◆感染した医師の候補者を直撃
田淵氏のSNSと事務所を通じて、事実関係を問い合わせたところ、田淵氏からメールで「ご指摘通りワクチンは打っていません」と回答を得た。その理由についてはこう答えた。「私は長年の潰瘍性大腸炎の持病があり投薬により寛解が維持されています。この疾患は全身に血栓ができやすい状態となり、死因のトップは実は血栓症です。私も実際にこれまで色々な血栓症のエピソードがありました。今も抗血栓のため内服治療を続けています。そこに血管表面のアンギオテンシン受容体に結合するスパイクタンパクを投与するのは血栓が起こりやすくなり、私の場合、危険が利益をうわまわると判断しました」、「この4月に医療者枠が回ってきてワクチンを打つかどうか悩んでいた時に1ヶ月前にワクチンを先に打っていた同窓の大親友が大動脈破裂で突然死しました。因果関係は不明ですがそれが最終的に打たない判断となりました」。ワクチン接種はあくまでも任意なので、打つ打たないは個人の選択だ。だが、事務所で油断があった可能性がある。近くで働く男性にクラスターが発生したことを伝えると、「知らなかった」と驚きながらも、こう語った。「最近、人がいなくなって、静かでしたね。いつもは人の出入りがすごいある。事務所が結構狭くて、通りすがりに中を見ると、人が多くて、密になっているなと思うことはあった。選挙活動では、住民の方とグータッチしてたから、どうしても危ないよね。コロナと戦うと訴えていたから、それがクラスターとなると印象は良くない」。
さらに、田淵氏の9月21日のツイートには、マスクをつけた音喜多議員とスタッフらと、透明のマウスシールドをつけた田淵氏の写真が投稿されていた。不織布マスクなどと比べて、マウスシールドの効果はかなり限定的と評価されている。事務所担当者にマウスシールドをつけていたことを尋ねると、「けっこう前の画像だと思う。今はマスクをつけて演説している」という。けっこう前とはいつかと尋ねると、忙しい様子で「いずれにしろ、今言えるのは『コロナと戦っています』だけ。それだけです」と答えた。
一方、田淵氏を知る東大同窓の医師はこう証言する。「自由診療でイベルメクチンなど独自のコロナ治療を行うなどちょっと変わった医師。医療関係者の間では、評判はあまりよくない」。
田淵氏のクリニックは「診療内容及び診療報酬の請求に関して、不正又は著しい不当の疑いが生じた」として関東信越厚生局と東京都の合同監査を昨年、受けたという。『FACTA ONLINE』(3月13日付)が関東信越厚生局長が2020年8月17日付で出した「監査通知」の全文を公開している。田淵氏は「人生2度目の監査」と題したブログで<昨年8月から厚労省が私を監査。既に3回。まだ問題の指摘なし>と記していた。(後にブログは削除)
維新が今回の衆院選で躍進すると見られている背景には、日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事の人気がある。日本維新の会が作った選挙ビラには「地方から国を動かした 命と経済を守る 維新の感染症対策実績」と銘打って、大阪府での実績を列挙している。しかし、コロナ関連の各種指標を見ると、大阪府の数字はよくない。札幌医科大フロンティア医学研究所ゲノム医科学部門のデータによると、人口100万人あたりの死者数(累積)は大阪府が345・6人で全国でワースト1位、ワクチン接種率は67・89%でワースト2位になっている。
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