中盤の打ち回し攻め編/反発手抜き

 更新日/2024(平成31.5.1栄和改元/栄和6).2.17日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、「中盤の打ち回し攻め編/反発手抜き」を確認する。

 2014.12.27日 囲碁吉拝


【中盤の打ち回し攻め編/反発手抜き】
 「三谷哲也の今年この一手/(2)度胸満点の手抜きで反発
 (読売新聞 2012/11/27掲載)。
 第1回百霊杯、白・九段・山下敬吾、黒・四段・金昇宰
問題図
 中国の国際戦で、相手は韓国の若手の金四段。黒1の打ち込みは左右の白を分断して攻めようとの意図。これに対し右上を白2とツケ越したのが強烈な反発心に基づく一手。手抜きは非常に怖い一手で度胸がいる。碁界きっての力戦家・山下さんならではの手である。

常識譜
 白1の飛びから5が普通。山下さんは相手の思惑通りの進行を嫌い手抜きで反発している。この局面で「左上の厚みに幅を持たせることが何よりも優先する」との考えがあったと思われる。
実戦図
 黒1から3、9と黒石が急所に来ていて白がつらいように見えるが、白12と伸びれば「やれる」というのが山下さんの判断。黒13、白14に続いて黒イなら下辺を制することができるが、白ロと上辺を止められると白の幅が雄大になる。黒は15と上辺を打った。
その後図
 白1から7と下辺を動いたのが、その後の進行。下辺の黒も治まっていないので好勝負でしょう。テーマ図の白2のツケ越しは、確かな判断と度胸に裏打ちされた強手だったと思います。最後に半目勝ちをもぎ取った勝負根性もさすがと言わざるを得ません。

【中盤の打ち回し攻め編/反発手抜き】
 「河野臨の今年この一手/(3)大胆な手抜きでリード
 (読売新聞 2011/12/13掲載)。  
 第36期碁聖戦五番勝負第4局、白・九段・羽根直樹、黒・碁聖・坂井秀至。
問題図
 右下、白20は羽根さん愛用のノゾキ。白42で一段落し、黒43のカカリに白44と挟んで戦いは左上に移りました。黒55に対して白はどう対応するか。

常識譜
 白1と押さえるのが普通ですが、黒2とノゾキを利かされて4と隅に先着されます。白はこの図を避けたいのです。
実戦図
 白56、58とつけ切り、60と当ててから62にまわりました。度胸満点の手抜きで、4手1組ともいえる大胆な作戦でした。この後、黒63の当てから白72まで進みました。参考図と比べると白が隅を荒らしていることがわかります。途中、黒63で64と切るのも白63、黒69、白72。これも参考図より利かせています。白56からの打ち回しはいろいろな場面で応用が利きます。私にも大いに参考になりました。白はここで一本取って局面をリードしました。
変化図
 白62で3のカケツギはききません。黒4のワリコミから8と切って振り替わりになり、黒も不満はありません。





(私論.私見)