【在日米軍基地思いやり資金】 |
(最新見直し2010.12.14日)
関連サイトは、「世界各国の軍事費、軍拡競争考」
(れんだいこのショートメッセージ) |
いつのまにか「思いやり予算」なるものが計上され、日本の税金を蝕んでいる。これを確認しておく。重要なのだが分かりにくくされている。れんだいこが、これの解析に向かう。最初は覚書程度にしておき、次第に要点を掴んでいくことにする。 2003.11.30日 れんだいこ拝 |
【在日米軍基地思いやり資金の導入経緯】 |
1960年に締結された日米安全保障条約及び同法に基づく日米地位協定では、そもそも米国の思惑による国際戦略から発動されているからして、在日米軍基地維持費用につき日本側の負担を認める条項はない。日本は、アメリカ軍に対して施設の提供をすることになってはいるが、施設の維持費用はアメリカが全額負担することになっている。僅かに基地用地の賃貸料などに限られていて、施設の維持費、人件費は当然の如く米国側が負担していた。そういう取り決めの下で日米安保条約が締結、更新延長されていた。これが、政府自民党ハト派政権時代の政治であった。 ところが、1976年のロッキード事件でハト派の総帥・田中角栄がはがいじめされ、鉄の軍団と云われた田中派の分裂瓦壊に功のあった竹下−金丸ラインがちやほや台頭することになった。当時、アメリカ政府は、ベトナム戦争後に訪れた財政危機とドル価値の急落に苦しんでいたこともあり、ころあい良しとみて日本政府に駐留経費分担を求め始めた。これに竹下−金丸ラインが呼応する。汚れ役を引き受けることにより角栄後の権力を約束されるという取引があったと思えば良い。ネオシオニストの常套手法である。 1978.6月、ブラウン国防長官は、訪米中の金丸防衛庁長官に、円高を理由として在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部(62億円)などへの一層の日本側負担増を求めた。金丸防衛庁長官は、「駐留経費の問題について、思いやりの立場で地位協定の範囲内でできる限りの努力を払いたい」と返事をし、ここから「思いやり予算」なるものが創出されることになった。同年、「特別協定」を締結した。これが「思いやり予算」誕生のいきさつである。 つまり、「思いやり予算」は極めて政治主義的に導入された違憲違法なものであるということになる。故に別枠の特別協定によって無理矢理に導入された。「思いやり予算」は、アメリカ本国でも「Omoiyari Yosan」と呼ばれている。「思いやり予算」を直訳すると「Sympathy Budget」(同情予算)となる。しかし、Sympathyには「憐れむ」というニュアンスがあるため、アメリカ政府、議会関係者に快く思われていない。そのせいか、公式な英訳としては「Host Nation Support」(駐留国受け入れ支援)が使われる。 |
【在日米軍基地思いやり資金膨張の様子】 |
日本側が思いやり予算を出し始めると、味をしめたアメリカ側は毎年にわたり経費の増額を要求してきた。「軍事的支援の代わりに資金援助を」との要請が為され、日本政府はズルズルとこれに従い、「思いやり予算」の負担対象及び額を増やし始めた。この間、1987年度の防衛費が初めてGNP比で1%を超えている。その後、防衛費予算は膨張し始め、やがて聖域となって現在に至っている。 |
【金丸の使い捨て考】 |
1992年、脱角栄以来、政権中枢に上り詰めていた金丸は、東京佐川急便からの5億円ヤミ献金問題で失脚する。例によって東京地検特捜部が動き、1992.9月、政治資金規正法違反で略式起訴され、東京簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受ける。マスコミが激しく糾弾する。1993年、東京地検がは金丸を脱税容疑で逮捕する。自宅へ家宅捜索を行ったところ、数十億の不正蓄財が発覚する。捜索の中、時価1千万円相当の金塊が発見されたと云う。1996年、失意のまま脳梗塞で死去する。 要するに、用済みとなり使い捨てされたということになろう。問題は、こうして竹下−金丸ラインは使い捨てにされるが、他方で最後まで権力を与えられ続ける中曽根−小泉派のような連中もいる。その差はどういうところにあるのだろうか。こういうところを詮索せねばなるまい。 |
