JASRACのカラオケ:訴訟その歴史1

 (最新見直し2007.2.3日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 

 2006.4.20日 れんだいこ拝


【著作権法の附則14条廃止の是非を問え】
 中小企業施策FAQ・相談事例の「相談事例その13:著作権使用料を巡るトラブル」に次のように記されている。
 (相談内容)
  • 洋品小売店を経営。店内にイメージアップのため、市販のCD音楽をお店のラジカセで流していました。
    ところが社団法人日本音楽著作権協会から著作権使用料の支払いを求められました。支払わなければいけないのでしょうか。
  • 最近では居酒屋や民宿でのカラオケ設備の導入使用に対して著作権の使用料を求められています。
 (問題点と対応)
  • お店などのBGMとしてレコードやCD、テープなどを流す場合、これまでは著作権者の許諾を受ける必要がありませんでした。著作権法の附則14条にこのことが規定されていましたが、平成12年1月に施行された改正著作権法でこの条項が廃止され、生演奏であるか、レコード演奏(レコードやCDを流す)であるかを問わず著作権者の許諾が必要になりました。

  • (社)日本音楽著作権協会(JASRAC)は、 改正著作権法に伴い平成14年4月1日から「有線音楽放送」、「BGM用貸出録音物」、「CD等の市販録音物」などをBGMとして店内に流す場合、作詞家や作曲家などの著作権者に代わって手続きの窓口となり、所定の使用料の徴収と各著作者への分配をを行っています。
     ※有線音楽放送、BGM用貸出録音物の貸出等を所定の音源提供事業者から受ける場合は、配信を行っている業者がお店などの施設に代わって使用料を払う場合があるのでその時は、各お店が個別にJASRACと契約する必要はありません。

  • BGM使用料金は面積や宿泊定員により異なりますが、一般店舗の場合500uまで年間使用料6000円、1000uまで10,000円(消費税別)となります。
  • カラオケ設備の導入により、使用された著作権に対しても店の規模によって著作権使用料を払うことになります。
 (参考)(問い合わせ先) (社)日本音楽著作権協会 本部 03―3481―2121 詳細はJASRAC各支部(22支部)へ  
    http://www.jasrac.or.jp
(私論.私見) 

 これによれば、元々は、著作権法の附則14条で、店舗に於けるBGMやレコード、CD、テープ放音は自由であったものが、2000(平成12).1月に施行された改正著作権法でこの条項が廃止され、生演奏であるか、レコード演奏(レコードやCDを流す)であるかを問わず著作権者の許諾が必要になった、ということになる。これも、「改正」とか「改革」とか「革新」という表現で行われる改悪だろう。

 この回答は、新法に拠ればこうなるとして、日本音楽著作権協会に問い合わせるよう指導しているが、役所機関としては仕方ないのかも知れない。本来は、著作権法の附則14条廃止の是非を問うものでなければなるまい。

 2007.2.7日 れんだいこ拝

【乱舞するJASRAC訴訟考】
 JASRACを考える、「J-CASTニュース」にJASRAC問題の具体的事例が数多く報告されている。カラオケ関係でこれを見ると次のような事例がある。れんだいこが意訳する。
 ○、障害者福祉の喫茶店に対する請求騒動

 2000年秋、障害者自立施設・コーヒーハウス「ぱれっと」(宇治市小倉町蓮池175、小倉接骨院ビル2階)がオープンした。同店はサタデーナイトコンサートを開いていた。JASRACがこれに目をつけ、著作権料の支払いを請求した。同店では元々採算性を度外視して経営をやり繰りしており、著作権料の支払い請求に困惑している。

 これを請求した同協会京都支部の説明によると、演奏に著作権手続きが必要ないのは、@・営利を目的としない、A・どんな名目でもお金などの入場料をとらない、B・演奏する人や指揮者にギャラ(報酬)支払いがないケース。つまり学校の吹奏楽部などが文化祭などでコンサートや演劇をする場合などに限られている、と云う。

 「ぱれっと関係者とは現在交渉している。一般の喫茶店とは違うことはお話をお聞きしてわかったが、私たちは作家の方から権利をお預かりしている団体。他店との公平性もある。とかく目に見えないものに対して使用料を支払えというのは酷いんじゃないか、みたいな風潮があるが、著作権者の権利は保護されるべきもの。喫茶店という形態である以上、免除規定もありません」との見解で、使用料徴収免除はできないという考えを示している。
 ○、高知市のスナックのカラオケが強制撤去される。全国で4件目の事例
 
 
ASRACとの裁判の和解内容に反しカラオケの著作権使用料を支払わないとして、高知地裁は30日、高知市瀬戸東町のスナックからカラオケ装置を強制撤去、使用を差し止めた。 同協会によると、カラオケの使用料不払いで装置を撤去する同様の強制執行は全国で4件目で、四国では初めて。同協会は2000年9月、このスナックを相手にカラオケの使用差し止めを求める仮処分を同地裁に申請。同年10月、スナックが不払いの使用料など約150万円を支払うことで和解が成立したが、支払いが滞っているうえ、その後も無断利用を続けていたという。同協会が今年4月、強制執行を申し立てていた。同協会は「何度も支払いの督促をしたが、何も回答がなく、悪質だった」としている。

 2004.9.13日再編集 れんだいこ拝

【「流しのギター」は演奏権の侵害だってさ】
 演歌の世界でおなじみの「流しのギター」も、著作権中の上演・演奏権の侵害に当たるとされ厳しく取締りされつつある。これは、不特定多数(公衆)の前で自分の楽曲を演奏することを禁止できる権利で、最高裁は1988(昭和63)年、飲食店のカラオケで客が歌う行為を、店側の演奏行為と同じものとみなし、著作権法上の演奏権の侵害になるとの判決を下している。

【「ジャズ喫茶スワン訴訟」】(「新潟JAZZ喫茶SWAN」)

 2003.11.19日、日本音楽著作権協会(JASRAC)は新潟地裁に対し、新潟の老舗ジャズ喫茶「スワン」が、店内演奏で使われる曲の著作権使用料五百五十万円余りを支払っていないとして、演奏差し止め、楽器、レコードの差し押さえなどを求める仮処分を申し立てた。同様の請求は他の音楽喫茶に対しても強められている。

 2003.12.13日、新潟日報はオピニオン記事でこの問題を取り上げ、「ジャズ文化の灯消さないで 老舗やむなく閉店も 演奏使用料が重圧に」記事を掲載している。これを紹介する。

 「著作権」という強風直撃

 新潟のジャズストリートを「著作権」という名の強風が吹き抜けている。十一月十九日、日本音楽著作権協会(JASRAC)は新潟地裁に対し、新潟の老舗ジャズ喫茶「スワン」が、店内演奏で使われる曲の著作権使用料五百五十万円余りを支払っていないとして、演奏差し止め、楽器、レコードの差し押さえなどを求める仮処分を申し立てた。同様の請求は他の音楽喫茶に対しても強められている。新潟のジャズ文化をはぐくんできた小規模な営業と著作権保護という大義名分を両立させるハーモニーは成り立たないのだろうか。

