ハングル文字誕生史考

 (最新見直し2010.11.14日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、ハングル文字を確認しておく。れんだいこの理解は今のところチンプンカンプンである。ウィキペディアのハングル」その他を参照する。

 2010.11.14日 れんだいこ拝


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英会話 衝撃の誤訳指摘

 ハングル(hangeul)、またはチョソンムンチャ(朝鮮文字)ともウリグル(我々の文字)とも呼ばれる文字。朝鮮語または韓国語を表記するための表音文字である。ハングルとは、朝鮮語で「大いなる文字」という意味。北朝鮮ではチョソングルチャ(조선글자,joseongeulja)と呼ばれる。韓国、北朝鮮以外でも満洲や沿海州、シベリア、樺太(サハリン)、カザフスタン、トルクメニスタンなど旧ソ連の一部でも朝鮮民族の居住地域を中心に、そして日本在住者が使っている。

 朝鮮民族は、15世紀半ばまで民族固有の文字を持たず日本と同じように中国から伝わった漢字を使っていた。土着的には、口訣(こうけつ・くけつ)・吏読(りとう)など万葉仮名のように漢字を借りた表記法により著していた。このような状況下で、1446年、李氏朝鮮(朝鮮王朝)第4代国王の世宗(セジョン大王、在位1418年-1450年)が、学者に命じて作らせた文字で、世界的にみても比較的新しい文字である。世界で最も科学的、合理的な文字といわれることもあるように、言葉の発音の仕組みをくわしく調べて 作られた、大変整った仕組みをもった文字である。(子音字の形などは、発音する時の口の形や舌の位置などが元になっているという。)

 形は、簡単な漢字のようにも見えるが、漢字のように文字一つ一つには意味はなく、ローマ字やカナのように音を表す文字である。母音を表す10個の文字の部品と子音を表す14個の文字の部品をいくつか組み合わせて一つの文字をつくる。カナよりもローマ字の仕組みによくにているが、ローマ字のように横にどんどんならべていくのではなくて、漢字のへんとつくりの組み合わせのように、音のまとまりごとに左右や上下に並べて一つの文字としてまとめる。したがって、このハングルで日本語の名前を書こうとするときは、基本的にはローマ字のように考えたらよい。ただし、韓国(朝鮮)語では、「カ」と「ガ」や「パ」と「バ」、「タ」 と「ダ」を違う音として区別しないので、当然それを区別して書く文字がない。したがっ て、「カ」と「ガ」は同じ書き方となってしまう。逆に韓国語には、日本人には「エ」、「オ」、「ウ」と聞こ える音が2つずつあって、これをカナで区別して書くことはできないなど、韓国(朝鮮)語の方が音の種類は、かなり豊富なため、日本人が韓国(朝鮮)語を学ぶときには、英語を学ぶ時同様、発音では苦労しそうである。

 ハングルは、日本語と同じようにたて書きにも横書きにもする。たて書きは、上から下 へ縦書きにし、右から左へ行を進める。横書きは、左から右へ横書きにし、上から下へ行 を進める。一字一字の書き順は、はぼ漢字を書くようなつもりでかけばよいが、○はゼロ のように上から左回りに書く。文を書くときは、言葉と言葉の間は空ける。丸は「。」を 使う。以前は、日本語のように漢字を混ぜて使ったが、現在ではほとんど漢字は使われない。(北朝鮮は完全に漢字を廃止している。)

 「訓民正音」(훈민 정음,Hunmin Jeong-eum)の名で公布し、国語とするよう積極的に推し進めた。しかし、その事業は当初から事大主義的な保守派から猛烈な反発を受けた。1444年に集賢殿副提学だった崔萬理らはハングル創製に反対する上疏文を提出し「自古九州之内、風土雖異、未有因方言而別爲文字者。唯蒙古・西夏・女眞・日本・西蕃之類、各有其字、是皆夷狄事耳、無足道者。(昔から中国の諸地は風土が異なっても、方言に基づいて文字を作った例はない。モンゴル西夏女真日本チベットなどは文字を持つが、これらはみな未開人のなすことであり、言うに足るものではない。)」と述べている。世宗はこのような反対派を押し切り、集賢殿内の新進の学者らに命じて1446年に訓民正音の名でハングルを頒布することとなった。

