囲碁手筋用語篇1(アカ行)

 更新日/2020(平成31、5.1栄和改元/栄和2).11.3日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、囲碁用語と囲碁諺(アカ行)を確認する。ウィキペディア囲碁用語」、「囲碁事典」、「囲碁用語集」、「日中囲碁用語辞典」、「パンダネットの囲碁用語英訳集」、「囲碁用語和英辞書」、「囲碁用語集」、「Go Terms」等を参照する。

 2015.01.17日再編集


 あ行あ

 相碁もあれば井目(せいもく)の碁もある

 相手
 相手の石をこちらの厚みに誘い込め(相手の石を我が厚みに誘い込め)
 相手の急所は我が急所(相手の急所は味方の急所)
 相手の進出、ボウシで止めよ

 アオリ(あおり)
 相手の石の脱出進路を妨害せずに、むしろ催促する方法。模様を広げる時などに使用する。

 アキ三々に手あり

 アキ三角(あきさんかく)(akisankaku)(empty triangle)
 四つ団子の一つが欠け3つの石が団子になっている形で、一子余計な石がある為にその分の働きがない愚形とされている。但し、欠けているところに相手の石があれば良い形でアキ三角とは言わない。
 下図の黒の形がアキ三角である。黒○という不急の1手を打った形になっている。
アキ三角

 アキ三角(陣笠)は愚形の見本
 (Don't make empty triangles)(Empty triangles are bad.)
 アキ三角は作るな

 悪力(あくりき)

 「筋は悪いが読みの力の強い碁。妙なところで力を出す碁」を云う。典型的な実戦派を表現する言葉。

 悪手が悪手を呼ぶ

 アゴ(あご)(ago)()
 相手のコスんだ石からさらにコスめる位置で、相手のコスんだ石の最初の石と同一線上に単独の1子を打つこと。眼形の急所である。

 浅く消すにはカタツキ・ボウシ

 味
 味消し

 アタリ(当たり)(ate、atari)(ate、atari)、アテ(当て)
 相手が手を抜けば後1手で相手の石を取ることができる状態、もしくはそういう状態にする手のこと。将棋の「王手」みたいなもの。ただし、口にだして「アタリ」といわなくてもいい。
 (Atari, atari is vulgar play)
 下図の黒石はすべてアタリになっている。

 やたらに次々とアタリをかけるのは味を消したり相手を強化させるだけで得にはならない。(本句は「切り違い一方伸びよ」の対句である)
 上図左のように、白1から3などと次々にアタリをかけるのは黒の外勢を強化するお手伝いになってしまう。右のように単に白1とハネ、白3と進出する方が好形である。

 アタリ、アタリのヘボ碁かな(アタリアタリはヘボ碁の見本)
 アタリ先手は媚薬
 アタリは最後まで打つな
 (Keep inessential ataris till the end.)
 あたり前だの英五郎

 厚み()()
 外勢、壁とも云う。周囲へ威力を発揮している姿である。
 厚い碁はコウ自慢
 厚みに追いやれ(厚味から追うな、厚味へ追え)
 厚み地にするべからず(厚みを地にするな)
 厚みを囲うな
 (Don't make territory near thickness)
 厚みに近よるな
 (Keep away from thickness)。
 これは相手の厚みに対しても、自分の厚みに対しても言っている。

 アテコミ()(atekomi)(atekomi)
 相手の石が斜めに並んでいる(コスんだ形)とき、その両方に接触させるように打って次の切断を狙う手のこと。動詞では「アテコむ」となる。「ガチャン」とも。
 黒1がアテコミの例で、次にaの点にキリを狙う。  黒1のアテコミで左右が連絡する。白aなら黒bでワタリ、白bなら黒aでこの石を取れる。 

 アテコミの例

 第61期NHK杯テレビ囲碁トーナメント1回戦、鶴山淳志‐藤井秀哉戦。対局も終盤というところで、212手目に藤井が打った白1のアテコミが妙手。黒は2とつなぐよりないが、白3、黒4、白5、黒6、白7とワタり、隅に大きな白地ができる。

 アテツケ()()()
 黒1がアテツケ。アテコミと類似するが、自分の石から離れた場所に単独で打つニュアンスの言葉。これにより、種石である△白2子が落ちる。

 後の祭り

 荒らし(、、)、荒らす(arasu、lay waste to、wrest)

