イラク人民不屈の闘争考


イラクの著名元外交官で研究家が明かすイラク抵抗勢力の真実(前編) [アラブの声ML]
http://www.asyura2.com/0510/war75/msg/377.html
投稿者 white 日時 2005 年 10 月 08 日 12:41:55: QYBiAyr6jr5Ac

(回答先: イラク国民との連帯会議への挨拶(前半)/サラハ・アル・モフタール [イラク情勢ニュース] 投稿者 white 日時 2005 年 10 月 08 日 12:15:53)

□イラクの著名元外交官で研究家が明かすイラク抵抗勢力の真実(前編) [アラブの声ML]

 http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/message/23

2004年9月5日(日)午後7時14分
イラクの著名元外交官で研究家が明かすイラク抵抗勢力の真実

(...)
 イラクの抵抗勢力による米占領軍への襲撃は増加しているが、その活動のの
実態は霧に包まれている。エジプトの週刊紙アル・アハーリーは8月25日、
イラクの署名な元外交官で研究家サラーフ・アル・ムフタール氏が語る抵抗勢
力誕生の経緯と現状分析を掲載した。
 
 ムフタール氏は、四半世紀にわたりイラク内外で活動してきたイラク人の中
でも数少ない研究家である。1980年にイラクの国連使節団の報道顧問を初
めとして、諸外国で特命全権大使を務めた。
 
 抵抗勢力の現状を語るには、過去に遡る必要がある。人民戦争、別名都市ゲ
リラ戦戦略を採用し、それへの準備は1990、1991年のクウェイト危機
に遡る。圧倒的な技術的、軍事的優越だけでなく、兵因数の点でも物量におい
ても同盟軍が勝っていたから、正規軍による戦争では最終的に、米軍とその2
8の同盟国軍が勝利を収めることはイラクの司令部には分かっていた。
 
 そこで当時、数十年前から存在する、独立の志願兵組織に加えてバース党民
兵を含む準軍事組織に対する、都市ゲリラ戦の訓練が実施された。またそれら
の構成員に中小の火器が配備された。軍事部門が崩壊した時には、武装人民抵
抗組織が機能するように、その任務と責任は、党と国家の幹部に振り分けられ
た。
 
 この準備の一環として、正規軍の戦争中にもゲリラ戦を実行するあらゆる種
類の戦闘員を召集するイラク軍から成る重要な部門が準備された。しかし、
ジョージ・ブッシュ(父親)米大統領が1991年2月28日に一方的な停戦
を発表したため、イラク国内の都市でゲリラ戦を実行に移す機会は無かった。
 
 イラクが戦略的な都市ゲリラ戦を採用すると最初に指摘したものは父親ブッ
シュである。すなわち、彼はクリントンとの大統領選に敗れた折、民主党から
かなりの非難を受けたとき、CNNテレビとのインタビューで次のように語っ
た。「一方的停戦をした理由は、我々がイラクに侵攻すれば、サダム・フセイ
ン大統領は、イラクでわが軍に対して都市ゲリラ戦を仕掛ける準備をしている
ことを我々が知ったからだ。そこで米国青年たちをイラク諸都市での戦闘から
救うために、一方的停戦を決定したのだ」
 
 2001年小ブッシュが政権を握りネオコンに依存したことで、イラク当局
はイラク侵攻は避けられないと確信するに至った。そこでサダム・フセインは
有名な文句を吐いた。「アメリカはイラクを侵略するが、我々の戦いはそれか
らだ」
 
 米のイラク侵攻を確信するに至った理由は他にもある。イラク政権は、経済
封鎖を解除させるのに必要な環境を作り出すために重大な譲歩をしたことがあ
る。だが経済封鎖の結果、栄養状態の悪化と医薬品の欠乏、インフラ破壊、劣
化ウランなどの禁止兵器の使用によるによる汚染が原因で、イラク人810万
人の命が喪われたにも拘らず、アメリカ当局は、封鎖を解除しようとはしな
かった。米国の意図は明確だった。イラクの物的、軍事的、精神的能力を消耗
させ、イラクの基本的な抵抗力を殺(そ)いだ後に、最小のアメリカの被害で
イラクを破壊しようとしたのだ。
 
