長野県レスキュー隊の栄光と悲惨事故

 更新日/2018(平成30).8.11日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 


【長野県警救助隊搭乗ヘリ墜落事故事件】
 2017.3.5日、「長野防災ヘリ墜落事故事件」発生。長野県の消防防災ヘリコプター「アルプス」が長野県中部の長野県松本市と岡谷市にまたがる鉢伏山(1929メートル)付近の山中に墜落した。ヘリは山岳遭難の救助訓練に向かうため5日午後1時半ごろ松本市の松本空港を離陸し、約15分後、無線の応答がなくなった。訓練で隊員を降ろした場合に県消防防災航空センターに無線で入るはずの連絡がなかったことから最初の降下までに墜落した可能性がある。 県によると飛行の高度などを記録するフライトレコーダーはヘリには搭載されていなかった。(稲垣衆史、川辺和将)

 機体内で6人の死亡を確認した。9人全員が死亡。死亡が確認されたのは次の通り。 9人は全員男性で、パイロットの岩田さんと整備士1人、消防隊員7人。
伊熊直人 消防隊員 35 松本市
甲田道昭 消防隊員 40 上田市
岩田正滋 パイロット 56 松本市
清水亮太 整備士 45
瀧澤忠宏 長野市消防局 47
伊藤渉 北アルプス広域消防本部 35
小口浩 松本広域消防局 42
高嶋典俊 松本広域消防局 37
大工原正治 佐久広域連合消防本部 42

 「3人が死亡、残る6人の救助活動」。県警によると、死亡した3人のうち1人はパイロットの岩田正滋さん(56)と判明。ほかの2人は、いずれも県消防防災航空隊員の伊熊直人さん(35)、甲田道昭さん(40)。3人は機体周辺で見つかった。他に機体に挟まれた2人を発見したが呼び掛けに応じず、意識不明という。残る4人は見つかっていない。

 3.6日、長野県警などの救助隊が救援に向かった。地上では県警機動隊や県内各消防署の隊員ら約100人が午前4時、ふもとの塩尻市から救助に向け出発し、午前8時ごろに現場に到着。県警や自衛隊、山梨県など他県のヘリコプターでも隊員を輸送した。運輸安全委員会の航空事故調査官も現地入りし、事故原因の解明を進める方針。

 ヘリは山岳遭難の救助訓練を行うため、5日午後1時半ごろ松本空港を離陸。けがをした登山者役の隊員を、ヘリからロープで降下した隊員が救助するなどの内容で、同3時に空港に戻る予定だった。ヘリは訓練場所へ向かう途中に墜落した可能性があるという。


【群馬県警救助隊搭乗ヘリ墜落事故事件】
 2018.8.10日午前10時頃、県防災ヘリコプター「はるな」(ベル412EP型)が、群馬県の草津白根山付近で行方不明になり、群馬県中之条(なかのじょう)町の山中に墜落する事故事件が発生した。県のホームページによると、はるなは定員15人で全長17・1メートル(ローター含む)。ヘリには県吾妻広域消防本部の隊員5人と県防災航空隊に所属する4人の計9人が搭乗していた。午後3時頃、群馬、長野県境の山中で墜落しているのが見つかった。県防災航空隊の隊員4人と消防職員5人の計9人が搭乗しており、うち搭乗者のうち2人の死亡が確認された。6人が容体不明で、残る1人の安否も確認できない惨事となった。  

 この日午前9時15分、「はるな」は隊員4人を乗せて前橋市の群馬ヘリポートを離陸。9時30分頃(20分後)、同県長野原町の西吾妻福祉病院で吾妻広域消防本部の職員5人を乗せて再び飛び立ち、新潟、長野との県境の山岳地帯へと向かった。山の日の11日に全線開通する「ぐんま県境稜線(りょうせん)トレイル」(新潟、長野県境の約100キロを歩くことができるロングトレイル)を上空から視察するなどし、午前10時45分に群馬ヘリポートに戻る予定だった。

