イージス艦購入史考

 (最新見直し2008.2.19日)

【天木氏のイージス艦疑惑指摘】
 「天木直人のブログ」の2007.3.16日付け「ミサイル探知のできないイージス鑑を米国から買わされている日本」を転載する。

 ミサイル探知のできないイージス艦を米国から買わされている日本

 3月16日付の東京新聞に貴重なスクープを見つけた。米軍再編の一環であるミサイル防衛システム強化に協力しろと日本は米国からイージス艦の追加導入を迫られた。その一隻が、15日に海上自衛隊の鶴舞基地に配備された。ところがその新型イージス艦「あたご」に、なんと弾道ミサイルを探知、追尾する能力がないことがわかったというのだ。北朝鮮のミサイル脅威のために導入したはずの追加イージス鑑にその能力がないというのでは、これはもう殆ど冗談だ。

 自衛隊海上幕僚長の言い訳がふるっている。「あたご」の建造が決まった2002年段階では、米国は最新式イージスシステムであるベースライン7しか製造していなかった、だからそれを導入するしか選択の余地はなかったというのだ。

 これについては若干説明がいる。イージス艦とは通常の戦艦に高度の対空ミサイル防衛システム(イージスシステム)を搭載した戦艦の総称である。戦艦は日本の造船企業が国内で建造するが、イージスシステムは米国から購入することになっている。

 これまでわが国が導入してきた4隻のイージス艦は、いずれも、北朝鮮から発射されるミサイルを日本の領海から探知、追尾する能力を持つ従来型システムであるベースライン4もしくは5を搭載している。しかし最新型のベースライン7は近距離の航空機を探知する役割に限定されており、弾道ミサイルの探知能力は付与されていないというのだ。日本としてはベースライン4または5を購入したかったのだが、それが製造されていなかったのでベースライン7を購入するしかなかったというのだ。

 とりあえずは従来型のミサイル防衛能力を持つイージス艦「みょうこう」を、「あたご」と一緒に舞鶴基地に配備し、米国のイージスシステム開発状況を見ながら「あたご」へのミサイル防衛能力を付加することを考えていきたいという。なんといういい加減な装備状況であるのか。

 一隻のイージス鑑に搭載されるイージスシステムの購入費は数百億円といわれる。一隻のイージス鑑建造費は約1000億円といわれる。当面何の役にも立たないイージス艦の導入のために、こんな巨額の税金が米国と日本の軍需産業に支払われているのだ。しかもこの東京新聞のスクープがなければ、我々はまったく知らされずじまいであったのだ。しかも軍事装備の導入はブラックボックスだ。米国には言い値で売りつけられ、国内軍需産業と防衛省の癒着は談合と天下りの巣窟である。

 おりしもシーファー駐日米国大使は14日都内で講演し、日本の負担は少ないと防衛予算の増額を迫った。米国はGDP比で4%であるのに日本は1%に満たない。国民一人当たりの負担は十分の一だと文句を言ったのだ。当たり前である。戦争国家米国と憲法9条を持つ日本は当然予算の使い方が違う。

 このシーファー大使の言葉はわが国の将来を如実に物語っている。ただでさえ日本経済は破綻に瀕しているというのに、米軍再編に本格的に協力させられるようになると日本国民の生活は軍事費の負担で押しつぶされてしまう。戦争で人命を落とす前に、日常生活そのものが苦しくなっていくのだ。今は何としてでも憲法9条を変えてはいけないことがわかるであろう。これは右翼も左翼もない。国民が等しく共有すべき目の前の危機なのである。

 補講

 新鋭艦「あたご」は、国内5隻目のイージス艦として、三菱重工業長崎造船所(長崎市)で建造された。2005.88月に進水、2007.3月に就役し、高度な防空戦闘能力を有するイージス艦としては最新。全長165メートル、幅21メートル、排水量は7750トンで護衛艦の中で国内最大。建造費は約1400億円で乗組員の定員は約300人。母港は舞鶴港で、ヘリコプター1機の格納庫を国内イージス艦として初めて装備した。レーダー波の探知距離は他の護衛艦より大幅に長く、対空では100キロを超え、360度全周で複数の対象の探知、識別、追尾が可能。敵艦のレーダーに捕捉されにくいステルス機能も備えている。(英訳参照)

(私論.私見) 天木氏のイージス艦疑惑指摘考

 天木氏は、2007.3.16日付け「ミサイル探知のできないイージス鑑を米国から買わされている日本」()の中で、次のような重要な指摘をしている。

 1・日本が米国からイージス艦の追加導入を迫られている。
 2・イージス艦は、巨額の税金を費やす割には、その能力が不自然に限定されている。
 3・一隻のイージス鑑に搭載されるイージスシステムの購入費が言い値の数百億円で売りつけられている。
 4・一隻のイージス鑑建造費が約1000億円といわれている。
 5・国内軍需産業と防衛省が癒着しており、談合と天下りの巣窟となっている。
 6・米国から、日本の負担は少ないと防衛予算の増額を迫られている。

