よしひろ・あべ氏の「日本人が知らない 恐るべき真実」その1

 (最新見直し2014.06.12日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「よしひろ・あべ氏の日本人が知らない 恐るべき真実その1」を検証する。

 2014.06.14日 れんだいこ拝


関連サイト パレスチナ問題考 「ユダヤ人問題」考
「シオンの議定書」考 「ネオ・シオニズム考」

【植民地支配の歴史】

 植民地*1は、古くは古代ギリシャ古代ローマなどにも見られますが、ここでは近世以降についてみていきたいと思います。

 〔スペインポルトガル

スペインはコロンブスの新大陸発見後、中米のメキシコ南米ペルーを中心として領土を獲得。続いてフィリピン諸島の領有にも成功。

1494年のトルデシリャス条約によりローマ教皇アレクサンドル6世が、大西洋上に西経46度の子午線を引き、西をスペイン、東をポルトガルの領土とした。このため南米大陸では、ブラジルのみがポルトガル領となった。

1529年のサラゴサ条約では東経134度線を境に、東がスペイン、西がポルトガルの領土とされた。

ポルトガルアフリカ西海岸で喜望峰を発見すると、東洋における香料貿易の独占をめざしてインド洋に進出。マラッカの領有後はマカオ長崎にまで貿易圏を広げた。

17世紀に入り、アジアに新しく参入したオランダイギリスとの競合に破れると、南米ブラジルの植民に注力する。しかし、中南米植民地アメリカ合衆国独立の影響を受けて19世紀前半次々に独立した。

 オランダ

17世紀から18世紀にかけて植民地主義大国として活躍、オランダ海上帝国と呼ばれるも度重なる英蘭戦争北米植民地を奪われ、更に南アフリカ植民地も奪われる。しかし、20世紀に入ってもインドネシアを保持していた。

 〔イギリス

イングランド中世以来アイルランドに入植を繰り返してきた。

16世紀初頭、大航海時代の波に乗って北アメリカ大陸に植民し、ニューイングランド植民地が成立。

当初は交易を目的として東洋に渡った東インド会社が、インドの諸勢力を巧みに操ってインド植民地を広げる。

七年戦争フランスと争い、カナダを獲得。また、インドからフランス勢力をほとんど駆逐した。ナポレオン戦争に勝利したイギリスは世界の海の覇権を握り大英帝国を建設。大英帝国は20世紀初めには本土の実に92倍、世界の地上面積の5分の2にあたる3千万平方キロ、人口にして4億人から5億人を支配していたといわれる。その植民地はあまりにも多過ぎてよくわからないが、ビルママレーシア香港オーストラリアニュージーランドナイジェリア南アフリカなどを植民地化。またスペインポルトガルから独立後の南米諸国やオスマン・トルコから独立した中近東諸国にも大きな影響力を持っていた。

 〔フランス

カナダケベックカリブ海のマルティニーク島、グアドループ島に入植。しかし、七年戦争イギリスに敗れ、カナダを放棄した。

西アフリカセネガル植民地化。

19世紀になってアルジェリアインドシナ(現ベトナム)、南太平洋ポリネシアなどを植民地化。

 〔イタリア

ソマリアリビア植民地化。

 〔ベルギー

コンゴ植民地化。

 〔デンマーク

北極周辺に植民地を保有し、現在もグリーンランド、フェロー諸島を植民地化。

アイスランドもかつてはデンマーク領であった。

大航海時代には西インド諸島の一部に植民地を保有していたが、後にアメリカ合衆国に売却。

 〔スウェーデン

1638年に新大陸のニュースウェーデン(現在のデラウェア州)に入植。のちオランダに奪われる。

 〔プロイセン公国ドイツ帝国の前身)〕

1683年に西アフリカに遠征し、ゴールド・コーストに植民。1720年に放棄。

ギニアにグロース=フリードリヒスベルク市を建設し、奴隷貿易に携わる。

 ドイツ

ドイツ帝国タンザニアや南洋諸島を植民地化。しかし第一次世界大戦敗北により喪失。

 〔アメリカ

アメリカイギリスから植民地13州を割譲して独立したが、その後もイギリスフランススペインメキシコから植民地や領土を割譲または買収して、自国の領土を西へと拡大。拡大する過程で新たに州を新設していったので、植民地と州の境はあいまいだった。

北部のアラスカロシアから買収、ハワイを併合する。

米西戦争スペインに勝利すると、キューバフィリピン植民地化。

アメリカ植民地を直接経営するよりも、独立した国家を間接的に支配することを好んだ。米西戦争の勝利によって、スペインの影響下にあった中南米の国々を独立させ、政治経済的に影響下に置いた。これは直接には植民地としていないが、「経済植民地」とでもいえる状態に置き、各国に共産主義勢力が台頭すると、たびたび排除するために軍隊を送るなど、主権を無視した内政干渉を繰り返した。この体制は、中米において現在も変わっていない。フィリピン第二次世界大戦後に独立、戦後日本から獲得した南洋諸島も北マリアナ諸島を除いて独立した。なお、中米にはプエルトリコを保護領として維持している。

 〔ロシア帝国

15世紀、モスクワ公国がキプチャク汗国から自立し、周囲のスラブ人の国々を飲み込んでその領土を広げた。

16世紀にロシア平原を統一してロシア帝国を成立。

18世紀頃までにはシベリアをほぼ制圧。

中央アジアの多くの汗国を侵略、植民地化。

19世紀に清が弱体化すると満州のアムール川以北と沿海州を次々に併合、植民地化。

続いて全中央アジアを征服。

※領土拡張主義は第一次世界大戦によってドイツ日本などとぶつかり合い、その戦費の捻出によって経済破綻共産主義者によるロシア革命が起こってロシア帝国は滅んだ。拡大した領土はそのままソビエト社会主義共和国連邦に引き継がれ、中央アジアスラブ地域は共和国として連邦に取り込まれ、それ以外は内地となった。

 〔中国

中華人民共和国ではチベットや内モンゴル、ウイグルなどを中華民国から継承したが、清朝以前はこれらも独立した地域であり、特にチベットやウイグルは最近になって入植や開拓を進めているため、植民地といえる。ただ、チベットは近代以降も独立宣言したことがあり、イギリスなどは独立国と認めた時期がある。また中国が武力を持って併合したため、国内では最も植民地色が濃い。

 〔イスラエル

第一次世界大戦オスマン・トルコが敗北すると、中東アラブ地域は新たにイギリスフランス植民地となり、ユダヤ人が「約束の地」と崇めるパレスチナイギリス植民地にされた。そのパレスチナヨーロッパアメリカから大挙してユダヤ人が入植。アメリカユダヤ人はすでに都市部で富裕層となっており、入植を斡旋したり、入植者に資金面での援助をしたりしてきた。ナチスドイツ時代や、第二次世界大戦後にはさらに入植者が増え、イスラエルを建国。これに対し、アラブ側が反発したため、中東戦争が勃発、4度の戦争を経たが、現在もパレスチナ問題は解決していない。

 植民地の多くは第二次世界大戦後、民族独立の波に乗って次々に独立していきました。しかし、暴力(軍事力)的な直接支配は終わりましたが、目に見えない政治経済的な間接支配は続いています。次回は、その構造についてみてみましょう。

*1植民地とは、国外に移住者が移り住み、本国政府の支配下にある領土のこと。土地の権利取得については合法的になされるだけではなかったため、しばしば先住民と衝突を起こした。また先住者の独立運動が抑圧され、政治的な権利も同等ではなかったので、この点で本国と同等な政治権利を享有する「海外領土」と区別される。

シオンの議定書
 次に私の頭に浮かんだのは『シオンの議定書』という文書のことです。この『シオンの議定書』のことをどこで聞いたのか、いつ聞いたのか、まったく覚えていません。もちろん読んだこともありませんでした。しかし、何故か『シオンの議定書』のことが何度も頭に浮かび、気になってしかたないので調べてみました。

 この『シオンの議定書』は『シオン長老の議定書』とか『ユダヤプロトコール』とも呼ばれています。1897年8月29日~31日にスイスのバーゼルで、政治シオニスト運動の国際組織「世界シオニスト機構」が創設された第一回シオニスト会議が開かれました。その席上で、ユダヤ人秘密結社ブネイ・ブリスのメンバーであるアッシャー・キンズバークが発表した「シオン長老作成の24項目の決議文」が流出したものであるとされています。

 これがのちに『シオンの議定書』という通称で世界的に翻訳され、「ユダヤ指導者による世界を裏面から操りながらのユダヤ王国再興世界支配計画が明らかにされた」と物議をかもしだしました。ヒットラーは、この文書の内容をユダヤ人迫害の最大の理由づけにし、ホロコーストを起こす大きな要因にもなったとされています。

 現在、通説的には、『シオンの議定書』は1900年代初頭、ロシア政府ユダヤ人弾圧を正当化し、当時燃え上がっていたポグロム(ユダヤ人虐殺)を煽動するためにロシア帝政内務省秘密警察の手の者によって書かれた偽物であるという説が有力です。しかし、この議定書は「偽書であっても内容は本物」という評価もあり、その真偽は定かではありません。ヒトラーも「そこに書かれている内容はユダヤ人を説明するのに適している」「議定書には多くのユダヤ人無意識に行っている行為が、ここでは意識的に明示されている」 「議定書が偽書?それがどうした?歴史的に真実かどうかはどうでもよい。内容が真実であれば、体裁などどうでもよいのだ。」と発言しています。

 この文書が本物であるかどうか、判別することは今となっては不可能でしょう。しかし、その後の世界の歴史や動向、そして現在の状況をみると、決して架空の作り話とは思えない驚愕の内容です。この文書は、第一の議定から第二十四の議定まであり、非常に長文で、しかもそれぞれが超ヘビーな内容ですので、次回より小分けにしてご紹介したいと思います。

シオンの議定書 第一議定 01:16Add Star

 美辞麗句はさておいて、ひとつひとつの思想の意味を語ろうと思う。われわれを取り囲むもろもろの事実に比較と推論の光をあてようと思う。

 ここに私が提案したいのは、二つの視点、われわれ自身の視点とゴイム(すなわち非ユダヤ人)の視点から見たわれわれの体系である。

 悪い本能をもった人間の数は、善い人間の数をはるかにしのぐ。私は指摘しなければならない。かれらを統治するには、学者ふぜいの論議によってではなく、暴力とテロリズムによって達成することが、最良の方法である、と。どんな人間も権力をめざし、誰も彼もができることなら独裁者になりたがる。わが身の利益を手中にすることを抑えて、万人の利益のためにわが身を犠牲にしようという者は、めったにいるものではない。

 人間という名の猛獣を抑えてきたのは何であったか。今まで彼らを牽引してきたものは何であったか。

 社会の仕組みが始まった頃には、彼らは残忍で盲目的な力に服した。後には、法律に服した。法律も同じく力であり、仮面をつけた暴力に過ぎない。私は、自然法則に従って、権利は力の中に横たわっていると結論する。

 政治的自由は単なる思想であっていささかも事実ではない。が、政権をもっている党派を粉砕すべく、この思想を餌として人民大衆を自陣に引きつける必要があれば、その撒き方や使い方を知っていなければならない。その際、相手方が自由思想、いわゆるリベラリズム感染していれば、そして、思想のためになら喜んで全力を投げうつつもりがあるならば、仕事はさらにやりやすくなる。この場合には、われわれの所説が勝利することは目に見えている。支配の手綱が緩められると直ちに、新しい手に手綱が執られるのは、自然法則のおもむくところである。国家は盲目な力であって一日たりとも指導者なしにはすまされず、新しい権力者は単にすでにリベラリズムによって弱められた前任者の地位に座るだけだからである。

 われわれの時代には、リベラルであった支配者の位置にとって代るのは金力である。かつては信仰が支配した時代があった。自由思想は誰ひとりとしてほどよい使い方を知らない。ゆえに、実現不可能である。人民を無秩序な群集に一変させるには、かれらに一定期間自治を与えるだけで十分である。与えた瞬間から、共食い闘争が勃発し、階級間戦争に発展し、その真っただ中で国家は焔に包まれて炎上し、かれらの権威は一山の灰燼に帰するであろう。

 国家が内乱によって消耗するか、内部不一致のために外敵の手中に落ちるかでは・・どのみち、その国は回復できず滅亡するほかはない。その時こそ、われらの出番である。完全にわれわれの手中にある資本の専制力が、その国に救いの藁を差しのべると、否応なくかれらはそれに縋りつかなければならない。拒めば・・底に沈むのである。

 リベラルな考えをもっている人が、上述のような考えを不道徳であると言うならば、私は次の問いを投げ返したい・・どの国も両面の敵をもっているとする。外敵にはあらゆる策略を用い、たとえば敵には攻撃防御計画を伏せておき、夜間奇襲あるいは圧倒的優勢な戦力で撃破しても不道徳ではないとされるならば、さらに悪質な敵、社会と福利の破壊者に対して同じ方法を用いることが、いかなる理由で不道徳かつ許しがたいと呼ばれなければならないのか?

 愚にもつかぬものではあっても反対とか批判とかはありうるし、うわべのことにしか理性の力が働かない人民は、反対ということを喜ぶものである。かかる場合に、健全で論理的な精神が、道理の通った助言や議論の助けを借りてうまく大衆を導く希望をもてるのだろうか? もっぱらあさはかな情熱、つまらない信念、習慣、伝統、感傷的な理論だけに囚われている間違いだらけの人々は、党派根性にとらわれる。そうなると、完全に理の通った議論を基にしたどんな合意をも妨げる。群衆の解決というのはどれも偶然の結果か、表向きの多数決によるものであり、政治の裏を知らずに管理の中にアナーキー種子を蒔くという奇妙な解決を出航させる。

 政治は、道徳とは全く関係がない。道徳で統治する支配者は練達の政治家ではないから、彼の王座は動揺する。支配したいと思う者は・・われわれが所有する新聞に感謝する・・気付かれぬように欺瞞と偽善との双方を用いなければならない。率直とか正直とかのような、偉大な国民資質と称されるものは、政治にとっては悪徳である。それらは支配者を王座から転がり落とすのに効果あるもの、最も強力な敵よりも確実な破壊力を持つものなのである。そのような資質は、ゴイムの王国の属性でなければならないが、われわれは決して彼らの轍を踏んではならない。

 われわれの権利は力の中に横たわる。〝権利〟なる言葉は抽象的な思考であって、なんら具体性はない。その言葉は次のことを意味するに過ぎない・・わが欲するものを我に与えよ。我が汝らよりも強きことを証せんがために。

 権利はどこから始まるか? どこで権利は終るか?

 権威の仕組みが薄弱で法律が空疎であり、リベラリズムの乱用により権利を乱発し支配者たちが脆弱となった国家ならどんな国でも、私は新たなる権利を行使できる・・強者の権利によって打撃を与え、既存の秩序と法規の一切を粉砕し、すべての機構を再構築し、リベラリズムの中で放棄されてわれわれに残された彼らの権威ある権利継ぐ王者となる。

 すべての形態の権力が動揺している現在、われわれの権力は、他のいかなる権力にもまして目に見えないであろう。いかなる狡猾な者もくつがえせない強さに到達する瞬間まで、われわれの権力は表面には現われないからである。われわれが目下用いざるをえない一時的な悪から、確固たる支配という善が顕現する。この善は、自由思想によって形無しにされた国民生活の仕組みを平常の状態に修復するだろう。結果は手段を正当化する。しかしながら、われわれの計画においては、必要と有効なこと以上には、善とか道徳とかにはこだわらないことに留意しようではないか。

 われわれの前には戦略的に敷かれた計画がある。数世紀にわたるわれわれの辛苦の労働が無に帰する危険を顧みるならば、この路線から逸脱することは許されない。

 満足すべき行動を練りあげるためには、群集の狡猾さ、だらしなさ、情緒不安定、彼らの理解力の欠如を考慮に入れ、彼ら自身の生活状況、あるいは彼ら自身の福利を顧慮する必要がある。群集の力は、盲目的であり、愚かしく、何かからの暗示にかけられるがままに動き、道理をわきまえないということを理解しなければならない。盲人が盲人を導けば奈落に落ちこむのは必然である。群集の何人かが天才的な賢者であったとしても成上がり者であり、政治を理解することはできず、指導者として前を進めば全国民を滅亡の淵に落としこむのは必然である。幼児時代から特別の方式によって訓練された者だけが、政治の基本を成り立たせているABCを理解することができるのである。

 人民人民に任せれば、すなわち人民の中から出た成上り者に任せれば、権力と名誉を追うあまり党派間の軋轢と、そこから生ずる無秩序状態に自滅するのが関の山である。人民群集が穏やかに、つまらぬ嫉妬を交えた非難を言い立てずに、個々人の関心をごちゃまぜにしている国の諸問題を処理することが可能だろうか? 外敵に対して自分自身を守ることが可能だろうか? それは考えられない。群集の頭数と同じだけバラバラになった計画が、一切の同質性を失って理解を絶し、実行不能となるからである。

 全体を適切に国家のいくつかの部分に割り当てるといったふうに、大規模かつ明確な諸計画を念入りに練れるのは独裁支配者だけである。このことから、どんな国でも申し分ない統治形態は、一人の責任ある人間の手に全機能を集中したものであるという明白な結論が得られる。絶対的な独裁なしには、その人が誰であろうとも、群集によってではなく彼らを指導することによって遂行される文明の存在はありえない。群集は野蛮人であり、ことごとくの機会にその野蛮さを発揮する。群集は自由を手にしたとたんにいち早くアナーキーに転ずる。アナーキーそれ自体は野蛮の最高の段階である。

 飲酒で馬鹿になりアルコール漬けになった動物どもを見よ。自由が彼らに節度なき飲酒の権利をもたらしたのである。それはわれわれやわれわれ一族の歩む道ではない。ゴイムはアルコール飲料に酔いしれ、彼らの若者たちは因習陋習とごく若いうちから性的堕落痴呆状態となって成長する。その性的堕落は、われわれの特別な代理人・・富豪の邸宅の家庭教師、下男、女性家庭教師によって、書記その他によって、しばしばゴイムの娯楽場にいるわれらの女性たちによって手ほどきされた。彼ら代理人の最後に、私は、頽廃と奢侈に他の者たちを引き込む尖兵である、いわゆる「社交界の貴婦人たち」も入れておく。

 われわれの合い言葉は・・力と偽善である。特に力が、政治家に本質的に必要な才能の中に隠されているならば、力のみが政治的諸問題を克服する。暴力は原則でなければならず、新権力の代理人の足もとに王冠を置こうとしない政府に対しては欺瞞と偽善が鉄則でなければならない。この悪は終局である善に達するための手段にすぎない。それゆえに、われわれは、目的達成のために役立つときは、贈収賄詐欺、裏切りをためらってはならない。政治の上では、支配権を握って屈伏させるためならば、躊躇なく他人の財産を奪い取る方法を知っていなければならない。

 平和的な征服の道を進んでいるわれわれの国家は、盲目的な服従を強いるために恐怖を維持する必要から、目につかないけれども効果のある死刑宣告をもって戦争の恐怖にとって代える権利を持っている。仮借ない厳しさだけが、国家の強さを見せつける最大の力である。単に利益を得るためのみならずわれわれの義務としても、また、勝利のためにも、われわれは暴力と偽善による計画を保持し続けなければならない。報復主義は使われる手段と同じく、有無を言わさず強力である。それは手段そのものであるというよりも、われわれが勝利し、すべての政府をわれらの超政府にひざまづかせる厳格な教義なのである。われわれは容赦なく不服従というものを根絶することを、十二分に思い知らせる。

 はるか以前の時代に遡れば、われわれは人民群集の中にあって「自由・平等・友愛」という言葉を叫んだ最初の人間であった。以来、幾度となく愚かなオウムたちが四方八方からこの餌に群がり集まり、世界の福利と、以前は群集の圧力に対してよく保護されていた個々人の真の自由を、この餌をもって破砕し去った。ゴイムのうちの賢者になりたがり屋ども、知識人たちは、もともと中味のないこれらの言葉から何も作り出すことができなかった。これらの言葉が意味するものと相互関係とを否定することには考え及びもしなかった。どこをどう見ても平等はなく、自由などありえず、自然そのものはその掟に従わせるように作られているのと全く同じく、気質、性格、能力が不平等に作られていることを見なかった。群集が盲目であること、支配を頼むためにその中から選挙された成り上がり者は、政治に関しては群集と全く同じく盲人であること、政治の奥義を授けられたる者は多少愚かであっても統治ができるが、反面、大天才であったとしても奥義を授けられない者は政治に関しては無知蒙昧であることを、決して考えようとはしなかった・・これらのことを、ゴイムは一切顧みなかった。しかも一貫して王朝支配が保たれたのは、これらの奥義に依ってきたからである。王室以外の者や統治される者には誰にも知らされない政治統治の奥義は、父から子へ一子相伝で伝えられたのである。時代が過ぎ、政治の要諦を一子相伝する意義が失われた。これこそ、われわれの主義を成功に導く絶好の機会であった。

 地球のいたる所で、われらの盲目の代理人たちのおかげで、「自由・平等・友愛」という言葉が、われらの旗を熱狂的にかざす大群を、われわれの隊列に引き入れてくれた。これらの言葉はまた常に、ゴイムの福利に穴をあけ、いたる所で平和、安寧、協同に終止符を打ち、ゴイムの国家の基礎を破壊する生きたエダシャクトリ[果樹の害虫]であった。後に述べるように、このことがわれわれの勝利を助けた。とりわけ、われわれが切札を手中にする可能性をもたらした・・特権の破壊、言い換えればゴイムの貴族支配の存在そのものの破壊である。唯一、人民と国とを守るこの階級は、われわれに敵対したのである。ゴイムの血統的な、系図上の貴族階級を滅亡させた所に、われわれは、金力の貴族が主導する、われらの教育を受けた階級を貴族として樹立した。われわれはこの貴族政治の特徴を、われわれ自身のものである富と、われらが学識ある長老たちが備蓄した知識とによって確立した。

 われわれの勝利をいっそう容易ならしめた事実がある。好ましい人物たちとの関係を保つことによって、われわれは常に人間の心の琴線に触れ、金銭欲に、貪欲に、人間のあくことを知らない物質的欲望に働きかけた。言うまでもなく、これら人間の弱点のひとつひとつには、独創性を麻痺させる効果がある。この弱点のゆえに、かれらの行為に金を出してくれる人間に、自分の意志の最終決定をゆだねるのである。

 自由という言葉の抽象性のゆえに、われわれはすべての国の群集に、彼らの政府は国の所有者である人民のための豚小屋の番人に過ぎないのだ、番人は破れた手袋のように取り替えていいものなのだと説きつけることができた。

 人民の代表は取り替えられるものなのだ、ということは、われわれが自由に利用できるということであり、言うなれば、任命権をわれわれに預けたことになるのである。

シオンの議定書 第二議定 00:20Add Star

 われわれの目的には戦争は欠くべからざるものである。が、できる限り、戦争が領土的な利益をもたらさないように仕向けるべきである。そうすれば、戦争経済に基盤を置くようになり、各国はわれわれの支配の強力さを思い知らされるであろう。また、当事国は双方ともわれわれが国境を越えて放った代理人団の思うがままに操られるだろう。私個人にはどんな制約があろうとも、かれらが百万の眼を持っていて監視するから、身動きがとれないなどというがない。世界にまたがるわれわれの権利は、各国の権利を一掃するだろうが、国家の市民法が国民の関係を律するのと全く同じように、普通の権利という意味で、われわれの権利が正確に各国を律するであろう。

 われわれが公衆の中から選んだ行政官たちは、奴隷のように従順な資質であるかどうかを厳しく監視され、支配技術に長けた人物にはさせないだろう。それゆえに、彼らが、全世界の諸問題を律すべく幼年期より養育された助言者・専門家である学識者と天才の手の内にある将棋の駒となるのは容易である。諸氏もご存知のように、これらわれらの専門家たちは、歴史の教訓や一瞬一瞬の現実の出来事の観察から、われらの政治計画に必要とする知識を体得しているのである。ゴイムは偏見なく歴史的観察を実際に適用することなく、一連の結果に厳しい批判を加えることなく、空理空論に走る。ゆえに、われわれは彼らに一顧も与える必要もない・・時が一撃をくらわせるまで楽しませてやろうではないか。過去の栄光に新しい形を与える希望に生きさせてやろうではないか。古き良き思い出にひたらせてやろうではないか。彼らには、われわれが〝科学が説くところでは〟(学説)と吹きこんだことを後生大事にいつまでも守らせておこうではないか。われわれが一貫して、新聞を通じて、声を大にしてそれらの学説を盲信させているのは、そのことが目的である。ゴイムの知識人たちは、彼らの知識にいい気になり、論理的検証を行なうことなく科学から得た知識すべてを信じこむだろう。その知識たるや、われらの代理人団たる専門家が、ゴイムの心魂を手なづけてわれわれが望む方向に赴かせんがために、巧みに断片を寄せ集めたものなのである。

 ここに述べたことは根も葉もないことであるとは、瞬時たりとも考えないでいただきたい。われわれが仕掛けたダーウィン主義、マルクス主義ニーチェ主義が、いかに功を奏しているかに注目していただきたい。われらユダヤ人にとっては、少なくとも、これらの指導者たちがゴイムの心魂に及ぼしたことを直視すれば、事は明白であるはずである。

 政治上の、また、行政上の諸問題の方向において些細な誤りを避けるためには、各国民の思想、性格、傾向を顧慮することが絶対に必要である。われわれの方式は、われわれが遭遇する人民の気質に応じてさまざまに仕組みの組み合せが案配されるけれども、もしも現在の光に照らして過去の教訓を集約することを怠れば、この方式の勝利はおぼつかないだろう。

 今日の国家は、人民の世論を創り出す強力な力をその手に持っている。すなわち、新聞である。新聞が果たす役割は、必要欠くべからざると考えられることを指摘し、人民の愚痴にはけ口を与え、不平不満を表明し作り出すことにある。言論の自由の勝利が具体的になるのは新聞においてである。だが、ゴイムの国家は、いかにこの力を効果的に使うかについては知っていたためしがなく、新聞はわれらが手中に落ちた。新聞を通じて、われわれはその背後にあって、影響力を行使した。ヴァイスマン博士が、われわれが血と汗の大洋を越えて集結してきたにもかかわらず、金力がわれらの手中にあることを知悉していることは他言を要しない。われわれは、あまたの同胞を犠牲にしてきたけれども、十分に報いられている。わが方の犠牲の一人一人は、神の見られるところでは、ゴイム一千人に相当するのである。

シオンの議定書 第三議定 01:55Add Star

 今日、われわれはあと数歩で目標に到達せんとしていると言ってよい。横切るべき空間はあとわずかを残すのみであり、われわれが歩んできた長い道のりは、今まさに象徴の蛇の輪を閉じようとしている。その蛇は、わが民を象徴している。この輪が閉じられるとき、ヨーロッパのすべての国家は強力な万力によって締め上げられるのである。

 当今の国政機構の天秤はほとんど破壊しているも同然である。なぜならば、われわれが、支点を軸として揺れ動き転回させるべく、正確な均衡を欠くように設定してあるからである。ゴイムはしっかり固定してあると思い込んでいて、天秤が釣り合いを取り戻すはずだと、ずっと期待し続けている。だが支点・・王座に即いている王たち・・は、自分たちで押えが利かず無責任極まりない力に困惑する阿呆の役を演じる代議員たちに取り巻かれている。この力は、宮殿内に吹き込まれてきたテロルに負うている。王たちには人民に近付く手だてがない。まさに取り巻き連中のド真中で王位に就いている王たちは、もはや人民を受け入れ、権力を追い求める者たちに対抗する強い力を与えてやることができない。明敏な統治権力と人民の盲目の力との間に、双方ともがあらゆる意味を失うように、われわれは深い溝を設けた。盲人と彼の杖のように、両者は離れ離れにされれば全くの無力となる。

 権力を追い求める者たちを煽動して権力を誤用させるため、われわれは、すべての勢力を相対立させ、独立を得ようとする自由主義傾向を鼓吹するように仕向けてきた。この目的に向って、われわれはどんな形の企てでも指嗾教唆し、あらゆる政党に戦闘準備させ、どんな野望の目的をも権威に対して向けるようにさせた。国家というものを、われわれは混乱した問題の大群が争乱する競技場と化せしめたのである……ほどなく、混乱と破綻があまねく広がるであろう。

 あとからあとから出てくるおしゃべり屋たちが、議場と行政会議の場を討論会場に変えてしまった。向う見ずなジャーナリスト破廉恥なパンフレット屋が毎日のように政府当局を攻撃する。権力に対する悪口雑言はすべての制度を転覆させる最後の一太刀となり、ことごとくが狂乱した群集のめった打ちに会って空中に吹き飛ばされるであろう。

 なべての人民は、奴隷や農奴として縛り付けられていたかつての時代よりもきびしく、貧困なるがゆえに重い労働の鎖につながれている。なんとかして彼らはこの束縛から逃れようとするかも知れないが、この重荷を取り除くことはできず、決して貧困からは脱却できない。われわれが憲法に書き込んだ大衆に関する権利というようなものは、虚構であって実際に使える権利などではない。いわゆる「人民の権利」なるものは、単なる観念、実際生活では決して実現されるはずのない観念としてのみ存在することができる。おしゃべり屋には無駄口をたたく権利があり、ジャーナリストには良いことも書くが阿呆なことを書きなぐる権利があるとして、生活の重荷に打ちひしがれ、重き犠牲に腰を二重に折り曲げているプロレタリア労働者には、何があるというのか。かつてプロレタリアートは、われわれが説きつけたことに賛成し、われわれが権力の中に潜ませておいたわれらが代理人団の手下に賛成して投票した見返りに、われらが食卓からパン屑を恵んでもらっただけで、憲法からは何の利益も得られなかった……貧者についての共和国の権利とは、皮肉以外の何ものでもない。なぜならば、ほとんど一日中働いている労働者に必要なものは、憲法を使うことによっては全く与えられないのだが、その一方で、彼は仲間たちが打つ同盟罷業や主人が行う工場閉鎖によって、確実な生活の資をすべて奪われるからである。

 われわれの誘導によって人民は、貴族階級を全滅させてしまった。人民の福利と密接に結びついた貴族自身の利益のために、貴族階級は人民の唯一の保護者であり養い親であった。現今では、貴族階級の滅亡によって、人民労働者の首に残酷無慈悲なくびきをつないだ守銭奴の手中に落ちた。

 われわれは、労働者にわが戦列・・社会主義者、無政府主義者、共産主義者・・に加わるよう提案し、振りかかる圧迫から彼らを救出する救世主を買って出る。われわれは、われらがメーソン員が言われなく唱えた(人類団結という)兄弟の定めどおりに、一貫して主義者たちを支援している。貴族は、法律によって労働者が提供する労働の恩恵を受け、労働者たちがよく食べ、健康で、強壮であるかどうかに関心を払っていた。われわれは全く反対のこと・・劣化、ゴイムから生命を奪うこと・・に関心を寄せている。われわれの権力は、労働者の慢性食料不足と肉体的虚弱を必要とする。まさにそうしておいてこそ、彼はわれわれの意のままに従うようになり、われわれに敵対する強さも意志もなくなり、自分たちの権威を見つけ出そうとはしなくなる。王たちが正当に貴族に与えた権力よりも、さらに確実に労働者を資本の権利に従わせるのが飢えである。

 飢えが引き起こす貧困と嫉妬と憎悪によって、われわれは群集を動かし、彼らの手を使ってわれらが行く手を阻む者すべてを掃討するであろう。

 全世界王が王冠を戴く時が至れば、同じ方法を用いて障害となるものをことごとく一掃するであろう。

 ゴイムはわれらの専門家たちの助言なしには、考えるという習慣を失ってしまった。ために、彼らは、われらの王国が実現したあかつきには、直ちに採択しなければならない必要欠くべからざることが見えない。すなわち、公教育の場においては、唯一単純かつ真実の知識、全知識の基礎を教えることが肝要であるということである・・それは、人間生活の構造に関する知識、社会存在のあり方に関する知識、労働には分業が必要であり、従って、人々は階級と身分に分かれなければならないということである。人間活動の実際にはさまざまな差異があって、平等などというものはありえず、なんらかの行為で階級全体に累を及ぼす者と、自分自身の名誉を傷つけるだけの者とは、法律の前では平等の責任を負うはずがないということは、万人が心得ておくことが肝要である。ゴイムには知らされていない秘密であるが、社会構造の真の知識は、身分とかけ離れた仕事をさせないようにしなければならず、個々人に要求される仕事と受ける教育との落差が悩みの元にならないように、万人に実地をもって示そうと思う。この知識を完璧に身に付けたあかつきには、人々は進んで権威に服従し国家に指示された仕事を受け入れるであろう。現状の知識とわれわれが人民を育成してきた方向からいえば、印刷されたものを鵜呑みにし・・われわれがかれらに誤りを吹き込んできたためと、彼ら自身の無知のおかげとで・・これまでに考察した身分という身分に対して、全面的に憎悪を燃えつのらせる。それは階級と身分の意味を全く理解していないことから来ている。

 この憎悪は、〝経済危機〟の効果で数倍もの火の手を挙げるだろう。経済危機たるや為替取引を中止させ、工業を停止させるだろう。われわれは、自分たちが熟知している隠密な方法を総動員し、すべてわれわれの手中にある金力の助けを借りて、大規模な経済危機を作り出し、それによって全ヨーロッパ諸国の労働者群集をいっせいにまとめて路上に放り出すだろう。これらの群集は、ただ単に無知であるがゆえに、揺籃時代から羨み妬んでいた連中を喜んで血祭りにあげ、連中の財産を略奪できるだろう。

 彼らは〝われわれのもの〟には手をつけない。なぜなら、襲撃の時機を知っているのはわれわれであり、われわれは財産を守る手が打てるからである。

 われわれは進歩こそがすべてのゴイムに理性の支配をもたらすだろうと強調してきた。われわれの専制は一分の隙もない独裁である。それがいかに、炯眼厳格な方法によってあらゆる不満を鎮圧し、すべての制度慣習のリベラリズム麻痺させるかを知るだろう。

 一般大衆はあらゆる種類の利権特権は自由の名のもとに生み出されたと見ていて、君主がそれを握っていると思い込み、怒涛のように襲いかかったが、盲人の習いでおのずとあまたの石に蹴つまづく結果となり、案内人を求めて猛進したが、今さら昔の状態に戻ることはできず、われらの足下に全権をゆだねてしまったのである。フランス革命を想起していただきたい。それを「大革命」と名付けたのはわれわれであった。その準備が秘密裡に行われたことを、われわれは熟知している。あの革命は全面的にわれらの手で遂行した一大事業であったのである。

 その時以来、われわれは人民を幻滅から幻滅へと導き、その帰結として最終的には、彼らは、われわれが世界のために準備している、シオンの血を受けた専制君主に、われわれにも頼らずしても賛同するに至るはずである。

 今日、われわれは多国家にまたがる勢力として無敵である。何者かが攻撃しようとも、われわれは他の国家に支援されるからである。ゴイム人民の底無しの無気力さ、権力の前には腹這いになって這いつくばるが、弱者には無慈悲、他人の過失には厳しく、罪悪には寛容、自由社会制度の矛盾は認めようとしないが、思い切った専制者の強圧に対しては殉教者のように耐える・・われわれの今日をあらしめたのは、[ゴイムの]それらの特徴に助けられたところが多い。現在の首相という専制者のもとでゴイム人民は呻吟しているけれども、かつてならその何分の一かの権力乱用でもあれば、王の二十人ぐらいは打ち首にしたであろう。

 この現象、同じ性質の事象と見えることに対する人民大衆のこの矛盾撞着はどう説明したらよいのか?

 ここには厳然たる事実がある。現代の専制者たちは彼らの代理人を通じて、人民に向いこうささやくのである。権力をこういうふうに使えば、国家には害を及ぼすけれども、崇高な目的にはかなっているのだ・・人民生活保護、国境を超えた人民どうしの友情、連帯、平等の権利という目的には。言わずもがなのことではあるが、彼らは、これらすべてはわれらの統治支配のもとで初めて実現するものだとは言っていない。

 かくて人民は正しいものを罰し、不正なるものを許し、前にもまして、望んだことは何でも実現できると信じ込まされるのである。このような事態のおかげで、人民はあらゆる種類の安定をくつがえし一歩一歩混乱を生み出している。

「自由」なる言葉は、さまざまの人間集団に、あらゆる種類の権力、あらゆる種類の権威、さらには神や自然の掟に対してまで闘争することに入らせた。このため、われわれがわれらの王国を実現したあかつきには、群集を血に飢えた獣に改造する暴力的概念であるこの言葉を、われわれは、目に触れる辞書からは抹殺するであろう。

 獣たちは血をたらふく呑んで腹がふくれると眠り込むので、鎖につなぐのはいともたやすいというのは事実である。だが、血を呑まさなければ彼らは眠らず、引き続き闘争を続けるであろう。

シオンの議定書 第四議定 01:29Add Star

 どんな共和国もいくつかの段階を経る。その最初は、かなたこなた、右に左に攪乱された盲目の群集の狂瀾が猛威を振るってやまないことから始まる。次はデモゴギー、つまり民衆煽動である。ここから無政府状態が生じ、無政府状態は必然的に専制に向う・・合法的とも明白とも言えない専制、専制の総本山、目には見えず密かに姿を隠し、にもかかわらず目立ってそれと解る、あれこれの秘密組織の手による専制、その活動は幕の蔭であらゆる代理人の背後で働くだけに、手きびしいことでも平気でやる。それら代理人たちは交代するので、不当に襲われないばかりか、秘密の勢力を効果的に助けている。しばしば交代するおかげで、長期活動の報酬が節減できるのである。

 見えない勢力というものを転覆する位置にあるのはいったい誰か? ここにこそわれわれの特徴がある。非ユダヤ人を入れてあるメーソン員は、われわれとわれわれの目標の前に立てられた屏風として隠密裡に活動するが、わが勢力の活動計画は、その所在すら人民には全く謎に包まれたままにされる。

 しかし、自由が神に対する信仰や人類愛に支えられ、平等思想と結びつかないならば無害なものであり、人民の安寧幸福になんら害を与えず、国家経済の中に居場所があってもよろしいが、平等思想は自然法則にもとるものであって、平等思想が一段下の思想であることは動かないところなのである。このような信仰をもって、人民が教区の保護のもとにあり、地球に対する神の支配に従う牧師の手に導かれ満足して敬虔に歩んでくれるならいい。そうでないからこそ、われわれは信仰という信仰を蝕み、ゴイムの心から神の摂理と霊魂なるものを引き離し、代わりに損得勘定物欲を入れることが絶対不可欠なのである。

 ゴイムに考えたり留意観察したりする暇を与えないためには、彼らの気持を工業や商業に向き放しにさせなければならない。そうしてこそ、国民という国民が利益追求に没頭し、そのあげくに彼らの共同の敵に気をとめなくなるだろう。重ねて述べるが、自由がゴイム社会をきっぱりと崩壊滅亡せんがためには、投機を産業の基礎にしなければならない。その結果、産業が国土から引き出したものは、いくつかの手を通り抜けて投機に手渡される、すなわち、われらが階級に転り込むであろう。

 他人よりも優位に立とうとする激烈な闘争と、経済生活に加えられた打撃とは、薄情冷酷きわまりないな社会を生み出すだろう、いや、すでに生み出している。かように社会は、政治宗教など高度のものに対する反発を強めるだろう。彼らの生きがいは唯一、利益、すなわち金を集めることである。彼らは金があれば手に入る物質的喜びを求めて、まぎれもなく拝金教徒と化すだろう。次いで時至れば、高尚な目的のためでもなく、また、富を得んがためですらなく、ただただ特権ゴイム憎しのために、ゴイムの下層階級は権力をめぐるわれらの競争相手、ゴイムの知識人たちに逆らってわれらの指導に従うであろう。

シオンの議定書 第五議定 00:25Add Star

 いたる所で腐敗が広まっている社会、富者だけが詐欺同然の悪賢い奇策に富んだ社会、たるみ切った社会、道徳が進んで守られるのではなく、懲罰厳罰によって維持される社会、信仰心愛国心が無国境主義的信念に一掃された社会に、どんな種類の統制支配なら適用できるか? あとで述べるような専制支配以外に、どんな支配形態ならこのような社会にあてはめられるか? われわれは社会の全勢力をこの手に掌握せんがため強力に集中化した政府を樹立しようと思う。われわれは新たな法律によって、国民政治生活すべてを手加減することなく律しようと思う。それらの法律は、ゴイムが許してきた寛大とか特典とかを一つづつ全部取り潰すだろう。いかなる時にもいかなる場所でも、行動や言葉でわれらに盾突くゴイムを一人残らず一掃する立場で臨み、専制ということの強力さを遺憾なく発揮するのが、わが王国の特徴である。

 私が述べているような専制は、時代の推移にはそぐわないという意見も聞くが、事実は正反対であることを証明しよう。

 人民が王は神の意志を純粋に体現した者だと見ていた時代には、なんの不平不満も鳴らさずに王の専制権力に従った。だが、人民には権利というものがあるという考えをわれわれが彼らの心に植えつけてからは、彼らは王座に座る者を単に普通の人間とみなし始めた。〝神権による王〟の聖油は人民が見ている前で王たちの額から消え失せてしまい、われわれが人民から信仰心を奪った時に、権力の強力な力は飛び散って公共の所有権となり、われわれがそれを押収したのである。

 加えるに、巧妙に仕組まれた学説と詭弁により、社会生活の制約やその他ありとあらゆる方便により、あるいは、ゴイムにはまるで解らない手段を動員して群集や個々人を支配する技術は、他の技術と相並んでわれらが支配の中枢である専門家がもともと手中にしていたものである。分析、観察、精緻な計算に育てられ、この種の熟練技術に関してはわれわれには肩を並べる者がいないこと、練り上げられた政治行動と固い結束のどちらかではわれわれの競争相手がいないのと同じである。いるといえば、イエズス会だけはわれわれと比べられるだろうが、われわれは無分別な群集の目には見える組織として存在するとは信じられないように工夫してきた。その裏でわれわれは終始一貫秘密の組織を維持し続けてきた。カトリックの首領であろうとシオンの血を受けたわれわれの独裁者であろうと、専制君主専制君主であることに変わりはない。が、神の選民であるわれわれにとっては、このことは無関心ではいられないのである。

 ほんの一時は、われわれが全世界のゴイム連合にうまくしてやられることもあったやも知れぬが、ゴイムの間には今では決して取り返しのつかぬほど深く根を張った不一致があるので、われわれはついぞ危険にさらされずにいる。われわれは、ゴイムを宗教的・人種的憎悪によって個人も国民も対立反目応報を繰り返すように仕組んだ。

 このことを過去二千年にわたって営々と積み重ねてきたので、手が付けられないほど劇しいものになっている。これが、われらに腕を振り上げたとしても、支持してくれる国はどこにもただの一国もない理由である。われわれに対抗する同盟を結べば自分が不利になることを、どの国も肝に銘じているからである。われわれはあまりにも強力である・・われわれの力を逃れおおせるものはない。国家はわれわれの蔭の関与なしには、ほんの些細な協定を結ぶことすらできないようになっている。

 Per Me reges regnant.(王は我によりて支配する)。預言者たちによれば、われわれは世界のすべてを支配すべく神自身に選ばれたのである。神はわれわれがこの使命を遂行できるように、われわれに天与の才を授けられた。仮に反対陣営に天与の才が授けられたとしたら、われわれに闘いを挑んでいたであろうが、駆出し者というものはしょせん古くから定着している者には太刀打ちできない。われわれと彼らのと闘いは、この世が始まって以来見たこともないような熾烈を極めたものとなったであろう。さよう! 彼らの天才は現われるのが遅過ぎたのである。すべての国家機構を動かす車輪はエンジンが駆動する。エンジンはわれらの手中にある。国家機構のエンジンとは・・金である。わが学識ある長老たちが創造した政治経済学は、長期にわたって資本に君主のような威信を与えてきた。

 資本、それが束縛なく相携えて力を発揮するには、存分に工業と商業の独占がはかられねばならぬ。そのことはすでに世界のあらゆる隅々で、見えざる手によって実践に移されていることであり、そのことは人民を圧迫する助けとなろう。今日では、人民武装解除させることは、戦争に赴かせることよりも重要である。さらに重要なことは、われわれの都合からいえば、人民の焔を抑えることよりも燃え上らせることである。さらに重要なことは、他人の考えを根絶するよりは、その考えをすばやく掴みとり、われわれに都合がよいように翻案することである。われわれの役員会が採択している原理に次のことがある。非難によって大衆を意気阻喪させること、抵抗心をかき立てるまじめな思考をさせないようにすること、心の力を空理空論の論争にそらさせること。

 いつの時代でも世間の人民は、個人も同様であるが、言論と行動とを混同してきた。競技場で見ることに満足しているが、約束されたことが実行されているかどうかを考えてみようとする者はめったにいなくて、もっぱらショーを見るだけで満足している。そこでわれわれは、人民の利益が進歩に向っていると声高く証明するショー団体を作るだろう。

 われわれは、あらゆる問題について、リベラルな顔つきを装おって全政党に入り込み、聞き手が嫌になるほど喋り立てて、弁論に対する嫌悪を植え付けるだろう。

 世論をわが方に引き寄せるには、あらゆる角度から意見続出させ、相反する説をいくつも並べ立て、ある期間、十分ゴイムの頭を迷路に迷い込ませて、一番いいのは政治上のことには何も意見をもたないことだと思い至らせなければならない。政治のことは一般大衆には解らない。なぜなら、大衆は自分たちを導く者を通じてしか理解できないからである。これが第一の秘訣である。