【小泉政権下の軍事予算膨張考】 |
小泉政権下で、「思いやり予算」を含めた防衛費、戦争支援金が湯水の如く使われたのは周知の通りである。この時期、「思いやり予算」自体は2000億円強で高目安定で推移しているが、他にも地位協定分の負担額等があり、全体額の全貌は明らかにされていない。2004年度の在日米軍駐留経費負担額は約2440億円となり、額の多さから、日本は「世界一気前のいい同盟国」、「重要な戦略的貢献となっている」と日本の良い子ぶりが評価されている。 2006.4.25日、在日米軍再編の米側担当者であるローレス国防副次官は、ワシントンにある国防総省で記者会見し、概要「日米間のこれまでの調整により、米国の沖縄海兵隊のグアム移転に関する在日米軍の再編にかかわる日米分担額が確定した。経費の総額が約300億ドル(約3兆4300億円)、日本側負担が計約260億ドル(約2兆9900億円)、米側負担分は41.8億ドル(約4800億円)に上る見通しである。100億ドルのグアム移転経費については、23日の日米防衛首脳会談で、日本側の負担が59%とすることで決着した。公平にまとめられた取引だと思う。米軍普天間飛行場移設経費など日本国内の再編・移転費は今後6〜7年で約200億ドルとなり、全額が日本の負担となる。これに23日の日米防衛首脳会談で決着した海兵隊グアム移転費の日本側負担60.9億ドルが加わる。同盟に対する日本側の投資は膨大な金額だ。日本側は海兵隊のグアム移転費だけでなく、かなりの出費をする。財政支出上の義務は多くが2012年までの時期に入っている」云々と声明した。
更に、再編終了時期を基本的に2012年に置く一方、普天間飛行場移設に伴う米軍キャンプ・シュワブ沿岸部の代替施設建設は「厳密に12年までに実施されるかはわからない」と述べ、数年の延長がありうるとの見方を示した。海兵隊のグアム移転は「普天間飛行場移設の着実な実施にかかっている」と同飛行場移設実施が前提との考えを強調し、「これら大規模な統合が2〜3年かけて実施された後、日本に旧施設が返還される」と説明した。 かくて、日本は、当初見込んでいた2兆円超を大幅に上回る3兆円近くの負担を強いられることになった。ローレス発言は、国内分の具体的な内訳には触れていない。「控えめな試算」としており、日本側負担の総額は3兆円を超える可能性がある。 4.26日、安倍晋三官房長官は、記者会見の席上、米軍再編に伴う日本側の負担が計約260億ドルにのぼるとの見通しをローレス米国防副次官が示したことについて、「どのような内容か承知していない。印象としては途方もない金額なのでコメントを差し控える。国内の費用については基本的にしっかり精査していく」と述べた。 |
【緊縮財政下の「思いやり予算」の扱い考】 |
アメリカ側は、在日米軍再編費用につき日本に過分な負担を強いつつ、「思いやり予算」についても更なる増額要求の姿勢を崩さず追加を迫っている。自公政権は、2007年度に於いても「思いやり予算」を2173億円計上した。その他、地代や周辺の防音工事、自治体への補助金、無償提供中の国有地の推定地代を含めると日本の負担は年間6092億円、米兵1人当たり約1800万円に達している。 |
【在日米軍基地思いやり資金に対する鳩山政権の対応】 |
凡そかような見通しになるが、鳩山政権は、どう対応しようとしているのだろうか。2009.8月末、日本政府は、年間30億円以上の思いやり予算の削減を米政府に要請したと云われているが、この程度の削減で果たして削減と云えるだろうか。 「2009.10.24日付け赤旗の米軍「思いやり」聖域化 前政権下の予算要求額と変わらず」によると、2009.10.23日、防衛省の2010年度軍事費(防衛関係費)の概算要求(15日決定)で、米軍基地建設費や従業員の給与などを負担する「在日米軍駐留経費」(思いやり予算)が1919億円(歳出ベース)と、8月末の自公前政権下の概算要求額とまったく変わらないことが明らかになっている。米軍再編経費では、自公政権が決めた新規事業をそのまま盛り込み、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係経費も同額となっている。