 2001年9月11日事件で、侵略は避けられないとするイラク政権の確信
は更に強固になった。米中央情報局(CIA)が作成した戦略的研究は、アメ
リカのエネルギーの必要性が倍加することを示していた。サウジアラビアの油
田は老化しつつあったが、イラク油田の噴出力は強く、生産コストも、サウジ
油田が2ドル/バレルであったのに対し、イラク油田のそれは50セントで
あった。他の諸国では10〜25ドル。
 
 サウジアラビアの原油埋蔵量2200億バレルに対し、90年代前半にイラ
ク石油省が実施した調査によると、イラクの埋蔵量は2500億〜3000億
バレルであった。更に、イラク西部は手付かずで残されていた。
 
【問い】イラクには巨大な軍隊があったが、それを使わないことを決めたのか

 いや、計画では、敵に消耗戦を強いて、人的、物的、精神的損失を増大さ
せ、圧倒的な米軍の優越性に見合う別の方法で軍隊を準備することであった。
恐らく、この甚大なコストがベトナム・コンプレックスが支配するアメリカの
反応を引き起こし、米当局は戦争終結を余儀なくされよう。
 
 正規軍同士の戦争戦略に則り、米軍と直接対峙するというより困難で危険な
正規の戦闘の任務を遂行する共和国防衛隊と、共和国特別防衛隊が準備され
た。米軍の圧倒的な軍事力(特に空軍力)行使を回避するために、軍隊を砂漠
地帯に配備せず、強固な防塁となり、米軍を消耗させ米兵の士気と戦闘能力を
低下させるために、都市周辺や入り口に兵力を集中させることが決められた。
 
 以上に加えて、イラク軍の一部を割き、5〜10人の小部隊に編成し、ゲリ
ラ戦争の再訓練が行われた。彼らは都市の入り口や内部、バグダードに向かう
侵略軍が必ず通過する重要な村落に配置された。サダム特攻隊などの準軍事組
織とイラク正規軍との統合、融合が行われた。これらの組織は、命を惜しまな
い敵軍への攻撃や敵軍集結地での自爆攻撃など殉教的攻撃、ゲリラ戦の高度な
訓練を受けた。入念な試験を受けた志願してきた選り抜きの青年から編成され
た。
 
 このような準軍事組織に、第二次パレスチナ・インティファーダ(民衆一斉
蜂起)後に男女600万人以上の志願者から成る「クドゥス軍」がある。ゲリ
ラ戦の十分な訓練を受け、大中小の火器を装備している。「バース防御隊」
は、バース党のメンバーや支持者から成る訓練を受けた武装組織である。「国
家治安機関」は、イラク治安組織、中でも情報機関や公安、軍情報部、特別治
安組織のエリートから成る軍事組織である。最後に都市戦争の訓練を受けたイ
ラク最高司令部がある。
 
 イラク民衆が侵略に備える一環として、サダム大統領はテレビを前にして次
のように語った。「アメリカがイラクを侵略するなら、我々は家から家へと戦
い、必要なら個人用の拳銃を使っても戦い抜くであろう」
 
 要するに、侵略進行中のイラクの軍事戦略は、正規軍の戦いとゲリラ戦との
併用であり、侵略が実現してしまえば、全ての正規軍と準軍事組織は、ゲリラ
戦に移行することであった。
 
 【問い】この戦略は成功したか? 裏切り行為が軍事的敗北と軍と共和国防
衛隊の任務遂行不能に繋がったとの説は本当か?
 
 戦略の侵略最中であった前半では、部分的に成功し、侵略後の後半では完全
に成功した。(海岸部の)オンム・カスルやファウ、バスラでイラク軍と共和
国防衛隊が見せた比類の無い戦闘力を覚えているだろう。圧倒的な優越を誇る
侵略軍はオンム・カスルのような小さな町が20日間も成功裏に抵抗し続けた
ことに衝撃を受けたのだ。バスラでは米英の軍司令部は、(イラクの)第51
師団を殲滅し司令官を捕虜にしたと発表したが、同司令官はアルジャジーラ・
テレビに姿を現し「我が師団ははバスラ防衛のために戦闘中である」と語っ
た。侵略軍は壮絶な戦闘の後、甚大な被害を被った後に初めて北進できたので
ある。アルアラビーヤ・テレビが報じたように、米英軍の司令官たちは、イラ
ク軍の士気の高さを賞賛した。
 
