敗戦前の少なくとも半年の間、日本人は国ごと一部の米国人の実験用モルモットとして、やりたい放題に殺されたというのが歴史の事実です。
◆『洗脳支配―日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』 苫米地英人:著
◆催眠学者の知られざる戦後日本での功績
アメリカを代表する洗脳の専門家に、アーネスト・ヒルガード(1904-2001)という人物がいます。催眠学者で、スタンフォード大学教授、旧米軍と関係があったことはあまり公にされていませんが、たいへん著名な人物です。じつは、私とは、浅からぬ関係があります。一連のオウム事件のなかで、国松孝次警察庁長官狙撃事件(1995年)の狙撃犯とされたK巡査長の自白ビデオの鑑定を、私は97年に、当時は在命であったヒルガード教授に依頼しました。このビデオを最終的に私は、K巡査長の同意を得て、それも録画した上でテレビ局に持ち込んだのですが、私が引き出した白白の正当性を疑われては意味がありません。客観的な鑑定が必要だと判断し、それを依頼したというわけです。そしてヒルガード教授に「K巡査長の記憶を苫米地が操作した形跡はなく、催眠で自白を強要した形跡もない」というお墨付きをもらい、日本テレビが放映に踏み切ったのです。
もう一方、ヒルガード教授が活躍した当時、彼には一人のライバルがいました。それは、臨床催眠の権威の故ミルトン・エリクソン博士で、私はその孫弟子にあたります。ヒルガード教授とミルトン・エリクソン博士は、まさに20世紀を代表する催眠と洗脳の専門家で、言ってみればその二人の力が間接的にオウム脱洗脳の成功の裏にはあったわけです。ところが、ヒルガード教授が没した2001年に、スタンフォード大学が彼の追悼文を発表しました。それをたまたま読んだ私は、驚いてしまいました。そこには、ヒルガード教授の功績のひとつとして、「戦後日本の教育の非軍事化のため」にGHQに呼ばれて来日したと書いてあったからです。催眠学者が、なぜ日本の非軍事化のための教育に一役買わなければならなかったのでしょうか。私は、即座に理解しました。
◆日本人にかけられたWGIPという洗脳
戦後占領下の日本で、GHQがWGIPを徹底的に推し進め、日本人に戦争犯罪人として罪の心をこれでもかと刻み込んだことは、公文書として残っている事実です。『漱石とその時代』などの文芸評論で知られる慶応大学の故.江藤淳教授は、晩年、このWGIPの実態を掘り起こし、占領下で行われたアメリカによる新聞検閲と、洗脳としかいいようのないGHQの力による徹底的な思想統制について、糾弾する著作を次々に著しています。もちろん、当時の戦勝国アメリカとしてみれば、カミカゼ特攻隊や玉砕などを見て、日本人を徹底的に再洗脳すべきと判断したことは理解できることでもあります。とはいうものの、WGIPのことを私が洗脳というのは、たとえばこういうことです。
原爆投下の理由について、新型爆弾である原爆を当初、米国の原爆を開発した科学者たちは、呉などの軍港の、それも沖合いに投下するという説明を受けていました。それを、当時の米国軍部は原爆の威力を測定する意味合いで、都市部に落とすことに変えました。人体実験を目的として日本に落としたと言えます。このことは、残された米軍の資料など、さまざまな証拠から明らかになっています。ところが日本人の多くは、「第二次世界大戦を早く終わらせるために、アメリカは日本に原爆を投下せざるをえなかった」と教育され、いまだにそう思い込んでいます。
実際、昭和20年の東京大空襲など、一連の空爆による日本全土焼き払い作戦のときから、米軍部は日本に戦争遂行能力がないことをはっきりと知っていました。日本全土を焼き払うこと自体、すでに人体実験です。一般市民が無差別に死んでいくなかで、戦争の恐怖がどのように天皇を頂点にした国家を変えていくのか、研究していたのだと私は見ています。そして、その次に原爆投下です。敗戦前の少なくとも半年の間、日本人は国ごと一部の米国人の実験用モルモットとして、やりたい放題に殺されたというのが歴史の事実です。
