神奈川県座間市/頭部9遺体事件その4

 更新日/2017(平成29).11.4日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「神奈川・座間市頭部9遺体事件その4」を確認しておく。怪しげな臭いがするからである。

 2017(平成29).11.4日 れんだいこ拝


【公判日程】

 2020.9.30日、座間 9人殺害事件初公判 【法廷詳細】」。

 3年前、神奈川県座間市のアパートで若い女性ら9人の遺体が見つかった事件で、強盗殺人などの罪に問われている29歳の被告の裁判員裁判の初公判が、東京地方裁判所立川支部で午後1時半ごろ始まっ。法廷に白石隆浩被告(29)が入る。人定質問始まる。裁判の「冒頭手続」で、白石被告は、裁判長から証言台の前に立つように指示され、はじめに名前や職業などを尋ねられた。これに対し、被告は「白石隆浩です」、職業については「無職です」と答えた。被告罪状認否で、白石被告は、起訴された内容について「起訴状のとおり間違いありません」と述べ殺害を認めた。弁護士は、罪状認否で被害者の同意得ていたと主張した。合わせて、事件当時、刑事責任能力はなかったか著しく弱っていたと述べた。また、被害者は殺害されることなどに同意していたとして、成立するのは承諾殺人の罪にとどまると主張した。冒頭陳述。検察は冒頭陳述で次のように主張した。
▼第1「事案の概要」
被告がおよそ2か月間にSNSを利用して知り合った被害者9人に対し、「一緒に自殺しよう」などとだまして自宅へ誘い込み、首を絞めるなどして失神させ、女性の被害者8人に性的暴行を加え、9人の首をつって殺害して現金などを奪い、遺体を切断するなどして一部を室内に保管した事案。
▼第2「発覚の経緯」
平成29年10月24日 9人目の被害者のIさんの行方不明届を警察が受理して行方を捜査していたところ、IさんとSNSのやりとりをしていた人物として被告が浮上した。
10月30日 警察官が被告のアパートを突き止めて訪問し、Iさんの行方を追及したところ、当初は弁解したがまもなく観念して自白し「金と性欲目的で9人を殺害した」という上申書を作った。また、被告の説明により、室内のボックス内から9人の遺体の一部が発見された。
10月31日未明 被告をIさんに対する死体遺棄容疑で逮捕し、その後被告は一貫して各犯行を自白した。
▼第3「各事案の主な犯行状況」
Aさん(21歳女性) いきなり手で首を絞めるなどして失神させ、性的暴行を加え、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は36万円の返済免除と現金数万円)。
Bさん(15歳女性) いきなり手で首を絞めるなどして失神させ、性的暴行を加え、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は現金数千円)。
Cさん(20歳男性) いきなり腕で首を絞めるなどして失神させ、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は現金数千円)。
Dさん(19歳女性) いきなり手で首を絞めるなどして失神させ、性的暴行を加え、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は現金数千円)。
Eさん(26歳女性) いきなり手で首を絞めるなどして失神させ、性的暴行を加え、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は現金数千円)。
Fさん(17歳女性) 寝ていたところを縛り、首にロープをかけるなどしていたところ覚醒。首を絞めて失神させ、性的暴行を加え、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は現金数千円)。
Gさん(17歳女性) いきなり手で首を絞めるなどして失神させ、性的暴行を加え、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は現金数万円)。
Hさん(25歳女性) いきなり手で首を絞めるなどして失神させ、性的暴行を加え、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は現金数百円)。
Iさん(23歳女性) いきなり手で首を絞めるなどして失神させ、性的暴行を加え、その後ロープで首をつって殺害した(奪った金額は現金数百円)。
▼第4「被告の経歴と犯行に至る経緯」
平成2年10月9日 神奈川県内で出生。その後、高校卒業後にスーパーやパチンコ店など職を転々とした。婚姻歴はない。
平成27年10月 インターネットを利用して女性を風俗店などに紹介するスカウトの仕事を開始した。
平成29年2月 職業安定法違反の罪で起訴された。
平成29年3月 保釈を機に実家に戻り、父親と2人で暮らしながら、倉庫会社でのアルバイトを開始した。
この際、被告は「父親のもとを離れて働かずに楽して暮らしたい」「女性のヒモになりたい」と考えスカウト時代の経験上、「自殺願望のあるような女性なら言いなりにしやすいだろう」と考えた。
平成29年3月15日 ツイッターのアカウントを開設し自殺願望を表明している女性を主なターゲットにしてやりとりを始めた。この際、自分に自殺願望があるかのような、うそのツイートを掲載したり、自殺願望を表明している女性らに「一緒に自殺しよう」と誘ったりした。
平成29年5月29日 職業安定法違反の罪で、懲役1年2か月、執行猶予3年の判決を受けた。判決後まもなく倉庫会社でのアルバイトをやめ、
それ以降は無職だった。
Aさんへの事件に至る経緯
1:8月上旬ごろにツイッターで自殺願望を表明していたAさんと知り合い、自殺を思いとどまらせる。
2:Aさんに自分との同居を持ちかけ、Aさんから預かった金で今回の犯行現場のアパートを借りる(この際、Aさんのヒモになれそうもなければ部屋でAさんの首をつって殺そうと考え、あえてロフト付きの部屋にした)。
3:いずれはAさんが自分から離れていくと感じたため、Aさんから預かった金や所持金を奪う目的でAさんの殺害を決意した。