 サダム・フセイン(バグダード)国際空港の攻防戦では、敵は武器や技術で
は圧倒していたが、共和国防衛隊と共和国特別防衛隊、サダム特攻隊、アラブ
聖戦士団、バース戦士団は、敵に対する戦闘では勝っていたことは疑う余地が
ない。イラク軍は空港を解放(奪還)し、空港内に集結していた米軍の全将兵
2000を殲滅したのだ。サダム大統領が自ら指揮を執り、米軍の凄まじい砲
弾を潜り抜け、空港に最初に進攻したイラク最初の戦車に乗って空港に入った
のだ。
 
 サダム特攻隊とアラブ聖戦士団は、空港で殲滅した数十人の米将兵の首を掲
げ、アーメリーヤやヤルムーク、マアムーンなど空港近くの地区を、「神は偉
大なり」と叫び、車で走り回った。
 
 この戦闘はイラク人の比類の無い戦闘精神を示す好例であった。しかし技術
面で優越していたアメリカ軍は、強力な破壊力を有し、5平方キロを殲滅させ
る9, 5トン爆弾2発を、空港攻撃に使用したため、空港を解放したイラク軍
は絶滅した。またイラク軍の近くに居た数百人の米兵も巻き添えを食って斃れ
た。この爆弾は並外れた破壊力において、小型核爆弾に等しいものだ。殲滅地
点内に居た兵士は、蒸気となって消滅した。殲滅地点外の兵士は炭化するか、
肉が飛び散り骸骨と化した。
 
 またアメリカ人は、これまで未使用の新型クラスター爆弾を使用した。重量
は1キロ半で、殻が弾けると数十の(小)爆弾が降り注ぎ、それぞれの爆弾
が、戦車でも大砲でも人間でも目標物を探し出し、完全に破壊する。自動走行
するよう人工知能が組み込まれているため目標を誤まることは決して無い。大
規模衝突が実現する前に、この新型爆弾はイラク機甲部隊と兵士に決定的な打
撃を与えた。
 
 命中すれば戦車をも溶かすこれまでに未使用の他の爆弾もあった。別の種類
は戦車を鉄の塵に変えてしまうものだった。
 
 このような破壊兵器はイラク軍と防衛隊の主力を壊滅させた。一例を挙げる
と、兵1万〜1万2千のある師団は、これらの兵器によって、生き残ったのは
400〜600人になってしまった。
 
 このような人的にも軍備に対しても甚大な損害を被り、イラクは(正面衝突
を避け)地下に潜り、都市のゲリラ戦採用を決めた。
 
 以上によって、裏切り行為もがあったわけでも、軍が弱かったわけでもな
く、作戦上の誤りがあったわけでもないが、新型兵器に破れて、正規の戦争継
続が出来なくなってしまったのだ。そこでこの戦争の第二ページ、すなわち都
市ゲリラ戦が始まる。これにより米軍とその同盟軍は、主導権をイラクの抵抗
勢力に引き渡すことになる。
 
 【問い】すると戦争は4月9日のバグダード陥落で停止したのではないのか

 
 停止したのではなく、正規軍の戦争に代わって4月9日から都市ゲリラ戦に
移行したのだ。メディアは報道しなかったがこの日こそ、アーザミーヤやドー
ラ、シャーブ地区、カルフ、バグダード大学での各戦闘のように熾烈を極めた
戦闘が行われたのだ。よってバグダードが陥落したというのは誤りである。降
伏したのなら、陥落したと言うことも出来ようが。
 
 確かに、裏切り行為は起きたが、裏切り者は数十年前から国外に居住してい
たイラク人だ。彼らは、数百人を数え、アメリカの情報機関からスパイ活動や
破壊工作の訓練を受けた。彼らは、政府の国民動員と恩赦の呼びかけを利用し
て、一部のものは、戦争開始の数日乃至数週間前に正規のルートでに帰国し
た。他の者たちは、トルコやイランからイラク北方に潜り込み、そこからイラ
ク各地に散った。
 
