これは、碁を打つ方なら誰もが一度はプロに聞いたことがあるか、少なくとも聞こうとしたことがある質問だと思います。そして、この質問に対する答えは決まって、次の3つのうちのどれかです。1、詰碁を解く。2、棋譜を並べる。3、実際に対局する。「詰碁を解くことがいいですよ」と答える人は必ずいます。いえ、最大勢力かもしれません。もちろん詰碁は読みを鍛えるために必須なものです。しかし、詰碁は好きな方にとってはよい上達法ですが、アマチュアの皆さん、特に初級者のうちは詰碁を解くことが苦手な方が多いでしょう。小さな子供たちなどは読みを鍛えると目に見えて強くなり、成長を実感することができるのでいいのですが、大人の皆さんは苦労している方が多いようですね。
詰碁を勉強するときのコツは、少し考えれば簡単に解けるような問題、いえ、一目見れば分かるような問題でいいですから、繰り返し解くことです。理想としては毎日少しずつ解くのがいいでしょう。勉強というよりは頭のトレーニングですね。野球選手のキャッチボールと同じような感覚で詰碁を解いていれば、それがプラスになることはあっても、マイナスになることはありません。無理に難しい問題に挑戦して、詰碁を解くことに苦痛を感じてしまうのがいちばんよくありません。気楽にやりましょう。
棋譜を並べるのも詰碁と同じです。プロの正しい感覚を身に付けるための勉強なのですが、そもそもプロの棋譜を並べて、一手一手の意味を考え、さらにすべてを理解するというのは難しいことです。かなりの実力がなければ、棋譜並べを完璧に理解することは難しいでしょう。棋譜の数字を探すことが苦痛になるようでしたら、やはりお勧めできません。
私は実戦が9割、残りの二つが1割くらいの勉強で上達しました。皆さんでしたら実戦だけでも構わないと思います。本書を読んでいる方の中に碁を打つことが嫌いな人はいないでしょう(笑)。実戦の中から学んでいくことはとても多く、特に初級者の時期には一局一局が糧になります。
ところが、「負けるのが嫌なので、対局はしたくありません」という方がいます。「負けるのが嫌」という気持ちはとてもよく分かります。私も本当に負けるのは嫌ですから。しかし、碁が強くなるためには負けたときこそ大切です。対局をして負けたときに、1か所だけでも何がよくなかったのかを振り返ってみてください。本当に負けて悔しいと思うなら、負けの原因となったそのミスは決して忘れないはずです。振り返ることをしないと、いつまでも同じミスを繰り返すことになってしまいます。また、本で勉強しただけの手筋はすぐに忘れますが、実戦で上手に決めることができた手筋や、逆に相手に決められた手筋は決して忘れません。
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