中盤の打ち回し攻め編/コウ対応、天下コウ

 更新日/2024(平成31.5.1栄和改元/栄和6).2.17日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、「中盤の打ち回し攻め編/コウ対応、天下コウ」を確認する。

 2014.12.27日 囲碁吉拝


【中盤の打ち回し攻め編/コウ対応】
 「武田祥典の有段への特効薬/(4)コウと上手に付き合おう
 (読売新聞 2013/04/23掲載)。
問題図
 黒先如何。
 白1、3のハネカケツギへの応手を問う。
初手間違い
 黒1カケツギ。コウ恐怖症の敵前逃亡の手である。この手だけは打ってはいけない。

正解初手
 黒1当て。
その後図
 白2/コウ受け。黒3/コウ取り。白4/コウダテ。
 この一手である。黒3でAツギは、これも敵前逃亡。まずは1回取ることが肝要である。白4のコウ立てに対し、黒には二つの道がある。
コウ解消
 黒1コウ解消。これはかなりの戦果で、白2の連打を許しても黒3から5、7として全局的なバランスはとれている。「コウの部分で得をして他の部分は譲る」という考え方である。
コウ続行
 黒1コウ受けによるコウ続行。白2、黒3上辺コウ立て。
コウ解消
 白4コウ解消の抜き。黒5ハネ。
 黒は3、5と連打で全局的なバランスはとれている。「コウには負けても他の場所に二手打って得をする」という考え方である。コウ争いで重要なのは「コウの部分だけではなく全局を見て考え判断し処すること」である。

【中盤の打ち回し攻め編/天下コウ】
 「蘇耀国のコウ争いのテクニック/(1)「天下コウ」の価値は絶大
 (読売新聞 2007/07/23掲載)。
問題図
 黒1の切りでコウが発生。白2の取りに黒3のツケをコウダテにした。この場面で白はイの解消か、ロの受けか。

正解図
 白1と解消する一手です。ポンポンと抜いた白の姿は強力無比、盤上すべてを圧します。このように、中央に向けてポンポンと抜けるコウの価値は絶大と覚えてください。いわゆる「天下コウ」と呼ばれるもので、相手がどんなコウダテを打ってきても構わず抜いて、まず間違いありません。黒2と突き抜かれても、白3と下辺を割り打ちしているくらいで十分、左上の黒が浮き石となっていますし、何より▲がまったくの無駄手となっているのが大きいのです。
間違い図
 白1の受けはチャンスを逃した。というより黒2とコウを取り返され窮している。白にはコウダテがありませんし、かといって白Aとつぐのでは黒にコウをつがれ、その後の収拾方法がありません。

【中盤の打ち回し攻め編/天下コウ】
 「蘇耀国のコウ争いのテクニック/(2)ひどい展開は見ずに抜け」(読売新聞 2007/07/30掲載)。
問題図
 黒1で4とつぎ、白イ、黒ロなら無条件生きでしたが、黒1、3とあえてコウにしてきました。白4のコウ取りに黒5のツケコシをコウダテにしようという意図ですが、ここで白は右下を受けるべきか、コウを解消するべきかを問います。

正解図
 白1とコウを解消する一手です。黒2の連打も相当な大きさですが、左上の出入りはそれ以上ですし、白3と飛べば、それほどキツい攻めにあうこともなさそうです。左上は本来、黒から無条件生きがあった所ですから、白に不満はない分かれでしょう。言わば左上のコウは、天下コウなのでした。
間違い図
 白1と右下を受けるのは、黒2とコウを取り返され、今度は白にコウダテがありません。白3のツケには黒4と解消されてしまいます。白5の突き抜きもすごい連打ですが、黒6と伸びられると、左上が一気に黒の勢力圏に。左上が完全な白地となった1図と比較すると、この出入りのすさまじさが分かろう。即ち、「コウに負けた時にひどい姿になってしまうコウは天下コウ。従って見ずに抜け」ということになる。

