各国の核弾頭保有実態

 (最新見直し2013.10.22日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 2004.1月現在の地球上の核弾頭数が図示されている。2005.4.25日付け毎日新聞の「原爆投下から60年の今」が、イアブック「核軍縮・平和・自治体2004」(NPO法人ピースデポ)からのデータとして紹介している。それによると、ロシアが1万8000発、米国が1万640発、中国が390発、フランスが350発、英国が200発、イスラエルが100〜300発、インドが30〜35発、パキスタンが24〜48発とのことである。他に北朝鮮が核保有の動きを見せている。天然資源協会(NRDC)の2003年の核弾頭推定では、ロシア8200発、米国7650発、中国400発、フランス350発、英国200発、イスラエル100ー200発。

【イスラエルの核兵器保有実態考】
 イスラエルの核兵器保有は指摘されているがなかなか実態が掴めない。「阿修羅戦争70」の white氏の2005.5.13付け投稿文「イスラエルは少なくとも核兵器400発を保有 [IRIBラジオ日本語ニュース]」が貴重情報を掲載しているので転載しておく。

□イスラエルは少なくとも核兵器400発を保有 [IRIBラジオ日本語ニュース]
 (http://www.irib.ir/Worldservice/japaneseRADIO/news.thu.htm#4
 

 アメリカの元国防長官の補佐官が、シオニスト政権イスラエルが、400個以上の核爆弾を保有していることを認めました。イルナー通信によりますと、アメリカのマクナマラ元国防長官の補佐官の一人が、11日水曜、国連で記者会見を行い、「統計によれば、イスラエルは1985年に、400個の核爆弾を保有していたが、現在この数が、増加しているのは確実だ」と語りました。また、イスラエルは、核爆弾の数を全く減らしていないことを強調し、「イスラエルは、アメリカやロシアに次いで、世界第3位の核兵器保有国とされている。同政権の核の兵器庫は、フランスやイギリスよりも多い」と語りました。

 2006.8.28日付け地元新聞に、共同通信特別編集委員・春名幹男氏の「国際紛争ファイル」と題するイスラエルの核疑惑に関する記事が掲載された。興味深い内容となっているので参照しておく。(れんだいこ編集)
 1948年、イスラエルが建国されたが、デビッド・ベングリオン初代首相は、国防省文民シモン・ペレス(後の首相)に秘密核開発プロジェクトの事務局長役、有機化学者エルンシスト・バーグマン教授に技術責任者とする核兵器開発に乗り出している。1957年、ペレスは、フランスと秘密の核技術協定を締結、南部ディモナに「ネゲブ核研究センター」を建設した。米国科学者連盟(FAS)によると、同センターは、天然ウラン重水炉、使用済み核燃料再処理施設など10部門で構成され、約2700名が従事している。

 1960年、米国中央情報局(CIA)は、同センターでの核開発を察知し、秘密交渉したところ、ベングリオン首相は、「平和目的の核開発」と回答した。ケネディ大統領は、核拡散防止に積極的で、イスラエルに現地査察を要請。1961ー69年まで年一回程度の査察が行われることになった。但し、重要な施設は査察できなかった。後継のジョンソン大統領は、現地視察を認めさせる代わりに武器を供与する政策を取り、М48戦車やF4戦闘機などを供与した。この間、イスラエルは、核兵器開発を既成事実化することに成功した。

 1967年、イスラエルは、第三次中東戦争の直前、核兵器製造能力を獲得した。

 1969.9.26日、ニクソン大統領は、ゴルダ・メイア・イスラエル首相とホワイトハウスで首脳会談している。但し、この会談の議事録も、首脳会談に先立つ国家安全保障検討メモ(NSSМ)40号は現在も極秘未公開となっている。事情通によると、1・米国はイスラエルの核保有の現実を認める。2・イスラエルは、核実験や核保有宣言といった明白な行動を避けることに合意したと推測している。

 1979.9.22日、米国の偵察衛星ペラ6911が、南アフリカの喜望峰南東約200キロのプリンスエドワード諸島近くのインド洋で2回連続異常な閃光を探知した。イスラエルと南アフリカの合同核実験との説がある。但し、当事国はいずれも否定しており、当時のカーター政権が設置した委員会は、隕石と人工衛星の衝突による可能性を指摘する報告書を提出した。米国のロスアラモス国立研究所などは核実験とする見方を示した。「1979年、イスラエルがプリンス・エドワード諸島沖で核実験を行い核兵器保有国となった」。

 2000.2月、アラブ系議員が、核抑止政策をめぐって動議を提出した。イスラエル国会(クネセト)が公開討議で核開発問題を論議したことはなく、動議の適法性を廻って怒号が飛び交い審議は約50分で終了、翌週、大差で否決された。

 1986年、イスラエルの核開発史の機密は厳しく保護されている。英紙サンデー・タイムズが、イスラエルの原爆製造の実態を暴露した。「ネゲブ核研究センター」の内部情報を元同所技術者が実態を暴露した。

 核兵器運搬手段も高度化。航空機あるいは潜水艦発射の巡航ミサイルも開発中と伝えられる。イスラエルの核保有に刺激されて、イラクの旧フセイン政権についで、イランも核開発、と中東の核拡散は深刻化している。

 米国は、イスラエルの建国以来特殊な同盟関係にあり、巨額の援助を供与してきた。ユダヤ系米国市民は約600万人、ウォール街や米政府への影響力が強い。米議会調査局(CRS)によると、1985年以来の年平均で、米政府の贈与額は約30億ドル(約3500億円)。その他慈善団体からの寄付約10億ドル、長短期の商業融資約10億ドル、イスラエル国債引受約10億ドルを加えると、1年で計約60億ドル、イスラエル国内総生産(GDP)の5%強に上る。「経済、安保を米国援助に依存している」のが実態だ。

 イスラエルは事実上の核兵器保有国でありながら、中東地域で唯一NTPに加盟していない。アラブ連合は、イスラエルに対してIAEAの査察を受け入れるよう求めている。

【イランのアハマディネジャド大統領の国連総会演説】
 2006.9.19日、イランのアハマディネジャド大統領は、国連総会で演説し、米英両国は自国の目的を推し進めるため国連を操り、イランが原子力から得られる恩恵を否定しようとしていると痛烈に非難した。同大統領はこの中で、イランの核活動は透明で平和的であり、国際原子力機関(IAEA)の査察の下にあると主張。われわれの法的に認められた権利になぜ反対するのかと語った。同大統領はさらに、イランの核計画に反対する一部の国は、核兵器を製造するなど核技術を乱用し、人道に反してそれらを使用した過去さえあると強調した。

 また、同大統領は、国連安保理常任理事国である米国や英国が侵略行為を働き、占領し、国際法に違反した場合、国連のどの機関が責任を求めるのかと指摘。両国が安保理を操っていると批判し、安保理が国際社会全体のために行動することができない限り、安保理に正当性はないと断じた。イランは安保理のウラン濃縮活動停止要請を拒否、濃縮を行う権利があると主張するとともに核計画は平和的なものであるとしている(「国連を操作と米英非難−イラン大統領」)。




(私論.私見)