事件その後1 |
更新日/2018(平成30).11.18日
(れんだいこのショートメッセージ) | ||
ここで、「大阪中1少年少女殺人事件経緯2」を確認しておく。 2015.08.22日 れんだいこ拝 |
【大阪中1男女殺害事件初公判までの事件の歩み】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
寝屋川中1男女殺害事件の主な経緯
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
^ “『”名誉挽回”やるだけやって頑張る』寝屋川中1殺害事件の被告、知人への手紙に「裁判への意気込み」”. FNN.jpプライムオンライン. (2018年11月6日) 2018年11月6日閲覧。 山田被告が裁判員裁判を前に知人に送った手紙には「I'm alone and Lonely…」と綴り、「検察は私を起訴・死刑にするのが仕事」、「裁判員に悪印象をもたれている。”名誉挽回”やるだけやって、裁判頑張るつもり」と裁判への意気込みなどが語られていた。一方で、これまでの取り調べで検察などに暴言を吐かれ国家賠償訴訟を検討しているとも明かした。 |
【大阪中1男女殺害事件/公判前面会時の肉声】 | ||||||||||||||||
2018.10.26日付け「MBSニュース 」の「【特集】“面会200分”黙秘の被告が語ったこと 寝屋川中1男女殺害事件」 | ||||||||||||||||
![]() |
||||||||||||||||
このレポートの重要性は末尾の「QアンドA」にある。これを確認する。
公判でも同様の質問があり、この時の発言と同様の陳述をしている。してみれば、こたびの「QアンドA」が模擬演習の役割を果たしていることになる。これを偶然と看做す向きもあるだろうが、私は、「これがマスコミの生態としての模擬演習の役割」を疑惑する。 |
【大阪中1男女殺害事件/初公判】 |
2018.11.1日午前10時、3年2カ月前の2015(平成27)年8月に、大阪寝屋川市の中学1年生の同級生男女2人(平田奈津美さん(13)、星野凌斗さん(12))が遺体で見つかった事件で、殺人の罪に問われている山田浩二被告(48)の裁判員裁判が大阪地裁(浅香竜太裁判長)の大阪地裁で最も大きい201号法廷で開かれた。地裁には朝から傍聴券希望者が大勢集まり、地裁によると、一般傍聴席51席に対し435人が列を作った。
明るい緑色のつなぎ姿で入廷した山田被告は大きく息をつき、被告席に座った。裁判長に「証言台の前にどうぞ」と促されて席を立った。そのまま証言台を通り過ぎ、検察官席の横にある仕切り板の前へ歩み寄り、突然土下座した。仕切り板の向こうには、被害者参加制度に基づいて公判に参加している平田奈津美さんと星野凌斗(りょうと)さんの遺族がいるとみられた。突然、「時間もらっていいですか、ご遺族の人いますね?」と話し出し、開廷後の冒頭で、遺族が座っているとみられる検察側席のついたてに向かって土下座し、涙を流しながら、「このたびは経緯はどうであれ、死の結果を招いてしまい、申し訳ありませんでした。ずっと謝りたかった」と謝罪した。裁判長が、「山田さん、またそういう機会があるから」とやめるよう再三注意したが、山田被告はさらに「本来ならご遺族の顔を見て謝罪すべきだが、遮蔽されているので、できません。けど声なら届くと思うので、もう一度言います」、「始まる前に、ずっと3年前の夏から伝えたくて」などと述べ、裁判長の「座りなさい、元の席に」の制止も聞かず、「病院に連れていけば良かった。ごめんなさい。本当にごめんなさい」と5分ほど、泣きながら遺族への謝罪発言を続けた。「山田さん、またそういう機会はあるから」と促されても「ずっと、お詫びがしたかった」と土下座し続けた。裁判長から「山田さん! 戻りなさい」と警告を受けても言葉を重ねた。裁判長が、指示に従わない場合は退廷を命じることを告げ、「そんなことしていると法廷にいられなくなっちゃうよ」と厳しく言われると、ようやく被告人の席に戻った。 冒頭手続きが始まった。罪状認否で、裁判長が「平田さんの関係はどうですか?」と尋ねると、平田奈津美さんについて「(二人を)殺すつもりはありませんでした。ただ気が付いたら、私の手が平田さんの首に触れていました。そのときには亡くなっていたように思う」と説明、起訴内容を否認した。