 上図のように、黒陣に白1と打ち込み以下9までと運べば、黒模様であった場所が白地に変わってしまい、荒らし成功となる。なお、相手が模様を張ってきた場合、「多少囲わせても最終的には勝てる」と判断するのであれば、模様の境界線付近に打って規模を削減するような打ち方もある。これは、「荒らし」ではなく消し(けし)と呼ばれる。

 荒らし合い(、、)、

 争碁に名局なし

 あれぇーっと絹を裂くような乙女の悲鳴

 慌(あわ)てる乞食は貰いが少ない

 あ行い

 石の下()(ishinoshita)(under the stones)

 意図的に相手に石を取らせて空いた交点の急所に着手することで石を取る手筋のこと。実戦に現れることは稀で、詰碁の死活の問題で現れることが多い。


 行き掛けの駄賃
 行きはよいよい帰りは怖い
 行け行けドンドン

 生きている石から動くな
 生きている石の近くは小さい(苑田流格言)

 囲碁十訣

 石()()()
 石音の反対に打て
 石取って碁に負ける(石取ってその碁に勝たず)
 (Win the stones, lose the game)
 石飛んでその碁に勝たず
 石の効率「手割り」で考えよ
 石の余力を忘れるな
 石はからんで攻めよ
 石を裂く

 医者の手余(あま)り

 イタチの腹づけ()(itachinoharaduke)()

 板六(いたろく)()()
 上図が板六の形である。黒は6目の地を縦横直線で囲んでいる。これで生きている。
 但し、「隅の板六」はダメヅマリになると手入れが必要になる。櫛六との形の違いを踏まえる
必要がある。
 板六の活き
 板のシメツケ避けるべし

 一局打てば百年の知己

 一線トンで綱渡り
 (Don't overlook the edge of the board)
 一線に妙手あり
 一線にワタリあり

 一にアキ隅、二にシマリ、三にヒラキ(大場)とカカリ
 (一隅、二辺、三中央、今もすたらぬ一・三・五)  
 (Corner, side, centre.)
 一に手抜き二に手抜き、三、四がなくて五も手抜き(アマ強豪で知られる西村修・氏の傑作囲碁格言)

 一手寄せ劫()(itteyoseko)(two step ko)

 一合マス()(ichigoumasu)(carpenter's square)
 隅の応接で、文字通り一合の量を量れる枡程度の大きさの四角い形のスペースができる場合がある。このことから名付けられた。
 白から打ち、双方正しく打てばコウになる(格言:一合マスはコウと知れ)が、ハネがあったりダメが空いていたりすると事情が変わる。このため小さなスペースでありながらバリエーションが多く、実戦で出てくるとアマチュア高段者でも正しく対応するのは難しい。
 一合マスはコウと知れ  
 一合枡わかれば五段格

 一間()(ikken)(one-space) 
 既着のある石から一路あけて縦横に打った形のことを云う。
 一間シマリ()(ikkenshimari)(one-space corner enclosure)
 

 一間高ガカリ()(ikkentakagakari)()
 相手の石に対して一路あけた同線上に打つカカリ手のこと。

 一間トビ()(ikkentobi)(one-space jump) 
 石と石の間を1つスペースを空けて真っ直ぐに跳ぶこと。単に「トビ」とも言う。

 白△の石から白1と中央に向かって1間に飛ぶのを一間トビと云う。

 白△の石から白1と2間に飛ぶのを二間トビと云う。
 一間トビに悪手なし
(The one-point jump is rarely bad)

 一間バサミ()(ikkenbasami)(one space pincer)

 一間ビラキ()(ikkenbiraki)(one-space extension)
 石と石の間を1つ開けてヒラくこと。主に地を囲ったり、生きるためのスペースを広げるときに打つ手です。石と石の間がせまいのであまり地を囲うことには向いていません。しかし相手の陣地の中や、相手の勢力が強いところでは、2間ビラキよりも丈夫な1間ビラキの方が攻められにくくなる。

 一方石に死になし
 一方碁は危険なり
 一方地に勝ちなし
 一方地を囲うな
 一方高ければ、一方低く(一方高く、一方低く)

 一日の長(いちじつのちょう)

 論語の「吾一日長乎爾、亟吾以也」(吾一日爾より長ずるを以て、吾を以てすることなかれ)(われいちにちなんじよりちょうずるをもって、われをもってすることなかれ)が由来。解釈は「私が君たちより少し年上だからと言って遠慮してはいけない」。これより発し、意味は、一日早く生まれた少し年長であること。転じて、ほんの少し経験、技能などが比べられる人よりも優れていることを云う。これを謙遜していう語。 「芸において彼に一日の長あり」。


