事件経緯2

 更新日/2018(平成30).11.22日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「大阪中1少年少女殺人事件経緯2」を確認しておく。

 2015.08.22日 れんだいこ拝


 【8.23日】

【事件の経緯/山田容疑者送検】
 8.23日午後午後0時半、高槻署捜査本部が、女児の死体遺棄容疑で逮捕した「Y容疑者」を送検した。「Y容疑者」を乗せた捜査車両が大阪市中央区の府警本部を出発し、大阪地検がある同市福島区の大阪中之島合同庁舎に向かった。捜査員2人に挟まれ後列中央の席に座った「Y容疑者」は白いマスクを付け、目を閉じてうつむいていた。 
 8.23日、日本テレビ系(NNN)17時35分配信「もしかしたら男の子の犯行かも…山田容疑者」。警察は、福島県二本松市にある「Y容疑者」の勤務先の寮を家宅捜索した。勤務先の同僚がNNNの取材に応じ、「Y容疑者」と一緒に事件に関するテレビ報道を見ていたと話した。
 一緒に今回の報道を見たことはありますか?
Y容疑者の同僚  はい。住んでいるところの近くだと言っていました。
 ほかには?
Y容疑者の同僚  (犯行は、もしかしたら一緒にいた男の子が見つかっていなかったので男の子が犯人じゃないかと勝手な推測を言ったら、もしかしたらその子(の犯行)かもしれない。そうかもな』というようなことは言っていました。
 8.23日、TBS系(JNN)8月23日19時52分配信「大阪・男女中学生遺体、男子生徒のサンダルか」。遺体が見つかったとき男児は裸足で、所持品も見つかっていなかったが、23日になって、遺体が見つかった場所の「すぐそば」で男児が履いていたものと同じ黄色のサンダルの左の片方だけが見つかり警察が回収した。しかしこれも怪しからん。単なる「ヤラセ靴」だろうが、それならそういう発表をせねばなるまい。
 8.23日、男児の通夜が大阪府寝屋川市内の斎場で営まれ、同級生や保護者ら約300人が参列し別れを惜しんだ。祭壇には笑顔の男児の遺影が飾られていたほか焼香台にもおどけた表情の写真が置かれていた。

 【8.24日】

【事件の経緯/山田容疑者送検後の経緯】
 8.24日、読売新聞8月24日14時30分配信「中1遺棄、車内から微量血液反応…拭き取ったか」。Y容疑者の軽ワゴン車の車内を詳しく調べたところ、目に見えるような血痕はなかったが微量の血液反応が出たという。府警は引き続きDNA鑑定を進める。女児は30か所以上を切り付けられ、遺棄現場にも血だまりができており、相当量の出血があったとみられるが、遺体を運ぶのに使われたとされる車の中に目立った血の跡が見つからなかったことになる。
 8.24日午前、男児、女児が通っていた市立中木田中の2学期が始まり、始業式で黙とうがささげられた。
 8.24日午前10時過ぎ、男児の葬儀が同市内の斎場で営まれた。2学期の始業式の為、同級生らは参列できなかったが、親族や遺族の友人ら約50人が参列。悲しみに包まれた。午前11時30分に出棺。母親とみられる女性は右手に位牌を持ってむせび泣き、男児の祖父とみられる男性らに両脇を支えられていた。

【デタラメ批判のデタラメ評論考】
 「」を転載する。
 このような取材、報道姿勢をとったのは、紙メディアだけではない。各テレビ局のワイドショーもコメンテーターたちのいい加減で見当はずれの推測を連発していた。たとえば19日放送の『ひるおび』(TBS系)では、コメンテーターの八代英輝弁護士が、「殺害の態様が残虐すぎる」として、こう結論付けた。「殺害の仕方が子ども特有の幼稚さからくる残虐さなのか、あるいは快楽殺人のようなものからくる猟奇性なのか、その二面のどちらかだと思うんですけど」。(中略) 

 私個人はこれらの番組をすべて観たわけではないので、真偽は定かではないですが、もし本当だったら、ひどいことですね。タレントや芸人なんかが注目欲しさに過激な推理をすることは、まぁあり得るとしても、刑事事件の専門家や弁護士が、見当はずれの推理を自身ありげにテレビで発表するっていうのはどうなんでしょうか。こういう人たちって本心で言っているんでしょうか、それともテレビ側から言わされているんでしょうか、まぁ、どちらにしても問題ですね。弁護士という法律の専門家が2ちゃんねるのレスをテレビで紹介するって、ちょっと、どうなんでしょうか。2ちゃんねるみたいなネットの落書きを裏付けもなく鵜呑みにして、みんなに紹介するっていうのは、大学生ぐらいだとありがちですが、それを大の大人、しかも弁護士がやるっていうのは、ちょっと見ていて痛々しいですね。専門家としての意見が聞きたくてテレビを見ているのに、そこで出てくるソースがネット、しかも2ちゃんって。見る価値ないですね、ほんと。まぁ、いずれにせよ、こういう人たちって、次の日には自分の言ったことなんか忘れて、また、とんでも推理をテレビで恥ずかしげもなく発表しちゃうんでしょう。どうせなら、もうちょっと、自分の発言に責任を持てるような人たちを出演させて欲しいと思います。

(私論.私見)
 8.19日放送の「ひるおび」(TBS系)での八代英輝弁護士コメント「殺害の態様が残虐すぎる」、「殺害の仕方が子ども特有の幼稚さからくる残虐さなのか、あるいは快楽殺人のようなものからくる猟奇性なのか、その二面のどちらかだと思うんですけど」が、恐らく相当なる遺体情報を得ての一番良い線の推理をしていると思われるのに、本稿の批判者は「2ちゃんねる推理」として批判している。最近は、こういう逆裁定批判が多過ぎる。己の背丈と甲羅に合わせて批評するのが世相の常とすれば、批評者までが相当に背丈が低く甲羅が不明になりつつあることになる。

 【8.25日】

【血液反応】
 8.25日、平田さんの遺体には刃物で切られたような傷が30カ所以上あったが、「Y容疑者」の軽ワゴン車から「微量」の血液反応が出たことが捜査関係者への取材で分かった。高槻署捜査本部は引き続きDNA型鑑定などで詳しく調べる。

【山田容疑者が完全黙秘に転じる】
 8.25日、逮捕された山田浩二容疑者(45)の身柄がある大阪府警から最新情報の報告として、概要「山田容疑者は、食事もしっかりと取って、取り乱すというようなこともないが、肝心の調べでは雑談にも応じず、完全黙秘している。逮捕当初こそ、死体遺棄について否認したうえで『車には連れ込んだ』というような話をしていたが、数日前に山田容疑者の弁護人として大阪弁護士会所属の男性弁護士が選任され、その面会を受けて以降、現在のような黙秘に転じた。そのため、取り調べが一種のこう着状態に陥っている。事件の重大性から、府警は取り調べを録音・録画している」云々。

