国際秘密力の研究/発刊の辞&序

 (最新見直し2015.1.25日)

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 2015.1.25日 れんだいこ拝


 すべてを根こそぎ奪って気づかれない/闇権力の秘密力がここに明らかとなる 第3部 国際秘密力の研究第1冊上より
 未来はユダヤと日本の大融合によって、その大経綸が進んで行くことを確信します。手を組む相手先であり、かつ複雑を極めるユダヤのことを、私たち日本人はどのように確認していったら良いのでせうか。その研究の一助となることを願って、本論文を復刻掲載させていただきます。(編集部)
 取り扱い注意 第 号 国際秘密力の研究 第1冊 国際政経学会
 紀元前929年、ユダヤ聖賢等は、「標象の蛇」なる狡知によって平和的に世界を征服する案を考案した。蛇の頭は聖賢の世界政策を委任されたユダヤ政府で、その胴体はユダヤ人民である。この蛇は最も正確に遺漏なき計画によって各国の胸部を貫いて進んで行く。即ち、蛇道に当った国は精神の堕落及び道徳の廃頽手を来たし、革命を惹起し経済的に崩壊して滅んで行くのである。しかして蛇頭をシオンに回帰して首尾相接合する時が、即ち全世界を挙げてユダヤ王の君臨する時であると云っておる。今やこの「標象の蛇」は彼らのいわゆる天命の蛇道を我が帝国に向けておる。上図は即ち之を表したものである。

【発刊の辞】
 今回我ら同人が実行運動の一つとして本書を刊行するに至ったのは、国家の前途に対して深憂措く能わざるものがあるからである。思うに、皇国は内に国力充実し、外に貿易の発展あり、国威もまた之に伴うて輝いて居るが、いわゆる喬木(きょうぼく)風多し、日本は今やその為に却って容易ならぬ局面に向かうことになったのである。簡説すれば、世界の勢力は今や日本を取り巻いて居るのである。裏より表より、種々なる手段を廻らして日本に仕掛けて居るのである。少なくとも我らは、かく信ずるものである。

 例えば貿易である。日本は今や売らんと欲して固より自由でなく、買わんと欲してさえ意外な故障を余儀なくされて居る。これ実に今日の国際的の情勢である。この如き情勢は、自然の成り行きとして成立したものであろうか。あるいは何らかの特殊な作用が、その間に行われて居るのではないのか。疑えば益々疑わしくなるのである。

 
我らは、国際的秘密力の存在を信ずるものである。しかしてこの秘密力と世界的金権との同身一体の事実を認めて居る。露国の内部崩壊も、ドイツ、ハンガリー等の不成功の革命も、共にこの秘密力の作用に基づいて居ることは、今日では少しく研究すれば、全く明々白々なる事実である。殊に欧州全土を震撼したものは、フランスに起った一昨年のスタヴィススキー事件であり、更に東洋を驚愕させたものは、抜き打ち的に行われたシナの幣制改革である。

 また世界的に戦争宣伝が行われ、軍備拡張熱が煽られて居る裏面に軍需工業資本家の魔手が跳梁して居る。これらの事実は、その表面上の理由と弁解とが何であろうとも、。その国際秘密力との連絡は、十分に之を辿ることができるのである。

 イタリアのファッショが如何にして起り、ドイツのナチスが如何にして勢力を得たかの事情と経過を考えたならば、この秘密力の国際的意義の厳存に対して、心ある者はもはや到底黙視することができないはずである。この秘密力は、世界最大の金融資本を擁して、その威力を以て、世界を自由自在にして居る。世界各国の言論機関と出版事業の大部分は、この秘密力の所有に帰して居る。世界各国の演劇、映画の舞台に対して、事実上これを左右するの実力を備えて居る者も又、この秘密力である。