 統治に成功するのに必要な第二の秘訣は、次のことにかかっている。すなわち、広い範囲にわたり国民の欠点、習慣、情欲、市民生活の状態を増殖させ混沌に陥れ、その中にあっては自分がどこにいるのか見当がとれない有様にさせると、その結果、人民相互の理解ができなくなる。これこそ別の意味でわれらにとっては有利なこととなる。すなわち、諸党派の中に軋轢の種子を蒔き、まだわれわれに従わおうとしない集団を撹乱し、どの程度のものであれわれわれの仕事を妨害するような個人の企てに対して片っ端から気勢をそぐことになるのである。個人の企てほどまたとなく危険なものはない。その裏に天才があろうものなら、このような企ては、われわれが軋轢の種子を蒔いた人民何百万人にも勝る力を持つのである。われわれはゴイム社会の教育を指導する際には、彼らが何か創意を示す徴候があれば、いつでも気力を失って絶望してしまうように仕向けなければならない。自由奔放な活動というものは、別の自由奔放さに出会うと無力になる傾向がある。衝突すると、容易ならぬ精神的打撃、失望、意気消沈が起こる。これらありとあらゆる手段を駆使して、われわれはゴイムを疲労困憊させたあげく、国境を越えた現実の力をわれわれに提供せざるをえなくなるだろう。その現実の力は、いかなる暴力も用いることなく、世界中の国家支配力を次第に吸収して、超政府を形作るのである。今日の支配者たちに代わって、われわれは超国家管理機関という怪物を設けるであろう。その手は鉗子のようにあらゆる方向に伸び、その組織は巨大な規模に広がり、世界中の人間という人間を制圧せずにはおかないだろう。

シオンの議定書 第六議定

 われわれは近く巨大な独占を確立し始めるだろう。それはゴイムの巨万の富がすっぽり入るような、並外れた富の貯水池である。政治的破滅に続く時期には、政府の債権ともどもゴイムの財産も枯渇するだろう。

 御列席の経済人諸君は、この連携作用の趣旨を評価されるのにやぶさかでないと思われる。

 あらゆる手だてをつくして、われわれに進んで従う者すべての保護者、恩人を代表するものとして、われらが超政府の重要性を強調しなければならない。

 ゴイムの貴族は政治的勢力としては死んだ・・われわれは彼らに考慮を払う必要はない。だが、土地の所有者としては、彼らが生活している土地の資源を使って自給自足しているという事実をもってする限り、無害な存在ではあるだろう。従って本質的な問題は、原価がいくらかかろうとも、彼らから土地を奪うということにある。この目的達成の最も良い方法は、土地を所有していることが、だんだん重荷になるようにすること・・負債で土地を圧迫することである。このためには土地所有の状態を監視し、高慢にさせずに無条件に服従させ続けるだろう。

 ゴイムの貴族は、生れつき足りることを知らないので、急速に燃えつきたり、初めはうまく行っても失敗に帰するだろう。

 そうなったらすかさず、われわれは無条件に商業と工業の保護者にならなければならないが、真先になさねばならぬのは投機である。それは産業に平衡力をつける役割がある。投機産業がないと個人の手中にある資本がふくれて、土地銀行からの負債をなくさせ農業の復活を助けることになるだろう。われわれが欲するのは、産業に土地から労働と資本を吐き出させることであり、投機という手段で世界の金すべてをわれわれの手に移すことである。そうしてこそゴイムは、ほかに生きる理由がなくて生存する権利を得ようというなら、われわれの前にひざまづくほかはなくなるだろう。

 ゴイムの産業を完全に滅亡させるには、投機の助けを借りて、われわれがゴイムの間で盛んにしてきた奢侈、何もかもを呑み込んでしまう奢侈に対するあくなき欲望をつのらせるだろう。しかしながら、われわれは労働者には好都合にならない程度に賃金の上昇をはかるだろう。同時に、農業や家畜飼育が駄目になったから上がるのだという理由を付けて、生活必需品の価格をあげるだろう。われわれはさらに進んで、労働者を混乱浸し酒漬けにし、それに加えるに、ゴイムの頭の良い者たちをすべてこの世から根絶すべくあらゆる処置を講じ、生産の根源力を巧みに深く蝕むだろう。

 時期尚早のうちにゴイムに真相をさとられないようにするために、われわれは仮面をつけて、われらの経済学説が精力的に宣伝する偉大な政治経済原理のもと、いかにも労働者階級に役立つかのように情熱を傾けて説き伏せるだろう。

シオンの議定書 第七議定

 軍事力増大と警察力強化・・この二つを欠いては、前述の計画を完成させることは全くできない。われわれの到達目標は、われわれを除いては、世界のすべての国家には、プロレタリアート群集とわれわれの利益に奉仕する少数の百万長者と、警察官と兵隊たちだけがいればよろしい。

 ヨーロッパ全土、また、ヨーロッパとの関係を通じて他の大陸にも、われわれは騒乱と混乱と敵愾心を起こさなければならない。そのことは、われわれにとっては二重の利益がある。まず第一に、すべての国々を抑制できる。われわれが意のままに混乱を作り出し秩序を回復する力を持っていることは、よく知られているからである。これらすべての国々は、われわれには圧政に欠かせない力があることを見慣れている。第二に、われわれは策謀を駆使して、政治的手段により、経済条約あるいは借款協定により、すべての国々の内閣の内部に伸ばしてあった糸という糸をもつれにもつれさせるであろう。このことを成功に導くためには、われわれは交渉協定締結の際に狡猾さと洞察力とを発揮しなければならないが、いわゆる「表向きの言葉」を使うときには、心とは裏腹に正直従順を装おい続ける。このようにして、ゴイムの個人や政府は、われわれが見せてやることなら何でもうわべだけを見るように躾けられているので、われわれを恩人とか人類の救世主と思い続けるのである。

 われわれに反抗する国がある場合は、その隣の国から戦争を仕掛けさせ、反逆行動をことごとく叩き潰す位置にいなければならない。しかし、その隣国も束になって反抗するならば、その折にはわれわれは世界戦争という手段に訴えて対抗しなければならない。

 政治上で成功を収める根本原則は、企図を秘匿することにある。外交官は言行一致してはならないのである。

 ゴイムの政府は、すでに完成の域に達しつつある、われわれが練り上げた大規模な計画に沿うように行動させなければならない。何によってかといえば、いわゆる「強国」と称する手段を使い、ひそかにわれわれが吹き込んだ世論というものによってである。「強国」・・それは新聞である。その中には、ごくわずか例外はあるが、すでに完全にわれらの手中にある。

 ヨーロッパにおけるゴイム政府を統制する政策を一言に要約すれば、一国をテロ攻撃してわれらの強力さをすべての国に見せつけることにあり、もしもわれわれに対して総決起することでもあれば、われわれはアメリカ支那日本の火砲を向けさせて応戦するだろう。

シオンの議定書 第八議定

 われわれは、敵対者がわれわれに向って使いそうな武器をすべて備えていなければならない。われわれは、常軌を逸していると思われるほど大胆かつ不正な裁定を下さなければならない場合のために、言葉の微妙な綾を探し出し、こんがらがった法律用語を駆使して事態を正当化しなけれはならない。そして、この裁定が最も高潔で道徳にかなったことを法律用語で言っているのだと思わせるように、はっきり述べることが肝要である。われわれの幹部団は、周囲に全分野の知的人士を従え、その中心にあって仕事をするようにしなければならない。幹部団は、政界人、老練な法曹人、行政官、外交官、そして決定的に重要なことは、われわれの特別な教育機関で特別教育を受けた人士で構成されるだろう。これらの人士は、社会構造のすべての機微を知っていて、政治の初歩から要諦までのすべての用語に通じている。これらの人士は、人間の裏側すべてに通じ、彼らが操作しなければならない人間機微の体系を熟知している。それらの体系とはゴイムの素質、欠陥、悪習、本質、階級、身分の特徴など、考え方・感じ方の類型を意味する。言うまでもないことであるが、われわれの陣営の補佐役をゴイムから選んではならない。彼らは何が目的かを考える苦労をせず、何が必要なことであるかを決して熟考せずに事を運ぶことに慣らされている。ゴイムの役人たちは、書類に目を通さずに署名をしている。報酬目当てか野望のためかで仕事をしているのである。

 われわれは全世界の経済人にわれらの政府を取り巻かせるであろう。ユダヤ人教育の主たる内容が経済学であるのは、この目的のためである。さらに、われわれの周囲には、銀行家、産業人、資本家・・大切なことは・・百万長者といった人たちのきらびやかな群がいる。実際のところ、万事は金で解決がつくからである。

 しばしの間、もはや政府の要職にユダヤ人兄弟を据えても危険はないという時期まで、その椅子には別の人間を座らせよう。とかく過去や世評に何かとあり、国民との間に溝がある人間を、である。その人間がわれわれの意に従わない場合には処刑し放逐しなければならない・・彼らが最後の息を引き取るまで、われわれの利益を守らせるために。

シオンの議定書 第九議定

 われわれの原理を実行に移すにあたっては、諸兄が現に居住し活動している国々の人民の性格を考慮していただきたい。われわれが作った鋳型で人民を再教育し終らないうちは、一律に原則を当てはめようとしても成功はしない。しかし、慎重に適用するならば、ものの十年とたたないうちに、最も頑固な人民でも変わり、すでにわれわれに従っている列伍に新しく加わってくるのが解るだろう。

 リベラルな言葉、われらがメーソンの標語として効果の高い「自由、平等、友愛」は、われわれの王国が到来した暁には、もはや標語としては使わせず、「自由の権利、平等の義務、友愛の理想」というふうに単なる理想主義を表現したものに変える。これがわれわれのやり方・・牛は角を捕えよ・・なのである……実際にはわれわれは、われわれ自身以外のものは、あらゆる種類の支配を一掃したけれども、法律上はまだ数多くのものが残っている。今日では、どこかの国がわれらに対して反抗を示したとしても、われわれの裁量下、われわれの指導下にあって形式的に反抗してあるに過ぎない。一例として反ユダヤ主義は、われわれが下層の兄弟たち[ユダヤ人]を監視するには必要欠くべからざるものだからである。この問題に関してはすでに討議が重ねられているので、これ以上立ち入らない。

 われわれの行動範囲には限界を遮るものがない。われらの超政府は、すでに強力絶大な言葉で現わされている超法規的な状態で存続している・・すなわち独裁である。私は衷心からから申し上げるが、しかるべき時に、われわれは法律を作り、裁判と宣告を行う。われわれは生殺与奪を実行する。われわれは全軍の先頭にあって、指導者の軍馬にまたがる。われわれは意志の力で支配する。なぜならば、かつて権力を握っていた党派の残党も、今やわれわれに屈伏し、われわれの掌中にあるのである。われらの手中にある武器は、貧欲、容赦なき復讐、憎悪と敵意に燃える、果てしなき野望である。

 われわれから生れるもの、それはすべてを巻き込み行く恐怖である。帝政復興主義者、煽動家、社会主義者、共産主義者、あらゆる種類のユートピア夢想家といったあらゆる意見、あらゆる主義の人物たちがわれわれの用を勤めている。われわれは彼らを利用して、あらゆる労役を課している。彼らの一人一人が、権威の最後の残党まで叩き潰さんがために、現在秩序を転覆させることに燃え上がっている。これらの行動により、全世界の国々が拷問を受けている。各国政府はもう止めてくれと手すり足すりし、平和のためならどんなことでも代償に出すからという気になっている。だが、われわれは、彼らが心底からわれらに服従し、率直にわれらの国際的超政権を受け入れるまでは、平和を与えるわけには行かない。

 人民社会主義の問題を国際的協調という手段で解決する必要を感じて遠吠えを挙げている。バラバラに分れた党派はわれらの掌中に飛び込んでいる。というのは、分立抗争すれば金が要るが、金はすべてのわれらの手中にあるからである。

 われわれにはゴイムの王たちのうちの「利口な」勢力がゴイム群集の「盲目的な」力と連合しはしないかという懸念があったが、そのような可能性に対する打つべき手はすべて打った。両者の間でお互いに恐怖の念を抱かせるという防波堤を設けたのである。このようにしておけば、人民の盲目勢力は相変らずわれわれを支持し続け、われわれのみが彼らに指導者を与え、もちろん、彼らをわれらが目指す目標へと引っ張って行くのである。

 盲目的な群集の手がわれわれの指導の手から離れないようにするためには、時々、彼らの中に入って直接交流を図らなければならない。実際にわれわれが自身が行えなければ、とにかく最も信頼の置ける兄弟を通じて行う必要がある。われわれだけが唯一の権威者となった時には、われわれはそれこそ市場のような所で親しく人民と話し合うだろう。また、われわれが目指す方向に彼らを向けさせるように政治に関わる問題を指導してやるだろう。

 田舎の学校で教えることを誰が点検するのか? 政府や王の特命全権公使が語ることは、直ちに全国に広まらずにはすまない。それは人民の声によって広まるのである。

 破壊すべき時期でない時にゴイムの諸制度を破壊しないようにするため、われわれは巧妙にそっと手をかけた。そして、彼らの機械を動かしているバネの端をつまんだ。これらのバネは精妙に、しかも秩序正しく動いていた。われわれはそのバネを混沌放従のリベラリズムに代えた。われわれは法律の運営、選挙の管理、新聞、個人の自由を、原理的にはどうにでも加工できる生存物[人間]の土台である教育と訓練というバネを操った。

 われわれは、われわれが教え込んだことではあるけれども、ゴイムの若者たちに、われわれには嘘と解っている主義や学説を注入することによって、彼らを翻弄し困惑させ堕落させてきた。

 現行の法律については、内容的には変えることなく、単にねじ曲げて反対の解釈をすることによって、結果としては大層な成果を挙げてきた。その成果は、第一に解釈が法律を覆い隠すという事実に、次いで立法の錯綜した糸から何かを引き出すのは不可能なために、政府の目から法が完全に姿を隠すという点に明かに見てとれる。

 法律を文字に拘泥せずに解釈するという学説は、ここに起源がある。

 諸兄の中には、来たるべき時が来ないうちに、もしもゴイムが真相を嗅ぎつけたら、彼らは武器を手にして蜂起すると言われる方もおられるようが、それに備えるに西欧においては、最も太い肝玉の持ち主をも戦慄させる恐怖作戦をもって対抗する・・すなわち、決定的な瞬間が来る前にすべての首都地下鉄道、大都市の地下通路が設けられ、事到ればそれらの首都を建物や書類もろとも空中に吹き飛ばすのである。

シオンの議定書 第十議定

 本日は前の話と重複することから始めるが、記憶に留めていただきたいのは、各国政府人民政治のことはうわべだけしか見ないで満足しているということである。実際のところ、どれほどゴイムは、彼らの代表者たちが全力を傾けて楽しませてくれる事の核心を把握しているのか? そのことを細部まで考慮に入れることが、われわれの方針にとっては最高に重要なことである。権力の分立、言論の自由新聞宗教信仰)、法の前の平等な結社の自由、財産の不可侵性、居住、徴税(脱税の考え方)、法の遡及力を熟慮するようにすれば、得る所が多いであろう。これらの問題はすべて、直接手を出したり人民の前であからさまにすべきではないような事である。どうしても直接触れなければならない際には、明確に言い切ってはならない。現在の法についてのわれわれの原則的な考えを微に入り細に穿って語ることなく、単にサラリと言ってのけるだけに留めなくてはならない。なぜ沈黙を守らなければならないかというと、原理を明かさなければ、われわれは行動の自由を確保しておいて、彼らの注意を惹くことなくアレコレとそらせるが、一部でも明言してしまうと、たった一言だけで何もかも与えてしまったことになるからである。群集には一種特別な癖があり、政治力のある天才を尊敬し、そのような人物の悪徳行為に対しては賞賛をこめてこう言う、「ズルい! 本当にズルい。だが、頭がいい!…ペテンだ。しかし、うまいことやったもんだ。すごいことを仕出かすもんだ。大胆極まりない!」

 われわれは、すべての国々を新たな重要な機構、われわれが練り上げてきた計画に惹きつけることを期待する。これが、何をさておいても、われわれが武装し、力を貯え、不退転の意志と絶対的な大胆さを身に付けなければならない理由であり、これがわが活動家たちの手でわれらの行手を遮るものすべてを粉砕することに役立つのである。

 われわれのクーデターが成功した暁には、われわれはさまざまの階層の人々にこう言うだろう。「何もかもが恐しく悪くなり、すべてが我慢できない状態に陥ったが、われわれは諸君がこうむっている苦痛の原因・・民族心、国境、身分の違い・・を根絶しつつある。もちろん、諸君がわれわれを断罪するのは自由である。だが、われわれが提供するものに挑戦もしないうちに断罪するとしたら、それはちょっと大胆過ぎるというものではないか」……すると群集はわれわれを讃え、希望と期待にふくれ上がり、全員こぞって手を差しのべ、われわれを激励し、われわれを讃える。人類の一番小さな成員グループにも、グループごとに集会を催させ同意を取り付けてきた選挙という、われわれが揃えてきた道具立てを使って、われわれは世界王の座に就く。このような選挙が、われわれの目的に役立ち、最終的にはわれわれに有罪宣告を下す前に、全員一致でわれわれともっと親しくなりたいと望むようになる。

 以上のことを確保するには、絶対的な多数を獲得すべく、階級や資格の別なく万人に投票させなければならない。知識人や有産者階級だけでは絶対多数は獲得できない。このように、自分個人が第一という考えを全員に植え込むことによって、ゴイムの家族主義や家庭教育尊重心を粉砕し、癖のある考え方の人間は引き離して一掃してしまう。われわれが操る群集は、彼らを第一線に立たせないし、証言の機会すら与えてやらない。群集は、従順に応待すれば見返りがあるわれわれの話を聞くことだけに慣らされる。このようにして、群集の指導者としてわれわれが彼らの頭に据えてやった代理人の指導なくしては、どんな方向へも一歩も足が踏み出せないほど総員を一大盲目力に仕上げるのである。人民は新しい指導者たちが自分たちの生計、報酬、あらゆる種類の利益になることを握っていることが判るから、この方式に服従する。

 政府の計画というものは、一人の頭脳で万端出来上っているべきである。なぜならば、多数の頭で部分部分をバラバラに作らせると、決して確固不動のものにはならない。それゆえ、われわれは行動計画を知っているのは良いが、その巧妙さ、各部分の緊密な連関性、各要点の隠れた意味を破壊しないようにするには、討議してはならない。度重なる投票という手段でこの種の労作を討論し修正を加えることは、邪推と誤解の烙印を押すことになり、諸計画の進行と結びつきを妨げる。われわれは計画が強力に適切に仕組まれることを欲する。ゆえに、われわれはわれわれの指導の天才の労作を、群集やあるいは特別な団体にすら毒牙にかけさせてはならない。

 これらの計画は現存する諸団体をまだ転覆はさせないだろう。それらの経済を変化させるだけで、それによって進歩の動きを全体的に結び付け、われわれの計画に従った道に導くのである。

 すべての国々には、名前は似たり寄ったりだが、内実は同じものが存在する。議会内閣、立法府、評議会司法府、行政府などである。こういった機関の相互機能を説明する必要はない。なぜなら諸兄はどれも御存知のものだからである。が、一つだけ注意しておきたいのは、ここに名を挙げた機関は、国家の中ではある重要な役割を担っているという点である。この〝重要な〟という言葉に御留意願いたい。これは機関のことを指しているのではなく、その機能のことを言っているのである。これらの機関はいくつもの部分に分れていて、その全体で政府という機能・・行政、立法、司法・・を果たしている。そこでは、分割された機関は人体の臓器に似た働きをするようになっている。もしも国家機構の一部を損傷すれば、国家は病気にかかり、死ぬことになることは人体と同様である。

 われわれが国家機関にリベラリズムの毒を注ぎ込んだら、その政治複合体全体がある変化を起こし、国家が不治の病い・・敗血症・・に犯され、あとは悶絶死という終焉を待つばかりである。

 リベラリズムは立憲国家を作った。それはゴイムにとっては唯一の安全装置である専制国家に代るものであった。よく御存知のように、憲法は混乱、誤解、争論、見解の相違、各党派の実りなき煽動等の一切合切の学校・・一言にして言えば、これら何もかもが国家の機能を破壊する学校以外の何ものでもない。「おしゃべり屋」連中の手助けをする護民官は、ほかならぬ新聞である。新聞屋は支配者に怠慢無能の烙印を押し、よって無益無用であると断罪した。実にこのために多くの国々で支配者が退位させられたのである。その時であった、共和国時代到来の可能性が見えたのは。その時であった、われわれが支配者に代えて政府の似顔絵・・群集、すなわちわれらが奴隷、われらの人形たちの中から拾い上げた大統領・・を置き換えたのは。これはゴイ人民の地下に仕掛けられた地雷であった。敢えて申し上げるが、ゴイ人民の地下に、である。

 近い将来、われわれは大統領を責任のある役職にするであろう。

 その時までに、われわれは表向きの役には就かず、われらの人格なき人形たちに責任を負わせ続けるだろう。権力亡者がだんだん少なくなったとしても、われわれの知ったことではない。大統領のなり手が少なくなり暗礁に乗り上げるとしても、暗礁があろうがあるまいが、国家は最後には崩壊に向って行くのである。

 われわれの計画が然るべき成果を挙げるためには、パナマ汚職事件その他のような、過去に隠れた古傷を持っている候補を選んで選挙に臨む・・すると、そういう連中は旧悪を暴露される怖さと権力を得た者の常で、すなわち、大統領の地位に付きものの特権と名譽を失うまいとして、われわれの計画達成の当てにしてよい代理人となるのである。[フランス議会の]下院は、大統領を選出し、援護し、保護するであろうが、われわれは新法案を提案したり既成法案を修正したりする権限を奪ってしまう。というのは、この権限は責任ある大統領、われらの手中にある傀儡に、われわれが与えるのである。そうすれば事の成行きとして、大統領の権威は四方八方から攻撃の的となる。だが、われわれは自己防衛の手段として、人民に呼びかける権限、代議員たちの頭越しに直接人民に呼びかけて決定させる、すなわち、大統領といえども一員である盲目の奴隷・・群集の大多数・・に呼びかける権限を彼に確保してやる。そのこととは別に、われわれは大統領宣戦布告の権限を与えてやる。それには、国軍の長であり新共和国憲法の責任ある代表者たる大統領は、新共和国憲法防衛の際に備え、軍を自由に動かせなければならないと、説明しておく。

 容易に理解されるように、この状況下にあって祭壇の鍵を手中にしているのはわれわれであり、われわれ以外の何者にも断じて立法権を行使させない。

 その他に、新共和国憲法を成立させたら、政治的機密保持という名目で政府の処置に対する議会の質問を一切封じる。その上、新憲法によって議員の数を最少限に抑え、それに比例させ政治煽動政治熱を減らす。だが、めったに起こることではないとは思うが、もしも最少限に縮小された議会が反抗の火の手を挙げるならば、われわれは即刻全人民という絶対大多数に直接檄を発して議会を廃棄するであろう……大統領は上下両院の議長・副議長の任命が杖となる。通常の議会の会期とは異なって、議員任期を数ヵ月に縮める。その上、行政の長である大統領には、議会召集解散の権限を持たせる。特に、解散した場合は、新議員任命を延期できるものとする。しかし、われわれの計画がまだ熟成していなくて、実際には非合法の状態でこれら一連のことを全部実行して、なおかつわれわれが立てた大統領に全責任を負わせないためには、大統領周辺の大臣や高官を教唆して、彼らが自分たちの裁量でやったことであり、彼らを身代りにして責任を取らせることで、大統領の責任を回避させる……この件に関しては、われわれは特別に上院、最高行政裁判所、閣僚会議に役割を与えるが、一個人には勧めない。

 大統領は、幾通りにも解釈できる法律の意味を、われわれの意図する通りに解釈するであろう。大統領はさらに進んで、われわれが廃止の必要を指示すれば、法律を廃止することもやるだろう。その他に、大統領は臨時法を、また、国利国益のためにはこれが必要だと言いつくろって、憲法の枠から逸脱した新しい法案すら提案する権限を持つだろう。

 かような手を打っておくと、少しづつまた少しづつ、一歩一歩と破壊する力が働いて、われわれが諸権利を手に入れた当初、ことごとくの憲法を気付かれないうちに無効にさせるために憲法の中に隠し据え、ねじ込んでおいたものすべてが、われらの独裁政権があらゆる政体の政府を束ねる日を到来させるのである。

 憲法廃止以前にわれらの独裁者が認められるかも知れぬが、その秋が来ればそれまでの支配者たちの無能無策に・・われわれが仕組んだことであるのだが・・業を煮やした人民たちは、大声で叫ぶだろう。「奴らを追放しろ、世界を治めるのは一人でいい。おれたちをまとめて争いの種をなくしてくれ・・国境、民族宗教国債、そんなものは御免だ・・平和と秩序をくれ、今までの支配者や議員が決してくれなかった平和と秩序を!」

 だが、諸氏は完璧に理解されていると思う、すべての国々でこのような叫びを挙げさせるには、すべての国々で、紛争、憎悪、闘争、羨望、さらに拷問、さらに飢餓によって、人間性が疲労困憊の極に達するまで、人民政府との関係を悪化させることが絶対不可欠であることを。これら悪の予防接種を施すことによって、また欠乏によって、ゴイムは金銭その他すべてのことにわたってわれわれの支配下に入る以外のことは考えなくなる。

 ただし、もしも世界の国民にホッと一息でも入れさせるならば、われわれが渇望する時は九分九厘到来しないのである。

シオンの議定書 第十一議定

 国家評議会(国政会議)は、いわば、支配者の権威につけた光背であり、立法府の〝見世物〟の役割として、支配者が出す法令案を編集する委員会と言ってもよいであろう。

 時に、われわれが用意している新憲法の要項は次の如きものである。われわれは、法、権利、正義を確立する。

(一)立法府に示唆するかの如く、

(二)一般法令と見せかけた大統領令、上院の命令、ならびに内閣の命令であるかの如く装おった国家評議会の決議により、ならびに

(三)適切な時到らば・・革命という形で。

 われわれの行動計画の大綱は確立したから、国家機関をすでに述べた方針に従わせ、革命の完遂を促すべきあれこれの組合せの細目に入ろう。これらの組合せとは、新憲法発布の翌日からは、新聞報道の自由、結社の権利、信教の自由、その他あまたの事柄は、人間の記憶からは永久に抹消されなければならないか、急激な変更が加えられなければならないということを意味する。われわれが即刻全命令を公布できるのは、まさにその瞬間のみである。それ以後では、顕著な改革案はことごとく危険である。

 その理由は次の通り。もしもその改革が峻厳さを増したものであり、幾分でも厳格かつ極限まで行ったのもならば、この先どこまで厳しい改革がなされるのかという恐怖で絶望感に囚われてしまうかも知れない。その逆に、最初よりも緩和した改革案を出すと、われわれが悪いことをしたのに気付いたかのように取られるし、そうなると、われわれの権威不可謬性の威信が失墜するか、われわれが恐れを抱いて譲歩措置をとらざるをえなかったと言われるだろう。強制的という印象はぬぐえないから、そのためにわれわれが感謝されることはない……以上二つとも新憲法の威信を傷つける。われわれが人民に叩き込まなければならないのは次のことである。憲法発布のその瞬間、世界の人民革命が成し遂げた厳然たる事実に呆然とし、まだ恐怖心と半信半疑の気持に捕われている時から、われわれがすこぶる強力、難攻不落、かつ、十二分過ぎるくらい力に溢れていて、いかなる場合であっても、彼らに一顧も与えず、彼らの意見や意志には一瞥も加えず、いかなるささやかな反抗の表明も示威も、時と所を問わず、一つ残らず粉砕する用意があり可能であり、われわれは取るべきものはすべて取り、いかなる事情にせよ、われわれは彼らと権力を分け合うことはありえない……そうすれば、彼らは恐怖に身震いして何事にも目を閉じ、事の成行きを最後まで見守るほかはないであろう。

 ゴイムは羊の群であり、われわれは狼である。狼が羊の群に入ったらどういうことが起こるか、御存知であろう。

 われわれの羊が目を閉じるのは、別の理由もある。われわれが平和の敵を打ち破り、あらゆる反対党派を黙らせたならば直ちにあらゆる自由を返してやると約束するからである……彼らの手に自由が戻るまでどのくらいの時間を待ち続けなければならないか、お話しする必要はあるまいと思う。

 では、何が故にわれわれはこのような政策そのものを立案し、事の真相を看破する時を与えずゴイの心に吹きつけるのか? 実際のところ、回り道をしなかったとしたら、四散したわれらの種族が直接目的を達成する方法には何があったのか? 基本的には、われわれが作った秘密のメーソン、かの家畜ゴイが存在を知らず、知ってもその目的を考えてもみなかったメーソンを作ったことが役立った。ゴイ御一同様の目を晦ませるべく、われわれがメーソン・ロッジ[結社の集会所・支部のことだが〝小屋〟の意味もある]の〝見世物〟一座に彼らを惹きつけておいたのである。

 神は与え給うた。われら神の選民に、離散という贈り物をして下さった。それは万人の目からはわれらの弱さと映るが、われらの強さは離散より生れ来たったのである。それが今や全世界支配という戸口に到達している。

 今やわれわれが据えた基礎の上に築くべきことは、余すこと僅かとなっている。

シオンの議定書 第十二議定

 〝自由〟という言葉には、いろいろの解釈があるが、われわれは次のように定義する・・自由とは法律で許されたことをする権利である。この定義は通常はわれわれだけに役立つ定義である。なぜならば、法律というものが前に述べた計画に従って、われわれが思いのままに作ったり廃止したりできるものであるから、およそ自由と名の付くものはすべてわれわれの手中にある。

 新聞については次のように扱う。今日の新聞の役割とは何か? それはわれわれの目的には有利な激情を爆発させ、燃え上らせることに役立つ。さもなければ、諸党派の利己的な目的に役立つ。新聞は、多くは浅薄、不当、虚偽であり、大多数の人々は新聞が本来何の役に立つのか考えようともしない。が、われわれは新聞に鞍を置き馬勒を付け、しっかりと轡をはませる。他の印刷物についても同様である。われわれが新聞の攻撃から免れても、小冊子や書籍の攻撃の的にされたままだったらどうなるか?出版物の刊行は、今日ではそれを検閲するとなると大変金のかかることであるが、われわれはわれわれの国家にとって得な財源に変えてしまう。新聞等の発行団体や印刷所に許可を出す前に、特別印紙税と[損害に備えての]保証金を納めさせるのである。これをやっておくと、新聞等のいかなる攻撃からも政府を守ることができる。われわれに対する新聞等の攻撃などがあろうものなら、われわれは仮借なく罰金を科する。保証の形をとるこのような印紙税、保証金、罰金といった方法は、政府の大いなる財源となるであろう。政党の機関紙は多額の罰金を取られても平気であろうが、以上の

手を打てば、われわれに対して重ねて攻撃をした場合は断乎発行禁止処分に付する。われらが政府の不可謬性の後光に指一本でも触れようものなら、何びとも無事ですむことはありえないのである。発行を禁止するには、何ら理由も根拠もなく公衆を煽動したという申立て理由を使う。一言御注意申し上げたいのは、われわれを攻撃するものの中には、われわれが設立した機関も含まれるということである。だが、彼らは、われわれが予め改正しようと決めた部分のみを攻撃するのである。

 一片の記事といえどもわれわれの検閲抜きには公表されることはない。現在ですら既にこのことは達成されていて、すべてのニュースは少数の通信社に世界中から集められそこから配付されるようになっている。通信社は追って完全にわれわれの傘下に入り、われわれが許可したものだけが一般に供給されるようになるだろう。

 今日すでにわれわれはゴイ社会の人心をうまく掌握しており、彼ら全員は世界の出来事を、われわれが鼻にかけてやった色眼鏡で眺めているに等しいとしたら、また、われわれには、ゴイの阿呆どもが〝国家の機密〟と呼んでいることに立ち入るのに障碍のある国家なぞ一つも存在しないとしたら、全世界王という最高の統治者として認められた暁には、われわれの立場はいかがになるのだろうか……

 話を新聞の将来に戻そう。誰であれ、出版人、司書、印刷人たらんとする者は、その資格免許証を取得することを義務づける。その免許証は何か過失があれば即刻取り消しとなる。こうしておくと、思想を伝えることが、われらの政府の手中にある教育手段となるのである。この教育手段を講じておけば、国民大衆にもはや脇道や、進歩の有難みなどといった戯けた夢の小道に迷い込ませはしない。われわれの中には、ありもしないその手の有難みは、人民政府との間に無政府状態を生じさせる妄想に直通する道であることを知らない者がいるだろうか。如何となれば、進歩、いや、進歩思想は、あらゆる種類の解放運動を激励してきたが、限度ということを弁えなかったのである……いわゆる自由主義者は、実際はともかくとしても思想に関しては例外なく無政府主義者である。自由主義者のどの一人も自由のお化けを追い求め、まっしぐらに放縦に、すなわち、反対のための反対という無政府主義に陥っている。

 定期刊行物の問題に移ろう。印刷物という印刷物に、一頁につきいくらという印紙税と保証金を課し、三十枚[六〇頁]以下の書籍はその額を二倍にする。はやりのパンフレットはその部類に入れる。一方で、雑誌の数は減らす。雑誌というのは有害印刷物の中では最低である。他方、著作人たちにあまりにも長大で値段もはるのでほとんど誰も読まないような本を書かざるをえないように仕向ける。同時に、われわれの利益に適うように世論を導くわれわれ自身の刊行物は廉価で、むさぼるように読まれる。課税で無味乾燥な作家の野心はしぼみ、処罰が恐くて文筆家はわれわれの軍門に降る。かりにわれわれに文筆で抵抗する者が現われたとしても、著作物の印刷を引き受けてくれる人間がいない。出版社が印刷してくれる前に、出版業者や印刷業者が官憲の許可を得なければならない。これによって、われわれはわれわれに対して向けられた奸計をすべて事前に知ることができるので、それが世に現われないうちに抹殺することができる。

 文学ジャーナリズムは、最も重要な教育手段のうちの双璧であり、それゆえに、わが政府は大多数の雑誌の所有主となる。このことは、独立系新聞有害な影響を緩和し、公衆の精神に甚大な影響をもたらすだろう……仮に十の新聞に発行許可を与えたとすると、われわれは三十に及ぶ新聞社を設立する。しかしながら、公衆はそんな事情はゆめ知らず考えてみようともしない。われわれが発行する新聞はすべて、見た目には反対の傾向や意見をもち、それゆえにわれわれに対する信頼を集め、われわれにとっては全き疑うことなき反対者を呼び寄せる。このようにして、われらの敵対者は罠にはまり、牙を抜かれるのである。

 最前列に位置するのは、政府機関紙の性格をもった新聞であろう。この種の新聞は、常にわれわれの利益を擁護するが、それゆえに比較的影響は弱い。

 第二列に位置するのは、半官半民の刊行物で、なまぬるい無関心層を惹き寄せるのが役割である。

 第三列に位置するのは、見た目には全くわれわれの反対者として設立されたもので、少なくともその紙上では、まさにわれわれとは逆の立場に立つように見える論説を掲載するであろう。そこでわれわれの本当の敵対者は、この疑似反対論を真説と思い込み、自分の手の内のカードを見せてしまう。

 われわれの新聞全体では・・もちろん、憲法が存続する間での話だが・・およそ考えられるどんな傾向も・・貴族的、共和国的、革命的、さらには無政府主義擁護的なものまでも・・持っているだろう……インドのヴィシュヌ神の像のように、これらの新聞は百本の手を持っていて、その一本一本の手が世論のどれか一つに指を触れる。

 脈拍が早くなると、これらの手はわれわれの目的に向って世論を導く。熱に浮かされた患者は理性の判断力を失い、暗示にかかり易くなるのである。自分たちの陣營の新聞の意見を述べていると思い込んでいる阿呆どもは、誰ぞ知らん、われわれの意見やわれわれが望んでいる見解をオウム返しに唱えているだけなのである。自分の党派の意見に従っていると虚しくも信じつつ、実際にはわれわれが彼らに広げている旗に従っているだけのことなのである。

 以上の意味で、われらが新聞軍団の指導にあたっては、格別細心の注意を払ってこの問題を組織しなければならない。中央新聞局という名称のもとに、われわれは文筆家の会合を設け、そこにわれわれの覆面の代理人を送り込み、指令と当日の標語を示す。問題の核心を避けて常に表面だけにとどめた議論討論をして、ただ単に、当初の公式表明を補足する材料を提供する目的で、われわれの機関は、われわれの公式の新聞に対して見せかけの一斉射撃を浴びせる。

 われわれに対するこの集中砲火は、ほかの目的、すなわち、言論の自由はまだちゃんと存在していると納得させ、われらが代理人に、反対者たちはわれわれの指示に対して、実のある反対意見をこれっぱかりも示さなかったからには、われわれに反対する機関はみな空騒ぎしているだけではないかと断言する材料を提供する。

 公衆の目には感知されないが絶対確実なこのような組織方法は、公衆の関心と信頼をわが政府に惹きつけておくのに最高の方法である。この方法のおかげで、われわれは公衆がどう受け取るかによって、必要に応じて時折、政治問題に対する感情を刺激したり鎮静したり、説得したり混乱させたり、今日は真実、明日は虚偽、事実に即して立論したと思えばその反論を掲げたりするが、常にわれわれが足を踏み出す前に地面の様子を細心の注意をもって調べるのである……われわれの敵対者は、前記の方法で新聞を操作することができず、十分かつ決定的な意見を開陳する新聞という最終的な手だてを欠いている以上、われわれの勝利は確実この上もない。よほどのことでもなければ、反論の必要もないくらいである。

 われわれが新聞の第三列に放つ試射は、必要があれば半官半民の紙上を通じて精力的に駁論する。

 フランス新聞界のみではあるが、今日でもすでにメーソンの連帯行動を物語る形態があり標語ももっている。すべての新聞機関は、結束して職業上の秘密を守っている。古代の卜占官さながらに、その成員は、過去に解決ずみの問題でない限り、情報源を漏らしたりはしない。ジャーナリストならただの一人もこの秘密を暴露するような愚挙を犯しはしない。というのは、どの一人をとってみても、かねて過去に不行跡な事などをしない限りは、文筆仲間に入れて貰えないからである……秘密を漏らしたりしようものなら、直ちに過去の不行跡が暴露されるというものである。秘密が少数の間でだけ知られている限りは、ジャーナリストの権威は大多数の人々に行きわたり・・群集は熱狂的に彼に従う。

 われわれの計画は特に地方に及ぶ。いかなる瞬間にも首府に希望と欲求を浴びせられるよう地方の炎を燃え上らせることが必要不可欠である。われわれは首府に向って、これが地方独自の希望であり欲求であると焚き付ける。当然のことであるが、地方世論の情報源というのは、同一無二のもの・・われわれが指示しているものなのである。

 必要なことは、われわれが十二分に支配力を得るまでは、われわれの代理人団が組織した多数者、すなわち地方の意見で首府を窒息させておくべきである。必要なことは、決定的瞬間には首府は既成事実をとやかく言える立場にはないということである。それは単純な理由であって、各地方の大多数の世論が受け入れている事実だからである。

 われわれが完全な主権を手中にするまでの過渡期の新体制の時期まで進んだら、もはやどの種類の新聞にも社会腐敗を暴露する記事は載せさせない。新体制下では万人が完全に満足しているから犯罪を犯す者はいないと信じさせることが必要である……犯行の真相解明は、被害者とたまたま目撃した者だけに留めておくべきであって、それ以外には必要ない。

シオンの議定書 第十三議定

 日々のパンが必要なために、ゴイムは余儀なく沈黙を続け、われわれの従順な召使になっている。われわれの新聞がゴイムの中から選んだ代理人に、公文書であからさまに触れるのは都合の悪い問題を議論するようにさせる。その間、われわれは論議の渦の真中で静かに聞いていて、われわれに必要な部分を取り込み、それから公衆に既定事実として提示するのである。いっそう改善したものを説明するのだから、何びとも一度定めたことを撤回せよとは言わない……そして間髪を入れず新聞は世論を新しい問題の方に向けさせる(われわれは人民を何か新しいものを求めるようにずっと馴らして来たではないか)。頭が足りない〝運命の小売屋〟たちは自分の議論する問題が髪の毛一筋も解っていないということさえも理解できずに、新問題に飛びついてしまう。政治の諸問題は、これを考案した大先達、過去何年にもわたって先導してきた人々でなければ、誰も参入できないのである。

 以上のことからおわかりのように、群集の意見を先導するには、われわれの仕組みの働きを良くするだけで事足りるのであり、われわれが彼らに賛同を求めるのは、あれこれの問題についてのわれわれの行動ではなく言説であることに気付かれるであろう。われわれは常に、希望に導かれ確信に基いてすべての事業にあたり、公共の福利に奉仕しているのであると公言している。

 厄介になるかも知れない連中に政治の諸問題に首を突っ込ませないようにするのに、われわれは政治に代わるものを熱心に勧めている。すなわち商工業の問題である。この分野でなら、どれほど騒いでもよろしい! 政治に代わって何か没頭できるものがあれば、群集は政治活動の類いから手を放して一服することに異存はない(政治活動は、ゴイ政府と一戦交えさせるために、われわれが彼らに施した訓練であった)。商工業問題においては、われわれは政治そっくりの事をやっているかのように思うように処方してある。彼らがかかずらうことを解き当てさせないように、われわれは娯楽、競技、ゲーム、色事、遊び場をあてがって、更に政治から遠ざける……そのうち、われわれは新聞を使って芸術スポーツなどありとあらゆる種類の競争を始める。こういうことに関心が向けられれば、われわれが彼らと争わなければならない問題から、彼らを完全に遠ざけるだろう。ますます彼ら自身の意見を反映したり形にしたりすることが難しくなるに従って、人民はわれわれと同じ口調で語るようになる。なぜならば、われわれだけが彼らの考え方に新しい方向付けを示しているからである……もちろん、われわれとは表面的には無関係の人々を通じてであるが。

 われわれの政府が承認されると、自由主義者、空想論者の役割は最終的に終る。その時まで、彼らはたっぷりとわれわれに奉仕し続けてくれる。そのために、われわれは彼らの頭をあらゆる種類の空疎な内容の空想的理論、今では進歩的と呼ばれる理論の方に引っ張り続けている。が、われわれはゴイムの空っぽ頭を進歩転換させることに成功したことはなかった。ゴイムの中には、物質的発明の問題ではない所で進歩を追い求めたところで真理からは遠ざかるばかりだということが判る人間はいないのである。なぜなら、真理は一つであり、そこには進歩が入り込む余地はないのである。進歩、それは誤った推論に基く思想のようなものであり、神の選民であり、真理の保管人であるわれわれの外には何びとも知らない真理を覆い隠すのに役立つ。

 われわれの王国が実現した暁には、われわれの弁士たちは、人類をすったもんださせてきたこの大問題を解義して、われわれの慈悲深い支配の下で結着を付けさせるだろう。

 その時になって、これらの人々は一人残らず、幾世紀にもわたり何びとも推測もしなかった政治計画に従って、われわれに踊らされていたのだということを、いったい誰が疑うだろうか。

シオンの議定書 第十四議定

 われわれが王国を築く時は、われらの唯一神宗教以外いかなる宗教の存在も許さない。われわれの運命は選民としてのわれわれの地位によりその唯一神と結びつき、そのわれわれの運命は神を通じて世界の運命と結び付いているのである。ゆえに、われわれ以外のあらゆる形態の宗教を一掃する。その結果、今日見られるような意味での無神論者が誕生するとしても、過渡期に限る現象であって、われわれの目的には妨げない。むしろわれわれが説くモーゼの教えに耳を傾ける世代の前兆として有用であろう。モーゼの教えは牢固として完璧入念なる教義であり、それなるがゆえに世界の全人民をわれわれに従わせてきた。そこに、モーゼの教えの隠された神秘の力があることを力説しよう。後にも述べるように、モーゼの教えの感化力は、すべてその神秘の力に立脚しているのである……次いで、あらゆる機会をとらえて、われわれの慈悲深い支配と過去のそれとを比較する論説を公表する。数世紀にもわたる震盪動揺の果てに訪れた安穏静謐が、われわれの与えた恩寵によって、さらなる安堵へと高まるのである。われわれは最もはっきりとした口調で、ゴイム政府が犯した過ちを描いてみせるであろう。われわれが彼らに対する嫌悪の情をそそるので、人民は、かの自由を振り回す権利などよりも、農奴制のような状態でよいから安穏の方を好む。自由の権利は、人間性に拷問をかけ、まさに人間存在の根源を疲弊させ、人民は自分が何をしているのか解っていない一群のこすからい山師たちの餌食となったのである……われわれがゴイム政権を覆すにあたっては、ゴイムを煽動し、幾たびか無益な政変を起こさせた。人民は疲れ切ってしまい、またまた新たな騒動や苦難をかぶるよりも、少々の辛抱をしてもわれわれの言うことを聞いている方がましだと考えるだろう。

 同時にわれわれは、ゴイ政府の誤ちの歴史を看過容認はしないだろう。ゴイ政府は何世紀にもわたって、人類の真実の善性を構成する要素を何一つ理解せず、錯覚した社会改善を追い求め、その改善の結果さらに悪くなり、人間生活の基盤である一般関係が決して改善されないことに全く気付いたことがなかった。

 われわれの原理と方法の総体は、われわれが彼らに提示し解義したように、死に絶え腐敗した古い秩序の社会生活とはまばゆい対照をなす事実の中に横たわっている。

 われわれの哲学者たちは、ゴイムの種々雑多な信仰の欠陥を洗いざらい論じるが、真実の視点からわれわれの信仰に口をはさむことは誰もやらないだろう。われわれ以外の誰もこの宗教のことは知らないし、われわれはその秘密を明かすような裏切りはやらないからである。

