9章 |
GEN25:11 | アブラハムが死んだ後、神は息子のイサクを祝福された。イサクは、ベエル・ラハイ・ロイの近くに住んだ。 | |
GEN25:12 | サラの女奴隷であったエジプト人ハガルが、アブラハムとの間に産んだ息子イシュマエルの系図は次のとおりである。 | |
GEN25:13 | イシュマエルの息子たちの名前は、生まれた順に挙げれば、長男がネバヨト、次はケダル、アドベエル、ミブサム、 | |
GEN25:14 | ミシュマ、ドマ、マサ、 | |
GEN25:15 | ハダド、テマ、エトル、ナフィシュ、ケデマである。 | |
GEN25:16 | 以上がイシュマエルの息子たちで、村落や宿営地に従って付けられた名前である。彼らはそれぞれの部族の十二人の首長であった。 | |
GEN25:17 | イシュマエルの生涯は百三十七年であった。彼は息を引き取り、死んで先祖の列に加えられた。 | |
GEN25:18 | イシュマエルの子孫は、エジプトに近いシュルに接したハビラからアシュル方面に向かう道筋に沿って宿営し、互いに敵対しつつ生活していた。 |
GEN25:19 | アブラハムの息子イサクの系図は次のとおりである。アブラハムにはイサクが生まれた。 | |
GEN25:20 | イサクは、リベカと結婚したとき四十歳であった。リベカは、パダン・アラムのアラム人ベトエルの娘で、アラム人ラバンの妹であった。 | |
GEN25:21 | イサクは、妻に子供ができなかったので、妻のために主に祈った。その祈りは主に聞き入れられ、妻リベカは身ごもった。 | |
GEN25:22 | ところが、胎内で子供たちが押し合うので、リベカは、「これでは、わたしはどうなるのでしょう」と言って、主の御心を尋ねるために出かけた。 | |
GEN25:23 | 主は彼女に言われた。 「二つの国民があなたの胎内に宿っており 二つの民があなたの腹の内で分かれ争っている。 一つの民が他の民より強くなり 兄が弟に仕えるようになる。」 | |
GEN25:24 | 月が満ちて出産の時が来ると、胎内にはまさしく双子がいた。 | |
GEN25:25 | 先に出てきた子は赤くて、全身が毛皮の衣のようであったので、エサウと名付けた。 | |
GEN25:26 | その後で弟が出てきたが、その手がエサウのかかと(アケブ)をつかんでいたので、ヤコブと名付けた。リベカが二人を産んだとき、イサクは六十歳であった。 | |
GEN25:27 | 二人の子供は成長して、エサウは巧みな狩人で野の人となったが、ヤコブは穏やかな人で天幕の周りで働くのを常とした。 | |
GEN25:28 | イサクはエサウを愛した。狩りの獲物が好物だったからである。しかし、リベカはヤコブを愛した。 | |
GEN25:29 | ある日のこと、ヤコブが煮物をしていると、エサウが疲れきって野原から帰って来た。 | |
GEN25:30 | エサウはヤコブに言った。 「お願いだ、その赤いもの(アドム)、そこの赤いものを食べさせてほしい。わたしは疲れきっているんだ。」彼が名をエドムとも呼ばれたのはこのためである。 | |
GEN25:31 | ヤコブは言った。 「まず、お兄さんの長子の権利を譲ってください。」 | |
GEN25:32 | 「ああ、もう死にそうだ。長子の権利などどうでもよい」とエサウが答えると、 | |
GEN25:33 | ヤコブは言った。 「では、今すぐ誓ってください。」エサウは誓い、長子の権利をヤコブに譲ってしまった。 | |
GEN25:34 | ヤコブはエサウにパンとレンズ豆の煮物を与えた。エサウは飲み食いしたあげく立ち、去って行った。こうしてエサウは、長子の権利を軽んじた。 |
第27章 | ||
GEN27:01 | イサクは年をとり、目がかすんで見えなくなってきた。そこで上の息子のエサウを呼び寄せて、「息子よ」と言った。エサウが、「はい」と答えると、 | |
GEN27:02 | イサクは言った。 「こんなに年をとったので、わたしはいつ死ぬか分からない。 | |
GEN27:03 | 今すぐに、弓と矢筒など、狩りの道具を持って野に行き、獲物を取って来て、 | |
GEN27:04 | わたしの好きなおいしい料理を作り、ここへ持って来てほしい。死ぬ前にそれを食べて、わたし自身の祝福をお前に与えたい。」 | |
GEN27:05 | リベカは、イサクが息子のエサウに話しているのを聞いていた。エサウが獲物を取りに野に行くと、 | |
GEN27:06 | リベカは息子のヤコブに言った。 「今、お父さんが兄さんのエサウにこう言っているのを耳にしました。 | |
GEN27:07 | 『獲物を取って来て、あのおいしい料理を作ってほしい。わたしは死ぬ前にそれを食べて、主の御前でお前を祝福したい』と。 | |
GEN27:08 | わたしの子よ。今、わたしが言うことをよく聞いてそのとおりにしなさい。 | |
GEN27:09 | 家畜の群れのところへ行って、よく肥えた子山羊を二匹取って来なさい。わたしが、それでお父さんの好きなおいしい料理を作りますから、 | |
GEN27:10 | それをお父さんのところへ持って行きなさい。お父さんは召し上がって、亡くなる前にお前を祝福してくださるでしょう。」 | |
GEN27:11 | しかし、ヤコブは母リベカに言った。 「でも、エサウ兄さんはとても毛深いのに、わたしの肌は滑らかです。 | |
GEN27:12 | お父さんがわたしに触れば、だましているのが分かります。そうしたら、わたしは祝福どころか、反対に呪いを受けてしまいます。」 | |
GEN27:13 | 母は言った。 「わたしの子よ。そのときにはお母さんがその呪いを引き受けます。ただ、わたしの言うとおりに、行って取って来なさい。」 | |
GEN27:14 | ヤコブは取りに行き、母のところに持って来たので、母は父の好きなおいしい料理を作った。 | |
GEN27:15 | リベカは、家にしまっておいた上の息子エサウの晴れ着を取り出して、下の息子ヤコブに着せ、 | |
GEN27:16 | 子山羊の毛皮を彼の腕や滑らかな首に巻きつけて、 | |
GEN27:17 | 自分が作ったおいしい料理とパンを息子ヤコブに渡した。 | |
GEN27:18 | ヤコブは、父のもとへ行き、「わたしのお父さん」と呼びかけた。父が、「ここにいる。わたしの子よ。誰だ、お前は」と尋ねると、 | |
GEN27:19 | ヤコブは言った。「長男のエサウです。お父さんの言われたとおりにしてきました。さあ、どうぞ起きて、座ってわたしの獲物を召し上がり、お父さん自身の祝福をわたしに与えてください。」 | |
GEN27:20 | 「わたしの子よ、どうしてまた、こんなに早くしとめられたのか」と、イサクが息子に尋ねると、ヤコブは答えた。「あなたの神、主がわたしのために計らってくださったからです。」 | |
GEN27:21 | イサクはヤコブに言った。「近寄りなさい。わたしの子に触って、本当にお前が息子のエサウかどうか、確かめたい。」 | |
GEN27:22 | ヤコブが父イサクに近寄ると、イサクは彼に触りながら言った。「声はヤコブの声だが、腕はエサウの腕だ。」 | |
GEN27:23 | イサクは、ヤコブの腕が兄エサウの腕のように毛深くなっていたので、見破ることができなかった。そこで、彼は祝福しようとして、 | |