 9時59分、急旋回。10時1分、GPS通信が途絶える。10時40分、群馬県防災航空隊が通信断絶を確認。11時48分、県が県警に捜索を依頼。

群馬県の防災ヘリコプター墜落事故で、ヘリは衛星利用測位システム(GPS)の情報が途絶える直前の2分間に、時速20〜75キロの間で速度を上下させたり、時速30キロから145キロまで急加速させたりする異常な飛行をしていたことが13日、運航記録から分かった。右に急旋回もしており、運輸安全委員会は事故原因につながる動きとみて調査する。

 ヘリ「はるな」の運航記録によると、10日午前、尾根伝いを北東に向かって急な加速や減速をすることなく安定した飛行をしていたが、午前9時59分に突然、事前に計画したルートの折り返し地点より手前で、引き返すように右に急旋回した。



 午後3時45分頃、群馬県が記者会見を開いた。同隊が県側に第一報を連絡したのが午前11時45分だったため、記者から「遅いのでは」と疑問の声が上がった。しかし、担当者は「まず故障の有無などの確認をしなければならない」と釈明した。担当者によると、ヘリは県が整備した登山道「ぐんま県境稜線(りょうせん)トレイル」が新たに開通するのに伴い、危険箇所の有無などを上空から視察するために現場付近を飛行していた。視察は地元の吾妻(あがつま)広域消防本部が県側に依頼したという。ヘリは午前9時15分に群馬ヘリポート(前橋市)を出発し、途中で病院などに寄って1時間半後に帰還する予定だった。実際にヘリ側から県防災航空隊に最後の無線連絡があったのは午前9時28分。内容は着陸連絡だった。その後、口頭のやり取りはく、ヘリから自動的に現在地情報が送られている。午前9時59分頃、県境の横手山付近を飛行中で、旋回を始めている。午前10時1分頃、白根山付近を飛行しているのを最後に情報が途絶えた。前橋地方気象台によると、群馬県の防災ヘリコプターが消息を絶ったとみられる草津白根山に近い同県草津町の10日午前11時ごろの天候は曇りで、弱い風が吹いていたという。

 11時45分頃、捜索を始めた。0時50分、県警ヘリが捜索のため離陸。 1時43分、県が自衛隊に災害派遣要請。2時43分、自衛隊ヘリが「はるな」の残骸を発見。 「午後3時頃、機体確認。航空自衛隊のUH60救難ヘリコプターから隊員3人を地上に降ろして捜索したところ、機体の破片のそばで乗員と見られる8人を見つけた。容体不明」。 救助隊員らは陸上から現場に踏み入るのは難しいためヘリで上空から降り立ち捜索に当たった。最も山頂に近い場所にヘリの胴体部分があり、やや下った場所にプロペラが散乱していた。胴体近くの地面は黒く焦げた後があり、周囲には墜落したヘリがなぎ倒したとみられる木々が生々しく残っていた。

 自衛隊、消防、警察など約160人で作る地上からの捜索隊は、午前5時15分に事故現場から約2キロ南の渋峠近くのスキー場から入山し、2時間後に現場に到着した。県によると、航空自衛隊ヘリが同日午前6時51分と同6時58分、現場で2人を収容。2人は陸上自衛隊相馬原そうまがはら駐屯地(群馬県榛東村)にヘリで運ばれ、死亡が確認された。残る5人の容体は不明。「午前7時前、自衛隊のヘリが2人を救出したが、死亡が確認された」、「午前7時以降、7人全員が搬送されたが、死亡が確認された」、「うち2人が病院に運ばれ県が死亡を確認した。未搬送の6人の容体は不明。残る1人は見つかっていない」、「県警や自衛隊、消防などは計約160人態勢で11日早朝から乗員の救助と捜索を実施。残されていた6人と、新たに発見された1人の計7人を自衛隊のヘリが搬出したが、いずれも死亡が確認されたという」、「11日、新たに5人を現場から搬出したが、いずれも死亡が確認された。残る乗員1人も機体の近くで見つかった」。群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が同県中之条町の山林に墜落した事故で県は11日、乗員9人全員の死亡を確認したと明らかにした。「乗っていた9人のうち、これまでに2人の死亡が確認されています。残る6人の容体は不明で、1人については今も行方が分かっていません」。