 締めくくりとして、「日本経済は破綻に瀕しているというのに、米軍再編に本格的に協力させられるようになると日本国民の生活は軍事費の負担で押しつぶされてしまう」と述べている。正論であろう。

 2007.3.17日 れんだいこ拝


Re:れんだいこのカンテラ時評270 れんだいこ 2007/03/17
 【イージス艦巨大利権を暴け】

 天木氏は、2007.3.16日付け「ミサイル探知のできないイージス鑑を米国から買わされている日本」(ttp://www.amakiblog.com/archives/2007/03/16/)の中で、次のような重要な指摘をしている。

 1・日本が米国からイージス艦の追加導入を迫られている。
 2・イージス艦は、巨額の税金を費やす割には、その能力が不自然に限定されている。
 3・一隻のイージス鑑に搭載されるイージスシステムの購入費が言い値の数百億円で売りつけられている。
 4・一隻のイージス鑑建造費が約1000億円といわれている。
 5・国内軍需産業と防衛省が癒着しており、談合と天下りの巣窟となっている。
 6・米国から、日本の負担は少ないと防衛予算の増額を迫られている。

 締めくくりとして、「日本経済は破綻に瀕しているというのに、米軍再編に本格的に協力させられるようになると日本国民の生活は軍事費の負担で押しつぶされてしまう」と述べている。正論であろう。れんだいこは、天木氏の上述の指摘に対し、以下の文を補足しておく。

 れんだいこが、「イージス艦購入史」に注目する訳は、イージス艦1艦で、航空機数十から百機に値する桁外れに巨額な費用が動いているからである。行政上、防衛費は原子力と並ぶ超巨大二大利権源であり、当然ながら企業と役人、政治家が結託し蠢いている。

 そのイージス艦の購入史を調べようと思ったら、グーグル検索でも充分なものが出てこない。これだけ検索が充実してきているにも拘らず、いざ肝心な情報を調べようとすると役に立たない。重要情報が秘匿されている好例だろう。こういう事例はままあるので驚きはしないが、ここにも闇を見つけた思いがする。

 イージス艦とは駆逐艦や巡洋艦などの軍艦の種別ではなく、「イージスシステムを搭載した艦艇の総称」である。ちなみにイージスとは、ギリシャ神話の中で最高神ゼウスが、娘アテナに与えたというあらゆる邪悪を払う盾(胸当)アイギス(イージス)の名であり、これを冠している。アイギスは、元々ヤギの皮を指す言葉で、ゼウスが与えた雌ヤギの皮から作った盾は、振れば忽ち嵐を起こすという。

 イージス艦は、対空戦闘能力が優れているというのが触れ込みで、その技術は艦隊防空の要となっている。米国海軍が開発した世界最高水準の防空システムを搭載しており、数百キロをカバーする高性能レーダーと大型コンピューターを備え、多数の敵ミサイルや航空機を瞬時に探知し、識別し、対空ミサイルや機関砲などで十以上の目標を同時に打ち落とすことができる。弾道ミサイルを迎撃するミサイル防衛網(МD)の柱の一つに据えられている。

 その「イージスシステム」はアメリカが開発した軍事技術であり、1983年、アメリカ海軍に「タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦」の一番艦「タイコンデロガ」が就役した際に初めて搭載された。元々は原子力を動力源とする艦艇にシステムの搭載を予定していたが、コスト高などの問題により搭載された、と云われている。判然としないのは、この技術及び権利を誰が所有しているのかである。民間が持っているのか国家が持っているのか知りたいが分からない。

 1988(昭和63)年、中曽根政権が、「シーレーン防衛論」に基づきイージス艦導入と海上自衛隊への配備を決定した。「シーレーン防衛論」とは、島国である日本は、資源・エネルギーを海外からの輸入に依存しており、海上輸送路の防衛は重要課題である云々というものである。日本に於けるネオ・シオニスト随一政治家の「誉れ」高い中曽根の時代に購入決定されたところがミソである。思えば、中曽根は、「ロスチャイルド産の原子力、自衛隊機、イージス艦」導入と云うトンデモ話に必ず顔を出していることになる。

 政府決定に基づき、一番艦として「7200トン型護衛艦」である「こんごう型」護衛艦が建造され、1993年に竣工した。約1200億円を費やした。続いて、同じくこんごう型のきりしまが1995年、みょうこうが1997年、ちょうかいが1998年、合わせて4隻が建造された。都合5000億円が費やされたことになる。

 現在、護衛艦隊隷下の1個護衛隊群に1隻ずつ配備され、艦隊防空の要となっている。目下ヘリコプター搭載能力とミサイル防衛を考慮した「あたご型」護衛艦が就役中で、一番艦「あたご」が2007.3月に竣工、二番艦「あしがら」が三菱重工長崎造船所で現在艤装中で2008.3月に竣工予定である。更に、現在配備されている「こんごう型護衛艦」1隻をミサイル防衛に対応させる為の予算が2004年(平成16年)度予算で認められた。イージス艦は合計6隻を目指している。