 いわゆる先進文明国の中に、われわれは愚劣極まる、卑猥不潔な、嫌悪感を催おす文学芸術を創らせた。われわれが権力の入口に立ってしばらくの間は、われわれの演説、集会プログラムと対比させつつ、その種の文学を奨励するつもりである。こうすると、われわれの高尚な一画とはあまりにも違うことが歴然とするだろう……ゴイムの指導者になるべく訓練されたわれら賢人は、講演演説、事業研究計画、回想録、論説著作活動に携わるだろう。われわれはそれらの作品を用いて、ゴイムの人心を感化し、われわれが定めてやった知識を摂取する方向に導くのである。

シオンの議定書 第十五議定

 世界各地に同時にクーデターを勃発させ、遂に決定的にわれらが王国に突入し、現存する政府という政府が誰の目にも没落したことが明らかになった時(これが実際に起こるには少からぬ時間、恐らくまるまる一世紀はかかるだろう)、われわれに対する陰謀の類いは絶対に存在を許さないように監視する仕事がある。このためには、われわれの王国到来に反対し、いやしくも武器を執る(手にする)者は一人たりとも容赦なく殺戮する。秘密結社に類するあらゆる種類の新団体結成もまた、死をもって処する。

 われわれが認めている現存秘密結社は、役立つものも役立ったことのあるものも、一率に解散させ、欧州から遥か離れた地方へ追放する。あまりにも事情をよく知り過ぎたゴイのメーソン員にも、同断の処置を執る。なんらかの理由でこの処置を執らなかった者に対しても、追放の恐怖で脅迫しておく。われわれの支配の中心地である欧州からは、秘密結社員全員を追放に処する法律を作成し公布する。

 この決定は変更できず、これに対する控訴は許さない。

 ゴイの社会には、根深く対立抗争の種を植え込んでおいたので、秩序を回復するには権威の力を直接見せつけた容赦ない手段を執るよりほかはない。苦しむ者に一顧だに与えてはならない。未来の幸福のために苦しみを引き受けさせるのである。いかなる犠牲を払ってでも福利を達成することこそ、どんな政府でも自分たちの存続を忠実に考え、特権維持ではなく職責完遂を顧みるならば、断じて遂行しなければならない義務である。支配を揺ぎないものとする原則は、権力の後光を輝かせることにあり、その後光というのは、その表に神秘的なもの・・神に選ばれた・・から来る不可侵性を顕現する紋章を帯びるというような、不退転の威厳に満ちた力を発揮していることが要諦である。近年までは世界中では、ローマ教皇を数に入れなければ、帝政ロシアがわれわれの唯一の競敵であった。記憶に留めていただきたいのは、イタリアである。流血にまみれたイタリアであるが、その血を注いだスッラに対しては、髪の毛一筋も手を触れることができなかったのである。彼は人民を虐げていたにもかかわらず、大胆不敵なイタリア帰還をやってのけ、不可侵性の網に囲まれ、人民の目には神と崇められたのである。人民は大胆勇敢な者には催眠術をかけられて、指一本触れないものなのである。

 しかしながら、われわれの王国を実現するまでの期間は、われわれは正反対のことを行う。フリーメーソン支部を世界各国にどんどん増設し、そこへ名士になりそうな人物、現に名士である人物を引き入れる。それというのも、それら支部は重要な情報集積所であり、情報を流す出口でもあるからである。メーソンの全支部は、われわれだけが承知していて他には絶対に誰も知らない中央管理機構の下に置く。その機構を構成するのは、われらの学織ある長老たちである。支部には代表者がいるが、彼らは上記のメーソンの真の管理機構を覆い隠すために置かれるものであり、標語や計画は蔭の管理機構から発せられるのである。これらの支部に、革命的分子やリベラル分子をすべて集めてしっかり結び合わせる。この中には社会の全階層が含まれるのである。極秘の政治計画なるものもわれわれは熟知しているし、計画が立てられたその日のうちにわれらの指導部の手に入手される。国際警察や各国警察の代理人は、ほとんどこれら支部に参加しているが、彼らは不法な者に対して特殊な措置を講じるのみならず、われわれの活動を隠蔽し、しかも不平不満を起こさせる口実を提供してくれるので、われわれにとってはかけがえのない存在である。

 秘密結社に喜んで入ってくるのは、世渡りがうまく出世第一主義で、一般人の中では軽薄に属する人物が多いので、彼らを御してわれわれが仕組んだことを片付けさせるのは、さして苦労のいることではない。その世界で何かゴタゴタめいた事が起こったとすれば、あまりにも強固になった団結を破るべく、われわれが少々撹乱しなければならなかった場合である。だが、計画遂行の中心には、これ以上信頼できる人物はいないというわれらの下僕が先頭に立っている。われわれだけがメーソンの活動を指導し、他の誰にも当らせないのは、極めて当然のことである。ゴイムに至っては無知蒙昧であって、どこへ行くべきか、活動の一つ一つの最終目的は何であるかを知っているのは、われわれだけだからである。ゴイムは、通常、彼らの考えを実行する際に、やたらと自分の説に固執し、自説の一時的満足にしか頭が回らない。しかも、その自説たるや、われわれが彼らに吹き込んだものであって、本当に自分が考え出したものではないことに気が付きもしない。

 ゴイムは、物好きからか、あるいは、大きなパイに一口あずかる手段としてメーソンに入ってくる。中には、実現不可能な根も葉もない夢想を実現させるために、耳よりな情報を仕入れようとして入ってくる者もいる。彼らは成功と拍手喝采に飢えているが、その成功や拍手喝采こそは、われわれが気前よく振る舞ってやつているのである。われわれがそういう大盤振舞いをするのは、彼らが持っている鼻持ちならぬ自惚れを利用するためである。その自惚れというのは何が原因かというと、自身が口に出している思想は絶対的に自分のものてあり、借り物などということはありえないと自信満々で、われわれが示唆したことを丸呑みにする傾向に起因する……諸氏の想像を越えることであるが、ゴイムの最も賢い者を無邪気に自惚れさせたり、ちょっとした不首尾で意気消沈させたりするのは、いともたやすいことである。同時に、拍手が止まったに違ぎないといった些細な不成功であっても、彼らは簡単に落ち込みもするし、次の機会には成功させてやると言えば、すぐ奴隷のように卑屈になってくる……際立ってわれわれは計画を実行さえできれば成功不成功を問わないのに、際立ってゴイは成功さえすれば計画はどうなっても構わない。このような彼らの心理のおかげで、われわれは大いにやすやすと思うがままに彼らを操れる。彼らは見た目には虎だが中味は羊であって、風が通り抜けて行く頭の持主なのである。われわれは彼らに〝集産主義〟という一種の思想のおもちゃをあてがって、個性の違いをそのおもちゃに吸収同化させてやった。

 彼らは、このおもちゃが最も重要な自然の法則を真向うから冒涜するものであることを、一度も考えたことがなかったし、これから先も考えようともしないだろう。天地創造の初めから、自然は明白な個性の違いを弁えさせるべく、あれとこれとを違うように作ったのである……

 こんなにもわれわれが彼らを明きめくらにさせられるというのは、ゴイムの頭がわれわれと比較してお粗末である証拠、それも明々白々の証拠ではないだろうか。われわれの成果が約束されているのは、主にこのためである。

 それにつけても、なんとわれらの古代賢者長老たちには先見の明があったことか。長老がたは言われた、大事に達せんとせば手段を選ぶなかれ、犠牲を厭うなかれ、と……われわれはゴイという家畜の群にいかほど犠牲が出ようともさらさら厭うものではない。さりながら、わが民の犠牲も数多くに上ったが、今日われわれはこの地上で夢見ることのできなかったような位置を獲得した。われわれ全体の数から言えば、われわれの犠牲者の数は比較的少ないが、彼らのおかげで民族の破滅は免れたのである。

 何びとも避けられない終局は死である。どうせ避けられないものならば、新秩序の建設者であるわれわれよりも、建設の邪魔をする人間に早く回してやった方がよろしい。われわれは、同胞のほかには誰も気付かないように、本人自身でさえも死刑宣告されたことが判らないように、巧みにメーソンを処刑する。必要とあれば全員あたかも自然死のごとく息を引き取るのである……そのことが解っていても、同胞はあえて抗議はしない。かような方法を用いて、われわれはメーソンの中から作戦計画に敵対する者を根こぎにしてきたのである。われわれはゴイムにはリベラリズムを説くけれども、同時に一方では、わが民やわれらの代理人たちにはひたすら恭順に服させる。

 われわれの力が及ぶところでは、ゴイムの法律は最小限度にしか適用しないようにしてきた。法の尊厳威信なるものは、その分野に流し込んだリベラルな解釈を駆使して存分に失墜させてきた。最重要かつ根本的な事項や問題は、われわれの口をはさんだとおりに裁判官が決定し、われわれがゴイムの政府機関に示したことに従って事を裁定する。もちろん、われわれが直接彼らと接触するのではなく、われわれの道具である人士・・新聞その他の意見として・・であるが……上院議員内閣の中にもわれわれの助言を一も二もなく聞く者がいる。ゴイムの空っぽ頭には、分析したり考察したりする能力、ましてや事態がどういう結果になるかを予測する能力はさらさらない。

 ゴイムとわれわれの間のこの能力の差違こそが、ゴイムの空っぽ頭と対比して、われわれが神の選民として、また、高い人間性をもつ運命が定められているゆえんが明白に証明される。ゴイムの目は開いていても何も見ていないし、何も創造しない(恐らく物質的なもの以外は)。このことをもってしても、自然はわれわれが世界を導き支配するように創造したことが明白である。

 われわれが公然と世界に乗り出し、恩恵を施す折には、われわれの法律はすべて、いかなるよけいな解釈をする余地もなく、何びとにも完璧に解る、簡潔、明白、確固としたものであるだろう。そこに貫徹させておくべき原則は、官憲に対する服従であり、この原則によって荘重高潔なものとなる。こうして最高権力者の権威の前には最下層の者に至るまで責任を負う結果、権力の乱用は行われなくなる。次席以下の権力乱用は、一人の例外もなくとうてい再犯ができないほど容赦なく峻厳に処罰を受けるであろう。われわれは国家機構の円滑な運営をはかるために、官憲に対しても事細かに点検するであろう。一部分の腐敗はあらゆる所での腐敗を惹起する。一片の不法行為、一片の権力乱用といえども処罰の見せしめを免れさせはしない。

 犯罪の隠蔽、行政の怠慢・・この種の悪事はすべて、最初に峻厳な処罰を課すれば以後は影をひそめるであろう。われわれの政権の後光は適切な罰則すなわち、至高の威信に対しての侵害は軽微なものであっても、とりわけ私利と結びついた場合は、厳罰を課することでなければならない。厳罰を蒙る者は、たとえ過失の度合いに比べて罰が重過ぎるとしても、主権、政綱ならびに法を擁護する行政の戦場で倒れる兵士と見做して然るべきであり、公共乗合馬車の手綱を執る人間が、公道を外れて私用に馬を走らせたら、どんな人間であろうとも許されないのである。たとえば、裁判官たちは寛容なところを見せたくなるが、それは法の正義を破ることになるということを弁えなければならない。法は逸脱堕落に罰を課して見せしめにするために作られたのであって、裁判官の徳性を引けらかすためのものではない……そんなに徳性を引けらかしたければ私生活でやればいいのであって、人間生活教育の公共の場を使うべきではない。

 われわれの法曹人は五十五歳に達すれば現職を退くのである。第一の理由は、老人は年をとるほど先入観に囚われ易くなり、新しい方向にはなかなか向かなくなること。そして第二には、人事刷新によって弾力性を確保するのに役立つこと、それによってわれわれの強制力が更に容易に働くようになるからである。自分の椅子に留まりたい者は、留まるに値するように盲目的に服従しなければならないだろう。概して言えは、われわれは次のような人々の中からのみ裁判官を選ぶ。すなわち、自分の役割は法を執行し違反する者を処罰することであって、当今のゴイムが空想するように、国家の教化的な仕組みを犠牲にしてリベラリズムの夢のまにまにさまようことではないということを完全に理解している人間からである……この人事刷新の方法は、同じ業務に携わる人間の妙な結束心を噴き飛ばし、人民の運命がかかっている政府の全問題に彼らの関心を結び付ける。若い世代の裁判官には、人民の間に確立したわれわれの秩序を乱す畏れのあることは、どんなものでも見逃さないように訓練する必要がある。

 当今ゴイムの裁判官は、自分の職責に対する正しい認識が欠如しているので、犯罪といえば情状酌量する。今日の支配者が裁判官を任命する際に、義務の観念と裁判官に要求される職責に対する自覚を叩き込まないから、こういうことになるのである。野獣が餌を探しに子どもに出してやる時のようなもので、ゴイムは職務の性質や目的を説明もせずに高い地位に就けてしまう。それで彼らの政府は、自分の行政を通じて自分自身の力のせいで、滅亡の道を歩んでいるのである。

 彼らがやっていることの結果を、われらの政府の教訓としようではないか。

 われわれの国家体制のためには、服従する訓練が必要な政府機関の重要位置からは皆、リベラリズムを一掃する。かかる位置にはもっぱら行政支配のためにわれわれが訓練してきた人間のみを据える。古い官吏を解雇したら大蔵省の負担増加になるのではないかと案ずる向きがあろうかと思うが、その問題に対してはこうお答えしよう。第一に、解雇した職員には職を失った代わりにいくつかの民間企業に回してやる。第二に、世界中の金はわれわれの手中に集中したのであるから、経費が嵩む虞れはないのである。

 われわれの絶対主義は万事にわたって論理が貫徹しているので、どの判決一つをとってみても、われわれの最高意志は尊重され一点の疑念もなく遂行される。あらゆる種類の不平苦情を無視し、あらゆる種類の示威抗議には制裁を加えて見せしめにする。

 われわれは控訴権のような、決定を覆す権利を廃棄する。そういうことはもっぱらわれわれの一存・・支配する者の判断に預けられる。われわれが任命した裁判官が誤った判決を下すことがある、というような考えを人民に与えることは断じて許してはならない。しかしながら、万一判決に変更を加える必要が生じた場合は、われわれ自身が決定を廃棄するが、直ちに裁判官に二度と同種の過誤を犯さない旨の約束をさせ、自己の義務過怠に懲罰を課して見せしめにする……重ねて申し上げるが、われわれの行政においては一段階ごとに、一応はわれわれを満足させてくれている人民に密着してよく監視する必要があり、善良なる政治は善良なる官吏を要求する権利があるということを銘記していただきたいのである。

 われわれの政府は、支配する側からいえば族長父権的保護という外観を呈するだろう。われわれ民族とわれらの国民は、王という人物に、王との関係はもとより、国民が望むこと、国民がやっていること、国民間のいろいろな関係などの何もかもを気使う父の姿を見るだろう。安穏無事に生きたいと切に願うならば、国民は完全にこの考えにとらわれ、この方の保護と指導なしには何もやって行けなくなり、とりわけ、われわれが任命した者たちが私利私欲のためにではなく、ひたすら誠実に命令を実行しているだけであることを知ったときには、われらが王を神と崇めて帰依献身し、その専制に従うであろう。彼らは、わが子に義務と服従を植え付けるべく訓育した賢明な両親がなすように、われわれが彼らの生活万般を取り締まることに欣喜雀躍するであろう。われわれの秘策という視点から眺めると、世界の人民たちはまだまだ成年にも達しない子供の類いであり、各国政府もまたまさにその段階である。

 先刻御承知のように、私は権利と義務に対する絶対支配についてお話し申し上げた。義務を実行させる権利は、臣民に対する父たる政府の第一の責務である。人類を天然が定めた秩序すなわち服従に立脚させることは、強者の権利である。この世の万物は、人間でないものでも環境か、そのもの自身の本性か、いずれにしてももっと強い者に服従させられている。であるからこそ、善を実現するためには、われわれはさらに強い者になろうではないか。

 われわれは確立した秩序に違反する者は何びとでも、躊躇なく犠牲にせざるをえない。見せしめに悪に懲罰を加えることは、一大教育課題である。

 イスラエル王がヨーロッパの捧げた王冠を神聖な頭に戴くときは、世界の族長となるだろう。そこに達するまでに王が供する犠牲は、ゴイム政府が何世紀かにわたって強者を競った狂人じみた張合いが供した犠牲の数に比べれば物の数にも入らない。

 われらの王は絶えず人民と接し、特使を通じて演説させ、その名声は全く同時間に全世界に報道されるだろう。

シオンの議定書 第十六議定

 われわれ以外の結束力をすべて根絶するためには、集産主義の第一段階・・大学・・を、新しい方向で再教育して去勢するのである。職員や教授連を精密な秘密教育計画に従って再訓練するが、断じてその一部分たりとも免除することはない。彼らの任命には格段の注意を払い、一人の例外もなく政府が掌握して配置する。

 われわれは全教育課程から政治と同様に法律も排除する。政治法律に関しては、予め許された者の中から、さらに卓越した人物を選び、数十人という少数の人物にのみ教える。大学はもはや、喜劇や悲劇を書くようなつもりで法案や計画をこね上げたり、父親たちでさえも理解できなかった政策問題にかかずらう青二才を世の中に送り出してはならない。

 大多数の人間がもっている政治問題に関する頓珍漢な知識が、ユートピアを夢見る人間や不良市民を作るのである。諸氏は実際の大学教育がゴイムをこの方向に導いてきた実例をよく御存知であろう。われわれは彼らの教育の中に、完膚なきまでに彼らの秩序を破壊する原理を持ち込まなければならなかった。しかしながら、われわれが権力を掌握した時には、秩序破壊の種になるようなものはことごとく教育課程から駆逐し、青年を権威に従順な子供にし、平和安寧の希望として統治者を頼みの柱とするように育成するのである。

 どんな形の歴史研究も皆そうであるが、範を過去に求める古典主義で行くと、良い例よりも悪い例の方が多いのであって、われわれはそれに代えるに未来研究をもってする。われわれは、われわれにとって好ましくない過去何世紀かの人類の記憶を一切消去し、ゴイム政府が犯した誤ちをことごとく叙述する。実際生活、秩序に対する義務、人民相互間の関係、悪を伝染する利己的な実例、その他教育の本質に関わる類似の問題の研究、これらが教育計画の最前線に置かれるだろう。その実施にあたっては職業ごと、あるいは生活状態によって別々にし、教育は決して画一的に行ってはならない。この処置は、特に重要である。

 社会各層の教育は、それぞれの階層の本質と実際の仕事に応じて厳格に制限を加えなければならない。稀に天才的人物が出てうまくやって行くことがあったし、上の階層に滑り込むことが常であるが、このような極めて稀にしか出ない天才のために、生れや職業に特有であるべき階層に、その価値もない人間を入れてやるなどということは、愚行もはなはだしい。こんな目に余ることを許したゴイム社会はどうなったか、諸氏はよく御存知のはずである。

 われわれは私学という私学をことごく廃止する。教育施設の中では、あたかもクラブのように、親たちとの集まりを持つことは許す。休日には、そういう集まりに教師が参加して、人間関係見せしめの罰則、神の選民ではない者のいろいろな制約等々の問題、とどめには、まだ世界で明らかにされていない新たな哲学原理について、課外講義で読んで聞かせるだろう。その原理は、最終的にわれわれの信仰に従わせるための移行期の教理として、われわれが提起するのである。現在ならびに将来の行動計画を説明し終えたら、私は諸氏にその学説の原理をお話しする。

 一言にして言えば、何世紀にもわたる経験に鑑みて、人間は思想に生き思想に導かれるものであり、思想というのは人間成長の各段階にふさわしい教育を初め、さまざまな手段によって人間に浸透するものであるから、思想の支配を受けない最後の火花を、われわれが押収し呑込み、自分自身のものとして利用するであろう。この、思考力を人間から切り離すということは、過去長い時間をかけて、われわれが導入してきた極めて有益な手段である。思考力を抑制する手段はすでに、いわゆる実物教育という方法で実行されている。この方法によりゴイムは、目に見えるものだけを頼りにして理解し、物を考えない従順な動物にさせられている……フランスでは、われわれの最良の代理人であるブルジョアジー諸氏が、すでに実物教育の新しい計画を実地に移している。

 シオンの議定書 第十七議定

 弁護士活動は人間を冷酷、非情、頑固、破廉恥にする。弁護士はどんな場合にも、人間ではなく、ひたすら法律の観点からのみ問題を論じる。彼らはどんなことを取り上げるにしても、弁護する価値があるかどうかと考えるのが習慣になっていて、弁護した結果、公共の福利がどうなるかは考えない。なんでもかんでも弁護を引き受けて断わることをしないというのが普通であり、無罪を目ざして極力奮闘し、法律上の細かい所にこだわって片端から難癖をつけ、挙句のはてに正義を地に落とす。であるから、われわれは他の行政公務員と同様に、この職業の範囲を狭く絞り込んでおこうと思う。裁判官と同じく、弁護士訴訟当事者と直接接触する権利は剥奪する。彼らは法廷からのみ仕事を受け、訴訟書類や報告を調査し、法廷で被告が尋問を受け、事実が明らかになった後に被告を弁護する。どんな弁護をしたかという内容に関わりなく報酬を受け取る。このことは、弁護人は告訴のための審理記録人である代訴人に対して平衡を保つための、正義のための

法務の単なる記録人に過ぎなくさせる。こうすれは、個人的な興味関心からではなく、確信に基づいた、偽りのない公平な弁護活動が可能となるのである。また、この方式にすれば、現今横行しているような、金をよけい出さなければ裁判には勝てないという弁護士の腐敗堕落を除去することにもなる。

 われわれは過去長い時間をかけて、ゴイム僧侶の信用を落とし、それによって、放っておいたらわれわれの大きな脅威となったやも知れぬ地上における彼らの伝道を凋落させるようにして来た。今や日一日と、世界の人民に対する彼らの影響力は低下しつつある。信教の自由ということが至る所で喧伝されたので、今やキリスト教が完全に破壊されるのはここ数年のうちに過ぎなくなった。ほかの宗教に至っては、骨抜きにするのは更に容易であるが、今この問題を論ずるのは時期尚早であると思う。

 われわれは聖職者重視の教権主義や聖職者たちの力を、以前、彼らが華やかなりし頃に持っていたのとは比べものにならないほど狭い枠に押し込めるであろう。

 決定的に法王庁を破壊する時が来れば、見えざる手の指が各国民に法王庁を指さすであろう。しかしながら、国民がそれに襲いかかろうとしたら、あたかも過度の流血を防がんとするかのように、われわれは法王庁の擁護者を装って進み出る。この転換によって、われわれは彼らの深奥にまで足を踏み入れ、間違いなくかの最強部を腐食し切るまでは二度と出て来ないであろう。

 ユダヤ王は真の世界の法王、世界にまたがる教会の総大司教となる。

 だが、一方で、われわれが青年層を過渡期の新しい伝統宗教に、後にはわれわれの宗教で再教育する間、われわれは明らさまには既存の教会には指一本触れないけれども、教会内部の軋轢を目ざし批判を加えて宗教人と闘う。

 その場合、一般的には、われわれの現代の新聞は、ゴイムの国家問題、宗教、ゴイムの無能さを断罪し続けるが、常に、わが民天与の才能を振い、あらゆる手段を駆使して彼らの威信を剥奪すべく、罵詈雑言を浴びせ百方中傷する……

 われらが王国はインドのヴィシュヌ神になぞらえ擬人化すると・・われらが百本の手の一本一本は、社会という機械のバネを握っている。警察というのは、われわれがゴイムのために入念に作り上げ、しかも政府は覗けない望遠鏡であるが、その警察の力を借りずともわれわれは何もかもが解るのである。われわれの計画では、われわれの臣民の三人に一人が、国家への無料奉仕義務として他の二人を監視する。かつてのようにスパイは恥ずべきことではなく、評価すべきことなのである。しかしながら、根拠のないことを密告した者は厳罰に処し、密告権の乱用を慎ませる。

 このわれわれの代理人は、社会の上層からも下層からも、さらに暇な時間を娯楽に費す管理層、編集者、印刷業者や出版人、書店業、店員、販売業者、労働者、御者、従僕等々からも採用する。この組織は職権を持たず、目撃したことについてなんらかの行動を起こすことは許されず、なんら権限のない警察であって、唯一観察し証言するのみである。供述を確かめたり逮捕を決定したりするのは、警察の責任ある取締官の仕事であり、実際の逮捕には憲兵隊や都市警察があたる。警察担当の事件で、見聞したことを報告しない者は、隠匿罪で告発され、その責を負い、それが証明されれば有罪となる。

 今日でもわれらの兄弟たちは、自分の責任において、自分の家族の背教者や結社に反対する行動をとった結社員を告発する義務をもっているが、それと同じことを全世界を支配するわれらの王国においても、わが臣民全員に国家に対する奉仕として義務づけるのである。

 このような組織こそが、権威権力の乱用や贈収賄や、われわれの機密計画を使い、人間についての超人類的な理論を駆使し、われわれがゴイムに植え付けた悪習のすべてを根絶させるであろう……だが、彼らの政治の中に混乱を植え付け増大させるのに、果たして他に方法があっただろうか?……あまたあるこれらの方策の中でも、最も重要なるものの一つは、彼らの悪の偏執性・・どうしようもない自惚れ、権力の無責任な乱用、そして、何よりもかによりも賄賂・・を拡張発達させ、彼らを破滅させるのに都合のいい位置にいる秩序回復の代理人である。

シオンの議定書 第十八議定

 われわれが秘密の護衛措置の強化を講ずる必要が生じた際には、見せかけの秩序混乱、すなわちうまい弁舌家に協力させて不平不満をぶつけさせる。こういう弁舌家の回りには、その発言に共鳴する輩が皆集まってくる。それがあまたのゴイムの中から選んだわれわれ側の人員によって、家宅捜査や監視をする口実となる。

 大多数の陰謀家というのは勝負事好きでおしゃべり屋であるから、そこで、彼らが明白な行動を起こすまでは、われわれは指一本触れずに、ただ彼らの中に監視員を入れるだけにとどめておく……銘記しておくべきことは、陰謀摘発が度重なると当局の威信が落ち、弱みがあるからやっているんだろうとか、もっと悪いことには不正不法であるとか、余計な憶測邪推を生じさせるということである。御存知のように、われわれは代理人を通じてゴイの王たちの生命を脅かして権威を失墜させたのであるが、この代理人たちはわれわれが飼っている群の中の盲目の羊であって、少々政治色をつけた自由主義的な言辞を弄して犯罪を攻撃すると、たやすく乗せられてしまう連中である。われわれは秘密防衛措置を公然と暴いてやって、支配者たちに彼らの弱点を思い知らせてやってきた。これによって、権力を打倒する保証を手中にしたのである。

 われわれの支配者は目に見えない護衛だけに守られる。反政府暴動があるやも知れず、王にはそれを抑える力がなく逃げ隠れているという考えは断じて与えてはならない。

 ゴイムがやったように、また、現在もやっているように、そんな考えをはびこらせたら、われわれの王ではないにしても、とにかくその王朝に対して遠からず死刑宣告に署名しているようなものである。

 われわれの王は威厳のある風貌の力を国民の福利増進のためにのみ用いるのであり、間違っても自分自身や一族の利益のために用いることはない。それゆえに、この威信が保たれることで、王の権威が尊敬され、国民そのものに守られ、市民全員の福利と固く結びついて神のように崇められるのである。まさに王の威信によってこそ、多数の通常生活における秩序すべてが保たれるのである。

 公然と護衛することは、強そうに見える王者の政治組織の弱さをさらすことになる。

 われわれの王は人民の中に行くときは常に、見た目には全く偶然そこに居合せた物見高い男女の群集に取り囲まれたかのように見せる。それらの男女は王に近い前の方の数列を占め、後の列を制止する。他の者は尊敬の念からよく秩序が保たれているように見える。これは他の場合でもそうすることに慣れるように種を蒔くことになるのである。もし群集の中から請願人が現われて、王に請願書を手渡そうとし、列を分けて進んできたら、最前列の者が請願書を受け取って請願人の目の前で王に取り次がなければならない。そうすれば誰の目にも直接請願書が王の手に届き、王自身が国政を監督していることが知れ渡る。人民が「王様がこの事を御存知だったらなあ」とか「王様が聞いて下さった!」と言えることが、権力の後光となるのである。

 公然たる護衛警察は王者の神秘的権威を失わせる。少々大胆さを持ち合わせていれば、誰でも自分は護衛を自由に操れると思い込み、暗殺者は自分の力に自信を抱き、時至れば官憲に一撃を加える瞬間をうかがう……ゴイムには、われわれは正反対のことを教えてきたが、目立つ護衛策がどんな結果をもたらしたかを、事実そのものによってとくと見ることができた。

 われわれは、犯罪者とあれば根拠が十分であろうと不十分であろうと、まず逮捕する。万一間違えるといけないということで、政治堕落犯罪を犯した疑わしき者に逃亡の機会を与えるとは、とんでもないことである。政治犯の場合は、文字通り峻厳でなければならない。単純犯罪で動機の再審議を許可し、特別扱いをすることが可能な場合でも、職権を持った者の他には何びとといえども事件に介入する口実は存在しない……すべての政府が真実の政治を理解するものではないのであ

シオンの議定書 第十九議定

 われわれは個人が政治に口出しすることは全く許さないけれども、政府人民の状態を改善すべく仔細に検討するに値する提案、報告、請願は奨励する。このような提案は、われわれの臣民が何を空想しているかをわれわれに明らさまに教えてくれるからであり、それらに対しては実現できるものはその旨を付し、そうでないものは起案者の誤りを指摘し反論して応える。

 反政府活動屋は象に対してキャンキャン吠え立てる小犬以外の何ものでもない。組織的に活動している政府にとっては、警察の見地からではなく公共の立場から見ても、小犬が象に吠え立てるのは、象の強さや力を全く知らないからであると見做す。これには両者の力関係を一度だけ見せてやる以外は何もする必要はない。そうすれば小犬は吠え立てるのを止め、次からは象を見ると尻尾を巻いて逃げ出すであろう。

 政治犯罪者が主義に殉ずるものとして尊ばれることをなくすためには、裁判の際に、彼らを強盗、殺人犯、その他言語同断破廉恥極まる犯罪者と同じく扱うのである。そうすると世間は、政治犯をその種の犯罪と同種の不道徳犯罪と見做し、軽蔑の眼差しで見下げるようになる。

 ゴイムが反政府活動を圧殺するのに同じ手段を用いないよう、われわれは極力努力してきたし、今後もその努力は継続したいと思う。新聞や演説講演・・間接的には巧みに編集した歴史教科書・・を通じて、われわれは反政府屋を公共の福利のために殉じた殉難者として宣伝してきたのは、以上の理由からである。この宣伝がふくれ上って、リベラルたちが増加し、何千というゴイムをわれわれの家畜群に引き込んだのである。

シオンの議定書 第二十議定

 今日は財政計画の諸問題を取り上げる。この問題は扱いが最も難しく、われわれの計画の中では最高かつ決定的に重要なので、私の報告の中では最後に述べることにしておいた。本論に入る前に想起していただきたいのは、私がすでにヒントとして提示しておいたこと、われわれの活動の総括は数字の問題として現わせるということである。

 われわれの王国が実現した時には、われらの専制政府は、自衛のために賢明にも、人民大衆には税の負担をかけないようにする。これは、われわれの政府は父親や保護者の役割を果たすということを想起していただきたい。さりながら、国家組織には莫大な金がかかるのであるから、必要な資金は確保する必要がある。ゆえに、格別細心の注意を払って、この問題に関しては適切な課税方式を定めなければならない。

 われらの王は、法的な形では国の資産はことごとく王が所有者であり(形だけでなく実際にも容易にそれが適用できる)、国内流通を規制するためにはあらゆる資産の総額から合法的に徴収することができるのである。このことから、課税は累進課税方式で徴収するのが最もよろしいという結論になる。そうすれば資産総額の何パーセントという形で支払うべきものが支払われ、何びとも困窮したり破産したりすることがない。富める者は、税金を払えば残りの金は国家が財産不可侵権で保障してくれ、なおかつ正直な利益を保護してくれるのだから、余分な金の一部は国家に御自由にお使い下さいと差し出すのが義務であると考えなくてはならないのである。私は今、「正直な」と言った。これは財産をしっかり監督すれば、法律でいう泥棒を駆逐するということを意味している。

 社会改革は上記のことから始めなければならない。その時は熟している・・それは安寧の印として不可欠なことである。

 貧しい者に課税することは革命の種を蒔くことになって、小を追って大を逃し、国家の損害となる。そんなこととは全く別に、資本家に課税するのは、個人の富の増加を防ぐことになる。われわれが昨今資本家の手に富を集中させたのは、ゴイム政府の力・・国家財政・・が強くならないように、平衡力をつけるためであった。

 資本の高に対して累進課税を課すると、現行の個人課税や資産課税よりも遥かに大きな収入となるが、現在の課税方式はゴイムの間に不満と反抗を起こさせるという理由でのみ、われわれには必要なのである。

 われわれの王は、均衡を保つことと安寧を保証することに強みがある。それがためには、資本家たちは国家機関を正常に動かすために自分の所得の何分の一かを投げ出すことが絶対に必要なのである。ゆとりのある人々は公共の必要を賄わなければならない。

 そういうことが行われると、貧民は富豪を怨まなくなり、富める者は国家維持にはなくてはならない財政的支柱であり、国家に必要なものを支払っているからには、安寧福利の守り役であるということが解ってくるのである。

 知識階級の納税者に新体制の納税方式にあまり不平を言わせないようにするには、公費の細かい支出を見せてやるが、王室費と行政費とは例外である。

 すべてを支配する王には、国家のすべてが王の財産であるから、王個人のものと称する財産は何もない。と言うと矛盾があるが、実はある方法で、実際には普通の意味で国家のすべてを所有するということは出来ないようになっている。

 国家資産で扶養する王の妻子は別として、統治者の親族は国家公務員になるか、資産を得るべく働かなければならない。王の血族だからといって、国庫に属するものを私する権利があってはならない。

 販売、所得、相続には、累進課税印紙を支払わなければならない。所有権を移転するときには、動産であろうと不動産であろうと、姓名を記載した印紙による支払の証拠がなければ、最初の所有者は移転の宣告が発覚した日からの利息を支払うのである。売買物件登録は、新旧の所有者の住所・氏名を付して、毎週大蔵省地方支所に届出しなければならない。この姓名付き登記は所定の金額を超える場合から始め、通常の日常品売買には一定単位ごとの所定パーセンテイジの印紙税を支払えばよろしい。

 このような方法だとゴイム政府の収入の何倍になるか計算してみていただきたい。

 大蔵省は一定額の予備金を確保し、それを超える徴収額は全額流通に還元しなければならない。その還元額は、公共事業に当てる。国庫から資金が出るこの種の事業は、国家が企画実施するのであって、これにより労働者階級の利益と彼らを支配する国家の利益とが固く結び付くのである。この資金の一部は、事業の発案者や施行者に与える報償金にも当てる。

 国庫には、たっぷりと確保した所定の予備金のほかには、たとえ少額であっても決してよけいな金を置いておいてはならない。金というのは流通させるべきものであって、およそ流通を妨げることはすべて国家機構の運営には支障を来たす。それは潤滑油のようなものであり、潤滑油が滞った日にはよどみなく活動すべき国家機構が齟齬を来たす。

 貨幣の代用に紙幣を使うことが、確実に流通を阻害した。この状況が続いてどういうことになっているかは、すでに明らかでる。

 われわれは王が直轄する会計検査院を設ける。そこでは王がいかなる時でも、まだ決算されていない当月分と、まだ発生していない翌月分は別として、前月までの国庫の収入支出状態を親しく検査できる。

 国庫から盗んでも何の利益にもならない唯一の人間は、その所有者であり、王である。これによって紛失や浪費の可能性を封じることができる。

 支配者の代表的な行為に、儀礼のための宴会というのがあるが、これは貴重な時間を浪費するものであるから、王に統括と熟慮の時間を確保するために、宴会は一切廃止する。王の力は、きらびやかな王位を取り囲み、自分のことしか考えず国家の問題なぞ念頭にない取り巻き連中にかしづかれ、取るに足らないことに時間を割かれるべきではない。

 われわれがゴイムの間に作り出した経済危機では、流通貨幣の引上げほど効果のあるものはなかった。国内から貨幣を引き上げると巨大資本は停滞し、不足した資本は借金に頼らざるをえなくなる。この借金というのが利息が嵩むものだから、これらの資本は国債奴隷となる……小さな親方たちの手から資本家の手に産業を集中すると、全人民が、そして国家も活力を失ってくる。

 一般的に言って、現在の通貨発行は国民一人当りの消費に相応していないので、労働者の必要を満たすことができない。通貨発行は人口増加に相応すべきであり、子供は生れたその瞬間から一人前の消費者であると計算しなければならないのである。通貨発行量の変更は世界中どこの国でも重大問題となっている。

 御存知のように、金本位制を採用した国々は危殆に瀕している。われわれが流通している金を出来る限り引き上げるものだから、通貨の必要を満たすことが出来なくなっている。

 われわれは紙でも木でも構わないのだが、労働力の価値に見合う通貨を作らなければならない。われわれは国民の必要に応じて、つまり、人が生れれば通貨発行額を増加させ、死ねば減少させる。

 各官庁各地方(たとえばフランス行政部)の財政は、それぞれが運営管理する。

 国費の支払に遅延を来さないようにするためには、支払日と支払額とは王の命令で一定に定める必要がある。これにより、ある省の大臣だけが便宜を得て、他の部門は迷惑するというようなことが起こらないようにする。

 収入予算と支出予算とは、両者が隔絶することがないように比較点検しつつ実施する。

 われわれが計画したゴイムの財政制度と原理の改革案は、誰も肝を潰さないように衣をかぶせてある。われわれは、ゴイムがしでかした不始末によって財政に撒き散らした混乱の結果、改革が必要であることを指摘する。われわれが指摘する第一の不始末は、次々と起こる原因で年々膨れ上る年次予算に初めから仕込まれている。その予算は、上半期まではダラダラと行われ、それから補正予算を要求し、三ヵ月ぐらいかかって補正予算を作ると、もう清算予算を出さなければならない時期になって終りである。だが、翌年の予算は前年の総支出に基くので、経常の必要よりも年間五〇パーセントにも達し、十年もたつと三倍に膨れ上る。ゴイ政府の無頓着なやり方のお蔭で、国庫はついに空になる。ここで国債時代が始まるのだが、国債国庫以外のものまで呑み込み、かくてゴイ国家全部がご破産となるのである。

 先刻御承知であろうが、かくのごき財政管理法は、われわれがゴイムに授けた方法であって、われわれがこれを実行することはできない。

 国債はどんな種類であろうとも、国家が脆弱であり、国家機能を理解することすら欠如している証拠である。国債は支配者の頭の上にぶら下っているダモクレスの剣のようなもので、支配者は国民から税金を取る代わりに、われわれの銀行家に掌をさしのばして憐れみを乞うようになる。外債は国家の体に取りついている蛭であって、蛭の方で自然に落ちるか、国家が叩き潰しでもしない限り取れるものではない。だが、ゴイの国家はこの蛭を払い落とさない。行き着く先は減亡というところまで、ますます取りつかせ太らせ、最後は失血して自ら死を招くのである。 細かい点は別として、国債とは、とりわけ外債とは何であるか?国債とは・・発行総額に比例して利息が上って行く、政府発行の手形である。かりに国債に五分の利息が付いているとすると、二十年間に国家は国債総額と同額、四十年間にその二倍、六十年間に三倍の利息を払い、なおかつ借りた分だけが未払のまま残るのである。 この計算を見れば明らかなように、どういう徴税方法かで一人当りから徴税すれば、国家は富める外国人に利息を払うために、貧しい納税者から最後の小銭まで巻き上げずにすむのに、余計な利息など払わずに必要な額を調達すべく小銭をかき集める代わりに、富める外国人から金を借りてしまったのである。

 国債内国国債であるうちは、ゴイムは貧民の懐から集めた金を富豪の懐に収めただけだったが、われわれが特定の人間を買収して、国債を外国に売らせるようにしてからは、国家の富はすべてわれわれの金庫に流れ込み、ゴイムというゴイムはわれわれに国民を貢物として差し出したのである。

 ゴイの王者たちの国務に対する浅薄な態度、大臣たちの腐敗、国政を預る者たちの財政問題に対する理解の欠如が、彼らの祖国をわれわれの金庫に対する払い切れないほどの巨額の債務者にしてしまったが、それはわれわれの側の労力と金銭の多大な出費なしには容易にできることではなかった。

 われわれは貨幣の流通にはなんらの障碍も許さないから、1%ものを除いては利付き国債は発行しない。従って、国家の力を吸い取る吸血の蛭どもに利息を払うことがない。利付き公債発行権はもっぱら、利益から利息を払うことが無理でない工業関係の会社に与える。国家は、会社のように借りた金で利益を収めるのではない。国家は消費のために金を借りるのであって、運用資金として借りるのではない。

 政府もまた工業公債を買うけれども、政府の立場は現在のように配当を払う債務者ではなく、利息を受ける債権者の立場になるのである。この方法ならば、貨幣の流通停滞や奇生資金や遊休資金をなくせる。これらはいずれも、ゴイムが勝手にやってわれわれの支配に従う気がない限りは、ゴイムに対する有効な手だてだったのである。

 ゴイムの頭というのは、思考力の発達していないことにかけては、全く野獣並みであることが明々白々ではないか!彼らは、われわれから利子付きの金を借りている。その元利を返そうと思えば、国庫から取り出す以外に手はなく、結局またわれわれから借りなければならず、どうあってもわれわれの懐に戻るということを考えても見ようとしないのである。彼らが必要とする金は、人民から取り立てた方がはるかに簡単であったのに!

