隅の詰め碁例題/中手の筋

 更新日/2024(平成31.5.1栄和改元/栄和6).2.5日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、「隅の詰め碁例題/中手の筋」を確認しておく。

 2014.10.27日 囲碁吉拝


【隅の詰め碁例題/中手の筋】(中手とセキ
 中手には三目系(愚形3目)、四目系(三菱型、団子型)、五目系(団子型、
花五)、六目系(花六)、隅の曲り四の4系7種がある。これを確認しておく。

【三目中手の筋】
 最終図をこの形へ導くのが良い、と云うことになる。
 愚形3目前 愚形3目

【四目中手の筋】
 最終図をこの形へ導くのが良い、と云うことになる。
三菱型(三本出べそ)  四つ団子型
 外ダメがつまると黒a又はcで眼あり眼なしで黒勝ち。
 白a又は白cなら黒bで黒の五目中手で白が取られている。

【五目中手の筋】
 最終図をこの形へ導くのが良い、と云うことになる。
四つ団子出べそ1型 花五
 眼あり眼なし中手死形/白に眼がないので、白がa又はcで内
ダメをつめたとき、黒bの「四つ団子出べそ」で黒の五目中手で白
が取られている。
 眼あり眼なし中手死形/既に内ダメがつまっているので黒先でaに打つと眼あり眼なしとなり白死。白先でaでは黒bの五目中手で白死。この形を「眼あり眼なしか中手の死」と云う。外ダメが空いていれば白bで凌ぐ手段がある。
 取り返し中手死形/中手にはなりそうもないように見える。しかし、冷静に眺めると白はダメヅマリでaに打てず、白b2目取りしかない。黒取り返しで最終的に五目中手である。

【六目中手の筋】
 最終図をこの形へ導くのが良い、と云うことになる。
花六(四つ団子出べそ2型)

【7目以上】
 中手は成立せずセキとなる。
花六(四つ団子出べそ2型)


【隅の詰め碁例題/中手の筋】(「今日の腕試し」)
課題元図
 外側内々側(黒)先→内側(白)死。

正解初手
 1/ツギ(正解初手)。この手が必殺手で「最終図/花五出べそ」になっている。
その後図
 2/。4/黒6子取り。
決定打
 5/二の2置き。取り跡のAが“花六”と言われる“中手”で白死。

【隅の詰め碁例題/大中手の筋】
課題元図
 外側内々側(黒)先→内側(白)死。

正解初手

 1/下がり(正解初手)。
 この手で五目中手に向かい白を殺す道筋に入る。
その後図
 2/。3/。4/。5/ツギ。
 「最終図/四つ団子出べそ」になり、黒の五目中手で白死。

【隅の詰め碁例題/大中手の筋】(大中手
 (大中手) 中手には三目、四目、集四、五目、花五などがある。もっと多くの石を取らせても相手に2眼を作られない場合がある。これを大中手と云う。
課題元図
 外側内々側(黒)先→内側(白)死。

正解初手  
 1/差し込み(正解初手)。
 本図の黒1の所を白に打たれるとセキ。手にするとすれば黒1よりない。
その後図
 2/ダメ詰め。3/当り。4/黒4子取り。白は攻め合いでは負けなので2、4と取るよりない。
決定打
 5/当り。この手で白に2眼を作る余地がない。黒1と打った形は棒四とでも称すべき形で通常は中手にならない形である。その4子を捨てて眼を奪うのが大中手と称されるゆえんである。

【隅の詰め碁例題/大中手の筋】(大中手
課題元図
 外側内々側(黒)先→内側(白)死。
 6子の大中手

正解初手  
 1/ツギ(正解初手)。この手が筋。
その後図
 2/当り。3/。4/黒6子取り。
決定打
 5/ツケ。取り跡に黒5のツケがあって白死となる。
その後図
 6/。7/で白死。

【隅の詰め碁例題/大中手の筋】(大中手
課題元図
 外側内々側(黒)先→内側(白)死。

正解初手
 1/差し込みが筋(正解初手)。
 この手が捨て石史上最大と思われる大中手を呼び込んでいる。
その後図
 2/当り。3/ツギ。4/黒16子取り。
決定打
 5/キリ当り。これで白二眼できず生きがない。
その後図
 吐血の局で知られる赤星因徹の玄覧の垂棘屈産失国之形(すいきょくくっさんしつこくのかたち)は、この大中手に始まって全部で84子を捨てる詰碁の大作である。

【隅の詰め碁例題/大中手の筋】
 「垂棘屈産失国之形」(すいきょくくっさんしつこく)。江戸時代の人(赤星因徹)が 作った珍瓏(ちんろう)という詰め碁の一種。
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 黒先白死。左下16子捨てから始めて計84子を捨てて白を全滅にする。(11箇所の石の下。88子を取っても2眼できない。香餌懸魚之勢を越える記録である。88個の石が垂棘の璧と屈産の馬を指している。

 題名「垂棘屈産失国之形」の意味は次の通り。中国の春秋時代、晋の君主、献公が郭を討伐しようとし、虞の国を通らしてもらおうとした。贈り物に垂棘の璧と屈産の馬をもらった虞王は、諫める家臣の言うことを聞かず晋軍が通ることを許てしまい、おかげで晋は郭を破ることができた。しかし、郭の国を滅ぼした晋の献公は虞の国をも滅ぼし、垂棘の璧と屈産の馬も取り戻してしまった。(璧:宝石)





(私論.私見)