 日曜の七日夜、新潟市西堀通四の喫茶スワンでは、週末恒例の生演奏が行われた。狭い店内に、地元演奏者の熱気がこもる。耳を傾ける客の数はわずか三人だが、開店から三十九年という市内きっての老舗が、ジャズを根付かせたいと続けてきているイベントだ。だが、ライブも店自体の営業もいつまで続けられるのか、店を切り盛りする和田和子さん(五十四)の表情は暗い。

 JASRACがスワンに対し、生演奏や店内でのレコード演奏についての過去十年分を含む音楽著作権使用料の支払いを求め、本格的交鈔に入ったのは今春。しかし、分割払いでも憑き月々五万円以上になる支払額に対し、スワン側は「経営が成り立たない。売上の実態に合った支払いにしてほしい」と主張した。

 「仮処分」

 コーヒー四百円。ライブは二千円。昨年度、同店の売り上げは五百八十五万円だったが、経費を除いた利益は十八万円。経費には人件費は含まれておらず、夫の孝夫さんが運転手などで働いて生活を支えている。しかし、裁判所での調停は整わず、JASRACは「違法状態を放置できない」と仮処分請求を行った。生演奏に対して県内で初の申請だった。

 同様の請求は他のジャズ喫茶などにも行われている。新潟古町通六の「JAZZ・ママ」が先月十九日閉店。お別れライブでミュージシャンや愛好家は三十五年以上続いた老舗との別れを惜しんだ。同店もJASRACから、過去分も含め三百万円以上の支払い請求を受けていた。

 店主でドラマーでもある佐藤政良さん(六十二)とともに店に立っていた妻の冨士子さん(七十一)が、心筋梗塞で突然帰らぬ人となったのは、二回目の調停を数日後に控えた十一月十五日。「ジャズが好きだし、若い人にも演奏の場を提供したいという思いで、夫婦で何とかやって来た。足が出てもやってきてくれるミュージシャンにも支えられてきたがもう無理だ」と佐藤さん。「店を閉めても支払えといわれている。自己破産するしかないのだろうか」と疲れ切った表情だ。

 「イベント」

 新潟市では今月一月と七月、市内のジャズライブを行う店十店ほどが協力して、それぞれ同時並行で行う生演奏を千円で鑑賞できるイベントを行った。これまで横の強力が少なかった各店が、新潟のジャズを盛り上げようと取り組んだ初めての行事だった。「スワン」は、このイベントの実行委員長も努めていた。

 ここでの著作権使用料についても、各会場を入場料千円の一つのも催しとして扱い、六万程度とするよう求める実行委員会側の主張に対して、JASRACは「たとえ一つしか見られなくても千円の入場料が必要」として、各店で千円の入場料を取った場合と同じ三十二万円余りの支払いを求め対立。来年一月に同様のイベントを計画している実行委員会は折れざるを得なかった。

 波紋は広がりつつある。JASRAC大宮支部は、「スワン」に対する仮処分申し立ての翌二十日、県内の三十店舗に対し「JASRAC NEWS」という文書を送付した。文書は「手続きに応じない店は随時裁判を提起していく」「裁判になると通常の使用料より高額な損害金を・・・お支払いいただくことになる」と迫る。

 経営者らはいま、署名運動の準備を進めている。「著作権使用料を支払う必要があるのは分るが、収入に応じた算定をしてほしい」「もうけ目当てでなく、手弁当でジャズ文化をはぐくんできた」「街から音楽の灯を消さないでほしい」というのが経営者らの思いだ。

 「万引きだ」

 こうした声に対し、大宮支部の高野勝彦支部長は「個別の店の収入を把握するのは実質的に不可能。作詞、作曲家ら著作権者の権利を守らなければ音楽文化は育たない」と答える。新潟県担当者は「不満があるから使用料を払わないのは、品物の値段が高いのを理由に万引きするのと同じだ」とも付け加えた。

 著作権など知的財産権に詳しく、今回経営者から相談を受けている新潟第一法律事務所の相馬弁護士は「特許など工業所有権では、売り上げに対する比率などで個別に使用料を決めている。音楽著作権では類別ごとに当てはめているから、ある意味で硬直化している。ルールを順守しやすい仕組み、実態に合わせた運用があっていいのではないか」と語る。

 ネット上の利用や携帯電話の着メロなどでJASRACの取り扱う年間使用料は千億円を越え実質的な「独占状態」にもある。新たにBGM的に音楽を流す店舗からの使用料徴収も始まっている。すそ野が広がり、巨大になるほど、その運営の柔軟性、透明性がもとめられるのではないだろうか。

 (新潟日報2003年12月13日記事全文引用)


 「ジャズ喫茶スワン訴訟の行方」が、「SWAN近況」で報告されている。実体験上の貴重情報故にこれを転載しておく。(読みやすくするため、れんだいこ責で編集替え、一部文言挿入しております)

 SWAN近況

 (2004年)3月26日JASRACとの1年間に及ぶ騒動が終結、和解で収束しました。多くの皆様にご心配をお掛けしました。署名・カンパ等ご支援賜り感謝致しております。昨年7、9月調停2回不調。仮処分申請後12、1、2、3月2回の地裁審尋での結果、過去10年使用料550万請求が280万(150万現金 130万130ヶ月払い)に、月額使用料52380円請求が13440円(業種5算定20000×0.8×0.8)になり、和議に至りました。納得いきませんが、店舗継続の為、やむを得ませんでした。JASRAC音楽著作権使用料規程の改正を求める署名は継続中ですので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 1 音楽著作権使用料規程の使用料算定方法

  ジャズ喫茶スワン席数40席・レコード演奏のみとして業種5の算定。ジャズ喫茶包括契約・18900円/月(レコード演奏のみ)・同規模    の喫茶店BGM契約・6000円/年(レコード演奏のみ)
 37倍の額の使用料です。コーヒー代は双方同じ400円位。オーディオ、CD等経費は余分に掛かります。「いい音でいい音楽を多くの人に」と考えるジャズ喫茶の経営は不可能になります。
 包括契約と1曲毎の算定があり、スワンは1曲毎の使用料だと24000円/月。
 同一店舗に2つ以上の算定がある。これは実情に則した課金の一面より、使用料徴収の脅しに使われる。
 ジャズ喫茶スワンを使用料規程1曲毎で正確に計算すれば、レコード演奏1曲5分以内40円。40円×(60÷5)曲=480円(1時間で480円)。営業時間AM10:00〜PM10:00で12時間。480円×12時間=5760円。1ヶ月、30日営業すると、5760円×30日=172800円。
 使用料規程の1曲毎の算定をジャズ喫茶に適用するとたいていの店の存続は困難と思われます。BGM使用の喫茶店との格差を考えると商売上の公平性に欠けると共に音楽著作権使用料規程そのものに無理があると言わざるを得ません。
 昨年新潟市内で行われた市民有志立上げのイベント「新潟ジャズストリート」1、7月分総売上2回で200万弱のところへ使用料33万の請求。定員20人前後の店舗会場1会場毎に100人定員のコンサートで計算。しかも1000円共通チケットで出入り自由にもかかわらず、2回公演での計算。ストリート(料金なし、無報酬)まで100人定員の計算で加算。共通チケットについては規程がないとの事で、何の考慮も払われませんでした。また、「3億円のコンサートで20万の使用料は安すぎる」とのJASRAC評議員会での玉木氏発言がHP上にあります。JASRACは恣意的に定見もなく使用料徴収をしています。文化庁は地域文化振興の見地から、JASRACに対する監督監視に一層の公正性が求められているのではないでしょうか。

