世界各国の軍事費、軍拡競争考

 (最新見直し2006.6.16日)

 (れんだいこのショートメッセージ)

 マザーテレサの次の言が紹介されている。

 「どうか平和への道を選んでください。短い間には、戦争の勝者と敗者がいるかもしれません。でも、決して、苦しみ、痛みは消えず、武器が引き起こす生活の損失を正当化できるものではありません」。


【世界各国の軍事費推移表】

 2006.6.12日付読売新聞(飯塚恵子記者)は、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が12日に発表した「06年版年鑑」を次のように伝えている。

 2005年の世界の軍事費は、ブッシュ米政権のイラク、アフガニスタンでの軍事支出が影響し、前年から実質3・4%伸びて約1兆1180億ドル(約128兆円)に達した。
05年の世界の軍事費上昇分の約80%が米国分。米国は世界全体の軍事費の48%を支出した。年鑑は米国の軍事費急増の理由について、対テロ戦争のほか、大型ハリケーン「カトリーナ」などへの対応も要因となったと指摘した。米国に次ぐ軍事費上位国は、全体の4〜5%の支出にあたる英国、フランスが続き、次いで日本、中国の順。中国の通常兵器輸入総額は、01〜05年の5年間で総額133億4300万ドルと、世界で最高だった。

 また、天然ガスや原油価格の上昇に伴い、資源国の軍事費の急増ぶりが目立っている。ロシア、サウジアラビア、アルジェリア、アゼルバイジャンに加え、チリやペルーでもこの傾向が顕著だとしている。


【世界各国の軍事費推移表】(資料乏しき故推定)
 世界各国の軍事費推移は次の通り。(2000ー2009)(単位:ドル)
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
アメリカ 2946億 3180億 3557億 4550億 5070億 8000億
ロシア 588億 11 114
日本 444億 467億 453
中国 411億 311 443
フランス 342億 336
イギリス  338億 360
ドイツ 282億 277
イタリア 205億 211
サウジアラビア 183億 216
10 ブラジル 175億
11 インド  144億 10 129
12 韓国  125億 135
13 イスラエル 94億 12 98
14 カナダ 75億
15 イラン 73億 175
参考 北朝鮮 15
台湾

 アメリカが断然世界一の軍事費支出国であることが歴然である。その次はというと団子状態になっている。但し、1980年代の中曽根政権の登場とともに日本は軍事費を増やしていき、フランス、ドイツと並ぶ支出国になった。東西冷戦終焉以後、各国が軍事支出を抑制する中で、日本はじりじり軍事費を増やし続け、1993年にイギリスを抜いて世界2位の軍事費支出国になった。これが90年代以来の趨勢である。中国もこの間3倍化という急増ぶりで中国脅威論の温床となっている。2000年以降、イギリスが突出し始め、第2位の不名誉な地位を占めている。(「下山房雄の論集・目次へ 」参照)

 米軍再編の世界的な流れの中で、日米安保体制はいつしか日米同盟となり、米国の世界戦略の一翼を担っている。日本の防衛費は昨年、世界第4位の453億ドル(5兆1864億円)で中国を10億ドル上回る。日本は、今後、米軍基地再配置に伴う3兆円の別枠支出を見込む。政府は防衛庁の省昇格を2006.6.9日に閣議決定、関連法案を提出した。この国の「安保をめぐる風景」はかくも変化しつある。


【世界の軍需企業ビッグ20】
  1位 アメリカ ロッキードマーチン
179億
  2位 アメリカ ボーイング
156億
  3位 イギリス BAEシステム
155億
  4位 アメリカ レイセオン
115億
  5位 アメリカ ノースロップグラマン
71億
  6位 アメリカ ゼネラルダイナミック
56億
  7位 フランス トーマスCSF
41億
  8位 アメリカ リットン
39億
  9位 アメリカ UTC
35億
 10位 フランス A M
33億
 11位 ドイツ ダイムラークライスラー
31億
 12位 イタリア I R I
30億
 13位 アメリカ T R W
30億
 14位 日本 三菱重工
25億
 15位 イギリス ロールスロイス
24億
 16位 イギリス G K N
19億
 17位 アメリカ ニューポートニュース
18億
 18位 フランス D C N
17億
 19位 アメリカ ゼネラルエレクトリック
16億
 20位 アメリカ コンピューターサイエンスC
15億
                               (2001年、ストックホルム国際平和研究所資料)

アポロ疑惑の映像

 一説によると、アメリカはソビエトの宇宙科学技術に遅れをとるまいとあせっていた。そこで有人月面着陸計画が浮上したのだが、あまりの技術差と安全性への疑問(アポロ1号の事故など)から、セット撮影による一部偽装が行われた。との説がある。これは、両国がまだ冷戦の時代のストーリーであるが、リアリティーに富んだ話だ。

 そもそも宇宙ロケットがなぜこうも開発競争に発展したのか? それは、核弾道ミサイル開発との密接な関係である。核弾道ミサイルは、打ち上げられた後いったん宇宙(大気圏外)へ出て、目標付近で大気圏突入する。その一連の流れは、まさに有人宇宙飛行船の飛行プロセスと同じなのである。つまり、宇宙開発に勝利した者が世界を制する。とまで言っても過言ではない時代だったのだ。

 さらに言うなれば、宇宙ロケットとは元来、核弾頭を搭載する事を前提とした設計になっていたのである。核弾頭を収納するスペースに、人工衛星または宇宙船を載せただけ。それが、宇宙開発の真相である。





(私論.私見)