GEN27:24 | 言った。「お前は本当にわたしの子エサウなのだな。」ヤコブは、「もちろんです」と答えた。 | |
GEN27:25 | イサクは言った。「では、お前の獲物をここへ持って来なさい。それを食べて、わたし自身の祝福をお前に与えよう。」ヤコブが料理を差し出すと、イサクは食べ、ぶどう酒をつぐと、それを飲んだ。 | |
GEN27:26 | それから、父イサクは彼に言った。「わたしの子よ、近寄ってわたしに口づけをしなさい。」 | |
GEN27:27 | ヤコブが近寄って口づけをすると、イサクは、ヤコブの着物の匂いをかいで、祝福して言った。 「ああ、わたしの子の香りは 主が祝福された野の香りのようだ。 | |
GEN27:28 | どうか、神が 天の露と地の産み出す豊かなもの 穀物とぶどう酒を お前に与えてくださるように。 | |
GEN27:29 | 多くの民がお前に仕え 多くの国民がお前にひれ伏す。 お前は兄弟たちの主人となり 母の子らもお前にひれ伏す。 お前を呪う者は呪われ お前を祝福する者は 祝福されるように。」 | |
GEN27:30 | イサクがヤコブを祝福し終えて、ヤコブが父イサクの前から立ち去るとすぐ、兄エサウが狩りから帰って来た。 | |
GEN27:31 | 彼もおいしい料理を作り、父のところへ持って来て言った。「わたしのお父さん。起きて、息子の獲物を食べてください。そして、あなた自身の祝福をわたしに与えてください。」 | |
GEN27:32 | 父イサクが、「お前は誰なのか」と聞くと、「わたしです。あなたの息子、長男のエサウです」と答えが返ってきた。 | |
GEN27:33 | イサクは激しく体を震わせて言った。「では、あれは、一体誰だったのだ。さっき獲物を取ってわたしのところに持って来たのは。実は、お前が来る前にわたしはみんな食べて、彼を祝福してしまった。だから、彼が祝福されたものになっている。」 | |
GEN27:34 | エサウはこの父の言葉を聞くと、悲痛な叫びをあげて激しく泣き、父に向かって言った。「わたしのお父さん。わたしも、このわたしも祝福してください。」 | |
GEN27:35 | イサクは言った。「お前の弟が来て策略を使い、お前の祝福を奪ってしまった。」 | |
GEN27:36 | エサウは叫んだ。 「彼をヤコブとは、よくも名付けたものだ。これで二度も、わたしの足を引っ張り(アーカブ)欺いた。あのときはわたしの長子の権利を奪い、今度はわたしの祝福を奪ってしまった。」エサウは続けて言った。「お父さんは、わたしのために祝福を残しておいてくれなかったのですか。」 | |
GEN27:37 | イサクはエサウに答えた。「既にわたしは、彼をお前の主人とし、親族をすべて彼の僕とし、穀物もぶどう酒も彼のものにしてしまった。わたしの子よ。今となっては、お前のために何をしてやれようか。」 | |
GEN27:38 | エサウは父に叫んだ。 「わたしのお父さん。祝福はたった一つしかないのですか。わたしも、このわたしも祝福してください、わたしのお父さん。」エサウは声をあげて泣いた。 | |
GEN27:39 | 父イサクは言った。 「ああ 地の産み出す豊かなものから遠く離れた所 この後お前はそこに住む 天の露からも遠く隔てられて。 | |
GEN27:40 | お前は剣に頼って生きていく。 しかしお前は弟に仕える。 いつの日にかお前は反抗を企て 自分の首から軛を振り落とす。」 | |
GEN27:41 | エサウは、父がヤコブを祝福したことを根に持って、ヤコブを憎むようになった。そして、心の中で言った。「父の喪の日も遠くない。そのときがきたら、必ず弟のヤコブを殺してやる。」 | |
GEN27:42 | ところが、上の息子エサウのこの言葉が母リベカの耳に入った。彼女は人をやって、下の息子のヤコブを呼び寄せて言った。「大変です。エサウ兄さんがお前を殺して恨みを晴らそうとしています。 | |
GEN27:43 | わたしの子よ。今、わたしの言うことをよく聞き、急いでハランに、わたしの兄ラバンの所へ逃げて行きなさい。 | |
GEN27:44 | そして、お兄さんの怒りが治まるまで、しばらく伯父さんの所に置いてもらいなさい。 | |
GEN27:45 | そのうちに、お兄さんの憤りも治まり、お前のしたことを忘れてくれるだろうから、そのときには人をやってお前を呼び戻します。一日のうちにお前たち二人を失うことなど、どうしてできましょう。」 | |
GEN27:46 | リベカはイサクに言った。「わたしは、ヘト人の娘たちのことで、生きているのが嫌になりました。もしヤコブまでも、この土地の娘の中からあんなヘト人の娘をめとったら、わたしは生きているかいがありません。」 |
第28章 | ||
GEN28:01 | イサクはヤコブを呼び寄せて祝福して、命じた。 「お前はカナンの娘の中から妻を迎えてはいけない。 | |
GEN28:02 | ここをたって、パダン・アラムのベトエルおじいさんの家に行き、そこでラバン伯父さんの娘の中から結婚相手を見つけなさい。 | |
GEN28:03 | どうか、全能の神がお前を祝福して繁栄させ、お前を増やして多くの民の群れとしてくださるように。 | |
GEN28:04 | どうか、アブラハムの祝福がお前とその子孫に及び、神がアブラハムに与えられた土地、お前が寄留しているこの土地を受け継ぐことができるように。」 | |
GEN28:05 | ヤコブはイサクに送り出されて、パダン・アラムのラバンの所へ旅立った。ラバンはアラム人ベトエルの息子で、ヤコブとエサウの母リベカの兄であった。 | |
GEN28:06 | エサウは、イサクがヤコブを祝福し、パダン・アラムへ送り出し、そこから妻を迎えさせようとしたこと、しかも彼を祝福したとき、「カナンの娘の中から妻を迎えてはいけない」と命じたこと、 | |
GEN28:07 | そして、ヤコブが父と母の命令に従ってパダン・アラムへ旅立ったことなどを知った。 | |
GEN28:08 | エサウは、カナンの娘たちが父イサクの気に入らないことを知って、 | |
GEN28:09 | イシュマエルのところへ行き、既にいる妻のほかにもう一人、アブラハムの息子イシュマエルの娘で、ネバヨトの妹に当たるマハラトを妻とした。 | |
GEN28:10 | ヤコブはベエル・シェバを立ってハランへ向かった。 | |
GEN28:11 | とある場所に来たとき、日が沈んだので、そこで一夜を過ごすことにした。ヤコブはその場所にあった石を一つ取って枕にして、その場所に横たわった。 | |
GEN28:12 | すると、彼は夢を見た。先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、しかも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりしていた。 | |
GEN28:13 | 見よ、主が傍らに立って言われた。 「わたしは、あなたの父祖アブラハムの神、イサクの神、主である。あなたが今横たわっているこの土地を、あなたとあなたの子孫に与える。 | |
GEN28:14 | あなたの子孫は大地の砂粒のように多くなり、西へ、東へ、北へ、南へと広がっていくであろう。地上の氏族はすべて、あなたとあなたの子孫によって祝福に入る。 | |
