その4、世の中、社会考察

 (最支那見直し2006.5.23日)

 菜根譚の一節
 「悪之顕者禍浅、而隠者禍深」

 (解説)

 悪も暴かれて世に現われるようなものは、それほどの悪ではなく、その罪は浅いが、隠れた悪はその根が深く恐ろしい

 夏目漱石の「草枕」の一節
 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向こう三軒両隣りにちらちらする唯の人である。唯の人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

 (解説)

 日本人は、昔からこの発想で生きてきた。向こう三軒両隣りの仲間意識の上に立って、他人の立場と心情をも思いやり、気を配って生きるという人間関係を結んできた。そこに義理と人情がからみ、詩が生まれている。これが基礎となって道徳と法律が生まれてきた。ここに日本社会の特質が有る。

 近代物理学の鬼才スティーヴン・ホーキング
 「所詮この世は神の支配下にある。神とは偶像ではなく自然科学の法則だ」

 佐賀藩士山本常朝(つねとも)の「葉隠れ」
 「若侍どもの出会いの話に、金銀の噂、損得の考え、内証ごとの話、衣装の吟味、色欲の猥談ばかりにて、この事のなければ一座しまぬ様に相聞こえ候。是非なき風俗になりゆき候」

 民法学者・末弘厳太郎「嘘の効用」
 「全く嘘をつかずにこの世の中を生き永らえることは全然不可能なように、この世の中ができているのです」

 (解説)

 「嘘は泥棒の始まり」と「嘘も方便」との間に世の生態があるというべき。

 E.カーペンター(英:詩人)
 「心を鎮めて、この世の美しさと、この世に蓄えられている莫大な、無限の宝に気づこう。あなたの中にあるものすべて、あなたの心が望むものすべて、自然があなたのために特別に用意したもの全てあるいはそれと同等のものが、あなたのためにこの世のどこかに埋められている。だがそれにも増して確かなのは、定められた時よりも一瞬たりとも早くは見つからないことだ。泣いても、焦っても、手を伸ばしても、何の役に立たない。だからそんな手を使うのはやめよう」。

 リリー・ピンカス
 「分かっている。喪失を取り返しのつかない事実として受け入れ、それに伴う苦しみを感受することで、必ずしも人生が目減りするわけではないと。それどころか、新たな性質の充足感を与えてくれるのだと。又その充足感が悲嘆の苦しみを通り抜けて初めて得られることも、私は知っている」。

 新渡戸稲造「武士道―日本の魂」
 「運命に任すという平静なる感覚、不可避に対する静かなる服従、危険災禍に直面してのストイック的なる沈着、生を賎しみ死を親しむ心、仏教は武士道に対してこれらを寄与した」。

 
(解説)

 新渡戸稲造(1862〜1933)は、農業経済学者、教育者。
名著「武士道―日本の魂」で、日本の武士階級の人生観を著作し、欧米で評価を得た。

 野村克哉監督
 「親孝行な選手は感性がいい」。
 「投げたり、打ったりの技術は、誰でもある程度まではできる。最終的に物を言うのは、頭脳、センスだ。親思いの子は感性が鋭い。親子の絆が強い選手は伸びるね」。

 木村愛二碁盤外の岡目八目の方が疑い過ぎ
 木村説を「陰謀史観」と批判的姿勢を取る者に対して次ぎのように述べている。
 「疑い過ぎも困ったものですが、実は、ありふれた謀略を見抜く真の賢者を『陰謀史観』などと称して貶める方が、陰謀家または疑い過ぎで、しかも自分を動かす自己中心の遺伝子の権力意識に無自覚のまま、優等生気分で悪の手先にさせられている単細胞なのですよ」。

 夏目漱石「草枕」の書き出し
 「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。知に働けば角が立つ。情に棹(さお)差せば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくこの世は住みにくい」。

 福沢諭吉「学問の勧め」
 「天は人の上に人を造らず。人の下に人を造らず。人学ばざれば智なし。智なき者は愚人なり。されば、賢人と愚人の別は、学ぶと学ばざるによってできるものなり」。