 2 過去10年の音楽著作権使用料未払い分請求

 JASRAC著作権侵害差止等仮処分の申請を新潟地裁に11/19提訴。記者会見。翌日県内ライブ店30余に恫喝文配布、SWANを使用料徴収の広告塔に利用した。

 過去10年分使用料・550万円。(内訳)1曲1回の使用料・レコード演奏40円、生演奏90円。1日の使用料レコード演奏・40円×30曲=1200円、生演奏90円×14曲=1260円。1ヶ月の使用料レコード演奏・1200円×30日=36000円、生演奏1260円×13日=16380円。合計 月額52380円

 9月調停不調時上記と同様の算定方法で過去10年分422万月額36800円
 9月調停不調時包括契約表5の算定方法で過去10年分322万月額35200円
 同一店舗に3ヶ月間で3種類の算定額、しかも200万以上の差がある。

 この様な算定と請求が、法律的に又一般慣習からみて、どのような整合性があるのか監督官庁に是非お尋ねしたい。

 不当利得返還の時効は10年?10年前何の曲をかけたか覚えていません。JASRACは昨年1年間に3回オリファサービス探偵社を使って実態調査をしたそうです。その3名記憶にあります。暇ですから。リクエストしていました。それが証拠だそうです。他にHPプリントアウトしたもの、保健所への届け出、NTTとの契約も音楽著作権侵害行為の証拠だそうです・・・

 3 音楽文化に対する認識

 JASRACの見解「ジャズのアドリブは原曲のアレンジである」コード・インプロビゼイションをアレンジとするなら、どんな曲が生まれようと何かから影響(インスピレーション)を受けている筈です。音楽著作権協会は自己の権限を拡大解釈しているとしか思えません。
 JASRACは音楽文化振興の第一義は「作者の権利を守る事」と言うが、現実には生まれようとしている楽曲に対する圧迫と、演奏者の表現の自由と、聴くものの楽しみを奪う事にもなる。その強圧的考え方には疑問を通り越して怒りと絶望を感じた。

 4 管理曲の範囲
 JASRACの管理曲は何か。「管理している物は曲名と作曲者名です」、「音も譜面もない」ではなにをもって侵害行為と言うのか。スワンに対しては、裁判時「楽曲リスト」を提出、平成4年度版でした。只今平成16年ですけど・・・JASRACのHPにある毎月書き換えJ−WIDで検索したら、著作権は作者死後60年が存続期間ですが、ジャズスタンダードナンバー中管理外曲が現在30%以上はある。今後どんどん増える。一例ですがガーシュインは切れている。
 管理外曲100曲発見。後は演奏者オリジナル曲でライブを開催します。著作権使用料は発生しませんよね。管理曲使用の場合は1曲90円お支払いする。これが通らない。理由1、ジャズマンは長生きである。2、ジャズのアドリブはアレンジ又はその連鎖である。3、そのような営業形態は見出せないし極めて困難と考える。4、管理ができない。
 管理外曲ライブは認めないとの事ですが、JASRACは文化事業として2002年神戸、2003年東京で「PDコンサート」〜ありがとう新たな出発の名曲たちへ〜を開催しています。ライブハウスからはバッハやろうが、PD曲やろうが、オリジナル曲やろうが、管理外曲やろうが、どうしても取るという仕組みです。弱い物いじめで取れる所から取る。著作権法はもっと公正なものだと思います。この様な誤った解釈は、監督官庁の意向に沿ったものなのでしょうか。もしそうでないのであれば、早急に事実を検査し是正すべく対応していただきたくお願い申し上げます。このままではJASRAC独断を容認しているようにも見受けられ、残念でなりません。

 5 説明不足・強圧的態度・経理の不透明

 音楽著作権使用料規程にある使用料規程細則の開示を求めたがいまだ返答なし。新潟
 ジャズストリートに関しては、説明を求めたところ30分程で新幹線の時間だというので後程とわかれたらそれっきり。説明は終わりましたの一点張り。尚も説明を求めると、音楽使用許諾を出さないと参加全店を脅迫する始末です。唖然としてしまいました。
 「どろぼうと同じだ」、「万引きだ」、「頭が悪い」等罵詈雑言を浴びせる。そうしないと使用料徴収ができないのでしょうか。お金を頂くものの態度とは思われない。新潟では、同業種で閉店に追い込まれた店1店。他2店は夜のみ営業でスナックとして契約過去10年分80万と月使用料1万〜2万(ライブ頻度による)でした。みせしめに1〜2店に高額を請求して、「ああなると困るでしょ」と周りの数店から使用料を徴収する。新潟の老舗「ジャズママ」は高額の過去請求を受け、昨年11月35年の歴史に幕を閉じた。昨年9月〜今年4月迄数回の調停後、自己破産もならず、2000円/月を死ぬまで支払うと約束させられた。文化庁の許認可業者のしわざとはとても思えない。なんでそんなにお金が必要なのか。行き過ぎではないのか。
 JASRACは1000億を超える収入があるそうです。それなのにこの不透明な仕組みはなんだろう。音楽発信源であるジャズ喫茶・ライブハウスと著作権管理業者のJASRAC、双方にとって不幸な事です。この仕組みは問題だと思いませんか?

*この事態を改善して頂く為に署名を集めています。ご協力よろしくお願い申し上げます。

   *掲示版開設しました。「JASRACについて考える」 情報交換して解決法を模索したいのです。

(私論.私見)「著作権という名の強風」考

 いずれ「JASRAC問題」が社会問題になりそうな気配を感じる。多くの者が「全方位的著作権」を認定している故にこういう本末転倒事態が発生する。「全方位的著作権」とは要するに現代の関所税である。その昔、寺社、組合(ギルド)が万能社会を作り出し、戦国武将・織田信長がこれらを撤廃し「楽市楽座制」を導入した。これにより経済の活性化が促されたのは周知のことであろう。これを思えば、「知的関所税」というのは特殊現代の形態であるから、第二の信長が現れないといけないということになる。

 「著作権使用料を支払う必要があるのは分るが、収入に応じた算定をしてほしい」などという弱腰ではいずれ、弁護士の口車に乗せられてしまうであろう。弁護士の知性を窺うのに、法哲学的な知性は皆目貧困で、単に法文を職人的技法で操る術師に過ぎない。故に、弁護士に期待してみても何ら事態は変わらないことを知るべきである。むしろ、手前味噌ながられんだいこの観点を援用したほうがよほど賢明である。