GEN28:15 | 見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」 | |
GEN28:16 | ヤコブは眠りから覚めて言った。 「まことに主がこの場所におられるのに、わたしは知らなかった。」 | |
GEN28:17 | そして、恐れおののいて言った。 「ここは、なんと畏れ多い場所だろう。これはまさしく神の家である。そうだ、ここは天の門だ。」 | |
GEN28:18 | ヤコブは次の朝早く起きて、枕にしていた石を取り、それを記念碑として立て、先端に油を注いで、 | |
GEN28:19 | その場所をベテル(神の家)と名付けた。ちなみに、その町の名はかつてルズと呼ばれていた。 | |
GEN28:20 | ヤコブはまた、誓願を立てて言った。 「神がわたしと共におられ、わたしが歩むこの旅路を守り、食べ物、着る物を与え、 | |
GEN28:21 | 無事に父の家に帰らせてくださり、主がわたしの神となられるなら、 | |
GEN28:22 | わたしが記念碑として立てたこの石を神の家とし、すべて、あなたがわたしに与えられるものの十分の一をささげます。」 |
第29章 | ||
GEN29:01 | ヤコブは旅を続けて、東方の人々の土地へ行った。 | |
GEN29:02 | ふと見ると、野原に井戸があり、そのそばに羊が三つの群れになって伏していた。その井戸から羊の群れに、水を飲ませることになっていたからである。ところが、井戸の口の上には大きな石が載せてあった。 | |
GEN29:03 | まず羊の群れを全部そこに集め、石を井戸の口から転がして羊の群れに水を飲ませ、また石を元の所に戻しておくことになっていた。 | |
GEN29:04 | ヤコブはそこにいた人たちに尋ねた。「皆さんはどちらの方ですか。」「わたしたちはハランの者です」と答えたので、 | |
GEN29:05 | ヤコブは尋ねた。「では、ナホルの息子のラバンを知っていますか。」「ええ、知っています」と彼らが答えたので、 | |
GEN29:06 | ヤコブは更に尋ねた。「元気でしょうか。」「元気です。もうすぐ、娘のラケルも羊の群れを連れてやって来ます」と彼らは答えた。 | |
GEN29:07 | ヤコブは言った。「まだこんなに日は高いし、家畜を集める時でもない。羊に水を飲ませて、もう一度草を食べさせに行ったらどうですか。」 | |
GEN29:08 | すると、彼らは答えた。「そうはできないのです。羊の群れを全部ここに集め、あの石を井戸の口から転がして羊に水を飲ませるのですから。」 | |
GEN29:09 | ヤコブが彼らと話しているうちに、ラケルが父の羊の群れを連れてやって来た。彼女も羊を飼っていたからである。 | |
GEN29:10 | ヤコブは、伯父ラバンの娘ラケルと伯父ラバンの羊の群れを見るとすぐに、井戸の口へ近寄り石を転がして、伯父ラバンの羊に水を飲ませた。 | |
GEN29:11 | ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。 | |
GEN29:12 | ヤコブはやがて、ラケルに、自分が彼女の父の甥に当たり、リベカの息子であることを打ち明けた。ラケルは走って行って、父に知らせた。 | |
GEN29:13 | ラバンは、妹の息子ヤコブの事を聞くと、走って迎えに行き、ヤコブを抱き締め口づけした。それから、ヤコブを自分の家に案内した。ヤコブがラバンに事の次第をすべて話すと、 | |
GEN29:14 | ラバンは彼に言った。「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ。」 ヤコブがラバンのもとにひと月ほど滞在したある日、 | |
GEN29:15 | ラバンはヤコブに言った。「お前は身内の者だからといって、ただで働くことはない。どんな報酬が欲しいか言ってみなさい。」 | |
GEN29:16 | ところで、ラバンには二人の娘があり、姉の方はレア、妹の方はラケルといった。 | |
GEN29:17 | レアは優しい目をしていたが、ラケルは顔も美しく、容姿も優れていた。 | |
GEN29:18 | ヤコブはラケルを愛していたので、「下の娘のラケルをくださるなら、わたしは七年間あなたの所で働きます」と言った。 | |
GEN29:19 | ラバンは答えた。「あの娘をほかの人に嫁がせるより、お前に嫁がせる方が良い。わたしの所にいなさい。」 | |
GEN29:20 | ヤコブはラケルのために七年間働いたが、彼女を愛していたので、それはほんの数日のように思われた。 | |
GEN29:21 | ヤコブはラバンに言った。 「約束の年月が満ちましたから、わたしのいいなずけと一緒にならせてください。」 | |
GEN29:22 | ラバンは土地の人たちを皆集め祝宴を開き、 | |
GEN29:23 | 夜になると、娘のレアをヤコブのもとに連れて行ったので、ヤコブは彼女のところに入った。 | |
GEN29:24 | ラバンはまた、女奴隷ジルパを娘レアに召し使いとして付けてやった。 | |
GEN29:25 | ところが、朝になってみると、それはレアであった。ヤコブがラバンに、「どうしてこんなことをなさったのですか。わたしがあなたのもとで働いたのは、ラケルのためではありませんか。なぜ、わたしをだましたのですか」と言うと、 | |
GEN29:26 | ラバンは答えた。「我々の所では、妹を姉より先に嫁がせることはしないのだ。 | |
GEN29:27 | とにかく、この一週間の婚礼の祝いを済ませなさい。そうすれば、妹の方もお前に嫁がせよう。だがもう七年間、うちで働いてもらわねばならない。」 | |
GEN29:28 | ヤコブが、言われたとおり一週間の婚礼の祝いを済ませると、ラバンは下の娘のラケルもヤコブに妻として与えた。 | |
GEN29:29 | ラバンはまた、女奴隷ビルハを娘ラケルに召し使いとして付けてやった。 | |
GEN29:30 | こうして、ヤコブはラケルをめとった。ヤコブはレアよりもラケルを愛した。そして、更にもう七年ラバンのもとで働いた。 | |
GEN29:31 | 主は、レアが疎んじられているのを見て彼女の胎を開かれたが、ラケルには子供ができなかった。 | |
GEN29:32 | レアは身ごもって男の子を産み、ルベンと名付けた。それは、彼女が、「主はわたしの苦しみを顧みて(ラア)くださった。これからは夫もわたしを愛してくれるにちがいない」と言ったからである。 | |
GEN29:33 | レアはまた身ごもって男の子を産み、「主はわたしが疎んじられていることを耳にされ(シャマ)、またこの子をも授けてくださった」と言って、シメオンと名付けた。 | |
GEN29:34 | レアはまた身ごもって男の子を産み、「これからはきっと、夫はわたしに結び付いて(ラベ)くれるだろう。夫のために三人も男の子を産んだのだから」と言った。そこで、その子をレビと名付けた。 | |
GEN29:35 | レアはまた身ごもって男の子を産み、「今度こそ主をほめたたえ(ヤダ)よう」と言った。そこで、その子をユダと名付けた。しばらく、彼女は子を産まなくなった。 |