 この秘密力は、その特有の秘密結社と、行き渡った国際網と、各種の外郭団体とを巧みに操縦して、その隠れたる目的の為に、あるいは社会主義、共産主義を鼓吹し、あるいは自由主義者、国際主義者を扇動するのである。隠れたる目的とはほかではない、国家の内面爆破と国際戦争の誘起で、究極は世界革命により全ての既存国家を破壊し、一つの目的の為の世界となさんとするものである。欧米諸国の政治家が、多くはこの秘密力の前に跪いて居るという事実は、甚だ容易ならざる事実である。

 この秘密力は、如何にしてかくの如き強大な、戦慄すべき力を擁するに至ったのであろうか。欧米諸国の政治家が、如何にしてかくの如き腐敗するに至ったのであろうか。世界の未来は、この秘密力と如何なる関係を持つであろうか。日本の実際は、この秘密力から現に如何なる襲撃を蒙って居るのであろうか。

 今や日本は対外関係の進歩と共に、その対外知識もまた自然に増大せられ、各般の部門に亘って、調査研究を見るもの益々多きを加えるの一事は、大いに悦ぶべきであるが、独りこの秘密力の問題に対しては、今なお不徹底の観あるは、特に国策樹立の為に真に遺憾に堪えぬ次第である。

 たまたま我らは、これら秘密力を直接間接に体験し見聞するの機を得たる者であるので、問題をこの情勢に放任するは皇国民として重大なる不忠たるを痛感し、既に海外にある同志とも相謀り微力を省みず本年2月、本会を発企し、今回研究資料の頒布により朝野同憂の士を以て更に有力なる組織を結成するの機縁となさん事を決意した。

 我らは之によって国家機関の一外郭機関として、既存の有利なる地位を善用し各国の同目的の機関と連絡し、独特の有効自由なる活躍により、一層問題の研究と対策を具体化し、之によりて国際秘密力に対し、内は各種の撹乱策動を排除し挙国一致の結束強化に協力し、外は皇位の発揚国勢の伸張に蹉跌なからしめ、以て八紘一宇建国の聖勅に添い奉らんことを希(ねが)うものである。

 昭和11年10月 国際政経学会

【ユダヤ問題を再認識せよ-非常時対策の根本問題 序】
 今日においてはもはやユダヤ問題の重要性は最近間国際情勢上動かすべからざる事実となって来たが、しかしながら一方我が国の非常時対策上是非とも解決を要する重大事で且つ具体的に我が国が当面を余儀なくせられて居る事実なるの認識に至っては、我ら同人から見れば未だ誠に心細き状態であるので、ここに我が国におけるユダヤ問題推移と同人の苦闘を叙し、目下の国際情勢に処し、新たなる検討と再認識を要する所以を概説し、本書を清鑑せらるる各位の本問題検討又は再認識に対する予備的知識に供せんとするものである。

 今回同人が本書を発刊するに至った事は時勢の変化とは云え過去の苦闘を追想して誠に感慨に堪えぬものがある。同人らは、シベリア出兵時代かの地に於いて初めてこの問題の真実性に触れるの機会を与えられたものである。即ちプロトコール原版入手の事情、ユダヤ人の革命礼賛に反し、露人の赤化唾棄の実情に当面したのである。不肖はたまたまウラジオストクが赤軍に占拠された当時該地に在るの機を得たので、いわゆる赤派の選挙なるものが銃剣の威嚇の下に行わるる凡そインチキであり圧制的なものである事などを知り、従って更にその根本的研究の必要を痛感せしめらるるの機縁を与えられたのである。

 この問題は輸入せられて当然我が国のジャーナリズムの対象ともなり、また小中学をロシアで修め、前後四十年露国研究に当られた真の露国通の故樋口陸年教授も、当時従軍されていたが帰朝後大いにその薀蓄を傾け朝野に説かれた。又その当時特務機関に居られたS中将も過激派の露国民に対する残虐なる行為を目撃し、且つ過激派の要人について親しく共産主義に関する説明を聞き、真にユダヤ禍の警戒すべきなるものを痛感し、凱旋後熱心に朝野に説かれた。しかるにこれら体験者の努力にも拘らず当時のジャーナリズム又は朝野には大いなる反響を与えなかったのみならず、却って反対論が中央公論その他自由主義陣営に優勢であり、甚だしきは為にするところありとの全く真理の討究に反する態度にまで逸脱してしまった。