 【8.26日】

【事件の経緯/各社一斉に事件報道止む】
 8.26日、「中野区劇団員女性(加賀谷理沙、25歳)殺害事件」が発生し、マスコミの報道がこの事件に一斉に向かう。これにより「大阪中1少年少女殺人事件」報道がめっきり少なくなる。いわゆるお株を奪われた形となった。こちらでは、唾液によるDNA鑑定、指紋鑑定に向かっている。

【事件の経緯/少年のポケットから別人が使った避妊具発見される】
 8.26日、「大阪・中1生遺体事件 少年のポケットから別人が使った避妊具」が発見されると報道された。
 「警察のその後の調べで、柏原市の竹やぶから遺体で見つかった星野凌斗君(12)の衣服のポケットから、山田浩二容疑者(45)ではない、他人の精液入りのコンドームが見つかっていたことが新たにわかった」。
(私論.私見)
 報道は、続いて「警察は、山田容疑者が、第三者の犯行に見せかけようとして、ポケットに入れた偽装工作とみて調べている」とコメントしている。こういうコメント馬鹿丸出しで、普通には、「山田容疑者以外の第三者の犯行」を疑うべきだろう。且つ少年が凌辱殺人された可能性を推理すべきだろう。そういうことをするのは例の儀式殺人以外にはなかろう。

【事件の経緯/山田容疑者の車から検出された血液反応がわずかだったことが判明】
 8.26日、平田奈津美さんと星野凌斗さんの2人が連れ去られたとされる8.13日、山田浩二容疑者(45)の自宅マンションの防犯カメラに2人の姿が写っていなかったことが捜査関係者への取材で分かった。午後11時25分ごろの映像では、同容疑者が1人でエレベーターに乗り込む様子が確認された。

 【8.27日】

 8.27日、「山口組分裂の雲行き報道」が始まった。マスコミの報道が、「中野区劇団員女性(加賀谷理沙、25歳)殺害事件」と「山口組分裂の雲行き報道」の2本立てになった。これにより「大阪中1少年少女殺人事件」の影がすっかり薄くなった。
 8.27日、「Y容疑者」が事件当日に購入した粘着テープと、女児、男児の顔などに巻かれたものが、外見や材質がほぼ一致したことが捜査関係者への取材で分かった。事件当日に「Y容疑者」が着ていた黒っぽい服と似た色の服が、滞在していた福島県二本松市の宿舎で押収されていたことも捜査関係者への取材で分かった。捜査本部は血液が付いていないかどうかなど関連を調べる。(「2015/08/27 11:10 共同通信/中1遺棄、粘着テープ全て一致か 福島の宿舎から黒い服押収」)
 8.27日、この日発売の週刊新潮が、男児のズボンのポケットから「精液の入ったコンドーム発見」記事を掲載した。

 【8.28日】
 8.27日、遺体で見つかった男児、女児の司法解剖で、体内から睡眠導入剤などの薬物が検出されなかったことが捜査関係者への取材でわかった。(「遺体から薬物検出なし、車内で拘束?中学生」)
 【8.29日】
 8.29日、産経新聞が、朝刊社会面で「中1遺棄容疑者13年前わいせつ目的7件 被害者少年の父『今も許せない』」記事を掲載し、容疑者の起訴容疑が「少年7人に対する強制わいせつ、逮捕監禁と強盗罪、成人男性1人への傷害罪」であったことを初めて報道した。同日、読売新聞が、「中1少年遺体に第三者体液容疑者以外の関与偽装か」記事を掲載。
 【8.30日】
 【9.01日】
 9.1日、産経新聞9月1日7時55分配信「山田容疑者、繁華街で体液入手か 遺棄現場寄る前に7時間超滞在」 。これによると、Y容疑者が、「8月21日に男児の遺体遺棄現場に立ち寄る前、7時間以上にわたって大阪市内の繁華街に滞在していたことが31日、捜査関係者への取材で分かった。この間、男性専用のサウナにも立ち入っていた。星野さんの遺体のポケットから第三者の体液が見つかったことが判明しているが、Y容疑者が滞在中に何らかの方法で体液を入手した可能性も浮上しているという。大阪府警高槻署捜査本部は、Y容疑者が星野さんの遺体に隠蔽(いんぺい)・偽装工作をした疑いがあるとみて調べている」。
 【9.02日】
 「時事通信社 2015年9月2日12時25分 (2015年9月2日23時59分更新) /山田容疑者の勾留延長=12日まで―大阪中1遺体遺棄」 。

 9.2日、大阪簡裁は、大阪府寝屋川市立中1年の平田奈津美さん(13)が遺体で見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された契約社員山田浩二容疑者(45)について、12日までの勾留延長を認める決定をした。

【中日、毎日、朝日の各紙の誤報】
  「週プレNEWS 2015.9.3日/【報道】大阪・中1遺棄事件で大手各紙がそろって「大誤報」。取材報道が劣化している?(週プレNEWS)」。
 ( http://wpb.shueisha.co.jp/2015/09/03/52987/
 「中日、毎日、朝日の各紙が22日から23日にかけて相次いで、『山田容疑者が2003年に愛知でも、20代女性を監禁してケガを負わすという事件を起こしていた』と報じたのですが、これが事実誤認だったのです」。25日になって様相が一変。「山田容疑者について、『03年には愛知県内で別の監禁事件を起こし、逮捕されている』とあるのは誤りで、この事件とは無関係でした。おわびして削除します」(毎日新聞)などと、各紙が一斉に訂正に動いたのだ。一体、何があったのか? 中日新聞の寺本政司社会部長に聞いてみた。

 「当初、山田容疑者が03年にも愛知県で監禁事件を起こしていたとの情報を得たので、出稿しました。ところがその後、03年に逮捕された人物と山田容疑者は別人ではないかとの疑義が生じたため、22日朝刊最終版で記事を取り下げました。確認取材が不十分で、間違った記事を掲載してしまったことについては反省点が多いと考えています」。

 ただ、この釈明を聞いても、なぜ山田容疑者を愛知の監禁事件の犯人と取り違えたのか、 よくわからない。この疑問に前出のTV局関係者がこう耳打ちする。「実は山田容疑者と愛知の監禁事件で逮捕された人物は、プロフィールが“酷似”していたんです。さらに犯行の手口まで同じようなものだった。そのため、新聞各紙はうっかり、両方の事件とも山田容疑者が犯人と錯覚してしまったというわけです」。

 03年の愛知の事件は、被害者の20代OLはコンビニの駐車場で脅かされて手足を粘着テープで縛られた上、車で犯人のマンションに拉致監禁されている。車、粘着テープ、拉致・監禁と、犯行の手口が今回の遺棄事件とうりふたつなのだ。しかも、犯人のプロフィールもほぼ同一ときてる。これでは新聞社が錯覚したとしてもおかしくない。犯人逮捕の時間が夜遅かったことも響いたようだ。

 「山田容疑者が逮捕されたのは21日午後8時22分のこと。朝刊の原稿は遅くとも翌日の午前2時頃までには出稿しないといけない。締め切りまでほんの数時間しかなかったため、事実確認が間に合わず、誤報をそのまま朝刊に載せてしまったのでしょう」(前出・TV局関係者)。