 字形の由来については起―成文図起源説、パスパ文字起源説など諸説がある。

 当時の支配者層である両班(りょうはん、양반〈ヤンバン・韓国〉、량반〈リャンバン・北朝鮮〉)における公的な書記手段は漢文であり、中人・下級官吏の書記手段は吏読であった。従って、ハングルがこれらの階層において正規の書記手段として受け入れられることはなく、その結果ハングルは大体において民衆の書記手段として広まることになる。とはいえ、実際には民衆のみならず、両班階層の私信や宮中の女子間の公文書などにもハングルが盛んに用いられ、その使用はかなり広範囲に及んでいた。

 ハングルはまず国家的な出版事業において活用された。ハングル創製直後1447年には王朝を讃える頌歌『竜飛御天歌』、仏を讃える頌歌『月印千江之曲』、釈迦の一代記である『釈譜詳節』が相次いで刊行され、次いで1448年には韻書『東国正韻』を刊行した。その後も国家によるハングル文献の刊行は続き、諺解書(中国書籍の翻訳書)を中心にその分野は仏典・儒教関連書・実用書など多岐にわたる。刊行された書籍は各地で覆刻され版を重ねることが少なくなかった。

  1. 仏典:李朝初期には刊経都監が設置(1461年)され仏典翻訳が盛んに行われた。『楞厳経諺解』(1461年)、『法華経諺解』(1463年)、『金剛経諺解』(1464年)、『般若心経諺解』(1464年)、『円覚経諺解』(1465年)など15世紀に多くの仏典が刊行された。
  2. 儒教関連書:李氏朝鮮が儒教を国教としたことにより、儒教関連書は李朝を通して盛んに刊行された。四書五経などの翻訳本として『翻訳小学』(1517年)、『大学諺解』(1590年)、『周易諺解』(1606年)、『詩経諺解』(1613年)などがあり後世に重刊本も刊行された。また『三綱行実図諺解』(1481年)は儒教の民衆教化書として各種の版本が李朝後期まで何度も重刊されている。
  3. 実用書:『救急方諺解』(1466年)、『救急簡易方』(1489年)、『牛馬羊猪染疫治療方』(1541年)、『分門瘟疫易解方』(1542年)などの医書・家畜防疫書がたびたび刊行されている。また、通訳官養成所である司訳院からは日本語学習書『伊路波』(1492年)、中国語学習書『翻訳老乞大』(16世紀)、満州語学習書『清語老乞大』(1704年)、モンゴル語学習書『蒙語老乞大』(1741年)などハングルで音を示した外国語学習書が刊行された。

 主に民衆の書記手段として用いられたハングルであるが、支配層におけるハングルの使用も少なくない。国王の記したハングル書簡としては、世祖の『上院寺御牒』(1464年)、宣祖の『御筆諺簡』(1603年)などをはじめとした筆写文献が現存している。また、李珥李栗谷)、権好文金尚容ら両班の文化人が時調(朝鮮の詩歌で和歌のようなものに当たる)を詠む際にも、ハングルが利用された。

  ハングルによる文学作品も李朝を通して世に出ている。ハングル創製初期の詩歌『竜飛御天歌』、『月印千江之曲』は上述の通りであるが、それ以降にも『杜詩諺解』(1481年)などの翻訳漢詩集が刊行されている。中宗(在位1506年-1544年)以降の作品として金絿(1488年-1534年)の「花田別曲」、李賢輔(1467年-1555年)の「漁夫歌」、李滉(1501年-1570年)の「陶山十二曲」など、数々の詩歌が残っている。ハングル小説として本格的なさきがけとなったのは許筠(1569年-1618年)の『洪吉童伝』があり、また日記文学『癸丑日記』なども17世紀から見られる。その他にも『春香伝』、『沈清伝』(いずれも年代未詳)などパンソリを起源とする小説がハングルによる書籍として刊行されたりもした。

