2005.02

 (最新見直し2011.03.03日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、太田龍・氏の時事寸評の2005.2月分を確認しておく。れんだいこ文法、作法に基づき編集替えしております。

 2011.02.17日 れんだいこ拝


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 1207回 2005(平成17)年2月1日

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【「ハル・リンゼイの「今は亡き大いなる地球(The Late Great Planet Earth)」考】

 1227回 2005(平成17)年02月21日

 一九七〇年代初め。この年代には、色々重大な事件が生じた。まず、米国でハル・リンゼイの「今は亡き大いなる地球(The Late Great Planet Earth)」(一九七〇年)が出版された。それは、アメリカで、千八百万部売れた、とされて居る(日本語訳、徳間書店、越智道雄監訳、一九九〇年)。二〇年間で千八百万部。○これには驚いてしまう。しかし、その日本語版は、その百分の一も読まれては居ないのではなかろうか。

 日本人は、敗戦後、身も心も魂までも、アメリカさまに捧げつくした。アメリカから来た流行には、例外なく、一億二千万頭の家畜人ヤプーと化した日本人は、ありがたく、三拝九拝して飛び付く。しかし、アメリカでの或る種の流行現象は、全く日本人に影響を与えない。その中の最たるものが、いわゆるキリスト教原理主義、であろう。グレース・ハルセル著「核戦争を待望する人びと―聖書根本主義派潜入記」(朝日選書、越智道雄訳、一九八九年)。この本の英文原題は、Prophecy and Politics: Militant Evangelists on the Road to Nuclear War(『預言と政治』、一九八六年) 。ハル・リンゼイの本も、グレース・ハルセルの本も、日本ではあまり読まれた印象はない。その代わりに、日本では、一九七五年以降、五島勉の「ノストラダムスの大予言」が、三百万部の大ベストセラーと成った。米国では、一九七〇年代、キリスト教原理主義派の影響が爆発的に大きく成ると同時に、一九七〇年に、スクーセンの「裸の資本主義者たち――キャロル・キグリーの『悲劇と希望』への批評と注釈――」がベストセラーと成り、更に、一九七一年に出版された ゲイリー・アレンの「誰もそれを敢えて陰謀と呼ばない」と言う小著が、一、二年の間に六百万部、売れた。そして、この二冊の本は、一九七〇年代以降、米国にまじめにイルミナティフリーメーソンNWOに反対し、それと戦う陣営の力を一挙に増強したのである。

 にも拘わらず、一九七〇年以後の三十余年、米国では、キリスト教原理主義の勢力は非常な勢いで発展して、遂に、ブッシュ(息子)政権に至って、米国政治の主流と成るに至った、のである。「キリスト教原理主義」、と言う名称は、その正体を隠蔽するペテンである。「キリスト教原理主義」ではなくて、ダービー主義、と呼ぶ方がましだ。

 ジョン・ネルソン・ダービー (John Nelson Darby)(一八〇〇〜一八八二年)。アイルランドの英国国教会出身のこのダービーについて、日本人は関係者以外、まず、何も知らない。ダービー派のスコフィールド(一八四三〜一九二一年)が編集した聖書は、スコフィールド版聖書として、キリスト教原理主義派の中では有名である。ダービー派によれば、聖書的人類史は、七つの段階に区分される。そして、今は、最後の第七段階。キリストの再臨と最後の審判、つまりハルマゲドン、千年王国の時代だと言う。これは、あやしげな小カルトの言い草ではない。ハルマゲドンを呼号するこの一派は、今、米国政治を支配する主流と成ってしまって居る。そして、日本人一億二千万人は、極悪国賊小泉に引きずられて、もろにこのハルマゲドン路線を盲走しつつあるのだ。(了)


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 1228回 2005(平成17)年2月22日

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 1229回 2005(平成17)年2月23日

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 1230回 2005(平成17)年2月24日

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 1231回 2005(平成17)年2月25日

【「アイン・ランド」考】

 1232回 2005(平成17)年02月26日
 
 アイン・ランドに就いては、筆者は、平成七年前後から、何十囘となく、論評した。最近、ランドの主著二册(『水源』、『肩をすくめるアトラス』)の邦譯本が出版されたので、改めて此の件を論じる必要があるだらう。「Witchcraft and the Illuminati」(魔術とイルミナティ、一九八一年)。此の小册子(七十九頁)では、アイン・ランド問題に就いて次のやうに述べられて居る。