8月23日(Aさん事件)
Aさんの首を絞めて失神させ、性的暴行を加えて殺害し金を奪う。
被告は快感を覚えるとともに、大金を手に入れたことに味をしめる。この方法なら働かずに金を手に入れられ、性欲も同時に満たせると考え、同種犯行の継続を決意した。
8月28日~10月23日
(Bさん事件~Iさん事件)
女性の被害者に対する共通の手口
1:自殺願望を表明している女性をだまして会う約束を取り付け、アパートに誘い入れる。
2:女性が金づるになりそうかどうか見極める。
3:金づるになりそうもなく、本気で自殺する気もないと判断するや、いきなり首を絞めて性的暴行を加える。
4:その後、首をつって殺害して金を奪い、証拠隠滅のために遺体を損壊するなどする。

※女性を失神させて性的暴行を加え、かつ、その所持金を奪うことが7人の女性を殺害した動機。
Cさん(男性被害者)を殺害するに至った経緯
CさんはもともとAさんとのつながりがあったことなどから、Cさんを通じたAさん事件の発覚を邪推し、口封じと金を奪う目的で殺害した。
▼第5 争点

(争いのない部分)
・被害者全員を失神させ、女性の被害者8人には性的暴行を加え失神中に殺害した事実
・被害者全員の遺体を損壊したり遺棄したりした事実

(争いのある部分)
1:被害者が
「被告により殺害されること」を真意に基づいて「承諾」していたか
(明示の承諾を得ずに被告がいきなり殺害行為に及んだ事実には争いがない)

●検察官の主張
各被害者の承諾はなく、被告の行為は単なる殺人であり、それぞれの犯罪が成立

●弁護士の主張
各被害者は、黙示のうちに意に基づく承諾をしており、同意殺人罪が成立
(さらに各被害者が被告による財産取得を承諾していたかどうかにも争いがある)

2:責任能力
物事の善悪を認識・判断する能力+その認識・判断に従い行動する能力の有無(責任能力が問題となるのは、罪を犯した人に精神障害があることが前提)