 これらの反対論は、ユダヤ系世界言論機関による自由主義デモクラシー思想の宣伝に支持され、且つその大規模なる後援下のユダヤ禍迷蒙論に援護され、又当時排外思想やいわゆる「文化」なる語が乱用され、宣伝盛んなりし時勢に好く適合したので、この結果は大勢上是非もなき次第であった。しかし同人らは研究を万難を排し如何なる犠牲を払っても続行すべき決意を固めた。何となれば真理の争いに負けたのではなくいわゆる無理が通れば道理引っ込む大勢が然らしめた事を感じていたからである。

 但し、筆者は人に説く事は未だ敢えてしなかった。ロンドンタイムスの主筆ウイツツカムスチードが云ったように「凡そ世の政治家も学者も軍人も外交官もユダヤ人を研究せぬ者は未成品である」と云う見地から自己の研究に終始していた。その後渡仏の機会に多忙なる事務の傍ら、専らユダヤ人に蝕接し、問題の根本ともなるべき民族心理、宗教、家庭生活、国際的習性、思想界経済界に及ぼせる勢力等の実際を見聞し、又フランス人の対ユダヤ人思想にも触れたが、筆者をして最も徹底的研究の必要を痛感せしめたものは、かのロンドン軍縮会議おける内外情勢、特にその思想言論外交上に於けるフリーメーソン的影響であった。爾来各国特に英米仏の文献中重要なるものを集め実際問題と比較検討するに努めた。

 特に仏国の文献には、パリが欧州大陸系マソンの中心地であり、一方之と死敵とも云うべき関係にあるカトリック教の国民大衆に大いなる勢力ある国柄であり又欧州政治の中心でもあるので、事実に即し、且つ徹底せる研究文献の貴重なるものが、各種の研究団体で多数に発行されて居る。これは研究の進捗に多大の貢献を為し、且つ自己が最も研究上恵まれたる環境に置かれたる一人であることを悟り、且つ対外問題の根本的重大事項なるを痛感し従って国民の一人としてこれを軍に自己の研究又は体験として私すべきでない事を痛感せしめられた。

 実際英米においては仏国における如き深刻なる思想的学究的研究を普遍せしむるには甚だ不便である。それはこれらにプロテスタント系が幅を利かし、マソン的自由主義思想が優勢であるからで、一方反ユ的研究の発表又は運動は非常なる生活問題上の危険があるので、個人主義に徹せる西洋人には、強烈なる宗教的信念と、ローマ教権の権威と組織による具体的援護がなければ、なかなか実行は困難であるからであると考えられる。仏国は又不肖の体験によれば知識階級には国民精神的にユダヤ人に対する嫌悪の感情が伝統的に強い。この点ドイツ国民は、思想的には元来現在ナチスの如き排ユ観念は仏人よりは強かったので、民族主義の如きもナチスが大部分輸入したものであることは本書に紹介してあるビーミッシュ氏あるいは黒田氏の談によっても分かる。

 しかし英米においても、徹底した研究を発表して居るものがないのではない。即ち英国のネスタウェブスター女史、米国の自動車王フォード氏等である。ところが女史も研究はともかく、本の出版となると、ユダヤ人側から多大の反対にあった事を非常に驚き名著「フレンチ・レボリューション」において発表して居る。(今でも現に絶版になってしまってこの頃では旧刊も我々の手には入らなくなってしまった) フォードもまた同様な事を経験して居るばかりでなく、事業場にも致命的損害を与えられ、研究及び出版(自費)に関してもユダヤ団体に一種の詫証文を取られて居る。

 その後仏国を中心とした欧州方面並びに極東のユダヤ勢力の中心上海方面に有力なる同志を得、スタヴィスキー事件、欧米軍拡の裏面、及びシナ幣制改革の真相等を知るに及んで、問題はいよいよ研究の範囲を飛び越えて国家及び民族としての対策を速やかに樹立するの必要を痛感した。