 この問題は、著作権そのものの認識間違いから発生している。仮にそのような権利が「全方位的著作権」として認められるにしても、肝心な事が前提にされていなければおかしい。肝心な事とは、「全方位的著作権」の適用は少なくとも、「『社会的文化、人民大衆の生活福祉の向上に資するものでなければならないという公理』と抵触せざる限りにおいてである」という法理論との整合性が問われねばならない、ということである。

 この弁えが無いから「JASRAC的強権」が罷り通り、音曲産業の保護育成という美名の下での衰退がもたらされ、明らかに利権化し過ぎているというのに、これに誰も抗することができないという没知性的事態に追い込まれることになる。れんだいこに云わせれば、「全方位的著作権そのものがシロアリ理論」なのであり、人民大衆はこれに闘わねばならない。しかしだ、マスコミも都合の良い「ジャーナル著作権」を主張している訳だから、インテリ学会もまた更に輪をかけたような「知的所有権」の主張に血眼(ちまなこ)な訳だから、連中がJASRAC異議を唱えることはできはしない。同じ穴のムジナでしかない。つまり、誰もあてにならない、助けてくれない。

 れんだいこは主張する。憲法の空洞化現象に応じて各界が得手勝手な法理論を振り回しており、互いに身動き取れない社会へ突入しつつある。つまり、社会がアノミー化しつつある。こうした折には、今一度国内法の最高規範である憲法から紐解いていかねばならない。文明化という正義美名の実は野蛮知性の振りかざしに対して断固として抗する知性を練磨せねばならない。この視点を失した時、歴史的に形成され最も我々が習性とさせられている辞を低くして哀訴する道しか無くなるであろう。

 ちなみに「多くの良心的な人々は著作権者の権利を認め、作曲者に敬意を払い、できる限り穏便に使用許可をしてもらいたいと考えている」云う者があるが、ならばその対価としてJASRACの徴収金の経理明細を求めよ。「著作権者の権利を認める」ことが形態、様式、分野の如何を問わず「あらゆる空間それも末端にまで権利が及ぶべし」ことを論証してみよ。「多くの良心的な人々は全方位全域的著作権を認めている」云々と云い為しているが、「多くの良心的な人々」がどういう人たちのことなのか、「そのどこが良心的なのか」論証してみよ。汝、言葉の独り歩きで酩酊しているその暗愚さを恥じよ。

 2004.2.14日 れんだいこ拝

【「ファッションパブらりるれろ訴訟」】
 茨城県の飲食店「ファッションパブらりるれろ」の判決文(「事件名・つくば市内パブの音楽著作権侵害事件(刑)判決全文」」(1997.4.4日、土浦簡裁 平成8年(ろ)第14号 著作権法違反被告事件)(日本ユニ著作権センター http://www31.ocn.ne.jp/~jucccopyright/)は次の通り。
 主文

 被告人を罰金20万円に処する。右罰金を完納することができないときは、金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。訴訟費用中、証人H・H、同M・K及び同土井一彦に支給した分は、被告人の負担とする。
 理由 (犯罪事実)

 被告人は、茨城県(以下住所略)において、飲食店「ファッションパブらりるれろ」を経営しているものであるが、社団法人日本音楽著作権協会の許諾を得ず、かつ、法定の除外事由がないのに、平成6年12月13日、同店店舗内において、同店従業員をして、同協会が著作権を有する音楽著作物である別表記載の「津軽平野」ほか14曲を、同店設置のビデオカラオケ装置を操作させて演奏させ、同店従業員及び飲食客等をして、右演奏を伴奏として歌唱させ、これを店内の客に聞かせることによって、前記音楽著作物を公に演奏し、もって、同協会の著作権を侵害したものである。
 (事実認定についての補足説明)

 弁護人は、本件カラオケの演奏をした「ファッションパブらりるれろ」(以下「本件店舗」という。)の経営者は被告人の夫であるM・Tであって被告人ではなく、また、仮にその経営者が被告人であったとしても、被告人はカラオケの演奏をするのについて社団法人日本音楽著作権協会(以下「著作権協会」という。)の許諾を必要とすることを知らず、著作権協会も被告人に対して許諾を求めることをしなかったのであって、被告人には右演奏について違法性の意識がなかった旨主張するので、これらの点についての判断の要旨を補足して説明する。

一 本件店舗の経営者について弁護人は、証人H・H及び同M・Tの各供述並びに前掲証拠のうちの賃貸借契約書2通を挙げて、本件店舗の所有者は同店舗を外国人に貸すことはできないということから、同店舗はM・Tが借り、その営業権も同人が譲り受けたものであり、同店舗営業についての保健所への届出もM・Tがしていることなどから、同店舗の経営者はM・Tである旨主張する。

 しかし、証拠によると、次の事実を認めることができる。
1 本件店舗の営業は被告人が前営業主H・Kないしは張水粉から被告人の同人に対する貸金の代償として引き継いだものであり(証人M・Tの供述、被告人の公判廷における供述、被告人の検察官(2通)及び司法警察員(3通)に対する各供述調書及び張水粉作成の上申書)、また、本件店舗は、被告人がその所有者から借り受けたものであること(被告人の公判廷における供述、被告人の検察官に対する供述調書2通及び証人H・Hの供述(同証人の本件店舗の借主は誰かについての供述は一貫性に欠けるところがあるが、結論的には本件店舗は主体的には被告人が使うものと思ったとの旨を述べている。))。

2 本件店舗に購入設置したカラオケセットは、被告人が営業上の利益を考慮して、リースから購入に切り替えたものであり、その購入代金についてはもっぱら被告人が販売業者と交渉して決定し、代金全額を被告人が支払ったこと(証人M・Tの供述、被告人の公判廷における供述及びC・Yの司法警察員に対する供述調書)。

3 本件店舗の従業員は全員被告人あるいは本体店舗に出て働いていた被告人の母であるBが採用し、従業員の給与も被告人とBが決定したこと(証人M・Tの供述、被告人の司法警察員に対する平成7年10月4日付け供述調書(9枚つづりのもの)及び同年12月6日付け検察官に対する供述調書)。

4 本件店舗の売上金の管理は被告人がしていたこと(証人M・Tの供述及び被告人の司法警察員に対する平成7年10月4日付け供述調書(9枚つづりのもの))。

 以上の事実からすると、本件店舗の借主の名義や同店舗営業についての保健所への届出名義がM・Tになっていても、これらは単に名義上のものにすぎず、本件店舗の経営者は被告人であると認められる。

