JASRAC訴訟その5、批判記事訴訟考

 (最新見直し2007.2.3日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 

 2006.4.20日 れんだいこ拝


【週刊ダイアモンドのJASRAC特集記事訴訟】
 JASRAC問題について、週刊ダイアモンドが、「週刊ダイヤモンド2005.9.17日特大号」でJASRAC特集を組んだ。「企業レポート、日本音楽著作権協会(ジャスラック)/使用料1000億円の巨大利権 音楽を食い物にする呆れた実態その1」、「企業レポートその2」にサイトアップされている。記事は、JASRACが徴収する著作権使用料の用途やその徴収方法、組織役員の天下りなどについてスポットを当てたものであった。この記事は、2005年の「やっぱり雑誌が面白い!!ニュース報道部門賞」の一位に選ばれたとのことである。

 8.29日、JASRACは、この特集に対して、ダイヤモンド社に対し厳重に抗議するとともに、記事の誤りの訂正と謝罪広告の掲載を求める通知書を送付した。10.7日、ダイヤモンド社は、JASRACの請求に一切応じる意思がないことを通告した。

 11.11日、JASRACは、株式会社ダイヤモンド社を相手取り、記事の内容が虚偽または歪曲された事実であるとする4290万円の損害賠償と名誉回復措置訴訟を提訴した。JASRACは、「株式会社ダイヤモンド社に対する訴訟の提起について」と題して次のように声明している。
 JASRACは、「週刊ダイヤモンド」2005年9月17日特大号に掲載された「企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック)」という記事について、発行元である株式会社ダイヤモンド社及び記事の執筆者である記者1名を被告として、平成17年11月11日、不法行為(名誉毀損)に基づく損害賠償の支払と名誉回復措置として謝罪広告の掲載を求めて、東京地方裁判所に訴訟を提起しました。

 この記事は、虚偽の事実または歪曲された事実を記載したり、客観的根拠もなくJASRACの業務遂行の方法を一方的に中傷する表現を用いるなどして、JASRACの著作権管理業務が極めて不適正、不公正に行われているとの印象を読者に与えるものであり、JASRACの社会的名誉と信用とを失墜させ、その業務を妨害しようという意図の下に掲載されたものと考えざるを得ません。

 JASRACは、同社に対し、厳重に抗議するとともに、記事の訂正と謝罪広告の掲載を求めていましたが、同社からこれに一切応じる意思がないとの通告があったため、司法上の救済を求めることにしたものです。

 2008.2.13日、「週刊ダイヤモンド」に掲載された記事で名誉が傷つけられたとして、日本音楽著作権協会(JASRAC)がダイヤモンド社と記者に対し損害賠償を求めていた訴訟の判決があり、東京地裁(加藤謙一裁判長)は、JASRAC側の主張を認めた上で、「原告(JASRAC)の名誉を毀損してその社会的評価を低下させるものであり、記事の内容が真実であることの証明がなく、意見・論評としても、その重要な前提について真実との証明がない」と指摘。「取材や判断にかなりの偏りが感じられ、取材・判断や意見・論評が正しいと信じる理由も見当たらない」として、記事による名誉毀損を認め、550万円の支払いを命じた。た。JASRACが求めていた謝罪広告の掲載は認めなかった。



 



(私論.私見)