大和文読み

 更新日/2017.3.30日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、大和やまと言葉、熟字考をしておく。

 2006.8.31日 れんだいこ拝


 女性に人気「大和言葉」…しとやかな雰囲気を醸す」を転載しておく。

 「お心遣い痛み入ります」、「お口汚しですが」。「自分の文章は漢字が多くて何だか堅苦しい」。「甚だ恐縮に存じますが、適切な対処をご教授賜れますと幸いに存じます」。「読みやすくて柔らかい言葉」。「恐縮です」は「恐れ入ります」、「了解しました」は「かしこまりました」。メール文も、「大変恐れ入りますが、しかるべき対処をお教え願えますと助かります」と、しとやかになった。

 大和言葉は、日本語から漢語やカタカナ語などの外来語を除いたもので、万葉集や古事記にも見られる古くからの言葉。丁寧さに加え、言葉の響きが柔らかく、好印象を与える。情景が浮かびやすく、意味が容易に伝わる特徴もある。

 この言葉が再評価された一つのきっかけが、2014年11月発売の「日本の大和言葉を美しく話す」(東邦出版)だ。著者のことば研究家、高橋こうじさんが、デートを指す「
逢瀬おうせ」、妥協するという意味の「折り合う」など、日常で使える大和言葉を語源などを交えて紹介し、27万部を売る人気となった。その後、関連書籍が続々刊行され、大和言葉に関する講演が各地で開かれるようになった。講演活動も行う高橋さんは「お年寄りは懐かしく、若い人は新鮮に感じている」と話す。若者に人気の理由として、メールやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の普及も指摘する。「文章を書く機会が増え、人と違う言葉の引き出しが欲しいと考えた人が大和言葉に関心を寄せたのではないか」。

 「襟を正す」、「袖振る」など着物関連の大和言葉も多いという。「奥ゆかしく感じます」、「たおやかな言葉を学ぶ」。

   

 


 【熟字訓】
 詳細は「熟字訓」、「ウィキペディア熟字訓」、「熟字訓 」を参照

 熟語(古い日本語、現在でも使われる中国語の場合がある)を訓読みする場合がある。これを熟字訓という。例えば、梅雨(つゆ)、五月雨(さみだれ)、大人(おとな)、昨日(きのう)等

 熟字訓(じゅくじくん)は、日本語において漢字の単字単位ではなく熟字単位で訓読み(訓)を当てたもの。単字に分解してもそれぞれに熟字訓の要素は現れない。また、読みの方でも分節不可能なものが多い。

 例えば、「明日」に「あす」。単字の「明」や「日」に「あす」の要素はない。また読みの「あす」を「あ」と「す」に分けることもできない。漢語においては「明」と「日」を修飾-被修飾の関係で組み合わせて新たな意味を作り出しているのであり、これを単字それぞれのもつ字訓を使わずに、二字まとめて一訓を当てたものである。単字訓で読めば「あくるひ」になる。よく使われる言葉が熟字訓になっている場合が多い。訓には和語ばかりでなく外来語が使われることがある。例えば「煙草」を「たばこ」と訓読みする。熟字が漢語文法に則って作られていることが前提であり、字音や字訓を利用しつつも漢字本来の意味や熟字構造を無視して和語や外来語に漢字を当てる当て字とは異なる。

 また、熟字訓と音読みで意味が異なる場合がある。「今日」は、「きょう」と読む場合はある特定の日(本日)を指し、「こんにち」と読む場合には特定の長い期間(最近)を指す。一般に二三字で特殊な読みをするものをすべて熟字訓と考える人がいるが、それは誤りである。例えば「玄人」「素人」を「くろうと」「しろうと」と読むが、これは「玄」が「くろ」、「素」が「しろ」、「人」が「ひと」と分解でき、その「くろ」+「ひと」のウ音便に過ぎない。熟字訓も通常の訓読みと同様、最初は個人的な使用(義訓)から生じている。それが慣用的なものとして定着したものが今見る熟字訓である。江戸時代に「閑話休題」を「それはさておき」と訓んでいたことが知られるが、現代には定着していない。

 日本の地名

 日本の地名や人名には熟字訓であるものが少なからずある。その場合、「大和(やまと)」や「飛鳥(あすか)」のように熟字の語義と訓とがかなりかけ離れているものも多い。これは律令制の整備に際し、日本の地名に中国風に漢字2字の名称をつけたとき、もとの和名からかけ離れた漢字熟語を用いたためであり、訓が語義を説明するものというよりも地名に対して漢風の漢字で表記したものと言える。「近江」のように「ちかつあはうみ」から漢字がつけられていても、「おうみ」とだけ読むために元々の関係性が明確でなくなっているものも多い。

