R.D.ウィリングの近著「おかね(マネー)―第十二番目の宗教―」。◇二〇〇八年一月、カナダ、モントリオール。◇二〇〇八年五月、米国ワシントンDC、バーンズレビュー。この本は、百九十三頁の小著であるが、その内容の水準はきわめて高い。これは、日本民族憂国愛国の有志必読の書である。以下に、本書の要点を列挙する、
おかね(マネー)は宗教である。西洋の近代宗教学界は、全世界を詳しく調査研究して、十一の主要大宗教の存在を確認した。しかし、実は、それらの十一の主要宗教に含まれて居ないにも拘わらず、真に普遍的に全世界すべての国家、人種、民族……を決定的に支配して居る、第十二番目の最後の究極の宗教が存在する。それは、マネー(おかね)であることを発見したと、著者R.D.ウィリングは結論づける。
聖書の中に、モロク、と呼ばれる神が出て来る。このモロクの神がおかねである。モロクの神、おかねの神は、今、米国FRB連邦準備銀行、イングランド銀行などの中央銀行というかたちで存在する。
十一の主要宗教。その名前は、本書には明示されて居ないけれども、常識的に言えば、ユダヤ教、キリスト教、イスラム、佛ヘ、儒教、道教、ヒンドゥー教。これで七つである。日本の神道がこの中に入るかどうかは分らない。信者の数ではキリスト教が最大であり、各派を合計すれば、二十億人に成るかも知れない。
しかし、おかね教、宗教としてのマネー、モロク教。これは、今や全人類を掌握して居り、完全にその外にある人間は、きわめて僅か。
アレクサンダー大王以後、地球上のすべての有力な政治指導者で、モロクの寺院にとって脅威となった人物は、暴力的に殺された。10)唯一の例外は、ニクソン米大統領である、と。
R・D・ウィリングのこの本の論旨は概ね正しい。筆者(太田)も、ウィリングと全く同じ考えではないが、それに類似する思想は、断片的に公表した。しかし、今までそれを全面的に展開する機会がなかった。
「カナン」についてのこの著者の見解は、ユースタス・マリンズの「カナンの呪い」 (邦訳、成甲書房)とは異なる(九十三頁)。
モロクの神と敵対した、四人の米大統領が暗殺された(百七十八頁)、と。この四人の中に、J・F・ケネディ、リンカーン、この二人は含まれるであろう。
本書では、「カルト273」が重要な事項の一つとして提起されて居るが、この意味は分らないので、今後、研究したい。
(了)
【参照】MONEY - The 12th and Final Religion(By R. DUANE WILLING)二〇〇八年一月、二〇〇八年五月、百九十三頁。 |