第30章 | ||
GEN30:01 | ラケルは、ヤコブとの間に子供ができないことが分かると、姉をねたむようになり、ヤコブに向かって、「わたしにもぜひ子供を与えてください。与えてくださらなければ、わたしは死にます」と言った。 | |
GEN30:02 | ヤコブは激しく怒って、言った。「わたしが神に代われると言うのか。お前の胎に子供を宿らせないのは神御自身なのだ。」 | |
GEN30:03 | ラケルは、「わたしの召し使いのビルハがいます。彼女のところに入ってください。彼女が子供を産み、わたしがその子を膝の上に迎えれば、彼女によってわたしも子供を持つことができます」と言った。 | |
GEN30:04 | ラケルはヤコブに召し使いビルハを側女として与えたので、ヤコブは彼女のところに入った。 | |
GEN30:05 | やがて、ビルハは身ごもってヤコブとの間に男の子を産んだ。 | |
GEN30:06 | そのときラケルは、「わたしの訴えを神は正しくお裁き(ディン)になり、わたしの願いを聞き入れ男の子を与えてくださった」と言った。そこで、彼女はその子をダンと名付けた。 | |
GEN30:07 | ラケルの召し使いビルハはまた身ごもって、ヤコブとの間に二人目の男の子を産んだ。 | |
GEN30:08 | そのときラケルは、「姉と死に物狂いの争いをして(ニフタル)、ついに勝った」と言って、その名をナフタリと名付けた。 | |
GEN30:09 | レアも自分に子供ができなくなったのを知ると、自分の召し使いジルパをヤコブに側女として与えたので、 | |
GEN30:10 | レアの召し使いジルパはヤコブとの間に男の子を産んだ。 | |
GEN30:11 | そのときレアは、「なんと幸運な(ガド)」と言って、その子をガドと名付けた。 | |
GEN30:12 | レアの召し使いジルパはヤコブとの間に二人目の男の子を産んだ。 | |
GEN30:13 | そのときレアは、「なんと幸せなこと(アシェル)か。娘たちはわたしを幸せ者と言うにちがいない」と言って、その子をアシェルと名付けた。 | |
GEN30:14 | 小麦の刈り入れのころ、ルベンは野原で恋なすびを見つけ、母レアのところへ持って来た。ラケルがレアに、「あなたの子供が取って来た恋なすびをわたしに分けてください」と言うと、 | |
GEN30:15 | レアは言った。「あなたは、わたしの夫を取っただけでは気が済まず、わたしの息子の恋なすびまで取ろうとするのですか。」「それでは、あなたの子供の恋なすびの代わりに、今夜あの人があなたと床を共にするようにしましょう」とラケルは答えた。 | |
GEN30:16 | 夕方になり、ヤコブが野原から帰って来ると、レアは出迎えて言った。「あなたはわたしのところに来なければなりません。わたしは、息子の恋なすびであなたを雇ったのですから。」その夜、ヤコブはレアと寝た。 | |
GEN30:17 | 神がレアの願いを聞き入れられたので、レアは身ごもってヤコブとの間に五人目の男の子を産んだ。 | |
GEN30:18 | そのときレアは、「わたしが召し使いを夫に与えたので、神はその報酬(サカル)をくださった」と言って、その子をイサカルと名付けた。 | |
GEN30:19 | レアはまた身ごもって、ヤコブとの間に六人目の男の子を産んだ。 | |
GEN30:20 | そのときレアは、「神がすばらしい贈り物をわたしにくださった。今度こそ、夫はわたしを尊敬してくれる(ザバル)でしょう。夫のために六人も男の子を産んだのだから」と言って、その子をゼブルンと名付けた。 | |
GEN30:21 | その後、レアは女の子を産み、その子をディナと名付けた。 | |
GEN30:22 | しかし、神はラケルも御心に留め、彼女の願いを聞き入れその胎を開かれたので、 | |
GEN30:23 | ラケルは身ごもって男の子を産んだ。そのときラケルは、「神がわたしの恥をすすいでくださった」と言った。 | |
GEN30:24 | 彼女は、「主がわたしにもう一人男の子を加えてくださいますように(ヨセフ)」と願っていたので、その子をヨセフと名付けた。 | |
GEN30:25 | ラケルがヨセフを産んだころ、ヤコブはラバンに言った。「わたしを独り立ちさせて、生まれ故郷へ帰らせてください。 | |
GEN30:26 | わたしは今まで、妻を得るためにあなたのところで働いてきたのですから、妻子と共に帰らせてください。あなたのために、わたしがどんなに尽くしてきたか、よくご存じのはずです。」 | |
GEN30:27 | 「もし、お前さえ良ければ、もっといてほしいのだが。実は占いで、わたしはお前のお陰で、主から祝福をいただいていることが分かったのだ」とラバンは言い、 | |
GEN30:28 | 更に続けて、「お前の望む報酬をはっきり言いなさい。必ず支払うから」と言った。 | |
GEN30:29 | ヤコブは言った。「わたしがどんなにあなたのために尽くし、家畜の世話をしてきたかよくご存じのはずです。 | |
GEN30:30 | わたしが来るまではわずかだった家畜が、今ではこんなに多くなっています。わたしが来てからは、主があなたを祝福しておられます。しかし今のままでは、いつになったらわたしは自分の家を持つことができるでしょうか。」 | |
GEN30:31 | 「何をお前に支払えばよいのか」とラバンが尋ねると、ヤコブは答えた。「何もくださるには及びません。ただこういう条件なら、もう一度あなたの群れを飼い、世話をいたしましょう。 | |
GEN30:32 | 今日、わたしはあなたの群れを全部見回って、その中から、ぶちとまだらの羊をすべてと羊の中で黒みがかったものをすべて、それからまだらとぶちの山羊を取り出しておきますから、それをわたしの報酬にしてください。 | |
GEN30:33 | 明日、あなたが来てわたしの報酬をよく調べれば、わたしの正しいことは証明されるでしょう。山羊の中にぶちとまだらでないものや、羊の中に黒みがかっていないものがあったら、わたしが盗んだものと見なして結構です。」 | |
GEN30:34 | ラバンは言った。「よろしい。お前の言うとおりにしよう。」 | |
GEN30:35 | ところが、その日、ラバンは縞やまだらの雄山羊とぶちやまだらの雌山羊全部、つまり白いところが混じっているもの全部とそれに黒みがかった羊をみな取り出して自分の息子たちの手に渡し、 | |
GEN30:36 | ヤコブがラバンの残りの群れを飼っている間に、自分とヤコブとの間に歩いて三日かかるほどの距離をおいた。 | |
GEN30:37 | ヤコブは、ポプラとアーモンドとプラタナスの木の若枝を取って来て、皮をはぎ、枝に白い木肌の縞を作り、 | |
GEN30:38 | 家畜の群れがやって来たときに群れの目につくように、皮をはいだ枝を家畜の水飲み場の水槽の中に入れた。そして、家畜の群れが水を飲みにやって来たとき、さかりがつくようにしたので、 | |
GEN30:39 | 家畜の群れは、その枝の前で交尾して縞やぶちやまだらのものを産んだ。 | |
GEN30:40 | また、ヤコブは羊を二手に分けて、一方の群れをラバンの群れの中の縞のものと全体が黒みがかったものとに向かわせた。彼は、自分の群れだけにはそうしたが、ラバンの群れにはそうしなかった。 | |