「思いやり」予算とこれらを合わせた総額は2870億円で、09年度予算の2879億円とほぼ同額。鳩山新政権でも“聖域”化されていることが明確になった、とある。 防衛省は、米軍再編経費の内訳で、在沖縄米海兵隊グアム移転関連の「民活事業」を新規に盛り込んでいることを認めた。同事業は、米兵家族住宅約3500戸の建設や電力などのインフラ整備のための民間事業者の選定、出資等を行うもの。これ以外では、パトリオット(PAC3)追加配備をはじめとした「ミサイル防衛」予算に1662億円(契約ベース)を計上。09年度予算と比べて550億円もの増額を要求している。装備関係では、新戦車の調達量を8月時点の58両(561億円)から16両(157億円)に減らしているが、防衛省は、「(8月の時点では)2010年度から4カ年度分の集中調達を計上していたが、今回は10年度分だけにした。11年度以降は改めて要求する」と、新戦車の調達量を変更したわけではないとしている。 2009.10.20〜21日、ゲーツ米国防長官が訪日し、岡田外相、北沢防衛相、鳩山首相と相次いで会談した。普天間飛行場をキャンプ・シュワブ(同県名護市)に移設するという日米合意を履行するよう強硬な姿勢で求めた。 |
【れんだいこの在日米軍基地思いやり資金粉砕論】 |
れんだいこの在日米軍基地思いやり資金に対する態度は決まっている。端から認めない。粉砕あるのみである。そもそも、在日米軍の存在そのものが憲法上認められない。憲法上認められないものに対する予算計上は有り得てならない。いわんや更に増額するなどとは。 日米安保条約をして日本の安全買いとして認める者も多かろうが、この不況下にも拘わらずとめどない予算計上に対してまで是認するべきだろうか。底なしであり、いつまでどこまで責任を負うべへきなのかガイドラインを設けるべきところ、国際金融資本の鉄拳にひれ伏して誰もものを云わない。伏魔殿に化している現実を知るべきであろう。角栄−大平ラインの頭脳があれば、こういうテイタラクは見せなかったはずだ。日本政界のハト派からタカ派への転換は、こういうところにも表れていることを知るべきではなかろうか。 2009.10.29日 れんだいこ拝 |
【在日米軍基地思いやり資金グラフ】 | ||
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2009年6月23日(火)「しんぶん赤旗」米基地整備に2兆円超 「思いやり」予算30年 4800万円住宅・娯楽場・原子力空母停泊地まで |
Re::れんだいこのカンテラ時評869 | れんだいこ | 2010/12/14 21:00 |
【菅派の粗脳丸出し「思いやり予算交渉史」考】 2010.14日、菅政権は、小沢どん政治訴追に対する強硬策で世間の気を引きながら、その裏技で、「思いやり予算」対応で新たな米奴ぶりを歴史に遺した。これを確認するのに菅派の粗脳が丸出しとなっている。許し難いので、これを確認しておく。 「思いやり予算」とは要するに、米国の対日防衛負担費の別枠負担を云う。それまでの負担を仮に通常負担とすれば、新たな負担が強いられ、これを受け入れた第二負担である。歴史的に見て米軍駐留と同時に始まったものではない。1976年ロッキード事件で田中−大平同盟が解体されて以降、国際金融資本の増長により産み出されたものである。 国際金融資本は、1978年頃より、田中派解体の引導役を果たした金丸−竹下派を上手に持ち上げ、米国による対日防衛費の日本側負担増を求め始めた。当時の金丸防衛庁長官が、ブラウン国防長官に対し、「駐留経費の問題について、思いやりの立場で地位協定の範囲内でできる限りの努力を払いたい」と返事をし、ここから「思いやり予算」なるものが創出されることになった。同年、「特別協定」を締結した。これが「思いやり予算」誕生のいきさつである。 つまり、「思いやり予算」は極めて政治主義的に導入された違憲違法なものであるということになる。故に別枠の特別協定によって無理矢理に導入された。「思いやり予算」は、アメリカ本国でも「Omoiyari Yosan」と呼ばれている。「思いやり予算」を直訳すると「Sympathy Budget」(同情予算)となる。