 犬の顔(いぬのかお)(inunokao)(dog's face)
 1間にトンだ形からケイマに打つ形。
猫の顔 犬の顔 馬の顔
キリンの顔
 猫の顔・犬の顔は凝形、石の働きに乏しく戦いに遅れます。馬の顔・キリンの顔は働いた石の形です。

 犬が西向きゃ尾は東

 今もすたらぬ一、三、五

 一目置く
 1モク這えば10目の損

 岩より硬い梅鉢型
梅鉢
 梅鉢(うめばち)は好形のひとつ。ポン抜きの取り跡をツイだ形のこと。下図の黒のこと。 ただし余計な石がくっついていたりすると愚形になる。

 あ行う

 浮き石をつくるな
 浮き沈み

 受け()(uke)(respond)、受ける() 
 相手の手に対し、その構想、目的を受け入れる形で対応する着手を云う。

 (いきなり行かず)受けねば次行くぞの手に良い手多し
 

 薄み()()()
 石の連絡が悪い欠点、弱点の箇所を指して云う。

 ウチカキ()(uchikaki)()
 そこに打つことにより相手を[カケメ]にしてしまうこと。相手の石を欠け眼にする目的で打たれるホウリコミのこと。捨て石で味方の急を救う。カケメ、ダメズマリの筋。ウッテガエシ、ホウリコミでオイオトシ(ばたばた)を狙う。

 打ち込み()(uchikomi)(invasion)
 相手の地を減らすために、相手の陣地や模様の中に飛び込んで行く侵略手のこと。

 打ち出しはザルといえども小目なり

 うっかりするなシッポ抜け

 打って返し()(uttegaeshi)(snapback)
 放り込んで一子を取らせ、再度同じところに打って相手の石を取る一連の手順のこと。「えびで鯛を釣る」仕掛けになっている。黒1と打つと、白2で取られてしまうが、白の取った形がアタリになっているので、次に黒○と打つことで、白石3個を取ることができる。
白石aの上とbの上、どちらからアタリにしますか?
ここが、ウッテガエシのポイントですね。

 打つ手打つ手がダメばかり
 打つ前に一呼吸

 内ダメ ()()()
 攻め合いの関係になっている2つの石の共通のダメのこと。次の図の[A]のダメ。[B]のダメのことは外ダメと呼ぶ。

 内ヅケ ()(uchiduke)()

 宇宙の錐(きり、スイ)は、いずれその鋭鋒をあらわす

 馬の顔(うまのかお)(umanokao)(horse's face)
 1間にトンだ形からオオゲイマに打つ形。


黒1が馬の顔。
黒aは犬の顔。
黒bは猫の顔。
 馬面は形が悪い

 梅鉢(うめばち)(umebachi)()
┬┬┬┬┬┬┬┬┐
┼┼┼┼┼┼●┼┤
┼┼┼┼○●●●┤
┼●┼┼┼○●○┤
┼┼┼┼○┼○┼┤
┼┼┼┼┼┼┼┼┤
┼┼┼┼┼┼┼┼┤
┼┼┼┼┼┼┼┼┤
┼┼┼┼┼┼┼┼┤
 上図のようにポン抜いた後につないだ形のこと。黒はだんご石のようになって一見、悪い形のように見えるが意外と堅く勝率が高いため、梅鉢に負けなしと云われる。
 梅鉢に負けなし

 売られた喧嘩を買う

 あ行え

 えぇてぃ元年(「えぇてぃ」を「良い手」に掛けている)

 エグリボディー(「エブリ」を「えぐる」に掛けている)

 枝葉を攻めるな

 えらい目におうた道灌(「おうた」を史上の「太田道灌」に掛けている)

 あ行お

 オイオトシ(追い落とし)(oiotoshi)(connect and die)
 連続でアタリとして相手の石を取る一連の手順のこと。 ツグ手を打っても引き続きアタリになり、取られてしまう状態をいう。別名をトントン、ツギオトシ、バタバタとも。

 追うはケイマ、逃げるは一間

 おえんか白金バリウム(「おえんか」を「おえん」と化学の「塩化」に掛けている)