徒歩での捜索は、10日夜は、2次災害のおそれがあるため打ち切られていて、11日朝、再開される。
 10日の救助活動は、午後8時前に打ち切られた。

日中は悪天候の中、空からの救助活動も行われましたが、日没とともに終了しました。午後6時すぎには、警察と消防の救助隊およそ60人が山に入り、地上からの救助活動を試みましたが、事故現場に到達することができず、午後8時前に10日の救助活動は打ち切られました。

警察などは、夜明け前から現場近くのホテルに集まり、午前5時ごろから救助活動のため山の中に入りました。県警の警察官や自衛隊員らはホテルから登山口まで車両で移動。午前5時15分ごろ、ヘルメットにリュックサック姿で一列になり、山中へ入っていった。

 11日午前中には運輸安全委員会の調査官が現場に向かい、事故原因の調査を行う予定です。 墜落したヘリはフライトレコーダー(飛行記録装置)は搭載しておらず、原因究明には時間がかかるとみられる。

11日早朝から墜落現場の山中に入り、救出活動を指揮した吾妻広域消防本部西部消防署の黒岩賢一副署長は「あらゆるものがほぼ原形をとどめず、鉄の塊といっても過言ではない」と凄惨(せいさん)な現場の様子を語った。

 防災ヘリ「はるな」に搭乗していた9人は次の通り(群馬県発表)。
天海(あまがい)紀幸 機長(操縦士) 57 群馬県防災航空隊。飛行時間5000時間を超えるベテラン。
沢口進(すすむ) 整備士 60 群馬県防災航空隊。
小沢訓(さとし) 隊長 44 群馬県防災航空隊。
岡朗大(あきひろ) 隊員 38 群馬県防災航空隊。
田村研 47 吾妻広域消防本部。白根山噴火事故救対で活躍。
水出(みずいで)陽介 42 吾妻広域消防本部。白根山噴火事故救対で活躍。
塩原英俊 42 吾妻広域消防本部。
黒岩博 42 吾妻広域消防本部。
蜂須賀雅也 43 吾妻広域消防本部。

 被災者がどこで発見されたのか、どういう姿で発見されたのか、どういう経緯で死亡が確認されたのか、発見及び死亡確認の順番等々が一切不明にされている。この事故、、安否がすぐに報道されないことにすごく違和感を感じる。従来の報道なら乗組員発見と同時に安否の情報があるのに。2人が誰なのかホントに分からないの?「何か隠したいことでもあるの?」と勘ぐりたくなる。事故によっては、「情報が錯綜しており……」とも言われることがあるが、現場はそれ程広範囲という訳でもないので、それは当てはまらない。
警察は12日、死亡した9人のうち身元が分からなかった3人が塩原英俊さん(42)、小沢訓さん(44)、沢口進さん(60)と確認されたと発表しました。これで9人全員の身元が判明しました。このうち吾妻広域消防本部(群馬県東吾妻町)の5人はいずれも40代で「救助のスペシャリスト」として地元の期待を背負っていた。一方、救助のため、自衛隊のヘリで現場に降りた自衛隊員5人が、現在、通信が取れない状態で山中で過ごしている。黒岩副署長は多くの仲間を失い「これからの消防を背負って立つ人間たちだった」と無念さをにじませた。 「みんな、一緒に仕事をしました。これからの吾妻消防を背負って立つ人間でした。仲間を亡くし、今は悲しい思いでいっぱいです」と目に涙をためた。(山崎輝史)

 群馬県から防災ヘリ業務を請け負う東邦航空(東京都江東区)は10日午後、報道陣の取材に応じ、防災ヘリ「はるな」には、同社が派遣したパイロットと整備士の男性2人が搭乗していたことを明らかにした。同社の土井正志総務部長によると、県防災航空隊に5~6人を派遣しているという。

