1683年11.19日 御城碁「(坊)道策名人-安井春知(2子)

 (最新見直し2015.02.12日)

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、元丈の上手さ光る名局「御城碁「(坊)道策名人-安井春知(2子)(春知の2子局1目勝ち)を研究する。

 2014.07.25日 囲碁吉拝


御城碁「(坊)道策名人-安井春知(2子)、道策一生の傑作】
 1683年11.19日、御城碁「(坊)道策名人-安井春知(2子)」は277手まで、春知の2子局1目勝ち。 

 天和3年は道策が名人碁所になった延宝6年から5年後に当り、道策の打ち盛りの頃となった。
 春知は名人算知の弟いわれ、他に実子、門弟とする説もあり詳しいことは伝わっていない。延宝2年のお城碁に初登場している。その頃25歳ぐらいと推量すれば、この対局時は34歳ほどであったことになる。いったんは安井家の養子となったが37歳で病没している。
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 白27と相手の石につけて応手を問う手法は道策の定法。黒38手目に黒1と押したところ、白は当然と思える3でなく上辺白2へ向かった。黒3と打たせても上辺2、6と侵入する方が大きいと見たところに柔軟性がある。その後黒も黒A、白B、黒Cと攻め立てるが、白は手順を尽くしてサバキに成功した。
 黒70の手を廻って詮議されている。一説に「ぬるい」と云われているが「勝着」とも評されている。前者は、白71以下が黒70を緩着に導いており、「道策の自慢の技であろう」と云う。

 林家11世/林元美に次の評がある。
 「春知の70着はその人に似あわずと論ずるものあれども、予思うに然らず。120の手を打たれては、道策も所詮勝つこと能わずと云えり。春知ほどの者、あらかじめこの手を含みて、かく打ちしものなることは勿論なるべし」。
 「黒70はぬるいと云う者もあるが、そうではない。後の120の強手を狙っていたのである。この手があっては白に勝ち目はないと道策も認めている。道策が真の碁聖であることに異議はない。しかしその道策でさえ、時に不十分な手が出るのはやむを得ないし、いわんや春知においてをや、だ。ところがこの碁には、双方ともに非難すべき手が一つもない。心から感服するばかりである」。
 道策は、安井春知との2子局1目負の碁につき、自ら「道策一生の傑作」と述べており名高い。道策自身が次のように評している。
 概要「(或る人、『先生が終身の勝利は、いずれの碁にて候ぞ』と問いしに、)されば、我が勝負の最高傑作は御城碁の春知(俊知)に一目負けし碁にて候。これをこそ、二度あるまじき様に思い候え。(『これは先生負け碁に候よ』、)さあれば、勝負は碁の主意には候えども、勝負も勝負、対手も対手によるものにて候。春知(俊知)は当代の逸物にして古人に恥じず。後来もまた稀なるべし。しかしてこの対局において、春知が手段、毎着妙ならぬはなかりしを、余もまた思いを究め、巧みを尽くし、一手の遅れを取らず対抗し、いささかの遺憾もなく打ち終わらせて遂に一目の負けにせしは、生涯の得意にこそ候え。自ら大いに誇りとするところにして、一生中ふたたび得られざる対局なり」。
 本局は他にも次のように評されている。
察元 「一生中の出来」
元丈 「一生のできばえ」
秀哉 「一代の傑作」
呉清源 「生涯の名局」





(私論.私見)


 道策は、この碁(「安井春知との2子局1目負の碁」)につき、自ら「道策一生の傑作」と述べ次のように評している。
 概要「(或る人、『先生が終身の勝利は、いずれの碁にて候ぞ』と問いしに、)されば、我が勝負の最高傑作は御城碁の春知(俊知)に一目負けし碁にて候。これをこそ、二度あるまじき様に思い候え。(『これは先生負け碁に候よ』、)さあれば、勝負は碁の主意には候えども、勝負も勝負、対手も対手によるものにて候。春知は当代の逸物にして古人に恥じず。また後来も稀なるべし。しかしてこの対局において、春知が手段、毎着妙ならざるはなかりしを、余もまた思いを究め、巧みを尽くし、一手の遅れを取らず対抗し、いささかの遺憾もなく打ち終わらせて遂に一目の負けにせしは、生涯の得意にこそ候え。自ら大いに誇りとするところにして、一生中また得られざる対局なり」。

 本局は棋界で次のように評されている。察元「一生中の出来」、元丈「一生のできばえ」。林家11世・林元美は本局をこう論評している。
 「黒70はぬるいと云う者もあるが、そうではない。後の120の強手を狙っていたのである。この手があっては白に勝ち目はないと道策も認めている。道策が真の碁聖であることに異議はない。しかしその道策でさえ、時に不十分な手が出るのはやむを得ないし、いわんや春知においてをや、だ。ところがこの碁には、双方ともに非難すべき手が一つもない。心から感服するばかりである」。

 秀哉「一代の傑作」、呉清源「生涯の名局」。
 「(坊)道策名人-道的(先)」。黒番1目勝ち。
 対局日不明「(坊)道策名人-桑原道節(2子)」は桑原の2子局中押し。後の名人因碩との2子局。