囲碁用語篇3(ハマヤラワ行)

 更新日/2020(平成31、5.1栄和改元/栄和2).11.8日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、囲碁用語篇3(ハマヤラワ行)を確認する。

 2015.01.17日再編集


 は行は

 ハイ(這い)(hai)(crawl)、ハウ(這う)(ha)()
 相手の石の下側の二線、三線をのびる手のこと。「二線ハウべからず」。
 「ハイ」というのは赤ちゃんのハイハイを思い出せばわかりやすい。黒1と打つのがハイ。白2のノビに黒3と打てば、これもハイ。

 バカ四(ばかよん)()()
 愚形の一種。

 バカ八(ばかはち)()()
 ダメヅマリになると手入れが必要な形。8目の空点を囲んでいるが、ダメヅマリになると手入れが必要な形。8目もの空点を囲んでいるのに、ダメヅマリになって手を抜くと相手から先手でセキにされて地がなくなることから付けられた蔑称で、正式には隅の八目または隅の板八というべき形
 黒がバカ八と呼ばれる形。黒がダメヅマリのため、黒はaかbに手を入れて7目の地とする。この手入れより他に大きい所があれば黒は手を抜くが、白から手段が生じて地がなくなる。  白1が筋で黒2以下黒6までの手順でセキになり、黒地がなくなる。黒2で5か6でもセキになる

 バカは死ななきゃ直らない(囲碁諺)
 囲碁用語諺。「バカは死ななきゃ直らない」とか「遠方より朋来る楽しからずや」は実は囲碁から来ているのではなかろうか。それが一般化して通用しているのではなかろうか。だって元々の囲碁で考えた方がもピッタリなんだな。「バカは死ななきゃ直らない」は石が死んだときの愚痴なんだな。「遠方より朋来る楽しからずや」は碁がたきの気持ちをうまく表現しているんだな。

 ハザマ()(hazama)()
 ハザマは囲碁において、すでにある石から横に二路、縦に二路離れた位置関係のことを指す。下図黒1と▲がハザマの位置関係である。黒1を「ハザマトビ」、白2のようにその間隙を衝く手を「ハザマを衝く」と表現する。ただしハザマトビとハザマをつく手を両方とも単に「ハザマ」と表記してあることも多い。
 ハザマトビはすぐにも連絡を絶たれる手が残る手法であり、ハザマを衝かれた時の対策がなければ使えない。いわば「誘いの隙」を見せて戦う高等戦術といえる。  例えば小目定石で、上図白1とハザマトビする手がある。もし黒が2とすぐにハザマを衝いてくれば、
 白1から突き抜いて、強い厚みを得られる。隅はaなどの隙が残り、完全な黒地ではない。ハザマを突く。

 ハザマ
 縦横に離れて向かいあった形を云う。
 ハザマの急所
 ハザマをついてサバかれる

 ハザマトビ()(hazamatobi)(hole jump)
 ハザマトビ

 ハサミ()(hasami)()
 石を接触せずに両側から挟んで攻める形の手を云う。一間バサミ、二間バサミ、三間バサミ
がある。
 「ハサミのある方にツケるな、ハサミのない方にツケよ」

 ハサミツケ()(hasamitsuke)(clamp)
 相手の石を挟むようにツケる手のことを云う。サバキの手筋、ヨセの手筋などとして頻出する。

 斜(はすか)いにノゾクは急所なり

 走りたい方の反対を這え(三々の石のカタを衝かれた場合の打ち方)

 働きあるキリ一本
 働き過ぎ良くない能く見る宜し
 ※升田幸三氏の名言に掛けている。

 発狂だ山(さん)
 ※八甲田山に引っ掛けている。

 ハナヅケ(鼻ヅケ)()()
 2子の先端にツケる手を「鼻ヅケ」と呼ぶ。

 花見コウ()()(one sided ko)
 どちらか一方にとっては負けてもほとんど被害のないコウのこと。次の図は黒の「花見コウ」。「花見」をしながらでも争えるという意味でこう呼ばれるが、半コウのようなどちらにとっても価値の小さいコウのことは「花見コウ」とは言わない。

 花六()(hanaroku)()

