前回ご紹介した『神々の軍隊』の中で「皇室とバチカンとフリーメーソンの関係をたどっていくと、世界の闇が明らかになってくると思われる。」という記述がありましたので、少し掘り下げてみたいと思います。まずは、日本とフリーメーソンとの関係について。結社員となって二十数年、日本人フリーメーソンの最高位階であるスコティッシュライト第32位階級に就いた高崎廣氏(当時79歳)の証言です。※フリーメーソンについては下記の過去ログもご参照ください。
『フリーメーソン@』『フリーメーソンA』『フリーメーソンB』
1998に出版された『日本に君臨するもの−フリーメーソン日本ロッジ幹部の証言』より抜粋・引用します。
20世紀末のこの時期に、私達が日本のフリーメーソンの取材を始めたのには、理由がある。97年秋の北海道拓殖銀行、山一証券と続いた大型破綻劇を機に、日本は今、資本主義の心臓部というべき金融システムが崩壊寸前の危機にさらされている。「不良債権」というバブルの残骸を大量に抱え込んでいることを外資につけ込まれ、国際市場で追い詰められているからだ。これを一般には「市場の論理」というが、では「市場」とは一体何なのか?そのことを、この国の経済マスコミは具体的に検証しようとはしない。山一証券が破綻した時に「社内で快哉を叫ぶ歓声が上がった」(外資系証券マン)というような話が、あちこちから聞こえてくる。「ハゲタカ・ファンド」等と呼ばれる外資系金融機関による、不良債権化した不動産の買い叩きも加速している。
山一証券を吸収した日本のメリルリンチ幹部は、アメリカ議会で、 「日本の金融ビッグバンは、我々が効率的な買物をする為のものだ」と明言している。こうした事態を、人は、明治維新・戦後改革に次ぐ「第三の開国」、あるいは、太平洋戦争に匹敵する「第二の敗戦」と呼ぶ。この比喩は、たぶん、間違ってはいないだろう。「ウーン、『第二の敗戦』ねえ…。それより『第三の敗戦』と言うべきじゃないんですか?だって日本を開国した“黒船”のペリー提督も、実はメーソンだったんですよ。マッカーサー元帥もそうですし、今のクリントン大統領も、メーソンの正式な結社員ではないけれど、準メーソンといっても過言ではないんですから」。あっさり言い放たれたその言葉に、仰天させられた。同氏の言う通りであれば、明治維新、太平洋戦争(大東亜戦争)、そして今日の「金融ビッグバン」あるいは「第二の敗戦」と、近代日本の転換点全てにフリーメーソンが関与していることになるからである。
実際、高崎氏の言うように、今年(1998年)に入ってから矢継ぎ早に起きている現実を「第三の敗戦」と捉えて見れば、今の日本で起きていることが実によく分かる。参議院議員選投票日を翌日に控えた98年7月11日、極めて象徴的な出来事があった。この日の朝、神奈川県横須賀市の久里浜港に、一隻の帆船が入港して来た。「プライド・オブ・ボルティモアII世号」というこの帆船は、アメリカ合衆国メリーランド州の親善大使として、昨年12月に世界歴訪の旅に出航した船である。実は、出航して7ヶ月後に日本へ立ち寄ったこの「プライド・オブ・ボルティモアU世号」は、150年前、日本を開国に導いたペリー提督率いる4隻の「黒船艦隊」の内の1隻を復元した船なのである。久里浜港の「港祭り」に顔見せた「プライド・オブ・ボルティモアU世号」は、浦賀水道を北上、横浜に寄港した後、そのまま威風堂々と東京湾へ向かった。ペリー提督が浦賀から当時の江戸湾へ押し入った大胆な行動をそのままなぞらえたのである。
「黒船来航」の二日後、参議院議員選挙の翌13日には、さらに重要なイベントが東京で開かれた。国際決済銀行(BIS)の月例総会と、日米財界人会議の同日開催である。この会議に参加するために、世界の金融決済業務を取り仕切る超VIPたちが東京に集まったのである。BISの月例総会は、世界の中央銀行の総裁が毎月、一堂に会して、その時々の金融情勢について意見交換するものである。開催場所は、過去に一度だけオランダのアムステルダムだったことがあるのみで、通常はBISが置かれているスイスのパーゼルと決まっている。それが東京で開かれるということは、当に異例中の異例の出来事なのである。当日は、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長、ドイツ連銀のティートマイヤー総裁ら、主要30カ国の中央銀行総裁等、そうそうたる顔ぶれが東京に集結した。