 とはいえ、容疑者を取り違えるなんてあってはならないこと。愛知在住のジャーナリストもこう苦言を呈する。「中日新聞の社会部記者は『お恥ずかしいかぎり。やっちゃいました…』とうなだれていました。確かに、ここまで犯人のプロフィールが酷似していることは珍しいですが、二重三重に確認するのが鉄則。新聞社が劣化しているといわれても仕方のない事件です」ネットの情報は玉石混交といわれる時代だけに、新聞は正確な報道を心がけてほしい。(取材・文/ボールルーム)


【事件の経緯/再逮捕】
 【9.10日】
 9.10日、大阪府警高槻署捜査本部が、「助手席の男などの第三者は存在せず、平田さんの死に関与したのは山田容疑者以外にいないと結論づけ、勾留期限の12日に山田容疑者の女児殺しの疑いが強まったとして殺人容疑で再逮捕する方針を固めた。
 【9.11日】
 「産経新聞 9月11日(金)7時55分配信/中1遺棄 平田さん殺害の疑いで山田容疑者、あす再逮捕へ」、「読売新聞 9月11日(金)8時53分配信/少女殺害容疑、山田容疑者を12日再逮捕へ」、「朝日新聞デジタル 9月11日(金)15時26分配信/容疑者の車内に少女の血液反応か 大阪・中1遺棄事件」、「9月11日 17時16分/大阪 寝屋川の中1女子殺害 12日に再逮捕へ[NHK]」。

 9.11日、府警が、山田容疑者が女児の死亡に関与した疑いが強まったとして殺人容疑で逮捕状を取った。12日に再逮捕した。大阪地検は、死体遺棄容疑での勾留期限の同日、山田容疑者を処分保留とし、殺人容疑の捜査結果と合わせて処分するとみられる。「車内以外で暴行などを受けた可能性もある」としているが、それがどこで、いつ犯行されたのか皆目不明なままである。
 【9.12日】
  9.12日、府警が、山田容疑者が女児の死亡に関与した疑いが強まったとして殺人容疑で逮捕状を取り再逮捕した。捜査1課によると、山田容疑者は再逮捕時に認否を記す弁解録取書への署名を拒否し、「黙秘で」と話したと云う。この事件は殺害現場(場所)、時間、方法(手口)など未解明な部分が多く捜査が難航している。

【再逮捕考】
 捜査機関が、犯罪を犯した人を特定し被疑者にすることを検挙という。捜査機関が被疑者の逃亡及び罪証隠滅を防止するため強制的に身柄を拘束する行為を逮捕という。現行法上、警察が被疑者を逮捕した場合、逮捕、それに続く勾留の身柄拘束にはそれぞれ時間制限があり、逮捕は警察で48時間、検察で24時間の最大72時間(検察官による逮捕の場合は48時間)、勾留は最大20日と決められている。検察がその期間内に起訴しない限り釈放しなければならない。即ち、起訴前の被疑者の身柄拘束は約23日間という時間制限があることになる。逮捕の諸原則として逮捕前置主義、事件単位の原則、逮捕勾留一回性の原則がある。
 通常の逮捕、勾留を超えて被疑者を拘束する場合に再逮捕と云う手法がある。再逮捕は、既に逮捕されている者を釈放した後に、または釈放することなく引き続き勾留状態で再度逮捕することを云う。再逮捕には、被疑事実が異なる場合と同一の場合の二種類がある。近時、再逮捕が乱用気味であり刑訴法秩序の空洞化を招きつつある。これを確認しておく。

 被疑事実が異なる場合の再逮捕とは、例えば死体遺棄容疑で身柄拘束中の被疑者を殺人容疑で再逮捕する場合を云う。被疑事実が異なる場合の再逮捕は、被疑事実が同じ場合の再逮捕よりは正当性が認められるとされている。しかし、余罪を使って23日間の留置期限を持つ再逮捕と勾留を何セットも続くことが許されるのかどうかと云う問題がある。

 同一被疑事実による再逮捕は不当性が強い。なぜなら、同一の被疑事実での再逮捕を認めると、逮捕の繰り返しが可能になり、そもそもの身柄拘束期間制限規定の意味を失わせることになる。且つ同一の犯罪事実については逮捕は1回しか許されないとする刑事訴訟法原則「再逮捕・再勾留禁止の原則」(「逮捕・勾留の一回性原則」)を蹂躙している。法の番人の側からの法の蹂躙であるところに問題がある。

 何事にも抜け道があるとして、再逮捕と云う手法の抜け道はどのように用意されているのだろうか。これについては刑訴法199条3項と刑事訴訟規則142条1項8号を援用すると云う。それぞれの条文次の通りである。刑訴法199条3項「検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発布があったときは、その旨を裁判所に通知しなければならない」、刑事訴訟規則142条1項8号「同一の犯罪事実又は現に捜査中である他の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発布があったときは、その旨及びその犯罪事実を逮捕状の請求書に記載しなければならない」。この規定により、再逮捕が許容されていると云う。

 但し、この場合、次のような要件が課されている。(1)重要な新証拠の発見、逃亡・罪証隠滅のおそれの復活などの新事情が出現し、(2)犯罪の重大性、その他の諸事情を考慮して被疑者の利益と対比してもやむを得ない場合で、(3)逮捕の不当な蒸し返しとはいえないとき。

 また、再勾留についても、これを禁止した明文の規定はないこと、逮捕と勾留とは相互に密接不可分の関係にあることから、例外的に認められるとされている。東京地裁昭和47年4月4日決定の基準が参考になる。「事情変更の内容・程度、事案の重大性、先行した身柄拘束の期間の長短、身柄拘束中の捜査経過、検察官の意図、逃亡・罪証隠滅のおそれの程度その他諸般の事情を考慮して、真にやむをえない場合」。

 逮捕・勾留が繰り返された結果、不当に長く身柄拘束されたり、裁判の時間が非常に長くかかった場合は、憲法違反として、自白があっても証拠にできないことがある。また、免訴(有罪・無罪の判断をせずに裁判を打ち切る)となることもある。

【事件の経緯/Yの車内の血液が女児のDNA型とほぼ一致。但し、別人の体液などが混在の怪】
  9.12日、「Yの車内の血液が女児のDNA型とほぼ一致、別人の体液などが混在」なる記事が配信された。「朝日新聞デジタル2015年9月12日05時07分/車内の血液、少女とは別のDNA型混在 大阪・中1遺棄」、「産経新聞 9月12日(土)7時55分配信/山田容疑者きょう再逮捕 車内の血液が少女DNA型とほぼ一致」参照。
 概要「山田容疑者の軽ワゴン車を詳しく調べたところ車内から微量の血液反応が見つかった。試料を採取して鑑定を進めた結果、女児のDNA型とほぼ一致した。が、別人の体液などが混在しており完全には一致しなかった。但し、女児の血液だった可能性は高く、女児が車内にいたことを示す物証につながるとみて更に詳しい分析を進める」。
(私論.私見)
 「別人の体液などが混在しており完全には一致しなかった」とはどういう意味だろうか。この場合の「体液」とは精液を意味すると思われるが、どういうことなのだろうか。それにしても、Yの車内に女児の血液が認められるならば微量である訳がないので、この発表、記事自体が怪しいことになる。