 「人のものは俺のもの、俺のものは俺のものという態度で言論の自由とか、三つの自由とか国民に訴えても国民は信用しない」(1976.10.7日付け朝日・稲葉法相談話)

 ガリレオの「新科学対話」
 概要「新しく発見された真理を受け入れるよりも、古い誤謬にしがみつこうとする一種の病癖と欲望。自分が、その正しさを誰にも劣らずに信じ、且つ認めてきた結論が、後になって他人によって、簡単に暴露され、この誤謬を指摘されるということは、痛ましい、不愉快なことに違いない」(ガリレオ・1564−1642「新科学対話」)。

 「乾ききった大地が水をのぞんでいるように、民衆は知識を欲している。しかし民衆には、パンの代わりに、石が与えられている」(「リーンハルトとゲルトムート」)

 「経済研究の主な動機は社会改良を助けることにある。ゆえに経済学は純粋であるよりは実践的であるだろう。だが、そうだからといって、単に記述的であって良い訳ではない」(ピグー・1817−1959「厚生経済学」)

 フルシチョフの「忙しい怠け者」
 第20回大会でのフルシチョフ報告の1節。
 「党の事務所にいて、朝から晩まで忙しくしており、資料を作り通達を出し、全国を回って尻をひっぱたいてくる。しかし、絶対、大衆には顔を向けない、学ぼうとしない。こういう態度ではいけない」。

 「官僚というものは、いつでも、こういうソツのない、どこといって間違ったところはないけれど、その全体が間違っている文書を作成するのが、得意なものです。手続きとしてやるだけのことはやった、だから仕方ない−仕方ないというより、それでいいんだ、という文章。結果がどうであったって、そんなことは知ったことではない」(「暗黒の代々木王国」・辻泰介・P271)

 「皆さんは歴史が過去を裁き現在に教訓を与えることを期待しているが、私はそんな大それた事は考えていない。ただ、真実は何だったかを語りたいだけだ」(レオポルド・ランケ)

 「悪友を親しむ者は共に悪名を免る可らず。我れは心に於て亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」福沢諭吉「脱亜論」(1885年)

 これは、アヘン戦争により列強に引き裂かれ租界を作られてしまった清国や、防備を怠り列強の侵攻が恣に行われた李氏朝鮮に対して、そのあまりの清国・李氏朝鮮の傲慢・無反省ぶりに、「真似をしていたら列強から同じように見られ、同じ目に遭う」との思いから福沢が言ったものです。 つまり、悪友と謝絶せよと。このとき、世界はやるか、やられるかの状況に入っており、日本は選択を迫られました。日本はやる方に回り、世界に冠たる先進国になりました。やらない側に回った中国・韓国・北朝鮮は言うまでもありません。


 井上正治「田中角栄は無罪である」189P
 「案外に皆が気づいていないことを突き出したときには、いつの場合でもだいたい非難のほうが多いのであって、冷静に考え直してもらうまでには時間がかかる」

 井上正治「田中角栄は無罪である」59P
 「歌には全て『歌の心』があるように、法には『法の心』というものがある。法の世界では、哲学や文学の力も借りなければならないこともあるが、その底に『法の心』がないとなると、どんなに声を大にしてみても、上手な歌は歌えないのである」。

 福沢諭吉「学問のススメ」での「怨望の害あるを論ず」
 「凡そ人間に不徳の箇条多しといえども、その交際に害あるもの怨望より大なるはなし。怨望は人の言路を塞ぎ、人の業行を防ぐる等の如く、人類天然の働きを窮せしむる」

 (解説)

 嫉妬の弊害に対する鋭い警告。同じくヒルティーも、「眠られぬ夜のために」の中で、「人間の全ての性質の中で、嫉妬は一番醜く、虚栄心は一番危険なもの。心の中のこの二匹の蛇から逃れることができたら、なんとすばらしいことか」がある。「他人の不幸は蜜の味」