 だが、ここにこそわれら選ばれたる民が天才であることの証しがある。われわれは、その方法ならば彼らの利益になるかのように彼らに持ちかけて来たのである。

 時至り、われらが会計を提示する場合には、われわれがゴイ政府に対して幾世紀にわたって行ってきた経験にかんがみて、明白かつ決定的な内容とし、われわれの新制度の利益になるものであることが万人に一目で判るようにする。その予算は、われわれがゴイムを従属させるために多用した方法はすべて打ち切り、われわれの王国においてはかかる方法は微塵も許さない。

 われわれは王であろうと最下級公務員であろうと、いかなる些少な金額でも、あらかじめ決められた支払先以外の所には支払われぬように会計方式を立て厳重管理する。

 明確な計画なしには、統治は不可能である。英雄や半神といえども、どこへ行くかも解らない道を、十分な金の準備もなしに旅立てば、失敗するほかはないのである。

 ゴイの支配者たちは、かつてわれわれが助言したとおりに、国務を怠って各国代表たちとの宴会や儀礼、歓楽にふけっていた。彼らはわれわれの支配が目に見えないようにする衝立に過ぎなかった。王たちに代って寵臣たちが書いた回顧録なるものは、実はわれわれの代理人が書いたのであるが、そこには決まって将来の経済と繁栄が約束されていたので、皮相的にしか物を考えない人間たちを満足させた……が、何の経済のことか?どんな新税を?・・われわれの回顧録や計画を読めばそういう問が出てくるはずなのに、誰一人として質問しなかった。

 彼らの人民は驚くべきほど勤勉なのに、彼らが途方もない財政的混乱に陥った原因が、そのうかつさにあったことは、諸兄はよく御承知のことと思う。

シオンの議定書 第二十一議定

 前回の集まりで述べたことに、今回は内国債について細かい説明を付け加えたい。外債については、重ねて申し上げることはない。外債のおかげで、われわれはゴイム政府からたんまり稼がせて頂いたが、われわれの政府においては外国人がいない、すなわち、国外というものがないのである。

 われわれは行政官の腐敗と支配者の怠慢に乗じて、ゴイ政府には少しも必要でない金を貸して、その二倍、三倍、さらに数倍をわれわれの金庫に収めた。いったい誰がわれわれをそんなにしてくれたのか?……そこで、私は内国債について詳しくお話ししようと思う。

 政府政府の為替手形すなわち利付き債券の購入者を公募したとする。額面は小口大口いろいろ設けられ、早くから申し込んだ予約者には額面よりも割引いた金額で売る。が、翌日になると、小細工を弄して、何しろ購入者が殺到したので、という口実で値上げする。数日後に大蔵省の金庫はあふれんばかりで、予定額をはるかに超過したと言う(それなら、なぜ国債を発行したのか?)。 予約額は債券発行額の数倍にも達したと発表される・・国債に対する信用を示そうというのである。

 こんな芝居は芝居ですむが、新たに発生した債務をどうするのかという問題が起こる。途方もない額の債務が生じたのである。利子を払うには、その財源に新たな債券を発行する必要がある。新たな債券は元利を清算するのではなく、ただ単に新たな債務を上乗せするだけである。政府国債発行の限度を超えたら、新しい課税で取り立てる必要が生じる。それも国債整理のためではなく、ひたすら利払いのためである。新税はひたすら借金のための借金となる……

 そのうち債券書替えの時期がやってくる。だが、これとても利率を下げることはできても、債務をなくなしてしまうわけではない。それだけではなく、債権者の同意がなくては書替えはできない。書替えにあたっては、同意しない人々には金を返済すると公告する。もしも誰も彼もが、書替えは嫌だ、金を返せと言ったら、支払い不能に陥ることは火を見るよりも明らかであり、政府は自ら墓穴を掘ったことになる。幸いにもゴイ政府の臣民は経済のことはとんと事情にうといから、金を新しい事業に投資して利が落ちるよりも書替えで利が薄くなる方がまだましだと思って同意する。かくして臣民は数百万という政府の債務を穴埋めすることに協力してやる。

 今日では、ゴイムといえども外債でこんな芝居を打つことは、ごまかしが利かないことが判ってきた。われわれが全額払戻しを請求することが判ったからである。

 このようにして明らかな破産倒産状態が生じ、人民の利益と支配者のそれとは一片も共通する所がないことが明々白々となった。

 今お話したこと、これからお話することには格別の留意を払っていただきたいのであるが、内債は今日ではいわゆる短期公債、すなわち、多かれ少なかれ期間の短いものに整理されているという点である。これらの借金は貯蓄銀行に収納され資金として確保される。政府はこの資金を外債の利子支払いに当て雲霧消散させてしまい、その穴埋めに同額の公債を当てているのである。

 ゴイムの国庫からの資金漏出をとりあえず穴埋めしているのは、実にこれらの短期国債なのである。

 われわれが世界の王座に昇る時は、われわれの利益に反するかかる財政上の窮策を痕跡も残さず一掃し、併せて金融市場をすべて廃止する。われわれの権威は価格変動に左右されるべきではないから、価格上昇も下落もできないように、法令をもって価格というものを固定してしまう。(価格を吊り上げるのは落とすためであり、実にこの方法によってわれわれはゴイムとの関係の初期に彼らを弄んだのである)。

 われわれは金融市場に代えるに政府による大規模な国立信用取引所を設ける。その目的は、政府の意図する通りに産業生産物の価格を設定することにある。この組織は一日に五億の産業証券を出してやり、また同額を買い取ることができる。この方法により全事業がわれわれに従属するようになる。このことがいかなる力をわれわれに与えるか、諸氏は御自分で想像していただきたい。

シオンの議定書 第二十二議定

 これまで長々と述べてきたことをもって、私は、将来、過去、現在の秘密を注意深く明らかにしようと試みたが、残るは近い将来、洪水のように起こるであろう大いなる事件と、われわれとゴイムとの関係、その経済関係の秘密に入ることにしよう。が、この件に関しては、私が付け加えることはごく僅かである。

 われわれの手中には、現代、最も威力を発揮するもの・・〝金〟がある。われわれは二日間あれば必要な量の金をわれわれの貯蔵庫から集めることができる。

 この事以上に、われわれの支配は神の思召しであることを証明する必要があるだろうか。かような富があればこそ、何世紀にも渡ってわれわれが重ねなければならなかった悪がすべて、真実の福利を最終の最終にもたらす・・万物に秩序をもたらす・・ために役立つことが疑いもなく明らかであるだろう。たとえ暴力を用いたとしても、全く同じ結果となるだろう。われわれが引き裂かれねじ曲げられた地球に、真実の善と個人の自由をも回復する大恩人であることを、われわれは証明するだろう。そうすることによって、もちろん、われわれが確立した法をきびしく遵守する限りにおいてだが、われわれは地上に平和をもたらすことができるであろう。そうすることによって、われわれは明白にする。自由とは放縦ではないことを。人間の品位とか力とかには自堕落が含まれていない以上に、自由とは抑制の利かない権利は含まないことを。良心の自由や平等、その他これに類するものは人間の本性にある破壊的な原理であることを万人に公表し、個人の自由とは決して無秩序な群集の前で言語同断な言説を弄して煽動することではないことを。真実の自由とは、社会の法律には敬虔に厳しく従う人の不可侵性にあること。人間の尊厳とは権利意織に包まれてはいるが、同時にいかなる権利意織ももたぬものであること。そして自分勝手な空想を実現しようとすることは決して許されないことを。

 われわれの権威は強力なるがゆえに栄光に満ち、支配し、指導し、自分では大真理と思い込んでいるが中味は何もない無意味な言説を声高に上げる夢想家に過ぎない指導者や弁舌家の後塵を拝するのではなく、正直に話す……われわれの権威は秩序の王冠であり、その中に人類の至福が宿っている。この権威の後光の前では、すべての人民が神秘のあまり平伏し、畏怖の情にとらわれるのである。真実の力はいかなる正義にも、神にさえも譲歩しない。何びともあえてこの力に近付いて一毫たりとも毀損することはできないのである。

シオンの議定書 第二十三議定

 人民を服従に慣らすためには謙遜ということを教え込む必要があり、従って奢侈品の生産を縮小すべきである。これによって贅沢を張り合う卑しい根性を改める。われわれは小さな親方製造業を再編成して、個人資本の工業家を倒すという狙いをもっている。大規模の製造業は必ずしも意識的ではないにせよ、政府に反対する考え方を群集に植えつけるので、この処置は欠かせない。小さな親方たちは罷業を知らず、既存の秩序にしっかり結び付いている。罷業は政府にとっては破滅的な一大問題である。

 われわれは時の権力をわれらの手に移す時に、この手を使う。酩酊も法律によって禁止し、酒の力で野獣に変わる人間性に対する罪として処罰する。

 重ねて述べるが、臣民は自分たちとは絶対的にかけ離れた力強い手に対しては、盲目的に服従する。彼らはそこに自分たちを襲う社会的な鞭から守ってくれる防御の剣を感じて支持するのである……彼らは王者に天使の心を期待するのか?彼らが王者に見たいのは力、力、力の権化なのである。

 現存する支配者たちに代わるわれらが至高の君主は、何をしなければならないか。われわれが意気阻喪させた社会、神の権威すら失墜させた社会、四方八方から無秩序混乱の火の手に包まれている真中で、支配者たちはその存在を引きずって歩いているが、われらが王は何よりもこの燃え上がる炎を消し止める事に身を投じなければならない。それゆえに、王は、彼らを王の血の海で溺死させるけれども、これら現存する社会を根絶せざるをえず、改めて彼らをよく組織された軍隊に復活再編成し、ただれた国家を覆うあらゆる種類の伝染病に対して意織的に闘わせなければならない。

〝神に選ばれた者〟は、理性ならぬ本能によって、また人間性ならぬ獣性によって動くバカげた力を粉砕すべく天から下される。この力は今は自由の原理という仮面をつけて、略奪とあらゆる種類の暴力をはたらき、凱歌を挙げているが、この力が秩序破壊の跡にイスラエル王を王座に据えるのである。だが、彼らの役割は王が王国に入ったその瞬間に終る。王国の路からは、その残骸の一片すらも残さないように一掃される必要がある。

 その時、われわれは世界の人民に次のように言うことができるだろう。「神に感謝せよ。額に人類宿命の験(しるし)を付けた方の前にひれ伏せ。その験は神おん自らが星を導いてその方に付けられたのだ。その方を措いては生来の罪と悪から解き放って下さる方はいないのだ」。

 シオンの議定書 第二十四議定

 次にダビデ王朝の土台を世界最後の段階まで一層強固にする方法に進もう。

 この方法は、何よりも第一に、今日まで世界の全問題を遂行し、全人類の思想教育を指導してきたわれらの賢人長老たちが積み重ねてきた伝統的な方法によるものである。

 ダビデ王の子孫のうちの数人が、相続権ではなく、優れた資質を基準にして王と後継者を選定する。その人々には、政治の最高機密と政府の仕組みとが伝授されるが、常に何びとにも極秘の知恵が漏れないように留意する。この方式の真意は、このような秘義を授けられたことがない者には、政府を委すことはできないということを徹底させることにある。

 これらの人々にのみ、何世紀にもわたる諸経験と比較しつつ、私がこれまでに述べたような計画の実際化や、政治経済運動や社会科学研究の全成果・・一言で言えば、人間関係を律する動かしがたい天然法則の大真理・・が伝授される。

 直系の子孫が王位継承から外されるのは、秘義伝授の過程で浅薄・軟弱その他、王の権威破滅となる資質が明らかになった場合である。そのような性向は統治者には不向きであり、王宮においては危険な人物となる。

 たとえ残忍であったとしても、無条件に断固たる人物のみが、われらの賢人長老たちから支配統治の手綱を渡されるのである。

 病気に罹ったり精神障害があったり、その他王たるにふさわしくないことがあった場合には、王は律法に従って統治の手綱をふさわしい者に譲らなければならない。

 通常の時間における王の行動計画と将来に関することはすべて、最も親しい助言者たちにも知らされない。

 王と三人の顧問のみが、将来の計画を知っている。

 断乎とした意志で自分と人類を律する王の人柄には、万人が神秘の宿命を認めるのである。何びとも王が何を行おうとしているのかを知らぬので、あえて知らぬ小路を遮ろうとする者はいない。

 王の頭の中には実行すべき政府計画を理解するに足りる知恵が貯えられていなければならない。王位に就く前に、前に述べた賢人長老たちが試験を行うのは、そのためである。

 人民が王を敬愛するのは、王が市場などで人民に意見を述べることを欠かさないからである。現在ではわれわれが両者の間に恐怖の溝を作って引き離しているが、双方を結びつける必要がこれで満たされる。

 この恐怖は、時が至るまでは、両者をわれわれの影響下に置くためには必要欠くべからざるものである。

 ユダヤ王は自分の感情、とりわけ情欲の虜になってはならない。王は自分の人格のどの一面でも、荒々しい本能に精神を凌がせることがあってはならぬ。情欲はいかなる精神的な欠点よりも、明晰に見る力を殺ぎ、思考を人間の性質中最悪の獣的なものに落とし込む。

 ダビデの聖なる子孫である全世界統治王その人は、人類の支柱であり、人民のためにはいかなる個人的希望をも犠牲にしなければならない。

 われらが至高の王は完全無欠の権化でなければならない。


世界革命行動計画 01:47Add Starshg


(前回からの続きです)

『民間が所有する中央銀行』では重要な部分がかなり割愛されているので、原典となった『PAWNS IN THE GAME』(この本は『闇の世界史』として2005年1月に成甲書房から発売されています)から引用して問題箇所をご紹介いたします。

 ちなみに、この会議がおこなわれたのが1773年。「自由・平等・博愛」をスローガンとしたフランス革命が起きる16年前です。ヨーロッパ中でユダヤ人に対する迫害が露骨におこなわれていましたが、ホフ・ユーゲン(宮廷ユダヤ人)と呼ばれる完全に自由な特権を享受していた少数のユダヤ人も存在していました。

 この文章は、議事録というより会議の様子をレポートしている感じになっていて、発言者というのはマイヤー・アムシェルロスチャイルドを指していると思われます。また、文中に出てくるゴイム(ゴイの複数形)という言葉は「他の民」つまり「非ユダヤ人」を指しています。


 明かされつつある企てを大まかに説明して熱狂的な支持を集めるとロスチャイルドは、原稿を開いて周到な行動計画を読みあげた。全世界の富、天然資源およびマンパワーに対する最終的絶対支配権を手に入れることを渇望する陰謀者の企てを、確信をもって私が要約すると、以下のとおりである-

1.この発言者は、大多数の人間は善より悪の傾向が強いため、そのような人間を支配するには学究的議論ではなく、暴力とテロリズムに訴えると最善の結果が得られると述べるところからその企てを明かしはじめ、そもそも人間社会は残酷で見境のない力に支配されていたが、やがてその力が「法」とされたと論じた。そして「法」が姿を変えた「力」である以上、自然の諸法によって、権力は力の中に存在している」と考えるのが妥当であると続けた。

2.次にこの発言者は、政治的自由とは事実ではなく1つの思想であると主張し、政治権力を奪取するには「リベラリズム」を説くだけで十分であるとした。そうすれば有権者は1つの思想のために自らの力、特権を手放すことになり、陰謀者はその放棄された力、特権をかき集めて手中におさめればいいことになると論じた。

3.この発言者は「金の力」はこのときすでにリベラルな支配者の権限を奪取したと主張し、かつての時代には「信仰」が支配していたことを出席者に思い起こさせた。それでも「自由」が「信仰」に置き換えられても、大衆にはどのようにして自由を穏当に享受すればいいのかわからないと発言者は続け、この事実から考えると、「自由」という思想を利用すれば「階級闘争」を生じさせることも可能だと論じた。そして勝者は必ず「我々の手中にすっぽりおさまっている資金」を必要とするだろうから、計画さえ成功すれば、既存政府が内敵に破壊されようが外敵に破壊されようが、それは重要問題ではないとした。

4.道徳律によって支配を行なう支配者は、自ら攻撃にされされてその地位を追われかねないので、熟達した政治家とは言えないということを論拠にすれば、最終目標に到達するために利用されるありとあらゆる手段を正当化できると論じたうえで、発言者は「率直さや正直さといった国民としての立派な資質は政治に支障をきたすから、支配となろうとする者はずる賢さ、欺瞞に訴えなければならない」と言った。

5.「我々の権利は力の中にある。『権利』という言葉は抽象概念であって、実体はない。私が見出している新たな『権利』とは…強者の権利によって攻撃する権利であり、既存秩序、規律のすべてを粉砕し、既存のすべての制度を再構築する権利であり、『リベラリズム』の中で自発的に放棄された権限に対する『権利』を我々に委ねた人々の主権者となる権利である。」と発言者は主張した。

6.さらに「我々の富の力はいかなるずる賢さ、力によっても損なわれないような強さを獲得するそのときまで、表面化しないよう保たれなければならない」と出席者を諭し、明かされつつある戦略計画の基本路線から逸れることは「何世紀にも及ぶ営為」を無にする危険性があると、発言者は警告した。

7.また発言者は「群集心理」を利用して大衆に対する支配権を獲得するように忠告した。暴徒の力は無目的で、無意味で、論拠を持たないために、いかなる側の提案にも影響されると主張し、「独裁支配者だけが暴徒を有効に支配できる。というのも、絶対独裁支配がなければ、大衆ではなく(それがだれであれ)大衆の先導者によって達成される文明も存在し得ないからである」と論じた。そして「暴徒が『自由』を手にした瞬間、事態はたちまち無秩序状態に転じる」と警告を与えた。

8.次に、酒類ドラッグ、退廃的道徳、あらゆる形態の悪徳を代理人を通じて組織的に利用することで、諸国家の若者の道徳心を低下させなければならないと説いたうえで、専門の代理人が個人教師、使用人、係官として、それもゴイムが頻繁に出入りする娯楽場に配された我々の側の女性によって養成されなければならない、と発言者は主張した。そして「今述べた女性の中には、贅沢にふける堕落した人々の愛人となることを自ら選ぶいわゆる社交婦人も含まれる。賄賂ペテンも裏切り行為も、それが我々の目的達成に役立つのであれば、続けられなければならない」と付言した。

9.政治については、そうすることで服従と主権を確保できるなら、何がなんでも躊躇うことなく財産を奪い取る権利が自分達にはあると発言者は主張し、「平和的征服の道を進む我々の国家は戦争の恐怖を死刑宣告、すなわち盲従を生じさせる『恐怖』を維持するための目立たないが目的に適う方策で置き換える権利を有する」と明言した。

10.スローガンの使用については「古代において、我々は『自由』『平等』『博愛』という言葉を大衆に教え込んだ最初の民族であり…今日に至るまで、この言葉は愚かな人々によって繰り返されてきた。ゴイムは、賢者であると自称する者さえ、難解さゆえにこの言葉を理解できず、その言葉の意味とその相互関係の対立に気づくことさえない」と述べ、これは我々の旗を意気揚々と掲げる軍隊を我々の指示と統制のもとに置く言葉であるとした。さらに発言者は『自由』『平等』『博愛』のための場など自然界に存在しないと論じ、「ゴイムの自然発生的で世襲的な貴族社会の廃墟の上に、我々は金による貴族社会をつくりあげた。それは我々の拠りどころ、すなわち富を参加資格とする貴族社会である」とした。

11.戦争に関しては、発言者は持論を披露した(この発言者が1773年に提案した1つの原則は1939年英国およびアメリカ合衆国によって共同政策として発表された)。自ら戦争を誘発しながらに、敵対するどちらの側にも領土の獲得が生じない和平会議を主導しなければならないと論じたのである。さらに、発言者は「戦争とは対立する双方の国家がさらに負債を抱え込み、我々の代理人の手中に落ちるよう主導されなければならない」とも主張した。

12.行政府については、財を活用して「我々の要求に素直に従い、我々のゲームの駒となって、正規の助言者として政府を陰で操ることを我々から任じられた学識と独創性を備えた人物にすぐ利用され得る候補者を選ばなければならない」と論じ、「『助言者』として我々が任じられる人物は全世界の出来事を支配するために、幼い頃から我々の考えに沿って育てられ、教育され、訓練された人物である。」とした。

13.プロパガンダについても発言者は論じ、プールされた金をどのように活用すれば-誹謗、中傷、偽の情報を流したことでどのような波紋が広がろうと、自らは姿を隠したまま、非難されることもなく-大衆への情報の出口すべてを支配できるのかについて説明した。そして「大量の『血と汗』から集めるしかなかったのは事実だか、我々が金を手中におさめられたのは新聞のおかげである…それでも、我々は多くの同胞を犠牲にした。見返りは確かにあった。我々の同胞の犠牲者一人はゴイムのそれの1000人にも値する」と付言した。

14.次に、状況が悪化し、貧困と恐怖によって大衆が支配されたときには、常に代理人を表舞台に立たせ、秩序を回復すべきときが来れば、犠牲者は犯罪者や責任能力のない人々の犠牲となったと解釈されるよう、ことを進めなければならないと発言者は指摘した。つまり、計算済みの『恐怖支配』が実現した時点で、犯罪者や精神異常者を処刑すれば、我々自身を抑圧された人々の救世主、労働者の擁護者として見せかけることができる」と述べ、発言者は「実際のところ、我々の関心は正反対で…減らすこと、すなわちゴイムを殺害することにある」と続けたのだった。

15.経済不況および経済不安をどのように引き起こし、自らの目的のためにどのように活用するかについては、「食糧不足を引き起こすために我々の力を行使すれば、失業と飢えがつくりだされ、大衆にのしかかる。そうすれば、自然発生的貴族社会にかつて(それも国王という合法的権威によって)与えられた以上に確実な資本の支配力が生じる」と述べ、代理人に暴徒を支配させることで、「暴徒」を利用して、行く手を阻むすべての人間を一掃することは可能であるとした。

16.さらには大陸のフリーメーソンへの潜入についても徹底的な議論がなされた。この発言者は、自分たちの目的はその組織および秘密厳守のフリーメーソンから提供されるものはすべて利用することであるとして、ブルー・フリーメーソン内部に自らの大東社を組織して破壊活動を実行しながら、博愛主義の名のもとで、自らの活動の真の意味を隠すことは可能であると述べた。また、自らの大東社に参入するメンバーはすべて、勧誘活動のために、そしてゴイムのあいだに無神論的唯物主義を広めるために利用されなければならないとし、これに関する議論を以下のように締めくくった-「全世界を統治する我々の主権者が王座に就く日が来れば、この同じ手が彼らの行く手を遮る可能性のあるすべてのものを払いのけることだろう」。

17.この発言者はさらに、組織的な計略の価値についても説明を行ない、代理人は仰々しい言い回し、大衆受けのするスローガンを生み出せるよう訓練されなければならないと指摘した。大衆には惜しみなく約束しなければならないからである。そして「約束されたことと反対のことはのちになれば常におこなえる…どうということではない」と続け、「自由」と「解放」という言葉をつかえば、ゴイムを煽って愛国心を駆りたて、神の掟、自然の掟に逆らってでも戦うという気にさせることができると論じた。そして「それだから、我々が支配権を得たら『神の名』そのものが『生きとし生ける者の辞書』から消し去ることになる」と付言した。

18.次に、この発言者は革命戦争の計画、すなわち市街戦の戦い方について詳述し、革命活動に必ず伴わなければならない「恐怖支配」の定型を「手っ取り早く大衆を服従させるもっとも安上がりな方法として概説した。

19.外交術については、「『政治』『経済』『財政』の助言者の仮面をかぶった我々の代理人が、国家的および国際的出来事の背後に潜む『秘密権力』の正体が暴かれるのではないかと心配することなく、我々の命令を実行できるよう、すべての戦争のあとには、秘密外交が主張されなければならない」と述べ、秘密外交によって「我々の代理人が関わらないかぎり、諸国家は些細な個人的取り決めさえも結ぶことができないような支配権が確保されなければならない」と続けた。

20.目標である最終的世界政府については、この目標に到達するためには「大規模の独占、すなわちゴイムの中でももっとも富ある者さえ我々に頼るほど(そして頼った挙句、政治的大打撃が生じた際には、政府への貸付とともに藻くずとなり果てるほど)莫大な富の蓄積が必要とされるだろう」と述べ、この発言者は「ここにお集まりの皆さんは、経済通でいらっしゃるから、こうして協力することの意味をあっさり計算されることと思います」と付言した。

21.経済戦争については、ゴイムからその不動産、産業を奪うための計画が議論され、経済的な国家利益、および投資に関する限り、重税と不当競争を組み合わせてゴイムの経済破綻を引き起こさなければならないと主張した。国際舞台においてゴイムが商売ができないように仕向けることは可能であると、つまりは原材料の巧みな支配、短時間労働および高賃金を求める組織的煽動運動の普及、競争者の助成によってそれは実現できる、とこの発言者は考えた。そこで提言されたのが下準備を整えること、そして賃金の増加で労働者が潤うことが決してないよう状況を管理することだった。

22.武装については、ゴイムに殺し合いをさせるために-最終的には「我々の運動に尽くす少数の金持ち…および我々の利益を守る警察と兵士と、プロレタリアートの大衆がのこればいい」として-大々規模の増強が開始されなければならないと提案した。

23.新秩序については、世界単一政府のメンバーは独裁者によって任命され、科学者経済学者財政専門家、企業家、大金持ちの中から選出されるとし、「実質的には万事、数字で解決がつく」と論じた。

24.若者の重要性については、若者の関心を引きつける大切さを強調し、「代理人はその誤りを我々が承知している理論、原則を教え込むことで、社会の若年層の精神を惑わせて腐敗させる目的で、あらゆる階級、あらゆるレベルの社会、政府に潜入しなければならない」とした。

25.国家法および国際法については、いずれも変えるべきではなく、「歪曲して最初はその法を覆い隠し、やがては見えなくさせるような否定的解釈を行なうだけで」現状のまま利用しつつ、ゴイムの文明を破壊しなければならないとされ、「我々の究極の目的は法を調停で置き換えることである」と論じられた。そして、この発言者は「我々に対してゴイムが武装蜂起するのではないかと、皆さんはお考えになるかもしれません。西ヨーロッパにおいて、我々はこの可能性への対抗手段として、どのような強者さえ縮み上がるような恐怖の組織を持っています…地下組織、地下鉄道、地下の(権力)回廊…などがそうです。危険に脅かされないうちに、こうした組織を諸国家の各都市に組織することにいたしましょう」と続けた。


ラコフスキー調書⑦ 00:09Add Star

Rー冒険をやって見よう。モスクワにジョジフ・E・デービスは来ていないのかネ? そう、米国の駐ソ大使だ。

Gー彼はここにいると思う。彼は帰って来ているはずだ。

Rー唯例外的な状況の場合に限って、公式の仲介を利用する。このために、私は原則を破る権利を与えられると思う。

Gーつまり、全てこの背後に米国政府が立っていると、われわれは考え得ると言うことかネ?

Rー背後であっても、従属している。

Gールーズベルトか?

Rーどうして私がそれを知っている?私が出来るのは結論を出すだけだ。君はいつも政治スパイマニアにとり憑かれている。君を満足させるために、私は色々なことを考え出すことがてできる。君にその事件と正当性を信じさせるためには、十分過ぎる程の想像力、日時、真実を私は持っている。しかし、一般に周知の事実は正しいのではないか? 自分を反省したまえ。1929年10月24日の朝のことを思い出したまえ。この日が1917年10月よりも遥かに重要なものとして、革命史上に数えられる時が来るだろう。1929年10月24日にニューヨーク市場が崩壊し、いわゆる《不況》すなわち真の革命が始ったのである。フーバー政府の4年間は革命的進歩の年である。1200万人から1500万人もの人々がストライキを起した。1933年2月には危機の最後の一撃によって、銀行が閉鎖した。《古典的米国》を打破するために、資本がこの時成し遂げた以上のことを行うことは困難だ。もっともこの資本はなお自らの工業的基礎を持っていたが、経済的関係では、ウォール街奴隷だった。人間ないし動物社会に関しては、経済の涸渇が寄生主義の繁栄をもたらすことは周知のことだ。資本は大きな寄生虫である。しかしこの米国革命が追求した目的は、金銭を利用する権利を持っている人々のために、金銭の権力を強化するだけでなく、それより遥かに大きなものに対する権利を獲得しようとしたのである。金銭の権力は政治的力であるが、かつてはこれを間接的に利用していた。ところで今ではその権力は直接的な力に変形している。《彼ら》は、この権利をある人物を介して持っていた。その人の名はフランクリン・ルーズベルトである。わかるかネ?次のことに留意してほしい。この1929年米国革命の第1年目の2月にトロツキーロシアに離れた。そして崩壊が10月に起っている。ヒトラーに対する融資は、同じ1929年に決定している。これは皆偶然の事件だと君は思うかネ?フーバー政治の4年間は、米国ソ連に対する権力の奪取の準備であった。米国では金融革命によって、ソ連では戦争とそれに引続いて起るはずの敗北によって…。君は《想像》に基づくこんな立派な正しい歴史を聞いたことがあるかネ?このような大規模な計画を遂行するためには、米国における最高権力を指導でき、また前もってこれらの力を組織し、指導できるように準備されている人を必要とすることは、おわかりでしょう。このような人物がフランクリン・ルーズベルトとその妻エリナーであった。この両性の結合は単なる皮肉ではないと言わせて貰いたい。

Gールーズベルトは《彼ら》の一人なのか?

Rー彼が《彼ら》の一人か、あるいは単に《彼ら》に服従しているのかは、知らない。君はこれ以上何が必要なのか?彼は自分の使命を意識していたと思うが、脅迫の結果これを遂行することを余儀なくされたのか、あるいは支配していた彼らの一人であったのかは断言したくない。彼が自分の使命を遂行し、少なくとも彼に委託された一切の活動を確実に実現したことは、紛れもないことである。これ以上のことは質問しないで欲しい。私はこれ以上のことは知らない。

Gー仮に君がデービスと連絡を取るように決定されたとすれば、どんな形式で君はこれを行うつもりか?

Rー第一に、君は《男爵》(ロスチャイルド)型の人物を選ばなければならない。彼は有益だ。ところで彼はなお生きているのかネ?

Gー知らない。

Rーよろしい。人物の選択は君の仕事だ。君の代表は、地味な人でなく、信頼のおける、何よりも秘密反対派の人間として振舞わなくてはならない。またナチズムに反対し同盟しているヨーロッパ民主主義国のお陰で、ソ連がどんな困った立場におかれているかについて、賢明に対話をしなければならぬ。これは潜在的帝国主義打倒のため、真の現代帝国主義すなわち英仏における民主主義を防衛することが必要な時には、植民地主義帝国主義をやむなく支持していることを指摘することである。問題は極めて強固な理論的根拠に基づいて、提起されなければならない。その後、行動を正当化する仮説を形成することはとても容易になる。すなわち第1に、ソ連も、米国も、ヨーロッパ帝国主義には関心がない。したがって討論は、ヘゲモニーを誰がとるかという問題に帰着しなくてはならない。つまりイデオロギー的にも、経済的にも、ロシア米国は直接的あるいは間接的行動によって、ヨーロッパ帝国主義の打倒を希望しているが、米国はこれをより多く希望している。もしヨーロッパが新しい戦争で自分の力を失ったら、全ヨーロッパの力を失ったら、その日から英語で会話をする帝国は、その全重量を上げて、米国政治的、経済的援助を求めることになる。これは不可避的だ。米国ブルジョアを不安がらず、左翼陰謀の世界で君が聞いたことを分析してやることだ。ここまで話が進んだら、2・3日休止してもいい。次の反応に気を付けながら、さらに交渉を続ける必要がある。今度はヒトラーの第1計画を提起する。ここでは彼の侵略を指示する必要がある。勿論ヒトラーは侵略者であり、この点疑いはあり得ない。この後で質問する。自分では望んでいない帝国主義者間の戦争を考慮にいれて、ソ連米国はどんな共同行動を取るべきか?回答は、中立である。ここではこれを論証しなければならぬ。すなわち、中立ではあるが、それは一方からの希望に依存するものでなく、侵略者に依存するものである。中立が保証され得るのは、侵略者にとって不都合な場合に限る。この目的のために正しい回答がある。それは他の帝国主義国に対して侵略者が攻撃をかけることである。ここから、帝国主義者達の間の衝突が、自然発生しない場合は、これを挑発するための必要性と安全のためのモラルを表現する段取に移行することは、きわめてたやすいことである。すべてこれが理論的に採用されたら、その時初めて実践問題を話合うことができる。これはもう技術の問題である。これが大綱だ。

1.ヒトラーとわれわれの間でチェコスロバキアあるいはポーランドを分割する条約を締結(ポーランドの方がよい。)

2.ヒトラーはこれを受入れるだろう。もし彼がソ連と同盟して、領土奪取のための冒険を支持できるならば、民主主義国側は屈服するという安全な保証を彼は持つことになる。

 ヒトラーは彼らの脅威を信じることはできないだろう。何故なら軍事的脅威で威かそうとする者自身が軍縮が実際に行われていることを、彼は知っているからである。

3.民主主義国はスターリンでなく、ヒトラーを攻撃するだろう。二人は侵略し分割した点では同罪であるが、戦略的、論理的理由からして彼らは、その力をまずヒトラーに向け、次いでスターリンに向けることを余儀なくされる。

Gーしかし彼らはわれわれを欺すことはしないだろうか?

Rーなぜだ?スターリンヒトラーを十分に援助する行動の自由を持っていないだろうか?われわれはヒトラーが資本家達と、最後の一人まで、最後の1ポンドまで戦争を持続していく可能性を、ヒトラーに与えることができないだろうか?資本家達は何を持ってわれわれを攻撃できる?荒廃した西側諸国は国内の共産主義革命に対する闘争でかなり難儀する。この革命は場合によっては勝利を得ることも可能だ。

Gーしかし、もしヒトラーが軽く戦勝したら、ナポレオンのように、ソ連に反対して、全ヨーロッパを動員するのではないか?

Rーそれは不可能だ。君は米国の存在を忘れている。君は力の要因、しかも主要な要因を否定している。米国スターリンを真似て、自分から進んで民主主義諸国を援助するということは、果して不自然だろうか?もし誰かが、戦っている双方を援助することによって《時計の針を逆転させる》行動を平衡させれば疑いもなく戦争は永久的に拡大していくことになる。

Gーところで日本は?

Rー日本には中国だけで充分ではないか?中国に対しては、スターリンは不干渉を保証してやれば良い。日本人自殺が大変好きだ。しかし、中国ソ連を同時に攻撃する危険を冒すほどではない。未だ何か矛盾があるか?

Gー否、もしこれが私に関わるものなら、私はやって見たいが、君は代表者がいると信じるかネ?

Rーそう、信じる。私はその代表と話す機会はなかったが、次のことを注目して欲しい。デービスの任命は1936年11月に一般にわかった。ルーズベルトは彼を前から派遣する考えだった。したがって予備行動を行っていたと推定しなければならぬ。人選や色々な任命上の公式手続きには2ヶ月以上もかかることを知っている。彼の任命は8月に打ち合せが終っていたことは明らかである。ところでその8月には何が起ったか?8月にはジノビエフカーメネフユダヤ名:ローゼンフェリド)が銃殺された。私は誓って言うが、彼の任命はスターリン政治に対する《彼ら》の新しい干渉のために決定されたのである。私はこれを確信している。次々と行われる粛清で、反対派が次々と倒れていくのを知って、彼は内心大きく動揺しながら旅立ったに違いない。彼はラデック(ポーランドユダヤ人、本名ゾベルゾーン)の裁判に傍聴していたか?

Gーいた。

Rー君は彼に会ったら、彼と話したまえ。彼はこれをもう何ヶ月も待っているのだ。

Gー今日で私たちは対話を終らなければならぬ。しかし別れる前に、まだ知っておきたいことがある。全てこれが本当であり、成功を収めたとして、《彼ら》は一定の条件を出すだろう。この条件が何か推察出来るかネ?

Rーそれは推察するのに困難ではない。第一の条件は共産主義者、すなわち君たちが《トロッキスト》と呼んでいる連中の処刑を中止すること。次に当然、私がすでに話した、若手の勢力圏の設置を要求するだろう。その限界は形式的共産主義から分離することになるはずである。これが主要な条件である。計画ができ上ったら、一時的な共同援助のための相互協定と譲歩が行われる。君は例えば、パラドックスに満ちた現象を見ることになる。スターリンの敵全体がスターリンを援助する。いや、彼らは必ずしもプロレタリアではない。しかしプロのスパイでもない。社会のあらゆる階層の有力人物、上級社会の有力人物が現れ、スターリンの形式的共産主義者が、真正共産主義とまでいかなくとも、客観的共産主義にかわるや否や、スターリン主義者とその形式的共産主義を援助するであろう。私のいうことがわかるかネ?

Rー終りにする時間なら、私はただ次のことを申上げておく。君の理解を助けになるかどうか。マルクス主義ヘーゲル主義であるといわれていることは周知のことだ。これは通俗だ。ヘーゲルの観念論はバルフ・スピノザポルトガルユダヤ人哲学者、1632~77年)の自然神秘主義を理解できない西側に対してこれを接種するための応用手段として、広く普及しているだけである。《彼ら》はスピノザの後継者なのである。いや、その反対かも知れない。スピノザ主義が《彼ら》の中にいる。スピノザ主義は《彼ら》独自の哲学時代の同一変種に過ぎない。この哲学は以前に発生し、遥かに高い水準に立っている。いずれにしても、ヘーゲル主義者もスピノザ主義者も、双方ともこれを一時的、戦術的に採用しただけである。物質とは、矛盾を除去した結果、ジンテーゼが生れるというマルクスの発表したようなものではない。実際上これは反対の相互融合の結果であり、ジンテーゼテーゼアンチテーゼから得られるものだ。主観と客観の間の最終的調和として真実、真理が生れる。君にはこれがわからないかネ? モスクワには共産主義があり、ニューヨークには資本主義がある。これはテーゼアンチテーゼだ。これを検討して見たまえ。モスクワは主観的共産主義で、資本主義は客観的国家共産主義だ。ニューヨークにとっては、資本主義は主観的で、共産主義は客観的である。人格化したジンテーゼ、真理とは金融インターナショナルであり、資本主義共産主義が同一となっているものである。これが《彼ら》だ。 (終)

2005-11-22 財政破綻後の世界

ラコフスキー調書⑥ 00:06Add Star

Gー全くその通りだ。どうしてこれを達成するかという実践計画を君は考えていたのか?

Rー私はこのための時間を、ルビャンカに居た時、十分持っていた。これを熟考した。それはこうだ。私たちは今一致しているが、仮にわれわれにとっての共通点を発見することが困難となっても、あるいはまた万事順調に運んだとしても、いずれにせよ、ヒトラースターリンの間にある同一性をいかにして発見するかという問題が生れてくる。

Gーそれはその通りだろうが、それは皆できそうもない話だ。君もそう思うだろう。

Rーしかし、君が考えてる程、そんなに不可能ではない。実際上で、この問題の解決を不可能にするものは、この問題が弁証法的に主観的対立を内包している場合に限られる。さらにこのような場合でも、われわれは、キリスト教形而上学者の《道徳的不可能》を超越するジンテーゼが可能であり、また必要だと考えている。

Gー君はまたまた理論を弄びはじめている。

Rー私は知性的規律から見て、これは私にとって重要なことなのだ。文化の高い人々は具体的結論には、綜合を介してアプローチすることを選ぶものだ。その逆ではない。ヒトラースターリンの間には共通点が見出される。彼らは違った人間だが、同一の根底を持っている。ヒチラーはある程度、病理学的にセンチメンタルであるのに対して、スターリンは正常だ。しかし両人ともエゴイストであり、理想主義者では決してない。ボナパルチスト即ち古典的帝国主義者だ。状態がこのようであれば、両人の間に共通点を発見することは、すでに困難ではない。一人の女帝と一人のプロシア王の間の共通点が証明され、可能である以上、彼らの間の共通点が発見されないことはない。

Gーラコフスキー、君はしょうのない人だ。

Rーまさか、君にはこれが察知出来ないのか?もしポーランドエカテリーナとフリードリッヒつまりロシア女帝独逸王の同盟の鍵であるなら、どうしてそのポーランドヒトラースターリンの共通の地盤を形成するための要素となることが出来ないのか? ヒトラースターリンは、ポーランドにおいて、帝政(ツアリズム)、ボリシェビズム、ナチズムの歴史的路線と同じように、一致することができる。われわれの路線は、また《彼ら》の路線でもある。ポーランドキリスト教国、しかもカトリック教国だ。

Gーそれでこのような三角形の一致から何が生れるというのかネ?

Rー共通の地盤がある以上、協定の可能性も生れてくる。

Gーヒトラースターリンの間にか? 馬鹿々々しい。不可能だ。

Rー政治には不合理も、不可能もない。

Gーじゃ、いいだろう。ヒトラースターリンポーランドに侵攻するという仮説を許そう。

Rーちょっと待って。侵攻は、戦争ないし平和の条件においてのみ成立つ。これは二者択一だ。君はこれを認めなければならぬ。

Gーよろしい。それでどうなるのか?

Rーヒトラー軍に比較して弱い軍隊と空軍を持っている英仏が、ヒトラースターリンの同盟を侵攻できると考えるか?

Gーそれは勿論困難だ。すこぶる困難だ。しかし、もし米国が・・・。

Rー米国のことはしばらく触れずにおこう。 ヒトラースターリンポーランドに侵攻しても、ヨーロッパでは戦争を誘発することはないという点で、君は私と同意見じゃないか?

Gー君の論拠は論理的だ。そう、それは不可能と思われる。

Rーこの場合、そのような侵攻や戦争は無益だ。侵攻や戦争をしてもブルジョア国家の全般的滅亡を誘発することは出来ないからだ。ソ連に対するヒトラーの脅威は、ポーランド分割後も残ることになる。何故なら理論上独ソは同じように強化していくからである。実践上はヒトラーソ連以上に強化する。というのは、われわれは強大になるための領土も、原料も不必要なのに、ヒトラーにはそれが必要だからである。

Gーその見解は正しい。私はそれ以外の解決はないと思う。

Rー否、それがあるのだ。

Gーどんな解決か?

Rー民主主義諸国は攻撃しなければならない。しかし侵略者を攻撃してはならぬ。

Gー君の言っていることは、全くナンセンスだ。どうして攻撃したり、しなかったり、同時にできる?こんなことは不可能だ。

Rーそう思うかネ?落着いて。侵略者は二人いるんじゃないかネ?侵略者が二人だから、攻撃してはならぬと、われわれは一致したのではないか?よろしい。しかし、二人の内の一人を攻撃するのであれば、それを何が妨害するだろうか?

Gーそれはどういうことかネ?

Rー簡単さ。民主主義国が宣戦するのは一人の侵略者に対してだけで、それはヒトラーではなくてはならぬということだ。

Gーそりゃ、そうかも知れないが、その仮説には根拠がない。

Rーそう、仮説だ。だが根拠がある。考えて見たまえ。敵国連合と戦争しなくてはならぬ国はそれぞれ、彼ら双方を各個撃破することを、主要な戦略的目的とするだろう。この原則は証明を必要としない程周知のことである。したがってこのような条件を作り出すことに障碍があってはならぬことは、同意見だろう。ヒトラーに攻撃が加えられた場合でも、スターリンはこれを悲しいとは思わぬだろう。この問題はもう解決していると思う。そうではないかネ?このような関係は地理的にも戦略的にも理由づけられる。英仏がどんなに馬鹿であっても、また独ソ両国の1つが中立維持を望み、他方が孤立することになっても、いずれにせよ彼らにとって恐るべき敵であるのに、この両国に同時攻撃をかける用意があるとしても、彼らはどこで、またどの方面からソ連を攻撃できるだろうか?ヒトラーに比較すると、空では彼らはずっと弱い。私が述べたこれらの要点は皆、秘密でもなく、周知のことだ。おわかりのように、これは皆かなり要約されている。

Gー君の論拠は、紛争が4ヶ国に拡がる場合には、論理的であるが、彼らは4ヶ国でなく、それ以上である。それに中立はこのような規模の場合は、全く容易なことではない。

Rーそれは疑いない。一連の国が参加しても、力の相互関係には変化は生じない。これを勘案して見ると、仮に他の、あるいは全ヨーロッパの国が巻込まれた場合でも、近影は保持されることがわかる。さらに重要なことは、戦争で英仏側に参加するこれらの国のどの国でも。英仏の指導力を奪うことはできないということである。その結果、彼らをソ連攻撃から引止めている原因は、依然としてその意義を保有することになる。

Gー君は米国の事を忘れている。

Rー私はこのことを忘れていない。それは、直ぐにわかることだ。われわれは、現在われわれにとって興味ある予備プログラムにおける米国の機能の分析にのみ限定している。そこで申上げたいことは、米国は英仏を使嗾してヒトラースターリンを同時攻撃させることはできないということである。もしこれを成功させるためには、米国自身、最初から戦争に加わざるを得ない。しかしこれは不可能だ。何故ならかって米国戦争に巻込まれたことはなく、攻撃されない限り、攻撃することはしていない。勿論、米国の支配者だって、有利な時には、攻撃を挑発することはあり得る。これは信じて欲しい。挑発が失敗し、敵がこれに乗らない時に、彼らは侵略を考え出すこともできる。彼らは勝つと計算していた最初の対スペイン国際戦争で、《彼ら》は侵略を考えた。1914年には挑発は成功した。勿論、挑発があったか、それともなかったか、技術的に色々問題があるが、絶対的な規則がある。警告なしの不意の攻撃は常に挑発されたものであるということだ。私は現在次のように考えている。すなわち、私がどんな時でも是認しているこの素晴しい米国技術は一つの条件の下に行われている。つまり、米国に対して侵略が行われる時期は、攻撃される米国にとっても必要な、相応しい時期だということである。このことは、彼らに武器が用意される時ということである。果して、このような”時”が今存在しているであろうか?それがないことは、全く明らかである。米国には現在、武装した兵員は10万人以下で、空軍は弱い。持っているのは、印象的な海軍だけである。しかしこればっかりの兵力では米国は、同盟国にソ連攻撃を納得させることはとてもできない。何故なら英仏が優越しているのは海でだけだからである。これは、勿論、君も同意見であろう。この面から力の相対的均衡に変りのないことは、すでに私は証明している。

Gー同意見だ。技術的本質の解明をまたお願いしたい。

Rーポーランド侵攻に関してスターリンヒトラーの利益が一致すれば、この目的の同一性の具体化、即ち2重攻撃に関する条約締結に一切が帰結することは、おわかりだろう。

Gー君はこれを容易だと思うかネ?

Rー正直な所、そう思わない。ここでわれわれに必要なのは、スターリン以上の経験豊富な外交だ。このためにはスターリンが首を斬った人間が必要だ。彼は今ルビャンカで腐っている。かつてはリトビノフ(ポーランドユダヤ人、本名メール・ゲノホ・モイセーヴィッチ・ワラッハ)は、彼の人種がいつもヒトラーとの交渉の障碍となっていたが、ある程度の困難はあっても利用することが出来た。しかし今となっては彼はもう期待の持てない人間であり、パニック的な恐怖心で打ちひしがれている。彼はスターリンに対してよりも、モトラフに対してもっと動物的恐怖を感じている。彼の全ての能力は今では彼がトロッキストであったことを忘れることに向けられている。もし彼がヒトラーとの親近な関係を樹立する必要があるという話を聞いて、彼がこの任務を引受けたとしても、その結果は自分のトロッキズムを自分自身に証明することになってしまう。この任務を遂げられる人物は見あたらない。いずれにせよ、その人物は純血のロシア人でなくてはならない。私なら指導部に自分の援助を申し出る。現地点では、交渉する人に対しては、この交渉は隠し立てせず誠意を持ってしなくてはならぬが、極秘裏に行うよう提案したい。色々偏見はあっても、ヒトラーを騙すことのできるものは、誠実だけだ。

Gー私はまた君の逆説的な説明が分らない。

Rー勘弁してくれたまえ。しかしこれは簡単なことだ。私がこんなことをやむなく、いっているのは、ジンテーゼがあるからだ。ヒトラーとは、具体的な、緊急の問題に触れることによって、純粋な遊戯をしなくてはならぬと言いたかったのだ。この遊戯は、ヒトラーに二つの戦線戦争をさせようとしてこれを挑発するために行われているものではないことを、彼に証明する必要がある。例えば、われわれの動員は、ポーランド占領のためだけの少人数に限定されること、この兵力は大きくないことを、まず第一に彼に約束し、証明することだ。われわれの現在の計画によれば、われわれの主力は英仏が攻撃してくる場合に備え保有しておかなければならない。スターリンは迎合的な態度をとり、ヒトラーが必要とするもの全てを、例えば石油ヒトラーに提供しなければならない。これが今の時点で私がとりあえず思いついていることだ。これを同じような性質の何千という問題がその決定のために発生するだろう。これらの決定は、われわれが欲していることは、ポーランドの一部の、それもわれわれの必要とする部分だけを占領することなのだと、実践上においてヒトラーに納得させるように行わなければならぬ。われわれがただこの一事だけをもっぱら追求することで、彼はわれわれの誠意に欺かれる。

Gーだが、この場合でも瞞すことを予期するのかネ?