●弁護士の主張
被告には何らかの精神障害が存在したはずで、無罪もしくは刑を軽減すべき

●検察官の主張
被告は一貫して目的にかなった行動をしていて何ら精神障害はなく、責任能力に全く問題はない
▼第6 重要な情状事実

罪質の悪質性、専ら自己の欲望の充足を目的とした動機、計画的犯行で態様は卑劣かつ残虐、被害結果の重大性、ご遺族の処罰感情、犯行後の事情の悪質性など。

 弁護士の冒頭陳述詳細。被告の弁護士は冒頭陳述で次のように主張した。去年までの10年間で平均2万5000人が自殺で亡くなっており、自殺は社会問題となっている。死を選ぶ理由はさまざまで、なぜ死を選ぶのか分からない人もいる。Aさんをはじめとする9人も、そういうみずからの死を望む気持ちがあった。それに基づいて行動を起こしSNSで白石被告と知り合った。希死念慮は周囲から分からず、死にたいという気持ちが外に出る人もいれば、内に秘めた人もいる。希死念慮があっても前向きな言動をする一方で、胸の内にあるかもしれない。今回の被害者の9人に共通しているのは、SNS上で死を望む気持ちを表明し、白石被告とつながりやり取りをしていた点。これらの内容は死について具体的なもので、時期や場所、方法などについてやり取りしたうえで、9人は被告のところに行った。被告が強制したわけでも、脅して誘拐したわけでもない。SNSでのやりとりを通し、被告の手で死が実現されることを分かったうえで、みずからの意思で被告のもとに来た。9人には承諾があり、承諾殺人罪が成立するにとどまる。次に責任能力で、被告は何らかの精神障害にかかっていた。その影響で、心神喪失の状態もしくは、心神耗弱の状態だった疑いがある。十分に調べてほしいという趣旨で、裁判所には精神鑑定を申し入れている。9人にどんなことがあり死を望むようになったのか、行動を起こした時の心境について、丁寧に検証してもらいたいし、よく分からないままではいけない。検察官は殺害の承諾がなかったことは間違いなく、責任能力も間違いなくあったと証明しなければならない。証拠をまっさらな目で見て、公正で公平な裁判にしてほしい。

 2020.10.1日、座間9人殺害の初公判 被告が起訴内容認める。ツイッターで誘い出した9人を殺害したとして、強盗・強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(29)の裁判員裁判の初公判が30日あり、被告は起訴内容を認めた。2017年に神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかったこの事件は、日本に衝撃を与えた。東京地裁立川支部であった初公判で、白石被告は起訴内容について「間違いありません」と述べ、全面的に認めた。しかし弁護側は、被害者らは殺害に同意していたとみられるとし、法定刑の軽い罪に変更されるべきだと主張した。

事件の概要

NHKによると、検察側は冒頭陳述で、白石被告が2017年3月にツイッターのアカウントを開設したと説明。「自殺願望がある女性なら狙いやすいと考え」、「複数の女性とメッセージのやりとりを始めた」と述べた。被害者9人のうち8人は女性で、15歳の少女もいた。日本の報道によると、唯一の被害男性(20)は交際していた女性の行方を追っていて白石被告に行き当たり、殺害されたとみられる。白石被告は犠牲者らを、自殺を手伝うと言ったり、一緒に自殺すると伝えたりして、おびき寄せたとされる。被告のツイッターの自己紹介には、「本当につらい方の力になりたい お気軽にDMへ連絡ください」と書かれていた。連続殺人が発覚したのは、警察による行方不明の若い女性の捜索がきっかけだった。その女性は被害者の1人だったことが、のちに判明した。警察は被告のアパートで、切断された遺体の一部を発見した。

弁護側の主張

白石被告の弁護側は、被害者らは殺害に同意していたとし、承諾殺人罪が適当だとした。同罪の法定刑は懲役または禁錮6カ月~7年となっている。

ただ、被告は弁護側と意見が一致していないと報じられている。

毎日新聞は30日、白石被告に取材した際のやりとりを報じた。それによると、被告は犠牲者の同意なしに殺害したと話したという。

また、被害者の後頭部には打撲によるあざがあったとし、それが同意の不在を示していると述べたという。あざは被害者の抵抗を防ぐため、被告の行為によってできたものだと話したという。

社会への影響

この連続殺人事件は日本社会に衝撃を与えた。発生した2017年には、自殺に関するやりとりのあるサイトをめぐって議論が起こった。政府は規制に乗り出す可能性も示唆した。