 林房雄
 「人間の成長法則を無視して、青年をおだてる奴は悪党であり、おだてられて飛び上がる
青年は馬鹿である」、「『未来は青年のものである』は魅力的なスローガンではあるが、『雨
が降る日は天気が悪い』、『赤ん坊も三年経てば三つになる』的な表現と替わらないナンセ
ンス用語である」。
 「公衆は事実を充分に知らないけれども、そのために却って、知りすぎるが故におかす玄
人たちよりも正しい判断を下す」。

 中曽根康弘日記
 「騒いでいる大部分の人たちは、太平洋のイワシの大群の如く、先頭が右に回避すれば、群れをなして右に行き、左に方向を転ずれば、また左に行く。そして、ひとたび異変が起これば、クモノ子を散らしたように散り乱れるといっとた大衆である」

 ある人の言葉に次のようなものがある。
 「夢を抱く人のうち、その夢を行動に移せる人はわずかだ。行動する人のうち、それを成功させる人はわずかだ。成功者のうち、それを偉大なものにさせ得る人はわずかだ。そして、偉大なことを成し遂げる人のうち、将来の世代にわたりそれらを生かし続けることができる人は、ほんの数人だ」。

 女優・山田五十鈴の言葉。
  「貧乏を憎み、誰でもまじめに働きさえすれば、幸福になれる世の中を願うことが、アカだというのなら、わたしは生まれたときからアカもアカ、目がさめるような真紅です」

 「かってあったことはこれからもあり、かって起こったことはこれからも起こる。太陽の下、新しいものは何一つ無い」(旧約聖書の「伝道の書」の一節 )。

 「あぁ学識無くして徒に感情にのみ支配せられし当時の思想の誤れしことよ」(景山(福田)英子「妾(わらわ)の生涯」)。


 「人間の歴史の高さは、どれほど多くの人間の内奥に、その精神の自主性を呼び覚ましたかによって測られる」(市井三郎「明治維新の哲学」)

 高橋是清蔵相「是清翁遺訓」
 「子が相当の年齢に達した以上は、全くの独立独歩、一厘一銭も親の厄介にはならず、自分の奮闘によって、自分の運命を開拓していく。いかに親に財産があっても、子は独立の人間として、一本立ちで社会に立たなくてはならぬ」

 「日本では、自由と責任の概念が曲解されている。自由とは自己責任において与えられるものだ。それを理解しない社会に真の繁栄はないだろう。」 「自分の意見が世間一般の意見と食い違っていても、後暗さを感じる必要は全くない。価値観は十人十色なのだから自分を偽らずに自分の感覚に忠実であるべきだ。」

 石橋湛山「東洋経済」社説
 「如何に善政を布かれても、日本国民は、日本国民以外の支配を受けるを快とせざるが如く、支那国民にもまた同様の感情が存することを許さねばならぬ。然るに我が国民の満蒙問題を論ずる者は、往々にして右の感情の存在を支那人に向かって否定せんとする」。

 鈴木永二・日経連会長
 「リーダーとは、歴史観・倫理観・正義観が三位一体の人を言う。更に云えば、戦術(目先のこと)しか使えない者はリーダーではなく、単なるボスに過ぎない。リーダーは加えて、戦略(中・長期的視野に基づいた構想力)がなければならない」

 後藤田正晴官房長官「中央公論」平成元年2月号
 「民主主義社会であればあるほど、真のリーダーシップが求められる。これが独裁政治であれば、その体制に支えられて、さほどのリーダーシップがなくても組織の維持ははかれる。民主主義というのは、てんでんばらばらだから、ソ連みたいな国と日本とリーダーシップの発揮の仕方はどちらが難しいかと言えば、そりゃずっと日本だ」。

 氏名不詳
 自由とは幸せな気分で目覚め、一日期待すること。 自由とは今日一日に対処し楽しむことが出来ると知っていること、 そして、 恐らく、明日も、又、次の日もそうできると知っていることであるFreedom is getting up happy and looking forward to the day ahead.
 Freedom is knowing that you can cope
 with and enjoy this day, and, very likely, tomorrow,
 and tomorrow.

