「誰しも人は次のことを理解しておく必要がある。すなわち君主たる者は、わけても新しい君主は、政体を保持するために、時に応じて信義に背き、慈悲心に背き、人間性に背き、宗教に背いて行動することが必要なので、人間を善良な存在と呼ぶための事項を何もかも守る訳にはいかない。またそれ故に彼は、運命の風向きや事態の変化が命ずるままに、えのれの行動様式を転換させる心構えをもち、先に私が言った如く、可能な限り、善から離れることなく、しかも必要とあれば、断固として悪の中へも入っていく術(すべ)を知らねばならない」。
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「君主たる者は、おのれの臣民の結束と忠誠心とを保たせるためならば、冷酷という悪評など意に介してはならない。(中略)慕われるよりも恐れられていたほうがはるかに安全である。(中略)なぜならば、恩愛は義務の鎖でつながれているので、邪(よこしま)な存在である人間は、自分の利害に反すればいつでも、これを断ち切ってしまうが、恐怖のほうは、あなたに付きまとって離れない処罰の恐ろしさによって、つなぎ止められているから」。 |
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