また、BISの総会が開かれた日本橋の日銀本店から西へ約2キロ、内幸町の帝国ホテルでは日米経済界の重鎮達が集まり、「第35回日米財界人会議」が開かれていた。日米財界人会議は年一回、日米の経済界のリーダーが集まり、テーマ毎に幾つかの分科会に分かれて討議を交わし、意見を取り纏めて共同声明を出す。開催場所は日米で交互に受持ち、98年の開催は日本の番であった。日本側の出席者は同会議の日本側議長である槙原稔三菱商事会長始め、今井敬経団連会長、牛尾治郎経済同友会代表幹事、根本二郎日経連会長稲葉興作日商会頭以下、大手企業トップが勢揃いだった。一方のアメリカ側は議長のマイケル・ジョーダンCBS会長以下、メロン銀行のフランク・カラエ会長兼社長、フォード自動車のウェイン・ブッカー副社長等、これまたそうそうたる顔ぶれが揃っていた。
しかし、もう一つ注目すべき事がある。この日、東京に来ていたのは、彼ら公的立場にある大物、いわば「表のドン」たちだけではなかった。国際政治・経済の底流をウォッチする人物から「ロスチャイルドも来日しているらしい」という情報が寄せられたのは、13日当日であった。「いずれにしろ、みんな“参院選後も橋本龍太郎続投”を前提にしているだけに、橋本辞任には多少とまどいがあるようだ」とも、彼は付け加えた。
ロスチャイルド家といえば、世界の政治・経済に大きな影響力をもつ巨大な財閥グループである。イギリス、フランス、オランダ、香港、アメリカ等に拠点を持つ一族のネットワークは、金融をはじめ産業界すべてに及んでいる。だが、その一方で一族の誰もが政界、経済界で公的な立場に立つことはなく、各国元首や世界的大企業のトップほどには知られていない。ロスチャイルドという名も、フリーメーソン同様に現実離れした陰謀論的な印象を受けるが、5人の兄弟が世界に散らばり、それぞれの国で銀行家等の道に進み、繁栄を謳歌している事は紛れもない事実である。
余り表に出ることはないものの、日本でも大手町のビルにイギリス系のN・M・ロスチャイルド、ロスチャイルド・アセットが事務所を開設している。事務所の壁はロスチャイルド・ピンクと呼ばれるカラーで統一され、5人の兄弟を象徴する五本の矢を一本のリボンが結んでいるロスチャイルド家のシンボルが掲げられている。同家の人間は、時折その紋章である五角形の楯マークの指輪をつけ、ロスチャイルド一族であることをさりげなく誇示する。その影響力を知る者は、誰しもが一種の畏敬と畏怖の念をもって接すると言われている。そのロスチャイルド家の人物が来日するということから察しても、7月13日が如何に重要な意味を持つ日であったかが分かる。ロスチャイルド家にパイプを持つ国際金融の専門家から確認出来たプロフィールによると、来日したロスチャイルド家の人物は香港を拠点とする同家の「アジア総代理人的立場」にあるということだった。
この日の東京には、国際経済の表と裏の超大物達が集結していたのである。BIS総会や財界人会議等、それぞれ名目は異なっても、彼等の目的は、東京で一堂に会し、危機にある世界経済の立て直しを目指して日本が負う役割を自覚させ、「やるべきことをやれ」と駄目押しすることであった。「大手銀行は一行たりとも潰さない」という護送船団方式(鎖国政策)を止めさせ、弱肉強食、優秀劣敗の原則が支配する、金融ビジネスの完全開国を求める。まさしく「砲艦外交」である。
とりわけアメリカ・クリントン政権の対日要求は厳しく、ルービン財務長官、サマーズ同副長官は、邦銀の詳細な経営内容のデータを基に、具体的な銀行名をあげて整理淘汰を迫った、という。破綻金融機関はバラバラに解体されて外資に買われ、健全とされる銀行も、生き延びるためには、担保不動産を二束三文で外資に売却することを余儀なくされる。そんな機関が見えてくるほどに、金融関係者を中心に、大東亜戦争敗戦に続く「第二の敗戦」なる言葉が生まれたのであろう。(つづく)