天王山

 更新日/2024(平成31.5.1栄和改元/栄和6).2.17日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、「天王山」を確認しておく。「詰碁」その他参照。

 2015.04.07日再編集 囲碁吉拝


【天王山】(「今日の腕試し」)
課題元図
 黒先如何

【天王山】(「今日の腕試し」)
正解図
 黒1~3と白模様を制約しつつ自陣を広げるのが、スケールの大きな構想。
不正解図
 黒1など他に打ち、白2と打たれた図との双方の懐の深さを比較あれ。

【中盤の打ち回し攻め編/天王山ケイマ】
 「瀬戸大樹の手抜きの考え方/(3)天王山に先着し主導権を(寄稿連載)
 (読売新聞 2013/08/06掲載)。
課題元図
 白先如何。模様同士がぶつかり合っているところでは双方の天王山がポイントになる。先着できれば主導権を握れる。

正解図
 右上の白は外側に石があるが厚いとまではいえない。この局面では白1のケイマが逃せぬ好点である。この一手で一団をくつろげると同時に上辺の黒模様を制限している。一石二鳥の手になっている価値の高いポイントである。
不正解図
 白1打ち込み。この手に対しては、黒2のツケから外側を止められ、白3のハイから7と構えて白地は増えるが、黒8の天王山に回られ黒模様が大きくなる。さらに黒イと迫ると攻めながら黒地が増える。天王山を取られていることになる。
参考図
 右辺は同じ形だが左辺が違う。左上に△のシマリがあって上辺は黒模様の拡大が望めない碁形になっている。ここでは、白2のケイマは天王山とはいえない。白1と締まって地を求める方が価値が高い。黒2のケイマには、また手を抜いて、白3と大場に先行する。右上の白は攻められても、周辺の黒が大きく得をする展開にはならないので慌てなくてもいい。

【中盤の打ち回し攻め編/天王山ケイマ】
 「瀬戸大樹の手抜きの考え方/(2)会心のケイマで勝利
 (読売新聞 2012/02/14掲)。
 第11期棋聖戦第2局/黒・棋聖・小林光一、白・本因坊・武宮正樹。165手完、黒中押勝。
問題図
 黒番如何。△と黒1子を抱えたところ。黒が少し打ちやすい形勢という。ここでは、まず黒イの飛びなどが目につく。

想定図1
 黒イには、白は1の押しを惜しまず決める。黒2、4のハネ伸びは仕方がない。それから、白5、7のツケ切りなどと策動してくるかもしれない。これは黒も気持ちが悪い。
想定図2
 黒イではなく、1のコスミなら堅い。これで右辺は確定地になるが、守りに偏っている嫌いがあり、白2から6とくつろがれるだろう。
実戦図
 黒1ケイマ掛け。下辺の黒模様を盛り上げながら白の一団を遠くにらんで絶好点。「会心の一手だった」と小林。黒13の後、黒は下辺から中央に大きな地をまとめ、勝利を決定づけた。

【中盤の打ち回し攻め編/天王山ケイマ】
 「追悼藤沢秀行名誉棋聖この4局/(4)「広い碁盤」に雄大な構想
 (読売新聞 2012/02/14掲)。
 ◇第5期棋聖戦七番勝負第3局、白・棋聖・藤沢秀行、黒・十段・大竹英雄、(1981年2月)
課題元図
 白先如何。3か所で実利を取った黒がやや打ちやすい形勢と見られていた。

【中盤の打ち回し攻め編/天王山ケイマ】
 「追悼藤沢秀行名誉棋聖この4局/(4)「広い碁盤」に雄大な構想」(読売新聞 2012/02/14掲)。
実戦図
 白1ケイマ。この手が雄大な構想で悠々たる大河の流れを思わせる。実利を重視する人には、怖くてとてもこうは打てないだろう。
参考図
 白1ツケ。黒1子への攻めを急ぐのは黒2と逆にケイマされスケールが小さくなる。藤沢の気に入らなかった図であろう。
その後図
 白14のカケツギで力をため、16の割り込みから勝負の形に持ち込んでいる。高尾九段「面白い碁でした。お互い渾身(こんしん)の一局だと思います。先生は碁盤の使い方の広さがすごい。このように線の太い碁はまねができません」。




(私論.私見)