Rー君に2、3分、時間を与えるからわれわれがヒトラーを瞞すことが何であるのか、発見したまえ。しかし何よりも私が強調したいことは、また君がチェックしなくてはならぬことは、私が言った計画は当然の、しかも理論的なものだということである。そして私は、もしファッショとブルジョアの両陣営を衝突させることに成功すれば、資本主義諸国がお互同士殺し合うことが、この計画によって達成できると思っている。繰り返して言うが、この計画は論理的であり、当を得たものである。君にはすでにわかっているとおり、ここには神秘的、超常的ファクターからの干渉はない。簡単に言えば、この計画を実現するには、《彼ら》とその力の存在は証明されていないのに、これを証明することに時間を費やすことは、愚かなことだと考えているのではないか?そうだろう。

Gー君の言う通りだ。

Rー私には正直に言って欲しい。君はまさか《彼ら》の干渉に気が付かぬわけではないだろう?私が君に色々話したのは、《彼ら》の干渉が現にあり、決定的なことだということで、君に助力するためだった。したがって計画の論理と当然性はいわば表面上だけのことだ。君は実際に《彼ら》に会っていないのか?

Gー正直に言って、会っていない。

Rー私の計画の論理と当然性は表面上だけのことだ。もしヒトラースターリンがお互同士敗北したら、それは論理的であり、当然のことであるといえるだろう。もし民主主義国がこのような目的を追求したら、これは民主主義国にとっては極めて簡単、容易なものとなろう。ヒトラースターリンを攻撃させることになれば、彼らにとっては、十分であろう。独逸が勝つかも知れぬなどと言わないで欲しい。もしロシアの距離、ヒトラーの脅威に対するスターリンとその親衛隊の恐怖、彼らの犠牲に対する復讐が、独逸軍事力を涸渇させるために十分でない場合には、スターリンがその力を喪っているのがわかった時点で、民主主義国は、賢明かつ整然とスターリンに対して、何の障碍もなく援助を開始する。そして双方の軍がその力を完全に無くしてしまうまで、援助し続けるであろう。実際上、これは容易であり、自然であり、論理的である。勿論、これらの目的が民主主義国によって提示され、これを民主主義の信奉者達が信じるならばの話だが…。しかし、これらの目的は前提に過ぎない。実在しているものは、唯一の目的-即ち共産主義の勝利である。それも自らの意志を民主主義国に押付けようと努力しているモスクワでなく、ニューヨークである。ウォール街資本主義インターナショナルである。彼ら以外に、このような明瞭かつ絶対的矛盾に、ヨーロッパを服従させる力を持つ者は誰もない。彼ら以外にこのような完全な自殺を保障出来る勢力は存在しない。唯一の力-金銭である。金銭、これは力、唯一の力である。

Gー私は君とは隠しことはしない。ラコフスキー、君の異常な才能は認める。君は素晴しい弁証法、説得力、繊細性を持っている。君にこれが不足していても、君はその想像力を発揮して、君の美しい織物を拡大し、輝かしい、明白な展望を作り出す。これは私の心に情熱を喚起する。しかし、それでも私にとっては不十分だ。私はここで君が話したことを前提としても、なお君に問題を提起する。

Rー私は君に回答をするが、但し条件付きだ。それは私がこれから言うことに何も附加したり、結論を出さぬことだ。

Gー約束する。《彼ら》は独ソ戦争を妨害したがっている。これは資本家達にとって有利であり、彼らの見地からは論理的であると主張しているのだネ?私の説明は明確かネ?

Rーそう、全く其の通りだ。

Gーしかし、独逸に軍備を許し、拡張させているのが、現時点での現実だ。これは事実だ。君の説明によれば、これはトロッキストの計画で想定ずみであったが、われわれの《粛清》のお陰で駄目になり、その目的もなくなったということは、私はすでに知っている。新しい情勢が生じたため、君は”ヒトラースターリン条約に調印して、ポーランドを分割せよ”と助言している。また分割が行われようと行われまいと、ヒトラーソ連を攻撃しないという保証を、どうしてわれわれは持つことができるかということである。

Rーそれは保障出来ない。

Gーそれじゃ何のためにこんなことを言うのか?

Rー性急にならないで、ソ連に対する大きな脅威は実在している。これは仮説でも、言葉だけの脅威でもない。これは事実であり、強制された事実である。しかし《彼ら》はすでにスターリンより優越している。この優越は否定出来ない。スターリンに提案されていることは、2者択一、選択の自由はあるが、これも完全な自由ではない。ヒトラーの攻撃は、スターリン自身の選択によって始る。《彼ら》は戦争を起すために、策を弄したりはしない。スターリンに行動の自由を与えるだけである、これが根本的な、決定的現実であるが、君のクレムリン的思考方法の結果、君はそれを忘れている。自我中心主義だ。

Gー選択の自由だって?

Rーもう一度説明しよう。しかし簡単に言う。すなわちスターリンに対して攻撃するか、それともヨーロッパ資本主義国は自滅する。私はこの可能性に対して、君の注意を促したが、君が知っているごとく、これは単なる理論的計画に過ぎない。もしスターリンが助かりたいなら、彼は私が話した案を採用することを余儀なくされるだろう。この案は《彼ら》によっても是認されている。

Gーもしスターリンがこれを拒否したら?

Rーそれは彼には不可能だ。独逸は強大となり、軍拡は続く。スターリンがこの大きな脅威に直面した時、彼に残された手段は何か?彼の自己保存本能が彼を強制して、この案に服従させるだろう。

Gーつまり、この事件は《彼ら》の命令によって発展しなければならぬということになるのか?

Rーそうなるだろう。勿論、ソ連は今の所昔のままであるが、早晩これは起こる。何かを予言し、提案することは難しいことではない。まして、これが有利であり、問題の本質を理解している人にとってなら、尚更容易である。われわれの場合では、これはスターリンである。しかし、彼は自殺等とても考えたりはしない。所がこの予言がその人にとって不利な場合、その人に予言を信じさせ、行動させることは遥かに困難だ。しかし民主主義国は行動しなければならぬ。私は真の情況の具体的光景を明らかにするまでは、説明しなかった。現段階では、君は仲裁者だという、間違った考えを捨てて欲しい。何故なら仲裁者は《彼ら》だ。

Gー《彼ら》は第一案でも、第二案でも参加している。つまりわれわれは幽霊と関係を持たなければならぬということかネ?

Rーまさか、事実が幻影だろうか?国際情勢は特別なもの、異常なものではあるが、幽霊ではない。それは現実であり、非情に現実的なものだ。これは奇蹟ではない。ここには事前に規定された将来の政策がある。これが幽霊の仕業だと君は考えているのだろうか?

Gー考えて見よう。君の案が採用されたと仮定しよう。しかしわれわれには交渉を行うために、具体的な個別者が必要ではないか?

Rー例えば?

Gー信任されている、あるいは全権を持った人物だ。

Rー何のために?ただ彼らと知り会う満足のためか?会話する満足のためか?このような人物が現れても、君に信任状は出さないし、外交官の制服をつけて現れることはないし、公文書も提示しない。何故ならその人物は《彼ら》の顔だからだ。仮にその人が何か言ったり、勧誘したりしても、それは条約を意味するものでもないし、法律的効力を持つ物ではないことを覚えていて欲しい。これは1917年までのインターナショナルと同じで、また現在のそれとも同じことである。無であり、同時に全である。仮にソ連が交渉しているのが、メーソン、或はスパイ組織、或はマケドニアパルチザンであると想像したまえ。そのような交渉で文書協定や法律的協定があるだろうか?レーニン独逸参謀本部の協定や、トロツキーと《彼ら》の協定もこのようなものであった。このような協定は、文書や調印なしでも達成される。これらの協定が履行される唯一の保証は、協定参加者にとってそれが有利であるという点にある。またこの有利さをもたらす諸事情が履行されるところに保証がある。それが重要であるかどうかとは無関係に、協定の持つ現実性にある。

Gーこのような場合を君なら何から始めるか?

Rーベルリンと連絡を取ることによって、明日にでも始めたい。

Gーポーランド攻撃について協定するために?

Rーいや、私ならそこからは始めない。私はまず譲歩する希望のあることを示威しておいて、スペインでのことを極めて婉曲に思い出しながら、民主主義国の中に幻惑感のあることを示唆する。これは勧奨の行為であり、その後で私はポーランドのことを仄めかす。おわかりのように、これは何も名誉を傷つけるものではない。しかし独逸の最高司令部やいわゆるビスマルク派にとっては十分なもので、彼らはヒトラーに何かの借定を提示するに違いない。

Gーそれで全部か?

Rー手初めとしてはこれで十分だ。これはすでに大きな外交上の仕事だ。

Gー正直に言って、今日までのクレムリンの目的を考慮すれば、国際政策でこのような急激な変更を献言する人がいるとは考えない。ラコフスキー、君自身が決心する必要のあるクレムリンの人物の立場に立って見て欲しい。私は君の発見、論拠、仮説、主張だけに基づいて、誰かを説得出来るとは思わない。私個人は君の話を聞いてから、君の説明、人格の強い影響を感じたが、それにも拘らず、独ソ条約が可能だという誘惑は、ちょっとも感じていない。

Rー国際的事件が強力にそれを余儀なくさせる…。

Gーしかしそれでは貴重な時間の浪費となる。君が正当であること、君を信頼してもよいという証拠として私が提示できる何か具体的なことを示して欲しい。でないと、私は対談を十分正確に検討しなくてはならなくなり、その情報はクレムリンの古記録になって、そこに保管されることになってしまう。

Rー誰かが最も公式的な口調で、非情に重要な人物と話合わなければならぬというだけでは不十分なのか?

Gーそれが最も現実的だと、私には思われる。

Rーしかし誰と?

Gーこれは私の個人的意見だ。ラコフスキー、君は一連の金融家の名前をあげた。私の記憶している限り、シフのことだ。さらにヒトラーと資金援助の別の仲介者の名前も上げた。また政治家や《彼ら》に属しており、あるいは奉仕している高官もいる。何か実践的なことを始めるのに、われわれにとって有利な誰かを、君は知っているか?

Rー私はそれが必要だとは思わぬ。考えても見たまえ。君は何について会談するのか?恐らく私が話した計画についてか?何のために?現在、《彼ら》は何か措置を講じる必要に迫られてはいない。《彼ら》の使命は、何もしないことにある。したがって、どんな積極的行動に関する協定も、君は達成できないし、またこれを要求することもできない。よくよく考えて欲しい。

Gー例えそうであっても、私たちの話合いの結果、何かの事実、それが無益であっても、事実がなくてはならぬ。つまり、誰が《彼ら》に賦与している権力の存在を裏書できる人間だ。

Rー無駄とは思うが、君の要求を満足させよう。先に申上げた通り誰が《彼ら》に所属しているか、私個人は知らない。しかし彼らを当然知っているはずの人物から聞いて知っている。

Gー誰からだ?

Rートロツキーからだ。彼から私は聞いたのだが、《彼ら》の一人はヴァルター・ラーテナウだ。彼はラッパロ後大変有名になった。彼こそ《彼ら》の仲間の最後の、政治的、社会的地位を占めていた人物だ。ソ連に対する経済封鎖を破壊したのも彼だ。彼はライオネル・ロスチャイルドのような億万長者の富豪の一人であった。しかしそれにも拘らず、私は自信をもって彼の名をあげることができる。さらに仕事や性質から見て、《彼ら》に属する別の人々の名前も上げることはできると思うが、彼らが誰をコントロールしているのか、また彼らが誰に服従しているのかは、規定出来ない。

Gー数人の名前を上げてくれたまえ。

Rー機構としてはウォール街のクーン・ローブ銀行。この銀行に属しているのは、シフ・ウォーバーグ、クーン・ローブ一家である。彼らは異なった名前で呼ばれている一家族である。彼らは皆婚姻関係にあるからだ。さらにバルーフ、フランクフルター、アリトシューリ、コーヘン、バンジャミン、シュトラウス、シュテルンハルト、ブロム、ロスチャイルド、ルールド、ローゼンマン、リップマン、レーマン、ドレフュース、マンデリー、モーゲンソウ、イゼキエリ、ラスキーといったところだが、これだけの名前で十分だと思う。もっと思い出そうと努力すれば、まだ沢山の名前が思い出されるかも知れない。繰り返しておくが、彼らの内の誰が《彼ら》に属しているかは知らないし、また彼らの内の誰かが《彼ら》に属しているなどと滅多なことで確言したりできない。私は努めて責任を避けようとしているのだ。しかし提案の重要さに鑑みて、必要というので、私は名前を言った。《彼ら》に属していない人々まで、《彼ら》に属していると、私は言っているに違いない。勿論、その人物が《彼ら》に属していようが、いまいが、彼から直接の回答を期待することは不可能である。事実によってのみ回答できる。これが不変の戦術である。《彼ら》はこれを選択し、これによって彼らは《彼ら》を信じさせるのである。例えば、もし君が外向的イニシアチブをとる危険を冒すなら、君は《彼ら》に対し、個人的にアプローチする方法を利用する必要はない。必要なことは、思想の表現、不明であるが、一定の事実に基づく理性的な仮説を示すことに止めることである。その後は唯待つだけである。

Gー君が名前を言った人々を確認するための名簿を現在の手許に持っていない。これを理解して欲しい。《彼ら》は皆どこか遠方にいると思うのだが、どこだろうか?

Rー大部分は米国にいる。

Gーわれわれが行動を決意しても、これには時間がかかると思う。しかしことは至急を要する。それはわれわれにとってだけでなく、君にとってもそうだ。ラコフスキー

Rー私にとっても?

Gーそう、君にとってもだ。君に対する裁判は間もなく行われる。われわれがここで討論した一連のことは、クレムリンにとって興味があり、裁判が始る以前に、クレムリンはこの一切に関心を抱くに違いない。この予想は、冒険ではないと思う。君にとっては決定的なことだ。君がいち早く何か提案すれば、君個人の利益になると思う。最も大切なことは、君が言っていることが本当であることを証明し、これを数週間といわず、数日の内に実行することだ。もし君がこれに成功すれば、君の生命保全に対しては、ほとんど確実な約束を与えることが出来る。反対の場合、私は責任は持たない。

(つづく)

2005-11-21 財政破綻後の世界

ラコフスキー調書⑤ 00:09Add Star

Gー君はすでに不合理の範囲からさえ逸脱している。

Rー文化が欠除している時には、不合理と奇蹟が混在する。私のいうことを聞きたまえ。私はすでに反対派の敗北を認めている。《彼ら》は結局、スターリン陰謀で除去することはできないと納得したので、その歴史的経験から、彼らが皇帝に対して行ったことを、スターリンに対して再現する決意が浮んで来たのである。ところが、われわれが克服できない唯一の障碍があった。それは全ヨーロッパに侵略国家が一つもないということだった。どの国も地理的に都合の良い位置にないし、ロシアを攻撃するに足る強力な軍隊を持っていなかった。したがってこのような国がない以上、これを創造する必要があった。ドイツだけが大きな人口と、ソ連攻撃のために至便な位置にあったし、スターリンを撃破する力があった。君自身わかっている通り、ワイマール共和国は、政治的にも、経済的にも、侵略者として造られたものではない。反対にそれは侵略されるのに好都合だった。ところが飢えたドイツの地平線上にヒトラーの流星が閃いた。注意深い双眼は彼を注視した。世界は彼の電光的抬頭の証人となった。これが全てわれわれの仕業であったなどとは、言わない。彼の躍進は障碍なく続いていった。しかしそれはベルサイユが造った革命的、共産主義経済の結果であった。ベルサイユが考えていたことは、ヒトラーの勝利のための前提を作ることではなかった。ベルサイユは共産主義革命を準備するために、ドイツプロレタリア飢餓、失業を作り出すことを志向したのだった。しかし、ソ連の頭上には、インターナショナルを支配しているスターリンが立っている。そしてこのインターナショナルは、ドイツがボナパルチズムから解放されることを希望しなかった結果、失敗した。しかし全てこれらの条件は何故かドイツ賠償問題のドーズ・ヤング案にそのまま持ち越され、ソ連では反対派が生長し、勝利を得ることを期待したのである。最もそれは実現しなかったが、革命の準備はその結果を生むはずであった。ドイツにおける経済条件はプロレタリア革命運動に駆り立てるはずだったが、スターリンの罪で、社会主義的国際革命は阻止されることになり、ドイツプロレタリア国家社会主義革命包含された。これには反対意見もあるが、いずれにせよ、社会主義革命ドイツでは決して行われるはずもなく、それが勝利を得るはずもなかった。しかしこれが全部ではなかった。トロツキストと社会主義者は、階級的差別を理解している、準備された大衆を、われわれの指令に基づいて、分断する必要があった。われわれはこれを了解していた。ところがこれ以上のことが必要だったのだ。ナチス党は成長し始めたものの、十分な金融資金を持っていなかった1929年、《彼ら》はドイツに自分の大使派遣した。私はその人の名前を知っている。彼はウォーバーグ家の一人である。ヒトラーとの直接交渉で、彼らはナチス党に資金援助することに同意した。そして党は2年後、ウォール街から送られた数百万米ドルと、党維持費と、ヒトラーに権力を与えた選挙資金のために、ヒャルマール・シャハトを介してドイツ金融家から数百万マルクを受取った。全てこれは《彼ら》が発送したドルとマルクで行われたのである。

Gー君の意見によると、完全な共産主義の実現を望んでいる人々が、はじめての共産主義を滅ぼすことを誓っているドイツを武装していることになる。これが君に信じられる以上、これは金融家にとって論理的意味を持つことになる。

Rー君はスターリンのポナパルチズムをまた忘れている。フランス革命を圧殺し、その力を奪ったナポレオンに反対して対立したのが、ルイ18世、ウェリントン、メッテルニッヒなどの客観的革命家たちであったことを記憶しているだろう。厳密なスターリンの教義によれば、彼らは22カラットの金である。帝国主義諸国に対する植民地に関するスターリン命題を君は暗記しているはずだ。それによると、アフガニスタンエジプトの王たちは、大英帝国に反対して戦っている客観的共産主義ということになる。だとしたら、ヒトラーは貴族的《皇帝コバ1世》に反対して戦っている以上、どうしてヒトラーが客観的共産主義者になれぬのか?成長していく軍事力を持っているヒトラーは存続し、第三帝国の国境を拡大し、さらにスターリンを攻撃し、完全に滅ぼすための十分な力と可能性を蓄積している。あのベルサイユの狼どもも、今はその唸り声をしばらくひそめているが、共通性が君には観察できないのか?これは再びチャンス到来か、それとも偶然なのであろうか?皇帝が蒙った敗北がわれわれに皇帝を打倒する機会を与えた1917年のように、ヒトラーソ連を奪取するだろう。同じようにスターリンの敗北は、スターリンを片づけるわれわれを助けることになろう。再び世界革命の時が訪れる。現在、民主主義諸国は眠り込んでいる。これは、内乱時代と同じように、トロツキーが権力を握った時、大変化を起す助けとなる。ヒトラーは西から攻撃するだろう。しかし彼の将軍たちは叛乱を起し、ヒトラーを精算する。さてなぜヒトラーが客観的共産主義者でないか、言って欲しい。イエスかノーか?

Gーお伽話や奇蹟を信じないんだ。

Rーよろしい。《彼ら》が、すでに達成したものは今後も全て達成できることを君が信じるならば1年以内にソ連への襲撃と、スターリンの精算を目の当りに見る覚悟をしておくがいい。これが奇蹟か、あるいは偶然と思うかネ?ならばこれを経験するほぞを固めておくといい。君は、私の話が皆今の所単なる仮説であるとして、本当に信じることを拒否するのか?しかし私の話の中で証拠になるものを発見したら、その時は君はこの方向に向って行動を始めるだろうよ。

Gーよかろう。仮説を具体的に話し合うよ。君はどう思う?

Rー君自身、私たちの間で得られた意見の一致には留意している。この時点では、私たちはソ連を攻撃することには何の関心も持っていない。というのは、スターリンが没落すれば、共産主義が滅亡する懼れがあるからである。ソ連は形式的なものではあるが、その存在は私たちには関心がある。ソ連の存在は、われわれがソ連の争奪戦に勝ち、これを真の共産主義に変えることが出来るという自信を与えてくれるのである。私は、これによって現段階を君のために、全く正確に定義したと思っている。

Gーよろしい。その決定は……。

Rー何よりもまず、われわれが信じなければならぬことは、ヒトラーがわれわれを攻撃する潜在能力を持ってはならぬということだ。

Gー《彼ら》がヒトラーをヒューラーに仕立てた。したがって《彼ら》はヒトラーに対して権力を持っており、またヒトラーは《彼ら》に服従する義務があると、君が主張するならばだ。

Rー急いではしょっているので、私の説は十分に正確でなかったし、君も私のいうことをよく理解していない。《彼ら》がヒトラーに資金援助をしたのは、本当であっても、彼らがヒトラーに自分の存在と目的を明かしたということではない。ウォーバーグの大使は偽名を使っており、ヒトラーは彼の所属する民族については察知していない。彼は誰の代表であるのか偽っていた。彼はウォール街の金融グループを代表しているとだけヒトラーにいっている。このグループは、フランスに脅威を与える目的で、ナチス運動に融資することに関心を持っている。何故なら、フランス政府米国恐慌を挑発するような金融政策を行っているからだ、とね。

Gーヒトラーはこれを信じたかネ?

Rーそいつは知らない。しかしこの説明を彼が信じようと、信じまいと、それは重要なことではない。われわれの目的は戦争を挑発することにある。ヒトラー戦争なのだ。今度はわかるネ?

Gーつまり、ソ連民主主義国の間に、ヒトラーを脅かす、力のある同盟を組織する以外に、ヒトラーを阻止する別の解決方法はないということになる。ヒトラーは世界の全ての国を一斉攻撃することは出来ないと思う。最も蓋然的なことは、その国々を各個に攻撃してくることである。

Rー君は単純な決定、私に言わせれば反革命的決定しか思い浮べることができないのか?

Gーソ連に対する戦争を回避することか?

Rー君の言葉を半分に縮めて、《戦争回避》とだけ言っておこう。これは正に反革命的思想ではないか?偶像レーニンや偉大な革命戦略家たちを模倣する真の革命家は皆、常に戦争を希望しなければならぬ。戦争ほど、革命の勝利を間近にするのに効果的なものは他に何もあり得ない。これは君たちこそが伝導する義務があるマルクスレーニン主義のドグマだ。ところで、スターリンナショナル共産主義、ボナパルチズムの一種は、最も純血な共産主義者の知性を盲目にするほどの力を持っているため、彼らはスターリンが陥ちいった転化すなわち国家が革命に従属するのではなく、革命が国家に従属することを見落している。こう言ったほうがもっと正しいだろう。

Gー君はスターリンを憎むあまり、目が見えなくなり、自分自身で矛盾したことを言っている。君はソ連に対する攻撃は考えてはいけないという点では、一致しているじゃないか?

Rーそれでは、なぜソ連に対する戦争は必然なのか?

Gー一体ヒトラーはどの国に力を振向けようとしているのか?ソ連を攻撃しようとしていることは明らかだ。彼は自分の演説でもこれを明言している。これ以上の証明ではないではないか?

Rー君たち、クレムリンの人々がヒトラーの対ソ攻撃は全く決り切った異論のないことだと考えるなら、それでは何のためにスペインで内乱を挑発しているのか?これは純然たる革命的理由によって行われているものだと言わないで欲しい。スターリンには、マルクス理論を実践に適用する能力はない。仮にスペインに何かの革命的情況があったとしても、優秀な革命勢力を浪費してまで、犠牲にする必要はない。スペインソ連から一番遠い国であり、したがって最も初歩的な戦略的考え方からしてもそれらの勢力の浪費は許されるべきはずがない。スターリンは、紛争期に、ソビエトスペイン共和国に軍事、援助をどうして与えることができたのだろうか? しかしこれは正しかった。というのはわれわれには重要な戦略的立場があった。資本主義国間の対立した影響力の衝突である。彼らの間に戦争を挑発することは可能であったかも知れぬ。しかしこのことを正当化することは、理論的にはできても、実践的にはできないと私は思っている。民主主義国とファッショ国家との間に戦争が無かったことは、すでに知っている。ところで私が申し上げたいことは、スターリンが、資本家たちがお互同士戦うような戦争を挑発する口実をつくることができると考えているならば、どうして彼は、自分がこれを実行できなくても、他人でも同じ目的を達成できるということを、理論上で認めないのかということだ。

Gー1つの仮説が存在していることを前提として君の論拠に同意する。

Rーということは、私たちの間に第二の協定ができたということになる。第一はソ連に対する戦争はあり得ぬこと、第二は、ブルジョア国間の戦争を挑発することが、有利だということだ。

Gー同意見だ。これは君個人の意見か、それとも《彼ら》の意見か?

Rー私はこれを自分の意見として言っている。私にはそんな権能はないし、《彼ら》とも無関係だ。しかしこの2点では、われわれはクレムリンの見解とも一致していると、主張できる。

Gーこれは極めて重要だ。だからこの重要性を基礎づけなくてはならぬ。ところで、君の結論と《彼ら》もこれを主張しているという君の確信は、何を根拠にしているのか、それが聞ければ嬉しいが……。

Rー私に、彼らの図式を全部、完全に説明する時間があれば、その時は君に彼らの主張を伝えることができるが、現時点では三つの理由だけしか言えない。

Gーどんな理由か?

Rー第一の理由は、もう説明している。無教育で、幼稚な人間ではあるが、ヒトラーは、彼の生れつきの直感力で、シャハトの技術的意見に反して、極めて危険な経済制度を復興した。彼は経済理論では無知であり、またソ連でわれわれがやったように、私的資本と国際資本を抹殺するために、必然にしたがったまでであるが、彼は物理的貨幣だけでなく、金融貨幣をも発行する特権を自分で握ったのである。彼は、かって誰も入手したことのない偽造機械を奪い、自分の国の利益のため、これを活動させた。彼はわれわれを凌駕した。何故なら、われわれはロシアで私的資本を滅ぼしたが、これを粗暴な国家資本主義に代替してしまったからである。ドイツのそれは前革命デマゴギーの必然の結果生れた非常に貴重な勝利であった。ここで私は君に比較のため二つの事実を提案しているのである。ヒトラーは好運な人間だったといえる。彼は黄金は殆ど持っていなかった。したがって彼は黄金を蓄積しようとしなかった。彼は技術設備とドイツの莫大な労働意欲によってのみ銭を保証できた。技術的可能性と労働力、これが彼の黄金の蓄積であった。これは全く反革命的なものである。ご覧の様に、彼はまるで魔法の様に、700万人の技術者労働者の失業を一掃してしまった。

Gーそれは高度の再軍備のお陰だ。

Rー何が君の再軍備を可能にしているのか?ヒトラーは、彼を取巻いているブルジョア経済学者が皆忠告したにも拘らず、これを成し遂げた。だとすれば、もし戦争の脅威がなければ、彼は平和的生産にもこの制度に感染させ、さらに民族的独立経済時代すなわち共和国連合を誘発したら、彼はこの制度を何に作り変えることができたであろうか?君はこれを想像できるのか?もしできれば、彼の反革命的機能を想像して欲しい。危険は今なお除かれてはいない。なぜならわれわれにとって幸運なことにヒトラーは、その制度を経験論的に復興した。この制度は何か昔の理論からの結論ではない。また、その制度は科学的に公式化されてはいなかった。これを知性的、演繹的過程に基づいて思考したのではなく、また、その教説を公式化する科学的根拠を持っていたわけでもない。しかし結論が公式化されれば、その結果、今はまだ隠れている危険性が、現実化することになる。これは極めて重要なことである。これはナチズムの一切の外面的苛烈な要素よりも遥かに重要である。われわれの宣伝ではこのことを攻撃してはならない。何故なら理論的論争をすれば、われわれの側からこの決定的、経済的教理の公式化、組織化を誘発しかねないからである。決定は唯一つ戦争である。

Gーそして第二の理由は?

Rーテルミドールフランス革命暦の熱月、反動期)の反革命が我がソ連革命で勝利を得たのは、これはかってのロシア民族主義が存在していたお蔭だ。この民族主義がなくては、ボナパルチズムは不可能だったろう。民族主義皇帝の個人の中でやっと生れたばかりのロシアで、ポナパルチズムが発生した以上、西欧の完全に発達した民族主義の中では、共産主義はどんな障碍に出会うことだろう?マルクス革命の成功という点では間違っていた。マルクス主義が勝ったのは、工業国ではなく、極めて少数のプロレタリアがいたロシアである。われわれが成功した色々の理由の他に、次のような事実がある。ロシアには真の民族主義ナショナリズム)はなかった。ところが、他国ではそれが絶頂に達していた。民族主義が、ファシズムの法外な力のお蔭で、どんなに復興していったか、また、どんなに伝染し易いか、君にはわかっている。スターリンにとって有益であるだけでなく、民主主義を根絶するためにも、ヨーロッパ戦争が必要である。

Gーラコフスキー、君は一つは経済的理由を、今一つは政治的理由をすべて上げているが、ところで第三の理由は?

Rーこれは容易だ。もう一つの理由とは、宗教である。生きているキリスト教を絞殺さない間は、共産主義は勝利者にはなれない。歴史はわれわれに明らかに教えている。永久革命は、キリスト教内部に最初の分裂をつくり出すことで、自分の部分的勝利を得るために、17世紀を必要とした。本質上、キリスト教はわれわれの唯一の真の敵である。何故ならブルジョア国家におけるあらゆる経済的、政治的現象は、キリスト教の結果である。キリスト教は個人をコントロールすることによって、中立的なソ連無神論的諸国を圧殺し、その革命計画を抹殺する力を持っている。これがロシアで見られる。ロシアにおいては、われわれは指導的大衆の中で優位を占めている精神的ニヒリズムの建設拠点を獲得してはいるものの、それにも拘らず、このニヒリズムは依然としてキリスト教的なのである。この障碍をわれわれはマルクス主義の下において20年間も除去できずにいる。正直のところ、スターリン宗教においては、ボナパルチズムは実行していない。われわれ自身も彼が行った以上のことはできなかったろうし、同じようなことをしていたであろう。もしスターリンナポレオンのように、キリスト教のルピコンをあえて渡っていたら、彼の民族主義反革命的権力は千倍も強くなっていたに違いない。付言しておくが、もしそんなことになったら、このような酷い差異は、たとえそれが一時的、客観的性質のものであっても、スターリンとわれわれの協力を不可能にしていたであろう。このことは今われわれにとっては明白である。

Gー君は三つの基本点を規定した。これを基づいて計画を立てることができると思う。この点、現時点では、私は君と同意見だ。しかし、警告しておくが、君がここで話した人々、組織、事実に対しては疑問がある。さて計画の主要路線について、話を続けよう。

Rーそう。これについて話す時が来た。但し条件がある。それは自分の責任で話すということだ。私が自分の述べた理由に対して責任を持つということは、《彼ら》もそう理解しているという意味である。しかしあからさまに言うと、《彼ら》は、三つの目的をより効果的に達成するために、別の計画を実行するかもしれない。これは全然違った計画となるかも知れぬ。それを記憶しておいて貰いたい。

Gーよかろう。覚えておこう。続けて下さい。

Rー要約して言う。ドイツ軍事力が建設され、それがソ連を強化しているが、軍事力建設の目的が今のところない以上、今や新たに目的が生れてくる。すなわち戦線で侵攻を惹起し、ヒトラーの侵攻を東にでなく、西に向けさせるのである。

(つづく)

2005-11-20 財政破綻後の世界

ラコフスキー調書④ 00:08Add Star

Rー民主主義ブルジョア革命の初期におけるフリーメーソンの役割のことを、君は忘れているのか?

Gーまさか彼らも《ブンド》によってコントロールされていたのだろうか?

Rー当然、下級段階ではあるが、《ブンド》に服従していた。

Gー彼らの生命と特権を脅やかすマルクス主義が成長してはいても?

Rーそれにも拘らずだ。彼らにこの危険が分らなかったのは明瞭だ。メーソンは誰も、現実に存在しているもの以上のことを、自分の想像の中で見たり、表象することを期待していた。何故なら望ましいことを空想していたからだ。このことを注目して欲しい。彼らの持っている組織の政治力を立証するために、彼らが腐心したことは、彼らのメンバーが殖え続けている一方で、メーソンが政府ブルジョア国民の上流社会に入っていくことだった。この時代は、非常に稀な例外はあるが、同盟国の全ての支配者はメーソンであった。このことが彼らにとって、高い代表権を持っているという誇りとなっていた。革命フランス型のブルジョア共和国の限度まで到達しなければならぬと、彼らは信じていた。

Gーロシア1917年時代に、こんなことを信じる人は、非常に素朴な人間に限る。

Rー彼らはそんな連中だった。メーソンはその中で彼らが大きな役割を演じた大フランス革命の最初の教訓から、何も学び取らなかった。革命は、オルレアン・ロッジのグランド・マスターであったルイ16世をはじめ、ジロンド党員、ジャコバン党員その他メーソンの大部分を抹殺した。彼らの内の誰かが生き残ったとしても、それはブリュメール(蜜月)18日のお蔭だけであった。

Gーメーソンの助力で権力を取った革命家たちの手によって、メーソンのメンバーは死ななければならぬと言いたいのかネ?

Rー正にその通り。君は極秘にされている真実を定義した。勿論、私がメーソンであることはご存知だ。そうでしょう?よろしい。私は君に大きな秘密を明かそう。彼らはこの秘密を高級階級のメーソンに明かす約束をしながら、25階級でも、33階級でも、93階級でも、またその他の儀典上の高級階級のメーソンにも明かしていないのだ。したがって私がこの秘密を知っているのは、メーソンとしてではなく、《彼ら》の中の一人として、知っていることは明らかだ。

Gーその秘密とは何なのか?

Rーメーソン組織は皆、共産主義革命の勝利のためのあらゆる必須条件を手に入れ、これを創造しようと勤めている。これは明白なメーソン組織の目的であり、全てこれは色々な口実の下に行われているが、彼らは常に彼らの三角形のスローガン(自由・平等・友愛)の後ろに隠れている。わかるかネ?しかし共産主義革命が、階級としての全ブルジョアの抹殺、全てのブルジョア政治指導者の肉体的抹殺を義務と考えている以上、メーソンの秘密は、メーソン組織の自殺、有力メーソンの肉体的自殺だということになる。メーソンに用意されているこのような結末は、この秘密を一層深く隠すために、他の装飾的秘密で包込んで、極秘にしておかなければならない。このことは、勿論、君にはわかるだろう。もし君が別の革命に遭遇した時、メーソンが革命家の手で死ななければならぬことがわかった時、メーソンの顔に現れる驚愕と狼狽に注意を向けるチャンスを見逃さないで欲しい。革命のためにメーソンの犠牲が評価を受けようなど、どうして予期できよう?そんな光景を見ると、おかしくて死にそうだ。

Gーそれでもなお君はブルジョアの持っている生れながらの寓蒙を否定するのか?

Rー私がこれを否定するのは、階級としてのブルジョアにおいてであるが、若干の分野では否定しない。精神病院があるからといって、それは皆が気狂いだという証明にはならぬ。メーソン組織は、これまた精神病院だが、それは自発的な同意によるものだ。ところで、話を続けよう。革命は勝利を得て、権力を奪取した。今や初めての講話問題が取り上げられ、党内で初めての意見の不一致が起こる。党には権力の座に坐った連合勢力が参加している。モスクワで起ったブレスト・リトフスク講和の支持者と反対者との間の闘争に関する周知の事実を説明することは省き、すでに当時明らかとなっており、トロツキーの反対派だと呼ばれていた事実だけに触れることにする。これは、その一部はすでに精算されており、他の人は自分の順番を待っていた連中のことで、彼らは皆講和締結に反対していた。この講和は誤謬であり、インターナショナル革命に対するレーニン無意識的裏切りであった。ベルサイユでの講和会議に、次いで国際連盟に、さらに同盟国の力によって軍備を整え、強化された赤衛軍を伴ってドイツ国内に現れたポリシェビキの姿を想像して見たまえ。ソ連ドイツ革命に武器を取って参加すべきだった。ヨーロッパの新しい地図が出現すべきだった。ところがレーニンは権力に酔い、スターリンの援助の下に、資源を持っているにも拘らず、自分の意志を固執した。スターリンはその頃党内のロシア民族主義者らによって支持された権力の果実を味わっていた。《一国社会主義》つまりナショナル共産主義が現れ、それはスターリン時代に絶頂に達した。当然、闘争が起った。しかしそれはソ連国家を滅ぼさぬような形式と範囲内に留まっていた。反対派はこれを闘争中も厳重に守った。この闘争は今日まで続いている。これがわれわれの破滅の原因でもあった。しかし闘争は、われわれが権力に参加する名誉を毀損せぬように行われたが、残酷、無慈悲なものであった。トロツキーは自分の友人達の援助を受けて、ドラ・カプラン(ユダヤ女性の社会革命党員)によるレーニン暗殺を企てた。(1918年8月)トロツキーの命令によって、ブリュームキンは大使ミルバッフを殺した。スピルドノウが社会革命党員と一緒に準備した陰謀は、トロツキーと打ち合せたものだった。全てこれらの仕事でトロツキーと関係を持っていた人は、俗称オレイリというリストアニア系ユダヤ人ローゼンブリュウムであったことは、全く疑いないことである。彼は優秀な英国スパイとして有名であった。実際において、彼は《彼ら》の一人であった。彼が選ばれたのは、英国諜報員として有名であり、事件が暴露した時は、全ての殺人陰謀の責任が、トロツキーやわれわれにでなく、英国に帰せられるからであった。そしてその通りになった。内乱の後は、われわれはもはや殺人とか陰謀の手を借りる必要が無くなった。トロツキーが赤衛軍を組織し、われわれの手中に本当の力が存在したからである。しかし、それまでは、赤衛軍は白衛軍の圧迫の下に退却し続け、ロシア共和国の全領土はモスクワ県の境まで縮小していた。ところが、ここでまるで"魔法の杖"の合図の一振りでもするように、われわれは勝ち始める。これは何故だと思う?魔法か、それとも偶然か?言っておきたいことは、トロツキーが赤衛軍の統帥者となった時、彼はすでに権力奪取のため、あらゆる勢力を結集していた。連続的勝利のお蔭で、彼の威信と力は当然巨大にならなければならなかった。今では白衛軍に打勝つことが出来た。この官製の歴史は真実だと思うかネ?また装備の劣った、軍紀のない赤衛軍が突如として勝ち始めたのだと思うかネ?

Gーではわれわれは誰のお蔭で成功したのか?

Rー90%まで《彼ら》のお蔭だよ。白衛軍は本質的に民主主義者であったことを忘れてはならない。彼らはメンシェビキや昔の自由主義政党の生残りと一緒だった。この連中の中に《彼ら》は、いつも、意識的、無意識的に、自分たちの諜報員を配していた。トロツキーが使命を受取った時、全てこの手先たちは、”ソ連政府の中のあるポストに就かせる”という約束を餌にして、「白衛軍を組織的に裏切れ」と命令された。マイスキーはその中の一人で、例外として約束されたポストに後日ついているが、それもスターリンが彼の忠誠を確信した後のことである。このサボタージュが無能な馬鹿者だった白衛軍の将軍に対する同盟国側からの援助削除を相待って、彼らを相次ぐ敗戦に追込んだのである。ついにウィルソンは有名な「14箇条」案を提出した。この案の出現は、白衛軍の反ソ戦闘の息の根に完全に止めを刺してしまうのに、充分であった。内乱によって、トロツキーレーニンの後継者としての地位を強めた。疑いなく、そうであった。旧い革命家は名誉ある死を遂げることが出来た。例えカプランの狙撃の後、レーニンが生残っていても、すでに彼は殺されることは避けられなかった。このことは秘密決定の過程で宣告されていた。

Gートロツキーレーニンを始末したのか?これはわれわれの裁判にとって、興味ある問題だ。レーニン医師は誰だったか?レビン医師陰謀事件の被告)か?

Rートロツキーが?恐らく彼は参加していたろう。少なくともこのことを知っていたことは疑いはない。しかし、このことを知っていたのが誰かということは技術的に見て、全く重要なことではない。《彼ら》は必要な場所にはどこにでも侵入する可能性を十分に持っている。

Gーいずれにしろ、レーニンの殺害は、最大の重要性を持つ問題だ。次の裁判の特別審理にかけなければならぬ。ラコフスキー、仮に君がこの仕事の仲間だったら、どう思う? 君がこの会談でうまく話せなくても、医師として技術的説明ができることは明らかだが……。

Rーそんな詮索をすることは、君に勧めたくない。この問題はそっとしておいてくれたまえ。これはスターリン自身にとっても充分に危険だ。君は好きなように宣伝を広めることが出来るが、《彼ら》は最強力な宣伝力を持っている。また誰が利益を得るかということに関しても質問を用意している。その宣伝によって、皆はレーニンの殺害者はスターリンだと見る。この公式はレビン或はその他の人々を苦しめて得た自白よりも。最強力なものとなる。

Gー君は何を言いたいのか?

Rー私が言いたいことは、殺人者を決定する場合、誰がこれで利益を得るかを確認するという古典的、不変の規則があるということである。レーニンの殺害に関して、これに利害関係を持っている者は、レーニンの後継者スターリンだ。このことを考えて見たまえ。これ以上の詮索はしないで欲しい。それは私を脇道にそらせ、話が終りまでできなくなる。

Gー結構だ、続けたまえ。しかし君にはすでにわかっているが……。

Rートロツキーレーニンから権力を相続しなかったとしても、これは全体の計画の中の人間の犯したミスではなかった。これは全く明らかなことだ。レーニンが病気の時、トロツキーは権力の全ての糸を手中にしていた。その権力はレーニンに交替するには十分過ぎる程であった。スターリンに死を宣告する措置も講じられていた。トロツキー独裁者になるには、"スターリンに反対したレーニンの手紙"をトロツキーが公表すれば、十分であった。この手紙は、その時すでにレーニンの地位にあったスターリンを精算するため、クループスカヤが夫から取上げていたものである。しかし馬鹿々々しい事情が全てわれわれの可能性を失わせてしまった。トロツキーが思いがけなく病気にかかり、レーニンが死んだ決定的瞬間に、何らかの手段に出ることができなかったのである。それが数ヶ月続いた。彼はあらゆる点で優越していたにも拘らず、障碍となったのは、われわれの組織が、つまり個人的中央集権制であったことだった。トロツキーは、ずっと以前から、その使命と実現のために養成された人物であったし、このような人物は即席でつくり出せるものではない。われわれのうちの誰も、ジノビエフユダヤ名:ヒルシュ・アップフェルバォム)でさえ、このための準備と素質は持っていなかった。しかも、トロツキーは、自分が除かれることを恐れて、仲間の誰をも援助しようとしなかった。したがってレーニンの死後、われわれがスターリンに対決した時、われわれはすでに中央委員会で敗北することを覚悟していた。われわれに必要なことは、決定を修正し、スターリンと同盟を結び、スターリン本人以上にスターリン主義者になり、積極性を発揮しながら、同時にサボタージュを行うことであった。爾余のことは君が知っている通り。われわれは何の妨害を受けることはなく、われわれの地下闘争を続けたが、それは結局スターリンのためになってしまった。彼は未曾有の天才的警察能力を発揮した。その上、スターリン民族的隔世遺伝に憑かれていたが、それは初歩的マルクス主義によって汚毒されていなかった。彼は自分の汎ロシア主義を強調し、われわれが抹殺しなければならなかった階級を復興させた。すなわちわれわれが属しているインターナショナル共産主義者の敵、ナショナル共産主義者階級を復興させた。彼はインターナショナルソ連の利益に従属させ、自分をソ連の主人公と考えている。もしわれわれが歴史上で相似点を発見しようとすれば、ボナパルチズムを指示しなければならぬ。しかしスターリン型の人物を歴史で発見しようとしても、彼の歴史的相似者は発見できない。多分ジョセフ・フーシェナポレオンの性格を結合すれば、そのような相似を見付けることができるかも知れぬ。ナポレオンから軍服、軍人の位階、王冠、その他スターリンに興味の無いようなものを除去して、フーシェナポレオンを結合すると、スターリン革命の殺害者であり、革命には奉仕せず、革命を自分のために利用している。ナポレオンが自己をフランスと同一化した如く、スターリンは最古のロシア帝国主義を代表している。彼は貴族主義を創造した。それは軍部的でなければ、官僚主義的、警察的貴族主義である。

Gー結構だ。ラコフスキー。君がここにいるのは、トロッキズムの宣伝のためじゃない。何か具体的なことが言えないのか?

