天皇陛下のお言葉(全文)/東日本大震災5年追悼式

 更新日/2016.03.11日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、三陸巨大震災1周年に当たり、思うことを書き綴っておく。

 2012.03.11日 れんだいこ拝 



天皇陛下のお言葉(全文)/東日本大震災5年追悼式

東日本大震災の発生から5年となった11日、政府主催の追悼式が東京都千代田区の国立劇場で開かれ、岩手、宮城、福島3県の遺族や安倍晋三首相、天皇、皇后両陛下らが参列し、地震発生時刻の午後2時46分に黙とうした。犠牲者を悼み、重い教訓をかみしめながら、引き続き復興に取り組むことを誓った。

東日本大震災から5年となった11日、宮城県南三陸町歌津では船上での法要が行なわれた。震災で家族や友人を失った人たちやボランティアらが3隻の漁船に乗り込み、漁船は鈴を鳴らしながらを円を描くように走った。14時46分を迎えると、手を合わせて海に花束やお供え物を投げ入れた =11日、宮城県南三陸町(三尾郁恵撮影)

 3県の遺族代表は、失った家族や帰れぬ故郷への思いを語った。岩手県宮古市出身の山本永都さん(22)は祖父を亡くし、消防団員として防潮堤の水門を閉めに行った大好きな父も帰らないまま。つらい気持ちを母にぶつけた時期もあったが「今では、住民の命を守ろうとした父を誇りに思う。父や祖父の分まで精いっぱい生きていく」と決意を口にした。

 安倍首相は式辞で「被災者に寄り添いながら、魅力ある地方の創生につながるような復興を実現していく」と表明。

 天皇陛下は「困難の中にいる人々一人ひとりが取り残されることなく、一日も早く普通の生活を取り戻すことができるよう、これからも国民が心を一つにして寄り添っていくことが大切と思います」と述べられた。

 警察庁によると10日現在、震災の死者は全国で1万5894人、行方不明者は2561人。復興庁によると震災関連死は3410人、全都道府県で約17万4千人が避難生活を送る。

 東京電力福島第1原発事故により、福島県から県外に避難している住民は計約4万3千人。被災3県ではいまだ計5万7677人がプレハブ仮設住宅で暮らしている。

 東日本大震災から五年が経(た)ちました。ここに一同と共に、震災によって亡くなった人々とその遺族に対し、深く哀悼の意を表します。

 五年前の今日、東日本を襲った巨大地震とそれに伴う津波により、二万人を超す死者、行方不明者が生じました。仙台平野を黒い壁のような波が非常な速さで押し寄せてくるテレビの映像は、決して忘れることができないものでした。このような津波に対してどのような避難の道が確保できるのか暗澹(あんたん)たる気持ちになったことが思い起こされます。また、何人もの漁業者が、船を守るために沖に向け出航していく雄々しい姿も深く心に残っています。

 このような中で、自衛隊、警察、消防、海上保安庁を始めとする国や地方自治体関係者、さらには、一般市民が、厳しい状況の中で自らの危険や労をいとわず救助や捜索活動に携わったことに深い感謝の念を抱いています。

 地震、津波に続き、原子力発電所の事故が発生し、放射能汚染のため、多くの人々が避難生活を余儀なくされました。事態の改善のために努力が続けられていますが、今なお、自らの家に帰還できないでいる人々を思うと心が痛みます。

 こうした苦難の中で、政府や全国の地方自治体と一緒になって、多数のボランティアが被災者のために支援活動を行いました。また、百六十を超える国・地域や多数の国際機関、また在日米軍が多大な支援に当たってくれたことも忘れることはできません。

 あれから五年、皆が協力して幾多の困難を乗り越え、復興に向けて努力を続けてきました。この結果、防災施設の整備、安全な居住地域の造成、産業の再建など進展が見られました。しかし、被災地で、また避難先で、今日もなお多くの人が苦難の生活を続けています。特に、年々高齢化していく被災者を始めとし、私どもの関心の届かぬ所で、いまだ人知れず苦しんでいる人も多くいるのではないかと心に掛かります。

 困難の中にいる人々一人ひとりが取り残されることなく、一日も早く普通の生活を取り戻すことができるよう、これからも国民が心を一つにして寄り添っていくことが大切と思います。日本は美しい自然に恵まれていますが、その自然は時に非常に危険な一面を見せることもあります。この度の大震災の大きな犠牲の下で学んだ教訓をいかし、国民皆が防災の心を培うとともに、それを次の世代に引き継ぎ、より安全な国土が築かれていくことを衷心より希望しています。今なお不自由な生活の中で、たゆみない努力を続けている人々に思いを寄せ、被災地に一日も早く安らかな日々の戻ることを一同と共に願い、御霊(みたま)への追悼の言葉といたします。
 (2016/03/11-15:45)


 【東日本大震災5年】震災追悼式の首相式辞「衷心より哀悼の意をささげます」「前を向いて歩んでいくことを誓います」

 同時に、多くの犠牲の下に得られた貴重な教訓を、決して風化させることなく、常に最新の英知を取り入れながら、防災対策を不断に見直してまいります。政府一丸となって、災害に強い、強靱な国づくりを進めていくことを、改めて、ここに固くお誓いいたします。

 震災の発生以来、地元の方々や関係する全ての方々の大変なご努力に支えられながら、今日に至っております。日本各地のみならず、本日ここにご列席の、世界各国・各地域の皆様からも、多くの、温かく心強いご支援をいただきました。改めて、心より感謝と敬意を表したいと存じます。

 わが国は、今後とも、世界の皆様に向け、東日本大震災の教訓と被災地の復興の様子をお伝えし続けるとともに、わが国の知見と技術を少しでも役立てていただけるよう、防災分野における国際貢献を、一層強力に進めてまいります。

 わが国は、幾度となく、国難といえるような災害に見舞われてきましたが、その度に、勇気と希望をもって乗り越えてまいりました。今を生きる私たちも、先人たちに倣い、手を携えて、前を向いて歩んでいくことを、改めてお誓いいたします。

 御霊の永遠に安らかならんことを改めてお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆様のご平安を心から祈念し、私の式辞といたします。

 平成28年3月11日 内閣総理大臣 安倍晋三





(私論.私見)