【あっしら氏の冤罪の可能性論考】
 ★阿修羅♪ > 日本の事件31」のあっしら氏の2015 年 9 月 12 日付投稿「大阪 寝屋川の中1女子殺害 12日に再逮捕へ:男子生徒の死体遺棄と容疑者の行動のあいだに整合性がなく冤罪の可能性も」。  
 逮捕された容疑者を犯人だと認めようにも、“状況証拠”を含めて、根拠があまりに貧弱である。事件に関連するいろんなところに出没していたとして白っぽい(シルバーの)軽ワゴンの映像もいくつか報じられているが、ナンバーが見えているわけでも容疑者の姿が映っているわけでもない。ある監視カメラのある時間帯に白っぽい(シルバーの)軽ワゴンが映っていることは、それほど珍しい話ではないだろう。詳細は別の機会に投稿するつもりだが、容疑者が女子生徒の死体を高槻市内の駐車場に遺棄するまでの経緯はとりあえず辻褄が合っているとしても、柏原市の竹林に遺棄されたとされる男児生徒の遺棄にかかわる経緯はまったく見えてこない。

 テレビの速報で逮捕を知ったとき、容疑者が男子生徒の遺体を捨てに行ったところを逮捕したのだろうと思ったが、実際のところ、容疑者が柏原市の竹林に行ったのは、逮捕された日の午前中で、遺体が発見される8時間ほど前である。それでも、男子生徒の遺体が容疑者の行動をきっかけに発見されたのなら、容疑者が犯行に関与した可能性は高いとも思った。 しかし、類似性を指摘できる事件の前科者である容疑者に目星を付け行動確認をしていた警察が、行動確認対象がおかしな動きを見せた8時間後に遺体を発見したというのは不自然(不合理)である。 (埋めたわけではなく草をかぶせてある程度だといわれるから、誰かが遺体を発見し警察に通報した可能性もある。警察がそれを公表しないよう釘を刺している可能性も)

 さらに、容疑者は、女子生徒の死体を遺棄した翌日14日には福島に向かって出発しており、女子生徒の死体を遺棄した後に男子生徒の死体を遺棄することは時間的に難しい。 男子生徒を先に殺したことを否定できないが、同じ日の夕方(女子生徒の死亡推定時刻午後7時頃)から夜(容疑者の帰宅時間午後11時25分)にかけて二人を殺害し死体を遺棄するのに、わざわざ、一つは高槻もう一つは柏原と30Km以上も離れた場所を選択するだろうか。 仮に、女子生徒を殺害し死体を遺棄する前に男子生徒を殺害し、柏原市の竹林に男子生徒の死体を遺棄したとしても、21日に監視カメラに映っていたように、経路の途中どこかで白っぽい(シルバーの)軽ワゴンがカメラに捉えられていたはずである。14日に福島へ向かう前に遺棄したとしても、遺棄現場までの経路のどこかに容疑者の車が映像に残っているはずである。

 さらに、容疑者が二人を自分の車に乗せたとしても、堺にある大阪刑務所や粘着テープを購入したとされる柏原市のコンビニに立ち寄ったり、奈良県内を走行しているあいだ二人を乗せたままだったのかという疑問が湧く。 自動車からはほとんど血液を検出されていないが、女子生徒の死体が遺棄されていた駐車場には血だまりがあったとされるから、容疑者が女子生徒を殺害した場所もはっきりさせなければならない。現段階は女子生徒の「死体遺棄」と「殺人」の容疑までだから、そのあとに、男子生徒の「死体遺棄」と「殺人」の容疑まで容疑者を取り調べ続ける“カード”が残っている。警察・検察としてはその期間でなんとか自白に追い込みたいのだろうが、たとえ自白を得たとしても、犯行経緯を明確にしかつ整合性を示す責務から逃れることはできない。


【事件の経緯/猫爺のその後の弁】
 「週プレNEWS 9月11日6時0分配信/寝屋川事件で渦中の“ネコじい”が生活保護バッシングに心痛。女性週刊誌報道は嘘ばかり…」、「週プレNEWS 9月12日6時0分配信/事件を風化させたくない! 寝屋川“ネコじい”が明かした罪滅ぼしと生活保護の真実」。
 「生活保護の受給条件を超えてしまうほどの収入はないんです」と困惑するネコじいこと戸塚さん。

 寝屋川中学生遺棄殺人事件で「犯行」を疑われ、思わぬ“時の人”となった「ネコじい」こと、戸塚正樹さん(43)。その後、山田浩二容疑者(45)が逮捕され、戸塚さんへの容疑は晴れたものの、個性的すぎる容貌やキャラも興味を煽(あお)り、ネットや週刊誌で様々取り上げられ、生活保護を受けていることまで晒(さら)され騒動となっている。だが、そんな報道には多くのねつ造があり、戸塚さん自身、被害者となっている実情が本人を直撃しわかった。一体、どんな嘘っぱちが流されたのか? 最初に戸塚さんが指摘したのが飼い猫の頭数だ。「実は自分が『ネコじい』と呼ばれているということは、今回の報道で初めて知ったんです。外飼いの『ニイ』を抱いて公園で過ごすことはあったので、子供たちがそう呼ぶようになったのかな。ただ、自宅にいる猫たちは完全ケージ内飼育なので、外に出ることは一切ありません。女性週刊誌には39匹もの猫を飼っていると書かれましたが、実際には17、18匹。自宅のケージ内で飼っているのが14~15匹で、『ニイ』とその子猫2匹の計3匹だけが外飼いです。記者さんから聞かれて『この辺りの猫は全部合わせても30匹くらい』と答えた覚えがあります。それをカン違いされて、メモに書いた『30』という数字も『39』に誤読したのと違いますか…」。

 また、被害者の平田奈津美さん、星野凌斗君を目撃した際の証言内容も事実と違うものが少なくないと困惑する。「コンビニ前で私がふたりに会ったのは8月12日の10時半頃という報道もありますが、実際には午後9時頃やったと思います。ローソンの駐車場の車止めに腰かけて、外飼いの2匹の子猫をブラッシングしていたら、平田さんが『かわいい』と声をかけてきたんです。中学生の外出には遅い時間帯ですが、ちょうど夏休み中ということもあって、家族と出かけたレジャー帰りに子供だけがコンビニに寄ったのかなというくらいに考えていたんです」。報道ではその後、戸塚さんがカップ麺(めん)を食べていた星野君に「(麺が)のびているやろ」と声をかけたことになっているが、これも…。「カップ麺を食べていたのは平田さんのほう。それも話しかけたのではなく、彼女が麺を一本づつゆっくり食べていたので、私がそう思っただけです。星野君はコンビニに出たり入ったりが多く、ひと言も会話は交わしていません」。その様子を見て少し心配になった戸塚さんは、平田さんに「親は?」、「もう遅いけど、帰らんでええんか?」と問いかけたというが、「それに平田さんが『(帰らなくても)いいよ』と答えたと報道ではありましたが、これもウソ。実際には『アハハ』と、ごまかすように笑っただけです。今思えば、ふたりはその時、野宿を考えていた。帰宅を心配するような質問をしてくる大人には関わりたくなかったのかなと」。