 ハネ()(hane)(bend) 
 相手の石の進んでいく方向をさえぎるように斜めに打つ手のことを云う。例:下の黒C4 囲碁格言「ツケにはハネよ」 - ツケられたらハネを打つべし 。

 白△から1と打って、黒の頭をおさえつける手を「ハネ」と云う。これに対して黒が2と打つのも、やはり黒▲の石とナナメにつながっているので「ハネ」と云う。
 下ハネ・ツギ。ハネにオサエからツギが自然な手順。ハネコミ、ハネカエシ、ハネゴロシ、ハネツギ(マゲの形)
 ハネ一本が生死のカギ (ハネ一本で生きる)  
 ハネ殺し(死はハネにあり)
 ハネもフトコロのうち(活きるにはハネ1本もおおいに役立つ)
 ハネを忘るな三手抜き

 ハネアゲ()()() 
 下から上へ翹げる。例えば、線から線への拡大。

 ハネカエシ()()()

 ハネコミ()()()
 

 ハネゴロシ()(hanekoroshi)(Death in the hane)
 「ハネ殺し、死はハネにあり」。

 ハネダシ()()(hane inside) 
 ハネの後にツグ二点セットの形のことを云う。

 ハネツギ(マゲの形)()()
 
 ハネツギ六目(二線のハネツギ)

 ハマ()(hama)(captured stone、prisoner)
 ハマアゲハマは囲碁の用語のひとつ。囲碁では対戦中に盤上の相手の石の幾つかを取り上げることがあり、日本ルールに於いてはその取り上げた石をハマもしくはアゲハマと呼ぶ。後で数がわかるように手元に置いておかなければならず、通常碁笥の蓋を裏返して、ハマを乗せておく。終局後、盤上の死んだ石もハマに加えられ、ハマと盤上の地の広さの合計が、白黒の対局者の総得点となる。整地では分かりやすいように、自分が取ったハマで相手の地を埋める(つまりハマが多いほど、相手の地が減る)。このようにハマを取っておくのは、日本ルールの中に於いてのことである。中国ルールでは、取った石を、取った直後に相手の碁笥へ返却する。これは中国ルールでの計算の仕方が日本とは違い、領地内の空点のみを数えるのではなく、空点及び自分の石の数を数える為である。例えば200手で終局したとして、黒が10個の白石をアゲハマとして取った場合には、黒100個、白90個の石が盤上にあるはずである。この場合、ハマの10個を数えるのが日本流であり、盤上の90個を数えるのが中国流と言うことになる。

 ハメ手(嵌め手)(hamete) (trick move、joseki trap)
 トリック戦法のこと。一見スキのある手で相手を誘い、石の自然な流れの先に罠が仕掛けられているような手段を云う。逆に相手に正しく対応されるとハメ手を仕掛けた方が大損害を受けることになることが多い。
 高目定石におけるハメ手の一例。黒1にカケ、白2とコスミ出した時には通常aなどにコスむのが定石だが、ここで3と引っかけるのがハメ手。  スキだらけなので白1,3と出て5と切ると、6に突っ込まれてツゲず、下の3子が切れて大損害を受けることになる。白5ではaの方に切るのが正しい対応で、黒がbにツイだらcにノビ切って黒1子を取り込むことができる。取り込んだ形は、断点が多く白有利とされる。

 早逃げは三文の得

 腹ヅケ

 番碁
 何局かセツトで勝敗を決める方式のことを言う。三番勝負、五番勝負、七番勝負などがある。

 盤石

 は行ひ

 ひかれものの小唄

 ヒキ(引き)(hiki)(draw back)
 弱い石を自分の勢力の強い方へのびて繋げる手のこと。
 ヒキは自分の方へ石を引っぱるという気分です。黒1とツケ、白2とオサエたところですが、ここで黒3と打つのがヒキ。黒▲の方へ引くという感じです。

 左団扇(うちわ)

 一石碁に負けなし
 1隅、2辺、3中央

 人の傷は見えるが自分の傷に気づかない(囲碁諺)
 攻めっけの強い人に見られる現象である。

 人の振り見て我が振り直せ(囲碁諺)
 「振り」は、外面に現れた態度や動作のこと。他人の行動を見て、良いところは見習い悪いとこ
ろは改めよということ。
Every man's neighbour is his looking-glass.(隣人は鏡である)
Learn wisdom by faults of others.(他人の愚かさから英知を学び取れ)
The fault of another is a good teacher.(他人の失敗はよい教師である)