しかし、Sympathyには「憐れむ」というニュアンスがあるため具合が悪いとして公式な英訳としては「Host Nation Support」(駐留国受け入れ支援)が使われている。 日本側が「思いやり予算」を出し始めると、味をしめたアメリカ側は毎年にわたり経費の増額を要求してきた。「軍事的支援の代わりに資金援助を」との要請が為され、日本政府はズルズルとこれに従い始めた。この間、1987年度の防衛費が初めてGNP比で1%を超えている。その後、防衛費予算は膨張し始めGNP比5%に達し、やがて聖域となって現在に至っている。 「思いやり予算」の1978年に於けるそもそもの始まりに於いては基地従業員の人件費を対象としていたが、1979年からは米軍の施設建築費用を賄い始めた。1991年からは電気代・水道代など光熱費の施設維持費用などにも使われ始めた。1996年からは訓練移転費(日本側の要請によるアメリカ軍の訓練移転のための経費)などを含むようになった。「思いやり予算」はかく湯水の如く打ち出の小槌でバラ撒かれつつ今日に至っている。 現在、「思いやり」予算を使った施設建設は66基地でおこなわれ、その項目は「家族住宅」、「学校」から「航空機掩体(えんたい、耐爆シェルター)」、「桟橋」などの戦闘作戦支援施設まで64項目にわたっている。1979年度から始まった基地建設費(提供施設整備=FIP)が2000年度までの22年間で1兆6000億円、2008年度までの30年間で約2兆1283億円に達すること、全国66の米軍基地で1万2872件の施設が建設・改修されていること等々が判明している。 ところで、米軍駐留を受け入れている同盟国で、かような「思いやり予算」を支出しているのは日本だけである。当然、これを税金で賄っている。他にも在沖縄海兵隊訓練移転費が1997〜2008年度までに109億円。「思いやり予算」以外のものとして、1・SACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費が1996年度より、在日米軍再編経費が2009年度より計上され屋上屋を重ねるように新たな費目を次々と生み出している。他にも防衛省以外の他省庁予算があるが実態不明となっている。これが日米運命共同体論の裏舞台である。 この間、田中派解体の功により重用され、「思いやり予算」導入の立役者となった金丸は、1992年、東京佐川急便からの5億円ヤミ献金問題で失脚する。例によって東京地検特捜部が動き、政治資金規正法違反で略式起訴され、東京簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受ける。これをマスコミが激しく糾弾し、1993年、東京地検が金丸を脱税容疑で逮捕する。自宅へ家宅捜索を行ったところ、数十億の不正蓄財が発覚する。捜索の中、時価1千万円相当の金塊が発見されたと云う。1996年、失意のまま脳梗塞で死去している。要するに、用済みで使い捨てにされたと云うことになる。竹下は死して「その罪、万死に値する」なる文句を遺した。これが角栄政治訴追に呼応した裏切り派の末路である。 竹下−金丸連合の使い捨てをほくそえみつつのうのうと大勲位の座を維持し続けているのが中曽根である。お調子者の中曽根のお株を奪う米奴盲従派で奉公し続けたのが小泉である。この功績により、中曽根と小泉は名宰相の誉れを得ている。マスコミメディアがこれを喧伝し続けている。今日、この勢力が日本政治を牛耳っている。 対照的なのは鈴木善幸であった。暗愚の宰相と云われた。戦後保守系ハト派政治は善幸で終わる。1950年代半ばから1980年代初頭までの25年間、戦後保守系ハト派が日本政治を舵を取ることにより戦後日本は未曽有の正成長を遂げた。これを逆に云えば、1980年代以降から今日までの30年間にわたる日本は、戦後保守系タカ派に日本政治が牛耳られることにより正成長時代の国富をすっかり食い潰してしまった。それどころか、先進国中随一の国債累積債務をしょい込み、更なる債務増の道へ誘われつつある。日本の経済構造を下支えしてきた中小零細企業がバタバタとなぎ倒されている。現代は、こういう狂気の時代の渦中にある。 もとへ。2000年代の小泉政権時代、「思いやり予算」を含めた防衛費、戦争支援金が湯水の如く使われたのは周知の通りである。