 大石死せず
 大模様は肩から消せ(大模様の消しは肩をつけ)
 大模様は浅く消せ
 大きく捨ててシメツケる
 大きく攻めよ
 大碁(おおご)の小碁(こご)
 大ザル8目
 大中、小中(おおなかこなか、中手同士の攻め合いは大ナカの勝ち)
 大場より急場

 オオゲイマ()(oogeima)(large knight's move)
 自分の石から縦と横に1路と3路(3路と1路)離れた場所に跳ぶ手、またはその場所のこと。 ケイマよりひとつ遠い位置のこと。下図。軽逃げは大ゲイマ。


 大ゲイマガカり() (ohgeimagakari)()

 大ゲイマシマリ() (oogeimashimari)(large knight's corner enclosure)

 大高目()(ohtakamoku)()

 大ザル()(ohzaru)(large monkey jump)
 2線から1線に大ゲイマにすべる手のこと。大ゲイマではなくケイマにすべる手は「小ザル」と呼ぶ。「大ザル8目」。

 大中小中()(ohnakakonaka)()
 中手同士の攻め合いは大ナカの勝ち。

 大ナダレ()(ohnadare)(large avalanche Top)

 大高目()()()
 碁盤上の位置を指す言葉。高高目とも呼ぶ。碁盤の隅から数えて(4,6)または(6,4)の地点。布石の段階で隅の着点としてまれに打たれる。小目へのカカリを受けての大型で複雑な変化を含む。
 隅の黒1またはaの地点を大高目と呼ぶ。一つの隅に大高目に該当する位置は2箇所あるが、どちらに打つのも同じ意味である。ただし盤上の他の石の配置によって、戦略上異なる意味を持つ。

 大場()()()
 打てば価値の大きい地点云う。

 大目ハズシ(おおもくはずし、または大目外し)()()
 碁盤上の位置を指す言葉。碁盤の隅から数えて(3,6)または(6,3)の地点。 布石のバランスを取るために稀に打たれるが、 空き隅へ単独で打たれることは滅多にない。
 隅の黒1またはaの地点を大目ハズシと呼ぶ。一つの隅に大目ハズシに該当する位置は2箇所あるが、どちらに打つのも同じ意味である。ただし盤上の他の石の配置によっては、戦略上異なる意味を持つ。

 岡(傍)目八目

 屋上屋を重ねる(屋根重ね)

 オサエ(押え)(osae)(block)
 石が接触している箇所で、相手の進路を止める手のこと。 相手の石がノビルのを防止するような手。進出を封じる。守り。上から頭を下へ按える。マゲてオサエコム。封鎖。形式としてはハネの形になるもの、マガリの形になるものなどが含まれ、きちんとした定義は難しい。二段オサエ(ハネ)。

 黒1を押えと云う。

 白1もオサエ。黒2ハネに白3もオサエ。

 オシ(押し)()()
 相手の石に押しつけるように沿って打つ手のことを云う。相手を圧迫する効果がある。下図の白1と打つのがオシ。オサれると黒は2と受けることになる。
 相手の石にノビを促すような手。

 オシツブシ(押し潰し)()()
 相手の二団以上の石を同時にアタリにし、二眼を確保する手段。文字通り相手を押しつぶすイメージであることからつけられた。着手禁止点を利用して生きる手筋である。
 上右図の黒1が「オシツブシ」の手筋。白はルール上aの点にツグことができず、いずれ黒がaに打って白2子を同時に抜き、二眼を確保して生きとなる。

 例

 問題図  白が生きるには白1ホウリコミしかない。黒2と取ったら、白3とオシツブシて生きとなる。aのダメが詰まっていると、白3に打てずコウとなる。

 お互いに秘術を尽くして、負けよう、負けようと努力している()

 お尻かじり虫

 重くして攻めよ

 温泉気分、温泉に入る。


 か行か

 外勢
 隅に対して中央方向の外側に対して利いている勢力のことを云う。厚みとも云う。
 外勢と実利(実利と外勢)は竜虎の戦い

 界に入りては、よろしく緩なるべし(入界緩宜)

 カカエ(抱え(kakae)(clutch)
 抱きかかえるような形で相手の石にアタリをして(ほぼ)逃げれない形にする手のこと。
 カカエとは相手の石を抱きかかえる手のこと。黒1のキリに対して白2とアタリにするのがカカエ。