ツイッターは規則を変更し、「自殺、自傷行為をほのめかす」投稿を禁じた。

日本は世界の工業国の中で自殺率が最も高い国の1つとなっている。十数年前に自殺防止の対策が導入され、自殺率は近年減少している。


 2020.10.9日、「娘 生きたかったと思う」。座間事件公判 被害女子高校生の母。神奈川県座間市の男女9人殺害事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(29)の公判が8日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)であり、2人目の被害者となった群馬県内の女子高校生=当時(15)=の審理が始まった。検察側は、生徒が新学期の準備をし、友人と約束していた点を指摘し、「娘は生きたかったと思う」とする母親の調書を読み上げた。会員制交流サイト(SNS)のやりとりから、被告が生徒を気遣うふりをしてメッセージを送ったことが明かされた。調書で母親は、生徒が片瀬江ノ島駅のトイレに隠し、後に発見された携帯電話には学生証が入れてあったことから、「後で自分のところに返ってくるようにと考えていたのではないか」と推し量った。新学期に向けて新しい弁当箱を注文したり、高校の友人に本を貸す約束をしていたりしたことを挙げ、「生きたかったと思う」とした。被告に対し、母親は「最低でも死刑にしてほしい」、父親は「(被告が)出てくることがあれば私が殺しに行きます」と峻烈しゅんれつな処罰感情を示した。調書によると、母親は事件当日(2017年8月28日)の朝、学校に遅れそうな生徒に「車で送っていく」と言うと、「間に合うから大丈夫」と断られた。「普段なら乗っていくのに」と思ったが、午前8時8分に「(学校に)間に合った」と連絡があり、登校したと思っていたという。午後5時24分に生徒から「何人かと勉強してくるから遅くなる。ご飯も食べてくるから」とメッセージがあり、同5時半の「了解」を意味する顔文字を最後に連絡が取れなくなった。生徒と白石被告のSNSでのやりとりも明らかになった。検察側が示した通信記録によると、生徒と被告は27日夜から28日未明にSNSアプリで通話していた。28日に会った後、生徒は「色々いろいろ考えた結果生きていこうと思います。ここまで案内していただいたのに申し訳ないです」と自殺意思を撤回する内容を送信。これに対し、被告は「いえいえ大丈夫ですよ」と返信し、「群馬に(着くの)は終電くらいですかね」と生徒を気遣うそぶりのメッセージも送っていた。女子生徒の審理に先立ち、最初の被害者となった会社員女性=当時(21)=殺害を巡る被告人質問も行われた。争点となっている殺害の承諾の有無について、白石被告は「(9人の中に殺害について)承諾していた人がいるのか、本当に正直分からない」と述べた。会社員女性について「(殺害を)かなり迷った」と明かした上で、「以前のスカウトの仕事で日常的に女性を売春させる店に紹介し、犯罪行為をしていたので『ばれなければいい』という意識が根付いていた」と話した。

 2020.10.7日、神奈川県座間市のアパートで2017年に9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交等殺人罪などに問われた白石隆浩被告の裁判員裁判は10月7日午後、東京地裁立川支部で初の被告人質問があった。被告の語った言葉とは。

<午後1時、東京地裁立川支部101号法廷>

 白石被告は4人の刑務官に囲まれ、証言台の前に座った。淡い緑色の作業服のような服を着て、白いマスクを着用している。

 まず、弁護人の男性が質問に立った。

弁護人「一連の事件が発覚して3年がたちます。(被告は)弁護人に『早く裁判を進めてほしい』と言ってきた。覚えていますか」

被告「……(無言)」

弁護人「今の心境はどうでしょう」

被告「……(無言)」

 たまりかねて矢野直邦裁判長が声を掛けた。

裁判長「聞こえていますか」

被告「はい、聞こえているのですが」

 白石被告は首を少し右に傾けて話した。弁護人が質問を続けた。

弁護人「弁護人の質問には答えませんか」

被告「はい。はい、答えるつもりはありません」

 弁護側の質問は約7分間で終わり、休廷になった。被告が起訴内容を認める一方、弁護側は「被害者に殺害の同…

 神奈川県座間市で2017年、男女9人を殺害し、遺体を損壊、遺棄したとして、強盗強制性交殺人罪などに問われた無職白石隆浩被告(29)の裁判員裁判第4回公判が7日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。初の被告人質問で白石被告は、被害者の承諾に基づく同意殺人罪を主張する弁護側の質問を全て拒否し、検察側の質問に「殺人の承諾はなかった」と明言。審理を見守る遺族は、被告への厳しい処罰感情を口にした。(沢田千秋)