その程度のことなら知っている、という読者も大勢いることでしょう。たしかに、テレビなどの討論番組で、こうした事実を指摘する識者もいます。しかしながら、おかしなことに、私たちには被害者としての実感があまりわいてきません。とんでもない大量殺人を実験として行われ、同胞が見るも無残な殺され方をしたのですから、本来ならば、筆舌に尽くしがたい悲しみと恨みを占領軍に抱いて当然のはずです。にもかかわらず、「ギブ・ミー・.チョコレート」「進駐軍、いい人」みたいな根拠のない好感を伴いながら、戦後一貫してGHQによる日本の支配というものを受け止めているではありませんか。これは、きわめておかしな心情といわなくてはなりません。
◆脱洗脳のスペシャリストとしての使命
日本人の心に、「戦争を起こした私たちは愚かな罪人だ」という情報の書き込みが行われたことは確かなことです。だからこそ、GHQは新聞の徹底的な検閲を行い、都合の悪い記事は削除して、日本人をまず、洗脳に必要な「情報遮断」の状態に置いたのです。こうした点に、現代も続く日本人奴隷化の出発点があり、いまだに解けないさまざまな洗脳テクニックが仕込まれているはずだと考えていた私は、以前からGHQの洗脳を解くことが自分のライフワークのひとつだと強く意識していたのです。
GHQが占領下の日本にWGIPを遂行する背後には、もちろん本国のアメリカ政府のコントロールがあったでしょう。しかし、ヒルガード教授ほどの人物がかかわっていたとは思いもよりませんでした。ヒルガード教授がそこに噛んでいたことを知って、.もちろん彼がどこまで深く関わっていたかは知るすべがありませんが、私は、私たちが受けた洗脳教育がいまでも強く日本人を縛っている理由をはじめて理解した気がしました。もしもヒルガード教授の指導でGHQが洗脳教育を行ったとすれば、それが新聞検閲や情報操作、要人の洗脳程度の生やさしいものですむわけなどないのです。
ところで、このような認識に立つと、いま日本で起こっている経済の問題も、相当に根が深いことがわかります。アメリカという世界最大の赤字国をあらんかぎりの力で支え、これでもかこれでもかと資金を貢ぎ続けている日本は、いまでもヒルガード教授の洗脳にがんじがらめにされているということができます。
私が経済をテーマにして本を著すのは、ライフワークと位置づけたGHQの洗脳から日本人を解放するための端緒になると考えたからです。(P12〜P16)
◆『洗脳支配―日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』 苫米地英人:著
◆催眠学者の知られざる戦後日本での功績
アメリカを代表する洗脳の専門家に、アーネスト・ヒルガード(1904-2001)という人物がいます。催眠学者で、スタンフォード大学教授、旧米軍と関係があったことはあまり公にされていませんが、たいへん著名な人物です。じつは、私とは、浅からぬ関係があります。一連のオウム事件のなかで、国松孝次警察庁長官狙撃事件(1995年)の狙撃犯とされたK巡査長の自白ビデオの鑑定を、私は97年に、当時は在命であったヒルガード教授に依頼しました。このビデオを最終的に私は、K巡査長の同意を得て、それも録画した上でテレビ局に持ち込んだのですが、私が引き出した白白の正当性を疑われては意味がありません。客観的な鑑定が必要だと判断し、それを依頼したというわけです。そしてヒルガード教授に「K巡査長の記憶を苫米地が操作した形跡はなく、催眠で自白を強要した形跡もない」というお墨付きをもらい、日本テレビが放映に踏み切ったのです。
もう一方、ヒルガード教授が活躍した当時、彼には一人のライバルがいました。それは、臨床催眠の権威の故ミルトン・エリクソン博士で、私はその孫弟子にあたります。ヒルガード教授とミルトン・エリクソン博士は、まさに20世紀を代表する催眠と洗脳の専門家で、言ってみればその二人の力が間接的にオウム脱洗脳の成功の裏にはあったわけです。ところが、ヒルガード教授が没した2001年に、スタンフォード大学が彼の追悼文を発表しました。それをたまたま読んだ私は、驚いてしまいました。そこには、ヒルガード教授の功績のひとつとして、「戦後日本の教育の非軍事化のため」にGHQに呼ばれて来日したと書いてあったからです。催眠学者が、なぜ日本の非軍事化のための教育に一役買わなければならなかったのでしょうか。私は、即座に理解しました。
◆日本人にかけられたWGIPという洗脳