 暦・季節・時間

熟語 熟字訓 音読み 意味
一昨昨日 さきおととい いっさくさくじつ 本日の3日前の日。
一昨日 おととい、おとつい いっさくじつ 本日の2日前の日(前前日)。
一昨年 おととし いっさくねん 本年の2年前の年(前前年)。
昨日 きのう さくじつ 本日の1日前の日(前日)。
今日 きょう こんにち 「きょう」は本日、「こんにち」は最近。
明日 あす、あした みょうにち 本日の1日後の日(翌日)
明後日 あさって みょうごにち 本日の2日後の日(翌翌日)。
明明後日 しあさって みょうみょうごにち 本日の3日後の日。
弥明後日 やのあさって
("や"は訓読み)
  本日の4日後の日。
一日 ついたち いちにち、いちじつ 1日。
晦日 つごもり、みそか かいじつ 30日または月末、大晦日は12月31日。
如月 きさらぎ じょげつ 2月。
弥生 やよい いやおい(訓) 3月。
五月、皐月 さつき ごがつ(五月) 5月。
師走 しわす、しはす   12月。
今年 ことし こんねん 本年。
今朝 けさ こんちょう 今日の朝。
十六夜 いざよい じゅうろくや 満月の次の日の夜、そのとき出る月を指すことも。
七夕 たなばた しちせき 7月7日またはその日に行われる祭り。
一寸 ちょっと いっすん 「ちょっと」は短い時間、「いっすん」は長さの単位で約3.03cm。

人称

熟語 熟字訓 音読み 意味
下手 へた したて、しもて
(ともに訓)
「へた」はうまくないこと、「したて」は遜ること、「しもて」は舞台のむかって左側のこと。
大人 おとな だいにん、たいじん 成人。「たいじん」は度量のある人のことも指す。
従兄弟 いとこ じゅうけいてい 父母の兄弟姉妹の子。
伯父 おじ はくふ 父母の兄。
叔父 おじ しゅくふ 父母の弟。
伯母 おば はくぼ 父母の姉。
叔母 おば しゅくぼ 父母の妹。
曾孫 ひまご そうそん 孫の子。
玄孫 やしゃご げんそん 孫の孫。
二十歳
二十
はたち にじ(ゅ)っさい・
にじゅう
20歳。
女将 おかみ じょしょう 旅館や料理屋等の女主人。
乳母 うば、おんば にゅうぼ 子供を育てるための人。基本的には"うば"と読むことがほとんどであるが、「乳母日傘」の場合は"おんばひがさ"と読む。

自然

熟語 熟字訓 音読み 意味
梅雨 つゆ ばいう 春と夏の間に多く雨が降る期間とその雨。
時雨 しぐれ じう 晩秋から初冬にかけて、冬型の気圧配置に伴って日本海側で降る雨。
五月雨 さみだれ ごがつう 梅雨と同じ意味。
雪崩 なだれ   雪が崩れること。
吹雪 ふぶき   風と雪が強いこと。
陽炎 かげろう ようえん 春及び夏に起こる気象現象。
紅葉 もみじ こうよう 秋に起こる落葉樹の葉の色が変わる現象。また、その落葉樹の落ち葉に対して同様の漢字表記で"もみじば"と当てられる場合もある
疾風 はやて しっぷう 非常に強く吹く風のこと。また、このことから非常に速いこと。
息吹 いぶき   息を吹くこと("息吹く"とも。呼吸の項も参照)。また、生気・活気のあるさま。