 侵略が始まると彼らは、人工衛星を経由する電話を用い軍や治安組織の中枢
部、経済施設など重要な場所を知らせるという諜報作戦を実行し始めた。この
衛星電話は、使用者の正確な居場所を知らせることが出来るので、彼らは重要
施設の近くから米諜報調整センターに連絡するのである。すると直ちに話者の
居場所が特定され、10分程度でその場所を爆撃できるのだ。
 
 別の方法は、彼ら工作員が爆撃希望地点近くに電子ディスク(GPS)を配
置するのだ。このディスクは米軍機に目標地点を正確に発信する能力がある。
侵略期間中イラクの治安機関は、数百人のこのような工作員を逮捕した。彼ら
は犯罪を認め、処刑された。
 【この続きは後編へ】
  
http://www.al-ahaly.com/Archive/25-8-2004/ArabicInternational2.htm 


▽関連記事

イラクの著名元外交官で研究家が明かすイラク抵抗勢力の真実 【後編】『アラブの声 翻訳者齊藤力二朗』
http://www.asyura2.com/0406/war59/msg/1128.html
投稿者 どさんこ 日時 2004 年 9 月 12 日 17:26:34:yhLXMcSQdrkJ2

イラクの著名元外交官で研究家が明かすイラク抵抗勢力の真実 【後編】『アラブの声 翻訳者齊藤力二朗』
http://www.asyura2.com/0406/war59/msg/1128.html
投稿者 どさんこ 日時 2004 年 9 月 12 日 17:26:34:yhLXMcSQdrkJ2

 前編に引き続き、イラクの研究家、サラーフ・アル・モフタール氏が語る、
イラク抵抗勢力の戦略の詳細である。

 種々の統計を総合すると、アメリカは過去12年間に2百万人以上のイラク
人を殺害し、この巨大な国を破壊したが、民衆の意志を打ち砕くことは出来な
かった。米国のイラク占領約1年半後に、イラク抵抗勢力は敵にいくつかの教
訓を与え、損害を与え続けた。
 
 【問い】現状を教えて欲しい。誰が抵抗勢力の指揮を執っているのか?
 
 抵抗勢力は基本的にバース党員から成っており、その中には多くの独立派が
居るが、バース党員が指揮している。旧軍や共和国防衛隊、情報機関の将校連
が、指揮、戦略、訓練を執り行う。彼らは市街地の戦闘や爆破の専門家だ。
 【問い】何時の時点でレジスタンスの選択に踏み切ったのか?
 
 2003年3月20日に、戦争が開始され、侵略者たちが殺到してきたと
き、正規軍によるものとゲリラ戦の二つの反攻作戦が実施された。しかし侵略
が終わると、司令部に本質的な変革が生じた。サダム・フセイン大統領は、
バース党に替わる緊急司令部の編成を余儀なくされた。そこで武装抵抗組織が
党に直属するようになった。
 
 【問い】しかし耳慣れない名前が司令部に登場したが? 彼らは何処から来
たのか?
 
 侵略開始時からの抵抗組織のピラミッド構造はこうだ。トップ層に極少数の
新米で名前があまり知られていないバース党幹部から成る司令部が置かれ、拘
束される前の大統領から直接命令を受け、党と抵抗組織の指揮を執る。
 
 また武装抵抗組織に積極的に参加するよう部族や宗教学者を組織化し、彼ら
を指揮する司令部隊も編成された。従って侵略が起きた後に、左翼やナセル主
義者、キリスト教徒、イラク古代宗教の教徒に加えて、部族員や宗教学者、そ
のイスラム主義の弟子たちが、バース党の指揮、或いは協調の下に武装聖戦活
動に参加させるのは困難ではなかった。他にも部族長や、党組織ではないイス
ラムの諸潮流も参加した。イスラム同胞団は占領に協力していたから外した。
 
 【問い】レジスタンスにおける旧イラク軍の幕僚たちの役割は何か?
 