 同社を巡っては、昨年11月、運航中のヘリが群馬県上野村で墜落し、搭乗員4人全員が死亡する事故を起きたヘリ墜落事故で、規定通りの整備が行われていなかったとして国土交通省から事業改善命令を受けていた。この点について、土井正志総務部長(58)(東京都江東区)が、報道陣の取材に応じ、国土交通省東京航空局から今年2月に受けた事業改善命令に基づき一斉点検を実施したこと。エンジンなどの点検を6月中旬まで実施したこと。その後、不具合の報告などはなかったとした上で、「県防災ヘリは毎年、耐空検査を受けている。原因が整備かオペレーションか、気象なのか、現時点では分からない。(昨年の事故と)関連づけるものはない」と述べた。さらに、「乗務していた社員2人は知識と経験があるベテラン。事故原因に思い当たるところはない」、「一斉点検整備を全社的に行った。県の航空隊も通常の耐空検査もしているはずだ」、「天海(あまがい)氏、沢口氏とも、防災を担当しており、クルーだけでなく県民を預かる。安全に対するリスクの管理もかなりのレベルだ」と説明した。

 最後の無線連絡からヘリの現在地情報が途切れるまでの約30分間に、いったい何が起こったのか。事故直前の目撃情報は次の通り。「普通のヘリコプターと違う『ババババ』という爆音がした」。「異様に低い高度を飛んでいた」。山深い斜面にある墜落現場に近い長野県山ノ内町の渋峠(しぶとうげ)ホテルの児玉英之専務(47)は接客中だった午前10時頃、あわててホテルの玄関に出た。空を見上げると、「ものすごい低空飛行で白いヘリが飛んでいた。手が届くような低さで明らかに普通じゃない。何かの撮影か捜索なのかと思った」。同ホテルの前で桃の直売をしていた長野県中野市の農園従業員、土肥(どい)浩之さん(50)も、機体にペイントされた「群馬県」の文字がはっきり見えるほど低空飛行だったと振り返る。付近の横手山頂で宿泊施設を経営する高相重信(たかそう・しげのぶ)さん(78)は、同時間帯に目撃したヘリについて「回転のリズムが遅くなり、聞いたことのない鈍い音に変わった」と証言。長野県で山岳救助に携わった経験があり、「仲間のような存在がこのような事故に遭ってしまい残念だ」とした。

 「手が届くような低空飛行だった」。

 10日、群馬・長野県境を飛行中に墜落したとみられる群馬県の防災ヘリ「はるな」。付近では、同ヘリとみられる機体が低空飛行するのが目撃されていた。

 県境にある「渋峠ホテル」専務の児玉英之さん(47)によると、午前10時ごろ、ホテル内で接客をしていると、かなり大きなヘリの飛行音が聞こえた。「ずいぶんうるさいな」と思い、玄関から出たところ、頭上をかすめるようにヘリが通過していった。

 普通では考えられないほどの低空で、音はすごかったが、煙などは出ておらず、北東方向に飛び去るのを見届けたという。行方不明の情報を耳にし、児玉さんは「まさかこんなことになるとは」と驚いた様子だった。

 当時、上空は朝からかかっていたガスが晴れ、無風に近い状態だった。昼ごろになって、長野県警から「防災ヘリが落ちたようだ。何か情報はないか」と連絡があり、見たままを説明したという。

 同ホテルから北西約1キロ、横手山の標高約2300メートル地点にある「横手山頂ヒュッテ」のオーナー高相重信さん(78)によると、同10時前後、中之条町の方角で、急にヘリの飛行音が途絶えた。

 高相さんは「リズムが変わるような聞き慣れない音に変わった途端、聞こえなくなった」と話した。煙や墜落したような音は確認していないという。

 高相さんが麓からホテルに上がって来る途中の同9時半ごろ、標高約1500~2000メートルの間でガスが出ていたという。 

墜落した群馬県の防災ヘリコプター「はるな」の機体に装着されていた全地球測位システム(GPS)の通信が途絶えてから、救助活動が始まるまで約3時間かかっていたことが、同県への取材で判明した。小見洋・県消防保安課長は「もっと早く救出活動をできた可能性がある。反省すべきところがある」と話している。