裁判長が、「星野君の関係はどうですか?」と尋ねると、「星野凌斗さんについては、熱中症で死んだ可能性がある。起訴状には殺人とあるが、殺意は全くありませんし、そのような出来事もありません」(「殺人とかなんだかんだありますけど、そんなことはありません」)と述べ殺意を否認した。 検察側の起訴状によると、被告は同13日午後7時ごろから同11時10分ごろまでの間、大阪府またはその周辺で、平田さんの首を手などで圧迫するか、顔に粘着テープを何重にも巻いて、鼻や口をふさぐかして窒息死させた。同日ごろ、星野さんも何らかの方法で頸部を圧迫し、窒息死させた。その上で、他人の体液などを放置したと主張した。検察官が起訴状を朗読すると、山田被告はハンカチで口元をおさえて、すすり泣くような声をあげた。 冒頭陳述によると、被告は15年8月13日朝、京阪寝屋川市駅近くの弁当屋で面識のなかった2人と出会い、車に乗せ大阪府柏原市へ向け移動。その後同市内のコンビニで粘着テープを購入。同日午後9時頃までに星野さんを殺害し、星野さんの遺体を大阪府柏原市の山中の雑木林に遺棄した上、午後10時半以降、同府高槻市内の運送会社の駐車場に侵入し、平田さんの遺体を他人の車の下に置き、刃物で切り付けてそのまま放置したと主張した。二人の遺体から睡眠導入剤の成分が検出されていたことを明かし、被告のスマートフォンには、「(睡眠導入剤の)ハルシオン、子ども、効き目」、「DNA鑑定、汗、死体」などというキーワードが検索されていた履歴が残っていたとして、犯人は山田被告以外にないと訴えた。だが、山田被告はその後、「殺すつもりはありませんでした」と起訴内容を否認した。 弁護側は、女子生徒に関しては傷害致死罪、男子生徒については体調不良で死亡したとして保護責任者遺棄致死罪の適用を求め、刑事責任能力についても争う姿勢を示した。平田さんの死因をめぐって、家出を心配して声をかけると「遊びに連れて行って」と車に乗ってきたと説明。平田さんはその後も「家に帰りたくない」と騒いだため、被告が後部座席で口をふさぎ、気付くと手が首にあった。平田さんを頸部(けいぶ)圧迫で死亡させたことは間違いないが、こうした経緯で動かなくなったものであるとした。平田さんの体に刃物による傷が複数あったことについては「生き返らせたいと思い、ショック療法を思い出して、カッターナイフで切りつけた」としている。これにより、殺意はなく殺人罪より量刑が軽い傷害致死罪にとどまるとした上で、「被告は犯行当時、精神障害により心神耗弱状態だった」と主張した。 星野さんの死因をめぐって、検察側は山田被告が首を圧迫して窒息死させたと主張。これに対し、山田被告が「車内で星野さんがたくさん汗をかいていることに気付き、平田さんの助言で睡眠導入剤を渡した後、何らかの体調不良で亡くなった」としていることを受け、弁護側は、「星野さんは被告の車内で体調が悪くなり、けいれんを起こし、動かなくなった。気付いたら息をしていなかった」と「何らかの体調不良で亡くなった」とし、救護措置をとらずに死なせた保護責任者遺棄致死罪の成立が相当と述べ、殺人の罪が成立しないと主張した。星野君の遺体を大阪府柏原市の山林に遺棄した際、8日後に発見された星野君の遺体は腐敗が進んでいて、死因は不詳。他殺かどうかもわからない状態だった。大阪府警は星野君の生前の健康状態を調べ、専門医の所見等から病死の可能性を否定することで、何とか他殺と断定するに至った。被告は、星野君の遺体の傍にコンドームやティッシュを周辺に置くという偽装工作をしたとされる。男子の服からは、死亡後に採取されたとみられる容疑者とは別人の体液が見つかっていたことも判明している。府警は、容疑者が第三者の関与を偽装しようとした可能性があるとみて調べているようであるが、未だ出てこない「第三者の関与」の方こそ本ボシである可能性が強い。 さらに山田被告の弁護士は、事件の経緯をこう説明した。「深夜に2人を見かけ、友達にでもなろうかと『何してるの』と声をかけた。平田さんが『雨宿り』といい、帰る様子がなかったため、もしかして家出かなと思った。そこで、2人の写真を撮って話すネタにしようと思った。2人の家まで送ろうかと聞いたら、平田さんから『遊びに連れてってほしい』とせがまれた。そして、2人が車に乗り込んだ。平田さんは『京都に行きたい』と言い、星野君も賛同。