Rー勿論、言おう。しかし、君が《彼ら》に関する、たとえ皮相的な概念であっても、自分で構成出来る時点に到達してからのことだ。《彼ら》とは君は現実に、実践上で出会わなければならないだろう。君にとってよりも、私にとって、遥かに大切なことは、根拠が薄弱だと思われないことだ。これは勿論、君はわかるだろう。

Gー宜しい。君の歴史の話をもっと短くしてくれたまえ。

Rーわれわれの誤謬は年毎に酷くなっていく。それは《彼ら》が革命をさらに躍進させるために用意したことを、直ちに実行することを遷延しているからである。ベルサイユ講和は、その計画を察知できぬ全ての国の政治家経済学者には不可解であるが、革命にとって最も決定的な前提であった。

Rーベルサイユの賠償と経済的制限は、個々の国にとっては、決して利益とはならなかった。その甚だしい不合理性は、いち早く戦勝国の優れた経済学者にはわかっていた。フランスだけで、フランスの全財産の総計以上の賠償を、全フランスサハラ砂漠にかえてしまっても、払わなければならぬ金額以上を要求した。もっと悪いことは、ドイツに、その国全部を、一切の生産を含めて与えても、その支払い能力を何倍も凌駕する債務を支払わせる決定であった。そしてこの荒廃がどんな形で現れたか?ドイツにおける消費財の減少、飢餓と、輸入国における失業である。輸入がなくなったため、ドイツでは失業が起った。両側から飢餓と失業が起った。全てこれはベルサイユ講和の第一の結果であった。この条約革命的だったか、どうか?さらにより大きなことが行われた。国際的規模での制御が確立した。これが革命にとって何を意味するか、その国の気候、自然資源、支配人や労働者技術的養成の程度などを頭から無視して、国家消費に必要なもの一切を、豊富に生産させる結果、不合理な無政府状態が発生したことである。肥沃な土壌や特殊な気候がないのを、また鉱物石油その他がないのを補填するために、いつも貧乏国はより多く働かなければならなかった。これは、粗悪な土壌から生れる損失や、こうした手段で補填する必要があるその他もろもろの補償をするために、過大な労働力を使用しなければならなかったということである。生産設備を例にとって見よう。私は深入りしないが、労働日を平等にするという抽象的原則に基づいて、国際連盟が規定した労働日の統制は、事実上は、生産、交換並びに経済的不平等を設定するための、金融インターナショナルの不変の制度の原理であった。何故なら、ここでは、十分な生産を保障するという労働目的などはどうでもよくなっているからである。その結果、生産は不十分となり、その結果、自然的に豊かな経済を持ち、経済的に発達している先進諸国からの輸入で、生産を補充しなければならなかった。次いで米国で景気がよくなると、米国はその莫大な生産を金といくらでも出せる金券で交換した。生産が無政府状態になった上に、この同じ時期に未曾有の金融混乱が現れた。《彼ら》は援助するという口実で、これを利用し、別の混乱を起した。すなわち公定通貨(現金)のインフレに対して、彼ら自身の銭ークレジット・マネーつまり贋の銭の何百倍ものインフレをもってしたのである。色々の国で平価切下げがいかに組織的に始ったか、覚えているだろう。ドイツにおける貨幣価値の破滅、異常な結果、記録的失業を伴った米国における恐慌欧米で3千万人以上の失業者。果してベルサイユ講和条約国際連盟は、革命のための条件をつくり出さなかっただろうか?

Gーそれは何の企図からでもなく、偶然に起り得たことだ。革命共産主義理論的結論に屈服している。さらに革命共産主義は、スペインドイツで勝利を得たファシズムと対立していると言うが、その理由を君は私に証明できないではないか。君はまだ何か言いたいことがあるのか?

Rー私が君に言いたいことは、《彼ら》と彼らの目的を認めない場合に限って、君は正しいということだ。しかし君は、彼らが存在していること、彼らが目的を持っていること、さらにソ連では全権力がスターリンの手中にあることを忘れてはならぬ。

Gー私は、このことは何の関係もないと思う。

Rーそれは君がそれを望まないからだ。君にはあり余る程の演繹能力と判断力がある。繰り返して言うが、われわれにとっては、スターリン共産主義者ではなく、ボナパルチストだ。

Gーそれがどうしたというのだ?

Rー世界における共産主義革命の勝利のために、われわれがベルサイユで創造した偉大な前提、君も見ているごとく、巨大な実在に変った前提が、スターリン的ボナパチズムに奉仕することは、われわれの望まぬことである。これは君にわかっているだろう?もしトロツキーソ連独裁者になっていたら、一切は変っていたろう。それは《彼ら》が国際共産主義指導者になっていたであろうということである。

Gーしかし、トロツキー共産主義にも、スターリン共産主義にも、ファシズムは反対であることは、明らかである。君が《彼ら》に帰属している権力がそんなに強力なものなら、どうして彼らはこのことを回避できなかったのか?

Rーそれは正に《彼ら》がヒトラーに勝利の可能性を与えたからである。

(つづく)

2005-11-19 財政破綻後の世界

ラコフスキー調書③ 00:54Add Star

Rー私が《彼ら》を知っていながら、ここに捕虜として坐っていると思うほど、君はナイーブではない筈だ。

Gーそれは何故だ?

Rーそれは最も簡単な理由からさ。彼らの知人だったら、その男はこんな事態に陥ちいるはずもないし、また彼らのことを君に密告する権利もないはずだ。これは賢明陰謀の初歩的な原則である。君はこうした規則をよく知っているはずだ。

Gーでも、君は彼らは銀行家だと言っているじゃないか?

Rー否、私はそんなことを言ったことはないよ。私は常に"金融インターナショナル"について論じているのだし、問題が個人に関する場合は、《彼ら》という以上のことは何も喋っていないことを思い出して欲しい。彼らのことを腹蔵なく打明けることを君が求めるのなら、私は事実についてなら述べるとしても、彼らの名前を言うことは勘弁してほしい。私は彼らの名前は知らないからだ。政治的ポストについていたり、世界的銀行で働いているような人は、《彼ら》の中には一人にもいないと言っても、間違いないと思う。私が理解している限りでは、ラッパロでラーテナウ(ヴァルター・ラーテナウはドイツユダヤ人で、第一次世界大戦1922年ドイツ外相として、ラッパロでソ連との条約に調印した。ドイツ左翼民主党政党の組織者で、1922年6月24日右翼テロリスト達によって暗殺された)が殺害された後、彼らはその仲介者だけを表向きの政治的、金融的ポストに任命している。信用できる人、忠誠で、充分に検証された人物を選んでいる。銀行家と政治家は、たとえ彼らが高いポストについており、予定計画の作製者であったとしても、単なる傭われ人に過ぎないことは、はっきりしている。

Gーそれはよくわかる。また、論理的でもあるが、君が知らないというのは、話すのを回避しているためだろう。私の持っている情報でも、君はこの陰謀でかなり重要な地位についており、もっと沢山知っているはずだと思うが、つまり、君は彼らの誰も知らないというのかネ?

Rーその通り。しかし、君は勿論私を信じないだろう。どう言ったら良いか、神秘的なガンジーのような性格を持った人物のことを話したことがあるが、しかし一切の外面的描写は抜きにしてだった。今また私はその時のことを話すことになった。彼らは一切の俗事から抜出ている。純粋な権力を持った、いわば神秘家だ。私の言うことが君にわかるかどうかは知らない。彼らの住所と名前については、私は知らない。ソ連を支配していながら、石の壁に囲まれてはいない。その周囲には誰もいない。そして、どんな市民とも同じ程度の生命の保証しか持っていないスターリンを想像して欲しい。どうして彼は彼の生命を狙う暗殺から身を守ることができるのか?このような神秘的な人物は彼の権力がどんなものであっても、陰謀者だし、匿名者である。

Gー君の言うことは皆、理に適っているが、それでも私は君を信じないよ。

Rーでも信じて欲しい。私は何も知らないんだ。そりゃ知っていれば、幸いだと思うよ。その時には、ここに坐っていて、自分の生命を助けることに心を労することも無いはずだ。君の疑いはもっともだ。君は警察だ。この連中のことを是非知る必要がある。私は君を尊敬している。これは皆、私たちがここに集っている、その目的のためにも必要だ。だからこそ、知っていることは、皆喋っているのだ。君は歴史には書かれていないが、われわれにだけわかっていること、つまり最初の共産主義インターナショナルの創立者がアダムヴァイスハウプト(1776年、ババリアのインゴルタット大学で啓明結社を創立した)であったことを知っているかい?これは秘密にされている。彼の名前を憶えているか?彼は啓明結社(イルミナティ)(ドイツ宗教的・共和政治的秘密結社で、そのメンバーの中には多くのフリーメーソン会員がいた)の首領であった。この名称はこの時代の二番目の反キリスト教陰謀グノーシス主義から借用したものである。彼は革命家で、フランス革命を予見し、事前にその勝利を保障したユダヤ人で元イエズス会士であった。彼は自分で、あるいは誰かの命令によって(ある人々は、彼の指揮者ドイツユダヤ人哲学者モーゼス・メンデルゾーンだと言っている)秘密組織を作った。この組織は、共産主義を樹立する目的で、フランス革命を社会革命に変えるため、革命政治的目標を遥かに越えて、フランス革命煽動し。推進していった。この英雄的時代では、共産主義を目的に掲げることは非常に危険であった。そのために啓明結社(イルミナティ)は全て地下に潜った用心深さと秘密があったのである。投獄されたり、断頭台に登る危険がなくなり、共産主義者を名乗ることが出来るまでには、百年以上かかっている。これは十分周知のことだ。わからないことは、ヴァイスハウプトと彼の仲間たちの初代ロスチャイルドとの関係である。最も有名な銀行家たちの持つ富の源泉を包んでいる秘密を説明できるものは、彼らが最初の共産主義インターナショナルの会計を担当していたということである。五人の兄弟がヨーロッパで金融帝国の五つの地区をつくり、巨大な富の蒐集のために、これを援助したという証拠もある。彼らは全ヨーロッパに拡がっているババリアのカタコンブ出身の最初の共産主義者であったということは、あり得ることだ。ところがある者は次のように言っている。彼らの言う理由が勝っていると私は思っている。それはロスチャイルドは会計担当者ではなくて、実は秘密の共産主義の首領だったという説である。この見解は周知の事実に基づくもので、マルクスと第一インターナショナルの最高指導者達は、その中にはゲルツェンやハイネも加わっているが、ライオネル・ロスチャイルド男爵(1808~79年)の統制下にあった。ユダヤ人英国首相ディスレーリが描いた彼の革命的風貌は、われわれに伝わっているが、ディスレーリは彼(ライオネル・ロスチャイルド男爵)を、"スパイ、炭焼党(カルボナリ党)員、フリーメーソン、秘密のユダヤ人ジプシー、諸々の革命家達を知っており、彼らを《指導》していた億万長者"として描写している。全てこれはお伽話のように思われる。ディスレーリはロスチャイルドを《シドニイ》と呼んでいた。しかしこのシドニイはロスチャイルドの息子ナタンの理想化した肖像であることが証明されている。彼はゲルツェンの思想を支持し、皇帝に反対する運動を起し、勝利を得ている。もしこれらの事件に照して、われわれが予想出来る全てのことが正しいとすれば、資本蓄積と無政府状態を創出するこの恐ろしい機械(共産主義)を誰が発明したか、金融インターナショナルとは何かを規定できると、私は考えている。彼こそ革命インターナショナルを作った当人だと思う。プロレタリアストライキをやらせ、絶望感の種を蒔き、同時に、プロレタリア革命に巻込むために、プロレタリアを団結させる組織をつくるための最高級の武器を、資本主義の援助の下に建設するといったことは、まさに天才の行動だと思う。これは歴史に素晴しい章を書き入れることだ。否、それ以上だ。ロスチャイルドの五人の兄弟の母の言葉を記憶しているでしょう。「もし私の息子たちが望まないなら、戦争は起らない」。これは仲介者という代理人がいること、そして彼らは、皇帝ではないが、"戦争と平和の主人公"であるということである。この宇宙的重要性を持つ事実を君は想像出来るか?戦争は今では革命的機能となっているのではないのか?戦争はコンミューンだ。その時以来、戦争共産主義への巨大な歩みである。まるで何か神秘的な力がレーニンの希望を果してくれたのである。このことに関して、レーニンはゴーリキーに話している。1905年1914年のことだ。共産主義の三つの槓桿の内二つは、プロレタリアの統制になかったし、統制されるものではなかった。戦争は起らなかったし、第三インターナショナルによっても、ソ連によっても戦争コントロールされなかった。何故ならこれらは当時はまだ存在していなかったからである。亡命中のボリシェビキの小さなグループも、戦争を望みながら、戦争を挑発することはできなかった。これははっきりしている。インターナショナルソ連は莫大な資本を蓄積もできなかったし、資本主義生産に国際的無政府状態を造出することもできなかった。食糧の莫大なストックを飢えている人に与える代りに、またラーテナウが言ったごとく、「世界の半分が肥料を作り、他の半分がこれを利用できるようにする」代りに、これを焼却してしまうような無政府状態を造出することはできなかった。そしてこのような状況下で、果してプロレタリアは、これは等比級数で増大していくインフレや、貨幣の無価値化、生産物の不断の増加、実在貨幣でない、金融資本の増加によって惹起されたものであるとか、革命の敵である中産階級が徐々にプロレタリアに変っていくとか、信じることができるであろうか?プロレタリア経済ないし戦争の槓桿を制御できないが、彼は第三の槓桿を持っている。それは資本主義国の力に決定的打撃を与え、これに打勝つことが出来る唯一の明白な槓桿である。但し、《彼ら》がこれをプロレタリアに許した場合に限り、プロレタリア資本主義国を奪取できる。

Gー再度君に繰返して言うが、君がその文学的形式で表現している一切は、一つの名称を持っている。これについては、際限のない対談の時に、私たちがすでに述べている。その名称とは資本主義本来の矛盾である。そこで君の主張しているごとく、プロレタリア以外に、何か第三者の意志と活動が存在しているのなら、これについてもっと具体的な資料を与えて欲しい。

Rー君に必要なのは、それだけか?よろしい。1つの事件を聞いてくれたまえ。日露戦争の時、《彼ら》は外向的に皇帝を孤立化させ、米国日本に金融援助を与えた。正確に言えば、ヤコブ・シフ即ちロスチャイルド家一統のクーン・ローブ会社の社長を通じて行われた。シフはロスチャイルド家出身である。彼は絶大な力を持っており、アジア利害関係を持っている米国に対して、当時、日本帝国建国を支援させた。日本人は外人を憎んでおり、同じような感情がヨーロッパにも発生していたが……。捕虜収容所から充分に教育された革命分子がペトログラードに帰って来た。彼らは日本の許可を得て、クーン・ローブ会社に融資している人々を介して米国から出発した。日露戦争は、皇帝軍隊の組織的敗北で終結した。そのお陰で1905年革命が勃発した。この革命は時期尚早であったが、ほとんど成功した。敗北はしたが、1917年のための必要な政治的条件を準備した。話をもっと続けよう。君はトロツキーユダヤ名:リョフ・ダビッドウィッチ・プロンシュタイン)の履歴を読んだことがあるか?彼の第1期の革命時代を想起して欲しい。彼はまだ青年だった。シベリアから逃亡してから、しばらくの間、ロンドンパリスイスで亡命者達の間に暮していた。レーニン、プレハーノフ、マルトフ達は彼を有望な新人と認めていた。しかしすでに第一回の分裂の時、彼は独立して、調停者として登場しようと努力している。1905年、25歳の時、彼は党を持たず、自分の組織も持たず、ロシアに単独で帰る。スターリンが修正を施していない、1905年革命資料を読んで見たまえ。それはトロッキストではなかったルナチャルスキーの書いたものである。トロツキー革命の時はペトログラードでは第一人者である。これは実際その通りだった。以前にもまして好評と影響力を持って、彼は革命から栄達した。レーニンも、マルトフも、プレハーノフも人気を獲得してはいない。彼らはせいぜい昔日の人気を保つだけか、あるいは多少失っていた。どうして無名のトロツキーが出現するや、忽ちにして、有力な古参の革命家たちを凌いで、大きな権力を獲得したのか?極めて簡単である。彼は結婚していた。彼の妻ナターリヤ・イワノヴナ・セドワは彼と一緒にロシアにやって来た。彼女が何者か知っているか?彼女はジボトフスキーと一緒に働いており、ワールブルグやヤコブ・シフ、即ち1905年革命に資金援助をした金融グループの親類たちと関係を持っていた。これがトロツキー革命名簿の中で1位に躍進した理由である。そこで彼の性格の概略にふれて見よう。1914年に立ち帰って見よう。サラエボでフェルジナンド大公を暗殺した人々の背後にはトロツキーが存在している。そしてこの暗殺がヨーロッパ戦争を惹起したのである。暗殺と戦争が単なる符号だと、君は考えるか?あるシオニスト大会でメリチェット卿がこれを言っているが、《符号ではない》という見地からロシアにおける軍事行動の発展を分析して見給え。《敗北主義》が正確な定義となる。同盟国側は皇帝を援助したが、それも同盟国側の大使には皇帝と争論し、皇帝の親しみ易さを利用し、次々と皇帝自殺的決定を慫慂するような権限を与えるようなものであった。ロシアの肉弾は莫大であったが、無限のものではなかった。一連の組織された敗北は革命をもたらした。脅威が全面的に現れた時、それからの救済は、民主主義共和国レーニンのいわゆる《大使共和国》つまり革命家たちを脅かさない政府を建設することであるとされた。しかしこれは全てではない。ケレンスキーはより大きな流血を代償として、脅威を深刻化することを煽動する役目になったのだ。これを行った結果、国を共産主義に譲渡したのである。トロツキーは今や《隠密裡に》全国家機関を奪取する可能性を受取った。何という不合理だ!でもこれが、賛美される十月革命の実相だ。ポリシェビキは《彼ら》が与えたものを受取ったのである。

Gーケレンスキーレーニンの協力者だったとでも言うのか?

Rーレーニンではなく、トロツキーだ。いや、《彼ら》の協力者と言うほうが正しい。

Gー馬鹿々々しい!

Rー君はこれがわからぬか?これは驚いた。仮にもし君がスパイでありながら、これを隠して敵の要塞司令官になったとする。果して君は、君が仕えている攻撃者のために、門を開かないだろうか?敗北した捕虜にならぬだろうか?敗北に過ぎないことを知らない攻撃者が、君を殺すかも知れない攻撃にあった時、果して君は安全だろうか?私の云うことを信じたまえ。レーニンには称号や廟はあるが、それにも拘らず、共産主義レーニン以上にケレンスキーに恩義がある。

Gーケレンスキーは意識的な、自発的な敗北主義だったと言いたいのか?

Rー私にはこれは全く明らかだ。但し、私個人はこれには参加していない。話を続けよう。十月革命の資金援助をしたのは誰か、君は知っているか?《彼ら》が、1905年日本に資金援助した銀行家を介して、革命に資金を与えた。つまりヤコブ・シフとウォーバーグ兄弟だ。連邦準備銀行のメンバーである五つの銀行の1つを介して、またクーン・ローブ会社の投資銀行を介して、全ての星座が資金援助をした。同様にグケンハイム、ハナワー、ブレイツング、アシバーグ、ストックホルムにいて、資金の受渡しに参加していた。トロツキーが到着するまでは、私は革命家たちの仲介者を勤めていた。ついにトロツキーが到達した。私が強調しなければならぬことは、同盟国側は彼を、敗北主義者として、フランスから追出したということである。そして、同盟国はトロツキーが同盟国ロシアで敗北主義運動を指導できるように彼を釈放したのである。彼の世話をしたのは誰か?レーニンドイツ通過を援助した同じ人々である。そう、《彼ら》が敗北主義者トロツキーカナダ収容所から救出し、同盟国の国境を自由に通り抜ける可能性を彼に与えて、英国派遣し、ついでロシアに送ったのである。《彼ら》の中の別の連中、例えばラーテナウは敵国ドイツを通過してレーニンが旅行出来るように斡旋した。もし君が革命と内乱の歴史を、先入観なしに知り、君がしばしば用いている問題提起の能力を全て利用するならば、その時初めて、君は全般印象を構成し、個々のデータを、お伽話のようなものまで含めて、研究し、《興味あるチャンス》のシリーズを知ることになる。

Gーよろしい。何もかもが成功の結果ではないという仮説は認めよう。どんな結論、実際的な結果を君は持っているのか?

Rーこの短い歴史を最後まで聞いてくれたまえ。それから結論を出そう。トロツキーペトログラードに到着した後、レーニンは彼を公然と受け容れた。君がよく知っている通り、二つの革命の間の中断時期には、二人の間には意見の深刻な相違があった。しかしここでは一切が忘れられ、トロツキーは、スターリンにはこれが気に入ろうといるまいと、革命の勝利の時代では自分の事業を知っているものとして、処遇される。それは何故か?この秘密はレーニンの妻ナジェージダ・コンスタンチノーヴナ・クループスカヤ(ユダヤ人女性)が持っている。彼女はトロツキーが何者であるか、よく知っていた。彼女がレーニントロツキーを受け容れよう強く勧めたのである。もしレーニントロツキーを受け容れることを拒否したら、レーニンスイスに止ることになったであろう。これが彼にとっては、トロツキーを受け容れた重要な理由の1つであった。その他レーニンは、トロツキーが資金を調達し、莫大な国際的援助を組織したことを知っていた。証拠は《封印された列車》である。さらに鉄のような決断力を持って、小さなポリシェビキ党と全ての左翼革命党員、無政府党員を結束させたのはトロツキーであり、レーニンではない。《政党を持たぬ》トロツキーの本当の党は、ユダヤ人プロレタリアの古い《ブンド》(ユダヤ人労働総同盟)であった。この《ブンド》から全てのモスクワ革命的支流とその指導者の90%が生れている。最もそれは形式上の《ブンド》でなく、”ブンドの秘密指導部”である。この指導はあらゆる社会主義政党に滲透しており、その政党のリーダーは、《ブンド》に制御されていた。

Gーそしてケレンスキーも同じか?

Rーそう、ケレンスキーも、同じように社会主義者でないリーダーやブルジョア政治的分派のリーダーもそうだ。

Gー一体どうしてそうなるのだ?

2005-11-18 財政破綻後の世界

ラコフスキー調書② 00:16Add Star

Rー現時点では、反対派は敗北主義やスターリンの没落には関心を持っていない。それはわれわれには、このための物理的可能性がないからだという点では、私たちは一致している。この点では私たちは同意している。現在これは否定出来ない事実である。しかし可能な侵略者は存在している。この最も偉大なニヒリストであるヒトラーはベルマフトの恐ろしい武器を持って、地平線上至る所に姿を現している。私たちがこれを欲しようと欲しまいと、ヒトラーは自分の力をソ連に敵対して用いている。ところでこのことは私たちにとっては全く未知の事実である。この点、まず同意しようではないか。それとも問題は明白に提起されていると考えるかネ?

Gーそう。勿論だ。しかし私がここで言わなければならぬことは、私にとっては未知の事実なんて存在しないという事だ。ソ連に対するヒトラーの侵攻は不可侵だと考えている。

Rーなぜだ?

Gー非常に簡単さ。彼は侵攻をコントロールしている。またわれわれを攻撃したがっているからだ。ヒトラーは世界資本主義の傭い人に過ぎない。

Rー危険の脅威が存在していることは、私も同意見だが、その結論とソ連に対する攻撃の不可避性との間には、大きな間隙がある。

G=われわれに対する危険は、ファシズムの本質そのものが規定するものだ。ヒトラーの希望は別として、彼を援助しているのが資本主義国で、彼らは彼に軍備を許し、全て必要な経済的・戦略的基地建設を許している。これは全く明らかである。

Rー君は大変重要なことを忘れている。それはヒトラーの軍備と、彼がベルサイユ諸国から今なお受けている援助は、スターリンが敗北した場合、われわれがスターリンの後継者となることが出来る、つまり反対派がまだ存在している特別の期間において、ヒトラーに与えられていることだ。この事実は偶然の結果ないし時間的一致の結果なのだと、君は考えるかネ?

Gーベルサイユ諸国からのヒトラーに対する再軍備の奨励と反対派の存在との間には、何の関係もないと思う。ヒトラー主義の弾道はそれ自体明瞭で論理的だ。ソ連に対する攻撃はすでに昔から彼の計画の一部だった。共産主義抹殺と東方への進出、これは彼の著書『わが闘争』、ナチズムのタルムードの教義なのだ。ところが君自身が言っているごとく、ソ連に対するこの脅威を、君たちの敗北主義者は利用しようとした。

Rーそう。一見すればそれは自然であり、論理的に見える。しかし真理にとっては、余りに自然的であり、余りにも論理的だ。

Gーこれを防止するため、すなわちヒトラーがわれわれを攻撃しないようにするためには、われわれはフランスとの同盟を信じなくてはならぬことになる。しかしこれは素朴すぎる。これは、資本主義共産主義救済のため、資本主義を犠牲にすることに同意していることを、われわれが信じることになる。

Rー大衆の集会に適してたこんな命題を基礎にしてだけ、討論を続けるのなら、君の言うことは正しい。しかし君がもしこれを本当に信じているなら、失礼だが、私は幻滅感を味わうことになる。名高いスターリン警察政治的にももっと充分教育されていると、私は思っていたのだが。

Gーソ連に対するヒトラーの攻撃は、国際的規模における不可避的な階級闘争と同様に、さらに弁証法的必然でもある。勿論、ヒトラーと隊伍を組んでいるのは、地上の全ての資本主義だ。

Rー正直のところ、君の教科書的弁証法を知って、私はスターリン主義の政治文化については極めて否定的な意見を持ってしまった。私は君の話を聞いているが、それはまるでアインシュタインが、4次元物理学に関して学生が講義しているのを聞いているような気がするのだ。君が知っているのは初歩的マルクス主義、つまり通俗的、民衆扇動的マルクス主義だと思う。

Gーもし君の説明が余り長くならないなら、マルクス主義のこの《相対性論》を解明して貰えれば有難いが。

Rー私は何も皮肉を言っているのではない。善意をもって言っている。君たちのスターリン大学でも教えているこの初歩的マルクス主義の中には、ソ連に対するヒトラーの攻撃不可避という君の命題とは矛盾する立言があることを、君は発見出来るだろう。また、君たちはマルクス主義において主要なものは、例えば、矛盾は資本主義の不治の、宿命的疾患であるという前提だということも教えられている。そうでしょう?

Gー勿論

Rーしかし、事実、われわれが資本主義を非難しているのは、資本主義経済面で不断の矛盾の中に迷い込んでいるからだ。だとすると、なぜこれが資本主義政治面に必ず反映しなければならぬのか?そもそも政治経済はそれ自体は、重要ではない。これは社会状態の条件ないし尺度である。しかし経済政治に、あるいはその双方に一挙に影響を及して来ることになる。したがって経済の中にだけ誤謬を発見し、政治の中に誤謬を発見しないことは、不合理だということになる。君が反ソ攻撃を不可避だと考える場合、このことに注意することが大切だ。これは極めて重要なことだ。

Gー君の意見によると、君たちが当にしているものは、矛盾とブルジョアの誤謬の不可避性だけである。だからその誤謬の結果、ヒトラーソ連侵略が阻止されるということになる。ラコフスキー、私はマルクス主義者だ。しかしここだけの話だが、お互いを傷つけないために、君に言っておくが、私はマルクスを信じているが、それでもなおソ連の存在がわれわれの敵の誤謬のお蔭だけによるものだとは信じない。スターリンも私の見解と同じだと思うよ。

Rーこれで、君たちのマルクス主義の文化を私が疑問視する理由がはっきりするのだ。君の動機と反応は平凡な活動家と何ら違っていない。

Gーそれで、私は間違っていると思うのかネ?

Rー君の見解は、小さな行政官、官僚、大衆にとっては正しい。それは平均的闘士にはふさわしい。彼らはこの見解を信じ、書かれていることは何でも反復している。いいかネ、私が君に言っていることは、全く秘密なのだ。マルクス主義から君たちが得ている結果は、古代の秘教から得るものと同じものである。秘教の崇拝者たちが知っていなければならなかったことは、全く初歩的な、概略的な真理だけで、その真理は、彼の信仰を、つまり絶対に必要なものを、満足させるだけに必要なものであった。宗教ではこのように行われているが、革命でもこの通りである。

Gーつまり、君は今度はフリーメーソンの変種としての秘教的マルクス主義を私に教えようというのか?

Rー否、ミステリーではない。その反対だ。私はこれを極めて判然と説明出来る。マルクス主義は、哲学的、経済的、政治的体系となる以前に、革命陰謀である。そして、われわれにとっては、革命は、絶対的真理、唯一の真理である。ということは、哲学経済政治革命を誘発するためにのみ必要だということである。根本的真理は主観的なものといえる。これは経済政治の中には、さらに道徳の中にも存在しない。科学的抽象の見地からすれば、革命はあるいは真理でもあり、あるいはテロでもある。しかし革命弁証法を信じるわれわれにとっては、革命は真理だけである。したがって革命は、マルクスの解釈のように、全ての革命家にとっても、真理でなくてはならない。レーニンの行動が現実に矛盾しているという非難に対して、レーニンは次のように答えた。この言葉は、憶えているでしょう。「私はこれが真実在であると思っている」と彼は言っている。君は、レーニンが戯言を言ったなどと考えてはいないでしょうネ?否、彼にとっては、一切の真実、一切の真理は革命にのみ関するものであった。マルクスは天才だった。彼の著述は資本主義に対する深刻な批判だけに限られていた。したがって、それらの著述は研究対象に関する高度の、科学的理解の成果である。ところが、彼は最高の技巧を極めながら、自分の著述が持っているアイロニーを強調しているのである。「共産主義は勝たなければならぬ。何故なら資本が資本主義の敵となることによって、共産主義に勝たしてくれるからである」と言っている。これはマルクスの何とも素晴しい命題である。これ以上のアイロニーがあり得るだろうか?そして彼は、人々から信じて貰うために、資本主義共産主義を単純に無人格化し、人間を意識的に判断する個体に変えている。彼はこれを手品師の才能でやっている。これは、資本家たちは資本主義の所産であるということ、共産主義は資本家の生れながらの白痴性がもたらした結果である勝利を手に入れることが出来る、もし《経済人》にこの不滅の白痴性が具有されていなかったら、資本主義の中には、マルクスが発表した矛盾は起り得ないということを、資本家たちに証言するための滑稽な手法なのである。《賢い人間》を《馬鹿な人間》に変えるためには、人間を最低の、動物的段階まで堕落させることの出来る魔力が必要である。資本主義の最高発展の時代に、《馬鹿な人間》タイプが出現しさえすれば、マルクス公理《矛盾プラス時間は共産主義を建設する》が実現する。正直な所、全てこのことを知っている私たちは、ルビャンカの入口にぶら下がっている肖像のようなマルクスの代表者であるという権利を主張しながらも、心の底からこみ上げてくる笑いを押殺すことが出来ないのだ。この笑いはマルクスによって私たちに伝染されたものだ。それは彼のその頬鬚の中で、全ての人類を笑っているのがわかるからだ。

Gーその上、君はさらに、最も尊敬されている世紀の学者を笑うことが出来るのかネ?

Rー君は私を嘲笑しているのか?これは驚いた。マルクスがこんなにも多くの学者たちを欺くことができるためには、彼は彼らより高い所に立たなくてはならなかったのだ。そこで、マルクスの偉大性を全面的に判断するためには、私たちは本当のマルクス革命マルクス、『共産党宣言』によるマルクスを観察しなければならぬ。つまりマルクスは地下運動者である。彼の時代では革命は地下に存在していたからである。革命はそれが発展し、勝利を得たことに対しては、これらの陰謀家たちに恩義がある。

Gーつまり君は、共産主義の終局的勝利をもたらした、資本主義における矛盾の弁証法的過程の存在を否定しているのか?

Rーもしマルクスが、資本主義における矛盾の結果だけで、共産主義が勝利を得ると信じていたのなら、彼は自分の科学的、革命理論の何千ページにもわたって矛盾に関して論じることはしなかっただろうよ。これは君も信じることが出来るだろう。マルクスの真の本質的な絶対的路線は、科学的ではなく、革命的だということだ。革命家と陰謀家は自分の勝利の秘訣を、自分の敵に決して打ち明けることはしない。彼は決して真の情報を与えることはしないが、世論を迷わせるための虚偽の情報なら与える。それを君たちは陰謀に反対する闘争に利用しているのだ。そうではないかネ。

Gー君の主張によると、資本主義には矛盾は存在しない。そこでマルクスの矛盾論は単なる革命的、戦略的方法に過ぎないことになる。遂に私たちはこんな結論に達したのだ。そうだろう? しかしわれわれは資本主義における莫大な、不断に激化していく矛盾を見ている。つまりマルクスは嘘をつきながら本当のことを言っているということになる。

Rー君は独断主義のブレーキをはずして、独自の発明性を自由に駆使している。危険な議論家だ。そう。その通りだ。マルクスは嘘をつきながら、本当のことを話した。彼は矛盾を、資本の経済の歴史の中で継続するものと規定し、その矛盾を《必然で不可避》のものと名付け、故意に人々を混迷させる点で、嘘をついているが、同時にこの矛盾がつくり出されるものであること、そしてそれはその頂点に達するまで、累進的に成長し始めることを知っている点で、本当のことを言ったのである。

Gーつまりアンチテーゼがあるというのか?

Rー否、アンチテーゼなどは何もない。マルクスは戦術的理由から嘘をついているのだが、それは資本主義における矛盾の起源に関してであり、矛盾の現実に関してではない。マルクスは、矛盾がどうしてつくられたか、どうして尖鋭化したか、共産主義革命の勝利を前にして、どうして資本主義的生産において無政府状態が誘発されたかを知っている。彼はこのことが起ることを知っている。何故なら矛盾を作り出していた人々を知っているからである。

Gーこれは大変奇妙な、新しい発見だ。君は資本主義が《自殺》に追込まれるその間の消息について論じているが、これはブルジョア経済学者シュマーレンバハ(ケルン学派を確立したドイツ経営経済学者、1873~1955年)が規定していることである。しかし実際には、自殺資本主義の本質でもなく、生来の法則でもない。だが、この考え方で私たちがどんな結論に到達するか、知りたいものだ。

Rーまさか、君はこれを直観的に感じないかネ?マルクスの言行がいかに不一致か、気づかないかネ?彼は剰余価値が実際に存在していることとそれが蓄積されていることを立証することによって、資本主義的矛盾の必然性と不可避性を発表している。つまり剰余価値が現実に存在していることを証明しているのだ。さらに生産方法の発達が共産主義建設のため、彼はインターナショナル、すなわち改良主義的組織を作っている。この組織の目的は、階級闘争と価値の制限、できれば価値の除去にある。したがってマルクス理論に基づくインターナショナル反革命的、反共産主義的組織になるのである。

Gーマルクス反革命家で、反共産主義者だという所まで飛躍してきたのか?

Rー真のマルクス文化がどのように利用されるのか、今、君たちは分っている。だからこそ、論理的にも、科学的にも正確に、インターナショナル反共的、反革命的組織だと見なすことが出来る。それは君たちが事実の中に、可視的な結果以外には何も見えず、教科書の文句を固執している結果だ。マルクス主義では、言行は最高知識の厳格な原則、すなわち陰謀革命の原則に合致しているということを忘れた場合には、こんな不合理な結論に到達するのである。

Gー最終的結論にはいつ到達するのか?

Rーちょっと待って、経済階級闘争は、その結果から見て、改良主義であり、したがって共産主義樹立を規定する理論的前提に矛盾する。ところが本当の階級闘争は、真実の、純粋な革命的意義を持つものである。しかし再度繰返すが、一切は陰謀の原則に服従する。すなわち一切の方法と目的は秘密にされなければならぬ。階級闘争の結果、価値の蓄積がなされても、それは革命運動の原理を大衆に広報するための見せかけ、幻想である。ストライキはすでに革命的動員の企図である。ストライキで誰が勝とうと負けようと無関係に、その経済的効果は無政府状態を持たらすことになる。その結果、1階級の経済状態を改善するこの方法は、経済崩壊を惹起する。ストライキの範囲や結果が例えどんなものであっても、それは常に生産を減少する。要するに、労働階級にはどうにもならない貧困が酷くなる。これはまだ大したことでない。唯一最大の結果ではない。周知のごとく、経済闘争の唯一の原因となるのは、より多く稼いで、より少なく働くことである。全く経済的に見て馬鹿々々しい話だが、われわれの用語によれば、これはすでに矛盾である。物価が上がれば、直ぐに取上げられる資金の高騰で目が眩んでいる民衆はこれに気付かない。そして物価政府が抑えれば、より多く消費し、より少なく生産するという欲望の間に、またも矛盾が生じ、その結果金融インフレとなる。ストライキ飢餓インフレ飢餓という悪循環が起こる。

Gーストライキ資本主義的利潤の負担で起る場合は例外だ。

Rーそれは理論だ。純理論だ。実際のところ、どこの国の経済便覧でも良い。その国の貸付金と総所得の総和を、賃金を受取る人の数で割って見ると、どんな驚くべき結果が出てくるかがわかる。これは反革命的事実なので、われわれはこれを秘密にしなければならぬのだ。つまり、ストライキを起すことで、プロレタリアの利益を守ってやるようであるが、これは資本主義的生産を破壊するための口実に過ぎないということである。したがってブルジョア制度の中で対立を組織するためには、プロレタリアの間の対立が、これに付加される。これは革命の二重の武器であるが、それは自然発生するものではない。それにはリーダーと規律、何よりも大衆が愚昧であることが必要なのだ。資本主義のこれらの一切の矛盾と対立は、特に金融部門では、誰かによって組織されなければならぬ。君にはこのことが理解出来ないだろうか?私の結論を説明するために君に言っておくが、プロレタリアインターナショナル経済闘争と共に、金融インターナショナルの中でも同じ闘争が起っているということだ。双方ともインフレを惹起する。両者の間の符号がはっきりしている以上、協定もあることは予想出来ることだ。マルクス自身がこのことを言っている。

Gー君はとんでもない馬鹿気た話をして、新しいパラドックスをつくるつもりじゃないだろうな。私はそんなことは考えたくもない。君はお互いに敵意を持っている二つのインターナショナル資本主義インターナショナル共産主義インターナショナルが存在していると示唆しているようだ。

Rー全くその通りだ。私は金融インターナショナルのことを論じる時は、コミンテルンのことも一緒に考えている。しかしコミンテルンの存在を認めるからって、両者の間に敵意があるとは考えたくない。

Gー私たちが虚構と空想のために時間を浪費することを君が望んでいるのなら、君は間違った時間を選んでいると言わざるを得ない。

Rーまあ、それはそうとしておいて、君は私を、つまり自分の生命を救うために夜毎空想を逞しくしていたあのアラビアン・ナイトのコールガールだとでも考えているのかネ?とんでもない。私が主題から逸脱していると君が考えるなら、それこそ間違いだ。私たちが提起した目的を達成するためには、私が、《最高のマルクス主義》と称しているものを、君たちが知らないことを考慮に入れて、最も重要な問題を君に教えなければならないのだ。このことはクレムリンも知らないのだ。これを承知しながら、私は黙っているわけにはいかない。話を続けてもよいかネ?

Gー続けたまえ。しかしいたずらに想像力をかきたて、それで時間稼ぎをするために、こんなことを話すんなら、そんな楽しみは全く哀れなエピソードに終ることもあり得る。君に警告しておく。

Rー何も聞かなかったことにして、続けるよ。君は『資本論』を研究している。そこで君の帰納的能力を呼び覚したいので、若干の奇妙な話を憶い出して貰いたい。マルクスがどんなに洞察的に、今では巨大工業に変っている彼の時代の英国工業に対する観察から結論を出しているか、考察してほしい。彼は工業をどんな風に分析し、批判しているか、また工場主をどんなに穢らわしい人物に仕立てているか。大衆の想像と同じように、君の想像の中には、人間に具像された資本主義の恐ろしい光景が生れてくる。マルクスが描写している通りの太鼓腹をして、口に葉巻煙草を加え、傲慢に町頭に労働者の妻や娘を放り出している工場主だ。そうだろう?ところが他方、問題が金銭に関する場合、マルクスは穏健で、ブルジョア的な正統的信仰を示している。金銭の問題では彼の有名な矛盾が出ていない。彼は金融は、それ自体重要なものとは考えていない。商業と貨幣流通は、呪わしい資本主義的生産の結果であり、資本主義的生産がこれらを支配し、その価値を規定している。金銭の問題ではマルクスは反動家だ。ソ連の星と同じ《五芒星の星》が全ヨーロッパに輝いているが、これは五つの光、ロスチャイルド家の五人兄弟から成立しているのを見て、君は驚くかも知れない。ロスチャイルド家の銀行には、かつて全世界から集めた莫大な富がある。彼の時代の世間の想像を絶するこのような価値の莫大な蓄積に、一体なぜマルクスは注意していないのか?これは奇妙なことではないか?恐らくマルクスのこの奇妙な不注意は、あらゆる将来の社会革命の説明の中に現れている。民衆が都市あるいは国を奪取する時、彼らは銀行銀行家に対する何か迷信的な畏怖感に襲われている。われわれはこのことを是認している。王、将軍司教警察官、聖職者その他憎むべき特権階級の代表者らを殺し、宮殿、教会科学機関をも掠奪し、焼き払う。それなのに、革命は常に社会的、経済的のものであっても、銀行家たちの生命に対しては、これを尊敬している。その結果、銀行の壮大な建物は完全に残っている。私の情報によると、私が逮捕される以前からそうだったし、今もこれは続いている。

Gーそれはどこの話かネ?

Rースペインだ。君はこのことを知らないのか?こんなことは皆奇妙だと思わないか?金融インターナショナルプロレタリアインターナショナルの奇妙な共通性に君が注目しているかどうか知らないが、私の言いたいことは、後者は前者の影であり、プロレタリアの方が、金融のほうよりずっと後のものだということだ。

Gーこの双方は何も共通のものを持っていないのに、君はどの点に共通性を発見しているのか?

Rー客観的には両者は同じものだ。すでに証明した通り、改良主義的運動はコミンテルンと類似の物を作り出し、サンジカリズムと同様に、生産における無政府状態、インフレ、民衆の中に貧困と絶望を倍加した。金融資本も、主として金融インターナショナルであるが、意識的あるいは無意識的に、対立を作り出しているが、それはさらに大規模なものだ。マルクスの炯眼から隠すべくもない金融対立を、なぜマルクスが隠したのか、今となっては推察出来るのである。まして金融勢力は彼の時代では、革命にとって特別の意義を持っていたのである。

Gーそれは単なる無意識的符号で、知性、意志、協定が要求する同盟では全くないよ。

Rーまあ、いいさ、お望みなら、君の見解の上に立つことにしよう。さて金融問題を分析し、さらにどんな種類の人々が金融に参加しているか規定しよう。金銭の持つ国際的本質は誰にも明らかである。このことから、はっきりしていることは、金銭を持っており、これを蓄積している組織は、世界主義的性質を持っているということである。金融とは、金銭の最高の成果であり、その重要な目的と本質である。金融インターナショナル民族的なものは一切否定し、認めない。国家も認めない。まるで無政府のようであるが、民族国家は否定しても、自分独自の国家は建設している。この国際的国家が金銭に権力を与える。そして金銭もまた異常な力を与える。

 われわれが1世紀にわたって建設しているわれわれの共産主義的超国家は、マルクスインターナショナルの図式に基づいて建設される。この図式を分析すれば、その本質がわかる。インターナショナルとそのソ連の原型の図式は純粋な権力である。二つの間の構造の間にある同一性は絶対的だ。これは運命的、不可避的なものであり、これらの作者の人格は同一である。金融資本家は、共産主義者と同様に国際的である。両者は、異なった口実の下に、ブルジョア国家を否定し、これと戦っているのである。マルクス主義が必要されるのは、ブルジョア国家を共産主義国家に変えるためである。したがってマルクス主義者は国際主義者とならなければならない。金融資本家はブルジョア民族国家を否定するが、その否定はブルジョア民族国家に限られてしまう。実際上は、彼は自分をインターナショナリストと言ったりはしないが、無政府主義者、世界主義者と称している。現段階では彼の見せかけは、このようであるが、彼が真実何者か、また何者になろうとしているのか、観察しよう。ご存知のように、共産主義者、国際主義者と金融資本家、世界主義者の間には、明らかな共通点がある。その結果、これと同じ共通性が共産主義インターナショナルと金融インターナショナルの間に存在している。

Gーそれは偶然の共通性で、対立している。両者の一方が自滅すれば、最もラジカルな面だけが残る。

Rー論理的関連性を保存するために、今はこれに回答しないでおく。私は只《金銭は力なり》という根本公理を解読したいだけなのだ。今日では金銭は地球引力の中心である。同意して貰いたい。

Gー続けたまえ。ラコフスキー、お願いだ。

Rー金融インターナショナルはすでに今世紀以前に、徐々に人々の魔力的護符である銭の主人公になっている。この人々は以前は神あるいは国家を持っていた。金融インターナショナル科学的に見て、革命的戦略技術をも凌駕している。何故ならそれは技術でもあるし、革命でもあるからだ。今説明するが、フランス革命の叫喚と華麗さに眩惑された大衆や歴史家、彼らは王や特権階級から権力を奪取したという意識で陶酔した国民は、神秘的な、用心深い、あまり知られていない少数のグループが真の王権、魔力的、神的権力を手に入れて行くのに気付かなかった。大衆はこの権力がどうして他人によって奪取され、王制時代よりも、もっと残酷な奴隷状態におかれているかに気づかなかった。この王はその宗教的、道徳的偏見の故に、このような残酷な権力を行使することができなかった。結局最高の王権は次のような人物の道徳的、知的、世界主義者的性質が、この人々に権力を握る可能性を与えたのである。この人々がキリスト教徒でなく、世界主義者であったことは、明らかである。

Gー彼はどんな神秘的力を奪取したのか?

