上久保靖彦(京都大学大学院特定教授)の見立て考

更新日/2020(平成31→5.1栄和改元/栄和2).8.22日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「武田邦彦(工学博士/中部大学教授)氏の見立て考」をものしておく。

 2020(平成31→5.1栄和改元/栄和2).8.22日 れんだいこ拝


 2020年7月27日、奥村康(おくむらこう)順天堂大学医学部免疫学特任教授(医学博士)と上久保靖彦(かみくぼやすひこ)京都大学特定教授が、新型コロナウイルスに対する緊急記者会見を行つた。日本や韓国、台湾など東南アジア諸国は欧米との比較してコロナ死亡者が少ないと見立て、コロナに関する新発見を発表した。「コロナの第二波はこない」、「三密OK!コロナ対策は無用」と、主張し注目された。奥村康教授は、順天堂大学の医学部免疫学特任教授なので感染症の専門家。上久保教授は、この説を元に「緊急事態宣言は必要無かった」、「集団免疫を獲得しているので3密回避不要、マスク不要」、「ブースター効果を得るために再感染すべき」と主張している。3密や換気などは、根拠のない非科学的な対応とも言っている。
 2020.8.23日、「上久保靖彦教授の経歴は?コロナ集団免疫獲得説を信じていいの?」。
 2020年8月23日放送の【ビートたけしのTVタックル】に上久保靖彦教授が出演し新型コロナウイルスについての持論「日本人はコロナウイルスに対する免疫を持っていた」という説を展開した。
 京都大学iPS細胞研究所のノーベル賞受賞者の山中伸弥教授は日本の新型コロナウイルス感染拡大が欧米に比べて緩やかな理由があるはずだと見立て、それを仮に「ファクターX」と呼んでいる。京都大学大学院の上久保靖彦特定教授と吉備国際大学の高橋淳教授の研究成果「ウイルスには最低でも3つの型があり、それぞれの特性や感染経路によって国ごとの感染者数や致死率の違いを説明しようという新説」を注目しその候補の1つに挙げている。

 立命館大学政策科学部教授 上久保誠人は「この新説はすさまじい政治的破壊力を秘めている」として「上久保靖彦教授の【新発見】20項目」と題して次のように説明している。
2019年12月に中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスには「S型」「K型」「G型」の最低3つの型がある。
最初に日本に到来したS型(Sakigake)は、無症候性の多い弱毒ウイルス。インフルエンザに対する干渉は弱い。2019年12月23日にインフルエンザ流行曲線にわずかな偏向を残したにとどまった。
S型から変異したK型(Kakeru)は、無症候性~軽症のウイルス。中国で蔓延し、日本に到来してインフルエンザ流行曲線が大きく欠ける結果を20年1月13日に起こした。
ウイルスは武漢で変異して重度の肺炎を起こす武漢G型(typeG、Global)となった。そのため1月23日に武漢は閉鎖された。
中国・上海で変異したG型(欧米G型)は、まずイタリアに広がり、その後欧州全体と米国で大流行した。G型は日本にも到来したが、死亡者数が欧米諸国より2桁少ないレベルにとどまった。
G型ウイルスによる日本の死亡者数が欧米と比べて少なかったのは日本政府が3月9日まで入国制限を厳しく設定しなかったから。2019年11月から2020年2月28日までの間、中国から日本への入国人数は、184万人と推定されている。武漢閉鎖のアナウンスがなされる直前に500万人もが流出し、武漢から成田への直通便で9000人が日本に入国した。その結果、S型とK型の日本への流入・蔓延が続いていた。
S型とK型の日本への流入・蔓延が続いて日本人の間にS型・K型の集団免疫が成立した。
K型の侵入に対して体内のTリンパ球が反応し獲得する「細胞性免疫」がG型への罹患を防いだので日本人の死亡者が少なかった。
日本と同じく中国人の大量流入があった韓国や台湾、香港、シンガポールなどでも同様の集団免疫獲得があり、死亡者が少なかった。
10 米国やイタリアなど欧米諸国はウイルスを水際で防ごうと2月1日より中国からの渡航を全面的に禁止したためにK型の流入は大きく制限された。
11 欧米でもS型はすでにかなり蔓延していたが、S型の「細胞性免疫」は、G型の感染を予防する能力に乏しかった。
12 G型に感染した際に致死率を上げるのはS型に感染した履歴であることを明らかにした。
13 「S型への抗体によるADE」と「K型への細胞性免疫による感染予防が起こらなかったこと」。この組み合わせによって、欧米諸国ではG型感染の重症化が起こり、致死率が上がった。
14 K型への細胞性免疫が成立した場合、後に続くG型ウイルスの感染が予防される。
15 G型に対する抗体の有無を検査する際に、K型への細胞性免疫獲得の有無を検証しなければならないことを示唆している。しかし現在は細胞性免疫が獲得されているかどうかの検証がなされていない。
16 免疫を維持するためには、適度にウイルスに曝露して免疫を維持する「ブースター効果」(追加免疫効果)が必要であることを明らかにした。
17 新型コロナ対策として「ロックダウン(都市封鎖)」は効果がない。
18 「中国からの入国制限」をしなかったことが、日本人のK型の集団免疫獲得につながり、G型の感染拡大、重症者・死亡者の増加を防いだ。
19 「PCR検査を拡充せよ」との主張が間違っていることを立証した。
20 「三密(密閉、密集、密接)の回避」「人の接触を8割減らす」は新型コロナウイルスの重傷者・死亡者の抑制とは関係がないことを明らかにした。

 S型、K型、G型の特徴まとめ
1:S型感染により不完全抗体が生成される
2:S型のみの免疫ではG型感染でADEが起こり、致死率が上がる
3:K型感染により抗体は産生されず、細胞性免疫が誘導される
4:K型の免疫があるとG型に対して感染防御が成立

【新型コロナウイルス関連発言考】
 京都大学・上久保靖彦教授の経歴
 医師でもあり研究者でもある。
1986年 高槻高等学校(大阪府高槻市)卒業
1996年 兵庫医科大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院の研修医や兵庫県立尼崎病院(現・兵庫県立尼崎総合医療センター)血液内科専攻医を経る。
1999年 京都大学大学院医学研究科に進学。
2003年3月 血液・腫瘍内科学専攻を修了。
2004年4月から5年間、米国立衛生研究所(米国立ヒトゲノム研究所)の博士研究員。
2010年3月~東京大学医学部附属病院無菌治療部、東京大学大学院医学研究科血液、腫瘍内科学第6研究室(血液研究室)の室長。
2012年7月~大阪大学大学院医学系研究科遺伝子治療学講座の助教などを経る。
2013年12月~京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻検査技術科学コース准教授・癌創薬イノベーション研究室の室長。
2018年12月~特定教授
2020年3月まで、京都大学医学部附属病院血液内科外来非常勤担当。
研究関連・受賞歴
2009年:NIH FARE award受賞
2011年:「日本白血病研究基金」の研究賞を受賞
2018年:第一回兵庫医科大学緑樹会学術奨励賞受賞
2019年:日本白血病研究基金 令和元年度研究賞受賞




(私論.私見)