 ところが、日本知識階級の問題に対する認識力は、依然第一期のユダヤ問題輸入時代に比して大差なき程度で、たまたまナチスの排ユ運動徹底化に伴い、真に彼らに直面した少数の人々及び熱心なる研究家には認識されたが、一般的には余り大いなる進歩を見ず、却って必死となれるユダヤ人側の、ナチスに対する排撃宣伝の方が強く、朝野に影響して居るのは、誠に遺憾で国際情勢の変化にも皇国発展の実情にも伴わざるものと云わざるを得ない。ここにおいて同人らはガリレオの「だが地球は回って居る」と云った悲痛感をつくづく身に染みて体得することを得た。

 真理でも黙っておっては時代の支配的心理を動かす訳には行かない。否多大の犠牲的努力と啓蒙宣伝を要するものであると云うことである。啓蒙も一種の運動である。科学的に考えても運動のエネルギーは質量に速度の二乗がかけられて居る。静止して居っては効果は零(ゼロ)である。反対に一時的には間違った宣伝でも伝播速度の大なるものに圧倒される。更に運動の効果は物体の周囲の流動体の抵抗に関係する。宣伝効果は之を容易に流通せしむる周囲の雰囲気による。これはいわゆる「大勢の赴くところ」と云うものに当てはまる。これが又今までのユダヤ禍否定論者を一概に非難するのは酷である理由でもある。これ前述のユダヤ系宣伝機関による世界輿論掌握の結果であるからである。仏国革命以来、これらが世界的に熱心に日夜放送したデモクラシー、自由主義宣伝を、

 更に世界大戦によってデモクラシーを標榜したアングロサクソン中心の連合国が彼らが軍国主義と刻印を打ってしまったドイツを破り、更に革命によって独露墺洪等の帝冠を叩き落し、なお国際連盟を作って愛国主義、国家中心主義を打ち倒した勢いに乗じた宣伝効果は甚大で且つ我が国に対しては致命的であった。更に重大なる影響を与えたのは、彼らが赤蘇政権の樹立後、宣伝を国防の第一線とし、全力を挙げてマルクス主義を我が国に対して宣伝したことであった。なおこれらを思想的に推進発展せしめたものはフリーメーソン思想であり、事実当時の外交官巨頭の一部に結社員たりし者もあった。これらは相まって我が官学の中枢たる帝大法学部の主要分子の思想に大いなる影響を及ぼした。(筆者はこれらを記すには皆な確実なる出所によったものであって抽象論ではないことを了解せられたい)

 例えば吉野作造纂集、管原道太郎著「フリーメーソンの研究」と云う冊子は官学系又は官庁方面に相当広く配布されて居るが、これは徹頭徹尾マソン礼賛である。即ち、「フリーメーソンの主張が世界平和の思想の一つの根底をなしつつ、遂に人類の国際的良心が国際連盟によって覚醒せられしは慶賀に堪えず。而(しか)して人類平和の理想を思わば前途遼遠なり。従って益々フリーメーソンがこの政治思想に寄与するところ大かるべきを希望してやまず。然るに真善美を直接に見つめて進まんとする熱烈なる憧憬が、世界文化に貢献する底強き流れを為するものなるが故に、フリーメーソンの滅亡を欲するは、人道の発達を望まざるに等しきが故に、益々この人道のどん枝(し)が成長せんことを希望せざるを得ず」と記述せる如くである。

 ところで更に吉野氏一派の中央公論その他に載せたユダヤ禍迷蒙論は、研究者にとっては甚だ笑止千万な浅薄さで、果たしてこれが官学の泰斗たる博士であるかを疑わしむる程度のものである。筆者はこれを今日敢えて紙上に取り上げたくはない個人的感情を持って居るのであるが、これらの冊子が思想的に重大なる影響を朝野特に官界に与えた大なる背後の勢力を持って居り、従って内容が妄信的偏見に捉われて居る低級なるものにも拘わらず大なる宣伝効果を発揮して居るので、この論拠を完全に打破せざる限り、朝野の真摯な研究の対象となり得ないのでやむを得ずここに取り上げるものである。