 開化期になると民族意識の高揚とともにハングルが広く用いられるようになる。開化派井上角五郎の協力により、朝鮮初の近代新聞(官報)である『漢城周報』(1886年創刊)が発行され、これには漢文のほかにハングルのみによる朝鮮文が採用された。それまで公的な文書においてハングルが正式に用いられることがなかった朝鮮において、政府の関与した文書にハングルで記された朝鮮文が採用された意義は大きい。また、『漢城周報』では漢文的要素の強い朝鮮文である「国漢文」と呼ばれる新たな文体も同時に創作・採用された。国漢文の創作・採用に当たっては日本の漢文書き下し文の文体を参考にしたと見られるが、そのような経緯には福澤諭吉門下の井上角五郎の助力があったと見られる[1]。しかしながら、国漢文は漢文の素養を必要とする文体であったため、一般に広く流布するには至らなかった。1896年に創刊された『独立新聞』はハングルと英文による新聞であった。これは分かち書きを初めて導入した点でも注目される。公文書のハングル使用は、甲午改革の一環として1894年11月に公布された勅令1号公文式において、公文に国文(ハングル)を使用することを定めたことに始まる。

正書法に関しては「朝鮮語の正書法」を参照

 2009年にはハングル世界化プロジェクトによってインドネシアの少数民族チアチア族チアチア語en:Cia-Cia_language)の文字表記にハングルを導入した[2]。チアチア語にはアルファベットやアラビア文字では表せない音があるが、ハングルなら表記が可能であるかもしれないと採用された。現在までのところ不具合もなく2010年より教科書が発刊され今後の行方が注目されている。[3]。ただしこの報道には誤報の疑いがある[4]


 ハングルの呼称について

 分断以前

 1446年にこの文字が頒布された当時は「訓民正音」あるいは略して「正音」と呼ばれた。これは「民を訓(おし)える正しい音」の意である。しかしながら、この文字は当初から「諺文(언문、オンモン / オンムン)」という卑称で呼ばれていた。「諺」とは本来俗語の意であり、中国語に対して朝鮮語を指して「諺」あるいは「諺語」と呼んだものである(文字頒布の書である『訓民正音』においてもこの用語が現れている)。従って「諺文」とは「俗語(朝鮮語)を表す文字」という意味である。この「諺文」という呼称はその後広く用いられ、植民地時代までこの呼称が用いられた。ハングルはまた「諺書」とも呼ばれたが、これは「真書(漢文)」に対する呼び方である。漢字を正統な文字とし、ハングルを卑俗の文字とするこのような呼称は、あたかも日本において漢字を「真名」、カナを「仮名」と呼んだことにも通じる考え方である。それ以外にも「アムクル(암클、女字の意)」、「アヘグル(아해글、子供字の意)」という呼び名もあったようだが、これらはこの文字の主要な使い手が女性や子供であったことに由来する。

 「ハングル」という呼称が文献上に初めて現れるのは1912年のことであり、周時経に始まると言われる(異説もある)[5]。この呼称が一般化したのは、1927年にハングル社から雑誌『ハングル』が刊行されてからである。「ハン」は「大いなる」あるいは「一つの」の意とされ、「ハングル」は「大いなる文字」あるいは「一つの文字」の意であるとされる。

 韓国

 大韓民国では以前からの呼称「ハングル」を用いている。また、コンピュータ関連の用語としては「朝鮮語」の意味でしばしば用いられ、朝鮮語版ウィンドウズのことを「ハングル ウィンドウヂュ(한글 윈도우즈)」などと呼ぶことがある。