 なお、被告人は、公判廷において、本件店舗の営業に関し、ホステスの採用や給与の決定、カラオケ料金の回収や売上金の管理などはまったくしたことがなく、同店舗の経営者はM・Tである旨を述べて、自分が経営者であることを否定し、なお、被告人の検察官に対する平成7年12月6日付け供述調書については自分が述べていないことが自分の供述として書かれているところがある旨を述べているが、自分が経営者であることを認める前掲証拠中の被告人の検察官及び司法警察員に対する各供述調書の供述は首尾一貫していて不自然なところはなく信用することができるのに反し、右公判廷における供述は、証人M・Tの供述や前掲証拠中のBの司法警察員に対する供述調書の供述とも矛盾するなどして信用性は認められない。

 また、証人M・Tは、平成6年12月ごろ本件店舗は自分が経営していたとか、自分たち夫婦で経営していたという趣旨の供述をしているが、同人は、警察及び検察庁における取調べの際には、その経営者は被告人である旨を供述していたことが同人の公判廷での証言によって認められ、これに前記被告人の検察官及び司法警察員に対する各供述調書の供述を併せて考えると、同証人の右経営者は自分であるとの趣旨の供述は信用できない。

二 被告人の違法性の意識について弁護人は、著作権協会は、最初はM・Tが本件店舗の経営者であるということで同人を告訴し、その間、カラオケの使用についての契約をM・Tあるいは被告人の母に対して求めていて、被告人に対してはそれをまったく求めておらず、証人土井一彦が被告人に対し電話で契約に関する催告をしたというのも嘘であり被告人はその話は聞いていない、被告人はM・Tが経営者と思っているから自分自身が処罰の対象となるとは考えず、違法性の意識を持つ余地はまったくなかった旨主張する。

 しかし、証拠によると、次の事実を認めることができる。
1 著作権協会の職員である証人土井一彦が、平成5年10月14日、Bもいた本件店舗から、被告人と思われる者に対して、電話で、「パブらりるれろは、再三注意したにもかかわらず無断演奏している、これは法律違反なので説明に来た」という趣旨の話をし、相手は書いたものを置いていってくれという返事をしたので、適法に利用するようにと再三注意警告したのに無断使用しているのでこれを解決するために来会を求めるなどの旨を記載した証人の名刺と、ファッションパブらりるれろ経営者あての警告書を置いて来たこと(同証人の供述。同証人は、この電話について、その相手を電話で呼び出した台湾人のホステス「エミ」という者が初め「チイメイ」という人と話していたようであり、「チイメイ」というのは被告人の名前である「**」の中国語の発音であると述べ、被告人は、「チイメイ」というのは台湾人が台湾人を呼ぶ場合の「**」の発音ではないからその証言は嘘であって、被告人はそのような電話は受けていない旨を公判廷で供述し、弁護人もそのように主張するが、その呼び名の発音の部分に関しては疑問はあるけれども、同証人は、右エミが証人に対して「ママ」、「ママ」と電話の相手が被告人であるかのように言って証人に受話器を渡した旨供述しているのであって、同証人が被告人と思われる者に対して右のような話をしたとの供述が嘘であるとするのは相当でない。)

2 M・T及びBあてに送付された催告書及び送付状に添付の著作物使用料規程(抜率)(前掲証拠)に、スナック等で音楽著作物を無断で演奏等をすると刑事上の責任を負わなければならない場合がある、あるいは、著作権法違反として3年以下の懲役又は100万円以下の罰金の責任を負うことになる旨の記載があること。

3 被告人は、一で述べたとおり本件店舗の経営者であり、カラオケ料金の回収などにM・Tと一緒に同店舗に行っていたこともあること(被告人の公判廷における供述、証人M・Tの供述)。

4 被告人は、昭和53年に台湾から日本に来て、昭和58年1月12日にM・Tと結婚し、同人や被告人の母、子らと同居しており、M・Tは台湾語ができず、家庭内の会話は日本語であり、被告人は、日常会話であれば日本語で差し障りがなく、新聞やテレビの内容は大体理解できるということが認められること(証人M・Tの証言、被告人の公判廷における供述)。

 以上の事実からすると、被告人は、捜査段階から違法性の意識のあったことを否定しているけれども、証人土井一彦からの電話による説明のほかに、前記警告書、催告書等を見たり、あるいは、同居し、ときには一緒に本件店舗に行ったりしていた夫のM・Tから聞くなどして、著作権協会の許諾を得ないでカラオケの演奏をすることが違法であることを本件当時知っていたと推認することができる。したがって、被告人には違法性の意識に欠けるところはなく、故意を認めることができる。
 (法令の適用)
 罰条 包括して著作権法119条1号(平成8年法律第117号による改正前のもの。行為時においては右改正前の著作権法同条同号に、裁判時においては右改正後の同法律同条同号に該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときに当たるから、刑法6条、10条により、軽い行為時法の刑による。)
 別種の選択 罰金刑
 労役場留置 刑法18条(平成7年法律第91号による改正前のもの)
 訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文(証人H・H、同M・K及び同土井一彦に支給した分について)
 (出席した検察官 高須司江)

 平成9年4月4日 土浦簡易裁判所裁判官 飯塚樹
(私論.私見) 「ファッションパブらりるれろ訴訟」について

 れんだいこの見るところ、被告人は、JASRACの課金から逃れようとしているように思える。むしろ、「れんだいこのJASRAC批判」を盾に、そんなものは払う必要がないと堂々と法理論を展開して争った方が勝訴したのではなかろうか。由々しき事態になるであろうか。

 2007.2.5日 けれんだいこ拝

【「クラブ・キャッツアイ事件」】
 不正商品対策コンサルタント。八木正夫氏の知的財産権問題の現今(5)に「カラオケボックス/使用料不払いは著作権を侵害/東京地裁判決」なる見出しの概要次の記事があったのでこれを転載する。

 「カラオケスナック」に関して演奏権侵害か否かが争われた「クラブ・キャッツアイ事件」(最高裁小法廷判決、昭和63.3.15)では、客やホステスの歌唱が公衆たる他の客に直接聞かせることを目的していることは明らかで、客はスナック側と無関係ではなく、店側の歌唱の勧誘、備え付けられたカラオケテープの範囲内での選曲、カラオケ装置の従業員による操作等を通じて歌唱されている以上、著作権法上は、スナック側による歌唱と同視し得るとして、権利者の許諾なくカラオケ演奏を実施することは演奏権侵害を構成するとした。

 しかし、この論理から言うと、「カラオケボックス」の場合は、親密な仲間の中での歌唱であり、カラオケ装置の操作も店側によるものではなく、店側は単にスペースと機器を提供しているに過ぎないとの反論も構成し易い。この記事を読む限りでは本判決においてこの辺についての理論構成がどのように為されているのかつまびらかでない。

 96年12月以来各地の地裁で仮処分決定が出されているが、97年12月の大阪地裁の仮処分決定書によれば、「客は経営者の管理下で歌唱し、経営者は客が歌唱する場とカラオケ関連機器を提供することによりカラオケスナックなどにくらべ、より直接的に営業上の利益を得ており、著作権法上の規律の観点から、経営者自身が歌唱により音楽著作物を使用しているのと同視すべきであり、カラオケ歌唱室でのカラオケ利用について経営者が著作物使用許諾手続きをとらなくてはならない」としている。

