■戦争は誰が何のために起こすのか〜日本編〜B 07:03
引き続き高岩仁監督著『戦争案内―映画製作現場、アジアからの報告』より抜粋・引用です。
天皇家は世界一の大資本家であった
天皇に関する具体的な資料は、なかなか手に入りませんので、あまり詳しいことは報告できませんが、今私たちが手にしている資料の中だけでも大事なことがありますので報告します。明治天皇は日清戦争に勝って、賠償金から二千万円を手に入れたこと。そして植民地にした台湾の最大の産業、台湾製糖の第二位の株主になって、20年後には100%の配当を手に入れていたことは前にお伝えしました。二度目の侵略戦争の日露戦争後植民地にした朝鮮に、植民地支配の動脈のように施設した、京釜鉄道の上位株主は次のとおりです。
【京釜鉄道上位株主(1903年2月現在)】
また天皇が保有していた主な株は次のとおりです。
【天皇家の保有株数(1905年)】
【天皇家の保有株数(1942年)】
天皇が大量の株を保有していた企業は、ほとんど日本が行なう侵略戦争に関わっている企業や戦争の結果獲得した植民地支配関連企業です。つまり天皇は、日本が侵略戦争をして、植民地を拡大すれば着実に巨大な利益が得られる仕組みになっていました。
そして次の表をご覧ください。
【御資財本現在高】
慶応3年 |
102268万円 |
明治8年度始 |
510572円 |
明治9年度始 |
583519円 |
明治10年度始 |
805982円 |
明治11年度始 |
1072663円 |
明治12年度始 |
1085423円 |
明治13年度始 |
1218385円 |
明治14年度始 |
1320173円 |
明治15年度始 |
1442345円 |
明治16年度始 |
1710182円 |
明治17年度始 |
1927665円 |
明治17年度末 |
4374935円 |
(日銀・正金株編入)
明治18年度末 |
4505967円 |
明治年19度末 |
5157230円 |
明治年20度末 |
7885841円 |
(日本郵船株編入)
明治年21度末 |
9189268円 |
明治年22度末 |
9747517円 |
天皇家は封建時代の末期、慶応三年全資産の現金評価金額がわずか10万2268円でした。この頃天皇家では、出入りの豆腐屋さんに「今日の支払いはちょっと待って下さい」と言ったことがあるほど貧乏していたという話が、京都には伝わっています。ところが明治になって、日本が資本主義的発展を始めてからは、表にみられるように、鰻登りに資産が増え続けています。最初の頃は、当時の権力者、伊藤博文たちが、天皇に力をつけて、その力を利用して、日本を資本主義的に発展させようと考え、『金は力なり』と言って、明治維新のときに地方の大名から取り上げた、国の資産を次々に天皇家の資産にした結果のようです。それも憲法が制定され、国会が開設されてからでは、やりにくくならからと、国会開設以前に駆け込むように行なっています。
そして日本が、アジアに侵略を開始してからは、雪だるま式に資産を増やして、経済学者の報告では、1917年ロシア革命でロシアの皇帝が倒されてからは、天皇が世界一の大富豪になったとのことです。
その挙句の果てが次に紹介する、1945年日本敗戦時に米軍が調査して発表した数字です。日本の国土面積の10%を天皇家が所有していました。経済学者の試算によると天皇家の全財産の現金評価額は、当時のお金で660億円だったそうです。
【1945年当時の皇室財産資産】
種別 |
数量 |
評価額 |
備考 |
土地 |
1352210町歩 |
362293953円 |
平均1反歩26円70銭に当たる |
木材 |
561519千石 |
592865000円 |
1石につき約1円に当たる |
建物 |
約150000坪 |
299296657円 |
坪当たり約2000円 |
現金 |
|
24788387円 |
|
有価証券 |
|
311871503円 |
購入及び出資金額による |
合計 |
|
1590615599円 |
|
天皇家の資産は、戦後、GHQによって財産税33億4268万円が課税され、そのほとんどは物納されたそうです。
その後、天皇家に残された金融資産は1500万円。この1500万円が、昭和天皇が亡くなった時には、20億円にも膨らんでいました。
この謎については改めて触れますが、天皇家に経済顧問として投資のアドバイスをしていたのは、元経団連会長の石坂泰三氏や元三菱銀行頭取の加藤武男氏、元日銀総裁の森永貞一氏だったそうです。
ちなみに、『天皇家の財布』(森暢平著)によれば、2003年度の皇室関連予算は272億8105万4000円。このうち宮内庁関連予算は184億4490万5000円で、これは「宮内庁費」と「皇室費」とに分類され、さらに「皇室費」は、宮廷費(天皇家の公務のため費用)、皇族費(皇族のサラリー)、内廷費(天皇家のサラリー)の三つに分類されています。
宮廷費(宮殿の補修、皇居の庭園整備など土木・建設費、国賓を招く宮中晩餐会、著名人らを招く園遊会、国民体育大会や全国植樹祭への地方訪問等)は、63億6193万3000円。
皇族費(秋篠宮、常陸宮、高松宮、三笠宮、寛仁親王、桂宮、高円宮の七家で計18人)は2億9768万円。
内廷費が天皇家(天皇、美智子、皇太子、雅子、愛子、紀宮の六人)で3億2400万円。ただし、これには税金等がかからないし、生活費も税金から出るので、実質的には約6億円相当ということですが、使途は侍従の人件費等でほとんど固定されていて、実際に自由に使えるお金は、一人あたり推定500万円程度らしいです。