 北朝鮮

 北朝鮮では「チョソングルチャ」(조선글자、朝鮮文字の意)もしくは「ウリグル」(우리글、我々の文字の意)と呼ぶ。「ハングル」という呼称は「ハン」が「韓(ハン)」に通じることを嫌ってか、一時期は辞書にすら登録されていなかったが、近年になり朝鮮語学会に対する再評価を受けて「ハングル」という単語も辞書の見出し語として掲載されるようになった。ただし、実際には「ハングル学校」など解放前・解放直後の歴史的な事柄にもっぱら用いられるようである。

 日本

 日本では、かつては「諺文」が日本語読みの「オンモン」と呼ばれていた。また「朝鮮文字」とも呼ばれていたが、ハングルと呼ぶ場合が多い。

 中国

 現在でも中国では「諺文(繁体字)/谚文(簡体字)」(拼音: yànwén 注音: ㄧㄢˋㄨㄣˊ)と呼ばれている。

 議論

 その呼び名をめぐっては誤用・誤解との議論もある。

詳細は「朝鮮語の呼称問題」を参照


 字母と文字構成
 ハングルは表音文字である。ひとつひとつの文字が音節を表す文字体系だが、子音と母音の字母(자모、チャモ)を組み合わせて文字を構成する。このような文字体系をフィーチュラルスクリプトと呼ぶ研究者もいる。

 子音字母は基本字母が14個、合成字母が5個の計19個、母音字母は基本字母が10個、合成字母が11個の計21個であり、合成字母を含めた字母の総数は40個である。それぞれの字母は以下の通りである。

 なお、1446年当時と現在とでは文字の構成要素も変化している。朝鮮語の音韻に関する諸々の事柄については「朝鮮語の音韻」を参照のこと。また、ハングルの成り立ちについては「訓民正音」を参照のこと。

 ローマ字は2000年大韓民国文化観光部告示第2000-8号「国語のローマ字表記法국어의 로마자 표기법)」による。

 字母「」は音節頭の位置にあるときには子音がないことを表し、音節末にあるときには鼻音[ŋ]を表す。

 訓民正音創製当時には中期朝鮮語の音韻を表す子音字母として [z] [ŋ] [ʔ] があったが、現代朝鮮語の表記には用いられない。

 ローマ字は2000年大韓民国文化観光部告示第2000-8号「国語のローマ字表記法국어의 로마자 표기법)」による。合成字母の配列順序は大韓民国の順序に従う。

 訓民正音創製当時には中期朝鮮語の音韻を表す母音字母として [ʌ] があったが、現代朝鮮語の表記には用いられない。

 字母の組合せ [編集]

 字母(チャモ)を2つ以上組み合わせて1文字を成す。1文字の構成は子音字母 + 母音字母あるいは子音字母 + 母音字母 + 子音字母のどちらかである。音節頭の子音字母を初声、母音字母を中声、音節末に来る子音字母を終声またはパッチム받침。「支えるもの」の意)と呼ぶ。

 初声と中声の組み合わせ方には3つのタイプがある。

ga   中声が「」のときは、初声を左に、中声を右に配置する。
go   中声が「」のときは、初声を上に、中声を下に配置する。
中2
中1
gwa   中声が「」のときは、初声を左上に、中声を下から右にかけて配置する。

 終声があるときは、これらの下に終声を置く。

中2
中1

gan

gon

gwan

 なお、終声として用いることのできる子音字母は、 dd, bb,ㅉ jjを除いた16個である。また、朝鮮語の形態音素表記のために、終声では2つの子音字母を左右に組み合わせることがある。正書法で認められている組み合わせは、 gs, nj, nh, lg, lm, lb, ls, lt, lp, lh, bsの11種類である。

音価 終声字 複合終声字
, ,
, , , , , ,    
, ,
, , , , ()  
,  
 
   

 

 文字コード [編集]

 完成型と組合型 [編集]