 氏は先ずユダヤ人の陰謀に関する諸説と事実とを全部何らの確実なる根拠によらずひとえに一笑に附し否定し、中にも滑稽なことにはプロトコールの出所に関して「ユダヤ人の手に成ったものではなく、英国人の捏造したものである。英国は最近下層労働階級の過激化するを恐れたので、ボリシェビズムとユダヤ人とを結びつけプロトコールを捏造したのである」と至極あっさり片付けて居る。

 ところが甚だお気の毒ながら同人安江氏や長谷川氏が欧州に行って確実に調査して来た如く、露国おいて1902年にプロトコールの最初の版が公刊され、1906年には英国大英博物館にその1905年版が蔵せられて居る。一方ボリシェビズムなる語が起ったのは1917年である。氏の云うが如くんば英人の捏造は11年以前に予め作っておいたことになると云う不合理を鵜呑みにすることを要する。

 更に浅薄低級なこの種否定説の一例として、吉野氏のマソン否定説を掲げる。これは筆者の手元にある前記の著書に氏が書いて居るのだから動かすべからざる証拠であるが、フランスマソンとフリーメーソンとは別個の者であると云う論である。これらは取り上げて云うまでもない笑止な論で、外国語は英語以外にないとの結論と同じである。

 その他ユダヤ禍否定論は、要するに事実に即した我らを首肯せしむるような内容を詳細に検討した科学的合理性を有するものは見当たらない。ユダヤ宣伝機関の例にたとえる単(ひとえ)に省みて他を云う個人攻撃や根底なき漠然たる菅見(かんけん)である。これを体験により、事実に即し、且つ熱心なる研究によるユダヤ研究者の所説と照らしあわす時は、全く相撲にならないことを認識する必要がある。

 次に更にユダヤ問題の再認識を我らが主張する理由は、ユダヤ人に対する何らの知識なき結果、ユダヤ人を排撃するよりは之を利用したら良いではないかと云う常識論である。これは猫の首輪に鈴をつけたらよいではないかと云うネズミの知恵者の議論に類し如何にして之を実施するかが問題である。これ敵を知らずして戦うと同じであり又大功利主義者たりしビスマルクやナポレオンの轍を踏む運命にあるもので余りに相手を甘く見た功利説である。

 次に更にこの功利論の上手(うわて)を行くものは現在ユダヤ人に直接間接に交渉ある財界一部の論で、例えばお得意様であるから悪口や排撃論は困ると云う甚だ刹那主義的退嬰論である。これらはシナ幣制改革や前轍にも懲りざるもので、黙っておれば永久にユダヤ人はお得意様だと云う担保付け証文でも貰って居るかと云いたくなるし、彼らの国際資本総動員による大投機戦に対し一生懸命に蓋を閉めて安全であると考えておるサザエの心理状態であり、気がついた時には火の上で殻ごと焼かれてしまあ相手もあることを頓着しない、いとも果敢ない太平楽であると考える。いわんや別に彼らを面罵する訳でもないので、その消極的態度は問題である。商戦において敵を知り己を知ることが必勝の秘訣であることを知らぬ者は必敗の戦理によって淘汰さるること必然である。

 一方我が国のジャーナリズムの主流は色褪せたる輸出用民主主義自由思想や、国家転覆、内部爆破用マルキシズムを単なる学説と見る尊重論より脱し能わざるものが跋扈し、為に大勢は旧態依然たりである。これらは詳(つぶさ)に国際情勢や裏面の動きを検討するの暇も便利もなき国民の頭に朝夕彼らの輸出用ニュースを叩き込み、その弊や計るべからざるものがある。(最近の例を挙げれば人民戦線運動の亡国性にほとんど無関心の如き之である)

