「囲碁力と経済力は相関する」その他を参照する。
ドイツの世界的文豪ゲーテの言葉らしいのだが「文学の衰えはその国の衰えを反映する」(The decline of literature indicates
the decline of a nation.)と云う名句がある。囲碁、将棋も然りで、それが何ゆえ重要かと云うと、国力に関係しているからではなかろうか。囲碁、将棋は国力を強くし、国力が強いときには囲碁、将棋が盛んになるのではなかろうか。
これを例証する。日本の国力史の中で相対的に最も国力が上がっていたと思われるのが織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が君臨した戦国、安土桃山、江戸時代囲初期である。次に形勢が宜しかったのが幕末。次が戦後の1960年−1970年代。この時代、囲碁、将棋も華々しかった。このことを細かく検証すれば良い。
碁と経済の相関の法則、それは即ち「最も権威ある国際的な囲碁選手権を制覇する国は、経済の分野でも最も力強く成長する」というものである。その証拠を示す。1990年代半ばまで、日本は囲碁のあらゆる主要な国際競技会で優勝常連国だった。その後、1990年代半ばから、日本が20年におよぶ景気低迷に陥ると、エレクトロニクス分野で日本を追い越しつつあった韓国が、囲碁の分野でも日本から優勝常連国の座を奪った。この状況は2010年、中国が覇権を握るまで続いた。19世紀末、日本はアジアの囲碁界において他の追随を許さない存在だった。韓国、中国、台湾のプレーヤーが来日して囲碁を学び、帰国後に各国で囲碁協会を設立した。
日本が凋落した原因は次の3つにあると思われる。1、 1980年代にコンピューターゲームが伝統的なボードゲームの地位を奪った。2. トヨタ自動車や富士通のような日本の大企業が、日本で開催される国際選手権のスポンサーをやめた(現在、最大の国際選手権は韓国のLGとサムスンがそれぞれ主催する2つの棋戦である)。3.世間のアイドル的支持を得ていない(韓国と中国において、囲碁のチャンピオンは歌手やスポーツ選手に匹敵する有名人である。日本のプロ棋士は誰1人としてそのような存在ではない。
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