 抵抗戦士の大部分は、バース党幹部の指揮下にある。イラク各地に軍事行動
を率いる抵抗勢力の中央司令部があることを確認しなければならない。この司
令部は、作戦立案と実行の広範な裁量権を末端部隊に与え、指揮権が分散して
いる組織に基盤を置く。アーミテージ米国務副長官が、6月26日に両院軍事
委員会での次の証言を聞いただろう。「イラクのレジスタンスは、人体におけ
る神経組織に似た進化した複雑な組織である」
 
 【問い】レジスタンスは、ブッシュ大統領が最近認めたように、如何にし
て、アメリカの計画をひっくり返し拡散し続けることが出来たのか? つま
り、山岳や森林地帯の存在、外部からの金銭、武器支援といったベトナムのレ
ジスタンスを勝利に導いたような条件が、イラクのレジスタンスには十分でな
かったではないのか。
 
 イラクの抵抗運動は世界のそれとは異なる。まずアメリカの目を恐れて隣国
を含む外国からの、軍事的、物質的、精神的な支援が無い。また、戦闘地域に
はベトナムやキューバなどのような身を隠す山岳や森林は無い。イラクは北部
を覗いて平坦なので、抵抗戦士が作戦を実行しようとしても、すぐに敵の手に
掛かってしまう可能性がある。
 
 地理的な問題は、人々との関係を強化し、作戦の実行前後に、住民の住居を
戦士たちの安全な避難場所として確保することで克服した。「人民は、魚(抵
抗戦士)が泳ぐ大海の水である」と言うではないか。
 
 【問い】他の問題点は何か?
 
 クルド人の2政党に加えて、ダーワ党やイスラム革命最高評議会など、イラ
ンの指揮で、大部分がイラン起源の原則で作られた(シーア派の)組織があ
る。彼らは武装して多くの都市に展開している。また占領軍に支援されている
ため、抵抗戦士が作戦実行中に非常な危険に晒される。ゲリラ戦の戦士たちに
とってこれほど危険性のある状況は、かつては見られなかった。
 
 【抵抗運動はどのように問題を解決したのか? 資金や武器の調達や戦士の
安全を確保する方法は?】
 
 1990年から侵略までにバース党は5千の重中軽火器と弾薬を配備し、1
0年間の激戦遂行に間に合うこの相当部分をイラク各地の秘密倉庫に保管し
た。従って、武器弾薬はこれ以上必要が無い。
 
 侵略前に党はその予算から、抵抗組織に資金を準備した。事実、抵抗勢力が
地下に潜るや否や党の会計班が、収支の承認など抵抗組織への金銭問題を処理
した。しかし資金は底をついてきた。そこで抵抗組織と党は、イラクの住民か
ら寄付を受け入れるようになった。動かせる金が無いものは家屋や自動車、妻
の金製品を売り払って寄付した。イラク人の圧倒的多数は、抵抗勢力への金銭
の寄付は、神と祖国のための個人が負う義務と信じている。

抵抗戦士を売国奴から護るこには、民衆の力が欠かせない。民衆の支持なく
して、抵抗運動は成功しない。

【問い】抵抗勢力が複数の都市を支配していると聞くが、それらの都市で占
領軍協力者とはどのような関係か?

 去年の4月以来抵抗勢力は、イラク各都市で売国奴を逮捕し、公開裁判にか
け、占領軍を支援する組織の手先か協力者であるとの容疑が固まった者は処刑
することで、彼らを一掃する段階に移った。それにより、売国奴の危険性は現
在、目に見えて減少した。
 
 【問い】イラクの抵抗組織には戦略と政府プログラム、広報が欠如している
と非難されるが?
 
 最初の2点は誤まりだ。3点目は正しい。抵抗組織の戦略は最初から明確
だ。その主要な目的は、武力闘争を通じて米シオニストの侵略から解放するこ
とだ。この明確な目的には、これまた明確な次の原則がある。
 占領の2大戦略目的の一つが、イラクの油田支配とその搾取であるなら、抵
抗勢力の目的も、米国が目指す目的をひっくり返すことである。言い換えれ
ば、侵略の資金源となるイラク石油の搾取と米国経済回復、増大する米国のエ
ネルギー危機の解消を出来なくさせることである。例えば10〜12年後に、
米国のエネルギー危機は頂点に達する直面する。米国の目的をひっくり返すと
は具体的には、如何なる形、方法であれ、イラク石油の輸出を止めることであ
る。
 
 【問い】どの程度までこの目的が達成されたか?
 