 字母を組み合わせて作られる文字の理論上の組み合わせは11,172文字だが、実際に使用されるのはその半分以下である(1987年に韓国の国家標準となったコンピュータ用の文字セット(KS完成型、KS C 5601-1987)には日常の99%が表記できる範囲として2,350字しか含まれなかった)。なお、1994-1995年ごろまでは11,172文字全部を表現できる文字セット(組合型、johab)が圧倒的に多く使われていたが、Windows 95でKS完成型を拡張した文字セット(拡張完成型、UHC(Unified Hangul Code))を採用し、後のWindowsにも使用されたため、現在は組合型文字セットはほとんど使われていない。なお、Windows NT系ではUnicode 2.0(KS C 5700、現:KS X 1005-1)以降をサポートしている。

 Unicode [編集]

 Unicodeにはハングルを符号化するための文字が数種類あり、標準的に使用されるものは、ハングル字母(U+1100-11FF)とハングル音節文字(U+AC00-D7A3)である。

 ハングル字母はハングルを構成する字母で、これらを合成する事により15世紀から現代までのハングル音節文字を作成できる。U+1100-115Fは初声子音、U+1160-11A2は中声母音、U+11A8-11F9は終声子音が定義されている。

 ハングル音節文字は、2つの字母からなる音節399文字、3つの字母からなる音節10,773文字の合計11,172文字で構成されている。

 この他にハングル互換字母(U+3130-318F)があるが、KS完成型(KS C 5601-1987、現:KS X 1001:1998)との互換性のために存在する。

 ハングル大移動 [編集]

 Unicodeでは、Unicode 1.1以前とUnicode 2.0以降ではハングルを定義する領域が異なっており互換性がない。

 Unicode 1.1まではU+3400-4DFFにハングルが定義されていたが、Unicode 2.0制定時に、新しくU+AC00-D7AFにハングルが定義され旧領域は破棄された。その際、韓国の要求によりKS C 5601-1992の組合型文字セットに基づく現代ハングル音節文字11,172文字が網羅されている。なおUnicode 2.0で破棄された領域は、Unicode 3.0制定時にCJK統合漢字拡張A集合としてU+3400-4DBFに定義されている。

 その他 [編集]

 ハングルのキーボード
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 漢字復活論
表音文字であり多数の意味に通じる(同音異義語が多い)ことから、漢字の見直しが始まっている。しかし漢字を使うことに反発を覚える人も多く、あまり進んではいない。日本語と違い韓国・朝鮮語では音節が多様なので同音異義語が相対的に(完全に回避は出来ないが)少ないことも理由である。ベトナムで漢字復活論が下火なのも、ベトナム語の発音の複雑さ、声調により同音異義語が(完全ではないにしろ)回避されているからだという意見もある。
 ハングルの起源
ハングルの起源は、その構成法などからウイグル文字に影響を受けた契丹文字(契丹小字)であると考える学者もいる(西田龍雄など)。
 朝鮮語以外のハングル表記
言語学の知識に乏しい韓国人の中には「ハングルは世界中のあらゆる言語を正確に表記できる文字体系である」と主張する者もいる。これは韓国においてハングルが民族の誇りとして扱われており、また実際にハングルの文字体系としての一定の合理性が指摘されているため、それを言語学に無知な人間が誤解したものである。無論朝鮮語を表記するのには優れた文字であるが、世界中の言語を正確に表記することは、他のあらゆる文字でそうであるように、ほとんど不可能である。
例えば日本語をハングルで表そうとする場合、濁音、「」を標準的表記法(一例)で正確に表すことは難しい。さらに、ㄱㄷㅂㅈは、原則として語頭で無声音になるため、例えば「다시」が、「ダシ」ではなく「タシ」に近い音となる。「ザ行」も「[tʃ/dʒ]で代用するため、代用表記そのままで発音すると「ざる」が「チャル」、「かざり」が「カヂャリ」に近い音になる。長音も短音で代用するので、「庄原」(しょうばら)は、「쇼바라」(ショバラ)となる。またハングルには "F" にあたる子音字がなく(通例外国語を表記する際はで代用するが、で代用される場合もある)、後に母音が来ない子音は何らかの母音をつけて表記する場合もある(例:psi(ψ)→프시/pɯsi/)。
主要言語のハングル表記
 オンヌリ・ハングル
ただし、通常のハングルでは無理だが、ハングルの造字原理に沿って文字数を拡張した「オンヌリ・ハングル表記法」を使えば、世界中の言語を正確に表記できると主張する学者もいる(オンヌリは「全世界」の意)。この表記法によれば、例えばv音は、f音はの字形で表記される。オンヌリ・ハングルの考案者である鄭元洙(チョン・ウォンス)忠南大学教授は「この方式で日本語の350種類、中国語の420種類の音節をほぼ完全にハングルで表記できる」「複雑な中国語をハングルで表記できる以上、ヒンディー語タイ語アラビア語などにも十分に適用できる」「読み書きがし易く、科学的なハングルで、文字を持たない民族の言語を表記できる日も必ずやってくるだろう」と主張している[6]
もっとも、既に文字のあるヒンディー語等や、朝鮮語話者には難しい発音をわざわざ表記するメリットは不明。
 世界で最も優秀な文字
国際神学大学院大学が主催して、ハングル学会などが後援する第1回世界文字オリンピックでハングルが1位となり、世界最高の文字と認められた。しかし、韓国で開催される・ハングル学会が後援する・変化の少ない文字を数年間隔で比較するなど、明らかに合理性に欠けた出来レースだと思われる点が多々存在する。第2回世界文字オリンピックは、2011年に韓国の釜山で開催予定。