 GPSはヘリの位置や高度を示し、県防災航空隊が受信したそれらの情報をパソコンで監視している。9人が死亡した昨年3月の長野県消防防災ヘリコプター「アルプス」の墜落事故を受け総務省消防庁が導入し、群馬県にも貸与されていた。20秒ごとに情報を更新するよう設定されていたが、県は監視体制などのマニュアルを整備していなかった。

 県によると、「はるな」は10日午前9時59分に急旋回して予定コースを外れ、2分後の同10時1分に通信が途絶えた。GPSが最後に示した地点は、墜落現場に近かった。

 しかし、隊員がパソコンの画面を確認したのは同10時40分ごろ。無線で連絡したがつながらず、ヘリポートにも戻っていなかったため、同11時48分に県警に捜索を依頼。県警のヘリが離陸したのは約1時間後の午後0時50分だった。県によると、機材の積み込みに時間がかかったという。

 県は同1時43分に自衛隊に災害派遣要請し、自衛隊ヘリが同2時43分に「はるな」の機体の一部を発見した。【杉直樹】


 大沢正明知事は取材に「非常に残念な思い。県の防災活動に真剣に取り組んでいた隊員が事故で亡くなったというのは痛恨の極み」と話した。国の運輸安全委員会の航空事故調査官が11日午前から現地入りして、事故原因を調べている。

 11日に現地入りした運輸安全委の奥山克也・航空事故調査官は、旋回について原因は不明としつつ「今後どのようなことがわかるか分析したい」と語った。現場の斜面には、機体が接触するなどして切断された木が多くあり、長さ約60メートルにわたって、メインローター(上部の回転翼)など機体が散在していたという。「何かの理由で高度が下がって木に接触した」との見方を示した。ヘリは北向きの斜面に西南西の方角へ、沿うようにぶつかったとみられるという。

 大沢正明群馬県知事は乗員全員の死亡を受け、朝日新聞などの取材に「非常に残念な思い。県の防災活動に真剣に取り組んでいた隊員が事故で亡くなったというのは痛恨の極み」と話した。


 群馬県のホームページによると、防災ヘリ「はるな」は平成9年5月に就航を開始し、総飛行時間は7千時間を超えている。昨年度は山岳救助や患者搬送などで403回飛行。航続距離は約780キロで、定員は15人。

 墜落したヘリ、ホバリング性能高いが事故多発。今回墜落した米ベル・ヘリコプター・テキストロン社製の412EP型機は最大15人が搭乗可能で、航空関係者によると、ホバリング性能が高いのが特徴という。

 運輸安全委員会によると、同型機による航空事故は2010年以降、今回の事故を除いて5件発生し、2件は墜落事故だった。17年3月に長野県内の山中に同県消防防災ヘリが墜落した事故では、搭乗していた9人全員が死亡し、同委が原因などを調べている。10年8月には、香川県沖を飛行していた海上保安庁のヘリが島をつなぐ電線に接触して墜落し、機長ら5人が死亡した。

 今回墜落したヘリコプターの運航を委託されていた東邦航空は、同社ホームページなどによると、伊豆諸島間を結ぶヘリコプターの運航や、群馬県を含む自治体の防災ヘリなどの委託運航を請け負っている。

 東邦航空のヘリコプターでは過去にも事故が起きており、2017年11月には、山梨県から栃木県に向かっていた仏アエロスパシアル社製のAS332L型機が群馬県上野村で墜落し、機長ら4人が死亡した。

 事故を巡っては、事故機のテールローター(後部回転翼)の点検時に、整備マニュアルに反して部品交換をしなかったことなどが判明。国土交通省は今年2月、「事故との因果関係は不明」としながらも、東邦航空に対し、航空法に基づく事業改善命令を出している。