この時期、「思いやり予算」自体は2000億円強で高目安定で推移しているが、他にも地位協定分の負担額等があり、全体額の全貌は明らかにされていない。2004年度の在日米軍駐留経費負担額は約2441億円となり、額の多さから、日本は「世界一気前のいい同盟国」、「重要な戦略的貢献となっている」と褒められ、「日本の良い子ぶり」が評価されている。 「思いやり予算」は1999年の2756億円が最高額で、その後は毎年削減され続けた。しかし、2004年度の思いやり予算は2441億円であるが、他に地位協定分の負担額として1820億円計上されているので、この時点が実質的なピークと思われる。2006年度予算では2326億円(内、特別協定分1338億円、前年度比2.22%減)が計上されている。米国防総省の「基地構造報告」2007年版によると、在外米軍基地の資産価値で、在日米軍基地は上位3位までを独占している。訓練施設や航空機、艦船の修理機能、米兵の居住環境など、どれをとっても最高水準にある。「思いやり予算」効果であろう。 小泉政権下の日本政府は、米国政府の要請を受け、更に米領グアムでの海兵隊基地建設費を負担しようとし始めた。背景に米軍再編に絡む沖縄からの移転があったが、これにより「思いやり予算」が国外の米軍基地建設費用まで及ぶことになった。「思いやり予算」には歯止めがないと云うことが分かる。この計画の内訳を見ると、件数で家族住宅1万1363件、兵舎230件と住宅関連が約9割を占めている。家族住宅は建築費だけで1戸あたり約4800万円で日本の平均的な住宅よりはるかに割高なものになっている。狭いものでも約100u、最大で約230uに達する家族住宅になっている。その他学校や娯楽施設、病院、運動場、艦船や航空機などの修理施設、戦闘機の格納庫や耐爆シェルター、滑走路、原子力空母が接岸できるバース(係留施設)など68項目に及んでいる。2009年度予算で初めて建設費346億円が計上された。 2006.1.23日、麻生太郎外務大臣とゼーリック国務副長官が、「思いやり予算」の期間を5年から2年に短縮した新特別協定に署名した。同年3.14日、衆議院本会議で承認され参議院に送付された。これにより、暫定的に内容を変えず2年毎に延長することになった。 2006.4.25日、在日米軍再編の米側担当者であるローレス国防副次官は、ワシントンにある国防総省で記者会見し次のように声明している。概要「日米間のこれまでの調整により、米国の沖縄海兵隊のグアム移転に関する在日米軍の再編にかかわる日米分担額が確定した。経費の総額が約300億ドル(約3兆4300億円)、そのうち日本側負担が計約260億ドル(約2兆9900億円)、米側負担分は41.8億ドル(約4800億円)に上る見通しである。100億ドルのグアム移転経費については、23日の日米防衛首脳会談で、日本側の負担が59%とすることで決着した。公平にまとめられた取引だと思う。米軍普天間飛行場移設経費など日本国内の再編・移転費は今後6〜7年で約200億ドルとなり、全額が日本の負担となる。これに23日の日米防衛首脳会談で決着した海兵隊グアム移転費の日本側負担60.9億ドルが加わる。同盟に対する日本側の投資は膨大な金額だ。日本側は海兵隊のグアム移転費だけでなく、かなりの出費をする。財政支出上の義務は多くが2012年までの時期に入っている」。 要するに、「思いやり」レベルではなく「至れり尽くせり」であることを、ローレス国防副次官が自慢げに語っていることになる。 これに、沖縄の普天間飛行場移設問題が絡み始める。米軍キャンプ・シュワブ沿岸部の代替施設建設案が浮上し始め、「至れり尽くせり予算」で賄うことが確認された。かくて、日本は、当初見込んでいた2兆円超を大幅に上回る3兆円近くの負担を強いられることになった。ローレス国防副次官発言は、国内分の具体的な内訳には触れていない「控えめな試算」としており、日本側負担の総額は3兆円を超える可能性がある。当時の安倍晋三官房長官は、記者会見の席上、米軍再編に伴う日本側の負担が計約260億ドルにのぼるとの見通しをローレス米国防副次官が示したことについて次のように述べている。「どのような内容か承知していない。印象としては途方もない金額なのでコメントを差し控える。