だが、刑務所に行く用事があったので『無理、行かれへんから家まで送る』というと平田さんは『帰りたくない』と頑なに拒否。リアルに家出だと思った。平田さんは『寝屋川には戻りたくない、帰ったら車にむりやり乗せられた、おっちゃんにレイプされたって言うよ』と脅され、帰宅を拒否。そこで犯行となってしまった」。さらにこんな滑稽な主張を続けた。「平田さんの口をおさえ、クビに手をやると気を失ったので、仕事のためのカッターがあるのを思い出し、切ってショックを与えた。生き返るワケないなと、切るのをやめて戻った」。 審理終了間際、立ち上がって裁判長に「ありがとうございました」と告げ、何かを言いたそうにしたが、制止され「すみませんでした」と頭を下げていた。 |
8.21日、大阪府警が山田被告を平田さんに対する死体遺棄容疑で逮捕した。その後、9月、平田さんに対する殺人容疑で、12月、星野さんに対する殺人容疑でそれぞれ山田被告を逮捕した。但し、大阪地検は平田さんへの死体遺棄罪での立件は見送り、2人に対する殺人罪で起訴している。検察は、二人が死亡するまで一緒にいたのは山田被告以外あり得ず、被告しか二人の殺害に関与した人物はいないと立証する構えを見せている。これまでの公判前整理手続きは33回。12月19日の判決まで、計11回の公判が予定されている。 捜査段階では事件の経緯がほとんど解明されていない。山田被告は平田さんについての死体遺棄容疑(嫌疑不十分で不起訴)での逮捕直後から完全黙秘を続けている。二人を殺傷させた凶器、二人の スマートフォンやバッグなど行方不明時の所持品等の物証が発見されていない。即ち山田被告が殺害したと示す直接証拠がない。目撃証言も乏しく、山田容疑者が二人に接触した時間や場所が特定されていない。事件の詳しい状況は明らかになっていない。殺害の動機も不明 である。平田さんの遺体を、すぐに発見されるような場所に遺棄した理由も分かっていない。二人の殺害順序も解明されていない。よって、「真相解明までの道は険しい」。検察側は防犯カメラの映像や山田被告の車から検出した血液反応といった状況証拠を積み上げ、犯人は山田被告以外にありえない、山田被告以外の第三者の関与が確認できないなどとと立証していく見込みだが、専門家は「殺人罪のハードルは高い」と指摘する。中学生2人の命が失われた事件の真相が、裁判でどこまで明らかになるのか注目される。近畿大の辻本典央(のりお)教授(刑事訴訟法)は「防犯カメラの映像などによると、被告は亡くなった2人と直前まで一緒にいたようだ」とした上で、「ただ、何らかの形で死亡に関与したのは間違いないだろうが、殺人罪で有罪とするには足りない。故意や殺害する動機を検察側が明らかにする必要がある」と指摘する。裁判員は事実認定と量刑判断を廻る難しい選択を迫られている。 弁護側は、平田奈津美さんについては死亡にはかかわっていたものの殺意を否定し、傷害致死罪にとどまると主張。星野凌斗さんは何らかの体調不良により亡くなった可能性を挙げるなどして刑事責任は保護責任者遺棄致死罪の範囲に限定される、としている。 |
被告人質問では、男子生徒の遺体近くに他人の体液が付いたティッシュを置いた目的を検察官に聞かれると数十秒絶句。「その時は他人のせいにしたいという気持ちが強かった」と釈明した。逮捕直後に「車の同乗者が女の子を殴った」と供述していたことに関して、公判では「頭が混乱していた。出頭するつもりだったのに逮捕されてパニックになり、そう答えてしまった」と説明、一転して虚偽だったと認めた。2人が死亡した状況について、「汗をかいて震え出した。反応がなくなった」、「大声を出され、口を押さえた手が首にいった。急に動かなくなった」との説明を繰り返した。論告で検察官から「荒唐無稽な弁解。(謝罪は)形だけのパフォーマンス」と非難されても、山田被告は「当時の記憶に基づいて本当のことを話した」と強調した。「果たして正しいのか、葛藤があった」。逮捕後、弁護士の指示で黙秘したことに対し、当時の心境を語った山田被告。事件を振り返り、「(被害者に)声を掛けなければこんなことにならなかった」と話した。 |
その後の公判でも「拘置所でも2人のことを考え、月命日に手を合わせている」と強調。だが、遺族らはその弁明に怒りを覚えていた。 |
【山田被告の拘置所内証言】 | |
拘置所にいる山田被告はマスコミ取材班の問いかけにも事件についてほとんど語っていない。メッセージとして次のように述べている。