戦後占領下の日本で、GHQがWGIPを徹底的に推し進め、日本人に戦争犯罪人として罪の心をこれでもかと刻み込んだことは、公文書として残っている事実です。『漱石とその時代』などの文芸評論で知られる慶応大学の故.江藤淳教授は、晩年、このWGIPの実態を掘り起こし、占領下で行われたアメリカによる新聞検閲と、洗脳としかいいようのないGHQの力による徹底的な思想統制について、糾弾する著作を次々に著しています。もちろん、当時の戦勝国アメリカとしてみれば、カミカゼ特攻隊や玉砕などを見て、日本人を徹底的に再洗脳すべきと判断したことは理解できることでもあります。とはいうものの、WGIPのことを私が洗脳というのは、たとえばこういうことです。
原爆投下の理由について、新型爆弾である原爆を当初、米国の原爆を開発した科学者たちは、呉などの軍港の、それも沖合いに投下するという説明を受けていました。それを、当時の米国軍部は原爆の威力を測定する意味合いで、都市部に落とすことに変えました。人体実験を目的として日本に落としたと言えます。このことは、残された米軍の資料など、さまざまな証拠から明らかになっています。ところが日本人の多くは、「第二次世界大戦を早く終わらせるために、アメリカは日本に原爆を投下せざるをえなかった」と教育され、いまだにそう思い込んでいます。
実際、昭和20年の東京大空襲など、一連の空爆による日本全土焼き払い作戦のときから、米軍部は日本に戦争遂行能力がないことをはっきりと知っていました。日本全土を焼き払うこと自体、すでに人体実験です。一般市民が無差別に死んでいくなかで、戦争の恐怖がどのように天皇を頂点にした国家を変えていくのか、研究していたのだと私は見ています。そして、その次に原爆投下です。敗戦前の少なくとも半年の間、日本人は国ごと一部の米国人の実験用モルモットとして、やりたい放題に殺されたというのが歴史の事実です。
その程度のことなら知っている、という読者も大勢いることでしょう。たしかに、テレビなどの討論番組で、こうした事実を指摘する識者もいます。しかしながら、おかしなことに、私たちには被害者としての実感があまりわいてきません。とんでもない大量殺人を実験として行われ、同胞が見るも無残な殺され方をしたのですから、本来ならば、筆舌に尽くしがたい悲しみと恨みを占領軍に抱いて当然のはずです。にもかかわらず、「ギブ・ミー・.チョコレート」「進駐軍、いい人」みたいな根拠のない好感を伴いながら、戦後一貫してGHQによる日本の支配というものを受け止めているではありませんか。これは、きわめておかしな心情といわなくてはなりません。
◆脱洗脳のスペシャリストとしての使命
日本人の心に、「戦争を起こした私たちは愚かな罪人だ」という情報の書き込みが行われたことは確かなことです。だからこそ、GHQは新聞の徹底的な検閲を行い、都合の悪い記事は削除して、日本人をまず、洗脳に必要な「情報遮断」の状態に置いたのです。こうした点に、現代も続く日本人奴隷化の出発点があり、いまだに解けないさまざまな洗脳テクニックが仕込まれているはずだと考えていた私は、以前からGHQの洗脳を解くことが自分のライフワークのひとつだと強く意識していたのです。
GHQが占領下の日本にWGIPを遂行する背後には、もちろん本国のアメリカ政府のコントロールがあったでしょう。しかし、ヒルガード教授ほどの人物がかかわっていたとは思いもよりませんでした。ヒルガード教授がそこに噛んでいたことを知って、.もちろん彼がどこまで深く関わっていたかは知るすべがありませんが、私は、私たちが受けた洗脳教育がいまでも強く日本人を縛っている理由をはじめて理解した気がしました。もしもヒルガード教授の指導でGHQが洗脳教育を行ったとすれば、それが新聞検閲や情報操作、要人の洗脳程度の生やさしいものですむわけなどないのです。
ところで、このような認識に立つと、いま日本で起こっている経済の問題も、相当に根が深いことがわかります。アメリカという世界最大の赤字国をあらんかぎりの力で支え、これでもかこれでもかと資金を貢ぎ続けている日本は、いまでもヒルガード教授の洗脳にがんじがらめにされているということができます。
私が経済をテーマにして本を著すのは、ライフワークと位置づけたGHQの洗脳から日本人を解放するための端緒になると考えたからです。(P12〜P16)