Rー彼等は金銭を鋳造する現実の特権を握ったのである。微笑わないで。でないと君は金銭とは何か知らないのだと思うよ。私の立場に立って欲しい。君に対する私の立場は、パスツールが現われる以前に登場した医者に対して、細菌学を説明しなければならぬ医師の助手みたいなものだ。しかし君にはそんな知識がない。だからこれは忘れることにする。われわれの言葉は事物に関して間違った思想を起させることがある。このような言葉を利用するのは、真実の、正確な観念に合致しない思想の情力のお陰である。私は、金銭と言っているのである。君の想像の中に本当の硬貨や紙幣の光景が思われるのは当然である。だが、私の言う金銭はそれではない。そんなものは現代的解釈による金銭ではない。つまり通貨というのは、時代遅れである。金銭が今持って存在していて、流通していたとしても、それは古代伝統のお陰であり、今日の純粋に想像上の機能、つまり幻想を維持するのに便宜だからである。

Gー素晴しいパラドクッスだが、危険だし、詩的でさえある。

Rーお望みなら、素晴しいと言っても結構だが、これはパラドックスではない。君が微笑っているのでわかるんだが、国家は今でも硬貨を作ったり、王の胸像や国章入りの貨幣を作っている。それがどうだというのだ?国家的富を代表する大事業のための通貨の大半、すなわち金銭は、私が示唆した人々によって発行されているのである。私有権、数字、小切手、為替、値引き、予算、数字と際限もなく、まるで滝のように国に氾濫する。全てこれを硬貨や貨幣と比較出来るだろうか?この硬貨、紙幣は金融力の増大していく洪水を前にしては、無力な極小のものに見える。金融家達は、微細な心理学者であり、何の困難もなく、自分の金融勢力を強大にしていく。それも大衆に理解力が欠如しているからである。金融力の色々な形態に加えて、彼らは《クレジット》マネーを作り出し、その価値を際限なく高騰させようと目論んでいる。そしてもしこれに音速を加えると、これは抽象、思想、数字、数となる。信用と信仰になる。

 さて、君はこれが理解できるか?欺瞞である。偽造貨幣だ。君にわかり易くするために、別の用語を用いれば、合法化された貨幣である。銀行、取引所、一切の世界金融システムは、アリストテレスの言のごとく、反自然スキャンダルを作り出すための巨大な機械である。すなわち金銭を殖やすために、金銭を利用する。これは正に経済犯罪刑法の侵犯つまり高利貸しである。彼らは法定利子を受取っていると言うが、どうしてこれを正当化したり、説明したり、また公表出来るのか、わからない。仮にこのような説明を容認し、事実を認めても、高利貸しはやっぱり高利貸しだし、それに彼が受取る利子がたとえ法定のものであったとしても、その高利貸しは、実在もしていない資本を捏造し、偽造していることにかわりはない。銀行は生産に一定の金額を投資する。その金額は彼らが実際持っている硬貨、紙幣の額よりも、十倍も百倍も多い。《クレジット》マネーつまり偽造貨幣、捏造貨幣が、クレジットから支払われる実在資本より多い場合のことを言っているのではない。法定利子が実在資本に対してでなく、実在もしていない資本により計算される時は、その利子は実在資本からの利子を越える割合いだけ非合法的だと見なさなければならぬ。私が君に詳細に説明しているこのシステムは、偽造硬貨を利用している連中の間の量も隠されたものの1つであることに注意して欲しい。彼らの持っている富のお陰で、無限の権力を持っている人々の少数のグループを、できたら想像したまえ。彼らは取引所の絶対独裁者であることを、納得できるだろう。君にもし十分な想像力があれば、全てこれを世界的ファクターに加乗すれば、彼の無政府的、道徳的、社会的影響力つまりは革命的影響力がわかるだろう。わかるか?

Gーすこしはネ。

Rー奇蹟を理解するのが困難なことは当然だ。

Gー奇蹟だって?

Rーそう、奇蹟だ。ちゃちな木製ベンチを寺院に変えてしまうことが奇蹟でなくて何だ?ところがこのような奇蹟を世間の人は、この1世紀の間に何千回となく見ている。これは、高利貸しが腰をおろし、そこで金銭を商売にしていたその汚いベンチを、現代の都市の一角を荘厳に飾立てた現代寺院に変えてしまった例外的な奇蹟である。この現代都市は豪華な円柱と群衆を持っている。この群衆は天の神々からは何も受取らないのに、金銭の神に自分の犠牲を捧げ、持物一切をその神に与える。ところがその神は銀行の鋼鉄の金庫の中で暮しており、その神聖な使命によって、彼らの富を形而上学無限にまでに増殖することを約束していると、彼らは考えているのである。

Gーこれは堕落したブルジョアの新しい宗教だネ?

Rーそう。宗教だ。権力の宗教だ。

Gー君は経済の本当の詩人だ。

Rーお望みならば、芸術の対象として、あらゆる時代の最大の革命として、天才たちが作り出した金融を描写するために詩が必要だ。

Gーそれは間違った見解だよ。マルクス、特にエンゲルスがいっている金融とは、資本主義の生産制度によって規定されるものだ。

Rー全くその通りだが、それは正反対なんだ。資本主義制度が金融によって規定されるのさ。エンゲルスが別の定義を与え、それを弁護することに努めているのは正しい。しかし、彼はそうすることによって金融がブルジョア生産を支配していることを立証しているのだ。金融こそ革命の最強の手段であり、コミンテルンは彼らの手の中にある玩具に過ぎない。これは過去もそうだったし、マルクスエンゲルス以前でもそうであった。しかしマルクスエンゲルスもこれを説明しなかった。というより反対に、自分の学者的才能をフルに利用し、革命のために、真実を糊塗したのだった。二人ともこれにしたがっている。

Gーそれは新しい話ではない。これで私は、トロッキーが前に書いたことを思い出した。

Rー話して欲しい。

Gーコミンテルンニューヨーク取引所に比較すれば、保守的組織だと彼は言って、革命発明家として、大銀行を指摘しているのだ。

Rーそう、彼はこのことを小冊子で書いている。その中で英国の没落を予言している。そう彼はこのことを述べた後、こう付言している。「英国革命の道に押しやる者は誰か?」「モスクワではなくて、ニューヨークだ」と答えている。

Gーしかしニューヨーク金融家達が革命を起したとしても、彼らはこれを無意識にやったのだと彼は主張していることを、思い出して欲しい。

Rーなぜマルクスエンゲルスが真実を隠していたか、君にわかって貰いたいために行った私の説明は、レフ・トロッキーに関しても同じことなのだ。

Gー私がトロツキーを評価するのは、昔からわかっていたが、彼が文学的形式で、かつて知った事実について、意見を述べたことに対してだけである。これらの銀行家は皆、「彼らの革命的使命を遂行してはいるが、抵抗もなく、かつ無意識のうちに行っている」と、トロツキー自身が全く正しく主張している。

Rーそしてトロツキーが、このことを公表した事実があるにも拘わらず、彼らは自分の使命を遂行していたとでも言うのか?これはすこぶる奇妙なことじゃないか。なぜ彼らは自分の行動を改めなかったのか?

Gー金融家たちが無意識革命家だというのは、客観的にそう見えるのだ。それは彼らには終局的結果を見る知的能力がないという結果である。

Rー君は本当にそんなことを信じているのか? これらの天才たちの間に、無意識的に行動しているものがいると君は考えているのか? 今、全世界を支配している連中を、馬鹿だとでも思っているのか?だとすると、これは酷く馬鹿々々しい矛盾だ。

Gー彼らは客観的にも、主観的にも全く意識的な革命家だと、私は言っているだけだ。

Gー銀行家たちが?君は正に狂人だよ。

Rー否、私は……では君はどうか?一寸考えて見たまえ。この連中は、君や私と同じ人間だ。彼らは自分で金銭を作っているので、際限もなく金銭を自由にしている。しかしだからといって、われわれは彼らの持っている自己顕示欲の限度をこの位でよいと決めることはできない。自己顕示は、人間に完全な満足を与える唯一のものだ。そして、権力は人間の意志に満足感を与える。この銀行家たちが権力欲を何故持ってはならないだろうか?同じ欲望が、私にも、君にもあるじゃないか?

Gーしかし、彼らはすでに全世界を支配する権力を奪取していると、君は言っている。私もそう思う。だとしたら、この上彼らはそれ以外のどんな権力が必要だろう?

Rー私はもう君に言っている。完全な権力だ。スターリンの持っているのと同じ権力である。但し、それは全世界を支配する権力である。

Gースターリン的権力だが、反対の目的を持っているのかネ?

Rー権力は、もしそれが実際に絶対のものであるのなら、唯一つである。絶対という観念は複数を排除する。だからこそ、本質的に同次元のものであるコミンテルンと金融インターナショナルが志向する権力は、政治において絶対となり得ない。したがって今日まで共産主義国家以外に、全体主義的力を持つ別の組織が考案されなかったのである。資本主義ブルジョア権力は、最高段階に立つものであっても、高々シーザーの権力、制限された権力である。何故なら理論的に見て、これは古代におけるファラオやシーザーの人格の神化であり、当時の原始時代の経済条件や技術的開発が不完全だったので、人々は常に若干の個人的自由を持っていた。ところが、すでに部分的ではあっても、国家や世界的国家を支配している連中は、世界的権力を要求する権利を持っているのだ。これはわかるか?彼らがまだ達成出来ない唯一のものが、これである。

Gーこれは興味あることだ。とうとう狂気の沙汰だ。

Rー勿論、狂気ではあるが、レーニンスイス屋根裏の部屋で、全世界に対する権力を夢見ていた。スターリンは流刑中シベリア農家で同じことを夢見た。この程度の夢ならニューヨークの摩天楼に住んでいる金持ちのほうがもっと似つかわしいと思うよ。

Gー結論を出したまえ。《彼ら》とは誰なのだ?

2005-11-17 財政破綻後の世界

ラコフスキー調書① 01:14Add Star

1938年1月26日

ガブリエル・ガブリロウィッチ・クジミンによる被告クリスチャンゲオルギェウィッチ・ラコフスキーに関する考察

(註=取調べ官をGとし、被告をRで表記する。)

Gー既にルビャンカ(註、モスクワソ連秘密警察本部にある監獄)で話合った通り、君に最後のチャンスを与えるよう要請したが、君がこの場に出席している事は、私の要請が成功した事の証左である。われわれを騙さないで欲しいものだ。

R-私はそんな事はしたくないし、又、しない。

Gーまず好意ある警告をしておく。今私たちに必要なのは、本当の真実だ。法廷や被告自白の世界に出てくるような《官製的》真実ではない。……ご存知の様に、この様な真実は常識的判断、西側で言われている《国家的判断》にとってのみ価値あるものである。国際政策の要請からわれわれはあらゆる真実……《本当の真実》を隠さざるを得ないのだ。……例え裁判がどんな方法で行われても、所詮、政府や世間に報道されるものは、彼等に知っていて貰いたいことだけだ。しかし一切を知っておかなければならぬ人、つまりスターリンはこの本当の真実を知らなければならぬのだ。したがって君がここで何を喋っても、それは君に不利となることはない。君の発言は、君の罪を重くするものでなく、反対に君に有利な結果をもたらすということを、君は知って置くべきだ。この時点では既に失われている自分の生命を、君は救うことが出来るかも知れぬ。これで私は言うことは皆言ったが、さてどうなるか。君は、ヒトラースパイで、ゲシュタポから資金を貰ったと、一切の自白しているが、本当か?

Rーその通り。

Gーそして君はヒトラースパイだったのか?

Rーその通り。

Gー否、ラコフスキー、真実を話してくれ。法廷の証言を言うな。

Rー私たちはヒトラースパイではない。私たちは、君やスターリンが憎むのと同じようにヒトラーを憎んでいる。或はそれ以上かも知れぬ。これは非常に複雑な問題だが……。

Gー君に助力するよ。……偶然私が知ったことだが、君たちトロッキストはドイツ参謀本部と連絡を持っていたというが、その通りか?

Rーその通り。

Gーいつ頃からか?

Rー正確な日時は知らぬが、トロツキー没落後間もなくだ。ヒトラーが権力をとる以前だ。

Gー確かめておこう。君はヒトラーや、あるいは彼の体制の私的スパイだったのか?

Rー正確に言えば、私たちがスパイだったのはずっと昔のことだ。

Gー一体何の目的で?ドイツに勝利を保障し、若干のロシア領土を与えるためか?

Rー否、とんでもない。

Gーつまり、単純なスパイのように、銭のためか?

Rー銭のためだって?ドイツから1マルクだって貰ったものは誰もいない。ソ連の外務人民委員を買収するような、そんな銭はヒトラーにない。ソ連の外務人民委員はモルガンとヴァンダービルドの富全部以上の予算を自由に出来るし、その銭の支出報告もする必要はない。

Gーよろしい。ではどんな理由で?

Rー素直に喋ってよいかネ。

Gー勿論だとも、私がお願いしたことだ。そのために君はここに招かれたのだ。

Rーレーニンロシアに帰るために、ドイツから援助を受けた時、果してレーニンは崇高な目的を持っていなかったであろうか?そして、彼を非難するために流布されている一切の侮辱的な歪曲を、真実だと受取らなければならぬだろうか?果して彼はカイゼルのスパイと言われなかっただろうか?彼と皇帝ドイツの干渉との関係、さらにボリシェビキの絶滅者達をロシアに送込んだこととの彼の関係は、全く明白なことだ。

Gーその真偽は、私の質問とは無関係だ。

Rー否、終りまで言わせてくれたまえ。レーニンの活動が当初はドイツ軍のためになったのは、事実ではないのか?ちょっと待ってくれ……ブレスト・リトフスクで単独講和が結ばれ、ソ連の莫大な領土がドイツに譲渡された。1913年、ボリシェビキの武器として、敗北主義を唱えたのは誰だったのか?レーニンだ。ゴーリキー宛の手紙の中の彼の言葉を、私は記憶している。「オーストリアロシアの間に戦争が起れば、それは革命にとって最も有利な事件となるが、フランツ・ヨシフとニコライがこの様な可能性をわれわれに提供してくれるとは、予想し難い。」ご存知のように、1905年に敗北主義を案出したいわゆるトロッキスト達は、今もなお、同じ路線、レーニンの路線を継続している。

Gー少しばかり違っているよ。ラコフスキーソ連でわれわれが今持っているのは、社会主義であって、皇帝ではない。

Rー君はそれを信じているのか?

Gー何をだ?

Rーソ連社会主義が存在していることを?

Gーまさか。ソ連社会主義国でないなんて?

Rー私にとっては、それは名称だけのことだ。そして正にこの点に、私たちは反対する真の根拠を見出しているのだ。私に同意したまえ。純理上からも、君は同意すべきだ。スターリンが否と言う権利を持っているごとく、私たちは理論的、合理的に諾と言う権利を持っている。それに共産主義の勝利のためなら、敗北主義も正当化できる以上、共産主義スターリンのボナパルチズムによって破壊され、裏切られたと考えるものは誰でも、レーニンと同じように敗北主義を唱える権利を持っている。

Gーラコフスキー、思うに、君は弁証法を君流に利用して、理論的粉飾をやっているのだ。もしここに大勢人がいたら、私は明らかにこれを証明して見せるのだが……。よろしい。君の論拠を君の立場では唯一のものとして受入れる。しかし、それにも拘らず君の言っていることは皆、詭弁に過ぎないことを、君に証明出来ると思っているよ。しかしこれは後日に譲ろう。いつかその日が来るだろう。その時は回答する可能性を私に与えてくれ。しかし、今の所では、次のことを言っておく。君の敗北主義とソ連の敗北が、ソ連において社会主義、本当の社会主義を、あるいは君のいわゆるトロッキズムの復興を目的とするものであっても、指導者や幹部を殺してしまっては、敗北主義もソ連の敗北も無意味、無目的となる。敗北の結果、権力を得るものは、フューラーかそれともファッショの皇帝かだ。そうではないかネ。

Rーそれは正しい。君の結論は、私の立場からも、お世辞なしに立派だ。

Gーよろしい。君が真心からこれを認めるなら、私たちは多くのことを達成したと思う。私はスターリン主義者で、君はトロッキストだ。不可能なことを達成したのだ。私たちの見解の一致点が見出されたのだ。私たち二人は、現地点ではソ連を滅ぼしてはいけないということを認めている。

Rー正直なところ、私はこのような賢い人と会うことは期待していなかった。事実、現時点ないしここ数年間は、ソ連の敗北については考えることはできないし、又現段階ではわれわれは権力を奪取できない以上、これを煽動してはならない。われわれ共産主義者は、このことに何の興味も持っていない。そう、この点は君の意見と、全く正確に一致している。現在われわれはスターリン国家の滅亡に関心を持つことはできない。この国家は、色々な批判を考慮にいれなくとも、反共国家であると私は主張するものであるが、それでも、なおかつ以上のことを言っているのである。私が真心から言っていることがわかるでしょう。

Gーわかる。これは、私たちが同意できる唯一の道だ。君が話を続ける前に、お願いしたいのだが、私には矛盾と思われることを、説明して欲しい。君はソ連国家は反共的だと思っているのに、なぜ現地点ではこれを破壊しようとしないのか?そんな反共主義者がいなくなったら、君の真正共産主義復興の障碍も少なくなる。

Rーいや。そんな結論は単純すぎるよ。スターリン的ポナバルチズムは、ナポレオン体制が革命と対立しているように、共産主義と対立しているが、それにも拘わらず、ソ連共産主義的形式と教義を保有し続けている。これは形式的共産主義で、真正共産主義ではない。したがってトロツキーの消滅が、真正共産主義を形式的共産主義に自動的に変える可能性をスターリンに与えたと同様に、スターリンの消滅は、形式的共産主義を真正共産主義に変形する可能性をわれわれに与えてくれる。われわれに必要なのは、ほんの一時間だ。私の言うことがわかる?

Gーああ、わかるよ。自分の遺産を滅ぼすものは誰もいないという、古典的真理を、君は話したのだ。結構だ。これ以外のことは、虚構だ。君は、スターリン反共主義が存在しているという前提から出発しているが、この前提を反駁することは容易だ。一体、ソ連には私有財産権はあるのか?個人所得、会計は存在しているか? そしてこれは何のためか? 私はこれ以上事実を引証するのはやめる。

R=しかし私は形式的共産主義の存在は認めている。君が列挙したものは皆、形式に過ぎない。それ以上のものは何もない。

Gーそうだろうか?ではそれは何のためにあるのか?単なる頑迷のせいだろうか?

Rー勿論、そうではない。これは必然だ。だって歴史における唯物論的進化を回避することは全く不可能だ。可能なことと言えば、その発展を停滞させることだけだ。その結果何が犠牲になるかって?進化の歴史的継承権が犠牲になる。そのためその継承権は実際上で抹殺される。しかし人類を共産主義に吸引する力に打勝つことは至難だ。したがってその力が歪められ、自分自身に敵対させられる時、それによって発展は停滞する。より正確に言えば、永久革命の進歩が緩慢になることになる。

Gー例えば?

Rー最も良い例がヒトラーだ。彼に必要なのは、社会主義に勝つための社会主義だ。これが彼の極めて反社会主義的な社会主義、ナチズムだ。スターリンに必要なのは、共産主義に勝つための共産主義である。明らかに類似している。しかしヒトラーの反社会主義スターリン反共産主義は、双方とも残念ながら、その希望を反して、結局において、社会主義共産主義を建設していることになる。彼らがこれを欲しようと欲しまいと、知っていようと知っていまいと、彼らが建設している形式的社会主義と形式的共産主義は、われわれ共産主義者、マルクス主義者が不可避的に遺産として受取らなければならぬものだ。

Gー遺産としてだって?一体、誰が相続人なのか?だってトロッキズムは完全に清算されている。

Rー君は口でそう言っても、それを信じてはいないよ。たとえ何度も清算されようとも、われわれ共産主義者はそれを耐えていく。スターリンとその警察の長い手も、共産主義者全部には届かないよ。

Gーラコフスキー、お願いだ。必要なら命令する。侮辱的な口振りは慎んで貰いたい。君は君の《外交官の身分不可侵性》を信頼しすぎている。

Rーまさか私に身分不可侵性があるなんて!今私はどこの国の大使なのかい?

Gーとても理解し難いトロッキズムの代表者さ。もし私たちがそれをそう名付けることに同意すればだが。

Rー君の言うようなトロッキズムの外交官になることは、私にはできない。私にはトロッキズムを代表する権利は与えられていない。また私自身この役割は引受けないよ。君は私にそれを与えていない。

Gー私は今では君を信用している。君のトロッキズムに関する私の指摘を君が否定していないことを、君の利益のために強調しておく。君との会談が順調に滑り出したと考えている。

Rー私は君の指摘を拒否出来ないよ。だってこのことは私自身が言ったことだ。

Gー私たちは相互協定によって、この特殊なトロッキズムの存在を確認した。そこで私にはっきりした事実を明らかにしてくれることを君に望みたい。この事実は、この不思議なわれわれの意見の一致を更に検討するためにわれわれに必要なのだ。

Rーそう。私は君が知る必要のあることは。話すことはできる。しかしそれも私自身のイニチアチブで話すことはできるが、《彼ら》も同じようにいつも考えているとは言えない。

Gーよろしい。そのことは考えておく。

(つづく)

2005-11-16 財政破綻後の世界

ラコフスキー調書 00:38Add Star

 これまで4回にわたって「現代最高の知性」チョムスキーが「現実の世界」をどう捉えているかをご紹介してきました。これを読んでいただければ、私が認識している「現実の世界」が、それほど間違った捉え方ではないことがご理解していただけるかと思います。ちなみに、私がこれらのチョムスキーの文献を読んだのはごく最近であり、チョムスキーによって影響を受けた結果ではありません。

 さて、私がここまで書いてきたことを「連続強盗殺人事件」として例えてみましょう。凶悪な連続強盗殺人事件が起きていると通報があり、調べてみると犯人グループらしき人たちが作成した犯行計画書も発見されました。そして、実際に連続強盗殺人事件は、その計画書通りにおこなわれてきた形跡があります。この犯罪を立証するために次に必要なものは、容疑者による「自供」あるいはインサイダーによる「証言」でしょう。このような「供述」があれば、犯罪はほぼ立証されたとしてもよいのではないでしょうか?

 ここからは「供述」と呼べる重要文献をいくつかご紹介していきたいと思います。

 まずは『ラコフスキー調書』からご紹介いたします。

 ラコフスキー調書の被告ラコフスキーは、1938年のトロツキスト裁判で、銃殺刑の判決を受けましたが、20年の懲役刑に減刑され、強制収容所に送られて、そこで死去したことになっています。彼の経歴については下記のようになっています。

 クリスチャンゲオルギュウィッチ・ラコフスキーは、1873年8月13日、ブルガリア革命家となり、次いでルーマニアにおいて社会主義の地下運動家として活躍、ボリシェビキ党に入党。1890年ソフィア大学から放校され、ジュネーブに行き、フランスに渡り、モンベリエ医学博士の称号を取得、インサロフというペンネームで「イスクラ」紙、「ブラウダ」紙に執筆1907年ルーマニアから追放され、ロシアに移住し、1916年逮捕、投獄される。1917年ボリシェビキにより釈放される。レーニンの側近となり、十月革命後は1919年中央執行委員会委員に選出され、ウクライナソビエト社会主義共和国人民委員会議長となる。しかしソビエト共和国自治活動に味方し、スターリンや中央集権の支持者と衝突、その結果ウクライナでの地位から追われ、1926年フランス駐在大使になる。1927年スターリン、トロツキズムの廉で党を除名され、アストラハンに、次いでカザフスタンに流刑される。1934年転向し、党に復帰し、保険人民委員に任命されたが、1937年に免職され、スパイ、裏切者の廉で逮捕裁判にかけられた。

 ラコフスキーを事情徴収した取調官のガブリエル・ガブリロウィッチ・クジミンは、フランス教育を受け、モスクワで内務人民委員会の外国人諜報員になり、スターリンの信任を受けたフランスユダヤ人です。クジミンはスターリン主義者であり、トロツキストであるラコフスキーとは、相容れない世界観を持っていましたが、時代は第二次世界大戦の直前であり、ドイツの対ソ侵攻の可能性を前にしてスターリン政権が危機に直面していた時だけに、ラコフスキーから聞き出したユダヤ金融資本による世界陰謀の内幕は大きなショックを与えたとされています。


 この調書を読むあたって、ある程度、中世から時代的背景を知らないとわかりづらいと思いますので、前提として一般的に言われている「歴史」のおおまかな流れを補足的に説明させていただきます。

中世ヨーロッパは王や貴族に従属する封建体制。土地は封建領主が独占し、農奴が土地を耕していたが、収穫の多くは領主や教会に納められた。

○商人や解放された農奴が町に定住。あとから解放された農奴を雇って働かせた。→ブルジョアジーの出現→自由主義経済の始まり→商人が富を蓄積。

搾取する貴族や聖職者への不満が高まる→17世紀のイギリス革命→18世紀のフランス革命→近代市民社会の成立=法治国家

産業革命資本主義の発達→デイビッド・リカードによる自由主義経済論(古典経済学)=規制なき市場こそあらゆる問題を解決する。国家間の自由な市場こそすべての人々に富と繁栄をもたらす。

○労働の搾取と大量の失業

○征服戦争経済植民地主義→労働の世界的再編→土着経済の収奪とコミュニティの破壊

○一握りの企業家と銀行家が莫大な富を築く中で、植民地では旱魃・飢饉・疫病で膨大な死者が出る。→社会不安・民衆の抵抗。

○循環的恐慌

資本主義列強間の競争と抗争→世界大戦

資本主義の貪欲さに対して人間的な価値を守ることを目的として社会主義運動が台頭=カール・マルクス共産党宣言』=「万国のプロレタリア(生産手段を私有しない者)よ、団結せよ!」

1917年ロシア革命が起こり世界初の社会主義国家「ソ連」が誕生=資本主義国にとっての脅威が出現。


 次に「ソ連」誕生の経緯についても、若干、ご説明させていただきます。

 日露戦争中の1905年首都ペテルブルクで生活の困窮に不満を持った労働者ストライキ対し政府が発砲し、大量の死者を出す「血の日曜日」事件が起こる。この後、労働者や兵士を中心に革命運動が活発化し、全国各地でソビエト(労兵協議会)が結成。このため政府戦争をつづけることを断念し、国会の開設を約束。

 1914年第一次世界大戦に突入し、またもやロシア国民生活は圧迫され、労働者ストライキが相次いで起こる。

 1917年3月、ソビエトが指導しておこなわれたペテルブルクのストライキは、軍の一部や市民を巻き込んで大規模なものとなり、議会の代表者による臨時政府ケレンスキーの社会革命党)がつくられ、皇帝ニコライ2世は退位し、300年続いたロマノフ王朝が滅亡。

 1917年4月、ボルシェビキ(多数派の意味で、ロシア社会民主労働党が分裂して形成された)の指導者レーニンが亡命先のスイスから帰国すると、戦争の中止と社会主義革命の断行を指示。「パンと平和と土地を」と訴えるボルシェビキは人々の支持を集め、首都モスクワソビエトで優勢となる。

 同年11月7日、ボルシェビキは武装決起して臨時政府を倒し(=十月革命)、レーニンが権力を握って、戦争の中止・地主制の廃止・労働者の生産管理・ロシア内諸民族の自決権を宣言。

 1918年1月にはボルシェビキソビエトから反対派を追い出して、独裁を行い、社会主義化を進め、赤軍をつくって国の内外の反革命軍と戦う。

 そして1922年12月、ロシアなど4つのソビエト共和国からなるソビエト社会主義共和国連邦の成立を宣言。


 続いてトロツキーにも少し触れておきましょう。

 レフ・ダヴィドヴィチ・トロツキー(1879年-1940年)は、赤軍の創設者の一人としてソ連の草創期に活躍しましたが、のちにスターリンと対立して追放され、亡命先のメキシコで暗殺されました。

 ユダヤ系の富農の子として生まれたトロツキーは、学生時代にマルクス主義に触れ、共産主義運動に入りました。1898年には南ロシア労働者同盟の幹部として働いていたために2年の懲役刑を受けてオデッサで収監され、1900年からはシベリアへの流刑に処されますが、2年後に脱走。スイスを経てロンドンに亡命し、そこで機関紙『イスクラ』を出版していたレーニンの社会民主労働党と合流しました。

 1903年、社会民主労働党が分裂すると、レーニンらの「ボリシェヴィキ」(多数派)ではなく、「メンシェヴィキ」(少数派)に所属します。

 1905年、メンシェヴィキからも早々に離脱したトロツキーは、血の日曜日事件以来、政治変動の続くロシアに帰国して地下活動に入り、サンクトペテルブルクソビエト指導者となりました。

 10月にはロシア全土で起こったゼネストにも関与しますが、12月に逮捕され、サンクトペテルブルクソビエトも壊滅。トロツキーシベリアへの終身刑を宣告されますが、流刑の護送中に脱走。

 ウィーンへと亡命して雑誌『プラウダ』を創刊し、永続革命論を提唱します。

 第一次世界大戦がはじまると、居をスイス、ついでフランスに移し、雑誌『ナーシェ・スローヴォ』に拠ってドイツ社会民主党フランス社会党など戦争支持を決めた社会主義政党を批判する論陣を張る一方、1915年にはスイス社会党が主宰した「ツィンメルワルト会議」で反戦を訴えました。

 しかし翌年、フランスから追放され、スペイン経由でアメリカ合衆国ニューヨークへと移ります。ニューヨークではニコライ・ブハーリンらと共に露語新聞『ノーヴィ・ミール』に参加しています。

 1917年ロシアで2月革命が起こってロシア革命が始まるとニューヨークを発ってロシアへ帰国。メジライオンツィ(統一社会民主主義者地区間組織)の指導者としてボルシェビキと歩調をあわせ、革命運動に参加。

 7月にはボルシェビキに入党し、9月にペトログラードソビエト議長に就任。10月革命では、軍事革命委員会の委員長として軍事蜂起を指導、ボリシェヴィキの権力奪取に貢献しました。

 レーニン人民委員会議議長(=首相)に就任したボリシェヴィキ・社会革命連立政権のもとでは外務人民委員(=外相)に就任。ドイツとの講和交渉を担当し、ブレスト・リトフスク条約の締結に関わりました。条約締結に際しては、ボリシェヴィキ党内では意見が分かれ、トロツキーは当初、ブハーリン戦争継続派には反対しつつ、即時講和を主張するレーニンの立場も危険が大きいとし、「戦争もなく、講和もなく、ドイツ労働者の蜂起を待つ」との姿勢をとりました。しかしドイツ政府が強硬姿勢を見せ、軍をロシア領内に侵攻させると、レーニンに賛成し、講和に踏み切ります。

 1918年2月に外務人民委員を辞任し、軍事人民委員・革命軍事会議議長に就任。軍事的な組織と扇動に巧みで、大衆の人気も高かったといわれるトロツキー赤軍の組織に着手し、内戦において赤軍指揮者として反革命軍(白軍)の撃破や外国の干渉の排除に大きな功績をあげました。しかし、1922年のクロンシュタット軍港の水兵たちの革命的蜂起を武力弾圧し、またウクライナ地方最大の革命勢力だったネストル・マフノ率いる農民アナキズム運動を圧殺するなど、後のスターリンに似た行為をおこないます。

 1924年レーニンの死後、スターリンが後継者として台頭すると、トロツキーはその政治的ライバルとして政治的に排除され、1925年には軍事人民委員を解任され、閑職に追いやられました。さらにスターリンは、トロツキーの永続革命論にもとづく世界革命の構想に反対して「一国社会主義論」を打ち出したので、トロツキーイデオロギー上でも党の主流派と激しく対立。「左翼反対派」ついで「合同反対派」を組織して抵抗しますが、戦争内戦に疲弊した大衆を味方につけたスターリンの前に敗北し、政府・党の全役職を解任された上、1928年中央アジアのアルマ・アタ(現在のカザフスタンのアルマトイ)へと追放。1929年にはソビエト連邦から国外追放され、トルコイスタンブールに送り出されました。

 トロツキーは国外からも反スターリン、世界革命の運動を続けようとしましたが、そのためにトルコからフランスノルウェーメキシコと転々と亡命先を移ることとなります。この間、1938年には第四インターナショナルを結成し、コミンテルンに代わる国際社会主義運動の組織化に乗り出しますが、スターリンソ連国内で反対者の大粛清を進めており、ついには1940年スターリンの指示により、トロツキーは暗殺されました。

 ロシア革命を現実に指導したのは、トロツキーレーニンの2巨頭だったといわれます。トロツキー赤軍(赤衛軍)の創始者で、白軍(白衛軍)に対する内戦でこれを勝利に導いた立役者でした。1924年レーニンが死亡すると、トロツキー共産党第1書記スターリンが相対峙する2巨頭として残りましたが、スターリンの方が策略に長けていたようで、党内の地位を最大限に活用し、時にはジノヴィエフカーメネフ、時には右派ブハーリンと組み、トロツキーの地盤を次第に侵食しました。

 スターリンは、トロツキーの世界革命論(社会主義革命の最終的な勝利は一国内だけでは不可能で、続いて起こる各国での革命の成功、世界革命に至って初めて可能になるとする。)に反対して、一国社会主義論を唱えました。この確執から1925年トロツキーは軍の人民委員の地位を解任、1927年には党から除名、1929年にはソ連から追放されました。

 ちなみに、トロツキストとは、このトロツキーの世界革命論・永続革命論(トロツキズム)を奉ずる者を指し、ネオコンは、このトロツキストが起源であるとされています。

 前置きが長くなりましたが、次回から『ラコフスキー調書』を連続してご紹介いたします。非常に長いので要約しようかとも思ったのですが、取り調べ室の緊迫した空気もお伝えしたいので、全文を掲載させていただきます。

ラコフスキー調書 補足 00:28Add Star

 この『ラコフスキー調書』は『ロックフェラー・ファイル』ゲイリー・アレン著〔邦題は『ロックフェラー帝国の陰謀』自由国民社〕の巻末資料として載っているものですが、その元資料は1982年12月から1983年4月にかけて『自由ロシア』に連載されたドキュメントだそうです。

 ラコフスキーの提案を受け入れたためかどうか、定かではありませんが、スターリンはその後、周知の通り、ヒトラー独ソ不可侵条約を結び、ポーランドに侵入して、第二次世界大戦が始まりました。

 その後、ラコフスキーの証言を詳しく調べたガブリエルは、「最近になってラコフスキーの言ったことが色々確認されている。例えば、ヒトラーウォール街銀行家たちが資金援助したということは、正しかった。その他の色々のことも正しかった。……金融家、政治家学者、はては聖職者に至るまで、それぞれ高位を占め、巨大な資財と権力を持ったグループは実在している。彼らの占めている地位と彼らの行動の結果から判断すると、彼らの思想の多くが、共産主義思想と多分に共通点を持っていることが、奇妙だし、不可解になる。勿論、特別の共産主義思想ともだよ。しかし、すべてこれらの問題、その複雑性、動向、プロフィールには触れずにおくとしても、ラコフスキーの言う通り、彼らの行動、誤謬においても、スターリンを盲目的に模倣して、共産主義を建設しているのである。ラコフスキーの言った一切のことは、細部まで遂行されている。」と取調べに立ち会った医師ランドフスキーに話しています。

 この証言の中で驚くべきことは、資本主義に対抗してできたはずの社会主義共産主義に対し、資本主義の権化ともいえるウォール街そしてロスチャイルドが資金提供していたという事実です。いや、時間的な流れをみていけば、社会主義共産主義を育てるために資金提供していたというべきでしょう。

 また、ユダヤ人および国際金融資本を敵視していたヒトラーナチスドイツに資金提供し、育てたのもウォール街ロスチャイルドとのこと。

 そして、このヒトラーナチスドイツを倒した英国首相ウィンストンチャーチルも「ロスチャイルドの代理人」と揶揄されたほどロスチャイルド家の利益のために東奔西走した人物です。

 さて、これはどういったことなのでしょう?

 ちなみに『ロックフェラー・ファイル』の中でゲイリー・アレンは、ロックフェラーソ連および中国共産党に資金のみならず物資や軍事技術まで提供していることを指摘しています。

 また、イルミナティアメリカ支部としてつくられた秘密結社スカル&ボーンズ*1の内幕を暴いたアントニー・サットン教授も、ブラウン・ブラザース・ハリマン銀行モルガン保証信託、そしてブッシュ大統領の祖父プレスコットブッシュ頭取を務めたユニオン銀行ナチスドイツロシア革命に資金を提供していたことをアメリカ国務省の公文書から明らかにしています。

 資本主義を代表する国際的な金融資本家が共産主義国家社会主義を支援してつくらせた?

 では、冷戦とは一体、何だったのか?

 赤狩りとは何だったのか?

 朝鮮戦争ベトナム戦争中国台湾の確執とは何だったのか?

 右翼左翼の闘争とは何なのか?

 これらイデオロギーのために殺されていった夥しい数の人々は、いったい何のために死んだのか?


 この謎を解く鍵、というかヒントがヘーゲル哲学です。

 ナポレオンとの戦争に破れた当時、プロシアにおいて人々は、「兵士が自分のことしか考えない利己主義者だったからだ」と考えたそうです。そこでジョン・ロックとジャン・ルソーの思想を取り入れた新しい国家中心主義教育が編み出されました。ジョアン・フィヒテは『ドイツ国民に告ぐ』の中で、「子供たちは国家によって支配されるべきである。彼らは、何を、どのように考えるかを、国家に指示してもらわねばならないのだ。」と述べました。このフィヒテを継いだのがヘーゲルです。ヘーゲルは、「我々の世界は理性の世界である。国家は『絶対理性』であり、『世界を歩む神』であり、『最終目的』である。市民は国家を崇拝するときにはじめて自由になる」と説きました。

 このヘーゲルによる哲学の公式は、正・反・合(テーゼアンチテーゼ・シンテーゼ)の弁証法であるといわれます。つまり、テーゼ(正)に対してアンチテーゼ(反)を作り、対立を制御しながら、あらかじめ定められたシンテーゼ(合)を導き出すのです。既存の秩序に、それに反する力をぶつけることによって対立を作り、その対立を解決する中から新たな調和を生み出そうとする手法は、まさに資本主義(正)→共産主義(反)→新世界秩序(合)、もしくは共産主義(正)→資本主義(反)→新世界秩序を構築しようと試みているように思われます。国際エスタブリッシュメント≒国際金融資本が支配する世界政府においては、国家は絶対であり、自由は国家に服従する個人だけに与えられるものとなることでしょう。

 つまり、目指すは世界人間牧場計画の完成???

 さて、問題は《彼ら》が誰かですが、結局のところ特定はできていません。

 ただ、『共産党宣言』を著したマルクスエンゲルスユダヤ人であり、ロシア革命のリーダーであったレーニントロツキーユダヤ人スターリントロイカ(三頭政治)を組んだカーメネフジノヴィエフも皆ユダヤ人

 ヒットラーも「実はユダヤ系だった」という疑惑がありますし、ナチス高官のヒムラー、ボルマン、アイヒマン、ローゼンベルグなども隠れユダヤ系だったという説もあります。

 チャーチルユダヤ人でしたし、当然のことながらロスチャイルドユダヤ人

 ちなみに時の米国大統領フランクリン・ルーズベルトユダヤ系でしたし、ルーズベルトの側近バーナード・バルーク、ハリー・ホプキンス商務長官兼任大統領主席補佐官、ヘンリー・モーゲンソーJr財務長官の3人もユダヤ人でありイルミナティの首魁であったとされています。

また、マンハッタン原爆製造計画を発足したレオ・シラードも、広島長崎で落された原爆をつくったロバート・オッペンハイマーも、日本原爆を落す命令を下し、戦後冷戦状態をつくりだしたトルーマン大統領ユダヤ人でした。

 これは単なる偶然なのでしょうか?

 ユダヤ人が優秀である証?

 このような状況だけみれば、ユダヤ陰謀論が唱えられても何の不思議もないのではないでしょうか?

 二度に渡る世界大戦とは何だったのか?

 殺された者、家族や愛する人を失った者、私財のすべてを失った者、強姦されたり、強制労働させられた者、身体や心に深い傷を負った何千万という人間たちは、いったい何のためにこれほどの苦難にあったのか?

 私たちが習った世界史とは何なのか?

 私たち大衆は「お釈迦様の掌の中で自由奔放に振舞う孫悟空」でしかないのでしょうか?

 『共産党宣言』の起草をマルクスに依頼したバルーフ・レヴィは、彼らの目的をマルクスに宛てた手紙の中で次のように打ち明けたとしています。

 この新しい人類の社会組織の中で、われわれユダヤ人はいかなる国家に属することもなく、また他の民族から何の抵抗を受けることなくして指導勢力となり、やがてその影響は全世界に及ぶことになるでしょう。そして、もし彼らの中の何人かの賢者が、これら労働大衆のうちに確固たる指導権を打ちたてることに成功するなら、プロレタリアの勝利によって次々に世界共和国の一部となっていく諸国家の支配権は、これらプロレタリアを指導するわれわれユダヤ人の手に容易に収めることができます。

 要するに、プロレタリアの勝利は私有財産の廃止をもたらし、こうして公有財産となった他民族のあらゆる私有財産は、公有財産を管理するユダヤ人の支配下に入るのです。かくしてわれわれユダヤ人メシアが到来する時、ユダヤ人は全世界の民の財産をことごとくダビデの星の下につかさどるであろうと言い伝えられてきたタルムード(ユダヤ経の聖典)の予言が実現されることでしょう。

 また、ロシアの文豪ドストエフスキーは作品の中で次のように書いています。

 ユダヤ人は一切のものを、ヨーロッパを、文明を、特に社会主義を支配している。……彼らは社会主義を宣伝しながら、相互に一致団結し、ヨーロッパの全てが滅び去った時、 ユダヤ人銀行だけを残そうとする。やがて反キリストが到来し、混沌の上に君臨しよう。

 時空を超え、アルバート・パイクの『未来計画』が不気味な現実性をもって迫ってきます。


イルミナティとスカル&ボーンズ、そしてタルムードについては、いずれ改めて詳しく書きます。

*12004年大統領候補者ケリー氏とブッシュ氏が両人とも所属していることで話題になったイェール大学エリート集団。WASP(白人でアングロサクソン系のプロテスタント)のみで構成され、CIA米国法曹界、金融界、学界に巨大なネットワークを持っているため、強い影響力を持っている。阿片貿易で巨万の富を得たニューイングランドの有力商家が中心となって作られ、メンバーには、ホイットニー、ロード、フェルプス、ワッズワース、アレン、バンディ、アダムス、スティムソン、タフト、ギルマン、パーキンス(第1グループ=17世紀に最初にアメリカにやってきたピューリタンの末裔たちで名門中の名門)、ハリマン、ロックフェラー、ペイン、ダヴィソン、ピルスベリー、ウェイヤハウザー、ブッシュ(第2グループ=18世紀から19世紀に巨万の富を得た名家)等のアメリカを実質的に支配している家族が名を連ねている


アルバート・パイクの『未来計画』 09:56Add Star

 これまで『世界革命行動計画』『シオンの議定書』『世界人間牧場計画』と三つの注目すべき「計画」をご紹介しましたが、まだ他にも注目すべき「計画」があります。それは、前にご紹介した『PAWNS IN THE GAME』の序章の中で述べられているアルバート・パイク将軍の恐るべき『未来計画』です。

 アルバート・パイクは、南部連邦将軍で、いくつかのインディアンと協定を結んだ人として知られています。また「KKK」の創始者とも言われています。1857年には、秘密結社イルミナティの最高幹部にまで登り詰め「黒い教皇」と呼ばれるようになったそうです。

 パイクが1871年に、イタリア革命指導者、ジュゼッペ・マッチーニに送った書簡(手紙)には「世界を統一するために、今後3つの世界大戦と3つの大革命が必要だ」と書かれていたそうです。 


 パイクの計画は実際、効果的かつ簡潔なもので、共産主義、ナチズム、政治シオニストなど国際的な運動が組織され、三つの世界戦争と三つの大革命が誘発されることを求めていた。第一次世界大戦イルミナティロシア皇帝の権力を打倒し、かの国を無神論者共産主義の拠点とすることを実現するために戦われることになっていた。この戦いを生じさせるにはイルミナティの代理人が英国ドイツの二つの帝国のあいだに対立を煽ることが必要とされた。終戦後には共産主義が確立され、それを利用して他の政府を破壊したり、宗教を弱体化させることになっていた。

 第二次世界大戦を生じさせるにはファシスト政治シオニストの対立が利用されなければならなかった。この戦争はナチズムを破壊し、政治シオニズムの権力を増大させてパレスチナイスラエルという主権国家を樹立するために戦われることになっていた。さらにはこの世界戦争によって国際共産主義が強化され、一致協力したキリスト教世界の権力に匹敵する力を備えるまでに成長させることになっていた。また、このときキリスト教世界は最終的社会変革が必要とされるまで自重、自制することになっていた。事情をわきまえた人々には、ルーズベルトチャーチルがこの方策を実践したことを否定できないはずである。

 第三次世界大戦を生じさせるには、イルミナティ代理人が政治シオニストイスラム世界の指導者との対立を煽ることが必要とされる。この戦争ではイスラム世界(イスラム教を含むアラブ世界)と(イスラエル国家を含む)政治シオニズムがお互いに滅ぼしあう一方で、この問題に関して他の国家も対立し合い、さらに分立させられて戦いを強いられ、肉体的、精神的、経済的に疲労困憊状態に陥るよう指揮されなければならない。公平で理性的な見方のできる人には、近東、中東、および極東で生じている策略が、悪魔的なこの目的を果たそうと目論まれたものであることを否定できないはずである。

 1871年8月15日、パイクはこう告げた。「第三次世界大戦が終結したのち、世界の完全支配を切望する人々は未曾有の社会変革を引き起こすはずだ」と。


 この書簡は、戦前まで大英博物館に展示されていたそうです。

 ユダヤ関連情報が満載のヘブライの館2にも、このことが「アルバート・パイクの“予言”」と題して、この手紙のことが書かれています。

 こちらの方が、より分かりやすいので、引用してご紹介します。


第一次世界大戦は、ツァーリズムのロシアを破壊し、広大な地をイルミナティエージェントの直接の管理下に置くために仕組まれることになる。そして、ロシアイルミナティの目的を世界に促進させるための“お化け役”として利用されるだろう。」

 手紙が送られたのが1871年。第一次世界大戦が始まったのが43年後の1914年です。

 20世紀初頭、ヨーロッパ列国は植民地をめぐって激しく対立していました。イギリスロシアフランスの「三国協商」と、これに対抗するドイツオーストリアイタリアの「三国同盟」が勢力圏争いをしていたのです。その舞台となったのが「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたバルカン半島で、南に進出しようとするロシアと、ここに勢力を広げようとするドイツオーストリアが一触即発の状態になっていました。このような背景の中でオーストリア皇太子サラエボセルビアの青年に射殺され、この事件が契機となり、オーストリアセルビア宣戦布告セルビアと同盟していたロシアオーストリアに宣戦。さらにドイツフランスイギリスが参戦して第一次世界大戦へと拡大していき、最終的に1918年、ドイツの降伏によって終結しました。

 終戦の1年前、1917年3月にロシア革命が起き、300年にわたって君臨したロマノフ王朝は滅亡。ツァーリズム(皇帝が支配するロシア独特の専制政治)は崩壊します。その後、労働党レーニン率いる赤軍革命を起こし、ロシアに世界最初の社会主義国家、ソビエト社会主義共和国連邦が成立します。


第二次世界大戦は、『ドイツ国家主義者』と『政治シオニスト』の間の圧倒的な意見の相違の操作の上に実現されることになる。その結果、ロシアの影響領域の拡張と、パレスチナに『イスラエル国家』の建設がなされるべきである。」

 第ニ次世界大戦が始まったのが1939年。手紙が送られた68年も後のことです。『ドイツ国家主義者』をナチス、『政治シオニスト』をユダヤ人に置き換えるとわかりやすいと思います。1945年の終戦後ソ連東ドイツルーマニアといった東欧諸国をはじめ、巨大な社会主義国家群を形成していきました。そして1948年パレスチナに『イスラエル国家』が建設されました。


第三次世界大戦は、シオニストアラブ人とのあいだに、イルミナティエージェントが引き起こす、意見の相違によって起こるべきである。世界的な紛争の拡大が計画されている……」

 この『PAWNS IN THE GAME』が刊行されたのが1955年。現在のイスラエルによるパレスチナへの非人道的な行為や、ネオコン主導の米国によるイラクをはじめイスラム圏への理不尽な攻撃をあわせて考えてみると、背筋が寒くなります。

 米国と覇権を争い始めた中国は、次世代の潜在的覇権国家候補ロシアインドと手を組み始めています。(今年の8月に中・露は初の合同軍事演習を行ないました。年内には中・露・印の合同軍事演習も実施される予定です。)また、米国が次なる攻撃のターゲットとして非難しているイランは、中国ロシアインドそしてパキスタン中央アジアと既に友好関係を結んでいます。

 そして、米国と同盟を結んでいる日本は、憲法を改正して、戦争ができる「普通の国」になろうとしています。また、日本中国北朝鮮の関係も日に日に悪化している気がします。米国保守系有力シンクタンクハドソン研究所」で上級研究員を勤めた日高義樹氏は、その著書の中で、米国ミサイル原子力潜水艦が、広島に落とされた核爆弾の1000倍の威力を持つ核弾頭2000発を、中国の軍事施設に向けて、24時間、365日、いつでも発射できるよう太平洋に配備していることを明らかにしています。

 このような現実との驚くべき奇妙な一致を、いったいどのように説明したらよいのでしょう?(誰か説明できる人がいたら教えてください。)

 ちなみに、これは「予言」ではなく、あくまで「計画」です。

 第三次世界大戦のあとに何があるのか…。


キリスト教会無神論の破壊の後、ルシファー宇宙的顕示により、真の光が迎えられる……」

 第三次世界大戦最終戦争ハルマゲドン)後の荒廃ののち、ルシファーイルミナティが崇拝する神であり、旧約聖書によれば「光の天使」、新約聖書では神と対立し天界を追放され、神の敵対者となった「堕天使」「悪魔の王」とされています)を唯一の神とした世界政府世界宗教による「新世界秩序」がもたらされるとしています。

 ここでも結末は『世界革命行動計画』『シオンの議定書』『世界人間牧場計画』に通じるものとなっています。

2005-11-08 財政破綻後の世界

世界人間牧場計画 02:21Add Stardigipino

 長々と『シオンの議定書』にお付き合いいただきましてありがとうございます。

 私が『シオンの議定書』を読んで驚いたのは、マイヤー・アムシェルロスチャイルドが発表した『世界革命行動計画』と内容が酷似していて、さらに詳細に書かれていた点です。ロスチャイルドが『世界革命行動計画』を発表したのが1773年。『シオンの議定書』が発表されたのが1897年。実に1世紀以上もの時を経ています。

 もし私がロスチャイルドのことを知らずに『シオンの議定書』だけを読んでいたら、ただのトンデモ本として一笑に付したかもしれません。しかし、ロスチャイルド一族は、まさに『シオンの議定書』に書かれたような手法を実行しながら、『世界金融王朝』と呼ばれる国家をも超越した支配力を獲得してきたのです。戦争を利用し、国家にお金を貸し付け、従属させ、富を吸い上げる。使用人や代理人を国家の要職につけ、政策をコントロールする。大学学者に資金提供し、教育コントロールする。マスコミ株主として支配し、世論をコントロールする。恐ろしいほどに「計画」は実現されています。

http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20050903

 今では金融王朝の覇権をロックフェラー一族に譲渡し、かつての力を失っているといわれるロスチャイルド一族ですが、一時は世界の富の半分以上を所有していたと言われ、一説によれば、米国ロックフェラーモルガン連合と欧州ロスチャイルド=ウォーバーグ連合を合わせると世界の富の90%を支配していると言われています。この事実から考えて『シオンの議定書』を「偽物」として葬ることこそ愚かなのではないでしょうか?