|
【大阪中1男女殺害事件/2回目公判】 |
11.2日、2015年8月に大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人を殺害したとして、殺人罪に問われた山田浩二被告(48)の裁判員裁判の第2回公判が大阪地裁であった。亡くなった2人の母親に対する証人尋問が行われ、事件の遺族が公の場で初めて発言した。2人の母親は法廷とモニターでつながれた別室で証言した。 平田奈津美さんの母親は、検察側の質問で、事件3か月前の母の日、一緒にスーパーに出かけたことを振り返り、「『ママ、カーネーション買おう』と言ってくれた。天真らんまんで優しい娘だった」と振り返り、夜中に出歩き、事件に巻き込まれたことには、「普段から注意していたが、もっと言っておけばよかった」と悔やんだ。遺体の顔に多数の切り傷などがあり、粘着テープが何重にも巻かれていたことについて、「あの男は最低です。人間じゃないです」と強く非難した。弁護側が、声をかけられた平田さんが、山田被告に「遊びに連れていって」と応じたと主張していることに対して、「娘は人見知りで、知らない人とは話さない」と反論した。 星野凌斗(りょうと)さんの母親は涙声で事件当時の状況を語った。星野さんが中学校でテニス部に所属するなど「持病はなく健康だった」と証言。体調不良とする弁護側の主張に対し、「事件前日も普段通りの様子で、体調に問題はなかった」と説明した。一部が白骨化した状態で見つかった遺体と対面した際の心境について「私の思っている凌斗じゃなかった。やっと帰ってきてくれたけど、望んでいた結果じゃない」と話し、すすり泣いた。 平田さんの遺体は15年8月13日深夜に同府高槻市内の駐車場で見つかり、左肩から左腕にかけて多数の切り傷がつけられていた。被告の殺意を否認する弁護側は1日の冒頭陳述で、被告が口をふさぐなどして動かなくなった平田さんを「ショックを与えれば生き返る」と考えてカッターナイフで切った、と説明した。母親は平田さんの発見当時の遺体の写真を初めて見たのは、初公判を控えた今年10月になってからだったと説明。「かわいそうで、ずっと見られなかったが、あの子がどうやって命を奪われたのか親として知るべきだと思い、見ることを決意した」と振り返った。写真を見た時の心境を「口では言い表せない」とし、語気を強めて「あの男(被告)は最低です。人間じゃないです」と話した。 |
【「記者が感じる不可解」考】 |
本事件担当記者が、「寝屋川中1男女殺害公判、現場の記者らが感じる『不可解』」記事を発信している。しかし、その内容たるや噴飯お粗末もので、そちらの方こそ不可解としたくなる代物でしかない。それによると、記者は、「全体的にお芝居じみていました。それも、出来損ないの三文芝居でしたね」と感じたと云う。この感じ方は良い。問題は芝居じみて感じた内実の方にある。その論調によると、弁護側の減刑作戦に対して違和感を述べているようである。即ち、平田さんの死に対して傷害致死罪の適用を求め、星野さんの死に対しては熱中症による病死と主張して争う姿勢を見せている。この「弁護士シナリオ」に違和感反応を吐露している。その違和感反応は良い。問題はその内実の方にある。 本来は、山田被告の犯行であり得るのかどうかを疑うべきだろう。山田被告は、どういう事情によってかどうかまでは分からないが、本当の犯人の身代わりで容疑者請負をしている可能性がある。弁護士が本来の弁護業務に忠実であるなら、事件のこの闇の解明に向かうべきだろう。しかしながら、山田被告の犯行であることは明白とした上で減刑作戦に興じている。その意味では、検察側も弁護側もマスコミも「山田被告の犯行である」とする同じ土俵に上っていることになる。「本当の違和感」は、「山田被告の犯行である」とする同じ土俵の設定にこそある。この「事件及び裁判シナリオ」に対する違和感を覚えるなら分かるが、「山田被告の犯行である」とする同じ土俵の上で、無罪ないしは刑の減免を求める「弁護士シナリオ」に対してだけ違和感を覚えるものではなかろう。そのように感じる記者のお粗末さが透けて見えてくる話しでしかない。 |