 ただ、こうした細かな誤報はニュアンスの曲解や、正しく伝わらなかった単純ミスと捉えることもできる。その一方で、戸塚さんが最も怒りを感じているのは某女性週刊誌が報じた以下のような記述だった。“生活保護と空き缶回収で生計を立てる。自宅もある”――これにはため息をつきながら反論を語った。「これだけ読めば、私が廃品回収の仕事で収入がたくさんあって、しかも家まで持っているように思えますよね。それで記事が配信されると、寝屋川市役所に『こんな人物が生活保護を受けるのはおかしい』とクレームが殺到するようになったそうです。持ち家があるなんて、とんでもない! 住んでいるのは長屋暮らしで、もちろん賃貸です。廃品回収の仕事も一日の売上げは400円ほどにすぎません。生活保護の受給条件を超えてしまうほどの収入はないんです」。そう言いながら見せてくれた日々の売上げ伝票には、確かに300~400円前後の数字が並んでいた。そもそもは少しでも捜査に役立てばと応じた取材だったという。その正義感が仇(あだ)となって、犯人扱いに続いて生活保護を不正に受給しているのでは?などとバッシングされるハメになったというワケだ。「最初はTVのカメラさんには首から下だけを映してもらっていた。ただ、そうやって顔を隠しても、首に巻いたチェーンですぐに私だとわかってしまう。『だったら、もういいや』と顔出しOKで取材に応じたんですが…」と唇を噛む、戸塚さん。全くのいい迷惑でありバッシングの被害者だ。とはいえ、本人に後悔の念はないという。プライバシーを晒される危険を冒してでも、自らの証言を通じて伝えたかったことがあったからだ。

 では一体、どういう願いを込めて証言者となったのか? 直撃インタビューで初めて明かされる「ネコじい」の壮絶な個人史、そして事件を風化させたくないという思いを次回配信ではお送りする。

●この続きは明日配信予定(取材/ボールルーム)

 愛猫の「ニィー」を抱きながら暗くなるまで誠実に思いを語ってくれた「ネコじい」こと戸塚さん。

 寝屋川中学生遺棄殺人事件で「犯人」扱いをされた上、その後のメディア報道で生活保護を受けていることなどが晒(さら)され、思わぬバッシングの被害者ともなった「ネコじい」こと、戸塚正樹さん(43)。その個性的すぎる風貌やキャラが興味を惹いた一面も無視できないが、そもそもは、あえて顔を晒し、TVカメラの前で事件直前、被害者と接触したことを証言したことが発端だ。ネット等でも嫌疑をかけられたが、それは逮捕してみると犯人は自己顕示欲の強い証言者だったというケースがままあるため…。それゆえ多くの人は不要なリスクを負いたくなくて避けるところ。にもかかわらず、戸塚さんはなぜ自ら進んで証言したのか?本人を直撃し、それを問うと「自責の念から」という答えが返ってきた。「コンビニで出会った時にちゃんと家に帰らせておけば、あるいは説得できなくても警察に知らせて補導してもらっていれば、ふたりは殺されずに済んだ。僕が止められる最後の人間だったんです。なのに、夏休みだから子供が遅い時間にコンビニに来ることもあるかと勝手に思って何もしてあげられなかった。マスコミに積極的に証言したのは、こんな取り返しのつかないことになって、その罪滅ぼしの意味もあるんです」。事件直後、それを知って愕(がく)然としたという戸塚さんは「大人の社会人としてきちんと対応しなかった」後悔に苛(さいな)まれたというが、そこでこんな胸中も明かしてくれた。「メディアで目立てば、焦った犯人が動き、逮捕につながるのではという思いもあったんです。もし証言が邪魔やと感じたら、自分に危害を加えにやって来るかもしれない。その時は逆に返り討ちにして捕まえたろうと」。それゆえ、警察からはメディアに露出し喋ることを諫(いさ)められたとのこと。しかし、「だからといって、黙っていたり何もしないなんて到底考えられなかった。それで犯人に疑われようが、そんなことはどうでもいい。自分が救えたのに救えなかった罰を受ける気持ちもありましたし…」。

 今回、戸塚さんを直撃して感じたのは強烈な正義感の持ち主だということ。公道にはみだす自転車を見ると通報せずにはいられない、あるいは捨て猫たちの面倒を見ずにはおられない…それを“変人”と訝(いぶか)しがられるほど思い込みも強いようだ。それに対し、本人は「正義感なんかじゃないんです」と自虐的に苦笑する。「格好悪いとか恥ずかしいとか、そんな損得勘定をするのでなく、自分がこうと思ったことはちゃんと言葉にしよう、行動に移そうとしているだけ。なぜそう心がけるようになったかというと、僕はオマケの人生を生きさせてもらっているからなんです」。オマケの人生? それを詳しく問うと「自分は26歳の時、一度死んだ」と、自身が生活保護を受ける原因となった事故、人生の転機について語ってくれた。「それ以前は仕事終わったらみんなとカラオケ行ったりボーリングして遊んだり、普通の兄ちゃんだったんです。当時は地下駐車場の建設現場で働いてました。そこで誤って4mの深さの穴に落下し、第一腰椎を破裂骨折、緊急手術したんですよ。後で仕事仲間から聞いた話ですが、僕は仰向けに落ちて後頭部をコンクリート床にぶつけて気絶していたそうです。頭の真横数センチに剥き出しの長い鉄筋が突き出ていて、あと数センチずれていれば貫通し即死してただろうと。それ以来、『今、生きているのはオマケの人生なんだ』と思うようになったんです」。この事故で排泄系の神経が機能しなくなり、尿意を感じない、排尿をコントロールできないなど日常生活に支障をきたすように。それでも10年ほどは不自由な身体のまま仕事を続けたものの、ついに限界がきて生活保護を受けるようになったという。「若い頃は外見を気にしたり人から嫌われたくないと、自分をごまかして生きてきました。でもあの事故で生きてるのはどういうことやと考えるようになって。幸せになろう、金持ちになろうとかはもうええわと。仕事ができなくなるとさらにその思いが強くなって。それからです。捨てられた子猫を引き取って育てるようになったのは。周囲からどう見られても、猫の命を救えるのなら構わないと」。ただ、生活保護を申請する際には市役所にきちんと相談もしたそう。保護を受ける身でペットを飼えるのかどうか、わからなかったからだ。ケースワーカーの答えは「大丈夫ですよ。でもこれ以上繁殖しないように気をつけてください」というものだった。以来、それを守り、「すぐ周りは変人扱いするけど。人からどう思われてもええ」と、猫たちと暮らしている。そして近所の子供たちからは「ネコじい」と呼ばれるようになった。とはいえ、まだ43歳の若さ。今回の騒動で自らが「じい」扱いされていることを初めて知ったそうで、ショックはなかったのか?「気にしていません。むしろ、フナッシーみたいな存在になりたいと思ってますから」。フナッシー!? 「フナッシーを見れば、誰もが船橋市を思い出す。『ネコじい』もそんな存在になればと思うんですよ。『ネコじい』を耳にするたびに『誰やったっけ? ああ、そうや、寝屋川の中学生が殺された事件で話題になった人や』と。あれは可哀相やったと、みんな思い出してくれれば。それで若いお母さんたちが、自分の子供らを注意したり安全に気を配るようになったら、それでいいなと。そういう役目を『ネコじい』が果たせればと思うんです」。この事件を風化させないようーーそこまでの熱い思いが「ネコじい」にはあった。この余りに痛ましい凶行で、予想外にクローズアップされたひとりの人物にもこんな物語があるとは…。その語りから、ただ誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)するのではなく感じるものはないだろうか。(取材/ボールルーム)