GEN30:41 | また、丈夫な羊が交尾する時期になると、ヤコブは皮をはいだ枝をいつも水ぶねの中に入れて群れの前に置き、枝のそばで交尾させたが、 | |
GEN30:42 | 弱い羊のときには枝を置かなかった。そこで、弱いのはラバンのものとなり、丈夫なのはヤコブのものとなった。 | |
GEN30:43 | こうして、ヤコブはますます豊かになり、多くの家畜や男女の奴隷、それにらくだやろばなどを持つようになった。 |
第31章 | ||
GEN31:01 | ヤコブは、ラバンの息子たちが、「ヤコブは我々の父のものを全部奪ってしまった。父のものをごまかして、あの富を築き上げたのだ」と言っているのを耳にした。 | |
GEN31:02 | また、ラバンの態度を見ると、確かに以前とは変わっていた。 | |
GEN31:03 | 主はヤコブに言われた。 「あなたは、あなたの故郷である先祖の土地に帰りなさい。わたしはあなたと共にいる。」 | |
GEN31:04 | ヤコブは人をやって、ラケルとレアを家畜の群れがいる野原に呼び寄せて、 | |
GEN31:05 | 言った。「最近、気づいたのだが、あなたたちのお父さんは、わたしに対して以前とは態度が変わった。しかし、わたしの父の神は、ずっとわたしと共にいてくださった。 | |
GEN31:06 | あなたたちも知っているように、わたしは全力を尽くしてあなたたちのお父さんのもとで働いてきたのに、 | |
GEN31:07 | わたしをだまして、わたしの報酬を十回も変えた。しかし、神はわたしに害を加えることをお許しにならなかった。 | |
GEN31:08 | お父さんが、『ぶちのものがお前の報酬だ』と言えば、群れはみなぶちのものを産むし、『縞のものがお前の報酬だ』と言えば、群れはみな縞のものを産んだ。 | |
GEN31:09 | 神はあなたたちのお父さんの家畜を取り上げて、わたしにお与えになったのだ。 | |
GEN31:10 | 群れの発情期のころのことだが、夢の中でわたしが目を上げて見ると、雌山羊の群れとつがっている雄山羊は縞とぶちとまだらのものばかりだった。 | |
GEN31:11 | そのとき、夢の中で神の御使いが、『ヤコブよ』と言われたので、『はい』と答えると、 | |
GEN31:12 | こう言われた。『目を上げて見なさい。雌山羊の群れとつがっている雄山羊はみな、縞とぶちとまだらのものだけだ。ラバンのあなたに対する仕打ちは、すべてわたしには分かっている。 | |
GEN31:13 | わたしはベテルの神である。かつてあなたは、そこに記念碑を立てて油を注ぎ、わたしに誓願を立てたではないか。さあ、今すぐこの土地を出て、あなたの故郷に帰りなさい。』」 | |
GEN31:14 | ラケルとレアはヤコブに答えた。「父の家に、わたしたちへの嗣業の割り当て分がまだあるでしょうか。 | |
GEN31:15 | わたしたちはもう、父にとって他人と同じではありませんか。父はわたしたちを売って、しかもそのお金を使い果たしてしまったのです。 | |
GEN31:16 | 神様が父から取り上げられた財産は、確かに全部わたしたちと子供たちのものです。ですから、どうか今すぐ、神様があなたに告げられたとおりになさってください。」 | |
GEN31:17 | ヤコブは直ちに、子供たちと妻たちをらくだに乗せ、 | |
GEN31:18 | パダン・アラムで得たすべての財産である家畜を駆り立てて、父イサクのいるカナン地方へ向かって出発した。 | |
GEN31:19 | そのとき、ラバンは羊の毛を刈りに出かけていたので、ラケルは父の家の守り神の像を盗んだ。 | |
GEN31:20 | ヤコブもアラム人ラバンを欺いて、自分が逃げ去ることを悟られないようにした。 | |
GEN31:21 | ヤコブはこうして、すべての財産を持って逃げ出し、川を渡りギレアドの山地へ向かった。 | |
GEN31:22 | ヤコブが逃げたことがラバンに知れたのは、三日目であった。 | |
GEN31:23 | ラバンは一族を率いて、七日の道のりを追いかけて行き、ギレアドの山地でヤコブに追いついたが、 | |
GEN31:24 | その夜夢の中で神は、アラム人ラバンのもとに来て言われた。「ヤコブを一切非難せぬよう、よく心に留めておきなさい。」 | |
GEN31:25 | ラバンがヤコブに追いついたとき、ヤコブは山の上に天幕を張っていたので、ラバンも一族と共にギレアドの山に天幕を張った。 | |
GEN31:26 | ラバンはヤコブに言った。「一体何ということをしたのか。わたしを欺き、しかも娘たちを戦争の捕虜のように駆り立てて行くとは。 | |
GEN31:27 | なぜ、こっそり逃げ出したりして、わたしをだましたのか。ひとこと言ってくれさえすれば、わたしは太鼓や竪琴で喜び歌って、送り出してやったものを。 | |
GEN31:28 | 孫や娘たちに別れの口づけもさせないとは愚かなことをしたものだ。 | |
GEN31:29 | わたしはお前たちをひどい目に遭わせることもできるが、夕べ、お前たちの父の神が、『ヤコブを一切非難せぬよう、よく心に留めておきなさい』とわたしにお告げになった。 | |
GEN31:30 | 父の家が恋しくて去るのなら、去ってもよい。しかし、なぜわたしの守り神を盗んだのか。」 | |
GEN31:31 | ヤコブはラバンに答えた。「わたしは、あなたが娘たちをわたしから奪い取るのではないかと思って恐れただけです。 | |
GEN31:32 | もし、あなたの守り神がだれかのところで見つかれば、その者を生かしてはおきません。我々一同の前で、わたしのところにあなたのものがあるかどうか調べて、取り戻してください。」ヤコブは、ラケルがそれを盗んでいたことを知らなかったのである。 | |
GEN31:33 | そこで、ラバンはヤコブの天幕に入り、更にレアの天幕や二人の召し使いの天幕にも入って捜してみたが、見つからなかった。ラバンがレアの天幕を出てラケルの天幕に入ると、 | |
GEN31:34 | ラケルは既に守り神の像を取って、らくだの鞍の下に入れ、その上に座っていたので、ラバンは天幕の中をくまなく調べたが見つけることはできなかった。 | |
GEN31:35 | ラケルは父に言った。「お父さん、どうか悪く思わないでください。わたしは今、月のものがあるので立てません。」ラバンはなおも捜したが、守り神の像を見つけることはできなかった。 | |
GEN31:36 | ヤコブは怒ってラバンを責め、言い返した。 「わたしに何の背反、何の罪があって、わたしの後を追って来られたのですか。 | |
GEN31:37 | あなたはわたしの物を一つ残らず調べられましたが、あなたの家の物が一つでも見つかりましたか。それをここに出して、わたしの一族とあなたの一族の前に置き、わたしたち二人の間を、皆に裁いてもらおうではありませんか。 | |
GEN31:38 | この二十年間というもの、わたしはあなたのもとにいましたが、あなたの雌羊や雌山羊が子を産み損ねたことはありません。わたしは、あなたの群れの雄羊を食べたこともありません。 | |
GEN31:39 | 野獣にかみ裂かれたものがあっても、あなたのところへ持って行かないで自分で償いました。昼であろうと夜であろうと、盗まれたものはみな弁償するようにあなたは要求しました。 | |