但し、後半の次の下りは良い。それによると、弁護士法第1条「弁護士は(中略)社会正義を実現することを使命とする」。弁護士職務基本規定第5条「弁護士は真実を尊重し、信義に従い誠実かつ公正に職務を行うものとする」。刑事訴訟法第1条「公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現することを目的とする」の条文を知らせ、次のように結んでいる。概要「弁護士が依頼人の要請に応えることは当然の義務であるにせよ、弁護士は真実追求の義務・公益に応えねばならない。黙秘は、被告の権利であるが、真実を知りたいと願う遺族の切実な思いも踏まえ、ゲーム感覚の駆け引きはやめ、公判が司法のあるべき『真実追求の場』であってほしいと切に願う」。これは真っ当な見解だろう。 |
【「土下座は十八番の鬼畜」考】 | |
2018.11.4日、「寝屋川中1男女殺害 山田被告の刑務所仲間が激白「土下座は十八番の鬼畜」【裁判ルポ】〈dot.〉」。
|
【大阪中1男女殺害事件/3回目公判】 |
2018.11.6日、大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人を殺害したとして、殺人罪に問われた山田浩二被告(48)の2015大阪中1男女殺害事件裁判員裁判の第3回公判が大阪地裁(浅香竜太裁判長)であった。星野凌斗(りょうと)さん(当時12歳)の遺体の写真などを鑑定した法医学者2人の証人尋問があった。星野さんの遺体は長時間屋外に放置されて損傷が激しく、司法解剖では死因が特定できなかった。ただ検察側は起訴後、首の圧迫による窒息死と具体的に殺害方法や死因を示す内容に訴因変更した。解剖結果や遺体の写真を鑑定した近藤稔和・和歌山県立医科大教授は、星野さんの歯や頭蓋骨(ずがいこつ)について、首の圧迫などによる窒息死の際に特徴として表れるピンク色への変色があったと指摘した。この変色現象を研究してきた池田典昭・九州大大学院教授も、歯と頭蓋骨がはっきりピンク色になっていたと証言し、同様に首を圧迫されて窒息死した可能性を強調した。両名共に「首の圧迫による窒息死の可能性が高い」(「首を圧迫されたことによる窒息死と考えられる」)と証言し、「(星野さんは)車内で汗をかき始め、けいれんを起こして息をしなくなった」として熱中症などの体調不良で死亡したなどという弁護側の主張を否定した形となった。池田教授は「熱中症などでは頭部の鬱血は確認されにくい」と否定した。
一方、車の下に置かれていた平田奈津美さん(同13歳)の遺体の左半身にあった約50カ所の切り傷について、弁護側は「生き返らせたいと思い、ショック療法として、カッターナイフで傷つけた」としていたが、近藤教授は「死後に車の下で切りつけられた可能性が高い」と証言した。 起訴状によると、山田被告は大阪府内かその周辺で、27年8月13日午後7時ごろから同11時10分ごろまでの間、平田さんの首を手などで圧迫し、顔に粘着テープを何重にも巻き付けるなどして窒息させて殺害。同日ごろ、星野さんの首を何らかの方法で圧迫し、窒息死させたとしている。 |
【大阪中1男女殺害事件/4回目公判】 |
2018.11.7日、殺人罪に問われた山田浩二被告(48)の寝屋川中1殺害裁判員裁判の第4回公判が大阪地裁で開かれた。熱中症の専門家への証人尋問があり、専門家は星野さんについて、熱中症で死亡した可能性を否定した。弁護側は、星野さんは熱中症など「体調不良で死亡した」と主張。これに対し、出廷した帝京大の三宅康史教授(救急医学)は熱中症に関するデータや事件当日の府内の気温がそれほど高くなかったことを挙げた上で、星野さんは健康で、夏休み中も屋外で部活動をしていたと指摘。山田被告が星野さんらを乗せた車もエアコンが正常に作動する状況だった点などを踏まえ、「熱中症の危険性はほぼなく、命に関わるほどの熱中症に罹患(りかん)した可能性はない」と述べた。
|
【大阪中1男女殺害事件/5回目公判】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2018.11.14日午前10時開廷。山田浩二被告の裁判員裁判の第5回公判が、大阪地裁(浅香竜太裁判長)で開かれた。山田被告はこの日、これまでより短くした丸刈り姿で出廷。1日の初公判では突然土下座し、裁判長の制止も聞かずに涙ながらに遺族らに話しかける場面があったことから、裁判長はこの日、証言台の前のいすに座るよう促した際、「山田さん証言台の前に座ってもらうんだけど、山田さん、この前のようなことはしてはダメですよ」と初公判で見せた“土下座パフォーマンス”を制止し、山田被告は「はい」と応じ、ゆっくりと証言台に向かった。