 過去15ヶ月で完全に達成した。それにより、アメリカにとって深刻な二つ
の危機が生じた。一つは、イラクに対する戦争資金調達の危機だ。米大統領は
議会で、「イラク侵攻は、石油資金でまかなうから国庫に負担をかけない」と
約束したのだ。現実にはイラク侵攻は、金食い虫で負担要素となっている。米
国がイラクに留まればこの負担は倍増することは明らかだ。この点だけでも、
確かにイラク駐留を諦めさせる強力な圧力要因となっている。
 
 米国が直面する二つめの危機は、石油メジャーを通じてのイラク石油への投
資が出来なくなったことだ。基本的に抵抗勢力の武装行動と、外国人企業家と
その協力者が狙われることで治安が不安定になり、石油への投資どころではな
くなってしまった。その上、巨大な投資をするには、インフラと、経済封鎖と
戦争で破壊された石油産業の復興が必要だ。米国はこの資金をイラクの石油資
源から調達しようと考えていたのだが、抵抗勢力によって阻止された。イラク
で石油を得ようとしたアメリカの戦略は完全に費えた。
 
 抵抗勢力は米軍を相当程度まで疲弊させることに成功した。連日米兵を死に
至らしめ、破壊的な精神的、肉体的負担を与えた。米軍に軍事的敗北を与える
ことは、正規軍による戦争戦略では勝利は無理だという事実があるので、抵抗
勢力は、緩慢だが止むことの無い消耗を強いることで打ち負かす方法を採っ
た。丁度ボクシングで一発で仕留めるのではなく、少しづつポイントを稼ぐ方
法のように。それによりアメリカが耐え切れなくなり、イラクを放棄せざるを
得なくするのだ。米軍の人的損失だけを見ても、ベトナムの革命活動が3年間
掛かって実現したことを、抵抗勢力は最初の半年で成し遂げた。
 
 【問い】米国に出口は無いのか?つまりイラクの石油を入手する方法は無い
のか?

 占領軍は毎日百万バレル以上の石油を略奪している。米国経済の回復も、来
るべきエネルギー危機の解決などは、イラク抵抗勢力のお陰で実現しなかった
し、今後も実現しない。
 
 【問い】抵抗勢力は何故イラク新政府やその機関を狙うのか?
 
 これは重要な戦略の一つといえる。抵抗勢力の目的には、徐々に占領軍から
取って代わる傀儡国家機関を占領軍が完成させるのを防ぐことである。占領軍
の狙いは、これらの(軍事)機関がイラク人の人間の盾になることで、抵抗勢
力が占領軍を標的に出来なくすることだ。侵略後15ヶ月経過する現在まで、
占領軍は所謂、新軍や国家警備隊、警察を抵抗勢力を打ち負かせる組織になし
得ていない。逆にこれらの軍事組織は、抵抗勢力と衝突すれば、逃亡するか、
交戦そのものを拒否している。その為占領軍は現在までに、前述の組織に編入
されたイラク人6万人の半数である3万人を追放したのだ。
 
 抵抗勢力の戦略には、飲食糧品や武器弾薬、その他軍事・民生の必需物資を
占領軍から断つことがあるが、この分野でも成功している。空港や民間航空を
占領軍の手から奪った。現在、抵抗勢力は、占領軍の物資を運ぶ運転手を処刑
若しくは拉致することで、ヨルダンとトルコ、南部のバスラからの物資流入を
止めている。この方法は大成功を収め、占領軍は窮地に居ると感じている。こ
れが継続すれば、戦闘せずに窒息してしまう。
 
 【問い】抵抗勢力の政治プログラムは?
 
 解放後のプログラムは、去年9月の発表でイラク人には知られている。国家
の運営は、女性を含めて占領に抵抗した全てのグループの手に委ねられる。
 
 【問い】抵抗勢力の報道官が居ないのは何故か?
 