 「大阪中1遺棄事件で注目を浴びた「ネコじい」 地元の人々の評判」。

 寝屋川事件で思わぬ注目の“ネコじい“。周囲は変人扱い、市役所も大迷惑!だが… 週プレNEWS

 この夏、人々を悲しみと憤りに包んだ寝屋川中学生殺害事件。
すでに同市在住の山田浩二容疑者(45)が死体遺棄の疑いで逮捕されたのだが、その報道がエスカレートする中、世間の注目を集めた人物がいる。それが山田容疑者の逮捕まで連日、TVなどメディアに登場していた「ネコじい」こと戸塚正樹さん(43)だ。戸塚さんは被害者の中学生ふたりが殺害される直前、市内のコンビニの前で言葉を交わしていたと自らメディアに証言。そのひげ面にニットキャップ、首にはアクセサリー代わりにチェーンを巻くという独特のスタイルもあって、一部マスコミやネット民などから容疑者ではないか?との憶測が飛んだ。「犯人が目撃者として証言するパターンはよくあること」「ネコじいが怪しい!」と“犯人”扱いを受けてしまったのだ。まったく気の毒としか言いようがない。だが、その後も一部の女性週刊誌報道などで反響は収まらず、地元では様々な波紋を呼んでいるという。そもそも戸塚さんとは一体どんな人なのか? 寝屋川市を訪ね、地元の人々にその評判を聞いてみた。最初に耳にしたのはマイナス印象の評判だ。戸塚さんは文化住宅(賃貸の長屋風アパート)にたくさんの猫と一緒に暮らしている。近所の子供たちから、いつの頃からか「ネコじい」と呼ばれているのはそのためだ。その文化住宅の玄関前にはポリバケツ、段ボール、ベニヤ板などがうず高く積まれていた。この光景を前に近所の住民がこうこぼす。「あのゴミのようなものにはホンマ迷惑してますねん。今は敷地内にあるから法的には問題ないんやろけど。一時は敷地からはみ出るように置いてあった。それだけやない。猫のおしっこや糞があたりに散らばっていたこともあったなあ」。また、別の住民からはこんなグチも…。「自転車を少しでも歩道にはみだすように停めていると、すぐに警察に通報しよる。それも1日に5回も6回も通報するので、そのたびに駆けつけなくてはいけない交番のお巡りさんのほうが困ってるやろ(苦笑)」。そのユニークな風貌に加え、ゴミ屋敷一歩手前の家にたくさんの猫と暮らす、その暮らしぶりに近所の人々からは「変人」のイメージを抱かれているようだ。こうした近隣住民の声を本人はどう受けとめるのか? 自宅周辺で本人を待っていると、自転車に乗った戸塚さんがどこからか戻ってきた。早速直撃すると、ワイルドな風貌から受ける印象とは真逆な丁寧で礼儀正しい言葉遣い。その話も実に理路整然とし誠実に対してくれた。「自宅前に知人から預かった資材や廃品を積み上げているのは確かです。でも手作業で解体し、少しずつ家庭ゴミとして捨てています。猫の糞尿については、外で飼っているのは3匹だけ。その3匹の糞も定期的に見回って掃除しています」。なるほど、ゴミが悪臭を放っているわけではないと。しかも少しずつ処分し、今では公道にはみ出すほどの量ではないとなれば、目くじらを立てることでもなさそう。猫も週刊誌報道では39匹との表記もあったが、3匹以外は完全室内飼いでそちらは現在14、5匹。それも繁殖して増えぬようケージに入れているとか。それでは、すぐに警察に通報する行為については?「自転車や店の看板が公道をふさいで通行人が不自由しているケースが少なくない。それが違法だから通報しています。苦情を直接言わないのは、対面して暴力トラブルなどになるのを防ぐためです」。どうやら、本人は周囲に迷惑をかけるどころか、市民たるもの法令を順守し平和に暮らすべきという正義感の持ち主のようだ。にもかかわらず、戸塚さんに注がれるまなざしは今回さらに「変人」「迷惑者」扱いが増し、TVに顔が出て、犯人扱いされた直後には自宅の窓ガラスが割られることもあったという。「今回の報道をきっかけに私が生活保護者だということも世間に知られてしまい…。寝屋川市役所に『ナマポ(生活保護)のくせに猫を飼っていいのか!』などと苦情が殺到し、迷惑をかけているということです。あまりの激しさに市担当者から『生活保護を受けていることをマスコミには喋らないででほしい』とお願いされたほどです」。実際、市役所は業務も滞(とどこお)るほどらしく、この件に関しては「一切答えられない」とのことだった。生活保護者がペットを飼うことは行政も認めており、こうなると戸塚さんからすれば不当なバッシングだが…。ただ一方で、現地取材ではこんな好意的な反応を示す市民も少なくないことがわかった。「ネコじい? 今では寝屋川の有名人ですわ。高校生にも人気でよく囲まれて写メを撮られています」(サラリーマン風の男性)。「最初にTVで見た時はその風体から怪しい人だと思っていたけど、もう見慣れてしまったのか、今はそうでもない。それどころか、だんだん垢抜けて男前にさえ見えるなあ」(中年男性)。こうしたプラス評価を伝えると、それまで表情の固かった戸塚さんが笑顔になった。「山田容疑者が逮捕されて犯人の疑いが解けてからは、人々のまなざしがガラリと変わりました。町を歩いていると『あっ、ネコじいや』と指さされ、写メを撮られるようになりました(笑)」。確かにこの取材最中も20歳前後の見知らぬ若者グループから「ネコじい、早く家に帰らんとあかんぞ」との声をかけられ、「おー、わかったわかった」と笑顔で応える微笑ましいひと幕が…。だが、その後も話を続けると戸塚さんの表情が再び曇り、その口から困惑とも怒りともつかぬ告発が飛び出た。「あの週刊誌に書かれたことは間違いばっかりで…」というのだ。