GEN31:40 | しかも、わたしはしばしば、昼は猛暑に夜は極寒に悩まされ、眠ることもできませんでした。 | |
GEN31:41 | この二十年間というもの、わたしはあなたの家で過ごしましたが、そのうち十四年はあなたの二人の娘のため、六年はあなたの家畜の群れのために働きました。しかも、あなたはわたしの報酬を十回も変えました。 | |
GEN31:42 | もし、わたしの父の神、アブラハムの神、イサクの畏れ敬う方がわたしの味方でなかったなら、あなたはきっと何も持たせずにわたしを追い出したことでしょう。神は、わたしの労苦と悩みを目に留められ、昨夜、あなたを諭されたのです。」 | |
GEN31:43 | ラバンは、ヤコブに答えた。「この娘たちはわたしの娘だ。この孫たちもわたしの孫だ。この家畜の群れもわたしの群れ、いや、お前の目の前にあるものはみなわたしのものだ。しかし、娘たちや娘たちが産んだ孫たちのために、もはや、手出しをしようとは思わない。 | |
GEN31:44 | さあ、これから、お前とわたしは契約を結ぼうではないか。そして、お前とわたしの間に何か証拠となるものを立てよう。」 | |
GEN31:45 | ヤコブは一つの石を取り、それを記念碑として立て、 | |
GEN31:46 | 一族の者に、「石を集めてきてくれ」と言った。彼らは石を取ってきて石塚を築き、その石塚の傍らで食事を共にした。 | |
GEN31:47 | ラバンはそれをエガル・サハドタと呼び、ヤコブはガルエドと呼んだ。 | |
GEN31:48 | ラバンはまた、「この石塚(ガル)は、今日からお前とわたしの間の証拠(エド)となる」とも言った。そこで、その名はガルエドと呼ばれるようになった。 | |
GEN31:49 | そこはまた、ミツパ(見張り所)とも呼ばれた。「我々が互いに離れているときも、主がお前とわたしの間を見張ってくださるように。 | |
GEN31:50 | もし、お前がわたしの娘たちを苦しめたり、わたしの娘たち以外にほかの女性をめとったりするなら、たとえ、ほかにだれもいなくても、神御自身がお前とわたしの証人であることを忘れるな」とラバンが言ったからである。 | |
GEN31:51 | ラバンは更に、ヤコブに言った。 「ここに石塚がある。またここに、わたしがお前との間に立てた記念碑がある。 | |
GEN31:52 | この石塚は証拠であり、記念碑は証人だ。敵意をもって、わたしがこの石塚を越えてお前の方に侵入したり、お前がこの石塚とこの記念碑を越えてわたしの方に侵入したりすることがないようにしよう。 | |
GEN31:53 | どうか、アブラハムの神とナホルの神、彼らの先祖の神が我々の間を正しく裁いてくださいますように。」 ヤコブも、父イサクの畏れ敬う方にかけて誓った。 | |
GEN31:54 | ヤコブは山の上でいけにえをささげ、一族を招いて食事を共にした。食事の後、彼らは山で一夜を過ごした。 |
第32章 | ||
GEN32:01 | 次の朝早く、ラバンは孫や娘たちに口づけして祝福を与え、そこを去って自分の家へ帰って行った。 | |
GEN32:02 | ヤコブが旅を続けていると、突然、神の御使いたちが現れた。 | |
GEN32:03 | ヤコブは彼らを見たとき、「ここは神の陣営だ」と言い、その場所をマハナイム(二組の陣営)と名付けた。 | |
GEN32:04 | ヤコブは、あらかじめ、セイル地方、すなわちエドムの野にいる兄エサウのもとに使いの者を遣わすことにし、 | |
GEN32:05 | お前たちはわたしの主人エサウにこう言いなさいと命じた。「あなたの僕ヤコブはこう申しております。わたしはラバンのもとに滞在し今日に至りましたが、 | |
GEN32:06 | 牛、ろば、羊、男女の奴隷を所有するようになりました。そこで、使いの者を御主人様のもとに送って御報告し、御機嫌をお伺いいたします。」 | |
GEN32:07 | 使いの者はヤコブのところに帰って来て、「兄上のエサウさまのところへ行って参りました。兄上様の方でも、あなたを迎えるため、四百人のお供を連れてこちらへおいでになる途中でございます」と報告した。 | |
GEN32:08 | ヤコブは非常に恐れ、思い悩んだ末、連れている人々を、羊、牛、らくだなどと共に二組に分けた。 | |
GEN32:09 | エサウがやって来て、一方の組に攻撃を仕掛けても、残りの組は助かると思ったのである。 | |
GEN32:10 | ヤコブは祈った。 「わたしの父アブラハムの神、わたしの父イサクの神、主よ、あなたはわたしにこう言われました。『あなたは生まれ故郷に帰りなさい。わたしはあなたに幸いを与える』と。 | |
GEN32:11 | わたしは、あなたが僕に示してくださったすべての慈しみとまことを受けるに足りない者です。かつてわたしは、一本の杖を頼りにこのヨルダン川を渡りましたが、今は二組の陣営を持つまでになりました。 | |
GEN32:12 | どうか、兄エサウの手から救ってください。わたしは兄が恐ろしいのです。兄は攻めて来て、わたしをはじめ母も子供も殺すかもしれません。 | |
GEN32:13 | あなたは、かつてこう言われました。『わたしは必ずあなたに幸いを与え、あなたの子孫を海辺の砂のように数えきれないほど多くする』と。」 | |
GEN32:14 | その夜、ヤコブはそこに野宿して、自分の持ち物の中から兄エサウへの贈り物を選んだ。 | |
GEN32:15 | それは、雌山羊二百匹、雄山羊二十匹、雌羊二百匹、雄羊二十匹、 | |
GEN32:16 | 乳らくだ三十頭とその子供、雌牛四十頭、雄牛十頭、雌ろば二十頭、雄ろば十頭であった。 | |
GEN32:17 | それを群れごとに分け、召し使いたちの手に渡して言った。「群れと群れとの間に距離を置き、わたしの先に立って行きなさい。」 | |
GEN32:18 | また、先頭を行く者には次のように命じた。「兄のエサウがお前に出会って、『お前の主人は誰だ。どこへ行くのか。ここにいる家畜は誰のものだ』と尋ねたら、 | |
GEN32:19 | こう言いなさい。『これは、あなたさまの僕ヤコブのもので、御主人のエサウさまに差し上げる贈り物でございます。ヤコブも後から参ります』と。」 | |
GEN32:20 | ヤコブは、二番目の者にも、三番目の者にも、群れの後について行くすべての者に命じて言った。「エサウに出会ったら、これと同じことを述べ、 | |
GEN32:21 | 『あなたさまの僕ヤコブも後から参ります』と言いなさい。」ヤコブは、贈り物を先に行かせて兄をなだめ、その後で顔を合わせれば、恐らく快く迎えてくれるだろうと思ったのである。 | |
GEN32:22 | こうして、贈り物を先に行かせ、ヤコブ自身は、その夜、野営地にとどまった。 | |
GEN32:23 | その夜、ヤコブは起きて、二人の妻と二人の側女、それに十一人の子供を連れてヤボクの渡しを渡った。 | |
GEN32:24 | 皆を導いて川を渡らせ、持ち物も渡してしまうと、 | |
GEN32:25 | ヤコブは独り後に残った。そのとき、何者かが夜明けまでヤコブと格闘した。 | |