【中盤の打ち回し攻め編/天下コウ】
 「蘇耀国のコウ争いのテクニック/(3)大場の連打で十分おつり
 (読売新聞 2007/08/06掲載)。
問題図
 黒1から5まで、白の生死をかけたコウ争いが発生しました。ひと目で分かるように大変な大きさのコウですが、白6のコウダテに対し、黒はコウを解消すべきか、受けるべきか。

正解図
 黒1と受けるのが正しい態度です。白2とコウを取り返されると、黒から明確なコウダテが見あたらない碁形ではありますが、それでも構いません。平然と黒3の大場を占め、白4のコウ解消に黒5と大場を連打しているくらいで十分なのです。コウには負けましたが、△が悪手化していますし、局面全体の形勢としては黒リードと言ってもいいでしょう。言うなれば右上隅のコウは天下コウではなかったということです。なぜかと言えば、「右上の黒は丈夫な姿をしているので、コウに負けても大した被害ではない」からです。つまり、地の出入りだけの問題なので、それならば大場の連打で、十分におつりが来るということなのでした。
間違い図
 右上隅のコウの出入りは、目数にして30目は下りません。まさに第一級の大きさと言えるのですが、それでも黒1と解消するのは疑問手となります。白2の突き抜きがそれ以上の大きさで、左辺一帯が一気に白の大勢力圏となってしまうからです。局面全体を見渡してみても、右上と右下の黒地だけでは、とても間に合いそうにありません。

【中盤の打ち回し攻め編/天下コウ】
 「蘇耀国のコウ争いのテクニック/(4)「まずは自分の取り番」要点
 (読売新聞 2007/08/13掲載)。
問題図
 「相手がコウにしてくれたら喜ぶべき。まずは自分の取り番なのだから、何も恐れることはない」。この「まずは自分の取り番である」という点がポイント。相手が仕掛けてきたということは、コウ争いはまず自分の取り番でスタートするということです。従って、どうしてもコウ争いを続けるのが嫌なら、相手がコウダテをしてきた時に解消してしまえばいい。解消するかどうかの権利は自分にある――この点を肝に銘じてください。

 白1、3とコウを仕掛けてきました。この時点でまず言えるのは、白3でイとつぎ、黒ロ、白ハなら無条件生きだったのですから「コウにしてくれただけで黒は得をしている」ということです。自信を持って対応していただきたい。
破門間違い図
 コウが怖いという意識ばかりが先立つのでしょうか。コウを取らずに黒1とついでしまう人の何と多いことか。こんな弱気でいいはずがありません。

正解図
 何はともあれ黒1と取る一手で、どうしてもコウが怖いのなら、白2の時に黒Aと解消すればいいのです。しかし黒には5という絶好のコウダテがあるので3と受けてコウを続けることもできる。以下同じ理屈である。コウを恐れていての上達はあり得ない。コウを楽しむくらいの気持ちにならねばなりません。

【天下コウ、コウダテ見ずにツグ一手】
 「天下コウ、コウダテ見ずにツグ一手!」参照。
 例題/4子局での一間受けにと打たれたら黒はどう打つ?
最悪図
 黒1/受け。
 とカケツギされると黒が大損。は仕方なさそうだけどと打たれると左上の白が強いので黒はとっても嫌な感じになる。
 と切るのはどう?白がのツギなら黒aで取れる。そうなれば黒大成功だが、白はツガずにとコウにしてくる。とコウを取った時、とコウダテされたら黒はどうする?ツグべきかコウのところを解消させてツグべきか。
 このコウが「天下コウ」ならにツグ一手。白bよりもにツグ方が大きと判断してツグべきである。

 「コウ争い、勝つか負けるか二つに一つ!」参照。
例題図
 黒先如何。
最悪図
 黒1/。白2/。黒3/。
正解初手
 黒3/コウの取返し。白4/。




(私論.私見)