 動植物

熟語 熟字訓 音読み 意味
土筆 つくし どひつ スギナの胞子茎。「どひつ」は焼き筆(木の棒の先端を焦がして炭状にしたもの)のこと。
女郎花 おみなえし   オミナエシ科の多年草。
山葵 わさび   アブラナ科の植物。
百合 ゆり   ユリ科の多年草。
海月水母 くらげ かいげつ(海月)、すいぼ(水母) 浮遊生活を送る刺胞動物。「かいげつ」は海面に映った月影のことも指す。
海老 えび かいろう 甲殻類の動物。
烏賊 いか うぞく 十本の腕の頭足類。
小豆 あずき しょうず 餡子の原料の豆。小豆島(地名)の場合は「しょうど」と読む(なお、小豆郡(日本の郡市名)の場合は例の通り「しょうず」と読む)。
桜桃 さくらんぼ おうとう 桜の仲間で、落葉高木の一種。果実は甘味や酸味、あるいは色や形状について特徴のあるものが多い。
大蛇 おろち だいじゃ 日本神話で登場する架空の巨大蛇型生物(※ヤマタノオロチ参照)が元来の意味。転じて、大きな蛇の種類・総称で使われるようになる。
銀杏 いちょう ぎんなん イチョウ科の落葉性裸子植物。「ぎんなん」はそれの種子であり、中の実は火に通せば食用できる。
無花果 いちじく クワ科イチジク属の落葉高木。また、その果実のこと。花を咲かせずに実をつけるように見えることに由来。

 食べ物

熟語 熟字訓 音読み 意味
心太心天 ところてん   海藻類を煮溶かし寒天質を冷まして固めた食品。
果物 くだもの かぶつ 甘味や酸味の強い果実、特に樹木になるもの。
灰汁 あく   食品に含まれる不快な成分。
河岸 かし かがん 「かし」は魚卸売市場、「かわぎし」は川の岸。
海女 あま   海に潜り海産物を取る女性。

 生活用品

熟語 熟字訓 音読み 意味
眼鏡 めがね がんきょう 視力を矯正する道具。
足袋 たび   日本固有の伝統的な衣類で足に履く一種の下着。
竹刀 しない ちくとう 竹でできた刀。
団扇 うちわ だんせん 扇ぐことで風を起こせるようにした日本の伝統的な冷房器具。
松明 たいまつ しょうみょう 手で持てるようにした火のついた木切れ。
蚊帳 かや ぶんちょう 蚊から人を守るための箱状の網。
浴衣 ゆかた よくい 単純な構造の和服。
母屋、母家 おもや   家の主となる建物。

文化

熟語 熟字訓 音読み 意味
大和 やまと だいわ 奈良県天理市付近の地域名、奈良県や日本全体を指すこともある。神奈川県に大和市(やまとし)がある。
企業名では両方の読みがある。また、大和は人名にも使われている(姓のみ熟字訓の方を使う)。
流鏑馬鏑流馬 やぶさめ   疾走する馬上から的に矢を射る弓術の稽古・儀式。
太刀 たち   刀。大きな刀、または、直刀でない刀(助太刀は勢力に加わること、また援護すること)。
山車 だし さんしゃ 祭に使われる車輪を持った出し物。大勢で引く。
お神酒 おみき   神に供える酒。
神楽 かぐら   神に奉納するための歌と舞。御神楽(みかぐら)とも。
祝詞 のりと しゅくし 神に奉納するための言葉。
女形 おやま おんながた(訓) 女性を演じる男性の役者(歌舞伎・能など)。
土産 みやげ どさん その土地の特産品、旅先で仕入れた品物、記念品。土産物(みやげもの/どさんぶつ)。
田舎 いなか でんしゃ 人口がまばらでへんぴな地域(いわゆる地方)。生まれ故郷。また、「片田舎」とは人口はそれほど少なくはないがへんぴな地域のこと。
相撲 すもう   日本の伝統的な格闘技。
鍛冶 かじ たんや 鍛造による金属製品の製作。鍛冶屋。
玩具 おもちゃ がんぐ 人や動物の遊び道具。狭義では子どものものを指すことが多い。

 その他

熟語 熟字訓 音読み 意味
欠伸 あくび けんしん 反射的に空気を吸うこと。
九十九 つくも きゅうじゅうきゅう、くじゅうく 「つくも」はたくさんあることや99のこと。「きゅうじゅうきゅう」は99のこと。「九十九折」は「つづらおり」と読む。
台詞科白 せりふ だいし、かはく 劇や漫画の登場人物が発する言葉。
二十 はた、はたち にじゅう 20。
八百 やお はっぴゃく 800。たくさんあること
十八番 おはこ じゅうはちばん 自分が最も得意とする芸や技。
為替 かわせ   金銭を決済する方法。
美人局 つつもたせ   詐欺行為の一種。
可笑(しい) おか(しい)   滑稽なまたは奇妙な。
美味(しい) おい(しい) (びみ) 味が良い。
流石 さすが   (形容詞で)実力が相応分はあること。
老舗 しにせ ろうほ 歴史の長い店、企業。
相応(しい) ふさわ(しい) (そうおう) (形容詞で)似合っている。釣合っている。
可惜(身命) あたら(しんみょう)   体や命を大切にすること。「不惜身命」(命を懸けて戦う(挑む)こと)の対義語。今日ではもっぱら四字熟語として使われる(※「可惜」は"あたら"と読む)。
不味(い) まず(い) (ふみ) 味が悪い、もしくは味気のないこと(※下手な(大して上手ではない)ことの"まずい"は「拙い」と表記される)。