◆弁護側質問に「答えるつもりはありません」

 白石被告と弁護団との主張の食い違いは、被告による弁護側の質問拒否という異例の事態をもたらした。弁護人から「逮捕から3年がたち、被告は早く裁判を進めてほしいと言っていた」「今の心境は」と尋ねられたが、被告は「(弁護側の質問に)答えるつもりはありません」と声を張り、回答を拒否した。理由は示されなかった。
 検察側の質問には、丁寧な口調で理路整然と応対。「金と性欲が一連の事件の動機か」「すべての事件で、殺人の承諾はなかったか」と聞かれ、「はい、間違いありません」と答えた。
 被告は「父親とうまくいかず、実家を出たかった。女性のヒモになり、家に転がりこんで養ってもらうか、定期的に金を引っ張ろうと思った」として、ツイッターで「疲れた」「死にたい」「さみしい」というハッシュタグを使い、女性を物色。理由を「私の経験から、悩みがある女性の方が口説きやすい」と述べた。

◆被害女性に自ら同居提案、50万円預かる

 最初の被害者となった女性会社員=当時(21)=に、自ら同居を提案。「生き抜こう」などと話すうち、女性は被告に好意を抱き、前向きに見えたという。しかし、引っ越し準備のため、女性から約50万円を預かった後、殺害を決意する。
 17年8月23日夜、新居で女性の首を絞めた。被告は女性が「殺してくれ」や「自殺したい」とは言わなかったと述べ、「女性は、首を絞めている私の手をどかそうと、5分ぐらい抵抗していた」と話した。
 遺体の具体的な解体方法に質問が及ぶと、生々しいやりとりに遮蔽しゃへい板の向こうの遺族席から退廷者が出て、審理は一時中断した。

◆「継続的に金を奪おうと思った」

 被告は「解体中、頭痛や吐き気があったが、やらなければ捕まるという思いで一心にやった」と発言。「継続的に女性を呼び込み、レイプし、金を奪おうと思った」とし、最初の事件後、「50万円と部屋が手に入り、いざ殺人と損壊をしたら意外とうまくいって、次もやれる自信があった」と話した。

◆「同じ方法でこの世からいなくなって」遺族が証言

 7日の公判では被告人質問に先立ち、遺族が初めて証言した。最初に殺害された神奈川県の女性会社員=当時(21)=の母親は、白石被告に対し「この世の中からいなくなってほしい。娘が受けたことと同じことを受けてもらいたい」と、言葉が不明瞭になるほど声を震わせた。
 被害者全員が匿名で審理される中、証言台についた母親の姿は傍聴席から遮られ、白石被告との間にも遮蔽板が置かれた。
 母親は生前の女性を「責任感が強くて心優しい。他人のことも私のことも思いやってくれた」と回想。「死にたい」と日記に残すこともあったが、母親は「何年も前から、そうやって自分の精神のバランスをとってきた。自己防衛だった」と理解していた。
 17年8月、女性と連絡がとれなくなってから、母親は女性の自室で失踪宣告書を発見。被告の指示で作成されたものだったが、母親は「自殺はしないと書いてあったし、1人でやってみたいのかなと思っていた」「娘はパソコンの資格を取るため教材を申し込んでいた。生きようと思っていた」と涙声で語った。

 2020.10.14日、座間事件、男性殺害は「口止め」。白石被告公判、東京地裁立川支部。神奈川県座間市のアパートで2017年、男女9人の切断遺体が見つかった事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が14日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。被告は、3人目の被害者となった同県横須賀市の介護支援員の男性=当時(20)=について「(最初の女性殺害の)口止めのために殺そうと思った」と述べた。

 検察側によると、男性は、17年に殺害された同県厚木市の女性=当時(21)=を通じて被告と知り合い、同年8月30日に殺害された。

 検察側の質問に対し白石被告は「私の情報が漏れないように殺そうと思った」と供述した。


 神奈川県座間市のアパートで2017年、男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(30)に対する裁判員裁判の第9回公判が19日、東京地裁立川支部であった。1~3人目の被害者をめぐる中間論告と中間弁論が行われ、検察側は、承諾なく殺したとする白石被告の法廷供述を「十分に信用できる」と主張した。弁護側は慎重に検討すべきだと訴えた。

 検察側は「殺害状況を直接証明するのは被告の供述のみ」とした上で、客観証拠と比較しながら供述の信用性を検討。殺害された神奈川県の女性(21)と群馬県の女子高校生(15)、神奈川県の男性(20)の3人とも、白石被告にSNSで「自殺意思を撤回していた」と強調した。また、「暴れないように口に粘着テープを貼った」との白石被告の供述と、遺体発見時の状況なども一致していると指摘した。