 ヒラキ(開き)(hiraki)(extension)
 隅や辺にある自分の三線又は四線の石から碁盤の外側方向に一間から四間ほど平行に跳ぶ手のこと。辺の方向にとんで、補強しながら地を得るような手。2間トビがよく使われる。2間ビラキ。
 ヒラキは、石を辺に展開させること。白△の石から辺に向かって展開する白1をヒラキと云う。このヒラキ方は二間に開いているので二間ビラキと云う。

 ヒラキヅメ()()()
 ヒラいて同時にツメる手を云う。

 広い碁盤も使いよう

 広い方から押さえよ
 星から両辺にヒラいている時に三々に入られたら、広くヒラいている方からオサエた方が大きな模様形
成が期待できる。下図の場合、白1の三々入りに対しては黒2とオサエれば、下辺に大きな模様が見込
める。

 広い方からカカれ(広い方からカカるのが布石の鉄則)

 ピンチにツケコシ

 ピンツギ()()()

 は行ふ

 封鎖はポン抜き30目相当

 封鎖させるべからず(封鎖許すべからず)

 フクレ、フクラミ
 相手の石に接触しながら、山形の頂点になるところにカケツギに打つ形のこと。急所になることが多い。
 フクラミの手よし

 布石(囲碁用語が語源)

 ブツカリ()()()
 自分の石から一間に離れた相手の石の方へのびて突き当たる手。
 相手の石にぶつかっていく手をブツカリと云う。黒1とツケてきたところに白2と黒▲の石にぶつかっていくのがブツカリ。

 フトコロ
 生きるためのスペース。

 フリカワリ(振り替わり)(furikawari)(trade、exchange)
 お互いがそれぞれ、石を取り合ったり地を荒らしあったりして、大きく盤面の様子が変わること。完全に一方が得した分れは「フリカワリ」とは言わないが、多少どちらかに有利な内容の時もある。石を取り合った結果、黒地だったところが白地になり、白地だったところが黒地になること。「このフリカワリは白がいい」

 振り替わりを恐れるな

 憤兵は勝てず(囲碁諺)

 は行へ

 下手の一目惜しみ
 ヘタの考え休むに似たり
 下手のカゲツギ上手のカタツギ
 下手(ヘタ、ヘボ)の長追い
 下手の横好き何とやら
 下手の両ヅケ

 へぼコスミ
 ヘボ碁にダメなし

 ヘンチョーカトリセンコー

 は行ほ

 ボウシ(帽子)(boushi)(cap, capping move)
 相手の石から中央に向かって一間の位置に打って、中央進出を阻止するような手。相手の辺の1子の2路上に打つ手のこと。打った石の隣に石があるような場合は「ボウシ」とは言わない。
 ボウシにケイマ、ケイマにコスミ
 (If your stone is capped, play the knight's move)

 棒ツギ(ぼうつぎ)()(pole connection)
 縦または横に石を連続させてつなぐこと。もっとも強い連絡である。
 棒ほど願って針ほど叶う

 ホウリコミ(放り込み)()() 
 ダメをつめるときや眼を奪うなどの目的を持って、打った石自体が次の一手で相手に取られてしまう場所に打つ手のこと。いったん相手の地の中に打って攻撃する技。2眼を作らせないようにするなどの目的で打たれる。