GEN32:26 | ところが、その人はヤコブに勝てないとみて、ヤコブの腿の関節を打ったので、格闘をしているうちに腿の関節がはずれた。 | |
GEN32:27 | 「もう去らせてくれ。夜が明けてしまうから」とその人は言ったが、ヤコブは答えた。「いいえ、祝福してくださるまでは離しません。」 | |
GEN32:28 | 「お前の名は何というのか」とその人が尋ね、「ヤコブです」と答えると、 | |
GEN32:29 | その人は言った。「お前の名はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。お前は神と人と闘って勝ったからだ。」 | |
GEN32:30 | 「どうか、あなたのお名前を教えてください」とヤコブが尋ねると、「どうして、わたしの名を尋ねるのか」と言って、ヤコブをその場で祝福した。 | |
GEN32:31 | ヤコブは、「わたしは顔と顔とを合わせて神を見たのに、なお生きている」と言って、その場所をペヌエル(神の顔)と名付けた。 | |
GEN32:32 | ヤコブがペヌエルを過ぎたとき、太陽は彼の上に昇った。ヤコブは腿を痛めて足を引きずっていた。 | |
GEN32:33 | こういうわけで、イスラエルの人々は今でも腿の関節の上にある腰の筋を食べない。かの人がヤコブの腿の関節、つまり腰の筋のところを打ったからである。 |
第33章 | ||
GEN33:01 | ヤコブが目を上げると、エサウが四百人の者を引き連れて来るのが見えた。ヤコブは子供たちをそれぞれ、レアとラケルと二人の側女とに分け、 | |
GEN33:02 | 側女とその子供たちを前に、レアとその子供たちをその後に、ラケルとヨセフを最後に置いた。 | |
GEN33:03 | ヤコブはそれから、先頭に進み出て、兄のもとに着くまでに七度地にひれ伏した。 | |
GEN33:04 | エサウは走って来てヤコブを迎え、抱き締め、首を抱えて口づけし、共に泣いた。 | |
GEN33:05 | やがて、エサウは顔を上げ、女たちや子供たちを見回して尋ねた。 「一緒にいるこの人々は誰なのか。」 「あなたの僕であるわたしに、神が恵んでくださった子供たちです。」 ヤコブが答えると、 | |
GEN33:06 | 側女たちが子供たちと共に進み出てひれ伏し、 | |
GEN33:07 | 次に、レアが子供たちと共に進み出てひれ伏し、最後に、ヨセフとラケルが進み出てひれ伏した。 | |
GEN33:08 | エサウは尋ねた。 「今、わたしが出会ったあの多くの家畜は何のつもりか。」 ヤコブが、「御主人様の好意を得るためです」と答えると、 | |
GEN33:09 | エサウは言った。 「弟よ、わたしのところには何でも十分ある。お前のものはお前が持っていなさい。」 | |
GEN33:10 | ヤコブは言った。 「いいえ。もし御好意をいただけるのであれば、どうぞ贈り物をお受け取りください。兄上のお顔は、わたしには神の御顔のように見えます。このわたしを温かく迎えてくださったのですから。 | |
GEN33:11 | どうか、持参しました贈り物をお納めください。神がわたしに恵みをお与えになったので、わたしは何でも持っていますから。」 ヤコブがしきりに勧めたので、エサウは受け取った。 | |
GEN33:12 | それからエサウは言った。 「さあ、一緒に出かけよう。わたしが先導するから。」 | |
GEN33:13 | 「御主人様。ご存じのように、子供たちはか弱く、わたしも羊や牛の子に乳を飲ませる世話をしなければなりません。群れは、一日でも無理に追い立てるとみな死んでしまいます。 | |
GEN33:14 | どうか御主人様、僕におかまいなく先にお進みください。わたしは、ここにいる家畜や子供たちの歩みに合わせてゆっくり進み、セイルの御主人様のもとへ参りましょう。」 ヤコブがこう答えたので、 | |
GEN33:15 | エサウは言った。 「では、わたしが連れている者を何人か、お前のところに残しておくことにしよう。」 「いいえ。それには及びません。御好意だけで十分です」と答えたので、 | |
GEN33:16 | エサウは、その日セイルへの道を帰って行った。 | |
GEN33:17 | ヤコブはスコトへ行き、自分の家を建て、家畜の小屋を作った。そこで、その場所の名はスコト(小屋)と呼ばれている。 | |
GEN33:18 | ヤコブはこうして、パダン・アラムから無事にカナン地方にあるシケムの町に着き、町のそばに宿営した。 | |
GEN33:19 | ヤコブは、天幕を張った土地の一部を、シケムの父ハモルの息子たちから百ケシタで買い取り、 | |
GEN33:20 | そこに祭壇を建てて、それをエル・エロヘ・イスラエルと呼んだ。 |
第34章 | ||
GEN34:01 | あるとき、レアとヤコブとの間に生まれた娘のディナが土地の娘たちに会いに出かけたが、 | |
GEN34:02 | その土地の首長であるヒビ人ハモルの息子シケムが彼女を見かけて捕らえ、共に寝て辱めた。 | |
GEN34:03 | シケムはヤコブの娘ディナに心を奪われ、この若い娘を愛し、言い寄った。 | |
GEN34:04 | 更にシケムは、父ハモルに言った。 「どうか、この娘と結婚させてください。」 | |
GEN34:05 | ヤコブは、娘のディナが汚されたことを聞いたが、息子たちは家畜を連れて野に出ていたので、彼らが帰るまで黙っていた。 | |
GEN34:06 | シケムの父ハモルがヤコブと話し合うためにやって来たとき、 | |
GEN34:07 | ヤコブの息子たちが野から帰って来てこの事を聞き、皆、互いに嘆き、また激しく憤った。シケムがヤコブの娘と寝て、イスラエルに対して恥ずべきことを行ったからである。それはしてはならないことであった。 | |
GEN34:08 | ハモルは彼らと話した。 「息子のシケムは、あなたがたの娘さんを恋い慕っています。どうか、娘さんを息子の嫁にしてください。 | |
GEN34:09 | お互いに姻戚関係を結び、あなたがたの娘さんたちをわたしどもにくださり、わたしどもの娘を嫁にしてくださいませんか。 | |
GEN34:10 | そして、わたしどもと一緒に住んでください。あなたがたのための土地も十分あります。どうか、ここに移り住んで、自由に使ってください。」 | |
GEN34:11 | シケムも、ディナの父や兄弟たちに言った。 「ぜひとも、よろしくお願いします。お申し出があれば何でも差し上げます。 | |
GEN34:12 | どんなに高い結納金でも贈り物でも、お望みどおりに差し上げます。ですから、ぜひあの方をわたしの妻にください。」 | |
GEN34:13 | しかし、シケムが妹のディナを汚したので、ヤコブの息子たちは、シケムとその父ハモルをだましてこう答えた。 | |
GEN34:14 | 「割礼を受けていない男に、妹を妻として与えることはできません。そのようなことは我々の恥とするところです。 | |
GEN34:15 | ただ、次の条件がかなえられれば、あなたたちに同意しましょう。それは、あなたたちの男性が皆、割礼を受けて我々と同じようになることです。 | |
GEN34:16 | そうすれば、我々の娘たちをあなたたちに与え、あなたたちの娘を我々がめとります。そして我々は、あなたたちと一緒に住んで一つの民となります。 | |
