得ている他国人とは、敢えてキリスト教徒をのみ意味するものではない。何となれば、彼らは我らの天の父の眼前に他国人とは認められぬからである」との新しい解釈を追補して、国王に了解を求むべく哀願したが、この偽善的運動が成功しなかったので、遂に追放され、ベニスに身を隠した。その後彼の著マスクマ・ジェスクナに於て、「高利貸業に関する律法の適用せられる諸国民の中より、キリスト教徒を除外したのは、全くタルムードの嘘偽(きょぎ)の解釈で、これを意識的になしたのである。それはユダヤ人がスペインに於て安静なる生活を与え得られるものと予想したからである。しかし真の心はユダヤ会堂の教義の伝統的解釈を是認しているのである」と、言明している。これによって見ても如何にユダヤの賢人、学者らがタルムードによって許可せられたる偽善を利用していたものであるかが伺われる。すべての非ユダヤ人との闘争の方法として、高利貸業を力説すると同時に、これと並行してタルムードは、なお詐欺、瞞着(まんちゃく)、強窃盗、横奪等々の敢行を示唆している。のみならず、もしゴイが或る物品又は財布を損失したら、これを見つけたユダヤ人は当然これを横領せねばならぬ。これに関してサンヘドリンに、「ゴイが失った物を返すことを禁ず。失った物をゴイに返す者は神の慈恵に浴するを得ない」とある。これを教師のランは、マイモンドに裏書きして、「ゴイに失った物を返すなどは不量見の極みである。それはゴイをイスラエル民と同時に扱うことになるが故の罪である」、「不信者―ゴイ―にその失った物を返すは重罪を犯す者なり。何となればこれによって、それだけ不信者―ゴイ―が力を増大するからである」。
また教師エルホムはこれを補足して、「もしゴイが、ユダヤ人に金を貸したことを立証する証書を所持していたが、その証書を失った時、これを見つけたユダヤ人は早速それを火中に投ずべし。何となればイスラエル民なるその兄弟の債務が、証書がユダヤ人に発見された刹那、消滅したからである。しかしこの証書を見つけたユダヤ人がそれにも拘らず、これをゴイに返そうとするならば、彼に向って『もし汝は神の名を讃美しようと欲するならば、汝に属する所の物をもって之を為せ』と言って、彼の為す所を防げねばならぬ」、「汝はゴイに貸すことあるも、借りることなし。汝は諸国民を治めるもゴイは汝を治めることなし」。
この勧告はタルムードの道徳上の見解と全く符合している。何となればゴイは財産を所有する権利をもたない。地上に於ける一切の物件はユダヤ人にのみ属しているからである。ゴイから金を借りたユダヤ人は、自分に属している物を取り上げたに過ぎない。ゴイの物はユダヤ人のものにして、ゴイの物は何もないのである。然るにゴイが貸した金を返せと迫るのは不法である。もしゴイから借りた物を返させることに支援する者があれば、その者はユダヤ人の所有物を盗むと同じである。ユダヤ教の教義によれば、ユダヤ人は如何なる債務も負っていないからである。故に借用証を見つけた者が、ゴイの請求する返金を正当と認めたる者は、自らその証書の金額を支払わねばならぬ。
これが教師エルハムの言であるが、タルムードの観点から見るときは正しいのである。このラウウィンの解釈こそは、ユダヤ人の借金に対する見解に一道の光明を与えるもので、ユダヤ人の機業家や銀行家等が、株式を濫発(らんぱつ)して、有利なる非ユダヤ人の事業を掠奪行為によって収得するのも、実はみなこのタルムードの教義によるものである。