タバコニコチンの抗ウイルス能力考

 更新日/2020(平成31→5.1栄和改元/栄和2).3.3日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「ジョンズ・ホプキンズ大学考」をものしておく。

 2011.03.21日 れんだいこ拝



 2020.4.28日、「「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」 まさかの新説は本当か」。

 トンデモ科学なのか

 桂歌丸さん、志村けんさんなど、ヘビースモーカーがCOPDや肺炎になりやすいことはさまざまな研究によって明らかにされている。ということは、人工呼吸器が必要になるほど急速に悪化する新型コロナ肺炎でも、喫煙が大きな影響を与えていると考えるのが自然だという研究者が圧倒的に多いのだ。では、フランス発の「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」というのはトンデモ科学なのかというと、現時点ではそう断言することは難しい。新型コロナについてはまだそれほど研究も進んでいないので、もしかしたらということだってあるだろう。田辺三菱製薬が買収したカナダのベンチャー、メディカゴがタバコの葉を「バイオリアクター」のように用いて、新型インフルエンザのワクチンを大量生産する手法の開発を進めているように、タバコ葉の成分にも医療へ応用できそうなものもないことはない。ならば、ニコチンにも何かしらの効果があってもおかしくはない。ただ、研究への評価はさておき、「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」という話に関してはかなり危ういものを感じている。データを都合のいいように解釈することで、ある特定の人々の利益につながる結論へと誘導しているように見えなくもない。つまり、いわゆる、スピンコントロール(情報操作)の可能性もあるからだ。


 「タバコ」をめぐる情報戦

 「そんな陰謀論のようなことを触れ回るな!」というお叱りを、全国の愛煙家、タバコ業界のみなさんからいただきそうだが、客観的事実として、タバコ業界が苦境に立たされると、どこからともなくタバコの健康面のメリットが唱えられる、というのは「あるある」というか、王道パターンなのだ。これまでもニコチンが健康に役立つという研究結果は、世界のさまざまな研究機関から発表されてきた。それ自体は科学の発展に大きく寄与することなので喜ばしいことなのだが、問題はそのタイミングである。往々にして、喫煙の健康被害が国際社会で叩かれたときや、世界的に喫煙規制が強まったとき、ストレートに言ってしまうと、タバコに「大逆風」が吹いているタイミングなのだ。例えば分かりやすいのが、愛煙家のみなさんがよく言う「タバコを吸っていると肺がんにはなるけど、アルツハイマーにはならないんだよ」というやつである。ご存じのない方も多くいらっしゃるが、実は現代の医療では、この因果関係は否定されている。むしろ近年では、喫煙が認知症リスクを高めるとか、アルツハイマーの危険因子になるという医学論文のほうが多いくらいなのだ。では、なぜそっちが社会に浸透してないのかというと、「ニコチンがアルツハイマーに効く」という研究のほうが先に注目を集めてしまったからだ。タバコがアルツハイマー病に効果があるという説は、古くは1960年代から唱えられているが、科学的根拠をもって主張されるようになったのは、2000年8月に「Smoking and Parkinson’s and Alzheimer’s disease: review of the epidemiological studies.」という学術論文が発表されてからだ。先ほど申し上げた、否定する研究はこの論文の「後」に出されている。最近のトイレットペーパーパニックが分かりやすいが、人は最初にインパクトのある話を聞いてしまうと、後になってそれを否定する情報が出てきてもなかなか耳に入らないものなのだ。ただ、筆者がここで指摘したいのは、このインパクトのある「ニコチンがアルツハイマーに効く」といった学術論文が世に出た2000年というタイミングだ。タバコ産業に関わる人たちの間では常識だが、実はこの時期は喫煙に対して世界的な大逆風が吹き始めたタイミングなのだ。昨今、愛煙家の方たちに肩身の狭い思いをさせている「受動喫煙防止」。自民党のタバコ族があれだけゴネたのに、なぜこの規制が通ってしまったのかというと、国際的に受動喫煙防止という大きな潮流に、日本が抵抗できなかったことが大きい。







(私論.私見)