 星打ちは勢力重視戦法
 星と三々、次の手急がず
 星に三々ウチコミあり

 欲しい石の逆を切れ

 本手()(honte)(the correct move、sound play)
 少しゆっくりしているように見えるが、味の良い手厚い好手のこと。急所を突いた本筋の手で、一見足が遅いようであとあとまで一手の価値を失わない働きのある手のことである。「厚い手」と呼ばれるニュアンスに近い。他方、急所を外れたその場の間に合わせの手をウソ手とも言う。こうした薄い手には後々まで禍根が残る。じっくりした厚い本手を好む棋士は追い込み型で、本格派の棋士とも言われる。藤沢秀行、大竹英雄らがその代表格である。ただし、厚がり過ぎて布石に遅れる場合もあり、それを避けて要点を足早に先取して逃げ切りをはかるタイプの棋士もいる。
 星の定石の本手の実例。黒1と、後手でも一手入れておくのが本手。放置するとaのオサエコミ、bのトビなど白△を動き出す手が残る。
 小目定石の一例。かつてはここで黒1とアテ、白2とツガせて先手を取っていた。しかしこの形はシチョウ関係次第でaのキリが残り、隅に対する味も消している。  そこで最近では、後手でも黒1とサガる手が打たれるようになった。この形では、aのキリはシチョウに関係なく取れる(ユルミシチョウの項目参照)。またbから左辺方面への白の進出を止めて封鎖する手や、cのツケから隅を大きくヨセる手などが残る。現在では、よほど他に急ぐ場所がない限り、黒1のサガリが本手と見なされている。

 盆と正月が一緒にやつて来る

 ポンヌキ(ポン抜き)(ponnuki)()
 相手の一子石を最小の手数の4子で取ること。
 ポンヌキ30目(ポン抜キ30目、封鎖30目、亀の甲60目)
 (Pon-nuki is worth thirty points) 

 ま行ま

 馬草場(マグサ場)
 マグサ場で力むな
 マグサ場には手を出すな

 マガリ(曲がり)(magari)(turn)、マガリ
 すでにある自分の石から直角に曲がった形に打つ手のこと。動詞では「マガる」という。漢字では「曲がる」と表記される。
 下図黒1が「マガリ」の例。
 黒1と打つのを「マガリ」と云う。  黒1と打つのを「マガリ」と云う。  黒1とマゲ、封鎖するのが厚い手。
 
 黒1マガリ。オサエあるいはオサエコミと表現されることも多い。  黒1マガリ。この手が急所で、白2のマガリはaの点が空いた「アキ三角」の愚形で効率がよくない。

 マゲ千両

 負け碁の打ち良さ

 まずコウを取れ
 まずコウ立てを数えよ

 待ったハガシはヘボ碁の見本
 待てば海路(甘露)の日よりあり

 惑わされるなハザマトビ

 まないたの鯉

 真ん中()
 一団の石の端ではなく中央の位置の地点。

 万年コウ()(mannenkoh)(a thousand year ko)
 この形ではaに白がツゲば全体がセキだが、黒から解消しようと思うとまずaに取り、次いでbに詰めて決死のコウを挑まねばならない。白は他のコウ材の具合によってはbに詰めて比較的負担の軽いコウに持ち込むこともでき、選択権は白が持つ。こうした形を「万年コウ」と呼ぶ。どちらからもコウを仕掛けず終局した場合は、セキにしうる方(この場合白)がaにツイでセキとして終了する。

 ま行み

 見合い(みあい)(miai)(equivalence)
 大事なところが2箇所あって、どちらかを打つと、もうひとつは相手に打たれてしまうような状況。2つの打ちたい場所の内、一方を相手に打たれたらその反対のもう一方を自分が打ってうまくいく状態のこと、もしくはそのような関係にある2つの打ちたい場所のこと。着手として今すぐ一手打たなくとも、局所的な意味が保たれている状態を指す。
 黒の死活において、aもしくはbに黒は一手いれることによってルール的な2眼を確保することが出来る。しかしこの場合、白が2回連続着手しないかぎり黒はどちらかに必ず打てるのですぐに打つ必要がなく、貴重な一手を他に使うことが出来る。このようにどちらかに打てばいい状態を「見合い」という。
 見合いは急ぐな

 見合い計算(みあいけいさん)()()
 囲碁の地の計算法、手の価値の計算法の二つの意味がある。前者は形成判断、後者はヨセにおける手の選択に使われる。王銘琬の絶対計算も見合い計算と同じものである。

 味方の多いところでは強く戦え(妥協するな)

 右辛抱、左辛抱(辛抱を心房に掛けている)
 右を打ちたい時は左を打て
 右を打たれたら左に注意(右打てば左に手あり)
 右を攻める時は、左を見よ

 見ざる言わざる聞かざる

 ミニ中国流()()()

