(心の)貧しい人々は、幸いである、天(神)の国はその人たちのものである。悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる。 |
柔和な人々は、幸いである、その人たちは地を受け継ぐ。 |
義に飢え渇く人々は、幸いである、その人たちは満たされる。 |
憐れみ深い人々は、幸いである、その人たちは憐れみを受ける。 |
心の清い人々は、幸いである、その人たちは神を見る。 |
平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。 |
義のために迫害される人々は、幸いである、天の御国はその人たちのものである。 |
私のためにののしられたり、迫害されたり、身に覚えのないことであらゆる悪口を浴びせられるとき、あなたがたは幸いである。喜びなさい。大いに喜びなさい。あなたがたには天において大きな報いがある。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。 |
あなたがたは地の塩である。だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。 |
あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない。また、ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべてを照らすのである。そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである。 |
わたしが来たのは律法や預言者を廃棄するためだ、と思ってはならない。廃棄するためではなく、完成するためである。はっきり言っておく。天地が消えうせない限り、律法の文字から一点一画も決してすたれることはない。全部が成就される。 |
だから、これらの最も小さな掟を一つでも破り、そうするようにと人に教える者は、天の御国で最も小さい者と呼ばれる。しかし、それを守り、そうするように教える者は、天の御国で大いなる者と呼ばれる。 |
言っておくが、あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ、あなたがたは決して天の御国に入ることができない。 |
あなたがたも聞いているとおり、昔の人は『人を殺してはならない。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。しかし、私は言っておく。兄弟に腹を立てる者はだれでも裁きを受ける。兄弟に『能無し』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、火の地獄に投げ込まれる。 |
だから、あなたが祭壇に供え物を献げようとしている時、兄弟に恨まれていることをそこで思い出したなら、その供え物を祭壇の前に置いたままにして、まず行って兄弟と仲直りをし、それから帰って来て、供え物を献げなさい。 |
あなたを訴える人と一緒に道を行く場合、途中で早く和解しなさい。さもないと、その人はあなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役に引き渡し、あなたは牢に投げ込まれることになる。はっきり言っておく。最後の一クァドランス(コドラント)を返すまで、決してそこから出ることはできない。 |
あなたがたも聞いているとおり、『姦淫するな』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。みだらな思いで他人の妻を見る者はだれでも、既に心の中でその女を犯したのである。 |
もし、右の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。体の一部を失っても、全身が地獄に投げ込まれない方がましである。もし、右の手があなたをつまずかせるなら、切り取って捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が地獄に落ちない方がましである。 |
『妻を離縁する者は、離縁状を渡せ』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。不法な結婚でもないのに妻を離縁する者はだれでも、その女に姦通の罪を犯させることになる。離縁された女を妻にする者も、姦通の罪を犯すことになる。 |
また、あなたがたも聞いているとおり、昔の人は、『偽りの誓いを立てるな。主に対して誓ったことは、必ず果たせ』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。一切誓いを立ててはならない。天をさして誓ってはならない。そこは神の玉座である。 |
地をさして誓ってはならない。そこは神の足台である。エルサレムをさして誓ってはならない。そこは大王の都である。また、あなたの頭をさして誓ってはならない。髪の毛一本すら、あなたは白くも黒くもできないからである。 |
あなたがたは、『然り』は『然り』、『否』は『否』とだけ言いなさい。それ以上のことは、悪しき事になる。 |
あなたがたも聞いているとおり、『目には目を、歯には歯を』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。 |
誰かがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせなさい。 |
誰かが、一ミリオン(マイル)行くように強いるなら、一緒に二ミリオン(マイル)行きなさい。求める者には与えなさい。あなたから借りようとする者には、背を向けてはならない(断わらないようにしなさい)。 |
あなたがたも聞いているとおり、『汝の隣人を愛し、敵を憎め』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。それでこそ、天に居られるあなたがたの父の子となれる。 |
天の父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる。 |
自分を愛してくれる人を愛したところで、報われるほどのものではない。徴税人でも、同じことをしているではないか。自分の兄弟にだけ挨拶したところで、どんな優れたことをしたことになろうか。異邦人でさえ、同じことをしているではないか。 |
だから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。 |
人に見せるために人前で善行をするようなことはしないように気をつけなさい。そうでないと、あなたがたの天の父の報いをいただけないことになる。 |
だから、あなたは施しをするときには、人からほめられようとして偽善者たちが会堂や街角でするような、自分の前でラッパを吹き鳴らしてはならない。はっきりあなたがたに言っておく。彼らは既に報いを受けている。 |
施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。あなたの施しを人目につかせないためである。そうすれば、隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる。 |
祈るときにも、あなたがたは偽善者のようであってはならない。偽善者たちは、人に見てもらおうと、会堂や大通りの角に立って祈りたがる。はっきり言っておく。彼らは既に報いを受けている。 |