 ラ・ロシュフーコー[1613-80](仏:モラリスト.政治家.思想家.公爵):箴言34
 世間が美徳と称しているものは、普通は我々の情念が作り出した幻影に過ぎない。罰せられることなしに自分のやりたいことをやるために、人々はこの幻影に立派な名前をつけたのである

 5年もすれば、今どんな車に乗り、どんな家に住み、何を着て、いくら貯金があるかはどうでも良いことになるだろう。大切なのは、子供の心に何を育てられたかである。それこそが、世の中を少しでも、良くすることにつながるのだ

 クラウゼヴィッツ・テーゼ「戦争論」
 「一頭のライオンが率いる百匹の羊と、一匹の羊が指揮する百頭のライオンが戦えば、いったい、どちらが勝つだろうか。もちろん、ライオンを大将にした羊の集団が勝つのである」

 勝海舟
 「オレが政権を奉還して、江戸城を引き払うように主張したのは、いわゆる国家主義から割り出したものだ。三百年の根底であるからといったところで、時勢が許さなかったらどうなるものか。また都府というものは、天下の共有物であって、決して一個人の私有物ではない」

 小室直樹「悪の民主主義」
 「日本の舵取りをしている役人がこのありさまでは、日本は難破するしかないではないか。国民は、民主主義を理解してないから、こんな役人に舵取りを任せきっていることがどんなに危険か気づいていない。狂乱を既倒に廻らす者は誰ぞ」。


 坂本竜馬文久(1863)6.29日坂本乙女宛手紙の一節
 「(幕府の)姦吏を一事に軍いたし打ち殺し、日本を今一度、せんたくいたし申し候事にいたすべくとの神願にて候」
 「私が死ぬる日は天下大変にて、生きておりても役に立たず、おろんともたたぬよふにならねば、中々狡(こす)い嫌なやつで死にはせぬ。しかるに、土佐の芋掘りともなんともいはれぬ居候に生まれて、一人の力で天下動かすべきは、是(これ)また、天よりする事なり」
 「世に活物(いきもの)たるもの皆衆生なれば、いずれを上下とも定め難し。今世の活物にては、ただ我をもって最上とすべし。されば天皇を志すべし」
 「恥ということを打捨てて世の事は成るべし」


 坂本竜馬の西郷隆盛評
 「少しくたたけば少しく響き、大きくたたけば大きく響く。もし馬鹿なら大きな馬鹿で、利口ならば大きな利口だろう」

 坂本竜馬の畢生の哲学
 「世に生を得るは、事を為すにあり」、「国の為天下の為、力を尽くしおり申し候」

 木村幸比古「日本を今一度せんたくいたし申し候」245P
 「組織は本来、下の者の意見は上の者が責任をとるぐらいの姿勢がなければ、協調性や信頼感は生まれてこない」

 ヴァルター・ヤコブ・ゲーリング博士
 「定説に挑戦し、それを覆す勇気を持ってほしい。教科書には本当に間違いが多いので、教科書を書き換えるぐらいの気持ちで勉強してもらいたい」。

 前尾繁三郎元自民党幹事長
 「語源を研究することは、物事の本質を探究する一つの方法であり、十二支の研究は人間のものの考え方を理解する道しるべだ」、「人間を知ろうとすれば複雑怪奇で、一筋縄ではいかない。理解したと思ったとたんに、するりと抜け出してしまう」

 中内功
 「私は、ビジネスの基本はオネスト、正直さだと思っています。‐‐‐付き合っていただく人に対してオネストであらねばなりません。嘘をついたり、騙したりということが絶対にないように。私もフィリピンの戦線から還ってきた身で、たくさんの戦友の死を目の前で見ました。彼等に顔を合わせることができる生き方をしたい」。





(私論.私見)