 韓国語の文字と発音
 ハングル文字は、一見まるで複雑な暗号記号のようで難しそうであるが、基本的にはローマ字と同じ構造で、原理を理解してしまえば解読は簡単。ハングル文字は母音と子音で構成されている。「母音+母音」となっている母音を二重母音または合成母音という。子音で終わる場合、最後の子音をパッチムと呼ぶ。 
表記 ローマ字 発音

a [a] "ア"
ya [ja] "ヤ"
eo [c] "オ" 「ア」と「オ」の中間
yeo [jc] "ヨ" 「ヤ」と「ヨ」の中間
o [o] "オ" 唇を尖らせて
yo [jo] "ヨ" 唇を尖らせて
u [u] "ウ" 唇をかなり尖らせて
yu [ju] "ユ"
eu [ω] "ウ" 唇を平らにして
i [i] "イ"



ae [ε] "エ"
yae [jε] "イェ"
e [e] "エ"
ye [je] "イェ"
wa [wa] "ワ"
wae [wε] "ウェ"
we [we] "ウェ"
wo [wc] "ウォ"
we [we] "ウェ"
wi [wi] "ウィ"
ui [ωi] "ウィ"
ハングル文字の子音

表記 ローマ字 発音

g [k/g] 日本語のカ行音 *5
n [n] 日本語のナ行音 *6
d [t/d] 日本語のタ行音 *5
r/l [r/l] 日本語のラ行音 *3
m [m] 日本語のマ行音
b [p/b] 日本語のパ行音 *5
s [s] 日本語のサ行音
書かない/ng [無音/ng] 日本語のア行音(発音しない) *4
j [t∫/d3] 日本語のチャ行音 *5
h [h] 日本語のハ行音


*1
ch [t∫h] の激音
k [kh] の激音
t [th] の激音
p [ph] の激音


*2
kk [?k] の緊張した音
tt [?t] の緊張した音
pp [?p] の緊張した音
ss [?s] の緊張した音
tch [?t∫] の緊張した音
(反切表)