 その上で、白石被告の法廷での供述について①客観的な事実経過と符合②一貫性があり内容も詳細で合理的③記憶の有無や濃淡を区別して供述し虚偽の可能性もない――として「信用できるのは明らか。殺害の承諾はなく単なる殺人だ」と結論付けた。

 一方、弁護側は、被害者らは殺されても構わないという「黙示」の殺害承諾があったと訴えた。自殺撤回後に死をほのめかす内容をSNSに投稿したことや、殺害時の抵抗は条件反射の可能性があることを例示。「被告の心情に漂うのは諦めだ」と説明し、起訴内容を認めた白石被告の供述を「慎重に検討しなければならない」と裁判員らに求めた。

 裁判は、犯行順に被害者9人を3組に分けて審理されている。この日の論告と弁論を受け、裁判員らは非公開の評議で1組目の3人について殺害承諾の有無を検討する。結果は検察・弁護側には伝えられず、2組目の審理が21日に始まる。求刑は被害者9人全員の審理後に行われ、判決は12月15日に言い渡される。(加藤あず佐、西村奈緒美)


 2020.10.21日、【独自】「ひどいことをした」座間9人殺害の被告、記者との面会で反省の言葉
 2017年、神奈川県座間市のアパートで男女9人が殺害された事件。白石隆浩被告が、裁判期間中にJNNの面会に応じ、「遺族の言葉を聞き、ひどいことをしてしまったと思った」と自責の思いを口にし、心境の変化を初めて明らかにしました。

 座間市で男女9人を殺害し強盗強制性交殺人などの罪に問われている白石被告。3人目までの審理が終わった翌日、拘置所でJNNの面会に応じました。

 「裁判で3人の被害者の遺族の言葉を聞き、ひどいことをしてしまったと思うようになった」(白石被告)

 白石被告は初公判前に、「一番長く過ごした1人目の女性には謝罪の気持ちはあるが、2人目以降は罪悪感を感じていない」などと話していましたが、裁判が進む中で白石被告の心境に変化が生じた形です。

 裁判では遺族が出廷し、「娘が受けたことと同じことを受けてもらいたい」と声を震わせて述べたほか、「ごみ同様に扱われたことに強い憤りを感じている」などとする遺族の調書が読み上げられましたが、この事について記者から「どう思ったのか?」と問われると、1分ほど考え込んだ白石被告はこう述べました。

 「正直落ち込んだ。自分も人の子だと思いました」(白石被告)