 (1)アイン・ランドは、フィリップ・ロスチャイルドのミストレス(mistress)の一人であつた。此處で「ミストレス」は、女主人、主婦、女支配者、女王、情婦、めかけ、などの譯語のうち、「情婦」に近いであらう。
 (2)一九五〇年代の半ば、フィリップ・ロスチャイルドは、アイン・ランドに對してイルミナティの世界支配のための日程を、小説と言ふかたちで書くやう指令した。
 (3)此のやうにしてアイン・ランドの主著「肩をすくめるアトラス(Atlas Shrugged)」が出來上がつた。(一九五七年)
 (4)イルミナティとしては、其れをベストセラーにする意図はなかつたが、結果的にはさう成つた。
 (5)「肩をすくめるアトラス」は、イルミナティの世界征服のための魔術用語で書かれたコードブックと成つた。

 此處で「コードブック」とは、「暗號書」のこと。從つて、米國内では、此の本は主として、イルミナティ系列のひとびとによつて、讀まれるわけであらう。然し、抑も、イルミナティ系列のひとびとは、如何なるものなのか。イルミナティの内部から脱出したスヴァリ(ペンネーム)と言ふ女性によれば、米國人口の五パーセントは、イルミナティの系列下にあると言ふ。そして其の五パーセントは、次の三種の階層に分けられる。即ち、

 (1)イルミナティの組織内の者たち。
 (2)イルミナティの同調者。
 (3)イルミナティの被害者にして、何らかの程度でイルミナティの命令に從ふ者。

 米國の五パーセントとは、約一千萬人か此の一千萬人と云ふ數字は、「肩をすくめるアトラス(一千百頁)」の合計販賣部數(一九五七年〜二〇〇四年)、一千萬部と、ほぼ見合ふ。殊に成る。前出、スヴァリは、イルミナティは、「教育と訓練」に熱中して居る、と言ふ。此のことは、迚も重要だ。「娯樂讀みもの」とはまるで無縁な此の「肩をすくめるアトラス」一千百頁を讀み通すことは、竝大ていのことでは出來ない。然し、イルミナティは、彼らの系列下に組み込まれたひとびと、組み込まれやうとして居るひとびとに對して、此の大著を讀むことを要求する。此の本を讀むことは、ハル・リンゼイや、其の同類のハルマゲドン主義者の本を讀むこととは全く異質である。まづ、我々は此の關係をしつかり識別する事を知らなければならない。(了)


【「「アトラス」考】

 1233回 2005(平成17)年02月27日 
 
 フィリップ・ロスチャイルドの命令によつて、イルミナティの此れからの行動計劃を示すコードブックとしてのアイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」は、ハルマゲドン主義者=キリスト教原理主義派=天啓史觀派=ダービー派の説と、其の核心に於て、奇妙な類似點が存在する。「アトラス」に於ては、 ロスチャイルドら、イルミナティ世界權力のエリートが、計劃的に世界經濟を崩壞させる。そして其の破滅の時期に、彼らのエリートは、安全地帶に避難して居る。そして世界が破滅した其のあとに、彼らエリートは、世界を再建すべく歸還するのである。

 ダービー派=ハルマゲドン主義者の説では、イエス・キリストが再臨する前にハルマゲドンによつて全世界は潰滅する。そして其の直前に、キリストを信じる者たちは、空中に移送されて(ラプチャー)、安全地帶から地球の破滅を眺めて居る。そして其れから、イエスキリストと共に、新しい時代(ニューエイジ)に入つて行く。

 此のシナリオは、一見良く似て居る。然し、其の本體、主體、其の役割は全く異なる。「アトラス」のシナリオに於ては、イルミナティ陣營は、大破局のあと本當に生きのびて、世界支配を完成させる積りである。其のために彼らは、すべてを準備して居る。「アトラス」は、其の讀者に對して、其の祕密を教へる。此れに反し、ハルマゲドン主義者は、幻想の救濟を、何千萬人の大衆に對して與へる。詰り、ペテンである。「アトラス」は、大衆をペテンにかけるのではなくて、エリートとエリートたらんとする人々に對して、如何に大衆をペテンにかけるか、如何に大衆をコントロールし、心理操作するか、其のことを、讀者に對して語る。詰り、完成さるべき世界人間牧場の中に、家畜人化された大衆を狩り立て、そして、其の上に自分たちエリートが君臨すべきか、其れを教へるわけである。此のやうに見て來ると、我々は米國文化の二種としての、(1)イルミナティ=アイン・ランドの「アトラス」と、(2)ハルマゲドン主義的文化と、此の二つの陣營の役割を見拔くことが出來るであらう。(了)

 【注】グレース・ハルセル著、越智道雄譯「核戰爭を待望する人びと」(朝日新聞社、一九八九年)。此の本を良く讀むと、現在のシオニスト、イスラエルが、二百年以上前から主として英國の國家(外務省)の長期に亙る執拗な工作の結果として出現した事が理解出來る。そして、ダービーに由來するハルマゲドン主義もまた、右に同じ。






(私論.私見)