サミエル・ウルマンの「青春」

 更新日/2018(平成30).6.28日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、サミエル・ウルマンの「青春」を確認しておく。れんだいこ訳のできやいかに。

 2011.8.5日 れんだいこ拝


【サミエル・ウルマンの「青春」】
 「青春の詩」を参照する。「サミエル・ウルマンの青春の詩」が概要次のように紹介されている。

 第二次世界大戦後の1945.9.27日、昭和天皇が、日比谷の占領軍総司令部のマッカーサー元帥を初訪問し、別れ際にツーーショット写真を取られた。この時に、二人の後ろの壁に掛っていた英文詩 が「サミエル・ウルマンの青春の詩」 であった。マッカーサー元帥は、この詩を友人のコーネル大学教授 John  W.Lewis 氏 より贈られ、座右の銘として執務室に飾っていた。 

 作詩者のサミエル・ウルマン(Samuel Ullmann)氏は当時は全く無名で、アラバマ州の人だと言うこと以外は全く知られていなかった。この詩を、ある日本人 ( 岡田義夫氏 : 明24年、埼玉県生れ。元東京毛織のOB ) が見つけ、感動し、漢詩調に翻訳した。これが後に 松下幸之助氏 の眼に止まり、あるインタービューでこの詩の事を紹介したことから広く知れ渡ることになった。ロバート・ケネディーがエドワード・ケネディーへの弔辞にこの詩の一節を引用したのも有名な話である。

 その後、色々な人が、サミエル・ウルマン氏について調べ、近年になってアラバマ州のバーニングハム市でウルマンが晩年を過ごした家がみつかり、彼の作成した他の詩も発見された。JASA (日本協会) が、1993年に日米親善事業の一環として、その家を買い取り「ウルマン記念館」として運営しており、この様な経過を経て日本で有名になった後にアメリカにお里帰りしたという心温まる話がある。

 Samuel  Ullman (サミュエル・ウルマン。サムエル・ウルマンとも。1840−1924)の履歴は次の通り。「資料170 サミュエル・ウルマンの詩「青春」(原文)」部分転載。
 Samuel  Ullman (サミュエル・ウルマン。サムエル・ウルマンとも。1840−1924)は、1840年、ドイツに生まれた。幼年時、アルザスに移る。1851年、11歳の時、一家がユダヤ系ドイツ人であったため、迫害を避けるため両親とともにアメリカに移住して、ミシシッピのポート・ギブソンに住んだ。1860年、南北戦争が起こり、南軍の一員として戦う。1884年、アラバマ州バーミンガムに移り、金物屋を開業。市の教育委員とエマヌエル寺院の役員となる。1886年、エマヌエル寺院の会長となる(90年まで)。1887年、バーミンガム・ナショナル銀行の取締役となる。1890年、エマヌエル寺院のレイ・ラビ(ユダヤ教の教導者で、それを職業としない人)となる(94年まで)。1893年、教育委員会の委員長となる(00年まで)。1895年、市の参事会員となる(97年まで)。1901年、12番街に設けられた小学校がウルマン・スクールと名づけられた。1920年、80歳の誕生日に、家族がウルマンの詩集『80年の歳月の頂から』を出版。1924年、バーミンガムにおいて逝去。84歳。

 詩集『80年の歳月の頂から』に収められた “Youth”という詩が、アメリカの雑誌『リーダーズ・ダイジェスト』の1945年12月号に掲載され、次第に人々に知られるようになった。マッカーサー元帥は、『リーダーズ・ダイジェスト』誌に掲載される以前からこの詩を知っており、座右の銘にして執務室に掲げていたという。

【れんだいこ訳「サミエル・ウルマンの“青春”」】
 岡田義夫氏の漢詩調訳文は青春の詩で確認できる。ここでは、れんだいこ訳で内容を味わうこととする。
 青春

 青春とは人生のひと時を云うのではない。心の状態を云うのだ。旺盛な意欲、豊かな創造力、瑞々しい情緒、臆病を却ける勇猛心、安逸を斥ける好奇心、こういう心を持ち続けることを青春と云う。