 「泡沫」と書いて「うたかた」。ホウマツと音読みすることもあるように、もともとは中国製の熟語です。「泡」の訓読みは「あわ」、「沫」も同じく「あわ」を意味する漢字ですから、「泡沫」の意味は「あわあわ」、ではなくて、単純に「あわ」ということになります。つまり、古代中国語の「泡沫」と、古代日本語の「うたかた」とは同じ意味なのです。そこで、「泡沫」を「うたかた」へと翻訳することが可能だということになります。訓読みとは、本来、中国語としての漢字を日本語に翻訳したものです。中国語「泡」は日本語「あわ」に翻訳できるから、漢字「泡」を「あわ」と訓読みするというわけです。そこで、「泡沫」が「うたかた」に翻訳できるとなると、「泡沫」の2文字をまとめて「うたかた」と訓読みしてしまおう、ということにもなってきます。このように、漢字2文字以上をまとめて訓読みすることを、熟字訓(じゅくじくん)と呼んでいます。「熟字」とは「熟語」と同じ意味で、「熟字訓」とはつまり、熟語の訓読みという意味です。世間一般に「当て字」と呼ばれているものの中には、多くの熟字訓が含まれています。ところが、1946年に当用漢字が制定されたとき、当て字はかな書きにする、という方針が打ち出されました。その結果、熟字訓はあまり用いられなくなってしまったのです。とはいえ、「泡沫(うたかた)」のように、今でも愛され続けている熟字訓も数多くあります。読み方がむずかしいという難点はありますが、熟字訓には熟字訓のよさもあります。よい部分は、これからも受け継いでいきたいものです。

漢字二字以上の熟字全体に,日本語の訓をあてて読むこと。また,その読み。「昨日(きのう)」「紅葉(もみじ)」「杜鵑(ほととぎす)」「羊歯(しだ)」の類。本辞典では常用漢字表付表記載の熟字訓は「《昨日》」「《紅葉》」,それ以外のものは「〈杜鵑〉」「〈羊歯〉」のように,《 》と〈 〉を使って表記欄に指示してある。

 【当て字】より

 …また言葉(ことば),出来(でき)などを,それぞれの文字の正当な意義用法によらぬとして,当て字にふくめることがある。さらに,土産(みやげ),銀杏(いちよう),今日(きよう),三和土(たたき),煙草(たばこ),麦酒(ビール),天鵞絨(ビロード)など,漢字2,3字の結合を一々の字の音訓によらずに,全体として一つの単語にあてる(熟字訓という)場合をも,当て字という人が近来はある。常用漢字表および同音訓表の適用にあたってはこれらの当て字は一括して排斥されつつあるが,一方,常用漢字表以外の漢字を使わないようにするために行われる,銓衡→選考,落伍→落後,繃帯→包帯のような書きかえは,主として漢語についてであって,当て字とはよばれていないが,新たに作られつつある当て字といえよう

 しかし、そういった議論は置いておいて、現代日本語の世界で考えたときには、「当て字」には大きく分けて以下の2種類があるのではないかと思います。

 1「滅茶苦茶」(めちゃくちゃ)、「倫敦」(ロンドン)などのように、漢字の本来の意味とは関係なく、ある漢字 を用いるもの。
 2「女」と書いて「ひと」と読ませたり、「運命」と書いて「さだめ」と読ませたりするように、漢字の本来の意 味は残しつつ、一般にはあまり用いられない読み方で、ある漢字を用いるもの。

