世界を動かす陰の支配勢力
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212128 欧州貴族の源流1 十字軍遠征
案内人 ( 闇 に 光を照らす ) 09/08/03 PM08 【印刷用へ】
十字軍遠征、そしてほぼ同時に登場した宗教騎士団によって、本格的な商業資本の時代が到来した。市場拡大のためには原資が不可欠だが、十字軍遠征による略奪(による原資の獲得)及びイタリア商人と宗教騎士団による交易(による原資の獲得)によってヨーロッパに原資が蓄積された。加えて、軍隊や巡礼者が遠距離を移動することで、各都市に大規模需要が発生し財が投下され、発展して行く。この十字軍遠征、そして“大航海時代”にアメリカ大陸や南アジアから略奪した財が原資となって、産業資本の時代へと移行して行く。この財をほぼ独占していたのが、現代まで続くヨーロッパ貴族であった。商業資本発達・欧州貴族誕生の契機となった十字軍遠征前後のヨーロッパ史を概観してみる。
<参考>
ヘブライの館2リンク
日本を守るのに右も左もない リンク
オルタナティブ通信リンク、リンク、リンク、リンク、リンク
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2300年前にイタリア半島を統一したローマ帝国は、1900年前(1世紀)には北はイギリスから南はアフリカ北部、東はメソポタミアから西は大西洋岸までの地中海一帯を領土とした。その後、何百年にも渡ってヨーロッパを支配していたローマ帝国は、侵略と略奪の繰り返し、そして交易により多くの財産を蓄積していた。世界中から集められた莫大な財産は、次の支配者である神聖ローマ帝国(962年〜。現在のドイツを中心とした領域を支配)に受け継がれていった。
◆十字軍遠征
地中海を囲むパレスチナは、神聖ローマ帝国を中心とする西ヨーロッパ、そして東ヨーロッパの東ローマ(ビザンツ)帝国、およびイスラムの三大文化圏がひしめく接点であった。この中で8世紀以降、窮地に立たされたのが東ローマ帝国であった。東からは新興のイスラム勢力(セルジューク・トルコ)によって脅かされ、一方11世紀になると、農業生産力を基盤に、西ヨーロッパが力を蓄えて膨張してきたからである。しかも1054年以降は、「正統と異端」をめぐって東西のキリスト教教会が分裂(東ローマ帝国にギリシア正教が成立)し、西ヨーロッパとの不和は深まっていた。
このような情勢の中、東ローマ帝国の復興を目論んだ皇帝が、ローマ教皇に支援を要請する。東ローマ帝国皇帝は、パレスチナにおけるセルジューク・トルコ(イスラム教徒)によるキリスト教徒迫害を、大々的に誇張してローマ教皇に報告し、“異教徒制圧”のための援軍を要請したのである。教会の再合同=西ヨーロッパとの和解がその交換条件であった。
それを受けて、東方のキリスト教に対する優位を確立し、自らの勢力を拡大しようという野望を持つローマ教皇が、東ローマ帝国の支援要請を受けイェルサレム奪還を呼び掛け、十字軍を組織したのである。すなわち十字軍は、東西ヨーロッパ指導者の政治的野心による合作であった。キリスト教徒による「正義の戦い」という大義名分は、「政治的野心」を正当化するための方便として用いられたのである。そして「十字軍遠征」の呼びかけに、西ヨーロッパの諸侯や騎士が応じる。当時の諸侯や騎士たちは、封建制の完成によりヨーロッパでは新たな領地獲得が困難になっていたため、ヨーロッパ外部で領地や戦利品を獲得する必要があったからだ。そこに、十字軍遠征を利用しての商圏拡大を狙う商人が加わり、1096年十字軍遠征は実行に移されることとなった。
◆略奪を繰り返した十字軍
十字軍は、「十字架のために聖地パレスチナを異教徒から奪回せよ」という掛け声で始められたわけだが、その征伐されるべき「異教徒」はイスラム教徒だけではなく、ユダヤ人も含まれていた。第1回十字軍が誕生したばかりの1096年に、早くもドイツでユダヤ人迫害が起こっている。十字軍参加者の装備や資金は、遠路イェルサレムへ向かうには全くもって不充分であった。そこで彼らは東方へ赴く前に、ライン河沿いの町にある豊かなユダヤ人コミュニティーを次々と襲い、略奪と殺戮を重ね、異教徒征伐をすると同時に、資金、物資の調達をしたのである。また、ユダヤ人迫害には別のメリットがあった。ユダヤ人は金融業の大部分を営んでいたため、ユダヤ人を迫害することは、借金を帳消しにする便利な方法でもあった。負債のある王たちは宗教問題をネタに、貸主のユダヤ人の財産を没収し、彼らを領地から追放したのだった。
以上のように、十字軍はイェルサレムからイスラム帝国の財を略奪するだけでなく、同じヨーロッパ内の他民族の財産、東ヨーロッパの財をも略奪し続けていたのである。
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