 黒3とキリ、白4と一目取らせた後、黒5と打つのも二目をカカエた手である。

 黒▲の一目を取るため、白1とハネます。黒は2とキルよりなく白3とカカエて取ります。

 カカリ()(kakari)(approach move)
 主として隅の相手の石に辺の方から仕掛けていく手のこと。一間・二間・三間・ケイマ・大ゲイマ・大大ゲイマあたりをそう呼ぶことが多い。相手の単独でスミにある石の付近に打ち、攻撃するような手。
 カカリに応ずるが最良の策
 カカリは広いほうから

 鶴翼()(kakuyoku)()
 鶴翼の陣

 カケ()(kake)()
 カケは囲碁用語の一つで、相手の石に接触せず、高い位置(上)から被せるように打って封鎖を図る、あるいは相手を低位に圧迫するような手のこと。動詞では「カケる」となる。
 黒1が「カケ」の一例である。  aにカケるのを「ケイマガケ」、bにカケるのを「大斜ガケ」と称する。

 例
 黒1のカケで下辺の黒模様拡大を目指す。  黒1のような手は「ゲタにカケる」と表現する。

 カケツギ()(kaketsugi)(diagonal connection、open connection, hanging connection)
 ナナメに並んでいる石をツグこと。「キリ」を防ぐための手です。下の形がカケツギです。カタツギより1路ずらした場所に打ちます。
 カケツギにはノゾキあり(カケツギはノゾキ注意)

 欠け眼()(kakeme)(false eye)
 最終的につがないと石が取られてしまう形にされていて、一見眼に見えるが眼ではない所のこと。

 カス石は捨てよ(カス石逃げるべからず)

 ()(katachi)(shape)
 眼を作りやすい、相手の攻撃を受けにくい、相手を封鎖しやすいなど何らかのメリットがある、部分的に定まった打ち方のことを指す。「ここはこう打つのが形」、「形を整えて反撃を狙う」といったように用いられる。逆に、石の働きが重複して能率が悪い形などを「悪形」、「愚形」などと表現する。「形」に従って打つことは絶対ではなく、愚形の妙手というものも存在するが、ある程度の形を身につけることは上達に重要である。
 黒1とサガると、白2スベリから4のツキアタリを利かされ、眼形を奪われる。  黒1とカケツイでおけば眼形に不安はなく、後を強く戦える。この場合「黒1のカケツギが形」などと表現される。

 ()(kata)(shoulder)
 相手の石の斜め上の地点を云う。

 肩ツキ()(katatsuki)(shoulder hit)
 相手の肩のところへ打つ手を指す。文字通り、相手の石の「肩」を上方から衝く手段で、「カタツキ」とカタカナで表記されることも多い。動詞では「肩をつく」と表現される。肩ツキは、相手の模様を消す手段としてよく用いられる。
 黒1が肩ツキの一例である。  肩ツキという術語は、相手の石より上の位置に打つ場合を指す。下図のように低位に打つ場合は、「カド」という言葉が使われる。

 例

 図のような局面では、白aあたりに囲われると手のつけにくい大模様が完成する。その前に、黒1の肩ツキによる消しが絶好となる。黒5までと軽く逃げ出して、この石はそう厳しい攻めを受けない。

 カタツギ(堅ツギ)(katatsugi)(solid connection)

 固い方にツケよ
 (If you plan to live inside enemy territory, play directly against his stones.)

 勝ち碁を勝ち切るむずかしさ  
 勝ち碁を落とす。負け碁を拾う
 カッタカッタ(勝った勝った)とゲタの音
 勝って奢(おご)らず、負けて腐らず
 勝てば官軍

 カド()(kado)()
 肩ツキが相手の石より上の位置に打つ場合を指すのに対し、図のように低位に打つ場合は「カド」という言葉が使われる。

 要(かなめ)石捨てるべからず、カス石逃げるべからず  

 金持ち喧嘩(けんか)せず

 カミトリ()()()
 相手の石1子を抱える手のこと。

 亀の甲(かめのこう)(kamenoko)(tortoise shell)
 最短手数で、敵の二子を抜いた後の形。
 亀の甲羅60目(亀の甲60目)
 (Tortoise shell is worth 60 points)