 更に最も甚だしい誤解はユダヤ人問題研究者間の目的が功利的術数的のものであり、従って無差別なる排撃であると臆断する論である。これはユダヤ系の言論機関が好んで用いるところでナチス攻撃に常用せる輸出向け逆宣伝の一つである。もとより弁解の必要も認めないが、もし功利主義者であるならば、非常なる研究的努力や、費用を要する資料蒐集を、大勢に逆行し非難を受けつつ遂行し得るものかどうか、同人の苦闘が之を示して居るものと考えて居る。又我ら同人は皆な多忙なる本務を有する者ばかりなので多大の犠牲を払って観念的遊戯に類することに費やす暇は持たぬのである。ただ問題の現状を黙視するは重大なる懈怠であることを恐るるので巻頭発刊の辞にも之を明らかにして居る次第である。

 我ら同人は以上の固執的迷妄を打破し、誤れる皮相的世界観を一掃し、隠れたる国際秘密力を暴露することは甚だ容易ならざることを従来骨身に浸みて感じて居る。現に今までの過程は茨棘(けいきょく)の道を思わしむるもののみであった。しかし「地球は回る」情勢の進展は一刻も止まず、果然スペインの動乱は世界左右の相克を激化し黒幕は切って落とされた。即ち過般のナチス大会においては従来の表面的共産主義攻撃より、更にその黒幕であり傀儡氏であるユダヤ主義陰謀に対し、猛烈なる暴露正面攻撃を加えた。

 例えばローゼンベルグ外航部長は「ソビエト政府を支配する者は農民に非(あら)ず、ユダヤ人によって指導さるる最も苛酷なる国家資本主義である。赤軍は全世界ユダヤ禍の旗幟(きし)を掲げ、武装せるプロレタリア前科者を第一線に据え、欧亜両大陸の諸国を内外から脅威して居る」と説き、又ゲッペルス宣伝相は、「今やユダヤ人は欧州各国の文化を壊滅に導き、国際ユダヤ帝国建設のためあらゆる手段と方法を尽して蠢動して居る」と喝破した。これナチスの基礎いよいよ堅くまた驚異的躍進により今や公然世界秘密力に対抗し得る力を備えたることを示す挑戦行為であって、一面から云えばナチス主義はこれによって真の軌道に乗って来たものと云えるのである。

 共産主義やマルキシズムや、表面的左右の闘争にのみ係わりあって居ったのでは、三韓を伐たずして熊襲をたいらげんとするに堕するものである。これを我が国の対策についても全く同様である。世界の左右相克戦は遂にユダヤ主義と、非ユダヤ民族の国家主義との争覇となって最後の勝負を決するの余儀なきに至って来たので、これを明確に認識することを非常時国策樹立の一根本問題たらしめねばならぬ。故に本書には勉めてこれが具体的事実との関係を紹介した。

 又一方において同憂の先覚者や同人らの努力はようやく朝野の有識者に認められ来たったことはそれが誠に少数者によりてではありと云え、また時機甚だ遅れたりとは云え、少なくとも前途曙光を望み得たことにおいて皇国の進運に資せるものと自ら慰むるものである。その証として朝野ともにユダヤ問題に関する研究書を見るに至り、最近ユダヤ禍を説く小冊子の街頭進出が目につき、まじめなる国際評論誌も求めて之を載せんとする熱意あるを之が直接の対象者として同人らは感じて居るのである。

 しかしながら同人らは多く多忙なる本務を有するので、殊に文筆を職とせぬ手前一々これらの要望に答え得ないのみならず、五千年来の歴史を有し相関連せる因縁もあるものを断片的に書くは却って問題の正解を妨ぐるを恐れるなどは同人が協力分担し処理するの要求を生じ、これまた今回の企ての一因を為しているのである。

 本冊は初冊でもあり多少問題を遡(さかのぼ)らせる必要上と、同人らの予見と現在の情勢を清鏡(せいかん)に供する関係上、過去において公表したものを再録した。これは多忙なる者が再稿の余暇なき関係上にも必要なる措置であったことを諒承せられんことを希望する。