 なお、「カラオケボックス」に関しては、本年「全日本音楽著作権料値下げ交渉聯盟」加盟のカラオケボックス事業者28名が、JASRACを相手取り著作物使用料支払い債務不存在確認請求を東京地裁に提起、これに対しJASRACは3月30日同地裁に反訴を提起している。

■クラブ・キャッツアイ 事件(最判昭和63年3月15日)

 「上告人らは、上告人らの共同経営にかかる原判示のスナック等において、カラオケ装置と、被上告人が著作権者から著作権ないしその支分権たる演奏権等の信託的譲渡を受けて管理する音楽著作物たる楽曲が録音されたカラオケテープとを備え置き、ホステス等従業員においてカラオケ装置を操作し、客に曲目の索引リストとマイクを渡して歌唱を勧め、客の選択した曲目のカラオケテープの再生による演奏を伴奏として他の客の面前で歌唱させ、また、しばしばホステス等にも客とともにあるいは単独で歌唱させ、もって店の雰囲気作りをし、客の来集を図って利益をあげることを意図していたというのであり、かかる事実関係のもとにおいては、ホステス等が歌唱する場合はもちろん、客が歌唱する場合を含めて、演奏(歌唱)という形態による当該音楽著作物の利用主体は上告人らであり、かつ、その演奏は営利を目的として公にされたものであるというべきである。けだし、客やホステス等の歌唱が公衆たる他の客に直接聞かせることを目的とするものであること(著作権法二二条参照)は明らかであり、客のみが歌唱する場合でも、客は、上告人らと無関係に歌唱しているわけではなく、上告人らの従業員による歌唱の勧誘、上告人らの備え置いたカラオケテープの範囲内での選曲、上告人らの設置したカラオケ装置の従業員による操作を通じて、上告人らの管理のもとに歌唱しているものと解され、他方、上告人らは、客の歌唱をも店の営業政策の一環として取り入れ、これを利用していわゆるカラオケスナックとしての雰囲気を醸成し、かかる雰囲気を好む客の来集を図って営業上の利益を増大させることを意図していたというべきであって、前記のような客による歌唱も、著作権法上の規律の観点からは上告人らによる歌唱と同視しうるものであるからである」。

(私論.私見) 「クラブ・キャッツアイ事件」について

 「クラブ・キャッツアイ事件」の詳細は不明であるが、どうやら著作権料を取るなら歌った当人から取れ、店は機械を設置したに過ぎないと主張していたようである。この主張は大いに言い分が有ると云うべきであろう。ところが、裁判所はこの問題を解明せず、客の歌唱は店の歌唱と見なされる云々論で「著作権法上は、スナック側による歌唱と同視し得るとして、権利者の許諾なくカラオケ演奏を実施することは演奏権侵害を構成するとした」ようである。権力に阿る判決しか出ないと云う見本だろう。

【「カラオケボックス訴訟事件」】
 不正商品対策コンサルタント。八木正夫氏の知的財産権問題の現今(5)に「カラオケボックス/使用料不払いは著作権を侵害/東京地裁判決」なる見出しの次の記事があったのでこれを転載する。
 
 社団法人「日本音楽著作権協会(JASRAC)」=東京都渋谷区=が「カラオケの使用料を支払わず営業しているのは、著作権の侵害」 として、埼玉県内のカラオケボックス経営者(72)夫婦にカラオケ機器の使用差し止めなどを求めた訴訟の判決が二十七日、東京地裁であった。三村量一裁判長JASRAC側の主張を全面的に認め、経営者に機器の使用中止や撤去と五百五十万円余の支払いを命じた。カラオケスナックと同様、カラオケボックスにも著作権の侵害や賠償責任を認める初めての判決。

 三村裁判長は「客は店の管理の下で店内に設置されたカラオケ装置を操作しており、著作物を演奏・上映する主体は店側にある」と指摘。JASRACの許諾を受けず使用料を支払わないまま、カラオケソフトを再生したり、それに合わせて客に歌わせたりする営業行為は「演奏権や上映権の侵害にあたる」などと述べた。

 JASRACによると、全国の約一万四千五百店のカラオケボックスのうち、四分の一に相当する約三千七百店が契約や著作権料の支払いを拒否している。カラオケボックスを相手取った同種裁判では、仮処分の申し立てに対する決定で著作権の侵害を認める司法判断が出ているが、この日、判決の形でもJASRAC側の主張が認められたことで、影響を与えそうだ。(98.8.28  日本経済新聞) 

 【筆者コメント】現在、カラオケ伴奏による歌唱については、文化庁の認可を受けた「著作物使用料規定」に基づきJASRACによる使用料徴収が行われている。この使用料徴収は、カラオケスナックについては昭和62年から、カラオケボックスについては平成元年から実施されている。しかし、カラオケスナックについては10年前に最高裁判決があって比較的徴収がスムーズに進んでいるのに対し、「カラオケボックス」をめぐる問題では正式裁判による判例がないことから徴収が思うように進まない現状にある。
(私論.私見) 「カラオケボックス訴訟事件」について

 これはかなり難しい問題である。スナックに比べて、歴然と歌唱を直接目的としているからである。しかし、法外な請求は経営に支障するであろうから、店主としては争わねばならない。何よりも、歌唱された歌に対して課金されるべきであるところ、機器一台当り幾ら×台数で請求すると云うのは問題があろう。民業の隆盛を賭けて争うべきだろう。我々は歌唱を世に広める手伝いをしている論で切り返し、相殺させるべきであろう。もしくは随分と低額に設定させるべきだろう。結局は、その料金はエンドユーザーに押し付けられることになるのだから。

 2007.2.5日 れんだいこ拝

【「ラジカセBGMに対する使用料請求事件】
 これは訴訟ではないが、インターネット検索で見つかった。「相談事例その11」としてサイトアップされている。

 それによれば、洋品小売店が市販のCD音楽をお店のラジカセで流していたところ、JASRACから著作権使用料の支払いを求められた事例である。最近では居酒屋や民宿でのカラオケ設備の導入使用に対しても同様の著作権の使用料を求められてる。

 JASRAC側は、次のように述べている。れんだいこが逐条コメント付けておく。
 お店などのBGMとしてレコードやCD、テープなどを流す場合、これまでは著作権者の許諾を受ける必要がありませんでした。著作権法の附則14条にこのことが規定されていましたが、平成12年1月に施行された改正著作権法でこの条項が廃止され、生演奏であるか、レコード演奏(レコードやCDを流す)であるかを問わず著作権者の許諾が必要になりました。

(私論.私見) 「改正著作権法での附則14条廃止」について

 「改正著作権法での著作権法附則14条廃止」が違憲の恐れがある。附則第14条とは、「適法に録音された音楽の著作物の演奏の再生については、放送又は有線送信に該当するもの及び営利を目的として音楽の著作物を使用する事業で政令で定めるものにおいて行われるものを除き、当分の間、旧法第三十条第一項第八号及び第二項並びに同項に係る旧法第三十九条の規定は、なおその効力を有する」。