被告人質問が行われた。次のようなやり取りになった。
|
【大阪中1男女殺害事件/6回目公判】 |
11.15日、殺人罪に問われた山田浩二被告(48)の裁判員裁判の第6回公判が大阪地裁(浅香竜太裁判長)であった。山田被告の精神鑑定をした医師2人の証人尋問があり、弁護側が事件に影響したと主張している発達障害の有無について、見解が分かれた。
|
【大阪中1男女殺害事件/7回目公判】 | ||||||
11.19日、山田浩二被告(48)の裁判員裁判の第7回公判が大阪地裁(浅香竜太裁判長)で始まった。被告人質問が行われ、検察側が「わいせつ目的で2人に声を掛けたのではないか」と質問したが、山田被告は明確に否定した。 被告人質問で、逮捕直後に「車内に同乗者がいた。同乗者が女の子を殴るなどした」などと供述したことについて、検察は山田被告が2015年8月21日に逮捕された時の取調べでの発言についてこう切り出した。
|
【大阪中1男女殺害事件/8回目公判】 | ||||
11.20日、山田浩二被告(48)の裁判員裁判の第8回公判が大阪地裁(浅香竜太裁判長)で始まった。遺族の意見陳述があり、平田さんの母親が次のように述べた。(「寝屋川市の中1男女殺害事件 遺族「謝罪するくらいなら娘を返して」」参照)
星野さんの母親は「(子供を)ただ返してほしい」と悲痛な様子で訴えた。主な内容は以下の通り。
|
||||
この日は3日目となる被告人質問が行われ、山田被告は「自分が2人に声を掛けなければ、こんなことにならなかった。申し訳ありませんでした」と改めて遺族に謝罪した。 弁護側の被告人質問では、山田被告が取り調べの違法性を訴えた。逮捕後に刑事や検事らから「死ね」などの暴言を浴びせられた、「逮捕されて警察の車で、刑事から脅されたというのか『お前しばらく出られへんぞ、取調べ、徹底的にいったるから』とか『大阪府警の前はマスコミいっぱい、明日のニュースはお前のことばかりや』と言われて、テンパってしまった。大阪府警の前で写真のフラッシュたいていた光がすごかった。なんでこんなことなったのかと思い、ウソを答えてしまった」と主張し、「一言でいえば違法」、「ごっついひどいことを言われた」、「思い出すのもつらい」と述べた。弁護側は公判でこれまで違法捜査などは主張していない。逮捕後は弁護人の指示で黙秘したと明かし、「それが正しいのか葛藤があった」と当時の心境も語った。一方、検察側は、被告が事件後も通天閣や千葉県のカレー店を訪れたと指摘。山田被告は、過去に未成年者を監禁するなどの事件を起こしたことを問われると、「どんな事件かも記憶にない」などと述べた。 |
||||
公判で検察は山田被告の過去の前科、犯歴を捜査報告書として明かした。1991年から2002年にかけて、山田被告は少なくとも7回に渡り、自分より年下の未成年の男性に対して、わいせつ事件を起こしているという内容だ。2002年には2月から3月にかけて5件も連続して、わいせつ事件を起こしている。例えば2002年3月30日の事件は、大阪府寝屋川市で道を聞くふりをして、14歳の男性を自分の自動車に誘い込んだ。カギを閉めて車を発進させ、手錠をかけた。果物ナイフを突きつけて、現金を奪い、顔にガムテープを巻き付け目隠しをして着衣を脱がせて下半身を写真撮影するなどし、3時間半にわたって監禁したというもの。検察が明かした犯行は多くが通りすがりの未成年者に声をかけ、言葉巧みに車に連れ込み、暴行したりナイフなどで脅し、ガムテープなどで動けなくして監禁。金品を奪い、わいせつ行為に及ぶという似た手口だ。今回の事件も、2人の遺体の顔はガムテープが貼り付けられていた。山田被告が車にカッターナイフやガムテープを所持していたこともわかっている。それを踏まえて検察は山田被告に「今回ね、平田さん、星野さんに声かけた、あなたは心配だったからと言いましたね。危害を加えるつもりで声かけたんじゃないですか?」と問うと、山田被告は「そそそそそ…」とどもるばかりで、答えが出ない。ようやく「それはないです」と答えた。さらに検察に「2人にわいせつ行為をしようとしたのでは?」と問われると、山田被告は「ありません」と答えた。 |
【大阪中1男女殺害事件/9回目公判】 |
