「映画・沈まぬ太陽」考 |
更新日/2021(平成31→5.1栄和元/栄和3).2.5日
(れんだいこのショートメッセージ) |
映画『沈まぬ太陽』公式サイト http://shizumanu-taiyo.jp/ |
【山崎豊子原作の「沈まぬ太陽」(新潮文庫)の映画考】 |
1985年の日航機墜落事故を取り上げた山崎豊子原作の長編小説「沈まぬ太陽」(新潮文庫)の映画化。原作は1995年から1999年に週刊新潮で連載された3編で、第1部は1995年1月5日号 - 1996年4月11日号、第2部は1997年1月2・9日号 - 1997年10月9日号、第3部:1998年1月1・8日号 - 1999年4月11日号。日本航空と、実在する同社社員で同社の労働組合役員である人物の体験に基づいて脚色、再構成されたフィクション社会派作品となっている。単行本・文庫本は700万部を売り上げている。 |
2000年、岡田茂東映と徳間康快・大映社長が共同制作で映画化を発表した。その後、徳間社長が死去したため実現しなかった。民放局によるドラマ化のいずれも実現しなかった。 2006.5月、角川ヘラルド映画(現・角川書店(映像事業)が映画化を引き受け、2008年夏公開を目指し製作すると発表した。ところが実現していなかった。同じ著者による「白い巨塔」を二度にわたって映像化したフジテレビが、2009年の開局50周年にあわせてテレビドラマ化する企画があったが、これも立ち消えになっている。 2008.12月、角川は、2009年秋公開として正式に映画化を発表した。角川に吸収合併された旧・大映の社員が奔走し、映画化に漕ぎ着けたという。最初の発表から10年越しの悲願が叶った。 2009.2月にイランロケでクランクイン。アフリカなどでの撮影も行われ、日本の空港シーンは、タイ王国の空港を利用して撮影した。旅客機のシーンは、日本航空の協力が得られなかったため、CGによって再現した。週刊朝日によると、日本航空は映画化について、日本航空123便墜落事故に触れ「ご遺族の中には映画化を快く思っていない方もいらっしゃる。すべてのご遺族の心情をきちんと汲んで欲しい」と、映画化反対のコメントを出している。また、日本航空から角川に対し「名誉毀損の恐れがある」と警告文を2度送っているという。 |
監督/若松節朗、脚本/西岡琢也、音楽/住友紀人、製作/「沈まぬ太陽」製作委員会、製作プロダクション/角川映画で製作費20億円、上映時間3時間22分の超大作となった。 |
2009.10.24日、東京・TOSOシネマズ スカラ座で初日舞台挨拶。全国東宝系で封切される。第33回 日本アカデミー賞を3部門で受賞する。 |
渡辺謙(49)主演。役所広司が主演を断り渡辺謙になった。その理由は分からない。その他キャストは、三浦友和、松雪泰子、 鈴木京香、石坂浩二、神山繁、横内正、柴俊夫、小野武彦、香川照之、宇津井健、木村多江、清水美沙、鶴田真由、戸田恵梨香、柏原崇、草笛光子、蟹江一平、桂南光、秋野暢子、加藤剛、品川徹、小林稔侍、矢島健一、田中健、大杉漣、渡辺いっけい、西村雅彦、風間トオル、山田辰夫、小日向文世、菅田俊、松下奈緒、川隆也。小説の舞台になったのは日本航空労働組合の委員長を務めたため世界各地の職場をたらい回しにされた社員が主人公。小倉寛太郎氏と模されている。若松監督は、渡辺について「昭和の力強い空気感を出せる希有(けう)な俳優。不条理の中、信念を曲げなかった男の矜持(きょうじ)を表現したい」と説明。渡辺は「これまで何人もの製作者が挑み、果たし得なかった作品と聞いてます。全身で、この大作に挑み、しっかり体感したいと思っています」と抱負を語る。イランでクランクイン。撮影は米ニューヨークや日本各地でも行われ、夏前まで予定。群馬・高崎にある山の木を伐採し、御巣鷹の尾根の墜落事故を再現する。 |
(私論.私見)