国内の費用については基本的にしっかり精査していく」。しかし、安倍がどう述べようと「至れり尽くせり」は進行中である。 こういう「思いやり予算史」に対して、民主党はどういう立場で臨んでいるのだろうか。2008年、野党時代の民主党は、米軍基地を抱える他国より日本の負担水準が高く、ゴルフ場など娯楽施設への支出があることを問題視し、思いやり予算の根拠となる現行特別協定の国会承認に反対した経緯がある。ほんのささやかな抵抗でしかないが、反対の姿勢だからまだ良いと云うべきかも知れない。 2009年政権交代の二番手政権として登場した菅政権の「思いやり予算」政策を確認しておこう。2010.8月末の11年度予算概算要求で、防衛省が思いやり予算を一般国民の意見を参考に予算配分を決める「政策コンテスト」の対象とした。これに対し、米側は「重大な懸念」を表明。防衛省は、思いやり予算が「聖域」として全額確保されるとの見通しを伝えたが米側は疑心暗鬼に陥った。ここから、米側の巻き返しが始まる。我々は、いとも簡単にねじ伏せられる菅政権を見ることになろう。 同年11.4日、日米両政府は外務省で外務・防衛当局の審議官級協議を行った。思いやり予算改定をめぐり、日本側は在日米軍基地のエコ対策に伴う費用増を受け入れる一方、光熱水費を削減して総額を現行水準(平成22年度で1881億円)に維持する方針を伝えた。だが、総額で上積みを求める米側の姿勢はなお強硬で、協議は平行線をたどった。あらましの合意ができ、11.13日、菅首相とオバマ大統領会談が設定された。米側は「最大の成果だ」と共同発表を求めたが、日本側は国内の調整が済んでいないことを理由に拒否した為、共同発表には至らなかった。11.22日、政府は、平成23年度予算案に盛り込む1兆円超の「元気な日本復活特別枠」に関する要望事業を絞り込む「政策コンテスト」の対象となっている思いやり予算について4段階評価で最上位の「A」とする方針を固めた。これにより、防衛省の要望額1859億円に対し、菅首相の最終判断を経て満額回答となる見通しとなった。 この間並行して、北朝鮮による韓国哨戒艦沈没事件、尖閣諸島の漁船衝突事件、北朝鮮の延坪(ヨンピョン)島攻撃事件が発生し、日中関係の領土紛争、朝鮮半島情勢の緊迫化が始まる。菅政権は、日米同盟重視の御旗を高く掲げ、思いやり予算丸のみに舵を切る。2011(平成23)年度以降の思いやり予算について、2010(平成22)年度の水準(約1881億円)を2011年度から5年間維持することで米国と合意したと発表した。現行の3年間は5年間延ばし「5年間現状維持」となった。官房長官は、記者会見で、「在日米軍は日米安保体制の抑止力の中核だ。日米同盟を一層安定的に運用していくという両国のメッセージだ」と述べ意義を強調した。北沢俊美防衛相は、記者会見で「日米とも極めて厳しい財政状況の中、同盟の趣旨をしっかり理解しながらやっていくためには総額維持は妥当だ」と述べた。政府は来年1月にも負担に関する特別協定に署名した上で、22年度中の国会承認を目指す。 菅政権は、小手先の小細工を弄している。米軍施設従業員労務費のうち、バーテンダーやゴルフ場など娯楽施設で働く430人分を削減することで「民主党らしさ」(首相周辺)を演出した。しかし、労務費削減には民主党支持の全駐留軍労働組合だけでなく、仲井真弘多沖縄県知事も反対しており、日米のもう一つの懸案である米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)移設問題にも微妙な影響を与える可能性もある。米軍施設の光熱水費も現在76%の日本側負担割合を72%に削減することで合意した。この減額分を、在日米軍の隊舎や住宅への太陽光発電導入や、冷暖房の効率を高める断熱材改修などの「エコ対策費」に振り向け、全体で総額を維持する云々。 少々長くなったが、「思いやり予算」なるものがどういうものなのか、菅政権が米側に如何に軽くあしらわれているかが確認できれば良い。レンボウの事業仕訳が何の意味もないヤラセでしかないことが分かれば良い。日本よ、本当に大丈夫なのか、首相不在の正月でこたつに入って暫し黙考した方がよいのではなかろうか。 2010.12.14日 れんだいこ拝 |
(私論.私見)