 カラんで攻めよ(カラミ、モタレは攻めの基本)
 カラミ攻めは凌ぎにくい

 軽逃げは大ゲイマ

 勘定あって銭足らず

 観音開き()(kannonbiraki)(butterfly formation)
 仏壇の戸を左右に開くように星から両翼へ大ゲイマにヒラいた形。
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼●┼┼┼┼┼┼┼●┼┼┼┼┤
├┼┼●┼┼┼┼┼・┼┼┼┼┼●ハロ┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼イ┼┤
├┼●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
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├┼┼・┼┼┼┼┼・┼┼┼┼┼・┼┼┤
コゲイマにしまって、何らかの都合で確定地にするには、右辺のイ、ロ、ハの何れかを周りの配石との関係で決める。左辺は欲張って囲った俗に言う「観音開き(小ゲイマ型)」で、白から手段があるので却って地になりにくい。
 観音開きは悪(愚)形

 歓迎!三々入り

 か行き

 キカシ(利かし)(kikashi)(forcing move)
 相手が無視できないような手を打って相手に受けを強要させる着手を云う。
 キカシと味消しは紙一重(利かしと悪手は紙一重)
 キカシた石は捨てよ、利かした石は惜しむな
 利き筋は後まで残せ

 雉(きじ)も鳴かずば撃たれまい

 傷があっては戦ができぬ
 (解説) 「腹が減っては戦ができぬ」の代え囲碁諺

 橘中の楽しみ

 キツネその尾を濡らす

 昨日の淵は今日の瀬
 (解説) 「古今集」雑下の「世の中は 何か常なる 飛鳥(あすか)川 昨日の淵ぞ 今日は瀬になる」から。「昨日の花は今日の夢」に同じで、世の中はつねに動いていて、同じ状態が続くことはないのだという無常感を表現している。

 君死に給うことなかれ

 肝っ玉が据わる

 急場
 差し迫ってすぐに対処しなければならない局面の場所の状況をいう。
 急場を知れ

 兄弟ゲンカ、兄弟ゲンカは身の破滅

 今日の蛤(ハマグリ)は重い
 王座戦のトーナメントの一回戦、梶原武雄七段37歳-橋本昌二九段25歳対局の時の梶原の言葉)

 逆寄せ()() 
 相手から打てば先手の所を、反対に自分の方から打ってよせること。先手で打たれることは大きいので、それを防いだ逆ヨセは、単なる後手のヨセと比較して倍ほど価値が大きい。

 逆襲院(「学習院」のもじり)

 キリ(切り、断)(kiri)(cut) 
 相手の石を切断し二つにする手を云い、相手のナナメに並んでいる石の間に打って、相手の石を分断する。「碁は断(キリ)に在り」(細川千仭)、「キリチガイ一方をノビよ」。
 白1と打った手を「キリ」といいます。黒▲と右側の黒三目を切り離している。
 切れるところは切れ
 キリあらばキルべし
 キリ一本(切り一本が勝負の鍵 )
 キリのあるところをノゾくな(切れるところはノゾくな)

 切った方を取れ
 二線にキリが二つ入りうる形の場合、相手がキってきたらそれを素直に取っておくべき。下左図、黒1のキリに対しては白2 - 4と一目を取って不満はない。右のように白2とツイで頑張っても眼形がなく、よい結果にならない。
 (Capture what you cut off.)
 切っても血が出ない

 キリチガイ(切り違え)(kirichigae)(cross cut) 
 ハネられたときに切った場合で、お互いがキリ合っている形を云う。

 キリチガイ一方をノビよ  
 相手にキリチガイを打たれた場合、一方の石をノビて強化しておくのがよい。多くは弱い石を、味方に連絡させるようにノビるとよい。下図、白1のキリチガイには黒2とノビて対応する。(本句は「アタリ、アタリのヘボ碁かな(アタリアタリはヘボ碁の見本)」の対句である。)
 (Extend one hand from the cross-cut.)

 キリンの顔()()()
 
キリンの顔

 キリンの首()()()
 

 近所コウが多すぎる(と危険)

 か行く

 愚形(ぐけい)()(stupid shape)
 好形と逆に、石の働きが重複して石の効率が悪い姿になっている形を「愚形」と呼ぶ。本来広く展開できる石が不必要に固まっている状態などを呼ぶ。愚形の形を作ってしまうと、地が囲いにくくなったり、石を取られやすくなるなど、良くないことばかりとなる。下図ではここではD2よりC2が良い。
 愚形の妙手

 腐った魚は目で分かる

 クシ六
 上図の形を「クシ六」と云う。黒先でも白生き
 クシ形は生き(クシ六は生きなり)
 (The comb formation is alive)

 グズミ()(guzumi)(good empty triangle)