 さて、一方の「熟字訓」は、本来、「熟字(=熟語)に対する訓読み」のことです。訓読みとは、中国語としての漢字の意味を日本語で翻訳したものですが、同じ作業を熟語に対して行ったものなのです。結果として、漢字2字以上からなる熟語に対して、日本語1語を当てたものが熟字訓であるということになります。
先に挙げた2の「当て字」のうち、漢字2文字以上から成っているものは、この「熟字訓」ときわめて似た外見をしています。それらのうち、時代とともに認知されていって、比較的多くの人に用いられるようになったものが「熟字訓」だと考えてよいでしょう。「五月雨」と書いて「さみだれ」と読むのは、元来は「五月の雨」という意味から来た当て字ですが、それが一般性を獲得したとき、「熟字訓」と呼ばれるようになるのです。中でも、一般性が高いと公的に認められているのは、『常用漢字表』の「付表」に挙げられた熟字訓で、これらは「付表の語」などと呼ばれて、国語辞典でも別格扱いをされています。そこから考えますと、「運命」と書いて「さだめ」と読む、などというのは、演歌にしょっちゅう出てきますから、すでに「熟字訓」としての地位を確立しているのかもしれません。そして、何十年か先のいつか『常用漢字表』が改定されるとき、演歌出身の「付表の語」が採用される、なんてことも……。やっぱり、ありえませんかねえ。

 熟字訓とは、二字以上の漢字に訓読みを当てた、いわゆる当て字のこと。中国由来の音読みとは違う、日本独自の読み方です。熟字訓の中には、なぜこの字でこの読み方? と思うような難しいものもありますが、字を見ただけでイメージが広がる粋なものもたくさんあります。

 今回は、日本の情緒を感じる2字熟字訓について461名の読者に聞きました。

Q.日本の情緒を感じる2字熟字訓を教えてください(複数回答)
1位 もみじ→紅葉 34.7%
2位 いちょう→銀杏 22.1%
3位 たなばた→七夕 21.5%
4位 かや→蚊帳 19.7%
5位 せんす→扇子 17.4%

■もみじ→紅葉
・「もみじって日本らしい、とても美しい光景だから、漢字まで良く見える」(35歳男性/機械・精密機器/営業職)
・「文字の向こうに色が見えて情緒を感じる」(27歳男性/マスコミ・広告)
・「赤じゃなくて紅を使うところが繊細な日本人ぽいから」(37歳女性/団体・公益法人・官公庁/秘書・アシスタント職)

■いちょう→銀杏
・「実のことは『ぎんなん』と呼び、木や葉のことは『いちょう』と呼ぶのは面白いと思うから」(35歳男性/情報・IT/技術職)
・「日本には良い漢字がいっぱいあるなと思う」(26歳女性/アパレル・繊維/事務系専門職)
・「四季、季節にかかわるものは、情緒を感じます」(38歳女性/情報・IT/事務系専門職)
■たなばた→七夕
・「言葉に涼しさを感じる」(27歳男性/建設・土木/技術職)
・「字面と響きがいいなと思うので」(27歳女性/情報・IT)
・「日本人なら誰でも読めるのに、少し日本語を勉強した外国の人では絶対読めないだろうなと思うから」(25歳女性/不動産/事務系専門職)

■かや→蚊帳
・「夏の暑さを和らげてくれるから」(39歳男性/人材派遣・人材紹介/営業職)
・「蚊なんて全世界どこでもいるだろうに、不思議なもので蚊帳と聞くと日本の文化だなあと思う。音が柔らかくていい」(28歳女性/印刷・紙パルプ/クリエイティブ職)
・「蚊帳は今の家では見ることはないだろうけれど、田舎の景色や雰囲気が思い出されて日本という感じがします」(31歳女性/自動車関連/事務系専門職)

■せんす→扇子
・「センスありますね」(24歳男性/機械・精密機器/技術職)
・「可憐さを感じるから」(26歳女性/機械・精密機器/事務系専門職)
・「優雅な感じがする」(29歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)

■番外編:後世に伝えるべき伝統文化
・ぞうり→草履「ぞうりは、風情がある感じで特にいいですね」(54歳男性/電機/技術職)
・あま→海女「ちゃんとその漢字をみるとどんなものか想像しやすいようにできているなと思う」(33歳女性/学校・教育関連/事務系専門職)
・そろばん→算盤「隣町はそろばん作りで有名な町。だからか、しょっちゅう……というか、毎日算盤という漢字を見てます。でも算盤はできない」(29歳女性/団体・公益法人・官公庁/専門職)

 義訓
 義訓(ぎくん)とは、漢字に固定化した訓ではなく、文脈に合わせて個人的にその場限りの訓を当てることをいう。表記の面から言えば、当て字である。特に『万葉集』など上代文献での漢字の使い方をいう。「暖(はる)」「寒(ふゆ)」「金(あき)」「未通女(おとめ)」「数多(あまねし)」「間置而(へだたりて)」など。