 耳赤の一手
 「みみあかのいって」と読む。史上最強といわれる本因坊秀策が、幻庵因碩(げんあんいんせき)との対局の中で絶妙手を放つ。それを見た因碩(いんせき)の耳があっという間に赤くなった。このことから絶妙手を耳赤の一手という。

 妙手と悪手は紙一重

 三好西海(正解)入道

 ま行む

 向い小目()()()
 布石の方法で、左右向かい合った位置の小目に打つもの。その時、相手は両星に打ったりする。

 貪りは破滅のもと

 ムズやん

 六つに割れたらひとつは死ぬ
 (Five groups might live but the sixth will die)
 (If there are six groups, one is dead)

 むやみにアテるな
 むやみに攻めずに味を見よ

 無用のダメは詰めるべからず
 無理が通れば道理が引っ込む
 無理はよそう体に悪い

 村柾の妖刀()()()
 小目への一間高ガカリに二間高バサミして生ずる一連の変化手を云う。大勢のプロ棋士がこの定石の研究を進めたが、難しい変化が幾つもあって未だ未解明だと云う。「一つ間違うと自分が傷つけられる」危うさから「村正の妖刀」と名づけられたらしい。

 ま行め

 眼
 着手禁止点が二つ以上あると、その石は取られない。この場合の着手禁止点を眼と云う。「眼
形(めがたち、がんけい)が豊か」とは、眼が作りやすい形のこと、「眼形が乏しい」とは眼が作り
にくい形のことを云う。

 眼あり眼なしは唐(カラ)の攻め合い(Eyes win semiais)
 (攻め合いは眼ありが有利)
 眼のある石とない石の攻め合いは、眼がある方が有利となる。下図では黒1のオキから攻め
、3から5と眼を確保すれば黒の攻め合い勝ちとなる。但し、ダメの数が多ければ、眼のない方
が勝つときもある(「眼あり眼なしも時によりけり」)。
 眼あり眼なしも時によりけり(眼ありでも手数がなければ攻め合い負け)

 眼あり眼なしの攻め合い(めありめなしのせめあい)(mearimenashi)(one eye versus no eye)
 絡み合った攻め合いの場合で片方が眼を持っている状況。むろん眼を持っている方が強い。攻め合いの関係にある2つの石の、一方には眼があり、もう一方には眼がない状態を指す言葉。眼がある方に攻め合いが有利になることが多い。次の図は、ダメの数が黒白共に2つずつだが、この形は黒から打っても攻め合いは勝てずセキにもならない。

 目作りより中央志向

 目の一つだになきぞ かなしき

 名人の定石知らず(名人に定石なし)(A meijin needs no joseki.)  

 ま行も

 目算
 目算(もくさん)も囲碁用語が世間用語になった言葉の一つで囲碁用語が語源である。  

 目算は、一般的な慣用表現では、見込みとかもくろみ、あるいは計画を立てることといった広い意味で使うが、囲碁では序盤、中盤、終盤にかけて自分と相手に見込まれる地の数を数えることを云う。正確に地が計算できるかどうかはほぼ棋力に比例する。目算の目的は形勢判断をすることで、双方の確定地を数字で把握すると共に、それ以外の要素(将来的な地の可能性や双方の石の強弱など)を総合的に加味して判断し、作戦を立てることになる。目算が狂うと計画(戦略)の大幅な見直しが必要になることは囲碁もビジネスも変わりない。

 目ハズシ(もくはずし、または目外し)(mokuhazushi)(the five-three point)
 碁盤上の位置を指す言葉。碁盤の隅から数えて(3,5)または(5,3)の地点。布石の極めて初期の段階で、隅の着点として打たれることが多い。

 図の黒1の位置を目ハズシと呼ぶ。一つの隅に目ハズシに該当する位置は1とaの2箇所あり、盤上の他の石の配置によって戦略上異なる意味を持つ。


 モタレて攻めよ(もたれ攻め)(モタレ戦法)()()
 白4までの石を直接追うのではなく、黒5から7と近くの石に「モタレて」打つ攻め方。この後、白aなら黒b、白c、黒dと運んで、上辺で利得を収める。