GEN34:17 | しかし、もし割礼を受けることに同意しないなら、我々は娘を連れてここを立ち去ることにします。」 | |
GEN34:18 | ハモルとその息子シケムは、この条件なら受け入れてもよいと思った。 | |
GEN34:19 | とくにシケムは、ヤコブの娘を愛していたので、ためらわず実行することにした。彼は、ハモル家の中では最も尊敬されていた。 | |
GEN34:20 | ハモルと息子シケムは、町の門のところへ行き町の人々に提案した。 | |
GEN34:21 | 「あの人たちは、我々と仲良くやっていける人たちだ。彼らをここに住まわせ、この土地を自由に使ってもらうことにしようではないか。土地は御覧のとおり十分広いから、彼らが来ても大丈夫だ。そして、彼らの娘たちを我々の嫁として迎え、我々の娘たちを彼らに与えようではないか。 | |
GEN34:22 | ただ、次の条件がかなえられれば、あの人たちは我々と一緒に住み、一つの民となることに同意するというのだ。それは、彼らが割礼を受けているように、我々も男性は皆、割礼を受けることだ。 | |
GEN34:23 | そうすれば、彼らの家畜の群れも財産も動物もみな、我々のものになるではないか。それには、ただ彼らの条件に同意さえすれば、彼らは我々と一緒に住むことができるのだ。」 | |
GEN34:24 | 町の門のところに集まっていた人々は皆、ハモルと息子シケムの提案を受け入れた。町の門のところに集まっていた男性はこうして、すべて割礼を受けた。 | |
GEN34:25 | 三日目になって、男たちがまだ傷の痛みに苦しんでいたとき、ヤコブの二人の息子、つまりディナの兄のシメオンとレビは、めいめい剣を取って難なく町に入り、男たちをことごとく殺した。 | |
GEN34:26 | ハモルと息子シケムも剣にかけて殺し、シケムの家からディナを連れ出した。 | |
GEN34:27 | ヤコブの息子たちは、倒れている者たちに襲いかかり、更に町中を略奪した。自分たちの妹を汚したからである。 | |
GEN34:28 | そして、羊や牛やろばなど、町の中のものも野にあるものも奪い取り、 | |
GEN34:29 | 家の中にあるものもみな奪い、女も子供もすべて捕虜にした。 | |
GEN34:30 | 「困ったことをしてくれたものだ。わたしはこの土地に住むカナン人やペリジ人の憎まれ者になり、のけ者になってしまった。こちらは少人数なのだから、彼らが集まって攻撃してきたら、わたしも家族も滅ぼされてしまうではないか」とヤコブがシメオンとレビに言うと、 | |
GEN34:31 | 二人はこう言い返した。 「わたしたちの妹が娼婦のように扱われてもかまわないのですか。」 |
第35章 | ||
GEN35:01 | 神はヤコブに言われた。「さあ、ベテルに上り、そこに住みなさい。そしてその地に、あなたが兄エサウを避けて逃げて行ったとき、あなたに現れた神のための祭壇を造りなさい。」 | |
GEN35:02 | ヤコブは、家族の者や一緒にいるすべての人々に言った。「お前たちが身に着けている外国の神々を取り去り、身を清めて衣服を着替えなさい。 | |
GEN35:03 | さあ、これからベテルに上ろう。わたしはその地に、苦難の時わたしに答え、旅の間わたしと共にいてくださった神のために祭壇を造る。」 | |
GEN35:04 | 人々は、持っていた外国のすべての神々と、着けていた耳飾りをヤコブに渡したので、ヤコブはそれらをシケムの近くにある樫の木の下に埋めた。 | |
GEN35:05 | こうして一同は出発したが、神が周囲の町々を恐れさせたので、ヤコブの息子たちを追跡する者はなかった。 | |
GEN35:06 | ヤコブはやがて、一族の者すべてと共に、カナン地方のルズ、すなわちベテルに着き、 | |
GEN35:07 | そこに祭壇を築いて、その場所をエル・ベテルと名付けた。兄を避けて逃げて行ったとき、神がそこでヤコブに現れたからである。 | |
GEN35:08 | リベカの乳母デボラが死に、ベテルの下手にある樫の木の下に葬られた。そこで、その名はアロン・バクト(嘆きの樫の木)と呼ばれるようになった。 | |
GEN35:09 | ヤコブがパダン・アラムから帰って来たとき、神は再びヤコブに現れて彼を祝福された。 | |
GEN35:10 | 神は彼に言われた。 「あなたの名はヤコブである。しかし、あなたの名はもはやヤコブと呼ばれない。イスラエルがあなたの名となる。」 神はこうして、彼をイスラエルと名付けられた。 | |
GEN35:11 | 神は、また彼に言われた。 「わたしは全能の神である。 産めよ、増えよ。 あなたから 一つの国民、いや多くの国民の群れが起こり あなたの腰から王たちが出る。 | |
GEN35:12 | わたしは、アブラハムとイサクに与えた土地を あなたに与える。 また、あなたに続く子孫にこの土地を与える。」 | |
GEN35:13 | 神はヤコブと語られた場所を離れて昇って行かれた。 | |
GEN35:14 | ヤコブは、神が自分と語られた場所に記念碑を立てた。それは石の柱で、彼はその上にぶどう酒を注ぎかけ、また油を注いだ。 | |
GEN35:15 | そしてヤコブは、神が自分と語られた場所をベテルと名付けた。 | |
GEN35:16 | 一同がベテルを出発し、エフラタまで行くにはまだかなりの道のりがあるときに、ラケルが産気づいたが、難産であった。 | |
GEN35:17 | ラケルが産みの苦しみをしているとき、助産婦は彼女に、「心配ありません。今度も男の子ですよ」と言った。 | |
GEN35:18 | ラケルが最後の息を引き取ろうとするとき、その子をベン・オニ(わたしの苦しみの子)と名付けたが、父はこれをベニヤミン(幸いの子)と呼んだ。 | |
GEN35:19 | ラケルは死んで、エフラタ、すなわち今日のベツレヘムへ向かう道の傍らに葬られた。 | |
GEN35:20 | ヤコブは、彼女の葬られた所に記念碑を立てた。それは、ラケルの葬りの碑として今でも残っている。 | |
GEN35:21 | イスラエルは更に旅を続け、ミグダル・エデルを過ぎた所に天幕を張った。 | |
GEN35:22 | イスラエルがそこに滞在していたとき、ルベンは父の側女ビルハのところへ入って寝た。このことはイスラエルの耳にも入った。ヤコブの息子は十二人であった。 | |
GEN35:23 | レアの息子がヤコブの長男ルベン、それからシメオン、レビ、ユダ、イサカル、ゼブルン、 | |
GEN35:24 | ラケルの息子がヨセフとベニヤミン、 | |
GEN35:25 | ラケルの召し使いビルハの息子がダンとナフタリ、 | |
GEN35:26 | レアの召し使いジルパの息子がガドとアシェルである。これらは、パダン・アラムで生まれたヤコブの息子たちである。 | |
GEN35:27 | ヤコブは、キルヤト・アルバ、すなわちヘブロンのマムレにいる父イサクのところへ行った。そこは、イサクだけでなく、アブラハムも滞在していた所である。 | |
GEN35:28 | イサクの生涯は百八十年であった。 | |
GEN35:29 | イサクは息を引き取り、高齢のうちに満ち足りて死に、先祖の列に加えられた。息子のエサウとヤコブが彼を葬った。 |
(私論.私見)