 してみれば、日本は、中曽根のイージス艦導入決定以来今日まで、絶えず建造されたり改造され続けていることが判明する。で、この費用は合計幾らになるのであろうか。興味深いことは、イージス艦建造が、システム料に数百億円と云われる巨額を費やしつつ日本の造船所で建造されていることにある。それは、「元請け米国、下請け日本」を象徴している。つまり、「理想的」日米関係の下で、両国にまたがる利権構造下でいわゆる「死の商人」が徘徊していることになる。

 メディアは、こういう重要事案を追求しない。政官財のちまちました腐敗を突くことを好む。大概ハト派系が狙い撃ちされ、大物とならば日共が裏から挟み撃ちする。日共は、現代最大の巨大利権にメスを入れようとしない。公共事業をムダとする弁論では正義のペンを振るうが、軍事費用についてはせいぜい解説するぐらいで済ませている。考えてみれば、どちらにも利権が発生しているとして、公共事業の場合には後々社会基盤整備に役立つ。軍事費用はまるでムダになってしまう。軍事事業の方がより酷いムダなのではなかろうか。つまり、日共は、逆の攻撃ばかりしていることになる。れんだいこは、そう思う。

 2002.12.4日、小泉政権の下で、そのイージス艦を、テロ対策特別措置法による後方支援の一環としてインド洋へ派遣することが決定された。イージス艦は建造に莫大な費用を投じているばかりでなく、日米合作の悪事に利用されていることになる。注目すべきは、小泉政権時代、中曽根政権と匹敵する軍事傾斜ぶりを見せていることであろう。イージス艦追加のみならずミサイル防衛網整備と云う巨額つぎ込みも決定している。この両者が、海外から名宰相ともてはやされ、西欧事大主義を特質とする我らが自称知識人が「その通り」と追従する。メディアがこれを煽りに煽る。こういう風に名宰相が作られている。

 現在イージス艦を保有、配備しているのはアメリカ、日本、スペイン、ノルウェーのみであるが、韓国、台湾もこれに加わる予定であると云う。中国も加わろうとしている。「イージスシステム」のパテント所有者は笑いが止まらないだろう。1200億円の1割の120億円が営業費に使われても割に合うだろう。

 現在、海上自衛隊は、護衛艦(旧海軍の巡洋艦程度の大きさ)を63隻程度、その他ミサイル艇3隻、潜水艦16隻他の艦艇多数を保有している。ミサイル艇、航空機艇、掃海艇など補助艦なども保持している。米国の沿岸警備隊に相当する海上保安庁の巡視船は15〜50隻程度ある。これらも有事には動員される。

 イージス艦購入史考
 ttp://www.marino.ne.jp/~rendaico/zieitaico/iigiskankonyuco.htm

 ちなみに、こういう論考をする場合、全てあちこちからパクッている。それをれんだいこ文にしているだけである。中には似た記述が痕跡しているだろう。れんだいこは、著作権法違反として咎められるのだろうか。関係者に通知し承諾を要するのだろうか。著作権が煩わしい時代になったもんだとつくづく思う。一句申そう「物言えば著作権騒がしパリサイの言」。

 (以上、スケッチしておく)

 2007.3.17日 れんだいこ拝

【イージス艦の建造費考】
 イージス艦は1隻1200億円。船体をつくる三菱重工業に入るのは約300億円で、900億円近くはミサイルのコンピュータシステムなどの心臓部を作っているアメリカの軍需産業に流れていると云われている。
 「長崎県平和委員会」の「新型イージス護衛艦の建設現場2」が貴重な情報をサイトアップしているので転載しておく。
 新型イージス護衛艦の建設現場2
艦番号 艦名 建造所 起工日 進水日 竣工日 配備先
DDG178 あしがら 三菱長崎 05.04.06 06.08.30 08.03.-- 佐世保

 三菱重工長崎造船所で「ミサイル防衛」に対応できる「あたご型」イージス護衛艦の建造が進んでいる。2隻目の「あしがら」の建造総予算は1389億円。イージスシステムは米海軍省から509億円で購入。ミサイル護衛艦「あさかぜ」の代替艦。

 船体を建造した第2船台は、過去の侵略戦争中に超大型戦艦「武蔵」建造を極秘裏に建造した場所である。当時は秘密保持のために対岸の常盤町に倉庫群を建てた(目隠し倉庫)。いままた、アメリカの中国敵視政策に加担し、再び東アジアの軍事緊張を高めようとしている。

(私論.私見)

 これによると、最新鋭イージス艦の建造費は、一艦当り1389億円ということになる。その他間接費用を入れると一体幾らになるのだろうか。ここをはっきりさせねばならない。

 2008.2.19日 れんだいこ拝





(私論.私見)

(私論.私見)