11.21日午前10時頃、大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人を殺害したとして殺人罪に問われた山田浩二被告(48)の寝屋川中1殺害事件裁判員裁判の9回目公判。これが結審となった。上下緑色の服装で入廷した山田浩二被告は、裁判長の方を向いて深々と一礼すると、落ち着いた様子で検察側の論告に静かに聞き入った。
検察側は、論告求刑で、山田被告が初公判で土下座して謝罪をしたことを「形だけのパフォーマンスにすぎない」と突き放し、概要「山田被告の供述は荒唐無稽。身勝手な犯行で、強い非難に値する。犯行は極めて残虐かつ悪質」として死刑を求刑した。検察側論告では、遺体のうっ血の痕跡や歯や骨の変色から、2人の死因は首の圧迫による窒息死と説明。「被告は首の圧迫を死の危険性が高い行為だと認識していたはずで、殺意は明らかだ」と主張した。犯行動機の解明につながる証拠は乏しかったが、星野さんについて、事件当日に知り合ってある程度の時間を一緒に過ごしたことから「何らかのトラブルが生じたことは合理的に推認できる」と指摘。男子生徒が突然死したとする山田被告の主張を「被告人の供述はウソで、到底信用できない。何らかのトラブルが起こり、殺害したと考えるのが合理的」と強調。遺体の写真を鑑定した法医学者2人の所見を引用し、「殺意をもって首を数分間しめ続けたことに合理的な疑いはない」と述べた。 平田さんについては「平田さんを帰せば星野さん殺害がバレる。星野さん殺害を隠す口封じのため、殺害したと合理的に推認できる」とした。量刑については、被告に発達障害の傾向はあっても完全責任能力があったとして精神障害が犯行に影響を与えたとする弁護側の主張も否定した。「生命への敬意がみじんも感じられず、2人を殺した中でも極めて重い部類」のケースだと非難。「被告は荒唐無稽で矛盾に満ちた答弁を続け、更生は困難」、不合理な弁解で「責任逃れに終始している」として極刑を求めた。また被害者参加制度に基づき、各遺族を代理する弁護士もそれぞれ死刑を求める意見を述べた。 一方、弁護側はこの日午後に最終弁論を行った。山田被告のASD(自閉症スペクトラム)こそが問題と主張。星野さんについては「体調不良で亡くなった」として無罪、被告が救護措置をとらなかった保護責任者遺棄致死罪に当たると反論。平田さんについては、車内で「自宅に帰りたくない。帰るなら警察に言う」と大声を出されたことなどから、「口をふさぐうちに誤って首を押さえてしまったとして、殺意はなく傷害致死罪にとどまる」、「ASDのパニック障害により、計画性なく偶発的な犯行によるものだ」と主張し、山田被告の罪は殺人ではなく心神耗弱状態での傷害致死罪の適用を求め、懲役12年が相当と訴えた。さらに、出廷した精神科医の証言などを踏まえ、犯行当時は心神耗弱状態だったと主張し、今月1日の初公判で土下座して謝罪した被告は被告人質問でも改めて事件の反省と遺族への謝罪を表明するなど反省を深めているとして、寛大な刑を求めた。弁護士が最終弁論中、何度も天を仰ぎ涙した。 山田被告は、死刑求刑にも表情を変えなかった。裁判長から「最後に述べたいことは?」と促されて述べた最終意見陳述では、「述べたいことを言います」と小声で切り出した。証言台で数分間、うつむきながら話した。ハンカチを左頬に添え、「平田さん、星野君に対しては、申し訳ない気持ちでいいい、いっぱいです。昨日(20日)と2日目(2日)のご遺族の方の話を聞いて、2人のお子さんが本当に、あ、あ、愛されているとよく分かりました」と話した。遺族に対しては「聞きたくない話ばかりだったと思う」、「表現の仕方が悪かったところもあった」としながらも、「法廷では当時の記憶にもも、基づいて本当のことを話しました」と強調した。「最後に、本当にももも申し訳ありませんでした」と、吃音症患者のように、しどろもどろで改めて謝罪の言葉を口にした。自らの公判供述を「表現の仕方が悪かった」と弁明した。吃音症患者のように、しどろもどろで謝罪した。山田被告は普段、冗舌にしゃべる一方で、主張したいことが多すぎて頭の中の整理がつかないためなのか、「まままま…間違いないです」、「そそそそ…それはない」などと話す場面もあった。判決は12月19日に言い渡される。 |
【山田被告の朝日新聞記者面会時の発言】 | |
(「『一審で終結「無理でしょ』 死刑の被告、判決前に語る」参照) 12.7日、山田被告は、大阪拘置所(大阪市都島区)で、朝日新聞記者の面会に応じ、自らに下される判決の見通しをこう語った。