 黒1のような手がグズミ。「自らアキ三角を作りに行く形」と表現される。本来この手は自らアキ三角を作る手のため悪手に見えるが場合の手として打たれる。

 グズミの巧手

 靴底(「屈辱」のもじり)

 国破れて山河あり

 車の後押し()(kurumanoatooshi)(pushing from behind)
 相手に遅れながら押していくこと。場合しだいだが、良くない事が多いとされている。
 車のあと押しヘボ碁の見本
 相手の石を必要以上にオシていくのは、敵を一歩先に進出させ、強化させるのでよくないという教え。下図のような状態を指す。

 玄人、素人、上手、下手(囲碁用語が語源)

 か行け

 形勢不利なら勝負手探せ

 ケイマ桂馬)(keima)(knight's move)
 将棋の桂馬の動きと同じ形で、自分の石から2つ進んで右か左の場所に打つことを云う。自分の石から縦と横に1路と2路(2路と1路)離れた場所に跳ぶ手、またはその場所のこと。大ゲイマなどとの区別をはっきりさせるため、「小ゲイマ」という言葉が使われる時もある。
桂馬
 上の図の黒の形が桂馬です。
 ケイマにコスミ

 桂馬ガケ()(keimagake)()

 桂馬ツギ()(keimatsugi)()

 ケイマの急所

 ケイマの突き出し悪(俗)手の見本
 ケイマに対して出て行く手は相手を連絡させて安心させてしまう悪手となりやすい。下図黒1のような手。
ツキダシの悪手  ケイマの突出し。(俗筋)014_20140212224702914.jpg

 ケイマにツケコシ切るべからず
 ケイマの形の石に対しては、ツケコシに打つのが急所となる。下図黒1。
 (Strike at the waist of the knight's move)
 ケイマのツケコシ(手筋)
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 ケイマの突き抜け
 ケイマになっているところを突き抜けた形。突き抜けを許した方が悪い。

 消し()()()
 相手の地を削減する目的で、相手の勢力圏に深く入らず、浅く侵入して地を手、その手段を云
う。
 消しは肩ツキ(消しは肩から)ケイマにツケコシ

 ゲタ(門)(geta)(net)
 キリコミ状態になっている相手の石を取るテクニックのひとつで、相手の石に直接触れずに一路又は二路控えたところで待ち受ける手筋のことを云う。
シチョウに行かず、ゲタにする事で白bの働きもなくなります。

 結局

 けんか小目()()()

 賢愚このなかに老ゆ

 か行こ

 碁打(ごう)ちに時なし
 碁打ちは親の死に目に会えず
 碁で負けた恨みを将棋で晴らす
 碁なりせばコウを立てても活くべきを、死ぬるばかりは手もなかりけり
 碁に勝って勝負に負ける 
 碁に負けてもコウに負けるな
 碁の力は局面評価能力と読みの力
 碁は考えて打つものだが二手続けて考えるのはいただけん
 碁はバランスにあり
 碁は断にあり
 碁は封鎖にあり
 碁を打つより田を打て

 コウ(劫)(kou)(ko)、コウ立て
 お互いの石がアタリになっており、取れば取り返しで無限に続く形のところ、その手段を云う。お互いが譲らなければいつまで経っても対局が終わらないので囲碁ルールで同型反復禁止としており、一度他の場所に打ってからでないと取り返すことができない。コウを取り返すために相手が受けそうなところ、相手が受けなければ二手連打することでソロバンが合いそうなところへ打つ手のことを「コウ立て」と云う。コウは漢字で「劫」と書き、仏教用語で非常に長い宇宙的世界の時間のことを云う。

Aに白が打つと、黒1が取れます。 しかし、そのすぐ後に、Bに黒が打ったなら、白2が取れる...?!
 コウダテは小さいものからたてよ(コウダテは小さいものから使え)
 コウなきを恥ず
 コウはおどして打つ 
 (コウ付き攻め合いの)コウは最後に取れ(攻め合いのコウは最後に取ってコウ争い)  
 コウはトリ番に回れ
 コウを征するものが勝負を征する
 (Win the early ko to win the game)

 好形()()()

 石の働きが重複せず、打ちやすい姿であることを「好形」と表現する。眼が作りやすい、後に相手からの利かしや反撃の余地を与えないなどの状態を指す。

 星に三々入りした場合の定石。aとbの2つの断点が生じているが、ここでは黒1とカケツぐのが好形。2つのキリを同時に防いでおり、万一包囲されても眼形が豊富なので心配が少ない。aやbに堅くツぐのは、眼形が少なく、働きに乏しい。  1やaの点に打ってもキリは防げるが、白2のハサミツケなどから下辺侵入の手がかりを与えてしまう。

 好手のそばに悪手あり(好手と悪手は隣り合わせ)
 (Good moves and bad moves are bedfellows.)