 仕舞いに本書掲載のプロトコールを熟読玩味せられんことを切望して止まない。之は長谷川氏の各国版を参照しての最も周到なる翻訳であるが、之を読めばもし冷静にして捉わるることなき頭脳の持主ならば、三十数年前のこの書は単なる預言書としては余りにも薄気味悪く時勢推移裏面のからくりを理路整然として摘抉(てきかい)し且つ陰惨なる復讐的嘲笑の恐るべき呪詛に満ちて居ることを認めざるを得ないであろう。その一、二を例示すれば、「自由平等博愛と云う言葉は非ユダヤ人の社会の繁栄を侵し、奴らの国家的基礎を覆すことにおいて平和、秩序、協力等を破(こうむ)った美句である」とか「戦争は領土的の終局を遂げることを不可能とし、之を経済的基礎の上で清算せしめ、従って経済的基礎に於いて諸国家に我らの力の優越を認めしむる」と云う如きは過去の革命が自由平等博愛の標語に反しての残酷なる同胞屠殺戦である事実や世界大戦の結末以後の欧州情勢を指摘し得て妙と云い得ざるものであろうか。之と本書に掲載されて居る事実を比較考査するは問題研究の妙味や慧眼が将来の動向をも察知し得るよすがとも成り得ることを信ずるものである。(11、10、25、希洋)

【目次】
 発刊の辞
 ユダヤ問題を再認識せよ-非常時対策の根本問題 

 ○シナ問題関係

  シナ幣制改革の隠れたる指導勢力 宇都宮希洋(きよう)
  ユダヤ問題より見たる日英関係-日英提携可能なりや 宇都宮希洋
  ハルピンの反ユダヤ主義悪化

 ○人民戦線関係

  スペイン人民戦線の思想的指導勢力 フランマソン秘密結社 宇都宮希洋
  人民戦線の真相 桜沢如一(ゆきかず)
  スペインソ連赤派の残虐行為の実例
  ユダヤボリシェヴィキのテロリスト・トリオスペインに活躍す
 
 ○国際軍需工業関係

  驚くべき暴露 若宮卯之助
  ドイツの再軍備問題 宇都宮希洋 
  欧州国家を操る軍需工業資本の魔手 桜沢如一

 ○フリーメーソン関係

  フリーメーソン秘密結社の解説 宇都宮希洋
  外交の裏を行くマソン策謀の表面化-コミンテルンの新戦術 宇都宮希洋
  フランスにおけるフリーメーソン・クーデター-純正仏国民の精神運動 桜沢如一
  ブルム政府はマソン政府なり。
  ブルム内閣中のユダヤ人。
  フランス議会にユダヤ人攻撃論現る。
  ユーゴスラビア国におけるフリーメーソンの活躍。
  アメリカのフリーメーソンユダヤ人共和国ビロビジャンへの入国を勧誘す。

 ○思想問題関係

  躍進日本とユダヤ民族 安江仙弘(のりひろ)
  ユダヤ二大思想の白熱戦時代 安江仙弘
  リレムリンユダヤ人対トロツキー派ユダヤ人

 ○ユダヤ秘密謀略の基典

  シオンのプロトコール(その一) 長谷川泰三
  北米ミゾウリーに開催される全世界ユダヤ人連結会議
  最初の世界ユダヤ人大会

 ○ユダヤ問題研究会

  黒田大塚両氏にナチス・ドイツの排ユ運動を聴く
  排ユ運動三十年 ビーミッシュ氏を中心とする座談会
  ビーミッシュ氏より来翰(かん)
  東亜におけるユダヤ人問題(寄書) ボロチコフ

 ○ユダヤ問題研究初心者入門

  ユダヤ問題研究三大権威者に初心者の立場で質問した問答録

 ○シナ問題特別研究

  蒋介石親日不可能論と対日包囲陣の結成について 増田正雄
  結局シナに対して 増田正雄
  
  巻末に 増田正雄
  編集後記 
  ユダヤ問題研究著目録
  国際政経学会の事業の梗概(こうがい)




(私論.私見)