|
【山田被告の読売新聞記者面会時の発言】 |
12.12日、山田被告は大阪拘置所(大阪市)で読売新聞記者と面会し、「公判でうそは言っていない」ことを強調した。逮捕後はほぼ黙秘し、11月1日の初公判では遺族に向かって土下座した。検察側から「パフォーマンスだ」と批判されたが、「あふれる思いがあったからだ」と反論していた。 |
【今西憲之記者の面会報告】 |
「死刑判決の山田被告 獄中で土下座真相を激白「パフォーマンスやない」 寝屋川中1男女殺害〈dot.〉」参照。 12月中旬の頃、今西憲之記者が、山田被告が収容されている大阪拘置所で複数回、面会した。多くのマスメディアが山田被告に面会を求める中、回数は1日1回。法廷と同じ、上下緑色の作業着のような姿。椅子があるにもかかわらず座らず立ったまま。マスコミ報道の記事のコピーを差し出した。ニュースで報じられている内容が気に入らないようで、ひたすらマスコミの悪口をまくしたてた。厚生労働省の元次官で大阪地検特捜部に逮捕されるも無罪となった村木厚子さんの戦いを記した今西憲之記者の著作「私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日」(朝日新聞出版)を手にしてこう筆者に求めてきた。「検察の取調べはひどい。どうせ死刑だとか平気でいう。取調べは録音録画されており、それ見てくれたら違法な調べがわかる。この本のとおり、検察はひどいので、それを書いてくれ」。村木さんの無罪と同列に論じるのは「到底、無理だ」と説明すると、「結局は検察や警察の言いなりか」と怒りを露わにした。山田被告が落ち着いたところで、初公判で土下座したことを尋ねてみた。「テレビのバラエティー番組とかでは、土下座の絵まで描いて放送しているそうだ。それがパフォーマンスやっていうんや」、「パフォーマンスを狙ったわけじゃない。ポーズ、演技と言われて事件が事件やし、仕方ない。自分の思いを伝えようとああいう形になったわけ。自分の思いをぶつけただけ」。土下座の最中、裁判長が何度も制止したのだが、覚えていないという。「あの時、必死の気持ちばかりでまったく裁判長が止める声、聞こえなかった」。 面会を重ねると、ようやく事件について断片的に語りだした。逮捕後、警察や検察の取り調べには黙秘を貫き、裁判ではじめて事件について語った山田被告。事件の「真相」について法廷の被告人質問では星野さんは熱中症か病気で死亡し、遺体を遺棄。平田さんは、口論になり口をふさごうとして、手が首にかかり、殺害してしまったと説明した。だが、その主張は2人の遺族にとって納得ができるものではなく、山田被告を厳しく批判していた。法廷についてはこう語った。「十分に説明できたかどうか、わからない。自分は緊張して弁護士の質問に答えるのがいっぱい、いっぱい。法廷が終わって何をどう答えたか覚えていない」。 |
【判決前に裁判員3人解任】 | ||
12.13日、 関西テレビ 「寝屋川中1殺害事件、判決前に…『裁判員3人解任』」その他参照。
|
【大阪中1男女殺害事件/大阪地裁判決】 |
「 グッディ! /寝屋川中1男女殺害事件 死刑が言い渡されるまでの91分…山田被告の様子を中継リレーで徹底解説」その他参照。
12.19日午後2時、大阪・寝屋川市の中学1年平田奈津美さん(当時13歳)と同級生の星野凌斗さん(当時12歳)を殺害したとして殺人罪に問われた山田浩二被告(48)の裁判員裁判の判決公判が大阪地裁(浅香竜太裁判長)の最も大きい201号法廷で開かれた。被告は丸刈り頭に、いつも通り上下とも緑色の作業着のような姿で、周りを5人の刑務官が囲む形で入廷した。弁護士に頭を下げ、隣の席に座った。この日は一般傍聴席48席を求めて559人が列を作った。 |
【大阪中1男女殺害事件/即日控訴】 |
山田被告の弁護人の鈴木一郎弁護士は判決後、「事実誤認は明らか。裁判所は『疑わしきは被告人の利益に』という観点が十分ではない」と記者に言い残して退廷し、即日控訴した。 |
大阪地裁が19日、死刑判決を言い渡したことを受け、大阪地検の畝本(うねもと)毅(つよし)次席検事は「事実認定・量刑ともにおおむね検察の主張が認められ、妥当な判決だ」とコメントした。
|
【大阪中1男女殺害事件/裁判員記者会見】 |
|
(私論.私見)