 群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が同県中之条町の山中に墜落した事故で、はるなが墜落したとみられる2分前に、予定の航路を外れUターンしていたことが分かった。何らかのトラブルにより航路を変えた後、短時間で墜落した可能性があり、運輸安全委員会の事故調査官らが11日に現場入り、原因調査を始めた。

低空飛行「手届くほど」=墜落ヘリ目撃の男性-飛行音、突如途絶える

 調査した奥山克也・航空事故調査官は「山の斜面の木に接触した跡があり、そこから60メートルにわたって機体が散在している」と述べ、ヘリが雲を避けようとした可能性などを指摘した。
 県によると、はるなは登山道「ぐんま県境稜線(りょうせん)トレイル」の上空視察のため10日午前9時15分ごろ、前橋市のヘリポートを離陸。長野県との境にある渋峠付近を飛行中の同10時1分ごろ、県の位置情報確認システムへのデータ通信が途絶えた。
 本来は墜落現場から十数キロ北東まで飛び折り返す予定だったが、同9時59分ごろ、渋峠の少し北東でUターンして南下。約2分後に墜落したとみられる。異常を知らせる交信はなく、救難信号も出されなかった。
 はるなの飛行は登山道の危険箇所などの確認のためで、当初は9日の予定だったが、悪天候で10日に実施していた。
 はるなには消防隊員ら男性計9人が搭乗。運航・整備を東邦航空(東京)に委託しており、同社の操縦士と整備士が搭乗していたが、操縦士は4月に県防災航空隊に配属され、7月中旬から救助救急業務を始めたばかりだった。(2018/08/11-19:50)

群馬県の横手山付近で9人が乗った県の防災ヘリコプターが墜落し、これまでに2人の死亡が確認された事故で、自衛隊などは、11日午前4時から救助活動を再開することにしている。

この事故は、群馬県の防災ヘリ「はるな」が10日、中之条町の横手山付近に墜落したもの。「はるな」には9人の搭乗員が乗っていたが、これまでに機体のそばで8人が発見され、うち2人の死亡が確認されている。

群馬県によると、残る6人は、救助に向かった自衛隊員5人とともに現場にいるということだが、容体などは分かっていない。また、現場の自衛隊員5人とは連絡が取れない状態だという。

自衛隊や消防などは、10日午後6時から約60人を山に入れて救助活動にあたったが、天候などの問題から現場に到達することができず、救助活動は午後8時前に、一時、打ち切られた。

自衛隊や消防などは11日午前4時から山に入り、6人の救助にあたるとともに、行方が分かっていない1人を捜索することにしている。

 群馬県の防災ヘリが墜落したのは、群馬と長野の県境にある横手山の群馬側、中之条町の急な斜面でした。

 「横手山のヘリの墜落現場にきています。ヘリの残骸しか残っていません。原形をとどめていません。あたりにはなぎ倒された木。そして警察がつけたのでしょうか、ブルーシートが機体に張られています」(神保圭作記者)

 現場に入ったJNNの記者によりますと、周辺は今もオイルのような臭いが漂っていたということです。コックピットがある胴体部分は激しくゆがみ、近くにはバラバラになった部品が散乱していました。

 「機体は原形をとどめている状況ではありません。そして文字ですね、『群馬』とかろうじて読める。機体の中にも土砂が流れ込んでいるのがよくわかります。塗装ははがれて、激しい衝撃の跡が見受けられます」

 機内にあった椅子は外に投げ出され、扉は曲がった状態で地面に突き刺さっているなど、墜落時の衝撃の強さが伺えます。

 「何本もの木がなぎ倒されています。周囲の木をなぎたおして、プロペラ自身がひんまがっています」(神保圭作記者)

 機体から外れたメインローターは、先端部分が大きくねじ曲がり、樹木の間に挟まっていました。

 「木が倒され、土砂が削られていて、その下に機体が引っかかっているような状況になっています。非常に不安定な状況にあるのを木で支えていて、かつ上からロープで支えている状況、非常に不安定な状況だということがよくわかります」(神保圭作記者)





(私論.私見)