 もったいないが負けのもと 

 模様
 まだ地として確定していないが、地になりそうな勢力圏のことを言う。
 模様の消しはカタツキから
(o reduce an opponent's large prospective territory, strike at the shoulder)
 模様の接点を探す
 模様の接点逃がすべからず


 や行や

 八百長(囲碁用語が語源)
  明治時代に八百屋の長兵衛さんという人がいて、皆から「八百長」と呼ばれていた。彼には伊勢ノ海五太夫という囲碁仲間がおり、本当は長兵衛さんの方が強かったのだが、八百屋の品物を買ってほしいので、ときどきわざと負けて機嫌をとっていた。ところがあるとき、本因坊秀元という強い碁打ちと互角の勝負をしたことで、長兵衛さんが本当は強いということが皆にばれてしまった……という故事に由来する。これより、強い人がご機嫌取りのために気づかれないようにうまく負けることを「八百長」というようになった。

 焼けくそ

 やたらに打ち欠くな    

 屋根重ね屋上屋を重ねる

 や行ゆ

 ゆずってならない模様の争点

 油断大敵
 油断大敵、火がボウボウ

 ユルミシチョウ()(yurumishicho)(loose ladder)
 相手の石を追いかけて捕まえる手筋のひとつ。シチョウの場合には、取られようとしている石をアタリの連続で盤端まで追いつめるのに対し、ユルミシチョウは一つダメがあいた状態で追いかける。このため追いかける側に、両アタリなどの断点が生じない形でなければならない。「ダメアキシチョウ」と呼ぶこともある。
 小目一間高ガカリ定石の一形。黒1に切られたとき、白が3の点に抱えるのではシチョウアタリがあってうまくいかない。白2にカケれば、符号順に追いかけて切ってきた石を捕獲できる。たとえば白6で7の方から追いかけると、断点が生じて捕まえられなくなる。

 緩み褌(ゆるみふんどし)(ユルフン)

 や行よ

 様子をきくのは高級手段

 欲かき童子
 欲ボケ童子
 欲股が裂ける

 四隅を取られてその碁に勝てず
 (If you have lost four corners, resign)
 (If you lose all four corners, resign)
 四隅取られて碁を打つな
 四筋から三筋へのヒラキは中三間

 ヨセのサガリは使用注意
 ヨセは味より大きさで
 ヨセは上手を真似ろ
 寄せは両先手、片先手、後手の順

 ヨセコウ(寄せ劫)(yosekou)(an approach-move ko)
 コウの場合で、一方は相手の石をすぐに取れるのに、他方は相手のコウ立てに手を抜き、ダメを詰めていかざるを得ず、本コウにするのに2手以上かかるコウのこと。
 次の図では黒はコウの解消に2手かかり、こういったヨセコウを黒の「一手ヨセコウ」と呼ぶ。どちらからも1手で解消できるコウは「本コウ」と呼ぶ。

 弱石は割いて攻めよ
 (When your opponent has two weak groups, attack them both at once)
(Attack two weak groups simultaneously)
 弱い石にツケるべからず
 弱った魚は目で分かる

 四線は勝線、二線は敗線
 四線はハエ
(The 3rd line is for territory, the 4th for influence)

 四目中手()()()

 四目にして石の下

 ら行ら

 ラッパツギ(らっぱつぎ) ()()
 二カ所に対して同時にカケツギになるような打ち方
 ラッパのツギも時による  
 ラッバツギはほどほどに

 ら行り

 理詰めより重詰め

 両アタリ()(ryoatari)(double atari) 
 2つの別々の石が同時にアタリになっている状態、もしくはそのいう状態にする手のこと。一度にアタリを2箇所つくるような手のこと。ひとつ逃げてももうひとつは取られる。

 両ガカリ()(ryougakari)(double approach move)
 序盤で相手の隅付近の第一手に対して、両側からかかって打つこと。
 両ガカリ、強いほうにツケよ
 両ガケくって碁に負ける
 ひとつの辺で黒2、4、黒6、8とカケられるのが両ガケ。こんな低位な石が重複しては碁は負けてしまう。 これを避けるには、白1の手で6とするか、どうしてもカカりたい場合は2などの高いカカリをするのが良い。
両ガケの例