だから、あなたが祈るときは、奥まった自分の部屋に入って戸を閉め、隠れた所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。 |
また、あなたがたが祈るときは、異邦人のようにくどくどと述べてはならない。異邦人は、言葉数が多ければ、聞き入れられると思い込んでいる。彼らのまねをしてはならない。あなたがたの父は、願う前から、あなたがたに必要なものをご存じなのだ。 |
だから、こう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ、御名が崇められますように。御国が来ますように。御心が天におけるように地の上にも行われますように。私たちに日ごと必要な糧を与えてください。私たちの負い目を赦してください、私たちも自分に負い目のある人を赦しましたように。私たちを誘惑に遭わせず、悪い者から救ってください。全能の神よアーメン』。 |
もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたの過ちをお赦しになる。しかし、もし人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの過ちをお赦しにならない。 |
断食するときには、あなたがたは偽善者のように沈んだ顔つきをしてはならない。偽善者は、断食しているのを人に見てもらおうと、顔を見苦しくする。はっきり言っておく。彼らは既に報いを受けている。 |
あなたは、断食するとき、頭に油をつけ、顔を洗いなさい。それは、あなたの断食が人に気づかれず、隠れたところにおられるあなたの父に見ていただくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。 |
あなたがたは地上に富を積んではならない。そこでは、虫が食い、さび付き、また盗人が忍び込んで盗み出したりする。富は、天に積みなさい。そこでは、虫が食うことも、さび付くこともなく、また、盗人が忍び込むことも盗み出すこともない。あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ。 |
体のともし火は目である。目が澄んでいれば、あなたの全身が明るいが、濁っていれば、全身が暗い。だから、あなたの中にある光が消えれば、その暗さはどれほどであろう。 |
だれも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富の両方に仕えることはできない。 |
だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。 |
空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。けれども、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりもすぐれたものではないか。 |
あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。 |
しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか。 |
信仰の薄い者たちよ。だから、『何を食べようか』、『何を飲もうか』、『何を着ようか』と言って、思い悩むな。それはみな、異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。 |
何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。 |
だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。 |
人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で量られる。 |
あなたは、兄弟の目にあるおが屑は見えるのに、なぜ自分の目の中の丸太(梁)に気づかないのか。兄弟に向かって、『あなたの目からおが屑を取らせてください』と、どうして言えようか。自分の目に丸太(梁)があるではないか。 |
偽善者よ、まず自分の目から丸太を取り除けなさい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からもおが屑を取り除くことができる。 |
神聖なものを犬に与えてはならず、また、真珠を豚に投げてはならない。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたにかみついてくるだろう。 |
求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。誰でも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。 |
あなたがたの誰が、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。子供が魚を欲しがるのに、誰が蛇を与えようか。このように、あなたがたは悪い者でありながらも、自分の子供には良い物を与えることを知っている。とすればなおのこと、あなたがたの天の父は、求める者に良い物をくださるにちがいない。 |
だから、何事でも、人にしてもらいたいと思うことは、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法であり預言者の云おうとしている真髄である。 |
狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道は細く狭い。それを見いだす者は稀である。 |
偽預言者を警戒しなさい。彼らは羊の皮を身にまとってあなたがたのところに来るが、その内側は貪欲な狼である。あなたがたは、その実で彼らを見分ける。茨からぶどうが、あざみからいちじくが採れるだろうか。 |
すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。良い木が悪い実を結ぶことはなく、また、悪い木が良い実を結ぶこともできない。良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。このように、あなたがたはその実で彼らを見分けることができよう。 |
わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るわけではない。わたしの天の父の御心を行う者だけが入るのである。 |
かの日には、大勢の者がわたしに、『主よ、主よ、わたしたちは御名によって預言し、御名によって悪霊を追い出し、御名によって奇跡をいろいろ行ったではありませんか』と言うであろう。そのとき、私はきっぱりとこう言おう。『あなたたちのことは全然知らない。不法を働く者ども、わたしから離れ去れ』。 |
そこで、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家を襲っても、倒れなかった。岩を土台としていたからである。 |
わたしのこれらの言葉を聞くだけで行わない者は皆、砂の上に家を建てた愚かな人に似ている。雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家に襲いかかると、倒れて、その倒れ方がひどかった」。 |
イエスがこれらのことばを語り終えられると、群衆はその教えに驚いた。というのは、イエスが、律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように教えられたからである。 |