 抵抗勢力は、占領軍から、また米やイスラエル、イラン等の外国の情報機関
からの凄まじい暴力や殺害に直面しているのだ。外国に抵抗勢力の事務所を開
設することは、占領軍に利する最大の行為となり、抵抗勢力の自殺行為だ。し
かし、いくつかの重要な声明はインターネットを通じて発表されている。情報
・治安機関によって集中的に調べられないように、また混乱させ、発見の糸口
を与えないように、作戦の実行は常に異なった名称で発表される。
 
 【問い】解放に向けて抵抗勢力はどのような段階を乗り越えてきたのか? 
現在の段階とは?
 
 イラク抵抗勢力が載り超えた道には、第1段階の「叩いて逃げろ」がある。
侵略3ヶ月着に「叩いて数時間持ちこたえろ」第2段階が始まる。作戦実行に
は地下に潜った「イラク軍需製造機構」の優秀な学者による技術開発が貢献し
た。イラク武装革命の第3段階「都市を解放(制圧)し数日乃至数週間持ちこ
たえ撤退し、その後再解放せよ」の目的は、都市の密偵を掃討し、占領軍の都
市進攻を防ぎ、仮に進攻してきても抵抗勢力が叩きのめすことである。現在は
この原則に則り、活動が行われている。すでに主要な都市が、完全に或いは大
部分、解放され、占領軍は入ることが出来ない。
 現在は第4段階に踏み込んだが、別論文で詳述した。
 
 【問い】アラブから何を期待するか?
 
 アメリカは、イラク侵略はアラブ諸国の改革の一歩に過ぎないと認めてい
る。つまりアメリカがイラク問題で手が空いたら、シリア、レバノン、エジプ
ト、サウジアラビアなどの番が来るということだ。知られるようになった事実
を指摘しよう。イラクの抵抗行動が無かったならば、米国のの戦車が今頃、多
数のアラブ国家の首都の通りを動き回っていただろうということだ。
 
 【問い】イラク抵抗勢力は、アラブや世界からの物質的にも報道の面でも支
援無しに、あと1年持ちこたえられるか?
 
 抵抗勢力は侵略以前から準備を重ね、1グループから1名以上の名前が割れ
ないように非常に複雑な秘密組織を作り上げた。糸状組織と名づけられ、一人
の名前が割れても、直ちに組織との関連が切断され、他の者に及ばないように
なっているのだ。一本の糸のように真っ直ぐに流れている組織なのだ。一箇所
が切られると、前後の部分との関係は断絶される。加えて、抵抗勢力の各組織
は、企画立案でも作戦実行でもそれぞれが独立しており、抵抗戦略の総合構想
以外には縛られない。それにより如何に困難な状況になっても、限りなく柔軟
に対処できるのだ。
 
 【問い】占領軍によって米国などに輸出されたイラク原油の量は?
 
 イラク南部に侵攻後、侵略軍は真っ先に油田を制圧し、バグダードに進発す
る以前に輸出準備に取り掛かったのだ。輸出統計は無い。
 
 侵略終了後には、全ての油田は占領軍が直接に管理した。米国はそこでの実
態を何処にも極秘にした。そして直ちにアメリカ人の手で採油と米国への輸出
を始めた。確かなことは、侵略開始以来、米国への輸出は、日量200万バー
レルを下らないことだ。恐らく日量300万バレルに達するだろう。無論これ
はイラクの資源を略奪する行為に他ならない。理由は、イラクの承認も監査も
監督も受けずに実行されているからだ。従って、略奪されたこれらの資源相当
額を請求する権利をイラクは有す。
 
 【問い】最後の質問だが、あなたは抵抗勢力のスポークスマンの一人か
 
 否。そうであれば名誉なことだが、その資格は無い。私は専門家、分析家、
戦略家として発言している。多数の過去の自著で、パレスチナ革命を分析した
ように、現在は愛国者であると共に専門家としての目で、イラクで起きている
ことを分析している。
    
http://www.albasrah.net/maqalat_mukhtara/arabic/0904/almukhtar2_010904.htm
 
http://groups.yahoo.co.jp/group/voiceofarab/message/35






(私論.私見)