 つまり、「当分の間は適法に録音された音楽著作物(簡単に言うと正規に販売されている音楽CDやレコードなど)の再生演奏には著作権者の許諾が要らない。但し、ディスコ、ダンスホール等での再生演奏は許諾が必要」というものであった。

 これが、平成11年の改正で、演奏権を制限する経過措置(附則14条)が撤廃された。なぜ撤廃されたのか。JASRACはいろいろ理屈をつけているが、利権的な業界圧力で不当に廃止せしめられた線が考えられる。当時の経緯も含めて関係者を事情聴取しておく必要がある。

 (社)日本音楽著作権協会(JASRAC)は、 改正著作権法に伴い平成14年4月1日から「有線音楽放送」、「BGM用貸出録音物」、「CD等の市販録音物」などをBGMとして店内に流す場合、作詞家や作曲家などの著作権者に代わって手続きの窓口となり、所定の使用料の徴収と各著作者への分配をを行っています。

 ※有線音楽放送、BGM用貸出録音物の貸出等を所定の音源提供事業者から受ける場合は、配信を行っている業者がお店などの施設に代わって使用料を払う場合があるのでその時は、各お店が個別にJASRACと契約する必要はありません。
(私論.私見) 「音源提供事業者の代替支払い」について

 まさしくそうで、これが認められるなら、カラオケ機器提供事業者も同じではないか。カラオケ機器提供事業者が第一次的にJASRACに支払っているのであるから、これら業者から機器をリースで借り受けるカラオケ・スナックには支払い義務はない、とすべきではないのか。
 BGM使用料金は面積や宿泊定員により異なりますが、一般店舗の場合500uまで年間使用料6000円、1000uまで10,000円(消費税別)となります。
(私論.私見) 「使用料金の面積算定方法」について

 音楽を流すこと自体、それを面積で料金算定するという手法は憲法及び著作権法第一条に違反するであろう。
 カラオケ設備の導入により、使用された著作権に対しても店の規模によって著作権使用料を払うことになります。
(私論.私見) 「カラオケ設備の導入による面積算定方法」について

 既に述べた通りであろうに。

【無料コンサート事件】
 2004.11.14日付日経新聞は、「ファミリー経済」欄で、エコノ探偵団(経済解説部・小林健一記者)による「無料コンサート開催なぜ相次ぐ?」記事を掲載している。これを概略見ておくことにする。れんだいこ風に理解するとこういうことになる。

 最近、無料コンサートの会が盛んになりつつある。その背景に、JASRAC著作権問題がある。有料コンサートにしてJASRACに著作権料を支払った場合と、無料コンサートにしてJASRACに著作権料を支払わなかった場合との差し引きが変わらない。なぜなら、無料コンサートにすると、公益法人の場合には会場使用料が安くなり、チケットを売る手間が省け、JASRACへの著作権料が不要となり、総合的に判断すれば無料コンサートの方が賢明ということになる。これが新しい動きである。

 ちなみに、この種のイベントに対するJASRACの著作権使用料は次のように計算されている。入場料にホールの定員数を掛けた金額の1.6%。例えば、定員二千人のホールで、入場料2千円のコンサートを開くと、6万4千円支払わねばならないことになる。

 記事は次のような重大秘密を教えている。「著作権法には、使用料を払わなくても良い特例規定がある。その条件は、1・入場料が無料、2・出演者に報酬を支払わない、3・営利目的でない。この三つの条件が同時的に揃えば、支払わなくても良い」。
(私論.私見) 「使用料金の面積算定方法」について

 これは貴重な情報であるが、さて、どの条文に拠っているのだろう。れんだいこに云わせれば、現行のJASRACによる音楽著作権の主張の仕方そのものが違法なのであるが、条文は知っておいて損は無いから気になった。

 2004.11.14日 れんだいこ拝

【生演奏ピアノ演奏事件判決その1】
 著作権侵害を継続していた飲食店経営者に懲役10ヵ月(執行猶予3年)の有罪判」、「ビートルズ演奏で逮捕! なぜだという素朴な疑問、J-CASTニュース」その他を参照する。
 練馬区石神井町の飲食店「ビストロ・ド・シティ」(経営者・豊田昌生氏)は、1981(昭和56).4月に同店を開業、店内で客の求めに応じて、ビートルズの「イエスタデイ」、「ヒア ゼア アンド エヴリホエア」などをハーモニカで演奏したり、ピアニストに演奏させていた。

 1985.10月、JASRACは職員を派遣し、生演奏には利用許諾契約を結んで使用料を払う必要があると告げ、また文書を送付するなどして、店内でのピアノ演奏に伴う著作権手続き(音楽著作物利用許諾契約)の必要性について繰り返し説明してきたが、経営者は、「クラシック曲しか演奏しない」、「みんなが払っている訳ではないし、お客に頼まれた時に演奏するだけ」、「今後は演奏はやめる」などと主張して契約を拒否した。その間、JASRACが著作権を管理する音楽作品を無断演奏し続けた。

 2001(平成13).2.7日、JASRACは、管理楽曲の演奏禁止と楽器類の執行官保管を求める仮処分命令を東京地方裁判所に申し立て、同年5.29日、JASRACが著作権を管理する曲の演奏を禁ずる仮処分が下された。JASRACは、カラオケや生演奏での使用料は、客席数や演奏時間などを基準に算定して、同店には33席あり、1曲当たり90円。仮処分の時点では、過去10年分の未払い使用料は約840万円と計算した。しかしながら、だが「計算方法が納得できない。負債を抱え、支払いはできない」と拒み、演奏を続けた。

 その後のJASRACによる15回にわたる実態調査で、同店が裁判所の決定を無視し、JASRACの管理楽曲をピアノにより継続して演奏していることを確認したため、話し合いによる解決はもとより、民事訴訟でも解決の実効性が期待できないと判断し、適法に音楽を利用している方々との公平性を維持する観点から刑事告訴を行った。2006.9.19日、JASRACは、「ビストロ・ド・シティ」の経営者を著作権法違反の疑いで警視庁石神井署に告訴した。

 JASRAC広報部は、J-CASTニュースの取材に対し、「本来ならばこうしたことはしたくなかったが、公平性の観点からもこれ(刑事告訴)以外に手段を取ることはできなかった。これほど悪質なケースは珍しく、JASRACとしてもやむを得なかった」と答えている。

 2006.11.8日、石神井署は、「社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の許諾を得ずに、同協会が著作権を管理する曲を自身が営業するスナックで生演奏していた疑い」、「2006.8月、9月にJASRACが著作権を管理するビートルズの「ヒアゼアアンドエブリワン」、「アラウンドザワールド」などの曲を、JASRACの許諾を得ずに店内でピアノやハーモニカで演奏して顧客に聴かせるなどして、著作権侵害を行った疑い」で経営者(73歳)を逮捕した。