 人は年を重ねただけで老いるのではない。理想を失う時に初めて老いる。歳月は皮膚のしわを増す。が、情熱を失う時に精神がしぼむのだ。

 苦悶や、猜疑、不信、恐怖、失望、こう云うものに長年月捉われることが、頭脳をくたびれさせ、若々しい精神を芥に帰せしめてしまう。


 人は70歳であろうと16歳であろうと須(すべか)らく、学ぶことを愛し、星や、その輝きにも似たる事物や思想に寄せるときめき、事に処する不退転の挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と堪能、これらがその胸中に抱かれているものだ。

 人は信念と共に若く、猜疑と共に老ゆる。自信と共に若く、脅えと共に老ゆる。希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる。

 人はその心が、大地より、人より、神より、美と喜悦、勇気と壮大、威厳と霊感の囁(ささやき)を受ける限り、いつまでも若さを失わない。

 心の緊張の糸が萎(な)え、人の心がすっかり悲歎の白雪と皮肉の氷に蔽いつくされた時に、人は真に老いて神の憐れみを乞うほかなくなる。

【れんだいこ訳「サミエル・ウルマンの“青春”」逐条解析文】
 れんだいこ訳「サミエル・ウルマンの青春の詩」の逐条解析文。
【原文とれんだいこ和訳】(「青春」)
 YOUTH(青春)
 Youth is not a time of life - it is a state of mind; 
 青春とは人生のひと時を云うのではない。心の状態を云うのだ。
 it is a temper of the will, a quality of imagination, a vigor of the emotions, a predominance of courage over timidity, of the appetite for adventure over love ease.

 旺盛な意欲、豊かな創造力、瑞々しい情緒、臆病を却ける勇猛心、安逸を斥ける好奇心、こういう心を持ち続けることを青春と云う。

(英訳)temper(怒り猛り)predominance(優勢、顕著な)appetite(興味)
 No body grows only by merely living a number of years; peoples grow old only by deserting their ideals.  
 人は、年を重ねただけで老いるのではない。理想を失う時に初めて老いる。
 (英訳)desert(見失う、捨てる)
 Years wrinkle the skin, but to give up enthusiasm wrinkles the soul.  
 歳月は皮膚のしわを増す。が、情熱を失う時に精神がしぼむのだ。
 (英訳)wrinkle(しわが寄る)
 Worry, doubt , self - distrust, fear and despair - these are the long , long years that bow the head and turn the growing spirit back to dust.
 苦悶や、猜疑、不信、恐怖、失望、こう云うものに長年月捉われることが、頭脳をくたびれさせ、若々しい精神を芥に帰せしめてしまう。
 (英訳) bow(曲げる、弦楽器をひく)
 Whether seventy or sixteen, there is in every being's heart the love of wonder, the sweet amazement at the stars and the starlike things and thoughts, the undoubted challenge of events, the unfailling childlike appetite for what next, and the joy and the game of life.
 人は70歳であろうと16歳であろうと須(すべか)らく、学ぶことを愛し、星や、その輝きにも似たる事物や思想に寄せるときめき、事に処する不退転の挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と堪能、これらがその胸中に抱かれているものだ。
 (英訳) wonder(不思議)、amazement(びっくり仰天する)、unfailling(絶えない)、appetite(欲望, 欲求)
 you are yang as your faith, as old as doubt ;
 人は信念と共に若く、猜疑と共に老ゆる。
 as young as your self - confidence, as old as your fear;
 自信と共に若く、脅えと共に老ゆる。
 as young as your hope, as old as your despair.
 希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる。  
 So long as your heart receives messages of beauty, cheer, courage, grandeur and power from the earth, from man and from the Infinite so long as your young.
 人はその心が、大地より、人より、神より、美と喜悦、勇気と壮大、威厳と霊感の囁(ささやき)を受ける限り、いつまでも若さを失わない。
 (英訳)grandeur(荘厳, 華麗, 盛大, 壮観; 偉大, 崇高さ, 威厳, 高貴)
 When the wires are all down and all the central place of your heart is covered with the snows of pessimism and the ice of cynicism, then you are grown old indeed and may God have mercy on your soul.
 心の緊張の糸が萎(な)え、人の心がすっかり悲歎の白雪と皮肉の氷に蔽いつくされた時に、人は真に老いて神の憐れみを乞うほかなくなる。
 (英訳) wire(不思議)、






(私論.私見)