また「天皇」を「すめらみこと」、「大臣」を「おとど」、「一寸」を「ちょっと」と読んだり、「閑話休題」を「それはさておき」と読んだりもする。訓読みと言うよりも、漢語(中国語)を日本語に意訳して訓むものといえる。現代において漫画などで「本気」と書いて「マジ」と振り仮名をつけるのも義訓の一種といえる。

義訓がのちに固定的に使われるようになって正訓となることがある。


 国訓
 漢字が本来表す中国語の意味ではなく日本独自の訓を当てるものを国訓(こっくん)という。たとえば、「鮎」は中国語では「なまず」であるが、訓は「あゆ」であり、「沖」は中国では「つく」(衝→簡化: 冲)などの意味であるが、訓は「おき」である。これらは漢字で日本語を表記できるようになったためにできたものである

 外来語による訓読み
 漢字の訓読みに用いるのは和語とは限らず、外来語である場合もある。この場合はカタカナで表記されることが多い。

 訓読みの例

 熟字訓の例




(私論.私見)

明日    あす
小豆    あずき
 □ 海女    あま
 □ 硫黄    いおう
 □ 意気地   いくじ
 □ 田舎    いなか
 □ 息吹    いぶき
 □ 海原    うなばら
 □ 乳母    うば
 □ 浮気    うわき
 □ 笑顔    えがお
 □ 叔父・伯父 おじ
 □ 乙女    おとめ
 □ 叔母・伯母 おば
 □ お巡りさん おまわりさん
 □ お神酒   おみき
 □ 母屋    おもや
 □ 神楽    かぐら
 □ 河岸    かし
 □ 風邪    かぜ
 □ 仮名    かな
 □ 蚊帳    かや
 □ 為替    かわせ  
 □ 果物    くだもの
 □ 玄人    くろうと
 □ 景色    けしき
 □ 心地    ここち
 □ 雑魚    ざこ
 □ 桟敷    さじき
 □ 差し支える さしつかえる
 □ 五月晴れ  さつきばれ
 □ 早苗    さなえ
 □ 五月雨   さみだれ
 □ 時雨    しぐれ
 □ 竹刀    しない
 □ 芝生    しばふ
 □ 三味線   しゃみせん
 □ 砂利    じゃり  
 □ 数珠    じゅず
 □ 白髪    しらが
 □ 素人    しろうと
 □ 師走    しわす
 □ 数寄屋   すきや
 □ 相撲    すもう
 □ 草履    ぞうり
 □ 山車    だし
 □ 太刀    たち
 □ 立ち退く  たちのく
 □ 足袋    たび
 □ 稚児    ちご
 □ 築山    つきやま
 □ 梅雨    つゆ
 □ 凸凹    でこぼこ
 □ 伝馬船   てんません
 □ 投網    とあみ
 □ 十重二十重 とえはたえ
 □ 読経    どきょう
 □ 仲人    なこうど
 □ 名残    なごり
 □ 雪崩    なだれ
 □ 野良    のら
 □ 祝詞    のりと
 □ 波止場   はとば
 □ 日和    ひより
 □ 吹雪    ふぶき
 □ 部屋    へや
 □ 迷子    まいご
 □ 土産    みやげ
 □ 息子    むすこ
 □ 眼鏡    めがね
 □ 猛者    もさ
 □ 紅葉    もみじ
 □ 木綿    もめん
 □ 最寄り   もより
 □ 八百長   やおちょう
 □ 大和    やまと
 □ 浴衣    ゆかた
 □ 行方    ゆくえ
 □ 寄席    よせ
 □ 若人    わこうど

<「準1級 漢字捷径」参考>

グループルビの利用と配置。 小林 敏(こばやし とし)

グループルビの利用

2文字以上の親文字列に対し、その親文字列全体に対してルビを対応させて配置する方法がグループルビである。グループルビは、“雑魚”に“ざこ”、“雪崩”に“なだれ”、“無花果”に“いちじく”などといった熟字訓や当て字の読みを付ける場合や、“混沌”に“カオス”、“概念”に“コンセプト”、“大聖堂”に“カテドラル”などの片仮名語をルビとして付ける場合に利用されている。親文字ごとにルビを対応させることができないルビである。

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    図1

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    図2

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 図3 ルビの字数が極端に少ない場合

片仮名語のルビがつく場合、“失われたもの”に対し“ロス”とルビをつけるように、親文字列の字数にくらべ、ルビが極端に少ない例がある。 

行頭と行末の処理