  母音
子音  

a

ja

c

jc

o

jo

u

ju

ω

i
合成母音

k,g


キャ


キョ


キョ


キュ



ε

n


ニャ


ニョ


ニョ


ニュ




t,d


ティャ


ティョ


ティョ

トゥ

ティュ

トゥ

ティ

e

r,l


リャ


リョ


リョ


リュ



je

m


ミャ


ミョ


ミョ


ミュ



wa

p,b


ピャ


ピョ


ピョ


ピュ




s,∫


シャ


ショ


ショ


シュ



we

無音,ng











wc

t∫,d3

チャ

チャ

チョ

チョ

チョ

チョ

チュ

チュ

チュ


we

t∫h

ちゃ

ちゃ

ちょ

ちょ

ちょ

ちょ

ちゅ

ちゅ

ちゅ


wi

kh


きゃ


きょ


きょ


きゅ



ωi

th


てぃゃ


てぃょ


てぃょ

とぅ

てぃゅ

とぅ

てぃ

ph


ぴゃ


ぴょ


ぴょ


ぴゅ



h


ヒャ


ヒョ


ヒョ


ヒュ



?k

(ッ)

(ッ)キャ

(ッ)

(ッ)キョ

(ッ)

(ッ)キョ

(ッ)

(ッ)キュ

(ッ)

(ッ)

?t

(ッ)

(ッ)ティャ

(ッ)

(ッ)ティョ

(ッ)

(ッ)ティョ

(ッ)トゥ

(ッ)ティュ

(ッ)トゥ

(ッ)ティ

?p

(ッ)

(ッ)ピャ

(ッ)

(ッ)ピョ

(ッ)

(ッ)ピョ

(ッ)

(ッ)ピュ

(ッ)

(ッ)

?s,?

(ッ)

(ッ)シャ

(ッ)

(ッ)ショ

(ッ)

(ッ)ショ

(ッ)

(ッ)シュ

(ッ)

(ッ)

?t∫

(ッ)チャ

(ッ)チャ

(ッ)チョ

(ッ)チョ

(ッ)チョ

(ッ)チョ

(ッ)チュ

(ッ)チュ

(ッ)チュ

(ッ)

~ 日本語のハングル表記 ~


[a]

[i]

[u]

[e]

[o]

[ka]

[ki]

[ku]

[ke]

[ko]
きゃ
[kja]
きゅ
[kju]
きょ
[kjo]

[sa]

[∫i]

[sω]

[se]

[so]
しゃ
[∫a]
しゅ
[∫u]
しょ
[∫o]

[ta]

[t∫i]

[?sω]

[te]

[to]
ちゃ
[t∫a]
ちゅ
[t∫u]
ちょ
[t∫o]

[na]

[ni]

[nu]

[ne]

[no]
にゃ
[nja]
にゅ
[nju]
にょ
[njo]

[ha]

[hi]

[hu]

[he]

[ho]
ひゃ
[hja]
ひゅ
[hju]
ひょ
[hjo]

[ma]

[mi]

[mu]

[me]

[mo]
みゃ
[mja]
みゅ
[mju]
みょ
[mjo]

[ja]

[ju]

[jo]

[ra]

[ri]

[ru]

[re]

[ro]
りゃ
[rja]
りゅ
[rju]
りょ
[rjo]

[wa]

[o]

[ga]

[gi]

[gu]

[ge]

[go]
ぎゃ
[gja]
ぎゅ
[gju]
ぎょ
[gjo]

[d3a]

[d3i]

[d3ω]

[d3e]

[d3o]
じゃ
[d3a]
じゅ
[d3u]
じょ
[d3o]

[da]

[d3i]

[d3ω]

[de]

[do]
ぢゃ
[d3a]
ぢゅ
[d3u]
ぢょ
[d3o]

[ba]

[bi]

[bu]

[be]

[bo]
びゃ
[bja]
びゅ
[bju]
びょ
[bjo]

[pha]

[phi]

[phu]

[phe]

[pho]
ぴゃ
[phja]
ぴゅ
[phju]
ぴょ
[phjo]
各文字の下に [n] をつける。
各文字の下に [s] をつける。
※ か、た行は、語中では激音で表記する。
※ つ、ざ、ず、ぜ、ぞ、づ などのハングル表記は便宜上のもの。




(私論.私見)