 【9.13日】
  9.13日、毎日新聞(大島英吾、黄在龍、宮本翔平)が、「大阪・中1殺害:現場も手口も未解明 非常に厳しい捜査」と題した記事を掲載した。注目すべき記事内容は次の通り。
 「山田浩二容疑が12日、女児への殺害容疑で再逮捕され、女児の遺体発見から13日で1カ月を迎えたものの、容疑者の関与を裏付ける直接証拠はなく、具体的な殺害状況の解明につながる殺害現場の割り出しや手口など未解明な部分が多く捜査の課題は山積している」
 府警幹部の言「非常に厳しい捜査になる」、別の府警幹部の言「殺害場所を特定できなければ捜査側は裁判で必ず劣勢に立たされる」。
 最高裁が、大阪市平野区で起きた母子殺害事件(2002年4月)の10年4月の判決で、状況証拠に基づく有罪認定について「被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実関係が必要」との基準を示している。
 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の言「殺害場所や時間、方法が分からないままでは犯人性を認めるのは難しい。最高裁判決の基準に達する高度な状況証拠の収集が不可欠だ」。

【事件の経緯/事件一ヵ月後の朝日新聞だけ記事の怪】
 9.22日、事件の1ヵ月後、「朝日新聞デジタル 9月22日(火)7時40分配信 中1殺害容疑者、空白の一日 事件当日は連絡途切れがち」記事が配信された。事件当日の8月13日の山田容疑者の行動に関する次のような新情報を伝えている。
 大阪府寝屋川市の中学1年生の男女が遺体で見つかった事件は、契約社員、山田浩二容疑者(45)の最初の逮捕から21日で1カ月経った。府警のこれまでの捜査で山田容疑者の事件前後の行動が明らかになってきた。同市に帰省中、大阪市内に住む交際女性と繰り返し会っていたが、事件当日の8月13日はなかなか連絡が取れない「空白の一日」だったという。捜査関係者らへの取材でわかった。山田容疑者は8月21日、平田奈津美さん(13)の遺体を遺棄した容疑で逮捕、今月12日に平田さんに対する殺人容疑で再逮捕された。府警によると、黙秘を続けているという。

 
捜査関係者や知人らによると、山田容疑者は福島県二本松市で暮らし、除染作業に携わる一方、この女性と春ごろから交際していた。盆休みの8月11日に実家がある寝屋川市に帰省し、12日朝から女性とドライブ。寝屋川市内や京都方面を走り、13日午前0時ごろ女性と別れたという。その約5時間後、京阪電鉄寝屋川市駅近くで平田さんと星野凌斗(りょうと)さん(12)が連れ去られたと府警はみている。防犯カメラなどの捜査から、山田容疑者はその後、府内や奈良県を広範囲に移動した疑いが強い。女性はこの日、山田容疑者の携帯電話に何度も連絡しラインでメッセージを送った。山田容疑者はなかなか電話に出ず、返信も時間が経ってからだったという。女性に『会いたい』と電話があったのは午後11時半ごろ。山田容疑者が実家に帰宅した直後だった。『暗く疲れ切った声だった』と女性は話しているという。大阪府高槻市で平田さんの遺体が見つかったのはこのころだ」。
(私論.私見)
 「事件の1ヵ月後報」として朝日だけが記事を配信しているのは評価できる。但し、なかなか連絡が取れない「空白の一日」を強調して引き続きYを犯人扱いしていることが分かる。朝日にしてこのお粗末さである。

 れんだいこのカンテラ時評№1276  投稿者:れんだいこ 投稿日:2015年 9月26日  
 中1少年少女殺人事件考その2

 大阪中1少年少女殺人事件に関連させて「儀式殺人告発の書」を確認しておく。以下詳解する「儀式殺人告発の書3枚目」を読めば、本事件に於けるY容疑者の犯人化構図が余りにも似ていることに気づくだろう。読み易くする為に段落、句読点、文字変換等の編集替え、直接関係しない箇所の削除、意味を変えない条件下での書き換えをした。容疑者「久間三千年」のところを「Y」と書き換えた。その方が類似性が際立つからである。

 大阪中1少年少女殺人事件と同じ構図、文言は次の通りである。「繁華街で目撃された」、「初めに犯人Yありき」、「警察、地元、マスコミ一体となっての波状攻撃」、「冷静に考えればYの一連の事件への関与は素人目にも大きな矛盾があることは明白」、「2女児の遺体や遺品をほぼ100%発見されるであろう道路わきにわざわざ放置した」、「遺棄現場での紺色ワンボックス車を見たとの目撃情報」、「毛髪と現場に残されていた体液がDNA鑑定の結果、ほぼ一致」、「ワンボックス車内を再度鑑定」、「ごく微細な血痕と女児の一人の血液型も一致」、「情報リークの可能性」、「警察は、偏見と思い込み、こじつけの状況証拠だけで犯人に仕立て上げた」。
 昭和63年12月4日、福岡県飯塚市明星団地に住んでいた一人の少女が行方不明になった。潤野小学校1年の松野愛子である。日曜の午前7時半頃、町内の廃品回収を手伝った後、団地内の公園で友達と遊び、さらに同10時頃、一人の男の自宅で弟と遊んでいるのを近所の人に目撃されているのを最後にこの女児は失踪した。この男こそYであった。Yがこの女児失踪に関与した証拠はない。だが周囲の印象はYが極めて怪しいという雰囲気に包まれた。今度この男の周辺で児童が失踪すれば重要参考人にされるのは明らかであった。

 平成4年2月21日夕、福岡県甘木市野鳥の国道322号道路わきの林で、20日朝から行方不明になっていた潤野小学校1年の中川藍、梅野裕莉の二人の女児が死体となって発見された。二人の顔には殴打の跡があり血が流れていたという。二人は20日朝、別の友人と三人で登校したが、登校途中でこの友人と別れ、飯塚市内の
繁華街で目撃されたとの情報を最後に消息を断っていた。この時点で、つまり状況証拠すらほとんどない時点で、犯人Yが9割方確定された。“初めに犯人Yありき”であった。捜査の初期段階からYを犯人と臭わす警察、地元、マスコミ一体となっての波状攻撃が繰り返し行なわれた。冷静に考えれば、Yの一連の事件への関与は素人目にも大きな矛盾があることは明白であった。まずYが知性ある性倒錯者として、かって嫌疑をかけられたのと同じ自宅の近所に住む潤野小の児童を何故わざわざ欲望充足の対象に選んだのか。しかも2人も、という素朴な疑問が生じてくる。我々が「変態Y」の立場なら“自宅周辺での対象物色”という危険な行為は間違っても犯さなかったであろう。以前に嫌疑がかかっていたのだから尚更である。最も不可解なのが、2女児の遺体や遺品をほぼ100%発見されるであろう道路わきにわざわざ放置したことであった。