※くどいようですが、私はなんでもかんでもユダヤ人のせいにするつもりは毛頭ありません。

 さて、『シオンの議定書』とほぼ同時に私の頭に浮かんだのが三百人委員会の『世界人間牧場計画』です。

 この『三百人委員会』(ジョン・コールマン著)という本は、かなり前に買ったのですが、なんでこんな本を買ったのか、自分でもよくわかりません。たまたま本屋で見かけ、その怪しさに惹かれ(^^;)、つい出来心で買ってしまった本です。しかし読んでみて、あまりに馬鹿馬鹿しい内容のため、途中で放り出していました。当時の私には「読むに値しない本」にしか思えなかったのです。

 その内容は、簡単に言えば、世界を陰から操る三百人委員会が、大衆を家畜のごとく飼い慣らす『世界人間牧場計画』を進めていて、いよいよその準備が整ったというものです。その『世界人間牧場計画』とは、どんなものか?


(1)三百人委員会指揮のもと、教会と金融システムを統一し、ワン・ワールド政府新世界秩序を確立する。

(2)国民国家アイデンティティーと誇りを完全に粉砕する。

(3)世界の大宗教、特にキリスト教の壊滅を計画し、実行する。唯一自分たちの宗教だけを認める。

(4)マインド・コントロールやブレジンスキーが提唱する「テクノトロニクス」によって人間を管理、コントロールする手段を確立する。

(5)脱工業化ゼロ成長政策に基づき、すべての工業化と核エネルギーによる電力供給を廃止する。

(6)ドラックの使用を奨励し、最終的には合法化。ポルノ芸術として広く認めさせ、最終的には日常的なものにする。

(7)カンボジアポル・ポト政権が実行した実験を応用し、大都市人口を激減させる。

(8)科学の発達は、三百人委員会が必要と見なすものを除いて一切抑制する。

(9)先進国に局地的な戦争を起こし、第三国に飢饉と病気を広めることによって、2050年までに彼らの言う30億人の「ムダ飯食いの人々」を殺す。

(10)膨大な失業者を生み出し、国全体の道徳心を低下させ、労働者の生産意欲を失わせる。

最終的には家族という共同体を根底から揺るがし、破壊する。

(11)意図的に危機的状況を次々に起こし、それを操作・管理して、自分たちを除く全人類が自らの運命に対して無力感しか持ちえないようにする。

(12)新たな「破壊的カルト」を増産し続け、すでに役割を果たしている連中の後押しをする。

(13)イギリス東インド会社奉仕するダービー卿がはじめたキリスト教原理主義信仰を後押しし続ける。

(14)ムスリム同胞団、イスラム原理主義、シーク教徒のような宗教的・破壊的カルトを圧迫し、マインド・コントロール実験をする。

(15)信教の自由という思潮を世界中に輸出し、既存の真摯な宗教、とりわけキリスト教の根底を揺るがす。

(16)世界の経済を完全に崩壊させ、政治的混乱を生じさせる。

(17)アメリカの内外政策をコントロールする。

(18)国連国際通貨基金(IMF)、国際決済銀行(BIS)、国際司法裁判所のような超国家的制度を強化し、三百人委員会の目的の障碍となる局地的な機関に関しては段階的に廃止させたり、国連の影響下に置いて、その効力をできるだけ弱める。

(19)すべての政府中枢に侵入し、打倒し、政府が代表する国家主権を内奥から破壊する。

(20)世界的テロリスト・グループを組織し、テロリスト活動が起きた際、テロリスト当事者の交渉に介入する。

(21)アメリカおよび世界各国の教育コントロールし、完全に破壊する。

 以上です。どうです?とんでもない内容でしょう?(苦笑)到底、信じるに値しない内容のように思えますし、否定するのは簡単です。しかし、『世界革命行動計画』および『シオンの議定書』にも通ずる内容になっていますし、三百人委員会の名簿には世界を動かせる実力者たちが名を連ねています。また、現実と照らし合わせると、符合していることも多く、幾ばくかの真実が含まれているような気がします。

 たとえば-

 「新世界秩序の確立」というのは、米国大統領先進国首脳そして国連が、冷戦後、とくに湾岸戦争以降、声高に叫んでいることです。

 また、あまり知られてはいませんが、マインド・コントロール技術は、近年、飛躍的に研究され、使用されています。

 CIAモサドイスラエルの諜報機関)がテロリストに資金や武器、軍事技術を提供していることは公然の秘密となっていますし、これらの諜報機関が麻薬取引に関与している(というよりは元締めといってもよいほど)ことも公然の秘密となっています。

 第二章で触れた通り、第三世界では飢饉と病気により、ものすごい数の人間が死んでいます。

 また、写真『DAYS JAPAN』2005年2月号には、米国スマトラ沖での地震を感知しながら各国への地震情報には「これは津波警報ではない」と書いていた、つまり故意に被害を増大させた痕跡があるとしています。

 8月末に米国南部をハリケーンカトリーナ」が襲った時も、被災者を助けようとする動きをFEMA(米連邦緊急事態管理局)によって妨害されていた形跡があります。(参考 http://tanakanews.com/f0918katrina.htm

 アフリカで猛威をふるうエイズは米軍が作り出した生物兵器との説もあります。

(参考文献は『悪魔の遺伝子操作―エイズは誰が何の目的でつくったのか』がお薦め。

ネットで読めるエイズ関連資料はこちら「エイズ・ミステリー」

 9.11事件を機に、無理矢理こじつけた理由でアフガンイラクを攻撃し、まったく関係ない一般市民の大量虐殺をおこなったのも記憶に新しいところです。また、その暴挙に対し、世界中の良識ある声が反対したのにも関わらず、誰も押し止めることができなかったのも事実です。

 そして、第一章で触れた通り、日本経済の崩壊は時間の問題であり、それに伴う米国経済の崩壊は、世界の経済を崩壊させるはずです。

 これらのことが絵空事であるならば、それに越したことがありません。

 しかし-

(9)先進国に局地的な戦争を起こし、第三国に飢饉と病気を広めることによって、2050年までに彼らの言う30億人の「ムダ飯食いの人々」を殺す。

(11)意図的に危機的状況を次々に起こし、それを操作・管理して、自分たちを除く全人類が自らの運命に対して無力感しか持ちえないようにする。

(16)世界の経済を完全に崩壊させ、政治的混乱を生じさせる。

というようなことが実際に行なわれようとしているのならば、これは大変なことです。

 何度か書きましたが、私も「陰謀論」と言われると真実味を失って、そこで探求することを止めてしまっていました。しかし、これは調べないわけにはいきません。

 ここから私はさらに迷宮へ入り込むことになります。


2005-11-11 財政破綻後の世界

沈黙の兵器 (後編) 01:06Add StarTaneda

(前回からの続きです)

 文書はこのあと、戦略の詳細を述べていますが、重要と思われる部分を要約してご紹介します。


(9)ロスチャイルド氏が発見したエネルギー

 ロスチャイルド氏が発見したことは、上記の概念を経済学に適用した、権力、影響力、人民に対するコントロールについての基本的な原理であった。その原理は「金力の外見をわがものにすれば、人は金力を与えてくれる」ということである。

 ロスチャイルド氏は、通貨または貸付預金には、もっと大きな富を(実際の保証の代わりに)手中にできるという約束と引き換えに、実際に持っている富を引き渡す気にさせる(人々を引き寄せる磁場の誘導係数)見せかけの力があるということを発見した。債務者は約束手形で貸付けてもらう見返りを用意する。ロスチャイルド氏は、誰かの黄金のストックがある限りは、顧客にそれを見せて信用させ、実際に彼が手当てできる金額以上の手形を振り出せることに気づいた。

 ロスチャイルド氏は、個人や政府に約束手形で貸付けた。このことは自信を大変強めることになったであろう。それから彼は、一時的に資金不足にしたり、貸付システムコントロールを強めたり、債務者たちが責務として出す担保を集めた。繰り返し繰り返し期限を切った。こういうことが圧力となって、あとは戦争の引金をひくばかりとなるのが普通だった。次いで彼は、誰が戦争の勝利者となるかを決める通貨のコントロールに乗り出した。一国の経済システムコントロールを彼に委ねることに同意した政府は、彼の支持を受けた。負債が増えれは増えるほど、債務者の敵に経済的な援助が保証された。この方法であがった利益で、ロスチャイルド氏はいやが上にも富み、いやが上にも富を拡げることができた。彼は、大衆が貪欲であるがために、政府が貴金属と商品生産とサービス(国民総生産GNP)の裏付けなしに限度を越えて通貨を発行(インフレーション)しても平気でいることを見抜いたのである。


(12)経済学への適用

 産業構造のもとにある各個人の要素は、消費者本人であることを確認する(協会が認定)消費者動向コンピュータ協会の識別(包装に印刷されている万国製品コードUPCのゼブラ縞価格コード)のように、識別された個人の好みも、コンピュータ管理の下に置かれるようになる(クレジットカードの使用を経て、将来は番号が通常の光の下では識別できず消えることのない「入れずみ」をさせることによって)。


(13)要約

 エネルギー地球上のすべての活動の鍵となる以上、エネルギー、原料、製品、サービスの独占を達成するためには、また、奴隷労働の世界システムを確立するためには、経済学の分野で第一級の攻撃的戦闘能力をもつ必要がある。われわれの地位を維持するためには、全経済分野にわたってコントロールする絶対的な第一級の科学知識をもち、世界経済を管理する第一級の経験を積む必要がある。

 このような王者となるべく、われわれは少なくとも一つの目標は達成しなければならない。すなわち、一般大衆に、経済学と他のエネルギー科学との論理的・数学的な関係あるいはその知識を適用することを学ばせないことである。

 新種の個人的プログラマ経済人が、1948年にハーバード大学が始めた作業の結果に気づくのは時間の問題である。かれらが気づいたことについて一般大衆とコミュニケートできる速さは、ひとえに、われわれがいかに効果的にメディアコントロールし、教育を破壊し、実際には少しも重要でないことに大衆の気をそらせるかにかかっている。


(14)経済的モデル

 ハーバード経済調査研究所(1948~)は、第二次世界大戦オペレーションズ・リサーチを拡張したものであった。その目的は、まずはアメリカ経済、ひいては世界経済コントロールする科学を確立することにあった。数学的な基礎とデータが十分であれば、ロケットの弾道を予測しコントロールすることと同じくらい、経済の動向を予測しコントロールすることは容易であると思われた。そのことは事実が証明してきた。さらに、経済は目標に誘導されるミサイルに置き換えられてきた。

 ハーバードの直接の目的は、経済構造、すなわち、構造を変える力、構造の行動を予測する方法、それを操作する方法を発見することにあった。

 経済理論上の問題はきわめて容易にエレクトロニクス上の問題に置き換えて処理し、その結果を経済に戻すことができたので、最終的には、必要な経済用語を翻訳する手引き書が一冊あればいいというだけとなった。

その他のことは、数学エレクトロニクスの通常の研究から得ることができた。このことは、先進的に見える不必要な経済学書を氾濫させ、プロジェクトの機密を守ることを容易にさせる。


(22)時間の流れ関係と自己破壊振動

 インフレによって膨大な量の金が一般大衆の手にわたり、かれらの貪欲さのバランスを維持し、かれらの中に虚構の自己満足を作り出す―しばし、狼は戸口の外で待っている。万一の場合、収支のバランスをとるために、戦争という手段に訴えなければならない。極言すれば、戦争債権者を破滅させる手段に過ぎず、政治家とはとるべき責任をとらなかった行為を正当化し、一般大衆の分別に目潰しを喰わせるために公然と雇われた殺し屋である。

 もしも人々が真実同胞を気づかうならば、クレジットや、働く者から奪いグウタラ者を満足させる社会福祉システムに頼らないように、自分たちの欲望(貪欲、生殖など)をコントロールするであろうに。

 一般大衆は、自分自身の精神構造を変えることや同胞に対する信頼をくつがえすことを拒む。そのような野蛮人の群が激増し、言ってみれば、地表を覆うアリマキ[葉枯れ病を起こす害虫]の大群となっている。かれらは、かれらなりの宗教モラルは持っているけれども、なぜ戦争をなくすことができないかを教える経済科学のことは全く無知であり、宗教心や自己満足にひたって地上の問題を処理することを拒絶し、現実問題の解決は自分たちの手の届かない所へ押しやっている。具体的な解決は、最も生き残るにふさわしい者として知性をもって生き残ろうとし、真にかれらのことを気づかう者としてかれらの問題を処理しようとする、われら少数者の手に委ねられているのである。そうでなかったならば、沈黙の兵器が明るみに出て、未来の真のヒューマニティの種子を確保するわれわれの唯一の希望が失われるであろう。


(30)経済衝撃テスト

 航空機の機体衝撃テストでは、機体に搭載して発射させた銃器の反動の波動が起こす衝撃波が、航空機の部分か全体かその翼かに、ギター弦やフルートの弁や音叉のような細かなあるいは荒っぽい振動を起こし始め、飛行中に崩壊するか空中分解するかの状況を、航空エンジニアに知らせる。

 経済エンジニアは、[経済衝撃テストによって]同じ結果を獲得する。すなわち、牛肉コーヒーガソリンあるいは砂糖などの主要商品を注意深く選んで、経済消費者大衆の動きを研究し、次には価格や有用性に突然の変化あるいは衝撃を与え、それによって、各人の予算と購買習慣を跡形もなく断ち切る。

 次いで、経済エンジニアは、衝撃波に起因する広告物価、あれこれの商品の販売における変化をモニターした結果を観察する。こういう研究の目的は、経済一般の動向や変化を予測可能な状態にし、一般大衆が、ある種の「専門家」たちが金のシステムコントロールし、万人のために(自由や正義よりも)安全を回復すべきだと確信している傾向を自滅させるノウハウまで得ることにある。実験材料になる市民たちが、かれらの財政問題コントロールできなくなるとき、かれらはもちろん完全に奴隷化された、安い労働資源となる。

 衝撃テストによって、経済における金の流れと、被験者大衆の心理的外見ならびに反応との間には密接な関係があることが解る。たとえば、ガソリンの価格と、頭痛を感じ、暴力的な映画を見たいと思い、たばこを吸い、ビールを一杯引っかけに酒場に行こうとする人との間には、数量で現わせる関係がある。

 最も興味深いことに、一般大衆がかれらの抱える問題から逃れ、現実を逃避する経済モードを観察、計測し、オペレーションズ・リサーチによる数字をあてはめると、公共経済の破壊(スモモの木を揺さぶる)を通じて一般大衆を完全にコントロールし服従に持ち込む作為的危機(衝撃)の最もあり得る組み合せを、コンピュータに予見させるプログラムを作ることが可能である。


(33)経済増幅装置序説

 テレビ広告主から語りかけられると、人は被暗示性のために、確かな確率で十二歳の児童そのもののように無批判に暗示に反応し、その商品を買うべく衝動的に店に行き、自分の経済貯水池から経済エネルギーを放出する。

経済増幅装置の設計は、出力のパワーレベルを設定することから始まる。そのレベルは個人から国家にいたる広い幅をもっている。第二段階は反応の鋭さである。たとえば、どんなに出力行動が敏感であるかは、入力命令の機能にかかっている。強力なフィードバックを伴った高出力は、要求された正確さを生む助けとなる。


(36)出力項目の簡易リスト

 出力-コントロールされた状態を作りだす。

   -経済、従って社会を操作する。

   -給与と収入のコントロールによってコントロールする。

 

(37)戦略表

実行 目標または獲得物
大衆を無知にする 公共組織の衰弱
重要点(価格と売上げ)をコントロールすることにアクセスする フィードバック出力に必要とされる反応
[大衆を]上の空にさせる 防衛力の低下
家族を攻撃する 若者の教育コントロールする
現金は少なく、借金と施し物を多くする もっと自堕落に、もっとデータを
教会の独立性を攻撃する この政府のようなものに対する信仰を破壊する
社会的画一性をはかる コンピュータプログラミングを単純にする
税に対する反抗を最小に押える 経済データを最大にする。強制する問題を最小にする
同意係数を安定させる 単純化
はみ出しに対するコントロールを強化する コンピュータ入力データを単純化し予知可能性を大にする
境界条件を確立する 問題の単純化。差異の解決と差異同一化
適切なタイミング データの変移と不明瞭さの減少
コントロールへの抵抗を最小限に抑える コントロールを最大限にする
コントロールを最大限にする 究極まで従属させる
通貨の崩壊 アメリカ国民相互の信頼崩壊

END(作戦終了)

  

(38)陽動作戦:基礎戦略

 沈黙の兵器の機密を保護し、大衆コントロールをかちとる最も単純な方法は、一方で大衆には基礎的なシステム原則を知らしめないようにし、他方で大衆を混乱させ、無秩序にさせ、ほんとうは少しも重要でないことに引きつけ続けておくべきだということは、経験にてらして証明されてきた。このことは、次のことによって達成される。すなわち―

〔1〕公共教育では、数学論理学、システム設計ならびに経済学などは程度の低いプログラムを植えつけ、技術的創造を妨げることによって、かれらの精神を武装解除させ、精神的行動をサボタージュさせる。

〔2〕次のことによって、かれらの感情を解放してやり、かれらの我がまま勝手と、感情的・肉体的な活動の中に放縦さを増してやる。

1.メディア―特にテレビ新聞―を通じて、セックス、暴力と戦争を集中砲火で浴びせ続け、毅然と立ち向う感情を軟化させる(心的・感情的にレイプする)。

2.かれらが欲するものを与えて―過剰に―思考に「カロリーが高いがまずい食品」―かれらが真に必要とするものを奪いとる。

3.歴史や法律を書き変え、大衆を変質者が作り出したもののとりこにさせる。

 このようにしてこそ、かれらの目や心を、その人間にとって必要なことよりも、自分とは無関係なでっちあげたものごとへ逸らさせることができる。

 一般原則は、混乱あれば利益あり、である。さらなる混乱あれば、さらなる利益あり、である。それゆえ、最上のアプローチは問題を作り出し、その解決を示すことである。


(39)陽動作戦の要約

メディア:成人大衆の関心を真の社会問題からそらさせ、少しも重要でないことに縛りつけ続けよ。

学校:青年大衆には、真の数学、真の経済学、真の法律ならびに真の歴史については無知のままにさせ続けよ。

娯楽:大衆娯楽は小学校六年の水準以下にとどめ続けよ。

労働:大衆を、考える時間もないほど、忙しく、忙しく、ひたすら忙しくさせ続けよ。ほかの動物とともに農場に戻れ、である。


(40)同意:勝利の第一歩

 沈黙の兵器システムは、従順な大衆から合法的(必ずしも道義的とは限らない)強制力を使って入手したデータにより作動する。沈黙の兵器のシステムプログラマにとっては、国税庁を通じた大量の情報は利用価値が大きい。(国税庁の資料リストにある『アメリカ経済の構造研究』参照)。この情報には、納税者雇用者とが供給した奴隷労働によって提出され、収集され、計算された、連邦ならびに州の徴税書類に含まれた、よく系統だてられたデータの法的刊行物から構成されている。その上、国税庁に提出された、このような大量の徴税書類こそは、戦略意思決定の重要なファクターとなる、大衆の同意を示す有力な指標である。


(43)人工子宮

 人は母親の子宮を離れる時から、さまざまな形の代用保護物すなわち殻(から)である人工子宮を作り、維持し、引きこもる方向にことごとくの努力を傾ける。これらの人工子宮の目的は、活動の安定にも不安定にも対処する環境を確保すること、成長と成熟の時期にはシェルターとなり、老後には自由を保証し、外からの攻撃に身を守る防御物を確保することにある。このことは、一般大衆でもエリートでも変りない真実である。だが、問題解決策の求め方には決定的な差異がある。


(44)国の政治機構―依存

 なぜ市民個人が政治という機構を作りだすかという根本的な理由は、子ども時代に頼りにした関係を永続させたいという、潜在的な意志あるいは欲望に根ざしている。卒直にいえは、かれらは、かれらの生活からすべての危険を取り除き、頭をなで、傷口にキスをしてくれ、どのディナーテーブルにもひな鳥をつけ、体を洗ってくれ、夜になればベッドに押し込んでくれ、何ごとも明日の朝目が覚めればすべてよくなっているだろうと言ってくれる神人が欲しいのである。

 こういう大衆の行動は、恐怖、怠惰、利巳主義の軍門に降っていることを意味する。そういうどうしようもない大衆に対する有効な戦略兵器となるのが、かれらが主成分になっている福祉国家である。


(45)行動/攻撃

 多くの人は、自分の日常生活をわずらわす他人を、できることなら抑えこみたいか、殺したいか、あるいはその両方だが、自分が起こした明白な行為で、道徳上あるいは宗教上の問題を争わされなければならないのはごめんだと思っている。

 それゆえ、かれらは、自分たちの手を血で汚さないようにするため、(自分の子どもたちも含めて)他人に汚い仕事をやらせる。かれらは、動物に対する人間の扱いが悪いと言ってわめき散らしながら、自分の視野には入らない下町の漆喰の屠殺場から来るハンバーガーの前によだれをこぼして座る。だが、偽善者であればあるほど、世間では政治家と呼ばれている殺し屋の専門団体に財政援助の税金を払い、政府の腐敗堕落を訴える。


(46)責任

 多くの人々は自由に物事(冒険その他)をやりたいとは思うが、失敗を恐れる。

 失敗の恐れは、成功の見込みが薄いとか、人が信じる気のない創作された嘘(法律)を通過させるとかの場合は、他人に責任を押しつけるとかの無責任さに現われる。

 かれらは権威を求める(権威 authorityの語源は「創作者author」である)が、責任や虚偽は引き受けようとしない。そこで、かれらは、かれらに代って現実に直面してくれる政治家を雇う。


(47)総括

 人々は自分たちが次のことをできるように、政治家を雇う。

1.体を使うことなしに安全を手に入れる。

2.頭を使うことなしに行動を手に入れる。

3.生か死かをじっくり考えることなしに、他人から盗み、傷つけ、死に至らしめる。

4.全くその気のない責任はとらない。

5.これらの局面に立たされる訓練を受けることなしに現実や知識という利益を手に入れる。

 かれらは政治家たちに戦争機械を作り出して操る権力を与える。

その機械は―

1.国家/子宮の生き残りを確保する。

2.国家/子宮が侵略されることを防ぐ。

3.国家/子宮を脅かす敵を滅ぼす。

4.国家/子宮の安定のために、順応しない自国の市民を亡ぼす。


(49)徴兵

 徴兵あるいは他の類似の制度のそもそもの目的は、脅迫によって、社会の若い男性に政府は万能であるという、いわれなき確信を教えこむことにある。彼はまもなく、祈りが時間をかけてやっていたことを、一発の弾丸が一瞬のうちにドンデン返しにしてしまうことをを教わる。

 徴兵(志願兵など)は、中年と老年が若年を公共の汚れた仕事に強制的につかせる目的をもって考案された、強制的集団犠牲と奴隷の制度である。それは若者を年長者と同じように有罪とし、若者による年長者批判を極力抑えつける作用を果たす(世代安定剤)。それは、「愛国的・国民的」サービスというラベルを貼られ、おおやけにマーケットに出され販売される。

 ふつうの状態では存在しないものは、計算によって強制的に明るみに出すことができる。人類は機械であり、掴んで回すことのできるレバーであって、社会をオートメーション化することと、靴工場をオートメーション化することとの間には、ほんのわずかしか違いがない。


(50)実施のファクター

ファクターⅠ】

 徴兵の成功には、ほかの人間社会機構のように、あれこれの形の脅迫(または刺激)が本質的に重要である。物理学の作用反作用の原理は、内的なサブ・システムにも外的なサブ・システムにも適用されなければならない。

 徴兵にあたって、確実に個々人を洗脳しプログラムに組み込むには、家族と同僚グループの双方ともを巻き込んで統制下に置かれなければならない。

ファクターⅡ 父親】

 家族もちの男を、確実に息子に正しい社会訓練と態度を身につけさせて成長させるように躾けなければならない。広告メディア等は、父になるべき男が結婚する以前、少なくとも結婚するまでには、尻に敷かれる存在になるように膳立てすることにかかりきっている。彼は教えられる、自分は自分用に打ち込まれた社会のクサビに順応するか、性生活の両脚を縛りつけられるかであることを、そして、やさしい仲間づきあいはゼロになることを。彼は見させられる、女たちは論理的、原則的で尊敬に値する行動よりも安定を要求するものだということを。息子が戦争に行く時までに、父親(骨抜きにされてクラゲのようになっている)は、自分の同僚たちに非難の目を向けられないうちに、また、彼個人の意見や自尊心の殻を破って偽善者とならないうちに、息子の手に銃を渡すだろう。息子は戦争に行くか、父親が当惑するか。それでも息子は戦争に行くだろう、戦争の真の目的がどこにあるのかを知らずに。

ファクターⅢ 母親】

 生まれたての子どもをもつ女は、幸福で目が輝きすぎて、富者の大砲の材料も奴隷労働の安価な源泉も見分けがつかない。しかしながら、女は、遅かれ早かれやってくる「現実」の変移を受けいれることに慣らされなければならない。その変移にはどうにも処し切れなくなるほど、家族という単位をとことん破壊しなければならず、国家は公教育コントロールし、国営の保育センターをさらに増設し、父母が子どもを早い時期からそこへ〝派遣〟させるよう義務づけなければならない。洗脳教育は早いうちから行うほど、子どもたちの変移の速度を(強制的に)上げることができるのである。

ファクターⅥ 家畜】

 もっている頭脳を使わない人間は、頭脳がないのも同然である。だから、父親、母親、息子、娘というこれら知性のないクラゲの学校は、荷物運搬動物あるいはせいぜい彼らの調教師となるほかはないのである。


 さて、「戦略表」にあるように、この「静かなる戦争」は通貨の崩壊によって完結します。

 私はこれまで「お金持ち」たちの「お金儲け」のために社会が仕組まれていると考えてきました。だから、「通貨の崩壊」の意味がよくわからなかったのです。そんなことをすれば、「お金持ち」たちの損失も大きいはずです。でも、彼らの目的が単なる「お金儲け」ではなく、一部の人間による公然とした世界の独占支配であるとしたら…。グローバリゼーションとは、その現われなのではないでしょうか。そう考えると、これまで世界で起きたさまざまな矛盾に満ちた出来事もスッキリと腑に落ちます。

 ロックフェラーが資金提供して設立された外交問題評議会CFR)の重要メンバーであるリチャード・ガードナーが、これを裏付けるような興味深い発言をしています。

「我々は、世界政府という巨大なピラミッドを構築することにあたって、上から下に向かうより、下から上に向かった方が良い。それは、一見すると、ウィリアム・ジェームズの『どんぱち騒ぎ』という表現がぴったりの、突然的な大混乱をもたらすだろう。しかし、このように各国の大衆を絶望に導きながら徐々にその国の主権を侵食し、最終ラウンドで国家主権の明渡しを迫る方が、結局のところ、昔流のトップダウン方式より早く世界政府を実現することができる」

 これまで見た様々な「計画」を総合して考えると、「静かなる戦争」のあとに「激しい戦争」つまり最終戦争が計画されているのではないかという疑念を持たずにはいられません。

2005-11-10 財政破綻後の世界

沈黙の兵器 (前編) 04:18Add Star

 次に私が紹介したい重要文書は『静かなる戦争のための 沈黙の兵器』という、アメリカで発見された極秘文書です。

※書籍としては『日本と世界を襲う 沈黙の兵器―静かなる第三次世界大戦の宣戦布告』(太田龍著、蒲原雄大訳)が出版されています。

 『沈黙の兵器』は、ロンドンのタヴィストック人間関係研究所(イギリス心理戦争局の中核施設)によって作成・配布されたテクニカル・マニュアルが流出したものとされていて、人類を完璧なマインドコントロール下に置くための社会オートメーション・システムを指すそうです。

 この「静かなる戦争」は既に始まっていて、1954年に国際的なエリートによって宣戦布告されたとしています。1954年といえば、第一回ビルダーバーグ会議が開かれた年。ビルダーバーグ会議とは、毎年1回、アメリカカナダヨーロッパ諸国で影響力を持つ100~150人が集まり、政治経済環境問題なども含む多様な国際問題について討議する「国際基本計画幹部会議」で、オランダのオースタービークにあるビルダーバーグホテルで最初の会議が行われたことからこの名が付きました。ロックフェラービジネス・パートナーであるオランダのベルンハルト公が、毎年、議長を務め、招待されるのは、国際金融資本、多国籍企業、米国の非課税団体、政府高官に登りつめたエスタブリッシュメント(社会的な権威を持っている階層)の代表者で、そうそうたる世界の実力者が集まるものの、完全非公開で、発言者の記録は一切残されないし、マスコミの取材も許されない、採択された決議についての声明や印刷物も出されないという徹底した秘密会議です。

※この会議の参加者の動向や関連の新聞記事などをウォッチしている市民グループウェブサイトはこちら http://www.bilderberg.org/

 この『沈黙の兵器』がビルダーバーグ会議と関連しているのかどうか定かではありませんが、この文書も『シオンの議定書』同様、現実と照らし合わせると恐ろしいほど実現化されています。まずは、その前半部分を抜粋・引用してご紹介しましょう。



『静かなる戦争のための 沈黙の兵器』


(1)機密保持

 社会コントロールと人間生活の破壊、言い換えれば、奴隷化と計画的大量殺害という広大な目標を含めることなしには、一国ないしは世界規模の社会のオートメーション化、すなわち、社会オートメーション・システム(沈黙の兵器)を論ずることは不可能である。

 このマニュアルは実際には、非公式な宣戦布告にほかならない。このような文書は、一般人の吟味を避けなければならない。さもなければ、公然と正式に国内戦争宣戦布告したしたものであると受けとられるやもしれない。その上、影響力を行使できる地位にある個人やグループが、十分な知識や一般人の同意なく、このような知識や経済征服の方法論を用いるときにはいつでも、当事者グループと一般人との間に国内戦争状態が起こるものであることを承知しなければならない。

 今日の諸問題を解決するには、宗教道徳、文化の価値に心を煩わすことなく、冷徹かつ単刀直入にアプローチすることを必要とする。

 貴兄は、人間社会を冷静に直視し、しかも、観察したことと結論とを、忌憚なく類似の知的能力を有する人たちと分析し討論する能力を持つがゆえに、このプロジェクトに加わる資格があると判断された。

 そのような長所を発揮するのは、貴兄自身が細心の注意を払って機密を保持する限りにおいてである。

 逸脱してはならない。


(2)ご捨乗感謝

 この文書は、「沈黙の兵器」をもって闘われ、細菌戦と酷似した戦争を遂行する「静かなる戦争」と呼ぱれる第三次世界大戦の二十五周年を記念して刊行されたものである。この文書には、今戦争とその戦略ならびに兵器についての序説が収められている。

  1979年5月


(3)歴史的序説

 静かなる兵器のテクノロジーは、第二次世界大戦中にイギリスで軍の管理のもとに発達した戦略・戦術的方法論であるオペレーションズ・リサーチ(OR)から発展した。オペレーションズ・リサーチの当初の目的は、限られた軍事物資をもって、敵に効果的に対抗する空陸の戦略・戦術的な諸問題を研究すること(兵姑学)であった。

 支配力を行使できる位置にある人々は、同じ方法は社会を全面的にコントロールするのに有効ではないかということに、すぐに気付いた。

 社会工学(社会の分析とオートメーション化)では、たえず変動する経済情報(データ)総体の相互関係を把握することが要求され、それゆえに、高速でデータを処理するコンピュータシステムが、社会に先回りして、社会が白旗を褐げる時期を予知できることが必要である。

 リレー(継電器)式コンピュータはあまりにも低速だったが、1946年にJ・プレスパー・エッカートとジョン・M・モークリーが開発したエレクトロニクスコンピュータは、ピタリとこの要求を満たした。

 次なる一大発明は、1947年に数学者ジョージ・B・ダンツィヒが開発したリニア・プログラミング[線形計画法]という簡単な技法の発達であった。

 1948年という年には、J・バーディーン、W・H・ブラッテイン、W・ショックレーが開発したトランジスタが、小さな形状で必要な出力を得ることを可能にし、コンピュータ分野に爆発的な発展を約束した。

 上記の人々の指導のもとに行われた、これら三つの開発によって、影響力を行使できる地位にある人々が強く疑っていた、ボタンを押すだけで全世界をコントロールすることが可能となった。

 いち早くロックフェラー財団は、ハーバード大学に四年間援助金を出し、アメリカ経済の構造を研究するハーバード経済調査プロジェクトに基金を提供し、当初から参加することにより確固たる地位を確保した。一年遅れて1949年には、アメリカ合衆国空軍が参加した。

 1952年には最初の土台作りが完了し、エリートによる高度の会議が開催され、社会のオペレーションズ・リサーチの次の局面が決定された。ハーバードプロジェクトは、1953年、研究の一部を公刊し経済(社会)工学の実行可能性を示唆するなどの実り豊かな成果をあげていた。(『アメリカ経済の構造研究』ワッシリー・レオンチェフ著、インターナショナルサイエンス出版、ニューヨーク州ホワイト・プレイン)。

 1940年代後半に設計された、新たな「静かなる戦争」のマシーンは、1954年には、いわぱ輝く黄金のメッキをほどこされたハードウェアとして、ショールームの床に雄姿を現わした。

 1954年のメーザー[マイクロウェーブ発振器]の発明によって、海水中の重水素から核融合エネルギー無限の資源を取り出すことが保証され、その結果、無限の社会的パワーが使えることが、数十年のうちに実現可能となった。

 これらの取り合せには、打ち勝ちがたい魅力があった。

 静かなる戦争は、1954年、国際的なエリートによって静かに宣戦布告された。

 沈黙の兵器システムはほぼ十三年遅れて姿を露わしたけれども、この新兵器システムの出現によって、重大な蹉鉄を被ることは皆無となった。

 この小冊子は静かなる戦争開始二十五周年を記念する。すでにこのドメスティック戦争は世界中の多くの戦線で多くの勝利をあげてきた。


(4)政治的序説

 1954年、影響力を行使できる地位にいる人々は、一般大衆が既成権力の寝台に手をかけて引っくり返すのは、たかだか数十年内という時間の問題に過ぎないということを十分に理解していた。というのも、新たなる沈黙の兵器のテクノロジーの構成要素は内密の理想的改革案として通用し、それと同様に、公開の理想的改革案として通用するものだからである。

 最優先課題たる最高関心事は、エネルギー科学の問題をめぐって展開された。


(5)工ネルギー

 エネルギー地球上のすべての活動の鍵である。自然科学は資源を研究して自然エネルギーを支配し、理論的には経済学に帰する社会科学は資源を研究して社会エネルギーを支配する。この二つは簿記システムすなわち数学である。したがって、数学は最も基本的なエネルギー科学である。そして、一般人を簿記の操作方法に無知のままにさせておけぱ、簿記を駆使する者は王者となることができる。

 すべての科学は究極の目的に達するための手段に過ぎない。手段とは知識である。究極の目的とは支配である。残る問題はただ一つ、

「誰が利益を享受するか」だけである。

 1954年には、以上が最優先問題であった。世間でいう「道徳的な問題」が提起されたけれども、自然淘汰法則ということもあることだし、知性を用いようとしない人間たちの国家、または世界は、知性を持たない動物同然だという話に決まった。そのような人間は荷物運搬動物であり、自分から進んで食卓に上ったステーキなのである。

 そこから導き出される結論として、将未の世界秩序、平和、安寧のために、ひそかにアメリカ人に対し静かなる戦争を仕掛け、自然と社会のエネルギー(富)を、幼稚で処理能力のない大多数の人間から、自己訓練を積み遂行能力があり尊敬に値する少数者の手へと、恒久的に移すことを究極目標とすることを決定した。

 この目標に到達するために、究極のところ、操作原則が非常に高度で精巧であり、公衆の目には自分たちのためになると見えるような、その名を「沈黙の兵器」と呼ぶ一群の新しい兵器を開発し、確保し、適用する必要があった。

 結論をいえば、研究対象となるのは、資本の所有者(銀行業)と商品産業(商品)とサーピス[注・直接生産以外の労働]によって運営されている、全面的に予測可能でかつ操作可能な経済体制である。

 全面的に予測可能な経済を達成するためには、社会の下層階級要素を全き統制下に置かなけれぱならない。すなわち、こんなことになっているのは正しいことなのだろうかと気付かないうちに、しつけ、調教し、くびきを付けさせ、ずっと古い昔から行われている長期にわたる社会義務を植えつけなけれぱならない。このような順応性を達成するためには、下層階級の家族を両親の共働きが増える過程で分解し、面倒を見る人間がいないみなし子たちを、政府機関が日常的に世話するセンターを運営しなければならない。

 下層階級に与える教育は、下位の階級と上位の階級とを隔てる無知の堀をめぐらし、下位の階級のことは理解しがたいと思えるほどに、最も貧弱な質にとどめなければならない。このように初めからハンディキャップをつけておくことが、下層階級でも頭のよい者に、生活のくびきから救い出されるチャンスがあったとしてもごくわずかだと思い知らせることになる。このような奴隷制度は、上流支配階級社会の秩序、乎和、安寧のバロメーターを保つために欠かすことができない。


(6)沈黙の兵器についての序説

 沈黙の兵器の開発者たちは、もっぱら機能の仕方という点に関しては、通常兵器に期待することをことごとく沈黙の兵器に期待している。それは将軍に代えるに銀行の実力者の命令により、狙撃手に代えるにコンピュータプログラマが、銃に代えるにコンピュータから、火薬に代えるに発生したデータにより、化学反応(爆発)に代えるにデータ処理によって推進し、銃弾に代えるに状況を射撃する。

 それは明白な爆発音を伴わない。明白に肉体的あるいは精神的な損傷の原困となることなく、誰かの日々の生活を明白に妨害することがない。

 しかも、それは明白に「ノイズ」を発生させる。明白に肉体的あるいは精神的に損傷を負わせ、明白に日々の社会生活を妨害する。求めているものを知っている、熟練した観察者にはそういうことが明白に判るのである。

 大衆はこの兵器を理解することができず、兵器に攻撃され征服されていることが信じられない。

 大衆は本能的には何か良くないことが起こっていると感じるが、沈黙の兵器の技術的な性質により、かれらが感じていることを理性的な形で表現することができないか、知性をもって問題を扱うことができない。それゆえ、かれらは助けを求める方法が解らず、沈黙の兵器に対して自分を守るために他人と協力する方法が解らない。

 沈黙の兵器がじわじわと大衆を攻撃すると、大衆は(経済経由で心理的な)圧迫があまりにも大きくなってマイってしまうまで、兵器の存在に自分を合わせ慣らし、生活への侵食を耐え忍ぶことを学ぶ。

 ゆえに、沈黙の兵器は細菌戦兵器と同一タイプである。自然と社会のエネルギーの源泉ならびに大衆の肉体的、精神的、感情的な強さと弱さを知り、理解し、操作し、攻撃することによって、社会の各個人の活力、選択の自由ならびに流動性に攻撃を加える。


(7)理論的序説

「自分に国家の通賃をコントロールさせよ

 そうすれぱ誰が法律を作ろうと知ったことではない」

   マイヤー・アムシェルロスチャイルド(1743-1812)

 今日の沈黙の兵器のテクノロジーは、ここに引用したマイヤー・アムシェルロスチャイルド氏が簡潔に表現し、効果的に活用した、単純なアイディアを成長させたものである。ロスチャイルド氏は、経済学説では日蔭に放置されていた経済インダクタンスeconomic inductance として知られる経済学の受動成分passiveどomponentという考え方に脚光を浴びせた。もちろん氏は二十世紀においては、これが大発見となるとは考えてはいなかったし、確かに、数学的な分析は第二次産業革命力学エレクトロニクスの学説、また、世界経済コントロールを効果的に発揮するためにはエレクトロニクスコンピュータの開発を待たなけれぱならなかった。



 さて、ここでもロスチャイルドの名が出てきました。

「自分に国家の通貨をコントロールさせよ

 そうすれぱ誰が法律を作ろうと知ったことではない」

 この言葉は、初代ロスチャイルドの発言としていろいろなところで紹介されていますが、まったく「的を射た言葉」だと思います。

 そういえば、ミヒャエル・エンデも『エンデの遺言』の中でドイツの古い諺を紹介していました。

「お金を出したものが命ずる」と。

 私が長年、市民活動に参加しながらも、実は内心あまり成果を期待していないのは、このためです。今の市民活動は、ターゲットを間違えています。通貨をコントロールする人間が社会をコントロールできるのです。ここを変えないと、いつまでもイタチごっこを続けなければなりません。特定の人間に支配権を与えないためには、通貨を分散化・民主化する他はないと思うのです。

(つづく)





(私論.私見)