 両ガラミ()(ryogarami)()
 序盤で相手の隅付近の第一手に対して、両側からかかって打つこと。

 両キリのまえにキカセ

 両ケイマ逃すべからず

 両コウ3年のわずらい(両コウ三年柿八年)

 両先手逃すべからず(譲るべからず) 

 両取りを見る三本ノビ
 両ノゾキはダメヅマリに注意
 両バネ利いて一手のび(両バネ一手ノビ)(二線に3つ這った石は両バネで4手になる)
 両翼
 隅の星や小目、シマリから二辺に展開した形のことを言う。

 ら行る

 ワタリ8目、大ザル9目
 類型は隅が勝る  

 ら行れ

 連絡はタケフで

 ら行ろ

 六死八生(活)、四死六生(活)が死活の基本(六死八生七肩下り)
 六死八活
 六死八生とは辺の第二線の石は六本這っただけでは死に、八本這っていれば生きているということ。四死六生とは隅の第二線の石は四本這っただけでは死に、六本這っていれば生きているということ。辺の第3線は四死六生。隅の第3線は5本で活き。板六は活き。隅の板六はダメ次第。クシ形は活。隅のクシ形はダメ次第。してみればこう覚えるべきかもしれない。「辺の六死八生、隅の四死六生、死活の基本」。
 二線に並んだ石の死活は、6個以下なら「死」、8個以上なら「生き」になるという意味の言葉。次の図のように7個ならどちらの手番かによって決まる。碁盤の端2線目に六個並んだ石は死ぬが八個並んだ石は生きる。八個並んでいれば、攻められてもまっすぐ4目残せるからである。7つの場合は自分の手番であれば生き、相手の手番なら死ぬ。なお、碁盤の隅なら四死六生になる。
 死に形           生き形
 ┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐ ┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
 ├┼○●●●●●●○┼┼┤ ├┼○●●●●●●●●○┤
 ├┼┼○○○○○○┼┼┼┤ ├┼┼○○○○○○○○┼┤
 ├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤ ├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤

 わ行わ

 分からない時は手を抜け

 ワタリ()(watari)(connect、bridge under)
 分断されている石を、辺の低いところの一から三線に打って繋げる潜り手のことを言う。これを動詞で「ワタ(渡)る」と表現する。中央に打って連絡する手はワタリとは呼ばない。ワタリは自分の石の安全を確保する重要な手段であるが、時にただ連絡するだけで地がつかず、働きのないワタり方を「貧乏ワタリ」などと称することがある。
 図のように盤端から連絡する手をワタリと云う。  黒1もワタリで▲の石と連絡する。
 黒1またはaにコスむのが手筋で、左右の黒が連絡する。bのケイマではaまたは1にツケられてワタれないことに注意。  黒1のアテコミが手筋で、白2のキリなら黒3にサガって全体が連絡できる。
 黒1のケイマが味のよい連絡の手筋。白aならbにハネてワタっている。黒1でcに打つと、白aに切られて手が生じる。  小目一間高ガカリ定石。黒1のツケから黒3にツギ、ここに石が来たことで黒5のワタリが成立する。続いて白がaにハネ出してきても、bのキリでこの石を取れる。

 白1と第二線で連絡しています。これを「ワタリ」と云う。
 黒2と出てきたとき、白3と第一線で連絡するのもワタリである。
 白1とマガると、黒2とオサエられて、白3には黒4と打たれ白は連絡することができない。
 ワタリ8目、大ザル9目
 ワタる世間に悪手なし 

 割り打ち()(wariuchi)(a splitting move)
 相手の勢力圏で大きな模様ができるのを阻止する為に主に三線に打つ手で、両側に二間ビラキができる余裕のある地点へ打つ手のことを言う。
 割り打ちにお供するな

 割り込み()(warikomi)(wedge、wedge into one-point jump)
 一間空けた相手の2つの石の間に打つ手のこと。 相手の石の間に打つような手。石をもって(イッケンを)間てる。
 白D4が割り込み。

 割りツギ()
 割り込んで、相手にアタリにされ、ツナぐ割り込みとツギの二手セットの手のことを言う。

 悪あがき




(私論.私見)