 古今同局なし

 攻撃は最大の防御なり(攻勢こそ身の守り)

 郷に入っては郷に従え

 碁会所で黙ってみている強い奴

 小ケイマ()(kogeima)(small knight,s move)
 黒1に対する白2のカカリが小ケイマガカリと云われる。将棋の駒の桂馬の動きを連想させるので「ケイマ」と呼ばれる。


 小ゲイマガカリ()(kogeimagakari)()  

 小ゲイマシマリ()(kogeimashimari)(small-knight corner enclosure)  

 虎穴に入らずんば虎子を得ず
 これは囲碁&軍事用語であるように思われる。その趣意は、利を得るのにノーリスクはあり得ない、即ちある程度の危険をおかさないと利は得えられないのに、無傷で「濡れ手に粟」(「濡れ手で粟のつかみ取り」を省略した言葉。濡れた手で粟の実をつかむとやすやすとたくさんくっついてくることから、労せずして多くの利益を得ること、又はぼろもうけ、の意味がある )、坊主丸儲けを図ろうとする精神に対して戒めの言葉と思われる。

 囲碁の実例で言えば、コウに向かうよう仕掛けられた場合に、コウを避ける形で相手の要石を制し、当方の傷石を無難に凌ごうとする打ち方を指す。結果的に、安全と判断した石が攻められ頓死した場合、元に戻ってコウを引き受けるべきだった、コウを避けての丸儲けの発想が貧相だったと云うことになる。こういう場合に、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」が身にしみる。

 ここで手洗う手水鉢(ちょうずばち)

 ここは我慢の一手(ここは我慢のしどころ、ならぬ堪忍するが堪忍)

 小ナダレ()(konadare)(small avalanche joseki)  

 小ザル()(kozaru)()

 小目(こもく)(komoku)(3-4 point)
 隅の星から辺に向かって一歩ずれた点。隅をとるために最初によく打たれる。

 下図では、4手すべて小目に打たれている。


 コスミ(尖)(kosumi)(diagonal move)
 味方の石からナナメの位置に打つ手段、その手のことを云う。二路をななめ(対角線方向)に簽す。例:コスむ、ヘボコスミ。
 自分の石からナナメに打つ手をコスミと云う。黒▲の石から黒1と打つ手がコスミ。これに対して白△の石から白2と打つ手もコスミ。
 コスミに悪手なし
 コスミに妙手あり

 コスミツケ()(kosumitsuke )() 
 コスんで相手の石につける手のこと。
 C5コスミツケは、左下スミを守りながら白C6を攻撃している
 コスミツケには立つ宜し 

 五線・六線みだりにオスな
 五線、四線押すべからず、二線はうべからず
 五にも六にもならん

 五ノ五)()()
 碁盤上の位置を指す言葉。文字通り、碁盤の隅から数えて(5,5)の地点。布石の段階で隅の着点として稀に打たれる。「5の五」と表記されることも多い。昭和の新布石の時代に木谷實らによって試みられた他、2000年の碁聖戦など一時期の山下敬吾が愛用した。

 五目中手は八手なり

 後手をひく(囲碁用語が語源)
 後手の先

 この子、凡ならず
 実力制第四代名人・升田幸三が、小学生時代のひふみん(加藤一二三・九段)が指した将棋を見て、かけた言葉とされている。

 コビン)()()
 コビンの急所(コビンがオキ殺しの急所)

 困ったときは手を抜け

 小目
 隅の星の一路下に打つ手。

 凝り形()(korigatachi)(overconcentrated shape、overconcentration)
 石がダブッており効率の悪い重複形になっていることを「凝り形」と云う。
 白1と二間にヒラくと黒2とコスミツケられ白3となる。この場合、白の2つ並んだ石からは本来aくらいまでヒラきたいところであるにも拘わらず(二立三析)、狭く開いてしまっていることになる。これは効率が悪く「凝り形」ということになる。
 凝り形をさけよ

 これは五目並べではないようだけど、何というゲームだろうね?

 転ぶ前の杖、転んでからの杖

 根拠
 石の生き死にに関わる眼形が作れそうなスペースのところを言う。




(私論.私見)