 これより以後の 「Y攻略作戦」 は以下のように行なわれた。3月に警察が得たといわれる
「遺品遺棄現場での紺色ワンボックス車を見たとの目撃情報」により、同種の車を所持していたYに捜査の対象はほぼ100%絞られ、この男と女児とを結びつける証拠の発見に全力が注がれた。3月下旬、Yに任意で提出させた「毛髪と現場に残されていたといわれる体液」とが警察庁で行なわれたDNA鑑定の結果「ほぼ一致」し、この時点でYがほぼ犯人と断定された。だが検察に証拠能力を問われ第三者の大学研究室で再鑑定したところ一致の確率は非常に低下した。捜査は中断したかにみえたが、平成5年12月になって、前年9月にYが手放した例のワンボックス車内を再度鑑定、翌年2月、1年5か月という歳月を怪て、女児の衣服に付着していたという4種類の繊維と車のシートの繊維とが一致、さらにシートの裏に付着していたといわれる「ごく微細な血痕」と女児の一人の血液型も一致した。8月、検察との協議の結果、Yの死体遺棄容疑が固まり、9月29日、同容疑で遂に逮捕された。最初の事件発生から実に5年9か月後、悪魔のシナリオは完遂されたのである。

 Yと警察の5年9か月に渡る闘争は警察によるYへの一方的な精神的拷問という形で行なわれた。2女児殺害以後は、Yの実名と顔写真を所持しての自宅近辺での聞き込み、張り込みが連日続けられた。平成5年9月には、警察の嫌がらせに対して堪忍袋の緒が切れたYが張り込みの捜査員に刈りバサミで切りつけるという一幕もあった。
状況証拠らしい状況証拠と言えば「Yも持ってた紺色ワンボックス車が遺棄現場で目撃された」という情報のみであった。だがこれはYに嫌疑が向けられるように作られた「情報リークの可能性」があったし、それが事実であるとしても、Yのものと同一の車種を使い、たまたま誰かに目撃されたか、あるいはわざと目撃された真犯人のものであろうことは容易に推測できるものであった。この目撃以外はすべてこじつけられた証拠である。DNA鑑定などほとんど信用性がないことが証明されたにもかかわらず、警察は「ほぼ一致」にあくまでこだわった。そもそも「現場で発見された体液」はDNA鑑定できるほどの量があったのか。警察は、Yを“怪しい”、“やったに違いない”という偏見と思い込み、こじつけの状況証拠だけで犯人に仕立て上げたのである。

 【9.30日】

【事件の経緯/起訴】
 9.30日、大阪地検は、大阪中1事件で再逮捕している山田容疑者の殺人容疑は立証できると判断して留期限前日の10.2日に平田奈津美さん(13)に対する殺人罪で起訴する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。平田さんの死体遺棄容疑については、裏付けとなる証拠が足りずさらに裏付けが必要とみなして補充捜査を続ける。「DATE: 中1女子遺体、2日起訴=山田容疑者、殺人罪で―大阪地検[時事]」、「2015年09月30日 Copyright © The Yomiuri Shimbun /中1少女殺害、2日に起訴へ…遺棄は継続捜査」その他参照。

 【10.02日】
 10.2日、大阪地検が、大阪中1事件で再逮捕している山田容疑者を平田奈津美さんの殺人罪で起訴した。最初の逮捕容疑となった女児の死体遺棄容疑については処分を保留し引き続き捜査を進める。捜査関係者によると、山田容疑者は調べに対し、黙秘を続けているという。府警は、8月21日に同府柏原市内の竹林で遺体で見つかった男児の事件にも同容疑者が関与したとみて捜査を本格化させる。
 【10.03日】
 10.3日、産経新聞が、「中1男女殺害遺棄 殺害、遺棄も…星野さん事件立件に高いハードル 証拠乏しく」 記事を配信した。この記事は変調が過ぎるのでコメントしておく。

 概要「星野君が死亡した経緯につき、これまでの捜査ではほとんど明らかにできておらず、捜査幹部も厳しいと口をそろえる。山田被告と星野さんの死亡を結びつける直接証拠がない」はまずまずの記述である。次の、男児の遺体の一部の白骨化について、「遺体の損傷が激しく、一部が白骨化するなどしていた。長期間放置されていたとみられ、司法解剖でも死因は特定されなかった」としている。「遺体の損傷が激しい」と書くなら、もっと詳しく取材して司法解剖所見を引き出し報ずるべきだろう。「一部が白骨化するなどしていた」と書くなら、「白骨化した一部」とはどこの部位のことなのか取材して報ずるべきだろう。「長期間放置されていたとみられ、司法解剖でも死因は特定されなかった」と書くなら、「長期間放置」の日数、時間をあきらかにすべきだろう。何を基準に「長期間放置」としているのか解説すべきだろう。それをしないのなら無造作に使うべきでなかろう。「司法解剖でも死因は特定されなかった」とはいよいよ変である。なぜ特定できなかったのか、取材して報ずるのがジャーナルだろう。「星野さんの遺体。遺体の状況から他殺と断定された平田さんとは異なり、事件に巻き込まれて死亡したことをうかがわせる証拠が乏しいのが実情だ」もオカシイ。女児も男児も他殺で間違いなかろうに、何をもったいぶった書き方しているのだろう。それにしても意味不明の表記である。「逮捕当日に弁護人と接見したのを境に黙秘に転じた」としているが、これによると弁護人が選任されていることになる。だとすれば、この弁護人はなぜ表へ出てきて語らないのだろう。

【事件の経緯/Y容疑者を星野凌斗殺人容疑で再逮捕】

【事件の経緯/男児女児の遺体に睡眠薬成分検出されていたことが判明】
 12.22日、大阪府警は、男児女児の遺体を詳しく検査し鑑定した結果、睡眠薬に含まれる成分が検出されたことを明らかにした。山田容疑者が車に乗せた後、睡眠薬を飲ませて抵抗できない状態にし殺害したとみている。山田容疑者の車や自宅の捜索では睡眠薬は見つかっていないという。
 12.22日、Yが女児への死体遺棄容疑で8月に逮捕された直後の調べで「女の子を車に乗せた」と供述した際、「男の子もいっしょにいた」とも話していたことが捜査関係者への取材でわかった。府警は、女児と男児を連れ去ったことを裏付けるものとみている。Yはその後、黙秘に転じた。

事件の経緯/Y容疑者を星野凌斗殺人容疑で追起訴
 2015.12.23(22?)日、大阪地検は、山田浩二容疑者(45)を星野さんに対する殺人罪で追起訴した。処分を保留していた平田さんの遺体を遺棄した容疑は不起訴処分(嫌疑不十分)とした。補充捜査などを残して捜査は終結に向かう。山田容疑者は黙秘しているという。

事件の経緯/その後の動き
 2016年8月5日、1周忌直前、新たな情報はない。同年8.12日、事件発生より1年。容疑者は黙秘を続ける。同年8.13日、被害者2人の1周忌。





(私論.私見)