 著作権法違反の容疑で逮捕に至るケースは極めて異例で、同協会によれば、1948年からこれまでに刑事告訴したのは146件だが、最近では極めて稀で、都内でもここ20年で4件ほどしかない。あきらかな著作権侵害が確認されても、そのほとんどが訴訟の段階でなんらかの解決に至るケースが多い。逮捕するか否かは警察の判断によるため、今回のケースは「よっぽど悪質」と判断された可能性が高い。JASRACは「それ以外に手段がなかった」としているが、ネット上では刑事告訴したJASRACへの批判の声が上がっている。11.2日、東京地方検察庁が、東京地方裁判所に起訴(公判請求)した。

 2007.1.22日、東京地方裁判所(中川正隆裁判官)は、ピアノ演奏により長期間にわたって著作権侵害を繰り返していた飲食店経営者に対し、懲役10ヵ月(執行猶予3年)の判決を言い渡した。判決言い渡しの量刑理由の中で中川裁判官は、「仮処分決定後も著作権侵害を認識していながら演奏を継続したことは、犯意は堅固で常習的犯行であり、然るべき処分は免れない」とした。

 「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」の発起人で、IT・音楽ジャーナリストの津田大介さんは今回の事件について次のように述べる。
「(JASRACに払う使用料ついては)金額の妥当性や音楽の自由を主張する人は多くいる。実際ライブハウスなどでの(生演奏の)徴収の仕方はあいまいで、またそうやって徴収せざるを得ない面があるのも確かだ。あいまいなシステムであいまいに分配しているというシステムに対する不満を持っている人が多いというのが問題だ。そのあいまいな部分を演奏者、権利者、消費者のあいだでもっと議論し、時代に合わせた制度にしていく必要性がある」。
(私論.私見) 

 本件は、「ビストロ・ド・シティ」において、JASRACが著作権を管理する音楽作品が長期間にわたり無断演奏されていた事件とされているが、そのように受け止めべきであろうか。経営者がピアノ演奏店にしようがしまいが、それは経営者の判断である。本来なら、JASRACは、この経営者を音楽普及の功績有りとして表彰すべきものであって、金払えなぞとは云わないものだ。しかも何と840万円とは。これを容認するとしたら、社会が狂っているとしか言いようが無い。

 2006.2.4日 れんだいこ拝

【生演奏ピアノ撤去判決事件】
 「JASRACと音楽の使用者 著作権を巡り紛争「泥沼」、J-CASTニュース」(http://news.livedoor.com/article/detail/3012287/)その他を参照する。
 和歌山市内にあるレストラン「デサフィナード」(経営者・木下晴夫氏)が2005年の開店以来ピアノなどによる生演奏を行っていたところ、JASRACに音楽著作権料の支払いを催促された。木下氏は、「演奏のほとんどは著作権に触れないクラシックやオリジナル曲であり、つまりJASRACの管理楽曲以外の演奏であり、請求されるに及ばない」、「音楽文化の発展のために店舗を提供している」、「JASRACの使用料徴収の仕方が横暴」として拒否し続けた。

 2005.10.20日、JASRACはこれを不服とし、著作権侵害を繰り返しているとして損害賠償などを求める訴訟を提訴し、大阪地裁に仮処分を申請した。経営者は、「使用料の必要な曲は今後、一切演奏しない」と約束したが、2005.4月、大阪地裁は、「演奏内容を確認するすべがない」と演奏を差し止める決定を出した。これに対し、木下氏は、クラシックやオリジナル曲だけを演奏していることを証明するため、店に音声付きモニターカメラを設置し、演奏の様子をネットで流し、協会側にパスワードを知らせて常時確認できるようにした。その結果、同年9月、仮処分抗告審で、大阪高裁が「曲を確認できる状態になった」として仮処分決定を取り消した。

 協会の担当者は、「演奏中止の仮処分が退けられたケースは聞いたことがない。オリジナルと称している曲も元の曲をアレンジしただけで、使用料は払うべきだ」と主張。翌10月、演奏差し止めと、著作権侵害による損害金約250万円の支払いを求める訴えを大阪地裁に起こした。
 木下氏は、「仮処分決定が取り消されたのに、改めて演奏差し止めの提訴をするのは納得いかない。司法には正しい判断をしてほしい」と訴え続けた。

 木下氏は、この問題を世に問うことにした。「デサフィナードは現在JASRACと裁判中です。みなさまのご意見、メッセージなどお聞かせください」とコメントつけて「JASRACについて考える掲示板」を設置した。次のようなメッセージを発信している。

 デサフィナードは、地域の音楽文化発展を阻害するJASRACの横暴なやり方に抗議し、JASRACの音楽著作権独占による弊害の是非を求め、JASRACの管理楽曲は演奏しないという形の抵抗運動を続けています。

 JASRACは、音楽の著作権者権利を擁護し、あわせて音楽の著作物の利用の円滑を図り、もって音楽文化の普及発展に資することを目的として設立された文化庁の外部団体であるにも関わらず、音楽著作権管理業務を独占し、それを盾に著作権法38条に違反し営利を目的としない演奏活動に対してまで法外な料金の支払いを強要し、わが国の音楽文化発展を阻害しています。

 デサフィナードでは、このJASRACの公益に反する営業方法の是非を求め、全国の音楽愛好家と連携し、JASRACの音楽著作権管理業務の独占禁止を求める運動を展開しています。この戦いのため、デサフィナード店では当面JASRACの管理楽曲は演奏しないという抵抗運動を展開しています。皆様のご理解とご支援をお願いします。


 2007.1.30日、大阪地方裁判所(裁判長・田中俊次)は、レストラン側に損害金約191万円の支払いとピアノの撤去と楽器類の搬入の禁止を命じる判決を下した。

 JASRACは、「JASRACとしては、著作権を実効的に保護するとともに、適法に音楽の利用している方々との公平性を維持する観点から、このような悪質な権利侵害行為に対し、今後も法的措置を含めて適正に対処していく方針です」とする声明を発表した。「生演奏を行っている店の経営者の中にも、おなじような口実で侵害行為を続けるケースが少なくない。モラルが低下しており、悪しき風潮を正していきたい」と、“一罰百戒”の効果にも期待している。

 これに対し、レストラン側は「JASRACの行為は自由な音楽活動を妨害するもので、今回の判決はとんでもない話だ。JASRACは音楽普及を目的とした文化庁の外郭団体であるにもかかわらず、音楽文化の振興を遮断する行為に及んでいる。むちゃくちゃな判決だ」とし、控訴する方針だ。

 同レストランでは今回の訴訟にともなって、HP内に「JASRACについて考える掲示板」と題された掲示板を開設したところ、「JASRACに負けないでください!!応援してます!」等々声援メールが相次いでいる。
(私論.私見) 

 本件も同様で、「デサフィナード」の経営者・木下氏は、JASRACより音楽普及の功績有りとして表彰すべき方である。それが逆に沙汰されるとは。世の中が狂っている。

 2006.2.4日 れんだいこ拝



 



(私論.私見)