角田忠信氏著「日本人の脳」の日本語論

 (最新見直し2015.03.30日)



角田忠信氏著「日本人の脳」の日本語論
 2007年04月06日付けブログ「日本語はもっとも自然に近い発音を持つ言語」を参照する。耳鼻科医師の角田忠信氏著「日本人の脳」は次のように述べている。
 「右脳は感性を左脳は理性を支配すると言われている。そして人は、言葉の中で、必要に応じて右脳と左脳を使い分けている。日本人は音の処理を、西欧人を始め他の民族とは全く異なる音声処理を行っている。虫の声、せせらぎ、潮騒(しおざい)、雨音などを、ほとんどの民族が右脳で雑音として処理するものを、日本人は左脳でそれぞれの音や声として処理している。この能力は6歳くらいまで日本で過ごした人は、外人であっても取得する反面、日本人でも6歳くらいまで外国で過ごした者には、雑音としか聞き取れない」。
 「日本語に多い擬態語・擬音語は、自然の音や、音を持たない動作などを独特の音として表現するものだが、それは日本語がもっとも自然に近い発音を持つ言語だからだ。日本語は全ての子音の後に必ず母音を伴う言語である。たとえば印欧語族など、子音と母音が明確に分離した言語の場合、子音は左脳母音は右脳で処理されるところ、日本語では全て左脳で処理される。この差が虫の声やせせらぎ・雨音などを聞き分けの差になる。西洋音楽は右脳で捉えるものの、それぞれ擬音として表現している琴・三味線・笛の音など邦楽は、すべて左脳で捉えている。こうした日本に近い言葉と感覚は、わずかにポリネシアの人たちくらいに見られる」。

 これによると、日本人が創始した日本語の能力により、日本人は他の民族より選れた音声感知能力を持っている。日本語に擬態語、擬音語が多いのは音声感知能力の豊かさを示している。日本語の性能の良さによると思われるが、日本人は古来よりの言語を継続して使い続けて来ている。縄文の民が大陸より金属器と水田稲作を携えて渡来した弥生人に支配されたのであれば言語も弥生人の言語に倣うべきところ(このことはポルトガル・スペインに征服された中南米の民がポルトガル・スペインの言葉を話すことを見れば明白である)、我々の先祖は古来よりの言語を継続して使い続けてきた。この事実は、弥生の民が逆に縄文の民に吸収され同化していったことを示しているのではなかろうか。時代に即応して変化を続けながらも、今に至っても他国とは全く異質な、自然に同化した言語を使い続けている。このことが確認されねばならない。「人類が観念機能を作り上げた土台をそのまま残存させているのが現代の日本語だとしたらこれは最古の文化遺産であり、最大の日本人の特徴だとも言えると思います」。 






(私論.私見)