 その上で「大人しく刑を受けることが一番良いことだと思う」と述べました。

 一方、21日からの裁判では4人目から7人目の被害者の審理が始まり、午後からは被告人質問が行われる予定です。

「遺体解体中、自宅に別の女性上げた」 4人目以降の失踪偽装せず 座間9人殺害公判

 神奈川県座間市のアパートで平成29年、15~26歳の男女9人が殺害された事件で、強盗殺人や強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の第10回公判が21日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。同年9月に殺害された4~7人目の被害者に絞った冒頭陳述などが行われ、検察側は被告が4人目以降の被害者には失踪を偽装する指示をしなかったと指摘。「3人殺害しても警察が来ず、大丈夫と考えた」と供述していたことも明らかにした。 【写真】白石容疑者が連絡を取っていたツイッターの画面  4人は、埼玉県所沢市の大学2年の女子学生=当時(19)▽同県春日部市の無職女性=同(26)▽福島市の高校3年の女子生徒=同(17)▽さいたま市の高校2年の女子生徒=同(17)。  検察側は冒頭陳述で、4人は一緒に自殺する人を募集するツイッターの投稿などがきっかけで被告と知り合ったと説明。被告に殺害されることを承諾しておらず、性的暴行や所持金を奪うことへの同意も一切なかったとした。  4人は、被告と一緒にいる間も母親に「今から帰ります」と連絡したり、事件後の日程で美容室の予約を入れたりしていたという。殺害前に「死にたい」や「殺してほしい」といった言動もなく、検察側は被告がいきなり首を絞めるなどして殺害したと述べた。  一方、弁護側は4人が家族との関係や容姿のことで悩んでいたと指摘し、「いずれも強く死を望んでいた」とした。殺害の承諾に関しては、「被告の所に向かって殺害されるまでの間に、引き返したり命を絶つことを撤回したりするような行動を取っていない」と主張。また、「承諾はあくまでも黙示によるものだった」と強調した。  公判では、4番目に犠牲となった女子学生に関する証拠調べも行われた。アルバイト先の店長や両親の供述調書を検察官が読み上げ、被告の自宅へ向かう直前の言動などが明らかにされた。  母親の調書によると、女子学生は高校1年の頃から母親に叱責されると家出を繰り返すようになった。大学では成績不振が続き、殺害された当日は大学のクラス担任と3者面談をする予定だったという。母親は「(成績不振を)言い出せず悩んでいたかもしれないが、本気で死のうとしていたとはどうしても思えない」と話していた。  女子学生は翌年に控えた成人式の髪形を悩む素振りや、友人と出かける約束なども口にしていたという。被告について「9人分の苦痛、絶望を味わい、一日も早く死んでほしい」とする母親の言葉も紹介された。  被告人質問では、検察官が女子学生と同時期に知り合った別の女性について問いただした。女子学生が来るまで女性が自宅アパートに滞在しており、白石被告は「朝までカラオケ店に行かせたが、遺体の解体中に戻ったので自宅に上げ、解体を続けた」と証言。検察官が女性から警察に通報される恐れはなかったのかと尋ねると、「(自分に対して)信頼や恋愛感情があり、自分が逮捕されると困るので通報しないと考えた」などと話した。  一方、弁護側の質問に対しては、「覚えていない」「黙秘します」といった言葉を繰り返した。

【関連記事】


 2020.10.26日、座間9人殺害事件裁判 白石被告「被害者を襲うことが快感に」 。

神奈川県座間市のアパートで若い女性など9人の遺体が見つかった事件の裁判で、被告は埼玉の女子大学生についての審理のなかで「被害者を襲うことが快感につながった」などと述べました。

2017年10月、神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件では、白石隆浩被告(30)が性的暴行をしたうえ9人を殺害し現金を奪ったなどとして強盗殺人などの罪に問われ、弁護士は被害者は殺害されることに同意していたなどと主張しています。
26日は、埼玉の当時19歳だった女子大学生について被告人質問が行われ、裁判官から「被害者は『自殺をする』という話で部屋まで来ている。殺害するのではなく自殺の流れに持って行こうと考えなかったのか」と問われると、被告は「被害者がふつうの状態のときに襲うことが快感につながったので考えなかった」などと淡々と述べました。

また9人を殺害したのと同じ時期に部屋に誘い込みながら殺害しなかった女性について、被告は「身なりや持ち物からお金を持っていそうだったので殺害しなかった」と述べました。

そして所持金の額など殺害するかどうかの基準があったのか裁判官から問われると、「状況にもよるが自分に対する依存や明らかな好意を示した場合は殺害しなかった」と述べました。
その後、埼玉の当時26歳だった女性の審理が始まり、女性の母親が「娘に二度と会えないと思うと生きていくのがつらい。犯人には遺族の苦しみを少しでも理解して罪を償ってもらいたいです」と涙ながらに証言しました。


 2020.10.29日、神奈川県座間市の九人殺害事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職白石隆浩被告(30)の裁判員裁判は二十九日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で、七人目の被害者となった、さいたま市の高校二年の女性=当時(17)=に関する審理に入った。検察側は「娘は『将来やりたいことがたくさんある』と話していた。自ら命を絶つとは思えない」とする母親の調書を読み上げた。女性は二〇一七年九月三十日に殺害された。検察側書証によると女性は同月二十七日、母親に「学校に行きたくない。理由は分からないが胸がもやもやする」「精神科に行きたい」と話した。三十日「昼食を買いに行く」と出掛けたまま行方不明となり、被告宅近くで一緒にいる姿が確認された。
 検察側は、女性が一七年十一月に友人と東京ディズニーランドに行く約束をしていたと指摘。母親は調書で「娘のこれからの可能性を全て踏みにじった犯人を絶対許さない」と述べ、死刑を求めた。
 弁護側は、女性が同年九月二十八日の面談で「通信制の高校に行きたいと家族に相談したが断られ、ベランダから飛び降りようとしたことがある」と話したとする、担任の調書を読み上げた。






(私論.私見)